JPH0952477A - 裏カーボン複写用紙 - Google Patents

裏カーボン複写用紙

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JPH0952477A
JPH0952477A JP22969895A JP22969895A JPH0952477A JP H0952477 A JPH0952477 A JP H0952477A JP 22969895 A JP22969895 A JP 22969895A JP 22969895 A JP22969895 A JP 22969895A JP H0952477 A JPH0952477 A JP H0952477A
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paper
water
back carbon
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agent
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Application number
JP22969895A
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English (en)
Inventor
Kaoru Inoue
馨 井上
Keisuke Matsubara
啓介 松原
Osamu Naya
修 納谷
Yuji Kimura
裕次 木村
Noboru Niitsuma
昇 新妻
Yoshiharu Okamoto
義晴 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MISHIMA SEISHI KK
Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
MISHIMA SEISHI KK
Mishima Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配送伝票用の複写用紙等に使用される裏カー
ボン複写用紙のコスト削減、廃棄処理の容易化(資源の
有効利用化)を図るとともに、所望の耐水性、複写性及
び捺印適性を達成することを課題とする。 【解決手段】 本発明の裏カーボン複写用紙は、天然植
物繊維を主成分とする紙ベースに対し、耐水性付与剤と
撥水性付与剤とを内添または塗工したことにより上記課
題の解決を図っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば郵便小包や
宅配荷物等の配送伝票等において使用される裏カーボン
複写用紙に関するものであって、特に雨水等に濡れたと
きであっても破損しないよう、耐水性を付与した裏カー
ボン複写用紙に係るものである。
【0002】
【発明の背景】郵便小包や宅配荷物等の配送伝票の多く
は複数枚の複写用紙を一辺において綴り合わせ、帳票に
構成されている。そしてこれらの複写用紙のそれぞれは
請求書、売上票、配達票、貼付票等として別個の用途に
使用され、このうち貼付票として使用される複写用紙に
あっては、直接郵便小包や宅配荷物等に貼り付けて使用
されることから、雨水等に濡れた場合でも破損しないよ
う、耐水性シートが使用されている。
【0003】そしてこのような耐水性シートとしては、
本質的に雨水等の影響を受けない合成樹脂を使用し、こ
れをシート状に成形したものや紙基材の表面に合成樹脂
フィルムを貼り合わせることによって耐水性を付与した
ものがある。前者の具体例としては、特開平7−186
7号があり、合成樹脂と無機填料等とから作られる合成
紙が開示されている。この他、ポリエステル等の合成樹
脂フィルムの表面に更に顔料等を塗工することにより筆
記性を付与した耐水性シートも発案されている。また後
者の具体例としては、特開平3−234900号及び実
開昭60−145072号があり、紙基材の表面にマッ
ト状にエンボス処理された薄い合成樹脂フィルムを貼り
合わせた積層タイプの耐水性シートが開示されている。
【0004】しかしながらこのような耐水性シートに使
用される合成樹脂は、紙に比べて高価であり、このよう
