JP3869646B2 - オーディオ信号記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はデータ記録装置に関し、特にたとえばオーディオ信号を記録媒体に記録する、データ記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のデータ記録装置の一例が、平成12年5月30日付で出願公開された特開2000−149408号[G11B 20/10,G11B 19/02,G11B 20/00]公報に開示されている。この従来技術の録音装置では、ディジタルオーディオインターフェイスで受信されるディジタルデータに含まれる音楽信号と制御信号とを分けて、制御信号に含まれるユーザビットからユーザデータを復調し、トラックナンバを判別している。たとえば、ユーザがAUTO−RECキーを操作すると、判別されたトラックナンバを監視して、変化があった時に録音を開始して、音楽信号をMDの空き領域に記録するようにしていた。つまり、このようなシンクロ録音機能を備えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来技術では、ユーザデータに含まれるトラックナンバを判別し、そのトラックナンバに基づいて音楽信号の記録を開始するようにしていたため、制御信号を読み取れない場合には音楽信号の記録を正常に実行できないという問題があった。つまり、CDあるいはMDに傷がある場合には、CDあるいはMDの再生装置から制御信号が送信されない場合があった。このため、正常にシンクロ録音機能を働かすことができなかった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、制御信号を読み取れないときでも、正確にオーディオ信号を記録することができる、データ記録装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、オーディオ信号およびその付属情報を入力し、オーディオ信号を記録媒体に記録するオーディオ信号記録装置において付属情報に基づいてオーディオ信号の記録を制御する第1制御手段、オーディオ信号のレベルに基づいてオーディオ信号の記録を制御する第2制御手段、オーディオ信号の記録中に、付属情報が読み取れるかどうかを判別する判別手段、および判別手段によって付属情報が読み取れると判別されたとき第1制御手段を能動化し、判別手段によって付属情報が読み取れないと判別されたとき第2制御手段を能動化する第1能動化手段を備えることを特徴とする、オーディオ信号記録装置である。
【0006】
【作用】
この発明のオーディオ信号記録装置は、オーディオ信号をMDのような記録媒体に記録できる。たとえば、オーディオ信号記録装置に設けられたディジタルオーディオインターフェイス(以下、単に「インターフェイス」という。)によって、CDプレーヤあるいはMDプレーヤのような再生装置からのオーディオ信号およびその付属情報を含むディジタルデータが受信される。インターフェイスは、ディジタルデータからオーディオ信号および付属情報を個別に抽出し、それぞれを入力する。第1制御手段は、付属情報に基づいてオーディオ信号の記録を制御する。また、第2制御手段はオーディオ信号のレベルに基づいてオーディオ信号の記録を制御する。判別手段は、インターフェイスによって入力された付属情報が読み取れるかどうかを判別する。第1能動化手段は、判別手段の判別結果に応じて第1制御手段および第2制御手段の一方を能動化する。具体的には、付属情報が読み取れれば、第1能動化手段は第1制御手段を能動化する。一方、付属情報が読み取れなければ、第1能動化手段は第2制御手段を能動化する。つまり、オーディオ信号記録装置では、常に付属情報を検出し、第1制御手段でオーディオ信号の記録を制御するが、CDあるいはMDに傷が発生し、再生装置から付属情報が送信されない場合には、すなわち付属情報が読み取れない場合には、第2制御手段によってオーディオ信号の記録を制御することができる。
【0007】
たとえば、第1制御手段は、時間情報制御手段とインデックス情報制御手段とを含む。時間情報制御手段は、付属情報に時間情報すなわちQデータに含まれる時間情報(MIN、SECおよびFRAME)に基づいてオーディオ信号の記録を制御する。一方、インデックス情報制御手段は、付属情報に含まれるインデックス情報すなわちQデータに含まれるインデックス情報(INDEX)に基づいてオーディオ信号の記録を制御する。また、特定手段が付属情報に含まれる出力元情報(カテゴリコード)に従ってオーディオ信号の出力元(再生装置)を特定する。したがって、第2能動化手段は、出力元がCDの場合には、時間情報制御手段を能動化し、出力元がMDの場合には、INDEX制御手段を能動化する。つまり、再生装置に応じた適切な制御でオーディオ信号を記録(記録開始/記録終了)することができる。
【0008】
また、付属情報が読み取り取れない場合には、記録開始手段はレベルが第1閾値を超えたときオーディオ信号の記録を開始する。そして、記録終了手段は、記録中に付属情報が読み取れない場合には、レベルが第1閾値を下回る時間が第1所定時間を超えたとき、オーディオ信号の記録を終了する。
