JP3873669B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両後部からの衝撃を吸収するために設けられるエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエアバッグ装置として、例えば実開平6−65117号公報に開示された装置が知られている。この装置は、最後部座席部分に加わる加速度を検知するセンサと、折り畳まれた状態で最後部座席の内部に収容されたエアバッグとを備えている。そして、センサにより車体の後ろ向きの加速度が検知されると、エアバッグが瞬時に膨張展開して、最後部座席に着座した乗員に対する衝撃が吸収されるようになっている。
【0003】
また、こうしたエアバッグ装置としては他に、上述したように膨張展開するエアバッグが、最後部座席後方の荷室の下部に収容されたものや(実開昭64−7054号公報)、同じく最後部座席後方に設けられたリヤパッケージトレイの下部に収容されたもの(特開平7−186870号公報)なども知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記各従来のエアバッグ装置のうちで、エアバッグを座席の内部に収容する装置にあっては、このエアバッグが嵩張るために、座席の座り心地の悪化を許容した上で、その内部に同エアバッグを収容せざるを得ない。また、最後部座席後方に設けられた荷室やリヤパッケージトレイの下部にエアバッグを収容する構成にあっては、同エアバッグの膨張展開に支障をきたすおそれがあるためにその上部に荷物を置くことができなくなり、利便性の低下を招くこととなる。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的としては、座席の座り心地や利便性の悪化を招くことなく、車両後方に加えられた衝撃を吸収することのできるエアバッグ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両に後方から加えられた衝撃を検知するセンサと、折り畳まれた状態で収容されるものであって前記センサにより所定以上の衝撃が検知されたときに複数列の座席のうち最後部座席の後方に膨張展開するエアバッグとを備えるエアバッグ装置において、前記エアバッグは、前記車両のルーフパネルとその内面を覆うように設けられるルーフヘッドライニングとルーフパネル及びルーフヘッドライニングの間に設けられるインナーパネルとからなるルーフの後端部に収容されると共に、前記エアバッグとガスを供給するインフレータとが前記インナーパネルに固定され、前記最後部座席の後方で前記最後部座席と前記車両のリヤウィンドウガラスとの間を仕切るように膨張展開されるものであることをその要旨とするものである。
【0007】
この本願請求項1に記載の発明では、座席の座り心地や利便性の悪化を招くことなく、車両後方に加えられた衝撃を吸収することが可能となる。加えて、車両の後方に衝撃が加えられたときに、最後部の座席に着座する乗員とリヤウィンドウガラスとがエアバッグを介して隔離される。そして、後方からの飛散物、進入物等による車室内への影響が低減される。
【0008】
また、後方から衝撃が加えられた際の変形が小さいルーフのインナーパネルにエアバッグ及びインフレータが固定されるために、その展開に支障が生じたり、展開方向が不用意に変化したりすることが抑制される。加えて、エアバッグの収容スペースを容易に確保でき、しかも、エアバッグがルーフヘッドライニングで覆われるようになって、見栄えをよくすることもできる。
【0009】
また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエアバッグ装置において、前記エアバッグは、前記車両の後端部から略重力方向に垂下されるように膨張展開されるものであることをその要旨とするものである。
【0010】
この本願請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明の作用に加えて、最後部座席の後方においてエアバッグを膨張展開させることができ、その膨張展開時におけるエアバッグと最後部座席に着座した乗員との干渉を抑制することが可能となる。
【0011】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のエアバッグ装置において、1ボックスカーまたは2ボックスカーであることをその要旨とするものである。
【0012】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明を最後部座席と車体後端との距離が短い1ボックスカーまたは2ボックスカーに適用することで、請求項1又は2に記載の発明の作用がより好適に奏される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエアバッグ装置の一実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、車両10の後方側におけるルーフ11の端部には、袋状に形成されたエアバッグ21と、信号が入力されることで膨張用のガスを同エアバッグ21に供給するインフレータ22とが設けられている。
【0019】
上記車両10のルーフ11は、図3にその後方端における側面断面構造を示すように、外装部材であるルーフパネル12と、装飾部材であるルーフヘッドライニング13と、インナーパネル14とから構成されている。ルーフヘッドライニング13は、例えば合成樹脂等の可撓性を有する材料により、前記ルーフパネル12の車室内側の面全体を覆うように設けられている。インナーパネル14は、前記ルーフパネル12及びルーフヘッドライニング13の間に設けられている。
