JP3869231B2 - プレス成形装置及び光学素子の製造方法 - Google Patents

プレス成形装置及び光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、予備成形したガラス素材を加熱軟化した状態でプレス成形して所定の形状を付与するプレス成形装置及び光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学レンズ等の製造分野では、表面研磨を行わずに高精度のレンズ形状を得るため、ガラス素材を予め成形したプリフォームを用意し、このプリフォームを加熱軟化させたのち、高精度な成形面を持つ成形型を用いてプレス加工する方法が提案されている(特開2001−10829号等)。
【0003】
図7は、この種のプレス加工に用いられるプレス成形装置の基本構成を示すものである。図7に示したプレス成形装置は、上型502及び下型504よりなる成形型を備えている。上型502及び下型504は、いずれも、図中左右方向に長い長尺形状を有しており、支持体506,508によってそれぞれ支持されている。上型の支持体506は、固定軸510に取り付けられており、下側の支持体508はモータ機構等の駆動軸512に取り付けられている。上型502及び下型504の各対向面には、プリフォームにレンズ形状を付与するための複数の成形部514,516が形成されている。上型502及び下型504の間には、予め所望の形状に成形されたプリフォームが、図示しない加熱装置により105.5〜109ポアズの粘度に相当する温度に加熱された状態で搬送される。上型502及び下型504の周囲には、これらを加熱するための誘導加熱コイル518,520が設けられている。予め加熱された上型502及び下型504により軟化状態のプリフォームを挟み込んで加圧することにより、プリフォームに高精度の加工面が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上型502及び下型504は一方向に長い形状を有しているため、高周波誘導加熱により全体を均一に加熱することが難しいという問題がある。又、上型502及び下型504における温度分布を均一にするためには、上型502及び下型504をそれぞれ長手方向に分割することも考えられるが、分割された型が角(かど)を有していると、その角の部分が誘導加熱されやすくなり、却って温度差が大きくなるという問題がある。
【0005】
従って本発明の目的は、成形型における温度分布を均一にすることができるプレス成形装置及び光学素子の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対する複数の成形面で、複数の被成形体を同時にプレス成形することにより複数の光学素子を得るプレス成形装置であって、前記複数の成形面が一列になるように複数の成形型を配置してなり、該複数の成形型の隣り合う側の角を取ってなる成形型セットと、前記成形型セットの周囲に設けられて、前記複数の成形型の全てを囲むように巻回され、高周波誘導加熱により前記複数の成形型を一括して加熱する誘導加熱コイルと、を備えて構成される。
【0007】
このように、成形型セットを複数の成形型により構成すると共に、これら成形型の隣り合う側の角を取ることにより、高周波誘導加熱により過昇温しやすい角の部分を無くし、成形型における温度分布をより均一にすることができる。
【0008】
また、本発明は、前記複数の成形型をそれぞれ支持する複数の支持軸と、前記複数の支持軸を介して前記複数の成形型をそれぞれ開閉するように移動する駆動軸と、をさらに備えて構成してもよい。
【0009】
尚、本発明においては、前記成形型の角に対応する部分を面取りすることが好ましい。あるいは、前記成形型の角に対応する部分を曲面又は鈍角としてもよい。
【0010】
本発明は、又、相対する複数の成形面で、複数の被成形体を同時にプレス成形することにより複数の光学素子を得る光学素子の製造方法であって、前記複数の成形面が一列になるように複数の成形型を配置してなり、該複数の成形型の隣り合う側の角を取ってなる成形型セットを用意する工程と、前記成形型セットの周囲に設けられて、前記複数の成形型の全てを囲むように巻回された誘導加熱コイルを用いて、高周波誘導加熱により前記成形型セットの前記複数の成形型を一括して加熱する工程と、前記複数の被成形体を前記成形型セットの前記相対する成形面でプレス成形する工程と、プレス成形された光学素子を取り出す工程と、を含むものである。