【0009】
さらに、複数曲分のオーディオ信号が存在する場合には、第1更新手段は付属情報に基づいて曲番を更新し、第2更新手段はオーディオ信号のレベルに基づいて曲番を更新する。つまり、第3能動化手段は、付属情報が読み取れれば、第1更新手段を能動化し、付属情報が読み取れなければ、第2更新手段を能動化する。したがって、付属情報が読み取れなくても、曲番を更新することもできる。すなわち、オーディオ信号記録装置は、付属情報あるいはオーディオ信号のレベルに基づいて曲番を更新するようなオートマーカ機能を備えている。
【0010】
具体的には、第1更新手段は、出力元がCDプレーヤまたはMDプレーヤに拘わらず、Qデータに含まれる曲番情報(TNO)が変化すると、記録中のオーディオ信号の曲番を更新する。つまり、作成中のオーディ信号の管理情報(TOC情報)に含まれる曲番(TNO)を更新する。
【0011】
一方、記録中に付属情報が読み取れない場合には、第2更新手段に含まれる第2比較手段がオーディオ信号のレベルを第1閾値よりも高い第2閾値と比較する。そして、曲番更新手段は、レベルが第1閾値より高い第2閾値を下回ってから再度第2閾値を上回るまでの時間が第2所定時間を超えるとき、記録中のオーディオ信号の曲番を更新する。このように、付属情報が読み取れなくても、曲番更新を実行することができる。
【0012】
【発明の効果】
この発明によれば、付属情報を読み取れない場合であっても、オーディオ信号のレベルに基づいて、オーディオ信号を記録できるので、オーディオ信号を正確に記録することができる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0014】
【実施例】
図1を参照して、この実施例のオーディオ信号記録再生装置10は光ピックアップ12を含み、光ピックアップ12はミニディスク(MD)14に設けられたディスク14aの裏面にレーザ光を照射する。したがって、光ピックアップ12はディスク14aからの反射光の偏向面から磁性面上のN極とS極とを判断し、ディスク14aに記録された再生信号(オーディオ信号)を取り出す。また、ディスク14aはスピンドルモータ16によって回転駆動される。光ピックアップ12で取り出されたオーディオ信号はRFアンプ18に与えられる。RFアンプ18はオーディオ信号を増幅し、増幅されたオーディオ信号はデコーダ20に与えられるとともに、サーボ回路22に与えられる。
【0015】
デコーダ20は、RFアンプ18から与えられたオーディオ信号に誤り訂正(パリティエラーおよびインターリーブ)のための復号化処理やEFM(Eight to Fourteen Modulation)復調処理などの処理を施す。
【0016】
サーボ回路22は、RFアンプ18から与えられたオーディオ信号に基づいてシステムコントロールマイコン(以下、単に「シスコン」という。)24の指示に従って、スピンドルモータ16の回転制御をする。また、サーボ回路22は、光ピックアップ12をディスク14aのラジアル(スレッド)方向に移動させるためのスレッドモータ26の回転駆動を制御する。さらに、サーボ回路22は、光ピックアップ12に設けられたレンズ(図示せず)がディスク14aに設けられたトラック(図示せず)上を正確にトレースするように制御する。つまり、シスコン24の指示に従ってサーボ回路22がトラッキングサーボおよびフォーカスサーボを制御する。
【0017】
デコーダ20を介したオーディオ信号は、メモリコントローラ28の指示に従ってバッファメモリとしてのDRAM30に格納される。DRAM30に格納されたオーディオ信号はシスコン24の制御の下、メモリコントローラ28の指示に従って一定のデータレートで読み出され、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)デコーダ32に与えられる。ATRACデコーダ32では、ATRAC方式で圧縮されたオーディオ信号が復調(伸長)され、伸長されたオーディオ信号はD/A変換器34に与えられる。したがって、オーディオ信号がアナログ信号に変換され、出力端子36から図示しないアンプおよびスピーカを介して出力される。このようにして、ディスク14aに記録されたオーディオ信号が再生される。
【0018】
ただし、MD14の装着時にディスク14aに記録されたオーディオ信号の管理情報すなわちTOC(Table Of Contents)情報が光ピックアップ12によって読み取られ、このTOC情報はメモリコントローラ28の指示に従ってRAM24aに格納される。なお、TOC情報は、DRAM30に格納されてもよい。シスコン24は、このTOC情報に基づいてオーディオ信号を再生する。また、TOC情報には、曲数(ファイル数),この曲数(曲番)に対応して各曲が記録されている開始アドレス(絶対時間)と終了アドレス(絶対時間)および未記録領域の開始アドレス(絶対時間)と終了アドレス(絶対時間)などの情報が含まれる。
【0019】
