JP3871454B2 - 包装用袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状変化を有する物品の充填に好適に用いられる包装用袋に関し、側面部にひきつりが生じず、且つ引張り応力によるサイドシール部の剥離が生じ難い包装用袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
紙オムツ、生理用品等は、複数個が圧縮されて形状変化した状態で包装用袋に収納されて流通される。形状変化を有する物品の包装用袋として、シートの各部を熱融着して六面体形状とした熱可塑性合成樹脂製の包装用袋が知られている。しかし、このような包装用袋においては、圧縮されて形状変化した状態で充填された被包装物の復元反発力により、サイドシール部に引張り力が作用し、これによりシート同士が剥離し易い。これを防止するために、▲1▼包装用袋の両側面部にそれぞれ一対のシール部を45°の角度で逆ハ字状に設けたり、▲2▼特開平9−142483号公報記載のように包装用袋の側面部に、天面部の隅部を結ぶ辺を底辺とし、まち部と前後壁とのシール部下端を頂角とした三角形状部を想定した場合に、該三角形状部の外側にシール部を設けることが提案されている。
【0003】
しかし、▲1▼の場合、45°の上記シール部では充分な強度が得られず、▲2▼の場合、上記シール部が応力を受けすぎて、側面部がひきつってしまい、包装用袋の外観が好ましいものでなくなるという問題があった。
【0004】
従って、本発明は、側面部にひきつりが生じず、且つ引張り応力によるサイドシール部の剥離が生じ難い包装用袋を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、袋本体の前後壁に、その上端縁から連設されたまち部を備え、該まち部の両端縁が該前後壁の側縁部において該前後壁とそれぞれ接合されて上部サイドシール部がそれぞれ形成され、更に該前後壁の側縁部同士が直接接合されて該上部サイドシール部に連設した下部サイドシール部がそれぞれ形成された包装用袋において、
上記下部サイドシール部の接合幅を上記上部サイドシール部の接合幅よりも大きくすると共に上記下部サイドシール部の内側縁が上記上部サイドシール部の内側縁よりも内方に位置するようにし、
被包装物の充填状態下で上記まち部が一平面となる領域の両隅部を底辺とし、上記下部サイドシール部の上端内側隅部を頂点とする三角形状部の内方において、上記まち部両半分の端部それぞれと、それに対応する上記前後壁の内面とが、上記三角形状部の斜辺に沿って接合されている包装用袋を提供することにより上記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の包装用袋をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には本実施形態の包装用袋に被包装物が充填される前の状態を示す斜視図が示されており、この包装用袋100は、袋本体の前後壁f,rに、その上端縁f’,r’から連設されたまち部gを備えている。まち部gは、袋の内方にV字状に谷折りされて形成されている。まち部gの両端縁g’,g’は、前後壁f,rの左右両側縁部7,7において前後壁f,rとそれぞれ接合されており、これによって上部サイドシール部7a,7aがそれぞれ形成される。更に、前後壁f,rの側縁部同士が直接接合されて、上部サイドシール部7a,7aにそれぞれ連設した下部サイドシール部7b,7bがそれぞれ形成される。その結果、包装用袋100は、その上部がまち部gによって閉塞され、また両側部が上下部サイドシール部7a,7bで接合されて、下部に開口部を有する構造となる。尚、図1においては、理解の助けとするため、一方の上部サイドシール部7a及びそれに連設する下部サイドシール部7bの一部を、接合前の状態で示してある。
【0007】
図2には、図1に示す包装用袋100を製造するための長方形状シート10の平面図が示されており、この長方形状シート10は、中央部に天面形成部1、天面形成部1の両側に正面形成部2及び背面形成部3がそれぞれ配され、また天面形成部1、正面形成部2及び背面形成部3それぞれに連設する第1側面形成部41及び第2側面形成部42がそれぞれ配され、
天面形成部1と正面形成部2との間に第1起立周縁形成部51が配されると共に、天面形成部1と背面形成部3との間に第2起立周縁形成部52が配され、
正面形成部2に連設して第1底面形成部61が配されると共に、背面形成部3に連設して第2底面形成部62が配されて形成されている。これらは、上記シート10から本実施形態の包装用袋100を組み立て、被包装物を充填して包装形態となした場合に、該包装用袋のどの部分を構成するかを示すものである。
【0008】