【0011】
尚、本発明においては、前記各被成形体を、前記成形型よりも高い温度に加熱軟化したのち、前記成形型セットの前記相対する成形面の間に供給することが好ましい。この場合、前記各被成形体を、109ポアズ未満の粘度に相当する温度に加熱軟化したのち、前記成形型セットの前記相対する成形面の間に供給することが特に好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施形態に基いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置の要部構造を示す断面図である。このプレス成形装置は、ガラス素材を予め扁平な球形状に成形した被成形体としてのプリフォームを用いて、例えば直径17mmの中口径レンズを成形するものである。図1に示したように、このプレス成形装置は、上型102及び下型104よりなる成形型セットを備えている。上型102及び下型104は、いずれも図中左右方向に長い長尺形状を有しており、例えばタングステン合金により構成されている。上型102及び下型104の周囲には、それぞれ誘導加熱コイル122,124が設けられている。これら誘導加熱コイル122,124は、高周波誘導加熱により、上型102及び下型104をそれぞれ加熱するものである。
【0013】
上型102は、左右一対の成形型である上成形型102a,102bからなっており、下型104は、左右一対の成形型である下成形型104a,104bからなっている。上成形型102a,102bと下成形型104a,104bとは鉛直方向において互いに対向し合っている。上成形型102a,102bの上面には、支持板106a,106bがそれぞれ固定されており、支持板106a,106bの上面には上支持軸110a,110bがそれぞれ取り付けられている。上支持軸110a,110bは、共通の台座114を介して、固定軸118に取り付けられている。一方、下成形型104a,104bの下面には、支持板108a,108bがそれぞれ固定されており、支持板108a,108bの下面には下支持軸112a,112bがそれぞれ取り付けられている。下支持軸112a,112bは、共通の台座116を介して、駆動軸120に取り付けられている。駆動軸120は、ACサーボモータを備えた駆動機構により鉛直方向に直進駆動されるものであり、その軸心120aは、上型102及び下型104の各長手方向中心に対応している。駆動軸120が鉛直方向に移動すると、上型102と下型104との開閉が行われる。
【0014】
図2は、下型104(下成形型104a,104b)及びその周囲の誘導加熱コイル124を上方から見た平面図である。上型102(上成形型102a,102b)の平面形状は下型104と同様なので、図示を省略する。下成形型104a,104bは、下型104の長手方向における中心位置Oを挟んで互いに対称な形状を有している。下成形型104aは、長手方向に延びる2つの長辺202と、長辺202に直交する(かつ中心位置Oに最も近い)内側短辺204と、内側短辺204に対向する(かつ中心位置Oから最も離れた)外側短辺206とを有している。外側短辺206は、2つの長辺202の間隔(すなわち、上成形型102aの幅)の1/2と等しい半径を有する半円の円周を構成している。もう一方の下成形型104bは、中心位置Oを挟んで、下成形型104aと対称な形状を有している。下成形型104aの内側短辺204と、下成形型104bの内側短辺204との間には、0.5mm〜3mmの間隔が設けられていることが好ましい。
【0015】
誘導加熱コイル124は、下成形型104a,104bの両方を囲むよう、これら下成形型104a,104bの外周に倣った形状に巻回されている。尚、上成形型102a,102bの周囲に設けられた誘導加熱コイル122も、誘導加熱コイル124と同様の平面形状を有している。
【0016】
下成形型104aの上面には、プリフォームにガラス製品の形状を与える3つの成形面200が形成されており、下成形型104bの上面にも、同様の3つの成形面200が形成されている。これら6つの成形面200は、下成形型104a,104bの幅方向中心を規定する中心線M上に一列に配列されている。これら6つの成形面200においてプリフォームを加圧する面を、成形面A,B,C,D,E,Fとする。
【0017】