な合成樹脂を大量に使用した場合にはコスト高につなが
る。また合成樹脂から成るシートやフィルムは紙と違っ
て生分解性がないため、これらを廃棄した場合には、い
つまでもそのままの状態で残存し、廃棄ゴミとして自然
環境を害する結果となる。一方、合成樹脂から成るシー
トやフィルムを焼却する場合には、紙に比べて発熱量が
大きく、成分如何によっては、焼却炉を傷める事態を招
いたり、有毒ガス等を発生させることとなる。
【0005】更に紙の表面に合成樹脂フィルムを貼り合
わせた耐水紙にあっては、合成樹脂フィルムの存在によ
り使用済みの紙を故紙として再利用することができず、
ゴミ処理、森林保護、資源の有効利用等の見地から好ま
しくない。この他、紙と合成樹脂フィルムとでは、特に
温度変化や湿度変化による伸縮特性の差が大きいため
に、両者を貼り合わせた後にカールが発生する場合があ
り、外観を損ねるほか、印刷作業や伝票作製(綴り合わ
せ作業)等を困難にしていた。
【0006】更にまたこのような合成樹脂から成るシー
トやフィルムを使用する場合には、筆記性や印刷適性を
付与するために、これらの表面に顔料等を塗工し、表面
性状を改質する工夫も一部では行われている。しかし当
該顔料の下層に位置する合成樹脂から成るシートやフィ
ルムそれ自体には吸液性はない。従って印刷作業時にお
いては、インキの乾きが遅くなり、印刷作業の効率を低
下させたり、割高となる特殊インキを使用せざるを得な
かった。この他、朱肉による捺印適性も悪くなり、捺印
が汚れやすくなったり、伝票作製(綴り合わせ作業)時
に糊の乾きや糊がシートにしみ込むことによる投錨効果
が不充分になって糊付け不良等を招いていた。また耐水
性シートとして合成紙や表面処理または表面塗工された
合成樹脂フィルムを使用した場合には、使用する裏カー
ボンインキと印刷作業時のテンションコントロールが紙
の場合と全く異なる点も、作業効率の低下とコスト高を
招く要因となっている。すなわち鉱物油を含まない特殊
な裏カーボンインキを使用しなければならず、テンショ
ンコントロールについても上記耐水性シートはテンショ
ンの有無により伸縮量が紙に比べて大きくなるため、紙
よりかなり低いテンションに調節し直す必要があり、こ
の調節の煩わしさが作業効率の低下とコスト高とを招来
しているのである。
【0007】更にまたこの種の帳票の複写用紙には、複
写方式の違いによってノーカーボンタイプとカーボンタ
イプの二種類があり、一般に使用されているカーボンタ
イプの複写用紙にあっては、そのほとんどが裏カーボン
インキ方式を採用している。この方式を採用する裏カー
ボン複写用紙は炭酸カルシウムを主成分とする内添填料
を多量に含有している。従って黒色ないし濃色の裏カー
ボンインキ層が前記複写用紙の裏面に印刷されていても
複写用紙表面の印刷及び複写文字が容易に判読できるだ
けの不透明性を有している。しかしながら同様に用いら
れる耐水性シートにも同じ不透明性が当然要求されるも
のであって、これを合成樹脂フィルム等を用いない紙ベ
ースのみで達成しようとしても、裏カーボン複写用紙と
同じ不透明性を得るために上記填料を多量に含有させな
ければならず、填料の含有量が多くなるに従い、耐水性
が得にくくなるため、耐水性樹脂を多量に加えなければ
ならず、そうすると樹脂で塗り固めたようになって透明
感が出てしまうだけでなく、繊維の回収も困難になると
いう問題も生じていた。
【0008】
【解決を試みた技術的事項】本発明はこのような背景を
充分に認識し、上記課題の解決を図るべく案出されたも
のであって、紙ベースの耐水紙とすることを前提に、紙
ベース自体を耐水化して湿潤強度を高めるとともに、撥
水性を付与することで紙ベースへの雨水の浸入を未然に
防止、あるいは大幅に遅らせるようにし、これらにより
所望の耐水性を得ると同時に資源の有効利用を通じて環
境への配慮並びに製品コストの削減等を可能にした新規
な裏カーボン複写用紙を提案するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の裏カーボン複写
用紙の好ましい具体例としては、木材パルプ(広葉樹パ
ルプ、針葉樹パルプ)を主原料として高叩解処理し、不
透明度、白色度及び優れた油吸収能力を利用して複写能
