JP3870762B2 - 光学読み取り用用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はOCR用紙またはOMR用紙として有用な光学読み取り用用紙に関し、特に光学読み取り適性ならびに印刷工程や光学読み取り工程における搬送性に優れた光学読み取り用用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
手書きや印刷による文字、記号あるいはマークを光学的に読み取り、読み取ったデータをコンピュータで処理するOCRシステムやOMRシステムは古くから知られている。そして、近年のコンピュータの性能向上や情報ネットワーク網の充実に伴って、かかるシステムの導入がますます拡大し、また読み取り装置の処理速度も高速化が図られている。
【0003】
一方で、かかるシステムに使用されるOCR用紙やOMR用紙においても、帳票印刷方式の多様化および高速化が進み、最近では個別情報(変動情報)の一部を高速のインクジェット方式で印刷することも行われている。このような帳票印刷の高速化および読み取り処理速度の高速化に伴い、OCR用紙やOMR用紙には、夾雑物がないこと、地合むらがなく均一な不透明性を有すること、光沢を出さないで平滑性が良好なこと等の光学読み取り適性に係わる特性の他に、印刷時や読み取り時における給紙不良、重送あるいは蛇行といった搬送トラブルのないことが従来にも増して要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光学読み取り適性に優れ、しかも高速で帳票印刷や読み取り処理を行っても給紙不良や重送あるいは蛇行などの搬送トラブルを生ずることのない光学読み取り用用紙を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パルプ成分の少なくとも50重量%が下記式(1)および式(2)を充足するパルプで構成された支持体の両面に、少なくとも接着剤と導電剤と軟化点90〜110℃の酸化ポリエチレンワックスを塗布ないし含浸せしめたことを特徴とする光学読み取り用用紙である。
式(1)0.3≦ L ≦1.0
式(2)0.3≦ d/D ≦0.8
・L:J.TAPPI紙パルプ試験方法No.52に準拠して測定した長さ加重平均繊維長(mm)
・d:顕微鏡写真法で測定した平均ルーメン径(μm)
・D:顕微鏡写真法で測定した平均繊維径(μm)
【0006】
さらに、酸化ポリエチレンワックスの塗布ないし含浸量が両面で0.01〜0.06g/m2であることが好ましい。
【0007】
また、導電剤が塩素原子を含まないアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であること、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三ナトリウムおよび燐酸三カリウムから選ばれるアルカリ金属塩であることが好ましく、また、二酸化塩素製造設備から排出されるセスキ芒硝を含有する廃液を水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムで中和して製造した芒硝であることが好ましい。かかる導電剤の塗布ないし含浸量は、両面で0.1〜1.0g/m2であることが好ましい。
【0008】
さらに、支持体が脱墨古紙パルプを5〜50重量%の範囲で含んでいても良い。また、支持体を構成するパルプ成分の少なくとも一部が、漂白工程で分子状塩素や塩素系化合物を使用しないで製造されたパルプであるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光学読み取り用用紙は、上記の如く、支持体を構成するパルプ成分の少なくとも50重量%が下記式▲1▼および式▲2▼を充足するパルプであるところに第一の特徴を有する。そして、かかる支持体を用いることで、光学読み取り適性に必要な均一な地合、不透明性および平滑性を有し、しかも光学読み取り工程等で要求される搬送トラブルの少ない適度な剛度を有する光学読み取り用用紙を得ているものである。
式▲1▼ 0.3≦ L ≦1.0
式▲2▼ 0.3≦ d/D ≦0.8
・L:J.TAPPI紙パルプ試験方法No.52に準拠して測定した長さ加重 平均繊維長(mm)
・d:顕微鏡写真法で測定した平均ルーメン径(μm)
・D:顕微鏡写真法で測定した平均繊維径(μm)
【0010】
因みに、上記式▲1▼における長さ加重平均繊維長(以下、L値と略記する。)が1.0mmを越えると紙料の分散性が劣り、得られた支持体の地合不良や平滑性および不透明度の低下を招く。また、L値が0.3mmを下回ると、紙層内のパルプ同士の絡み合いが少なくなり、紙力低下や紙粉が発生しやすくなる。
【0011】
一方、上記式▲2▼で規定するd/D比が0.8を越えると、繊維が柔軟で易叩解性となり、得られた支持体の地合や平滑性は向上するものの、不透明度や剛度や通気性やクッション性の低下を招く。また、逆にd/D比が0.3未満では、繊維が硬いことに起因して潰れにくくなり、支持体の平滑性が低下し紙粉も発生しやすくなる。
【0012】
なお、かかる特定のL値およびd/D比を充足するパルプの配合率が50重量を下回ると、特定パルプの特性が充分に発揮されず、本発明の所望の効果が得られない。
【0013】