図3には、図1に示す包装用袋100の一部省略正面図が示されている。包装用袋100の左右両側縁部は、上下部サイドシール部7a,7bによって封止されていることは上述の通りである。詳しくは、上下部サイドシール部7a、7bは、図2に示すシート10を図1に示すように折り畳み、該シート10における第1側面形成部41の端縁部41’(図2参照)、及び第2側面形成部42の端縁部42’(図2参照)をそれぞれ接合することにより形成されている。その結果、上部サイドシール部7aは合計4枚のシートが重合されて接合されている。一方、下部サイドシール部7bは合計2枚のシートが重合されて接合されている。
【0009】
また、図2に示す第1起立周縁形成部51の側縁部51b,51b同士及び第2起立周縁形成部52の52b,52b同士が、上記シート10の裏面側で互いに当接されて接合され、接合部9(以下、周縁接合部という)を形成し、この接合部が、図3に示すように起立周縁部Kを形成する。尚、本明細書において、シートの裏面とは、形成された包装用袋の内側に位置する面をいう。
【0010】
このようにして、上部にまち部を有し、左右両側縁部が接合され、下部が開放状態の包装用袋100が得られる。そして、例えば開放された下部から、整列され且つ圧縮されて形状変化した状態の使い捨ておむつ等の被包装物が充填される。被包装物を充填して下部を閉じた状態の包装形態は図4に示される通りとなり、まち部gが一平面となることで形成される天面部U、正面部F、背面部、一対の側面部S,S’、及び底面部からなる六面体形状となる。更に、天面部Uの周縁に、第1及び第2起立周縁形成部51,52により形成された起立周縁部Kが上方に起立した状態で形成される。この起立周縁部Kには、帯状フィルムの両端部が熱融着されて一対の吊手部11,11が取り付けられる。尚、この包装形態においては、被包装物は、包装用袋の側面部S,S’同士間で挟圧される向きに充填されている。
【0011】
而して、本実施形態の包装用袋10においては、図3及び図4に示すように、下部サイドシール部7bの接合幅が、上部サイドシール部7aの接合幅よりも1.5〜10倍、特に1.5〜2倍大きくなされている。更に、下部サイドシール部7bの内側縁7bi が上部サイドシール部の内側縁7ai よりも内方に位置するようにシールが行われている。このような接合を行うことによって、包装用袋10内に被包装物を圧縮させて形状変化させた状態で充填して包装形態となしても、被包装物の復元反発力によって発生する引張り力は、幅広にシールされた下部サイドシール部7bで十分に受け止められるので、シート同士の剥離が効果的に防止される。また、ひきつり等が生じないので、包装形態の外観が良好となる。
【0012】
例えば、上部サイドシール部7aの接合幅が3〜5mm程度である場合、下部サイドシール部7bの接合幅は4.5〜15mm、特に5〜10mm程度であることが好ましい。
【0013】
また、図3及び図4に示すように、本実施形態の包装用袋においては、被包装物の充填状態下でまち部gが一平面となる領域の両隅部を底辺とし、下部サイドシール部7bの上端内側隅部P3を頂点とする三角形状部の内方において、まち部両半分の端部それぞれと、それに対応する前後壁f,rの内面とが、上記三角形状部の斜辺に沿って接合されて、接合部8が形成されている。
【0014】
詳細には、図2示すシート10における3つの第1側面形成部41のうち、中央の第1側面形成部と、その両側の第1側面形成部とがシート10の裏面同士を当接させてそれぞれ接合され、一対の接合部8,8が形成される。中央の第1側面形成部は、まち部両半分の一端部に相当するものである。同様に、図2示すシート10における3つの第2側面形成部42のうち、中央の第2側面形成部と、その両側の第2側面形成部とがシート10の裏面同士を当接させてそれぞれ接合され、一対の接合部8,8が形成される。中央の第2側面形成部は、まち部両半分の他端部に相当するものである。このようにして4つのシール部8,8・・が形成される。そして、包装用袋100に被包装物が充填された包装形態においては、図4に示すように、側面部S,S’に、上記一対の接合部8,8がV字状に位置するようになされている。このような接合部8を形成することによって、下部サイドシール部の接合幅を上部サイドシール部の接合幅よりも大きくなしたことと相俟って、包装用袋側部の剥離が一層効果的に防止され、また包装形態の外観が一層良好となる。尚、図3には、袋の前壁f側からみた接合部8,8のみが示されている。
【0015】
接合部8について更に説明すると、図4に示す側面部Sにおける一対の接合部8,8は、図5に示すように、上下部サイドシール部7a,7bに関して対称の位置に対称の形態として設けられ、各接合部8,8それぞれは、第1側面部S上に、天面部Uの隅部P1,P2を結ぶ辺を底辺とし、下部サイドシール部7bの上端内側隅部P3を頂点とする三角形状部を想定した場合に、該三角形状部の内側に、且つ該三角形状部の斜辺P1P3,P2P3に沿って設けられている。尚、以下の説明では、上下部サイドシール部7a,7bを総称して単にサイドシール部という。このように、一対の接合部8,8を設けることにより、これらが上下部サイドシール部7a,7bと共同して包装形態の袋にしわを発生させず、また、まち部gを保形する機能を発揮する。
【0016】
