JP3871973B2 - 電荷輸送能を有するエポキシ化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体の機械的耐久性(耐摩耗性、耐傷性など)を飛躍的に向上させるとともに電荷輸送材料の析出を抑え、さらに静電的特性も損なわない3次元架橋膜を作成しうる電荷輸送能を有するエポキシ化合物、及びそれらの混合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体に用いられる光導電性材料として、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系材料と、ポリ−N−ビニルカルバゾール、トリフェニルアミン化合物(米国特許第3,180,730号)、ベンジジン化合物(米国特許第3,265,496号、特公昭39−11546号公報、特開昭53−27033号公報)等のような有機系材料が提案されている。
無機感光体は、感度や耐久性が良好であるが生産コストが高く、毒性や廃棄性、可とう性などの問題を有することから、現在は安価で取扱い性の良い有機感光体が主流となっている。しかし、有機感光体は無機感光体と比べて、感度や機械的耐久性の点で劣る傾向があり、特に機械的耐久性の向上は強く求められている。
【0003】
現在、有機感光体は、電荷発生層と電荷輸送層からなる機能分離型の積層感光体が多く、機能分離型とすることで静電的特性と機械的耐久性の両立をはかっている。
また、有機感光体には個々の電子写真プロセスに応じた感度、静電的特性、光学的特性のほかに、電気的、機械的ハザード(帯電、露光、現像、転写、クリーニングなど)に対する耐久性も要求される。
【0004】
具体的には、電子写真プロセス中での帯電や酸化性ガス(オゾン、NOx)などによる感光体の静電的劣化(感度低下、電位低下、残留電位上昇等)、摺擦による物理的劣化(摩耗、傷、摩擦係数の上昇)などに対する耐久性向上が要求される。
【0005】
一般に有機感光体の表面層は、バインダー樹脂に電荷輸送物質を分子分散させた樹脂感光層からなる。この電荷輸送物質は可塑剤的な作用を示し、膜強度を低下させるため、感光体の機械的耐久性はバインダー樹脂の種類に大きく依存する。現在、上述の要求を満たす樹脂として、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などが実用化されているが、すべての特性を満足していないのが実情である。さらに有機感光体には、保存中に電荷輸送物質が析出してしまうという問題も抱えている。
【0006】
これらの問題を解決する手段として、バインダー樹脂に硬化性樹脂を用いることが、特開平2−127652号公報などに開示されている。しかし、バインダー樹脂に硬化性樹脂を用いると耐摩耗性や耐傷性は大きく向上するが、単純に硬度が高すぎるだけでは電荷輸送能が低くなり易く、繰り返し使用における残留電位が上昇しやすい傾向がある。また、分子分散された電荷輸送物質は、あくまでも可塑剤として作用するので析出などの問題も根本的には解決されないことから、硬化性樹脂と電子写真特性を高いレベルで両立させることが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の電子写真感光体のもつ問題点を解決し、とくに機械的耐久性(耐摩耗性、耐傷性など)を飛躍的に向上させ、かつ電荷輸送物質が析出しない感光層を形成するのに有用な電荷輸送能を有する新規なエポキシ化合物、及びそれらの混合物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物、及び数平均分子量600〜500000のそれらの混合物が提供される。
【化8】
(式中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化9】
(式中、Ar1は少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基を表す。Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、Ar2とAr3は同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化10】
(式中、R2、R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar2〜Ar4は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、R2とR3、Ar2〜Ar4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化11】
(式中、R2、R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。R4〜R11は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアリレン基を表す。但し、R2とR3、R4〜R1 1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化12】
(式中、R2、R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。R4〜R15は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、R2とR3、R4〜R15はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化13】
(式中、R4〜R15は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R16〜R25は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0〜5000の整数を表す。)
【化14】
(式中、R4〜R15は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R16〜R25は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の前記一般式(1)〜(7)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物は、新規物質であり、測鎖部分に3級アミノ基や芳香環以外の炭素−炭素二重結合を有するため、これらエポキシ化合物を用いて感光体を作製した場合、該感光体は帯電時の静電的ハザードに対して耐久性が高く、耐摩耗性に極めて優れたものとなる。これは、主鎖方向での分子切断等が生起しないことによるものと考えられる。
一方、主鎖部分に3級アミノ基や芳香環以外の炭素−炭素二重結合を有する化合物では、帯電時の静電的ハザードに対して該アミノ基や該二重結合部位は切れやすいため、分子量が下がり耐摩耗性が低くなる傾向にある。
また、エポキシ基の硬化反応に光重合を利用する場合、感光体のような大面積の均一架橋膜を得ることは難しく、感光体特性や摩耗特性に不具合を生じやすいため、本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物は、活性水素基を利用した熱硬化方法を利用することが好ましく、該方法により均一な膜質の大面積の架橋膜を得ることができる。
さらに本発明のようなエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を用いて作製した感光体は、従来の熱可塑性樹脂から作製した感光体と異なり、3次元架橋された硬化性樹脂から構成されているために、機械的、静電的ハザードに対して飛躍的に強い。特に、エポキシ樹脂の3次元架橋膜は、他の堅くてもろい3次元架橋膜と異なり、靭性に優れていることから、耐摩耗性にも優れている。