なお、本発明で規定する長さ加重平均繊維長は、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長試験方法(光学的自動計測法)」に準拠して、フィンランドのKAJAANI社製FS−100型で測定した値である。また、平均繊維径および平均ルーメン径は顕微鏡写真法で測定したものであるが、具体的には、パルプ繊維をアクリル樹脂で包埋した後、ミクロトームを用いて薄層切片とし、各切片の顕微鏡写真を撮影し、各々について25本の繊維を計り、平均値を求めた。
【0014】
本発明で特定する上記のようなパルプ繊維を得る方法としては、パルプを構成する繊維形態は樹種によって大きく異なるため、本発明の規定を充足する樹種を選定しパルプ化する方法、パルプ化したパルプ繊維を叩解処理によって前記特定の繊維長に揃える方法等が挙げられる。
【0015】
パルプ繊維の種類や製法等については、特に限定するものではないが、例えばKP、SP、AP法等によって得られる広葉樹パルプや針葉樹パルプ等の化学パルプが一般に使用される。これらのうちでも、特に楓、樫、樺、ブナ、楢、アスペン、ユーカリ等の広葉樹を原料とするKP、SP、AP法等によって得られる化学パルプが好ましく使用される。
【0016】
本発明の光学読み取り用用紙は、前記の如く、特定のL値およびd/D比を充足するパルプを50重量%以上含有する支持体を使用するところに特徴を有するものであるが、勿論パルプ成分の全てを特定のL値およびd/D比を充足するパルプで構成することもできるし、その他のパルプ成分として特定のL値およびd/D比を充足しない広葉樹パルプや針葉樹パルプを適宜併用することもできる。なお、これらの化学パルプを製造する際の漂白方法についても特に限定するものではないが、漂白工程で塩素ガスような分子状塩素を使用しないで漂白したECFパルプ、さらには二酸化塩素のような塩素系化合物をも使用しないで漂白したTCFパルプの使用が、環境保全の観点から好ましい。
【0017】
また、特定のL値およびd/D比を充足するパルプ以外のパルプ成分として脱墨古紙パルプを併用することもできる。かかる脱墨古紙パルプには、上白、クリーム上白、罫白、カード、特白、中白、模造、色上、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌、さらには非塗工コンピュータ用紙、PPC用紙、上質紙、感熱紙、感圧複写紙、各種顔料塗工紙、高歩留りパルプ含有紙などを原料とする古紙パルプが挙げられる。なお、これらの脱墨古紙パルプを併用する場合には、夾雑物等による誤読を防止するために、夾雑物の少ない脱墨古紙パルプの使用が望ましく、脱墨古紙パルプの併用割合を全パルプ成分に対して5〜50重量%の範囲で調節するのが望ましい。
【0018】
本発明で使用するパルプ繊維は、木材パルプを主体とするものであるが、パルプ成分の50重量%以下の範囲で、必要に応じてケナフ、竹、麻等の非木材パルプやポリエステルやポリオレフィン等の合成パルプ、或いは合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維等の無機質繊維を併用することもできる。
【0019】
本発明の支持体は、上記の如きパルプ成分を、広葉樹パルプではフリーネス(CSF)が400〜600ml程度となるように、また針葉樹パルプではフリーネス(CSF)が400〜650ml程度となるように叩解して紙料が調成され、抄紙機で抄造して得られる。
前述の如く、本発明の支持体は、特定のL値およびd/D比を充足するパルプを50重量%以上含有することを特徴とするが、必要に応じて、L値およびd/D比を充たさない針葉樹パルプを5〜30重量%程度の範囲で配合することもできる。
【0020】
また、紙料中には、通常、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤等のサイズ剤、硫酸バンド、カチオン澱粉等の定着剤、紙力増強剤、歩留向上剤、焼成カオリン、構造化カオリン、二酸化チタン、クレー、タルク、軽質あるいは重質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の抄紙用填料等が配合され、さらに必要に応じて耐水化剤、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光染料等の各種抄紙用薬品を適宜添加することもできる。
【0021】
本発明において、支持体の紙灰分や坪量については特に限定するものではないが、通常、紙灰分が1〜10重量%程度、坪量は60〜200g/m2程度の範囲である。
【0022】
本発明の光学読み取り用用紙は、かくして得られた支持体の両面に、少なくとも接着剤と導電剤とポリオレフィン系樹脂が塗布ないし含浸されていることを第二の特徴とする。そして、かかる構成を採用することでより優れた用紙搬送性を得ているのである。
【0023】
本発明で使用する接着剤としては、とうもろこし、馬鈴薯あるいはタピオカ等を原料として製造された酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース化合物類、カルボキシ変性、シラノール変性等の各種変性あるいは未変性のポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、カゼインや大豆蛋白等の蛋白質類等が挙げられる。
【0024】