下成形型104a,104bは、隣り合う側の角を取った形状となっている。これは、角のある部分は、高周波誘導加熱を受けるとその部分が昇温しすぎる傾向があるため、角を取ることにより、下成形型104a,104bにおける温度分布を均一にするためである。具体的には、下成形型104a,104bの内側短辺204と長辺202との間のコーナー部分は曲面Rとなっている。この曲面Rは、下型104の幅Wの半分(W/2)未満の曲率半径を有する円弧であることが好ましい。尚、曲面形状Rの代わりに、面取りしてもよいし、コーナー部分を鈍角にしてもよい。あるいは、下成形型104a,104bの内側短辺204を曲面形状としてもよい。
【0018】
下成形型104a,104bにおける成形面A〜Fの配列は以下のとおりである。すなわち、成形面A,Bの間隔(配設ピッチ)d1、成形面B,Cの間隔d2、成形面D,Eの間隔d4及び成形面E,Fの間隔d5は、互いに略同じである。加えて、成形面Aと外側短辺206との間隔d0、及び成形面Fと外側短辺206との間隔d6も、上記間隔(d1等)と同じである。これに対し、中心位置Oを挟んで隣り合う成形面C,Dの間隔d3は、上記間隔(d1等)よりも大きく設定されている。又、成形面Cから内側短辺204までの最短距離d7は、成形面Cから長辺202までの最短距離d8と略同じであり、同様に、成形面Dから内側短辺204までの最短距離は、成形面Dから長辺202までの最短距離と略同じである。d0〜d8をこのように設定したのは、高周波誘導加熱の際の成形面A〜Fにおける温度差をできるだけ小さくするためである。
【0019】
尚、上述した下支持軸112a(図1)の水平面内における位置は、下成形型104aの成形面A〜Cの配列方向における中心位置(すなわち、成形面B)と対応している。同様に、下支持軸112b(図1)の水平面内における位置は、下成形型104bの成形面D〜Fの配列方向における中心位置(すなわち、成形面E)と対応している。これは、成形面A〜Fにおいてプリフォームにかかる圧力を均等にするためである。同様に、上支持軸110a,110bの水平面内における位置は、上成形型102a,102bの各中心位置にそれぞれ対応している。
【0020】
尚、下成形型104a,104bの中心位置O側の領域は、他の領域よりも温度が上昇し易い傾向があるため、この領域を局所的に空冷する空冷装置を設け、下成形型104a,104bの温度分布の均一化を図ることが好ましい。上成形型102a,102bについても、同様の空冷装置を設けることが好ましい。
【0021】
次に、本実施の形態に係るレンズ(ガラス光学素子)の製造方法について説明する。まず、誘導加熱コイル122,124の高周波誘導加熱により、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bを加熱する。次いで、予め扁平球形状に予備成形されたプリフォームを、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bよりも高い温度に予備加熱した状態で、図示しない搬送アームを用いて、下成形型104a,104b上に供給する。プリフォームを下成形型104a,104b上に供給する際には、図示しない位置決め装置を用いてプリフォームを下成形型104a,104bの成形面A〜F上に位置決めしつつ落下供給する。そののち、駆動軸120を上昇させ、上支持軸110a,110bと下支持軸112a,112bとを介して、上成形型102a,102bと下成形型104a,104bとを閉じる。これにより、上成形型102a,102bと下成形型104a,104bとの間で6個のプリフォームをプレスして所望の形状のレンズを成形する。プリフォームのプレスが完了すると、駆動軸120を下降させ、上型102及び下型104を開放させる。ついで、図示しない取出し装置により、下型104上に残った6個のレンズを吸着して取り出す。これにより、高精度に面加工されたレンズが得られる。
【0022】