力を高めるための沈降性炭酸カルシウム、カオリン及び
不透明度、白色度を補うための二酸化チタン等を内添填
料として多量に添加し、長網抄紙機で抄紙し、上記内添
填料が偏在、すなわち用紙の表面に填料が多く存在する
ように抄紙された高不透明な坪量40〜60g/m2
度の複写用紙で、表面はカーボンインキの受理適性、裏
面はカーボンインキの剥離適性という表裏正反対の機能
を有するものを想定している。本発明の裏カーボン複写
用紙は、上記特性を保持すると同時に上記課題を解決す
るためになされたものである。すなわち請求項1記載の
裏カーボン複写用紙は、天然植物繊維を主成分とする紙
ベースに対し、耐水性付与剤と撥水性付与剤とを内添ま
たは塗工したことを特徴として成るものである。なお天
然植物繊維としては、広葉樹パルプや針葉樹パルプもし
くはこれらを混合した木材パルプ、または非木材パルプ
としてケナフ、バガス、マニラ麻、コットン等を用いる
ことができる。これにより従来の合成樹脂から成るシー
トやフィルムを用いたものに比べ、製品コストが格段に
安価となり、また使用後も故紙としての回収が可能で、
資源の有効利用にも貢献する。更に耐水性付与剤と撥水
性付与剤との併用により、使用に耐え得る所望の耐水性
が達成される。
【0010】また請求項2記載の裏カーボン複写用紙
は、前記要件に加え、前記耐水性付与剤は、内添剤と塗
工剤とにより構成され、このうち内添剤はポリアミンポ
リアミドエピクロルヒドリン樹脂であり、一方、塗工剤
はアクリル−スチレン系樹脂であることを特徴として成
るものである。これにより内添剤であるポリアミンポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂の存在により紙ベースの
湿潤強度が増強され、加えて塗工剤であるアクリル−ス
チレン系樹脂の存在により、湿潤引張り強度が向上して
より高い耐水性が得られるようになる。
【0011】更にまた請求項3記載の裏カーボン複写用
紙は、前記撥水性付与剤は、ワックスエマルションであ
ることを特徴として成るものである。これにより極めて
少量の塗工によって所望の撥水性が得られ、しかも裏カ
ーボン複写用紙の不透明性も維持される。
【0012】更にまた請求項4記載の裏カーボン複写用
紙は、前記要件に加え、坪量が35〜65g/m2 であ
ることを特徴として成るものである。これにより耐水紙
として必要な強度及び不透明度が得られるほか、適度の
柔軟性が維持され、複写性も良好となる。
【0013】更にまた請求項5記載の裏カーボン複写用
紙は、前記要件に加え、湿潤引張り強度が2.0kg以
上であり、且つはっ水度がR6 〜R9 の範囲にあり、水
浸漬前の引張り強度を100%とした場合の水浸漬後の
引張り強度の相対値(%)は、水浸漬10秒経過時にお
いて50%以上となるように構成したことを特徴として
成るものである。これにより所望の耐水性が得られるよ
うになる。そしてこれらの各請求項記載の発明の構成を
手段として、前記課題の解決を図ろうとするものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下配送伝票を例にとって本発明
の裏カーボン複写用紙の構成について具体的に説明す
る。本発明の裏カーボン複写用紙は、天然植物繊維を主
成分とする紙ベースに対し、耐水性付与剤と撥水性付与
剤とを内添または塗工することによって基本的に構成さ
れる。まず紙ベースは、例えば針葉樹パルプまたは広葉
樹パルプを濾水度60°SR以上、好ましくは65°S
R以上に叩解したものを紙料の主成分とする。因みに濾
水度を60°SR未満とした場合には、透気度が低くな
り過ぎ、裏カーボンインキの塗布適性に欠けるため、配
送伝票用の複写用紙として必要な複写性は得られない。
【0015】そしてこのような紙料中には、白色度、不
透明度、及びカーボンインキの受理性を高める沈降性炭
酸カルシウム(以下、単に炭酸カルシウムと略す)、二
酸化チタン、カオリン、重質炭酸カルシウム、焼成カオ
リンなどの無機填料を内添することも可能であるが、炭
酸カルシウムが最も好ましく、不透明度、白色度を補う
ため二酸化チタンが併用される。なお白色度としては8
0%以上が好ましいが、染料または着色顔料を添加して