【0020】
前記ルーフヘッドライニング13は、前記インナーパネル14と接する部分をなす車両後方側の端部13aが、エアバッグ21の膨張展開に際し、同エアバッグ21により押し開かれるように変形するようになっている(図3中の二点鎖線参照)。
【0021】
また、車両10の後方側における前記インナーパネル14の端部には、複数の取付孔14aが形成されるとともに、これら取付孔14aに対応するようにナット15が接着されている。これらナット15は、前記エアバッグ21及びインフレータ22の取付けに用いられる。ここで、ルーフ11は、車両10に後方から衝撃が加えられた場合における変形が比較的小さく、且つそのインナーパネル14とルーフヘッドライニング13との間に内部空間を設ける場合に自由度が大きくその容量を大きく確保できる。そこで、本実施の形態の装置では、こうしたルーフ11(インナーパネル14)に、上記ナット15を通じて、エアバッグ21及びインフレータ22が固定されている。
【0022】
前記エアバッグ21は、図4に一点鎖線で示すように、膨張していない状態で略四角形状に形成され、図4に実線で示すように、車両10への取付けに際し折り畳まれている。そのエアバッグ21の上記四角形状の一辺にあたる部分には、上記インナーパネル14に設けられた各取付孔14aに対応するように、取付孔21aを有する取付部21bが複数形成されている。上記インフレータ22にも、同様に取付孔22aを有する取付部22bが設けられている。そして、図3に示すように、これら取付孔21a,22aとインナーパネル14に設けられた取付孔14aとにボルト16を挿通するとともに同ボルト16を前記ナット15に螺着することで、前記エアバッグ21及びインフレータ22がインナーパネル14に固定されている。これにより、これらエアバッグ21及びインフレータ22は、ルーフヘッドライニング13とインナーパネル14との間に収容されている。
【0023】
なお、前記エアバッグ21は、その膨張時における展開方向が、上記ルーフヘッドライニング13の車両後方側の端部13aに向かう方向になるように固定されている。また、このエアバッグ21は、その膨張に際し、図1〜図3に一点鎖線で示すように、上記端部13aから略重力方向に垂下するように、換言すれば、車両10のバックドア17に取付けられたリヤウィンドウガラス18と最後部座席19との間を仕切るように展開するようになっている。
【0024】
また、図1に示すように、車両10の後部バンパ23の近傍にはセンサ24が設けられている。このセンサ24は、車両10に後方から所定以上の衝撃が加えられたときに、その旨の信号を出力する。なお、上記車両10としては、その後部バンパ23と最後部座席19との距離が短い車両であって、且つルーフ11の後方側の端部が最後部座席19よりも後方側に位置する車両(例えば、1ボックスカーや2ボックスカー)を想定している。
【0025】
本実施の形態のエアバッグ装置は、例えばマイクロコンピュータ等から構成される電子制御装置25を備えている。この電子制御装置25は、上記センサ24の出力信号を取り込むとともに、同信号に基づき車両10に衝撃が加えられたか否かを演算し、その演算結果に応じて上記インフレータ22に作動信号を出力する。
【0026】
そして、この装置では、車両10に後方から所定以上の衝撃が加えられると、上記センサ24が信号を出力し、この出力信号が電子制御装置25に取り込まれる。このとき、電子制御装置25は、車両10に衝撃が加えられたと判断するとともに、上記インフレータ22に作動信号を出力する。これにより、インフレータ22から袋状のエアバッグ21の内部に膨張用のガスが供給され、同エアバッグ21がリヤウィンドウガラス18と最後部座席19との間を仕切るように膨張展開される。これにより、リヤウィンドウガラス18と最後部座席19に着座した乗員とがエアバッグ21を介して隔離される。従って、膨張展開されたエアバッグ21により、後方からの飛散物や、進入物等による車室内への影響が低減され、車両10の後方に加えられた衝撃が吸収される。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)エアバッグ21を車両10の後方側におけるルーフ11の端部に設けるようにしたために、最後部座席19にエアバッグ装置を埋設したり、荷室の使用を制約したりする必要がない。従って、座席の座り心地や利便性の悪化を招くことなく、車両10の後方に加えられた衝撃を吸収することができる。
【0028】
(2)また、エアバッグ21を、車両10に後方から衝撃が加えられた場合における変形が小さいルーフ11に固定した。このため、同エアバッグ21の展開に支障が生じたり、展開方向が不用意に変化したりすることが抑制される。従って、エアバッグ装置の作動時に、エアバッグ21をより確実に所望の展開状態とすることができる。
【0029】
(3)エアバッグ21及びインフレータ22を、ルーフ11内に収容するようにしたために、それらエアバッグ21及びインフレータ22の収容スペースを容易に確保することができる。しかも、ルーフヘッドライニング13とインナーパネル14との間にエアバッグ21及びインフレータ22を収容するようにしたために、それらエアバッグ21及びインフレータ22がルーフヘッドライニング13で覆われるようになり、見栄えをよくすることもできる。
【0030】