次に、本実施の形態において、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bの角を取ったことによる効果について説明する。図3には、本実施の形態における下成形型104a,104bについて、幅方向中心を規定する中心線Mに沿った各位置における温度分布の測定結果を示す。なお、温度分布は、平均温度からの偏差で表す。比較のため、図4には、下成形型104a,104bの角を取らなかった場合(隣り合う側に直角コーナーを設けた場合)の温度分布の測定結果を示す。図4に示したように、角を取らなかった場合には、下成形型104a,104bの中心位置O寄りの領域が他の領域よりも高温になっており、全体で約30℃の温度差がある。これは、高周波誘導加熱の際、角の部分に熱が集中しやすくなるためと考えられる。これに対し、本実施の形態では、図3に示したように、下成形型104a,104bの全体の温度差は約10℃と極めて小さい。これは、角を取ったことにより、高周波誘導加熱の際の熱の局所的な集中を回避したためと考えられる。
【0023】
尚、下成形型104a,104bのコーナー部分を曲面Rとする代わりに面取りした場合、あるいは鈍角とした場合にも、温度分布を改善する効果がある。又、上成形型102a,102bについては説明を省略するが、下成形型104a,104bと同様、角を取った形状としたことによる温度分布の改善効果がある。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態に係るプレス成形装置によれば、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bの隣り合う側の角をなくしたので、高周波誘導加熱の際に局所的に昇温しやすい部分を無くすことができ、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bにおける温度分布を確実に均一化することができる。
【0025】
更に、上成形型102a,102bを上支持軸110a,110bで支持し、下成形型104a,104bを下支持軸112a,112bで支持するようにしたので、上成形型102a,102b及び下成形型104a,104bのプレス条件(プレス圧力等)を均等にすることができる。又、上支持軸110a,110bを共通の固定軸118に取り付け、下支持軸112a,112bを共通の駆動軸120に取り付けたので、一つの駆動機構で正確なプレス加工を行うことができる。
【0026】
加えて、上支持軸110a,110bが上成形型102a,102bのそれぞれの中央部を支持し、下支持軸112a,112bが下成形型104a,104bのそれぞれの中央部を支持するようにしたので、各成形面A〜Fのプリフォームに与える圧力を均等にすることができる。
【0027】
更に、上成形型102a,102bの間に0.5〜3mmの間隔を設けるようにしたので、上成形型102a,102bの相互干渉を無くし、良好なプレス加工を行うことができる。同様に、下成形型104a,104bの間に0.5〜3mmの間隔を設けるようにしたので、下成形型104a,104bの相互干渉を無くし、良好なプレス加工を行うことができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態に係るプレス成形装置の要部構造を示す断面図である。本実施の形態のプレス装置は、長尺形状の母型600と、この母型600により上下動可能に支持された4組の上型部材602及び下型部材604とからなる成形型60を2つ用いた成形型セットを備える。図5では、2つの成形型60のうち1つのみを示す。各成形型60は、上型部材602及び下型部材604がそれぞれ一列に配列されるよう構成されている。更に、2つの成形型60は、上型部材602及び下型部材604がそれぞれ一列に配列されるように(図5において左右方向に並んで)配置されている。この成形型セットの周囲には、当該成形型セットの外周にほぼ沿った略楕円形状に巻回する図示しない誘導加熱コイルが設けられている。
【0029】
上型部材602及び下型部材604は、超硬合金製であり、成形面(プリフォームPを加圧する面)には貴金属合金薄膜が被服されている。母型600はタングステン合金製であり、超硬合金より僅かに大きい熱膨張係数を有する。各成形型60は、トレー606に支持され、鉛直方向に駆動される下支持軸612の上端に取り付けられる。下支持軸612の上方には、固定された軸である上支持軸610が設けられている。下支持軸612を上昇させることにより、上型部材602が上支持軸610のヘッド(下端面)に当接し、これにより上型部材602と下型部材604との間でプレスが行われる。
【0030】
2つの成形型60の平面形状は、図3に示した下成形型104a,104bと同様である。すなわち、2つの成形型60は、隣り合う側の角を取った形状となっている。
【0031】