着色紙とした場合にはこの限りではない。また不透明度
は75%以上が好ましく、80%以上であればより好ま
しい。因みに不透明度が75%未満であると、裏面に塗
布される黒色または濃色のカーボンインキ層が複写用紙
表面から透けて見えるため、表面の印刷文字や複写によ
るカーボンインキの転写文字が読みづらくなり、複写用
紙としての適性に欠けることとなる。その他、必要に応
じてサイズ剤、歩留り向上剤、染料などの抄紙薬品を添
加することも可能である。
【0016】また耐水性付与剤は、内添剤と塗工剤とに
よって構成されるものであって、このうち内添剤として
はポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、尿素
ホルマリン樹脂、メラミン樹脂等の湿潤強度増強剤が適
用できる。そして上記紙料にこのような内添剤を添加
し、調製した紙料を抄紙して紙ベースの原紙とする。な
お原紙の湿潤引張り強度は0.5kg以上、好ましく
は、1.0kg以上必要であるが、本発明で求められて
いる耐水性の基準としての湿潤引張り強度は上記内添剤
を内添した原紙に以下述べる塗工剤を塗工した後の裏カ
ーボン複写用紙において達成できればよい。ただし塗工
剤を塗工する前の原紙の湿潤引張り強度が0.5kg未
満である場合には、目標とする湿潤引張り強度を得るた
めには、塗工剤の塗布量を必然的に多くしなければなら
ず、製品コスト及び廃棄処理、繊維の再利用の点で好ま
しくない。
【0017】一方、塗工剤としては、各種の合成樹脂材
料が適用できるが、複写性や繊維の回収、製造コスト等
を考えた場合には、可能な限り少量で高い耐水性が得ら
れることが好ましい。また表1に従来からラテックス内
添または含浸塗工用の耐水化剤として用いられてきたス
チレン−ブタジエン共重合体(SBR)等のゴム系樹脂
とアクリル−スチレン系樹脂を用いて1g/m2 サイズ
プレス塗工した結果を示す。
【0018】
【表1】
【0019】この結果から明らかなように、アクリル−
スチレン系樹脂が好ましく、アクリル−スチレン系樹脂
としては、取り扱いの容易さ、材料コスト、後処理の容
易さ等から水溶液またはエマルションが好ましく樹脂が
部分的に変性され、より高い耐水性が得られることから
ソープレスな水溶液またはエマルションが更に好まし
い。またアクリル−スチレン系樹脂の塗布量は、1g/
2 〜3g/m2 が好ましく、1g/m2 未満では、耐
水性が不足するだけでなく、裏カーボンインキの塗布適
性に必要な高い透気度が得にくくなり、一方、3g/m
2 を超えると繊維回収にコストがかかり過ぎてしまう。
【0020】更にこのようなアクリル−スチレン系樹脂
を塗工剤として塗工した裏カーボン複写用紙の湿潤引張
り強度は、2.0kg以上が好ましく、更に好ましくは
2.5kg以上とする。2.0kg未満では、伝票使用
時に雨水等に濡れた際の湿潤強度が不足する。因みに湿
潤引張り強度が湿潤前の引張り強度、いわゆる通常の引
張り強度の15%以上を示すものを耐水紙といっている
が、本発明の裏カーボン複写用紙にあっては、上記のよ
うに少ない塗布量で前記通常の引張り強度の40%前後
という優れた耐水紙が得られる。なおこのような塗工剤
には、塗工剤の安定性や塗工適性を高めるため、耐水性
を損なわない範囲で澱粉、アルギン酸ソーダ、カルボキ
シメチルセルロース、PVA等の水溶性高分子、あるい
はアルキルケテンダイマー等の表面サイズ剤を配合して
もよい。因みに上記水溶性高分子が配合された塗工剤を
原紙裏面に塗工すれば、裏カーボンインキの塗布適性及
び裏カーボン複写適性が著しく向上するため、上記水溶
性高分子の配合が特に好ましい。
【0021】更に本発明の裏カーボン複写用紙にあって
は、上述の耐水性付与剤によって付与される耐水性に加
えて、以下述べる撥水性付与剤によって撥水性も付与さ
れる。これは上述の湿潤強度増強剤から成る内添剤並び
にアクリル−スチレン系樹脂等の塗工剤の作用により湿
潤時の引張り強度が向上し、水に濡れても実用上、問題
のないレベルの湿潤強度を付与することができたが、こ
のような内添剤と塗工剤とにより構成される耐水性付与
剤のみでは、裏カーボン複写用紙は水に接触後直ちに濡
れてしまい、強度が低下して破れやすくなるだけでなく