【0010】
本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物の、前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物において、R1〜R25の置換もしくは無置換のアルキル基とは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、ハロゲン原子やフェニル基で置換されていてもよく、該フェニル基は、さらにハロゲン原子や炭素数1〜5のアルキル基などで置換されていてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0011】
また、R1〜R25の置換もしくは無置換のアリール基として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基等が挙げられ、これらのアリール基にはハロゲン原子や前述のアルキル基、フェニル基等が置換していてもよい。また、下記一般式(8)で表される基も挙げることができる。
【化15】
〔式中、Xは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基を表す。
【化16】
【化17】
(ここで、R26、R27は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、aは1〜12の整数、bは1〜3の整数を表す。)〕
尚、前記一般式(8)中のR26、R27の置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基は前記R1〜R3、R16〜R25と、その定義及び具体例は同様である。
【0012】
また前記一般式(6)及び(7)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物において、R16〜R25の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基は、それぞれ、前記R1〜R25の説明において挙げた置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基からそれぞれ誘導される基が挙げられる。
【0013】
また前記一般式(1)及び(2)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物において、Ar1の少なくとも1個の3級アミノ基を有するアリール基の該アリール基としては、前記R1〜R3、R16〜R25の説明において挙げたものと同様のものを挙げることができる。
さらに該3級アミノ基としては、−NR2R3基で表される基が挙げられ、該R2、R3の定義及び具体例は前記したものと同様である。
【0014】
また前記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物において、Ar2、Ar3及びAr4の置換もしくは無置換のアリレン基としては、前記Ar1の説明(即ちR1〜R3、R16〜R25の説明)において挙げたアリール基から誘導される2価の基が挙げられる。
さらに該アリレン基の置換基としては、前記R4〜R15の説明において挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0015】
さらにまた、前記各基におけるハロゲン原子の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0016】
また本発明の前記一般式(1)〜(7)のいずれかで表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物は、それらと他のエポキシ化合物との混合物、またはそれらの混合物、或いはそれらの混合物とさらに他のエポキシ化合物との混合物として用いることも好ましい。
このように混合物として用いることにより、感光体設計(例えば、静電特性、電荷移動度、機械的耐久性、ガラス転移温度など)を容易に、かつ自由に行なうことができる。また市販のエポキシ化合物と組み合わせることにより、感光体を安価に製造できるという利点も有する。
【0017】
さらに本発明の前記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される電荷輸送能を有するエポキシ化合物の混合物の数平均分子量は、600〜500000が好ましい。
該数平均分子量が600〜500000の範囲の場合、感光体製造において溶液系塗工が容易であるとともに感光体特性の制御も容易である。
一方、該数平均分子量が500000を越えた場合、溶剤に不溶であったり、溶液に不溶部を有する等の不具合などが生じ、溶液系塗工による均一な感光層の形成が困難となる。
【0018】
本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物は新規物質であり、以下に一般的な製造方法の例を示すが、これに限定されるものではない。
例えば前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(9)で表されるヒドロキシ化合物のグリシジル化により合成される。
【化18】
(式中、R2、R3、Ar2、Ar3、Ar4は、前記した定義と同一のものを表す。)
【0019】
ヒドロキシル化合物のグリシジル化による基本反応は、例えば、日刊工業新聞社 新保正樹著の「エポキシ樹脂ハンドブック」P21〜23に記載されている。
このときの反応は、従来公知の方法でよく、例えばトルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランなどの溶媒もしくは無溶媒下で、ヒドロキシル化合物とエピクロルヒドリンなどのグリシジル化剤を溶解もしくは分散させた後、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ物質を少しずつ加え、室温〜150℃付近で反応させることにより容易に合成することができる。また、このときエポキシ基の加水分解を防ぐために反応系内の余分な水分は、エステル菅などを用いて反応系外へ排出する方が望ましい。
【0020】
本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物は、電子写真感光体に於ける光導電性素材、とくに光導電性を有する硬化型保護層として極めて有用であり、染料やルイス酸などの増感剤によって光学的あるいは化学的に増感される。更にこのものは、有機顔料あるいは無機材料を電荷発生物質とする、いわゆる機能分離型に於ける電荷輸送物質としても有用である。
【0021】
上記増感剤としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット等のトリアリールメタン染料、ローズベンガル、エリスロシン、ローダミン等のキサンテン染料、メチレンブルー等のチアジン染料、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4−ジニトロ−9−フルオレノン等が挙げられる。
【0022】