実施例として、このプレス成形装置により、バリウムホウケイ酸ガラス(転移点112℃、屈伏点545℃)の球状プリフォームPを用いて、外形15mmの両凸レンズを成形した。具体的には、球状プリフォームPを、母型600の上型部材602と下型部材604との間にセットし、この母型600をトレー606に載置して、不活性雰囲気に保たれた成形チャンバ(図示せず)内に入れ、下支持軸612(図1)上にトレー606を配置した。そののち、下支持軸612を上昇させ、成形型60が誘導加熱コイルの内側に位置するようにし、誘導加熱コイルに高周波電流を流して母型600を誘導加熱した。このとき、下側の成形面(下型部材604の上面)の温度を、下型部材604に挿入した型測温用熱電対により測定し、上側の成形面(上型部材602の下面)の温度を、上型部材602に挿入した型測温用熱電対により測定した。その結果、誘導加熱中の下側の成形面及び上側の成形面の温度偏差は、±10℃以下であった。次いで、誘導加熱コイルにより、プリフォームを596℃(ガラス粘度が109ポアズに相当する温度)に加熱したのち、下支持軸612を更に上昇させ、上型部材602の上面を上支持軸610のヘッドに当接させることにより、軟化したプリフォームPをプレスした。そののち、成形されたレンズの温度がガラス転移温度以下になるまで冷却したのち、下支持軸612を下降させ、成形されたレンズを成形型と共に取り出した。その結果、いずれのレンズも、偏った伸び方をすることがなく、アスの少ない面精度の良好なレンズが得られた。
【0032】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態に係るプレス成形装置の要部構造を示す側断面図である。本実施の形態に係るプレス成形装置は、長尺形状の上母型802及び下母型804にそれぞれ4組の上型部材812及び下型部材814を備えて構成した成形型80を2つ用いた成形型セットを備える。図6では、2つの成形型80のうち1つのみを示す。各成形型80は、成形面が一列に配置されるように、上型部材812及び下型部材814がそれぞれ一列に配列されるよう構成されている。更に、2つの成形型80からなる成形型セットは、上型部材812及び下型部材814がそれぞれ一列に配列されるように(図6では左右方向に並んで)配置されている。この成形型セットを囲むように、図示しない誘導加熱コイルが、当該成形型セットの外形にほぼ沿った略楕円形状に巻回している。上母型802は、固定された軸である上支持軸806により支持され、下母型804は、鉛直方向に駆動される下支持軸808に固定されている。
【0033】
上型部材812の外周には、下型部材814と狭いクリアランスで嵌合して滑動することによりレンズの上下面の軸ずれを防止するスリーブ816が設けられている。上母型802には、ガイドピン818が突設され、下母型804には、ガイドピン818に係合するガイド孔820が形成されている。上母型802及び下母型804はタングステン合金により構成されている。上型部材812、下型部材814及びスリーブ816は、焼結炭化ケイ素の表面にCVDにより形成された炭化ケイ素により構成されている。
【0034】
2つの成形型80の平面形状は、図3に示した下成形型104a,104bと同様である。すなわち、2つの成形型80は、隣り合う側の角を取った形状となっている。
【0035】
実施例として、このプレス成形装置により、バリウムホウケイ酸ガラス(転移点112℃、屈伏点545℃)をプレスして外形15mmの両凸形状のレンズ(1面が球面、他の1面が非球面)を成形した。具体的には、扁平球形状に熱間成形された表面欠陥の無いプリフォームを470℃に予熱し、これら4個のプリフォームを、約470℃に予熱された下母型804の4個の下型部材814上に供給した。そののち、直ちに、下母型804を上昇させて、予め470℃に予熱された上母型802に組み込んだ。このとき、ガイドピン818とガイド孔820とを係合させ、各スリーブ816が各下型部材814に嵌合させた。誘導加熱コイルの高周波誘導加熱により上下の母型802,804を加熱し、プリフォームを596℃(プリフォームの粘度が108ポアズになる温度)とした。このとき、下側の成形面(下型部材814の上面)及び上側の成形面(上型部材812の下面)における温度偏差を型温測定用熱電対を用いて測定したところ、温度偏差は±10℃以下であった。そののち、下母型804を上昇させて70Kg/cm2の圧力でプレス成形した。