一方、入力端子38にディジタルデータが入力されると、このディジタルデータはディジタルオーディオインターフェイス(以下、単に「インターフェイス」という。)40を介してATRACエンコーダ42に与えられる。
【0020】
インターフェイス40は、ディジタルデータを受信すると、ディジタルデータに含まれるオーディオ信号を抽出し、ATRACエンコーダ42に与える(入力する)。また、インターフェイス40は、ディジタルデータに含まれる付属情報を抽出し、シスコン24に入力する。
【0021】
ATRACエンコーダ42では、オーディオ信号をATRAC方式で符号化(圧縮)する。圧縮されたオーディオ信号は、シスコン24の制御の下、メモリコントローラ28の指示に従ってDRAM30に格納(記憶)される。DRAM30は、バッファメモリとして用いられ、オーディオ信号はメモリコントローラ28とDRAM30とによって時間軸が制御される。つまり、シスコン24は、ディスク14aにオーディオ信号を記録するために、必要に応じてメモリコントローラ28に読み出しの指示を与える。したがって、DRAM30に記憶されたオーディオ信号はバースト的に読み出される。メモリコントローラ28によって読み出されたオーディオ信号はエンコーダ44に与えられ、エンコーダ44はエラー訂正のための符号化処理(パリティ付加およびインターリーブ処理)およびEFM符号化処理などの処理を施す。
【0022】
エンコーダ44で処理されたオーディオ信号は、ヘッド駆動回路46に与えられる。ヘッド駆動回路46は、磁気ヘッド48に接続され、エンコーダ44から与えられたオーディオ信号に応じた変調磁界をディスク14aに印加するように磁気ヘッド48を駆動する。このとき、光ピックアップ12は磁気ヘッド48と対向して移動され、磁気ヘッド48から与えられる変調磁界および光ピックアップ12から与えられるレーザ光によって、磁界変調方式で熱磁気記録が実行される。オーディオ信号の記録中では、エンコーダ44の処理情況に応じて、シスコン24はオーディオ信号のTOC情報をRAM24a(またはDRAM30)を用いて作成する。オーディオ信号記録再生装置10は、オーディオ信号の記録が終了すると、作成したTOC情報をディスク14aに記録してから録音を終了する。
【0023】
たとえば、入力端子38には、図示は省略するが、ディジタル用の接続ケーブルを用いて、CDプレーヤあるいはMDプレーヤが接続される。したがって、入力端子38には、CDプレーヤあるいはMDプレーヤのようなパッケージメディアのプレーヤ(再生装置)からのディジタルデータが入力される。
【0024】
このようなディジタルデータは、インターフェイス40の所定フォーマットに従って構成され、オーディオ信号(44.1KHz サンプリング,16ビット量子化)およびそのオーディオ信号に関連する付属情報(サブコードデータなど)を含んでいる。
【0025】
具体的には、図2(A)に示すように、インターフェイス40の所定のフォーマットでは、サンプリング周波数を1フレームとし、これを基本の単位としている。この1フレームには、左チャネルおよび右チャネルのディジタル出力信号が含まれ、このディジタル出力信号は左チャネル、右チャネルの順で伝送される。また、各チャネルに対応するディジタルデータがサブフレームとされ、サブフレームの構成は図2(B)のように示される。
【0026】
図2(B)に示すように、サブフレームは32ビットで構成され、先頭の4ビットはプリアンブルであり、同期およびサブフレームの識別に用いられる。続く4ビットはAUX(予備ビット)であり、このAUXに続いて20ビットのオーディオデータ(オーディオサンプル)が設けられる。そして、このオーディオデータ(オーディオ信号)に続いて制御信号としてのVビットデータ、Uビットデータ、CビットデータおよびPビットデータが順に各1ビットずつで設けられる。
【0027】
Vビットデータは有効フラグであり、この有効フラグが「0」であれば、このサブフレームは有効(信頼できる)と判断することができる。一方、有効フラグが「1」であれば、このサブフレームは無効(信頼できない)と判断することができる。したがって、シスコン24は、Vビットデータに従ってデータ処理動作を実行するかどうかを判断できる。
【0028】
また、Uビットデータが伝送される各サブフレームから集められた平均1176ビットのデータによってユーザデータが形成される。このユーザデータは、再生側のCDあるいはMDに記録されたユーザデータをそのまま表している。つまり、ユーザデータは、いわゆるQデータ,Rデータ,Sデータ,TデータおよびUデータなどの各サブコードデータを含んでいる。通常、CDプレーヤあるいはMDプレーヤにおいては、Qデータに基づいて再生処理を実行しているため、この実施例では、CDおよびMDのQデータのみを図3(A)および図3(B)のそれぞれに示してある。
【0029】