裏面のカーボンインキ層が透けて見えたり、表面の文字
が判読しにくくなってしまうからである。そこでこのよ
うな用紙に更に撥水性を付与することにより、裏カーボ
ン複写用紙への水の浸透を遅らせ、水に触れてもすぐに
拭き取れば用紙への水の浸透を防ぐことができ、また裏
カーボン複写用紙が濡れた際の湿潤強度の低下を図1に
示すように遅らせることができる撥水性付与剤を塗工す
るのである。
【0022】撥水性付与剤としては、ワックスエマルシ
ョン、シリコーン樹脂エマルション等が使用できるが、
裏カーボンインキの受理性を重視すればワックスエマル
ションが好ましい。また撥水性の程度としては、はっ水
度でR6 〜R9 、好ましくはR6 〜R8 、更に好ましく
はR7 〜R8 である。R6 未満では水に接触したときの
水の浸透を遅らせる効力が小さくなってしまい好ましく
ない。捺印適性については、R8 以下であれば全く問題
なく、R9 にあると若干低下するものの使用上問題ない
程度である。更にワックスエマルションを使用する場合
において、はっ水度R6 以上を得るために必要な塗工量
は、0.5g/m2 以上であり、上記撥水性付与剤を塗
工する場合には、上記耐水性付与剤における塗工剤、例
えばアクリル−スチレン系樹脂と混合して、同時に塗工
するようにしてもよいし、上記塗工剤を塗布した後に撥
水性付与剤を塗工するようにしてもよい。更にまた撥水
性付与剤は、裏カーボン複写用紙の表面(印刷面)のみ
の塗工等、裏カーボン複写用紙の一部の塗工を目的とす
るものであってもよいし、裏カーボン複写用紙全体の塗
工を目的とするものであってもよい。
【0023】そしてこのようにして得られた本発明の裏
カーボン複写用紙の坪量は、35〜65g/m2 の範囲
内に設定されることが好ましい。因みに35g/m2
満では配送伝票として必要な湿潤強度や不透明度が得ら
れにくく、一方、65g/m2 を超えると用紙が厚くな
り過ぎてしまい、充分な複写性は得られない。
【0024】配送伝票用の複写用紙として必要な複写性
を付与するには、紙ベースの原料となる天然植物繊維の
叩解度、耐水性付与剤における塗工剤の塗工量、スーパ
ーキャレンダー加工等を適宜調整することにより、透気
度200秒/100ml以上、好ましくは400秒/1
00ml以上にする必要がある。因みに透気度が200
秒/100ml未満では、複写用紙の裏面にカーボンイ
ンキを塗工する際、カーボンインキが表面に抜け伝票表
面の外観が損なわれ、また裏カーボンインキの複写用紙
中への浸透が大きくなってしまい好ましくない。
【0025】すなわち配送伝票用の複写用紙として使用
する場合において、筆記時にカーボンインキの剥離性が
悪くなり、複写性が不充分となるのである。またスーパ
ーキャレンダー加工後の平滑度としては、50秒/10
ml以上、好ましくは100秒/10ml以上とする。
因みに50秒/10ml未満では、表面印刷性や筆記性
が悪くなり好ましくない。更に本発明の裏カーボン複写
用紙は、このような配送伝票として使用できるほか、現
金書留用の封筒をはじめとする種々の複写機能を有する
封書やハガキ類、ラベル等、耐水性や複写性の要求され
る種々の用紙に適用できる。
【0026】
【実施例】以下表2、3に示す本発明の裏カーボン複写
用紙の三種の実施例(実施例1〜3)並びにこれらの効
果を確認するために設けた八種の比較例(比較例1〜
8)について説明する。なお説明の順序としては最初に
表2、3において使用した測定方法及び評価方法につい
て簡単に説明した後、比較例、実施例の順でその構成並
びにその測定、評価結果を説明し、最後に比較例4の撥
水性を付与していない場合と、実施例2の撥水性を付与
した場合とを取り上げて、図1に基づき水に濡れた場合
の引張り強度の低下具合について比較対照する。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】なお測定は、すべて20℃、65%RHの
環境下で実施した。 (1)坪量 JIS P 8124「紙のメートル坪量測定方法」に
より測定した。 (2)白色度 JIS P 8123「紙及びパルプのハンター白色度
試験方法」により測定した。 (3)不透明度 JIS P 8138「紙の不透明度試験方法」により