導電剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化アンモニウム、臭化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三カリウム、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛カリウム、硫酸亜鉛アンモニウム等の無機塩類、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等のアニオン性高分子導電剤、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子導電剤などが挙げられる。
【0025】
これらの導電剤のうちでも、塩素原子を含まないアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、かかる導電剤を含む光学読み取り用用紙が焼却された場合でも有害物質を発生する虞がないため、好ましく用いられる。これらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩のうちでも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三ナトリウムおよび燐酸三カリウム等のアルカリ金属塩は、比較的少量の使用で所望の効果が得られるため、より好ましく用いられる。また、これらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩として、二酸化塩素の製造設備から排出されるセスキ芒硝を含有する廃液を水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムで中和して、必要に応じて分離・精製して得た芒硝も好ましく用いられる。なお、かかるセスキ芒硝を含有する廃液の中和には、酸化カルシウムや水酸化カルシウムも使用することが可能である。
【0026】
二酸化塩素の製造設備としては、公知の各種の二酸化塩素発生法が使用できるが、漂白工程で分子状塩素を使用しないパルプを使用する場合には塩素を副生しない発生法を選択することが好ましい。具体的には、セスキ芒硝が利用できることから塩素酸塩をメタノール還元して二酸化塩素を製造する日本カーリット社のR−8法や保土谷エンジニアリング社のSVP−LITE法などの方法が好ましい。
【0027】
なお、本発明において、導電剤の使用量については特に限定するものではないが、支持体の両面に絶乾固形分として0.1〜1.0g/m2の導電剤が塗布ないし含浸されるようにするのが好ましい。因みに、0.1g/m2未満では摩擦帯電の防止効果が不十分となる虞があり、一方、1.0g/m2を越えるとベトツキを生じる虞がある。
【0028】
また、本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンワックスや酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられるが、これらの中でも軟化点が好ましくは90〜110℃のポリエチレンワックスや酸化ポリエチレンワックスが好ましく用いられる。また、その粒子径が60〜90nm程度のものが好ましい。本発明において、かかるポリオレフィン系樹脂は、紙表面の滑りを最適化して搬送性を向上させる働きがある。なお、軟化点が70℃を下回ると、塗布・乾燥時に紙中に浸透し易すくなるため、最適な滑り性が得られ難く、かつ塗布・乾燥時にドライヤー等の表面を汚すことがあり、この汚れが紙面に付着して、読み取り不良の原因となる虞もある。また140℃よりも高いときには、強度が弱くなり、紙粉が発生しやすくなるなどの問題を生ずる虞がある。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂の使用量については、特に限定するものではないが、支持体の両面でポリオレフィン系樹脂成分として0.01〜0.06g/m2の範囲で塗布ないし含浸されるようにするのが好ましい。因みに、0.01g/m2未満では充分な搬送性改良効果を得られない虞があり、また、0.06g/m2を越えると滑って逆に印刷機での蛇行、不揃い、光学読み取り機での不揃い等の搬送性を低下させる虞がある。
【0030】
本発明において、上記接着剤、導電剤およびポリオレフィン系樹脂を含む塗液は、一般に接着剤の水溶液中に、導電剤とポリオレフィン系樹脂を添加し、さらに必要に応じて表面サイズ剤や着色染料等を適宜添加して調製される。かかる塗液の塗布方法については特に限定するものではなく、例えばサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアナイフコーター等の公知の塗布装置から適宜選択して使用することができる。 また、かかる塗液の塗布量についても特に限定するものではないが、一般に2〜10g/m2の範囲で調節される。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を示す。
【0032】
実施例1
ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500ml)80部と、ヘムロックファーを主体としECF法で漂白して得たNBKP(L値:1.90,d/D比:0.74,叩解後フリーネス:500ml)20部からなるパルプスラリーに、ロジンサイズ剤(荒川化学社製、サイズパインE)0.15%(対パルプ固形分)、硫酸バンド1.2%(対パルプ固形分)、焼成カオリン(エンゲルハード社製、アンシレックス)2.5%(対パルプ)、紙力増強剤(王子コーンスターチ社製、エースK100)0.4%(対パルプ固形分)および歩留向上剤(ハイモ社製、ハイモロックDR3015)0.006%(対パルプ固形分)を添加して紙料を調成した。
【0033】
得られた紙料を用いて長網抄紙機で抄紙し、下記組成からなるサイズプレス液を乾燥塗布量が両面で4.5g/m2となるようにオンマシンのサイズプレス装置で塗布し、カレンダー処理して坪量83.7g/m2の光学読み取り用用紙を得た。
(サイズプレス液)酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、エースA)750部(固形分換算)、表面サイズ剤(ミサワセラミックス社製、ハマコートS700)40部(固形分換算)、導電剤(四国化成社製、無水芒硝)100部、ポリオレフィン系樹脂(東邦化学社製、HYTEC E−8852、軟化点103)6部(固形分換算)および水を添加し、混合して固形分濃度9%のサイズプレス液とした。
【0034】
実施例2
実施例1において、パルプ配合を、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500ml)60部、アカシア幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.35,d/D比:0.68,叩解後フリーネス:500ml)20部、ヘムロックファーを主体としECF法で漂白して得たNBKP(L値:1.90,d/D比:0.74,叩解後フリーネス:500ml)20部とした以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0035】
実施例3
実施例1において、パルプ配合を、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500ml)60部、クヌギを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.79,d/D比:0.29,叩解後フリーネス:500 ml)20部、ヘムロックファーを主体としECF法で漂白して得たNBKP(L値:1.90,d/D比:0.74,叩解後フリーネス:500 ml)20部とした以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0036】
実施例4
実施例1において、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:420ml)80部の代わりに、アスペンを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.85,d/D比:0.72,叩解後フリーネス:500ml)80部を使用した以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0037】
実施例5
実施例1において、導電剤として無水芒硝の代わりに、保土谷エンジニアリング社の塩素酸塩、硫酸、メタノールを原料とするSVP−LITE法で得られたセスキ芒硝1kg当り0.16kgの水酸化ナトリウムで中和し、イオン交換水で希釈して得た10%芒硝溶液を用いた以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0038】
比較例1
実施例1において、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500 ml)80部の代わりに、マングローブを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:1.04,d/D比:0.25,叩解後フリーネス:500 ml)80部を使用した以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0039】
比較例2
実施例1において、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500 ml)80部の代わりに、ラワンを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:1.09,d/D比:0.83,叩解後フリーネス:500ml)80部を使用した以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0040】
比較例3
実施例1において、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500ml)80部の代わりに、ブナを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:1.15,d/D比:0.54,叩解後フリーネス:500ml)80部を使用した以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0041】
比較例4