図3(A)に示すように、CDのQデータは96ビットで構成され、サブコードのブロックの先頭を識別するための2ビットの同期信号(S0,S1)を含む。続いて、プリエンファシスの有無(ON/OFF)、オーディオのチャネル数、ディジタルデータの識別情報を示す4ビットの情報(CONTOL)が記述される。また、CONTOLに続く4ビットにADRが記述される。このADRは、Qデータ(フォーマット)識別情報であり、図3(A)に示すように、ADRが1である場合には、このQデータフォーマットがトラック番号および時間情報を示すデータであることを意味する。
【0030】
また、ADRに続く8ビットにトラック(曲)番号(TNO)が記述され、TNOに続いて後述するPMIN、PSECおよびPFRMEの内容を指定する8ビットの情報(POINT)が記述される。このPOINTの次に曲内の経過時間(絶対時間アドレス)を示す分(MIN)、秒(SEC)およびフレーム(FRAME)が順に各8ビットずつで記述される。
【0031】
さらに、FRAMEに続いて0固定の8ビットの情報(ZERO)が記述され、次に上述したPMIN、PSECおよびPFRAMEが順に各8ビットずつで記述される。このPMIN、PSECおよびPFRAMEは、POINTの値によって意味が決定される。たとえば、POINTの値が「01h」〜「99h」の場合には、POINTの値がトラックナンバを示し、このとき、PMIN、PSECおよびPFRAMEにはそのトラックナンバのトラックにおけるスタートポイントの時間情報(絶対時間アドレス)が記述される。そして、最後の16ビットに巡回符号の誤り検出データ(CRC)が記述される。
【0032】
また、図3(B)のように、MDのQデータは示され、このMDのQデータはCDのQデータとほぼ同様である。したがって、異なる部分についてのみ説明し、重複する部分についての説明は省略する。つまり、MDのQデータでは、CDのQデータに含まれるPOINTに換えて、MDの再生装置の動作状態を示す情報(INDEX)が記述されている。このINDEXが「00h」を示すとき、MDの再生装置は一時停止状態(PAUSE)である。また、INDEXが「01h」を示すとき、MDの再生装置は再生状態(PLAY)である。さらに、INDEXが「FFh」を示すとき、MDの再生装置は停止状態(STOP)である。
【0033】
図2(B)に戻って、Cビットデータを各チャネルから192個(1ワード)集めると、チャネルステータスデータが構成(復調)される。このチャネルステータスデータのフォーマット(IEC958データフォーマット)は、図4のように示される。具体的には、1ワードの最初のビット(ビット0)は、送信機(再生装置)が家庭用であるか業務用であるかを区別するための識別ビットである。続く、ビット1〜ビット5には、コントロール情報が記述される。たとえば、ビット2は、著作権保護の識別ビットとされ、ビット2が「1」であれば、著作権保護が要求されておらず、ディジタルコピーが無制限に可能であり、ビット2が「0」であれば、著作権保護が要求されており、ディジタルコピーが制限される。また、ビット3は、エンファシスの有無の識別ビットである。
【0034】
次のビット8〜ビット15はカテゴリコードであり、ビット8〜ビット14は送信側の機器(再生装置(出力元))に応じた特定のコードである。つまり、これによって、CDプレーヤ、MDプレーヤ、DATプレーヤ、放送受信機あるいはA/D変換器などを識別することができる。すなわち、出力元のカテゴリを特定することができる。また、ビット15はLビットと呼ばれ、ディジタルオーディオ信号の世代を示し、一般に販売等されている録音済のソフトウェアの場合には、ビット15は「1」とされる。
【0035】
ただし、CDやMDなどの光ディスク機器や放送受信機の場合には、ビット15が「0」で録音済のソフトウェアを表す。
【0036】
続いて、ビット16〜ビット19はソース番号であり、同一カテゴリの機器を複数台接続する場合に、各機器の識別に使用される。ビット20〜23は、チャネル番号であり、ディジタルオーディオインターフェイス(この実施例では、インターフェイス40)のチャネル種別を示す。ビット24〜ビット27には、サンプリング周波数の識別コードが記述され、ビット28およびビット29にはサンプリング周波数の精度が記述される。ビット32以降は未使用である。
【0037】
また、図2(B)で示したPビットデータはパリティビットであり、パリティビットは例えば偶数パリティが使用され、予備ビット、オーディオ信号、Vビットデータ、UビットデータおよびCビットデータについてのエラー検出に使用される。
【0038】
たとえば、入力端子38を介して入力されるオーディオ信号を記録する場合には、ユーザが操作パネル52に設けられた録音ボタン(図示せず)を操作する。すると、録音モードが設定される。具体的には、オーディオ信号記録再生装置10は録音待機状態となる。そして、入力端子38に接続された再生装置からディジタルデータが入力されると、録音が開始される。つまり、インターフェイス40からオーディオ信号が入力されると、シスコン24は録音を開始する。
【0039】