プレス完了後、成形されたレンズの温度がガラス転移点以下になるまで50℃/分の冷却速度で冷却した。このとき、レンズの収縮に対して上型部材812が追随し、上型部材812の自重のみがかかった状態で冷却された。すなわち、冷却中はレンズの上面と上型の接触が保たれていた。490℃まで降温したところで、下母型804を下降させて離型し、そのまま下母型804を成形室(図示せず)の下方まで下降させ、吸着パッドを用いて4個のレンズを取り出した。尚、取り出したレンズは必要に応じ、その後、アニ−ルする場合もある。その結果、各型(上下の母型802,804、上型部材812及び下型部材814)において、ほぼ均等な加熱及び冷却が行われた。得られたレンズはいずれも高面精度で、表面品質も良好であり、心取り加工後の偏心も良好であった。
【0036】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るプレス成形装置は、上母型802及び下母型804にそれぞれ6個の上型部材812及び下型部材814を組み込んだ以外は、上記第3の実施の形態と同様に構成された2つの成形型を用いた成形型セットを備える。上母型、下母型、上型部材及び下型部材は、いずれも第3の実施の形態と同様(上型部材及び下型部材の個数を除く)に構成されているため、それぞれ第3の実施の形態と同様の符号を用いて説明する。2つの成形型の平面形状は、図3に示した下成形型104a,104bと同様である。すなわち、2つの成形型は、隣り合う側の角を取った形状となっている。
【0037】
実施例として、このプレス成形装置を用いて、直径10mmの両凸レンズを成形した。まず、誘導加熱コイルにより上母型802及び下母型804を誘導加熱し、表1に示した型温度が得られるようにした。尚、型温度は、表1に示したように3通りに設定した。下側の成形面(下型部材814の上面)及び上側の成形面(上型部材812の下面)の温度偏差を型温測定用熱電対により測定したところ、温度偏差は±10℃以内であった。
【0038】
【表1】
Figure 0003869231
【0039】
次いで、6個のプリフォームを、図示しない搬送アーム上において気流により浮上させて搬送した。そののち、搬送アームを6個の下型部材814の直上に配置して、プリフォームを下型部材814上に同時に落下供給した。尚、プリフォームの予熱温度は、表1に示したように3通りに設定した。そののち、直ちに搬送アームを下母型804上から退避させ、誘導加熱コイルの電流を切り、下支持軸808を上昇させて70kg/cm2の圧力でプレスした。プレス完了後、成形されたレンズの温度がガラス転移点以下になるまで冷却した。尚、冷却中、レンズにかかる圧力は、上母型802の自重のみとなるようにした。そののち、下母型804を約20mm下降させて離型し、吸着パッドを用いてレンズを取り出した。そして、誘導加熱コイルにより、上下の母型の温度を直ちにプレス開始温度に回復させ、次の成形を同様にして行った。
【0040】
その結果、表1に示したいずれの成形条件においても、品質の良好なレンズが連続して得られた。すなわち、本実施の形態によると、非常に早い生産速度で、高い効率で、多量のレンズが連続生産できることが分かった。
【0041】
比較例として、第4の実施の形態の成形型の角を取らないもの(図4参照)を用い、第4の実施の形態において説明した実施例と同様の条件で、レンズを作成した。その結果、6つの成形面のうち、両端を除く4つの成形面(図4における成形面B〜Eに対応)で成形したレンズには伸び不良が発生し、良好な面精度は得られなかった。
【0042】
以上、本発明の実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明は前記実施形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基いてその変更、改良等が可能であることは明らかである。例えば、前記実施形態では、上下にそれぞれ2つの成形型(上成形型102a,102b及び下成形型104a,104b)を備えた成形型セットを用いたが、それぞれ3つ以上の成形型を備えるものであってもよい。尚、それぞれの成形型は、(その成形型が構成する成形型セットの長手方向における)幅が互いに等しいことが好ましい。更に、前記実施形態では、上型102及び下型104に成形面をそれぞれ6個形成したが、成形面の数は5個以下あるいは7個以上であってもよい。