実施例1において、パルプ配合を、ユーカリ幼木を主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:0.67,d/D比:0.51,叩解後フリーネス:500ml)40部、ブナを主体としECF法で漂白して得たLBKP(L値:1.15,d/D比:0.54,叩解後フリーネス:500ml)40部、ヘムロックファーを主体としECF法で漂白して得たNBKP(L値:1.90,d/D比:0.74,叩解後フリーネス:500ml)20部とした以外は実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0042】
比較例5
実施例1において、サイズプレス液に導電剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0043】
比較例6
実施例1において、サイズプレス液にポリオレフィン系樹脂を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして光学読み取り用用紙を得た。
【0044】
かくして得られた11種類の光学読み取り用用紙について、以下の項目を評価し、その結果を表1に示した。
<地合>
目視により評価した。
〔評価基準〕
○:パルプの分散が良好。
△:パルプの分散が若干不良。
×:パルプの分散が悪い。
<不透明度>
ISO2471「紙及び板紙−不透明度(紙裏あて)試験方法−拡散反射法」に準拠して測定した。
<平滑度>
J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5「空気マイクロメーター型試験器による紙および板紙の平滑度,透気度試験方法」のB(王研式平滑度)に準拠して測定した。
【0045】
<静摩擦係数>
JIS P 8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」の水平法に準拠して測定した。
<表面電気抵抗>
23℃,50%RHの環境下にて、TERAOHM METER R−503(KAWAGUCHI ELECTRIC WORKS製)を用いて測定した。
<搬送性>
A4サイズに断裁した光学読み取り用用紙1000枚を、OCR読み取り装置(OCR−V1035,東芝社製)に通紙し、搬送性を評価した。
〔評価基準〕
○:搬送トラブルが全く発生しなかった。
×:搬送トラブルが発生した。
【0046】
【表1】
Figure 0003870762
【0047】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の光学読み取り用用紙は、地合、不透明度および平滑性が良好で光学読み取り適性に優れ、しかも給紙不良,重送,蛇行などの搬送トラブルを生じない優れた用紙であった。

Claims (9)

  1. パルプ成分の少なくとも50重量%が下記式(1)および式(2)を充足するパルプで構成された支持体の両面に、少なくとも接着剤と導電剤と軟化点90〜110℃の酸化ポリエチレンワックスを塗布ないし含浸せしめたことを特徴とする光学読み取り用用紙。
    式(1)0.3≦ L ≦1.0
    式(2)0.3≦ d/D ≦0.8
    ・L:J.TAPPI紙パルプ試験方法No.52に準拠して測定した長さ加重平均繊維長(mm)
    ・d:顕微鏡写真法で測定した平均ルーメン径(μm)
    ・D:顕微鏡写真法で測定した平均繊維径(μm)
  2. 酸化ポリエチレンワックスが、両面で0.01〜0.06g/m2塗布ないし含浸された請求項1記載の光学読み取り用用紙。
  3. 導電剤が、塩素原子を含まないアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の少なくとも1種である請求項1または2記載の光学読み取り用用紙。
  4. 導電剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三ナトリウムおよび燐酸三カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
  5. 導電剤が、二酸化塩素製造設備から廃液として排出されるセスキ芒硝含有廃液を水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムで中和して得た芒硝である請求項1〜3項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
  6. 導電剤が、両面で0.1〜1.0g/m2塗布ないし含浸された請求項1〜5項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
  7. 支持体を構成するパルプ成分として、脱墨古紙パルプを5〜50重量%含有する請求項1〜6項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
  8. 支持体を構成するパルプ成分の少なくとも一部が、漂白工程で分子状塩素を使用しないで製造されたパルプである請求項1〜7項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
  9. 支持体を構成するパルプ成分の少なくとも一部が、漂白工程で塩素系化合物を使用しないで製造されたパルプである請求項1〜7項のいずれか1項に記載の光学読み取り用用紙。
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