具体的には、シスコン24は入力される付属情報に基づいて録音を開始する。まず、シスコン24は、付属情報に含まれるCビットデータを集めて復調されたチャネルステータスデータに含まれるカテゴリコードを参照する。つまり、再生装置がCDプレーヤまたはMDプレーヤのいずれであるかを特定する。そして、シスコン24は、特定した再生装置(カテゴリ)に応じて異なる処理でオーディオ信号の記録を開始する。
【0040】
再生装置がCDプレーヤである場合には、図3(A)で示したようなQデータに含まれる時間情報すなわちMIN、SECおよびFRAMEを一定時間T1(この実施例では、3〜5秒の間で設定される。)参照し、その一定時間T1内で連続的に増加しているかどうかを判断する。時間情報が連続的に増加している場合には、曲の再生が開始したあるいは曲が始まると判断し、録音を開始する。
【0041】
そして、一定時間T1内で時間情報が増加しなくなると、シスコン24は、曲の再生が終了したあるいは曲が終わったと判断して、録音終了処理を実行する。つまり、作成したTOC情報をディスク14aに記録してから録音を終了する。
【0042】
一方、再生装置がMDプレーヤである場合には、図3(B)で示したようなQデータに含まれるINDEXを参照して、MDプレーヤの状態を判別する。そして、INDEXに「01h」が記述されている場合に、MDプレーヤが再生状態(PLAY)と判別し、録音を開始する。
【0043】
そして、INDEXが「FFh」を示すとき、シスコン24は、MDプレーヤが停止状態(STOP)であると判別し、上述のCDプレーヤの場合と同様に録音終了処理を実行する。
【0044】
また、録音中では、付属情報を常に監視(モニタリング)し、出力元(ソース)がCDプレーヤおよびMDプレーヤのいずれの場合にもQデータに含まれる曲番(TNO)が変わったときに、曲が切り換わったと判断し、作成中のTOC情報の曲番を更新する。
【0045】
このように、オーディオ信号記録再生装置10は、付属情報を常にモニタリングし、その付属情報に基づいてオーディオ信号の録音を開始/終了することができ、また曲番を更新することができる。
【0046】
しかし、CDあるいはMDに傷がある場合には、CDプレーヤあるいはMDプレーヤから付属情報が入力されない場合がある。このため、シスコン24では、付属情報が読み取れず、オーディオ信号の録音を正常に実行することができないという問題がある。
【0047】
これを回避するため、オーディオ信号の録音開始前および録音中に、連続的に付属情報を読み取れない場合には、オーディオ信号のレベルに基づいて、録音の開始/終了および曲番の更新をするようにしている。
【0048】
具体的には、インターフェイス40から出力されたオーディオ信号は、ピークホールド回路50に入力される。ピークホールド回路52では、オーディオ信号のピーク値(レベル)をホールドし、そのピーク値をシスコン24に与える。したがって、シスコン24はピークホールド回路50からのピーク値を検出し、オーディオ信号のレベルを検出することができる。
【0049】
また、シスコン24にはROM24bが設けられ、このROM24bには録音開始可能なオーディオ信号のレベル(判定レベルL1)および曲間を識別(判定)するためオーディオ信号のレベル(判定レベルL2)が記録されている。
【0050】
ただし、判定レベルL1および判定レベルL2は、発明者が試験等することにより得られた値であり、判定レベルL1は−55dB〜−52dBの間で設定され、判定レベルL2は−52dB〜−50dBの間で設定される。たとえば、この実施例では、判定レベルL1は−55dBに設定され、判定レベルL2は−50dBに設定され、ROM24bに予め記録される。
【0051】
なお、判定レベルL1および判定レベルL2は、CDプレーヤおよびMDプレーヤに拘わらず、上述のような値で設定すればよいことが実験により得られている。
【0052】
たとえば、図5に示すように、時間とともにレベルが変化するオーディオ信号がインターフェイス40から入力された場合について考える。図5からも分かるように、判定レベルL2は判定レベルL1よりも高く設定される。
【0053】
なお、図5では、2曲分のオーディオ信号が入力された場合について示してある。
【0054】
したがって、シスコン24は、インターフェイス40から付属情報が入力されない場合には、ピークホールド回路50から入力されるオーディオ信号のレベル(入力レベル)を検出し、入力レベルを判定レベルL1と比較する。そして、シスコン24は、入力レベルが判定レベルL1を超えたときに録音を開始する。このとき、記録中の曲に曲番「1」が割り当てられる。つまり、作成中のTOC情報の曲番(TNO)に「1」が記述される。
【0055】
このように、比較的低レベルである判定レベルL1に基づいて録音を開始させるので、微小音で始まる曲であっても、正確に録音を開始することができる。
【0056】
また、録音中では、シスコン24は、インターフェイス40から付属情報が入力されない場合には、入力レベルを検出して、入力レベルを判定レベルL2と比較する。そして、入力レベルが判定レベルL2を下回ってから再度判定レベルL2を上回るまでの時間が判定時間T2を超えるとき、シスコン24は曲間と判断して、作成中のTOC情報に含まれる曲番(TNO)を更新する。
