JP3869390B2 - 部分かつら - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自毛とかつらの擬毛を混在させて装着する部分かつらに関する。
【0002】
【従来の技術】
部分かつらは、頭髪が薄い部分を隠したり、髪型をおしゃれに整えたりする場合に使用されている。
従来、部分かつらとして、図6に示すような擬毛植毛ベースを使用するものがある。この部分かつら61における擬毛植毛ベースは、図6に示すように、一対のネットベース62、63と複数本の線材ベース64、65の組み合わせからなり、対向位置に配置した一対のネットベース62、63と、ネットベース62、63の両端を連結する線材ベース64とによって環状体を形成し、この環状体の内部を複数本の線材ベース65によって分割し、線材ベース65間に空間部を設けた形状に形成されている。
このような環状体の擬毛植毛ベースを使用した部分かつら61は、ネットベース62、63に取り付けた装着クリップ66によって自毛を挟んで装着した後、複数本の線材ベース65相互間に形成された空間部からブラシなどを使用して自毛を引き出すことができるので、自毛と擬毛とが混じり合い、装着状態が自然で違和感が少ない。
【0003】
上記部分かつら61の擬毛植毛ベースは、上記のように、ネットベース62、63と、線材ベース64とによって形成した環状体の内部を、複数本の線材ベース65によって分割した形状に形成されているため、型崩れし難いという利点はあるものの、自毛を引き出す際に、ブラシが環状体に引っ掛かって、装着位置がずれ動いたりする場合がある。このため、自毛の引き出しを注意深く行う必要があり、装着に時間が掛かるという問題がある。
また、環状体に形成された擬毛植毛ベースを、頭部にしっかりと保持させるには、少なくとも、環状体の対向位置に、装着クリップ66を取り付ける必要があり、装着クリップ66の数だけ、製造コストが高くなるという問題と、重量が重くなって、頭部への負担が大きいという問題がある。
【0004】
ところで、従来、上記の例とは別タイプの部分かつらとして、図7に示すような擬毛植毛ベースを使用するものもある。
この部分かつら71の擬毛植毛ベースは、図7に示すように、ネットベース72に、複数本の線材ベース73を櫛形に設けた形状に形成されている(
【特許文献1】参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−34612号公報
【0006】
この櫛形の擬毛植毛ベースを使用する部分かつら71は、複数本の線材ベース73が櫛形に設けられているため、線材ベース73の間の空間から自毛を引き出す際に、ブラシが引っかかり難いという利点がある。
また、装着クリップ74の数も少なく、その分、製造コストも安く、軽量化も図れるという利点もある。
しかしながら、この櫛形の擬毛植毛ベースは、複数本の線材ベース73の一端だけがネットベース72に固定され、先端が固定されていないので、型崩れし易く、また、線材ベース73が装着者の頭部にぴったりと沿い難く、安定した装着感が得られ難いという問題がある。
また、複数本の線材ベース73の先端は、櫛歯のように尖っているため、線材ベース73の先端が、頭皮に当たると、頭皮を傷つけるおそれもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、装着時に自毛の引き出しが容易で、安定した装着感が得られ、しかも型崩れし難く、頭皮を傷つける恐れがない、部分かつらを得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、装着用クリップを取り付けたネットベースと、折り返し形状で、全体を装着する頭部に沿う形状に形成した、形状記憶素材製の線材ベースとからなり、前記線材ベースの両端を前記ネットベースに固定した擬毛植毛ベースを備える部分かつらとしたのである。
ここで、擬毛植毛ベースとは、擬毛を植え付けるベース部材のことである。
また、形状記憶素材とは、−20℃から200℃で超弾性効果を示す形状記憶素材であり、例えば、チタン−ニッケル形状記憶合金がある。超弾性効果とは、チタン−ニッケル形状記憶合金が、形状回復温度よりも高い温度領域において、外力を加えられて大きく変形しても、外力を取り除くと、直ちに元の形状に戻るという、ゴムのような弾力性を発揮する効果をいう。
【0009】
この発明の部分かつらの擬毛植毛ベースは、ネットベースに対し、折り返し形状の線材ベースの両端を固定した構造にすることにより、自毛を引き出す際に、折り返し形状の線材ベースが互いに開くため、自毛の引き出しが容易に行え、ブラシや櫛も引っ掛かり難い。
しかも、線材ベースの先端は、折り返し形状になっているため、先端で頭皮を傷つけることもない。
さらに、線材ベースは、形状記憶素材で、装着する頭部に沿う形状に形成しているため、線材ベースが、常に頭部にぴったりと当たるため、安定した装着状態が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図4に示すように、部分かつら1は、細かい網目のネットベース2に、折り返し形状で、装着する頭部に沿う5本の線材ベース3が並列して固定された擬毛植毛ベースを備える。上記ネットベース2の裏面には、装着クリップ4が取り付けられている。ネットベース2と線材ベース3には、擬毛5が植えられている。
【0011】