測定した。 (4)透気度 JIS P 8117「紙及び板紙の透気度試験方法」
またはJAPAN TAPPI No5「空気マイクロ
メーターによる透気度」により測定した。 (5)平滑度 JIS P 8119「紙及び板紙のベック試験器によ
る平滑度試験方法」またはJAPAN TAPPI N
o5「空気マイクロメーターによる平滑度」により測定
した。 (6)はっ水度 JIS P 8137「紙及び板紙のはっ水度試験方
法」により測定した。なおこの測定結果を基に下記表4
に従ってはっ水度を決定した。
【0030】
【表4】
【0031】(7)引張り強度 JIS P 8113「紙及び板紙の引張り強さ試験方
法」により測定した。 (8)湿潤引張り強度 試験片幅15mm、長さ150mmの大きさに切断した
試料を水中に20分間浸漬後、試料を濾紙に挟み込み、
軽く水を拭い取り、直ちに横型引張り試験機(熊谷理機
株式会社製)により、掴み間隔100mm、引張り速度
30mm/minの条件で測定した。測定は紙の縦方向
について行った。なお図1の試験では、水中浸漬時間を
3秒〜20分まで変化させて同様の方法で測定した。 (9)複写性 裏カーボン複写用紙の裏(ワイヤー)面に裏カーボンイ
ンキを印刷し、7枚の配送伝票を作った。これにタイプ
ライターで印字してインキ受理面の複写状態及びカーボ
ンインキの剥離状態を目視で観察評価した。 (10)捺印適性 市販の朱肉インキ付きの簡易型の印鑑(シャチハタネー
ムペンR )を使い、捺印1分経過後に通常の伝票用紙を
おき、その上から捺印の部分を数回こすってインキの定
着度合いを評価した。
【0032】(i)比較例1〜3 比較例1〜3には、市販品三種類の複写用紙の測定ない
しは評価結果を示した。比較例1は、特に耐水性が付与
されていない普通の複写用紙、比較例2はポリエステル
フィルム(PET)の表面に筆記性付与のため顔料塗工
した耐水性タイプのもの、比較例3は配向ポリプロピレ
ン表面に顔料塗工をし、その裏面に普通の複写用紙をラ
ミネートしたフィルム−紙貼合タイプの耐水性複写用紙
である。表2より、比較例1の普通複写用紙タイプで
は、湿潤引張り強度、撥水性はほとんどなく、配送伝票
中の耐水性を必要とする部分には使用できない。比較例
2及び3では、実際の配送伝票に用いられるものであ
り、湿潤引張り強度は7.9kg及び2.9kgと高
い。またシート表面のはっ水度は、R2 程度と低いが、
表面がフィルムであるためシートは水に濡れず問題な
い。一方、捺印適性は朱肉が乾きにくく汚れやすかっ
た。
【0033】(ii)比較例4 針葉樹パルプ及び広葉樹パルプをそれぞれ50重量%ず
つ配合し、ショッパー濾水度計による叩解度65°SR
である原料に、炭酸カルシウム及び二酸化チタンが紙中
灰分でそれぞれ13%、及び3%になるよう内添した。
更に湿潤強度増強剤としてポリアミンポリアミドエピク
ロルヒドリン樹脂(日本PMC製、WS−535R )を
対パルプ1.5%内添し、坪量50g/m2 の手抄シー
トを作製した。このシートにサイズプレス塗工でアクリ
ル−スチレン系樹脂(昭和高分子製、ポリゾールAM−
250R )を塗工量が1.0g/m2 となるように塗工
した。上記の塗工紙はスーパーキャレンダー加工によ
り、表面の平滑度が約100秒/10mlになるように
加工した。その結果、複写性及び湿潤引張り強度、捺印
適性は良好であったが、撥水性が低く紙は水に濡れやす
く、配送伝票用紙としては不充分であった。
【0034】(iii)比較例5〜8 比較例5は、アクリル−スチレン系樹脂塗工量を2.0
g/m2 とし、比較例6または7は、アクリル−スチレ
ン系樹脂塗工はせずに内添の湿潤強度増強剤を対パルプ
0.5%または1.5%とし、また比較例8は、湿潤強
度増強剤の内添量を対パルプ1.5%、撥水性付与剤と
してワックスエマルション(互応化学製、ダイジット2
60R )を0.5g/m2 サイズプレス塗工したほか
は、いずれも比較例4と同じである。その結果、比較例
5にあっては、複写性及び湿潤引張り強度、捺印適性は
良好であったが、撥水性は低かった。また比較例6、7
にあっては、捺印適性は良好であったが、複写性及び湿
潤引張り強度、撥水性の点で不充分であり、更に比較例
8にあっては、撥水性、捺印適性の点では良好であった