【0057】
なお、判定時間T2を超えるかどうかを判断するのは、図5に示すように、曲の途中であっても局所的に判定レベルL2を下回るような場合があり、正確に曲間を判定するためである。
【0058】
さらに、シスコン24は、インターフェイス40から付属情報が入力されない場合には、入力レベルを検出(監視)し、入力レベルが判定レベルL2を下回った後にさらに判定レベルL1を下回る時間が判定時間T3を超えたとき、録音を終了する。
【0059】
なお、判定レベルL1を下回る時間が判定時間T3を超えたかどうかを判断するのは、曲間と区別し、正常にオーディオ信号の録音(ダビング)を終了するためである。
【0060】
このような動作をシスコン24は、図6〜図11に示すフロー図に従って処理する。図6を参照して、オーディオ信号記録再生装置10の主電源がオンされると、シスコン24は処理を開始し、ステップS1で録音ボタンが押されたかどうかを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり録音ボタンが押されなければ、同じステップS1に戻る。
【0061】
一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり録音ボタンが押されれば、ステップS3で録音モードに設定する。すなわち、録音待機状態となる。続くステップS5では、後で詳細に説明するソース側のスタート検出処理を実行する。簡単に説明すると、CDプレーヤあるいはMDプレーヤが再生を開始したかどうかを判断している。
【0062】
続いて、ステップS7でスタートフラグがオンかどうかを判断する。つまり、CDプレーヤあるいはMDプレーヤが再生を開始したかどうかを判断する。ステップS7で“NO”であれば、つまり再生が開始してなければ、そのままステップS5に戻る。一方、ステップS7で“YES”であれば、つまり再生が開始すると、ステップS9でシンクロ録音を開始する。
【0063】
録音を開始すると、ステップS11で後で詳細に説明する曲間判定処理を実行する。簡単に説明すると、曲が切り換わったかどうかを判別し、曲番を更新する。続くステップS13では、後で詳細に説明するソース側のストップ検出処理を実行する。つまり、再生装置の再生が終了したかどうかを判断している。
【0064】
そして、ステップS15では、ストップフラグがオンかどうかを判断する。つまり、再生が終了したかどうかを判断する。ステップS15で“NO”であれば、つまり再生を終了してなければ、そのままステップS11に戻る。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり再生が終了すると、ステップS17で録音終了処理を実行してから処理を終了する。すなわち、作成したTOC情報をディスク14aに記録した後に、シンクロ録音を終了している。
【0065】
図7を参照して、シスコン24は、図6で示したステップS5のソース側のスタート検出処理を開始すると、ステップS21でサブコードを読み取れるかどうかを判断する。つまり、付属情報が読み取り可能かどうかを判断する。ステップS21で“YES”であれば、つまり付属情報が読み取り可能であれば、ステップS23でCDを再生しているかどうかを判断する。具体的には、カテゴリコードに従って再生装置の種類を特定し、その再生装置で再生されるメディア(CDまたはMD)を特定する。
【0066】
ステップS23で“YES”であれば、つまりCDであれば、ステップS25で図3(A)で示した時間情報(MIN、SECおよびFRAME)が一定時間T1内で連続して増加したかどうかを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり時間情報が増加しなければ、再生が開始されていないと判断して、そのままリターンする。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり時間情報が増加していれば、再生が開始されたと判断して、ステップS27でスタートフラグをオンしてからリターンする。
【0067】
一方、ステップS23で“NO”であれば、つまりMDであれば、ステップS27で図3(B)で示したQデータに含まれるINDEXがPLAY(再生状態)であるかどうかを判断する。つまり、INDEXに「01h」が記述されているかどうかを検出する。ステップS27で“NO”であれば、つまり再生状態でなければ、そのままリターンする。一方、ステップS27で“YES”であれば、つまり再生状態であれば、ステップS29でスタートフラグをオンしてからリターンする。
【0068】
また、ステップS21において“NO”であれば、つまりサブコード(付属情報)が読み取れない不能であれば、ステップS33で入力レベルが判定レベルL1を超えたかどうかを判断する。ステップS33で“NO”であれば、つまり入力レベルが判定レベルL1に満たない場合には、再生が開始されていないと判断して、そのままリターンする。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり入力レベルが判定レベルを超えていれば、再生が開始されたと判断して、ステップS35でスタートフラグをオンしてからリターンする。