ネットベース2は、図2から図4に示すように、頭部の形状に沿うように湾曲させた、細かい網目の樹脂製ネットシートを2枚重ね、溶着により貼り合わせたものを使用している。ネットベース2の周囲には、擬毛5を縫い合わせるための縁かがり6を設けている。
【0012】
線材ベース3は、形状記憶合金製の線材によって形成され、2つに折り返した平行な直線部分を、図2、図4のように、全体を装着する頭部の形状に沿うように湾曲させ、熱処理により湾曲形状を維持するように、形状記憶させている。
この線材ベース3は、線材ベース3の両端をネットベース2を形成する2枚のネットシートの間に挟み、ネットシートに縫い付けることにより、ネットベース2に対して固定されている。
この部分かつら1では、図3のように、5本の線材ベース3を互いに独立して、間隔を空けて、並列状態に、ネットベース2に固定している。
【0013】
この線材ベース3には、形状記憶合金製の線材として、チタン―ニッケル形状記憶合金製の直径0.6mmの線材であって、−20℃から200℃で超弾性効果を示すものを使用している。このため、線材ベース3は、外力によって変形しても、形状記憶合金の超弾性効果により直ちに元の形状に戻る。また、線材ベース3は、装着する頭部の形状に沿うように曲げた形状で記憶させるので、その形状を維持し続ける。
【0014】
装着クリップ4には、くし歯を持つフレームの反りを反転させて、くし歯とフレームの隙間に自毛を挟持する、いわゆるワンタッチピンタイプのものを用いている。装着クリップ4は、ネットベース2の裏側に縫い付けて取付けられている。
擬毛5としては、人毛や人工毛、またはこれらを混在したものを用いることができる。擬毛5の植毛作業は、複数本の擬毛5を束にして、ネットベース2と線材ベース3の全体に括り付けるようにして行っている。
【0015】
この発明の第2の実施の形態である部分かつらを図5に基づき説明する。
この部分かつら51は、ネットベース52に、一本の線材ベース53を横方向に向けて固定した擬毛植毛ベースを備える。このネットベース52の裏面には、一つの装着クリップ54が取り付けられている。各部材については、上記の部分かつら1と同様である。この部分かつら51は、全体の大きさが小さいので、頭部の極狭い範囲を増毛するのに好適な部分かつらである。
このように、この発明において、線材ベースを設ける本数は、増毛する範囲に応じて増減すればよい。線材ベースの固定方向は、自毛の流れに合うようにネットベース2の両側に互いに反対向きに固定してもよく、また、放射状に固定してもよい。
【0016】
【発明の効果】
この発明によれば、この発明の部分かつらの擬毛植毛ベースは、ネットベースに対し、折り返し形状の線材ベースの両端を固定した構造としたので、部分かつらは、自毛を引き出す際に、折り返し形状の線材ベースが互いに開くため、自毛の引き出しが容易に行え、ブラシや櫛も引っ掛かり難いものとなる。
しかも、線材ベースの先端は、折り返し形状になっているため、先端で頭皮を傷つけることがない。
さらに、線材ベースは、形状記憶素材で、装着する頭部に沿う形状に形成しているため、線材ベースが、常に頭部にぴったりと当たるので、部分かつらは、安定した装着状態が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の部分かつらを示す裏面図である。
【図2】図1の部分かつらの一部を透過して示す全体斜視図である。
【図3】図1の部分かつらの擬毛植毛ベースの一部を透過して示す裏面図である。
【図4】図1の部分かつらの装着した状態を示す側面図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態の部分かつらの擬毛植毛ベースを示す裏面図でる。
【図6】従来の部分かつらの擬毛植毛ベースを示す裏面図である。
【図7】他の従来の部分かつらの擬毛植毛ベースを示す裏面図である。
【符号の説明】
1 部分かつら
2、52、62,63、72 ネットベース
3、53、64、65、73 線材ベース
4、54、66、74 装着クリップ
5 擬毛
6 縁かがり
51 第2の実施形態の部分かつら
61 環状体の擬毛植毛ベースを備える部分かつら
71 櫛形の擬毛植毛ベースを備える部分かつら
Claims (2)
- 装着用クリップを取り付けたネットベースと、折り返し形状で、全体を装着する頭部に沿う形状に形成した形状記憶素材製の線材ベースとからなり、前記線材ベースの両端を前記ネットベースに固定した擬毛植毛ベースを備える部分かつら。
- 複数本の前記線材ベースを、互いに間隔を空け、並列状態でネットベースに固定した擬毛植毛ベースを備える請求項1記載の部分かつら。
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JP2004353126A JP2004353126A (ja) | 2004-12-16 |
JP3869390B2 true JP3869390B2 (ja) | 2007-01-17 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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2003
- 2003-05-29 JP JP2003152756A patent/JP3869390B2/ja not_active Expired - Fee Related
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