また、有機顔料としてはシーアイピグメントブルー25(CI No.21180)、シーアイピグメントレッド41(CI No.21200)、シーアイピグメントレッド3(CI No.45210)等のアゾ顔料、シーアイピグメントブルー16(CI No.74100)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI No.73410)、シーアイバットダイ(CINo.73030)等のインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB、インダンスレンスカーレッドR等のペリレン系顔料が挙げられる。また、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、α−シリコン等の無機材料も使用できる。
【0023】
本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物の具体例を下記の表1及び表2に示す。
尚、表1には前記一般式(1)においてAr1が−Ar4NR2R3基である場合の具体例を示す。また表2には表1中の化合物No.1〜10においてn=0の場合の具体例を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
<化合物No.1の合成>
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、4−〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル〕フェニル−ビス(4−メチルフェニル)アミン9.67g(20.0mmol)とエピクロルヒドリン18.51g(200.0mmol)、トルエン20mlを入れ、窒素気流下、20wt%水酸化ナトリウム水溶液9.60g(48.0mmol)を5分間かけて滴下し、85℃で4時間反応させた。これを室温まで放冷し、過剰のエピクロルヒドリンを減圧回収した後、ジクロロメタンを加えて有機層を水洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。これをメタノール中で再沈し、濾過して、黄色粉末8.98g(収率75.4%)を得た。融点は非晶質であった。
赤外線吸収スペクトル(NaCl液膜法)を図1に示す。
【0028】
実施例2
<化合物No.11の合成>
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗およびエピクロルヒドリンと水との共沸混合物を凝縮分離して下層のエピクロルヒドリン層を戻すための装置をつけた反応容器に、4−〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル〕フェニル−ビス(4−メチルフェニル)アミン19.34g(40.0mmol)とエピクロルヒドリン37.01g(400.0mmol)を入れ、窒素気流下、110℃で加熱攪拌した。これに反応系内の温度が100℃〜120℃を維持するように、20wt%水酸化ナトリウム水溶液19.20g(96.0mmol)を3時間かけて滴下した。反応中に留去された水とエピクロルヒドリンはエピクロルヒドリンのみ反応容器に戻し、水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、110℃でさらに1時間反応させた。これを室温まで放冷し、過剰のエピクロルヒドリンを減圧回収した後、トルエンを加えて有機層を水洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下でトルエン溶媒を留去して、黄色の粗生成物20.75g(収率87.1%)、融点111.0〜116.0℃を得た。これをシリカゲルでカラムクロマト精製(溶離液:トルエン/酢酸エチル=20/1vol.)した後、酢酸エチルとエタノールから再結晶を行って淡黄色針状結晶15.85g(収率66.5%)を得た。融点は128.0〜129.0℃であった。
赤外線吸収スペクトル(NaCl液膜法)を図2に示す。
元素分析結果を以下に示す。
【0029】
応用例1
<電子写真感光体の作製>
φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液1、電荷輸送層用塗工液2を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、30±1μmの電荷輸送層1、5±1μmの電荷輸送層2を形成して、電子写真感光体を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL
大日本インキ化学工業製) 6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60
大日本インキ化学工業製) 4部
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 50部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキシチタニウムフタロシアニン顔料 3部
ポリビニルブチラール(UCC製:XYHL) 2部
テトラヒドロフラン 95部
〔電荷輸送層用塗工液1〕
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(帝人化成製:PCX−5) 10部
下記構造式で表される低分子電荷輸送材料 7部
【化19】
ジクロロメタン 150部
〔電荷輸送層用塗工液2〕
2,2−ビスグリシジルオキシフェニルプロパン 20部
実施例1で得られたエポキシ化合物 No.1 14部
イソホロンジアミン 7部
ジクロロメタン 370部
【0030】
比較例1
応用例1において、電荷輸送層用塗工液2を塗布しない以外は、応用例1と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0031】
各種評価試験
応用例1および比較例1で作製した電子写真感光体を実装用にした後、(株)リコー製複写機イマジオMF2200に装着し、60K枚(A4用紙)の連続通紙試験を行い、感光体の膜厚減少量と耐傷性およびトナー画像の評価を行った。結果を下記表3に示す。
【表3】
【0032】
評価方法及び評価基準
(1)膜厚減少量
評価方法:FISCHER社製 フィッシャースコープ MMS 渦電流式膜厚測定器で感光体上の任意の20点について、それぞれ10回測定し、それらの平均値をとって膜厚とした。
(2)耐傷性
評価方法:感光体の外観を目視により観察した。
評価基準:未発生を○、局所的に発生を△、全面に発生を×、とした。
(3)トナー画像評価
評価方法:白画像(全面露光画像)の地肌汚れについて、目視により評価した。
評価基準:未発生を○、局所的に発生を△、全面に発生を×、とした。
【0033】
この結果から電子写真感光体の最表面層として、本発明の電荷輸送能を有するエポキシ化合物を三次元架橋することにより形成することで、機械的耐久性(耐摩耗性、耐傷性)を飛躍的に向上させ、かつトナー画像も良好な電子写真感光体を提供できた。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の電子写真感光体の機械的耐久性(耐摩耗性、耐傷性)を飛躍的に向上させ、かつ電子写真特性をも満足する新規な電荷輸送能を有するエポキシ化合物、及びそれらの混合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物No.1の赤外線吸収スペクトル図(NaCl液膜法)。
【図2】化合物No.11の赤外線吸収スペクトル図(NaCl液膜法)。
Claims (8)
- 数平均分子量が600〜500000である請求項1〜7のいずれかに記載の電荷輸送能を有するエポキシ化合物の2種以上、又は該エポキシ化合物の少なくとも1種と他のエポキシ化合物との混合からなる混合物。
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