【0069】
図8に示すように、シスコン24は、図6で示したステップS11の曲判定処理を開始すると、ステップS41でサブコードが読み取れるかどうかを判断する。つまり、付属情報が読み取り可能かどうかを判断する。ステップS41で“YES”であれば、つまり付属情報が読み取り可能であれば、ステップS43で図3(A)および図3(B)で示したCDあるいはMDのQデータに含まれる曲番(TNO)が変化したかどうかを判断する。ステップS43で“NO”であれば、つまりTNOが変化しなければ、そのままリターンする。一方、ステップS43で“YES”であれば、つまりTNOが変化すれば、ステップS45で曲番を更新してからリターンする。すなわち、作成中のTOC情報に含まれる曲番を更新する。
【0070】
一方、ステップS41で“NO”であれば、つまり付属情報が読み取り不能であれば、ステップS47で入力レベルが判定レベルL2を下回っているかどうかを判断する。ステップS47で“YES”であれば、つまり入力レベルが判定レベルL2を下回っていれば、ステップS49で判定レベルL2を下回ってから判定時間T2以上が経過したかどうかを判断する。ステップS49で“NO”であれば、つまり判定時間T2に満たない場合には、曲間でないと判断して、そのままリターンする。一方、ステップS49で“YES”であれば、つまり判定時間T2以上継続すると、ステップS51で曲間判定フラグをオンしてからリターンする。
【0071】
また、ステップS47において“NO”であれば、つまり入力レベルが判定レベルL2を上回っていれば、図9に示すステップS53で曲間判定フラグがオンかどうかを判断する。ステップS53で“NO”であれば、つまり判定フラグがオフであれば、曲間でないと判断して、そのままリターンする。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまり曲間判定フラグがオンであれば、ステップS55で曲番を更新してからリターンする。このように、判定レベルL2を下回ってから再度判定レベルL2を上回るまでの時間が判定時間T2を超えていれば、曲間と判定し、曲番が更新される。
【0072】
図10に示すように、シスコン24は、図6で示したステップS13のソース側ストップ検出処理を開始すると、ステップS61でサーブコードが読めているかどうかを判断する。つまり、付属情報が読み取り可能かどうかを判断する。ステップS61で“YES”であれば、つまり付属情報が読み取り可能であれば、ステップS63でカテゴリコードに基づいてCDかどうかを判断する。
【0073】
ステップS63で“YES”であれば、つまりCDであれば、ステップS65で時間情報(MIN、SECおよびFRAME)が一定時間T1内で増加しなくなったかどうかを判断する。ステップS65で“NO”であれば、つまり時間情報が増加していれば、オーディオ信号が入力(再生)されていると判断してそのままリターンする。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり時間情報が増加しなくなれば、オーディオ信号の再生が終了したと判断し、ステップS67でストップフラグをオンしてからリターンする。
【0074】
一方、ステップS63で“NO”であれば、つまりMDあれば、ステップS69でINDEXがSTOP(停止状態)またはPAUSE(一時停止状態)かどうかを判断する。つまり、INDEXに「00h」または「FFh]が記述されているかどうかを判別する。ステップS69で“NO”であれば、つまりINDEXに「01h」が記述されていれば、再生状態であると判断してそのままリターンする。一方、ステップS69で“YES”であれば、つまり停止状態あるいは一時停止状態であれば、再生が終了したと判断して、ステップS71でストップフラグをオンしてからリターンする。
【0075】
また、ステップS61で“NO”であれば、つまり付属情報が読み取り不能であれば、図11に示すステップS73で入力レベルが判定レベルL1を下回っているかどうかを判断する。ステップS73で“NO”であれば、つまり入力レベルが判定レベルを上回っていれば、そのままリターンする。一方、ステップS73で“YES”であれば、つまり入力レベルが判定レベルL1を下回っていれば、ステップS75で判定時間T3を超えたかどうかを判断する。ステップS75で“NO”であれば、つまり判定時間T3を超えなければ、曲間あるいは曲の途中で微小音になったと判断して、そのままリターンする。一方、ステップS75で“YES”であれば、つまり判定時間T3を超えると、再生が終了したと判断し、ステップS77でストップフラグをオンしてからリターンする。
【0076】