(4)エアバッグ21を、車両10の後方側におけるルーフ11の端部から略重力方向に垂下されるように膨張展開させるようにした。このため、最後部座席19の後方においてエアバッグ21を膨張展開させることができ、その膨張展開時におけるエアバッグ21と最後部座席19に着座した乗員との干渉を抑制することができる。
【0031】
(5)また、エアバッグ21を、リヤウィンドウガラス18と最後部座席19との間を仕切るように展開させるようにした。このため、車両10の後方に衝撃が加えられたときに、リヤウィンドウガラス18と最後部座席19に着座する乗員とがエアバッグ21を介して隔離される。そして、後方からの飛散物、進入物等による車室内への影響が低減される。特に、最後部座席19と後部バンパ23との距離が短い車両に、こうしたエアバッグ装置を搭載することで、前記効果を顕著に奏することができる。
【0032】
(変更例)
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、エアバッグ装置をルーフヘッドライニング13とインナーパネル14との間に収容するようにした。これに対して、エアバッグ装置を、例えばエアバッグ21の膨張展開時に開放可能なケース等に収容した状態でルーフヘッドライニング13上に取着してもよい。
【0033】
・また、エアバッグ21の一部をサイドピラーガーニッシュとボディとの間に収容するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、車両10の後方側におけるルーフ11の端部にエアバッグ21を設けるようにしたが、これを、車両10のバックドア17の上部に設けるようにしてもよい。また、この場合には、エアバッグ21の一部をバックドア17の側方部分に収容するようにしてもよい。
【0034】
・上記実施の形態では、インフレータ22を車両10の後方側におけるルーフ11の端部に設けるようにしたが、これに限られない。エアバッグ21に膨張ガスを確実に供給することができるのであれば、インフレータ22を設ける場所は任意に変更することができる。
【0035】
・上記実施の形態では、エアバッグ21及びインフレータ22をそれぞれ1つずつ設けるようにしたが、車両後方に加えられた衝撃を好適に吸収できるのであれば、これらエアバッグ21及びインフレータ22の少なくとも一方を複数設けてもよい。
【0036】
・上記実施の形態では、エアバッグ21を略重力方向に垂下するように膨張展開させるようにした。これに対して、リヤウィンドウガラスが傾斜して設けられる車両では、その傾斜に沿うようにエアバッグ21を膨張展開させるようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1に記載の発明によれば、座席の座り心地や利便性の悪化を招くことなく、車両後方に加えられた衝撃を吸収することができる。加えて、車両の後方に衝撃が加えられたときにおける後方からの飛散物や、進入物等による車室内への影響を低減することができる。
【0038】
また、エアバッグの展開に支障が生じたり、その展開方向が不用意に変化したりすることを抑制できる。
【0039】
加えて、エアバッグの収容スペースを容易に確保でき、しかも、見栄えをよくすることもできる。
【0040】
また、本願請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、エアバッグの膨張展開時における同エアバッグと最後部座席に着座した乗員との干渉を抑制することができる。
【0041】
また、本願請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明の効果をより好適に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態が適用される車両の後方部分の側面図。
【図2】同車両の背面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】同実施の形態に採用されるエアバッグ及びインフレータの平面図。
【符号の説明】
10…車両、11…ルーフ、12…ルーフパネル、13…ルーフヘッドライニング、14…インナーパネル、18…リヤウィンドウガラス、19…最後部座席、21…エアバッグ、24…センサ、25…電子制御装置。
Claims (3)
- 車両に後方から加えられた衝撃を検知するセンサと、折り畳まれた状態で収容されるものであって前記センサにより所定以上の衝撃が検知されたときに複数列の座席のうち最後部座席の後方に膨張展開するエアバッグとを備えるエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、前記車両のルーフパネルとその内面を覆うように設けられるルーフヘッドライニングとルーフパネル及びルーフヘッドライニングの間に設けられるインナーパネルとからなるルーフの後端部に収容されると共に、前記エアバッグとガスを供給するインフレータとが前記インナーパネルに固定され、前記最後部座席の後方で前記最後部座席と前記車両のリヤウィンドウガラスとの間を仕切るように膨張展開されるものであることを特徴とするエアバッグ装置。 - 前記エアバッグは、前記車両の後端部から略重力方向に垂下されるように膨張展開されるものであることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
- 前記車両は、1ボックスカーまたは2ボックスカーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
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