が、湿潤引張り強度及び複写性の点で不充分であった。
【0035】(iv)実施例1 比較例4と同一の木材パルプ原料に内添剤としてポリア
ミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂から成る湿潤強
度増強剤を対パルプ1.5%内添した紙料を用いて手抄
シートを作成した。またこれに塗工剤としてアクリル−
スチレン系樹脂(昭和高分子製、ポリゾールAM−25
R )/撥水性付与剤としてワックスエマルション(互
応化学製、ダイジット260R )を80/20の重量割
合で調製し、サイズプレス塗工した塗布量は2.5g/
2 であった。更にスーパーキャレンダー加工後の裏カ
ーボン複写用紙の品質は、平滑度120秒/10ml、
白色度94.0%、不透明度80.0%であった。その
結果、湿潤引張り強度は、比較例3の市販ラミネート品
並みとなり、濡れやすさ、複写性、捺印適性も問題な
く、耐水性複写用紙として充分な品質を有していた。
【0036】(v)実施例2〜3 実施例2では、サイズプレス塗工する塗工剤であるアク
リル−スチレン系樹脂と撥水性付与剤であるワックスエ
マルションの配合割合を、それぞれ67/33の重量割
合に変更した以外は実施例1と同様にして、裏カーボン
複写用紙を作製した。そのときの塗布量は1.5g/m
2 、となった。実施例3では、塗工剤と撥水性付与剤と
を別々に塗工し、最初に塗工剤であるアクリル−スチレ
ン系樹脂を2.0g/m2 サイズプレス塗工し、その
後、例えばオフラインで撥水性付与剤であるワックスエ
マルションを1.0g/m2 となるように塗工した。更
にスーパーキャレンダー加工後の各々の裏カーボン複写
用紙の品質は、実施例2にあっては、平滑度115秒/
10ml、白色度94.0%、不透明度80.5%であ
り、一方、実施例3にあっては、平滑度110秒/10
ml、白色度94.0%、不透明度80.0%となり、
実施例1と同様に配送伝票用に充分な品質を有してい
た。
【0037】図1は、比較例4の撥水性を付与していな
い場合と実施例2の撥水性を付与した場合とで、水に濡
れる前の引張り強度を100%とした場合の水に濡れた
ときの引張り強度の低下具合を比較したものである。こ
れにより撥水性を付与することにより、紙ベースが水に
濡れる速度が遅くなり、その結果として引張り強度の低
下もゆっくりになることがわかる。すなわち、例えば水
浸漬10秒時における水浸漬前の引張り強度に対する水
浸漬後の引張り強度の相対値(%)は、撥水性付与なし
の場合が約45%であるのに対して、撥水性を付与する
と約60%となり、撥水性を付与した場合の方が、はる
かに湿潤引張り強度が大きくなる。このことより、本発
明のように耐水性と同時に撥水性を付与することによ
り、短時間の水濡れの場合はすぐに拭き取れば紙への影
響は少なく、長時間水に浸ったとしても実用に耐えられ
る湿潤強度を有していることがわかる。
【0038】(vi) 他の実施例 上記実施例1〜3のほか、更に以下述べるような他の実
施例を採用することも可能である。すなわち針葉樹パル
プ50重量%と広葉樹パルプ50重量%を混合したもの
を、ショッパー濾水度計による叩解度65°SRに叩解
したものに、炭酸カルシウム及び二酸化チタンが紙中灰
分でそれぞれ13%、及び3%になるよう内添し、湿潤
強度増強剤としてポリアミンポリアミドエピクロルヒド
リン樹脂(日本PMC製、WS−535R )を対パルプ
1.5%内添した紙料を、長網抄紙機を用い、アクリル
−スチレン系樹脂(昭和高分子製、ポリゾールAM−2
50R ) を塗工量1.0g/m2 にサイズプレス塗工し
て原紙を抄造した。この原紙に撥水性付与剤のワックス
エマルション(日本PMC製、WR−988R )を塗布
量0.5g/m2 にサイズプレス塗工した後、スーパー
キャレンダー加工して裏カーボン複写用紙を作成した。
得られた裏カーボン複写用紙は、坪量50g/m2 、湿
潤引張り強度2.6kg、はっ水度R7 、平滑度125
秒/10ml、白色度92.0%、不透明度80.0%
で配送伝票として充分な品質を有していた。
【0039】
【発明の効果】本発明の裏カーボン複写用紙は、天然植
物繊維を主成分とした紙ベースを使用し、内添剤と塗工