この実施例によれば、付属情報を読み取れない場合であっても、オーディオ信号のレベルに基づいてダビングを開始したり、終了したりすることができるので、正確にオーディオ信号をダビングすることができる。つまり、シンクロ録音を正常に働かせることができる。
【0077】
また、同様に、曲番を更新できるので、適切な位置で曲を切り換えることもできる。つまり、オートマーカ機能を正常に働かせることもできる。
【0078】
したがって、このように記録したオーディオ信号を再生する場合に、ジャンプしたり、スキップしたりして、所望の曲の先頭から再生することができる。また、ランダム再生やプログラム再生なども実行することができる。
【0079】
なお、この実施例では、オーディオ信号の記録および再生が可能なオーディオ信号記録再生装置について示したが、記録のみが可能な装置であってもよい。
【0080】
また、この実施例では、オーディオ信号を記録する場合についてのみ示したが、動画像や静止画像のような画像に対応する画像データを記録する場合にも同様にしてシーン毎や1画面毎に画像を切り換えて記録することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図解図である。
【図2】図1実施例に示すオーディオ信号記録再生装置に入力されるディジタルデータの構成図である。
【図3】図2に示すUビットデータで形成されるCDおよびMDのQデータの構成図である。
【図4】図2に示すCビットデータで形成されるチャネルステータスのフォーマットを示す図解図である。
【図5】図1に示すインターフェイスから入力されるオーディオ信号のレベルの変化を示すタイミングチャートである。
【図6】図1実施例に示すシスコンの処理の一部を示すフロー図である。
【図7】図6に示すシスコンのソース側のスタート検出処理を示すフロー図である。
【図8】図6に示すシスコンの曲間判定処理の一部を示すフロー図である。
【図9】図6に示すシスコンの曲間判定処理の他の一部を示すフロー図である。
【図10】図6に示すシスコンのソース側のストップ検出処理の一部を示すフロー図である。
【図11】図6に示すシスコンのソース側のストップ検出処理の他の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
10 …オーディオ信号記録再生装置
14 …MD
24 …システムコントロールマイコン
28 …メモリコントローラ
32 …ATRACデコーダ
40 …ディジタルオーディオインターフェイス
42 …ATRACエンコーダ
48 …磁気ヘッド
50 …ピークホールド回路
52 …操作パネル

Claims (6)

  1. オーディオ信号およびその付属情報を入力し、前記オーディオ信号を記録媒体に記録するオーディオ信号記録装置において
    記付属情報に基づいて前記オーディオ信号の記録を制御する第1制御手段、
    前記オーディオ信号のレベルに基づいて前記オーディオ信号の記録を制御する第2制御手段、
    前記オーディオ信号の記録中に、前記付属情報が読み取れるかどうかを判別する判別手段、および
    前記判別手段によって前記付属情報が読み取れると判別されたとき前記第1制御手段を能動化し、前記判別手段によって前記付属情報が読み取れないと判別されたとき前記第2制御手段を能動化する第1能動化手段を備えることを特徴とする、オーディオ信号記録装置。
  2. 前記第1制御手段は、前記付属情報に含まれる時間情報に基づいて前記オーディオ信号の記録を制御する時間情報制御手段、および前記付属情報に含まれるインデックス情報に基づいて前記オーディオ信号の記録を制御するインデックス情報制御手段を含む、請求項1記載のオーディオ信号記録装置。
  3. 前記第2制御手段は、前記レベルが前記第1閾値を下回る時間が第1所定時間を超えたとき前記オーディオ信号を記録終了する記録終了手段を含む、請求項1または2記載のオーディオ信号記録装置。
  4. 前記オーディオ信号は複数曲分存在し、
    前記付属情報に基づいて前記オーディオ信号の曲番を更新する第1更新手段、
    前記オーディオ信号のレベルに基づいて前記オーディオ信号の曲番を更新する第2更新手段、および
    前記判別手段によって前記付属情報が読み取れると判別されたとき前記第1更新手段を能動化し、前記判別手段によって前記付属情報が読み取れないと判別されたとき前記第2更新手段を能動化する第2能動化手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載のオーディオ信号記録装置。
  5. 前記第1更新手段は、前記付属情報に含まれる曲番情報の変化に応じて記録する前記オーディオ信号の曲番を更新する、請求項4記載のオーディオ信号記録装置。
  6. 前記第2更新手段は、前記レベルを前記第1閾値より高い第2閾値と比較する第2比較手段、および前記レベルが前記第2閾値を下回ってから前記第2閾値を上回るまでの時間が第2所定時間を超えるとき曲番を更新する曲番更新手段を含む、請求項4または5記載のオーディオ信号記録装置。
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