図5に示すように、各接合部8,8のサイドシール部側の端部8a,8aは、サイドシール部から離間している。端部8a,8aそれぞれとサイドシール部との間の距離は、1〜20mm、特に2〜10mmであることが好ましい。このようにすることで、従来の包装用袋のように接合部8とサイドシール部とが重なってフィルムの一部が薄くなり、そこから破断が起こるといった不具合が生じ難く、また引張り応力によるサイドシール部の剥離も生じ難い。
【0017】
接合部8,8それぞれにおける端部8a,8aから5〜50mm外方の部分8A,8Aは、徐々にサイドシール部に対して直交する角度に近づく曲線とされている。このようにすることで、引張り応力の分散が局所的に起こることが効果的に防止され、しわが発生し難くなり、また引張り応力によるサイドシール部の剥離も生じ難い。
【0018】
接合部8,8の上記端部8a,8aとは反対側の端部8b,8bは、周縁接合部9から離間している。また、接合部8,8における上記曲線部以外は、上記三角形状部の斜辺に略平行な直線部8B,8Bとなっている。尚、図2には、側面部S,S’にそれぞれ形成される接合部8,8・・を形成するシール位置を8として示してある。
【0019】
尚、上記の接合部8に関する説明は、一方の側面部Sにおける接合部8,8に関するものであるが、他方の側面部S’における接合部8,8についても、その形態、設けられる位置等について同様である。
【0020】
本実施形態の包装用袋を構成するシート10は、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンやポリエステル等の材料から形成されている。また、シート10の表面は、印刷適性等を向上させる表面処理がなされてもよい。シート10の接合には、熱融着による接合、接着剤による接合等の各種接合方法を用い得るが、生産性や製造費等の点から熱融着による接合が好ましく用いられる。
【0021】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、本発明の包装用袋は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の包装の他、圧縮・形状変化の可能な各種物品の包装に用いることができる。充填される物品の形態や充填する際の物品の整列の仕方等に応じて、包装用袋各部の形態や寸法等は、適宜に決定することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、側面部にひきつりが生じず、且つ引張り応力によるサイドシール部の剥離が生じ難い包装用袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である包装用袋に被包装物が充填される前の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である包装用袋を製造するためのシートを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態である包装用袋を一部省略して示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態である包装用袋に被包装物を充填して形成された包装形態を示す概略斜視図である。
【図5】図4の包装形態の要部を示す側面図である。
【符号の説明】
7a 上部サイドシール部
7b 下部サイドシール部
8 接合部
9 周縁接合部
10 シート
11 吊持部
12 斜辺
41 第1側面形成部
42 第2側面形成部
100 包装用袋
f 前壁
r 後壁
g まち部
Claims (2)
- 袋本体の前後壁に、その上端縁から連設されたまち部を備え、該まち部の両端縁が該前後壁の側縁部において該前後壁とそれぞれ接合されて上部サイドシール部がそれぞれ形成され、更に該前後壁の側縁部同士が直接接合されて該上部サイドシール部に連設した下部サイドシール部がそれぞれ形成された包装用袋において、
上記下部サイドシール部の接合幅を上記上部サイドシール部の接合幅よりも大きくすると共に上記下部サイドシール部の内側縁が上記上部サイドシール部の内側縁よりも内方に位置するようにし、
被包装物の充填状態下で上記まち部が一平面となる領域の両隅部を底辺とし、上記下部サイドシール部の上端内側隅部を頂点とする三角形状部の内方において、上記まち部両半分の端部それぞれと、それに対応する上記前後壁の内面とが、上記三角形状部の斜辺に沿って接合されている包装用袋。 - 上記下部サイドシール部の接合幅を、上記上部サイドシール部の接合幅よりも1.5〜10倍大きくした請求項1記載の包装用袋。
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1998
- 1998-12-08 JP JP34876398A patent/JP3871454B2/ja not_active Expired - Fee Related
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