剤の併用により耐水性は格段に向上し、更に撥水性付与
剤の採用により紙中への水の浸透が防止され、あるいは
遅延されるので、従来用いられていた合成樹脂から成る
シートやフィルムに比べ、用紙の製造コストを安価に設
定でき、更に印刷や帳票作成時に使用するインキ、裏カ
ーボンインキ、糊及びそれらの加工の際のテンションコ
ントロールも同じ帳票内の他の伝票に用いられる通常の
裏カーボン複写用紙と全く同一にできるため、帳票の製
造コストも低くできる。本発明によって配送伝票用の複
写用紙としての使用に耐えられる耐水性及び複写性ない
しは捺印適性を維持ないしは向上させた形で更に環境へ
の配慮や製品コストの低廉化をも考慮した極めて利用価
値の高い裏カーボン複写用紙の提供が可能となるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】撥水性を付与する場合と、付与しない場合にお
いて、水浸漬時間と引張り強度の相対値との関係を比較
して示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新妻 昇 静岡県富士市原田181−20 (72)発明者 岡本 義晴 静岡県富士市原田1259−1番地

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然植物繊維を主成分とする紙ベースに
    対し、耐水性付与剤と撥水性付与剤とを内添または塗工
    したことを特徴とする裏カーボン複写用紙。
  2. 【請求項2】 前記耐水性付与剤は、内添剤と塗工剤と
    により構成され、このうち内添剤はポリアミンポリアミ
    ドエピクロルヒドリン樹脂であり、一方、塗工剤はアク
    リル−スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1
    記載の裏カーボン複写用紙。
  3. 【請求項3】 前記撥水性付与剤は、ワックスエマルシ
    ョンであることを特徴とする請求項1または2記載の裏
    カーボン複写用紙。
  4. 【請求項4】 坪量が35〜65g/m2 であることを
    特徴とする請求項1、2または3記載の裏カーボン複写
    用紙。
  5. 【請求項5】 湿潤引張り強度が2.0kg以上であ
    り、且つはっ水度がR6 〜R9 の範囲にあり、水浸漬前
    の引張り強度を100%とした場合の水浸漬後の引張り
    強度の相対値(%)は、水浸漬10秒経過時において5
    0%以上となるように構成したことを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の裏カーボン複写用紙。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001075303A (ja) * 1999-09-06 2001-03-23 Mishima Paper Co Ltd 湿式電子写真印刷用紙
US20050281966A1 (en) * 2004-06-22 2005-12-22 Chee Swee G Customized carbon paper and method for making the same
EP2474714A1 (en) 2010-12-23 2012-07-11 C.R.F. Società Consortile per Azioni Internal combustion engine with wall masking the curtain area of the intake valves

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EP2474714A1 (en) 2010-12-23 2012-07-11 C.R.F. Società Consortile per Azioni Internal combustion engine with wall masking the curtain area of the intake valves

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