又、各成形型に形成する成形面の数は、1つであってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、以上の如く本発明によれば、成形型セットを複数の成形型により構成すると共に、これら成形型の隣り合う側の角を取るようにしたので、高周波誘導加熱の際の熱の局所的な集中を抑制し、当該成形型に形成された成形面間の温度のばらつきを小さくすることができる。これにより、複数の光学素子を高い精度で加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプレス成形装置の要部構造を示す断面図である。
【図2】図1に示したプレス成形装置の下型の平面形状を示す平面図である。
【図3】本実施の形態における効果を説明するための温度分布を示す図である。
【図4】本実施の形態に対する比較例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る成形型の構造を示す断面図である。
【図6】第3の実施の形態に係る成形型の構造を示す断面図である。
【図7】従来のプレス成形装置の基本構成を示す概略図である。
【符号の説明】
60,80 成形型
102 上型
102a,102b 上成形型
104 下型
104a,104b 下成形型
106a,106b,108a,108b 支持板
110a,110b,112a,112b 支持軸
112 駆動軸
118 固定軸
120 駆動軸
122,124 誘導加熱コイル
200 成形面
600 母型
610,806 上支持軸
612,808 下支持軸
802 上母型
804 下母型

Claims (7)

  1. 相対する複数の成形面で、複数の被成形体を同時にプレス成形することにより複数の光学素子を得るプレス成形装置であって、
    前記複数の成形面が一列になるように複数の成形型を配置してなり、該複数の成形型の隣り合う側の角を取ってなる成形型セットと、
    前記成形型セットの周囲に設けられて、前記複数の成形型の全てを囲むように巻回され、高周波誘導加熱により前記複数の成形型を一括して加熱する誘導加熱コイルと、
    を備えたことを特徴とするプレス成形装置。
  2. 前記複数の成形型をそれぞれ支持する複数の支持軸と、
    前記複数の支持軸を介して前記複数の成形型をそれぞれ開閉するように移動する駆動軸と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
  3. 前記成形型セットにおいて、前記各成形型の角に対応する部分を面取りしたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプレス成形装置。
  4. 前記成形型セットにおいて、前記各成形型の角に対応する部分を曲面又は鈍角としたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプレス成形装置。
  5. 相対する複数の成形面で、複数の被成形体を同時にプレス成形することにより複数の光学素子を得る光学素子の製造方法であって、
    前記複数の成形面が一列になるように複数の成形型を配置してなり、該複数の成形型の隣り合う側の角を取ってなる成形型セットを用意する工程と、
    前記成形型セットの周囲に設けられて、前記複数の成形型の全てを囲むように巻回された誘導加熱コイルを用いて、高周波誘導加熱により前記成形型セットの前記複数の成形型を一括して加熱する工程と、
    前記複数の被成形体を前記成形型セットの前記相対する成形面でプレス成形する工程と、
    プレス成形された光学素子を取り出す工程と、
    を含む光学素子の製造方法。
  6. 前記各被成形体を、前記成形型よりも高い温度に加熱軟化したのち、前記成形型セットの前記相対する成形面の間に供給することを特徴とする請求項5に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記各被成形体を、10ポアズ未満の粘度に相当する温度に加熱軟化したのち、前記成形型セットの前記相対する成形面の間に供給することを特徴とする請求項5〜6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
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