JP3868825B2 - 防火用シャッター装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災の発生時にシャッターカーテンが閉鎖動を行って火災の延焼の防止等を図るために利用される防火用シャッター装置に関する。
【0002】
【背景技術】
建物内には、火災の発生時に閉鎖動を行うシャッターカーテンを備えた防火用シャッター装置を設置することが求められ、シャッターカーテンが閉鎖動を行うことにより、防火区画の形成や避難者のための避難路の確保等の火災発生時に必要とされる建物内状況が創出される。
【0003】
この防火用シャッター装置は、防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、シャッターカーテンの移動を案内するとともに、シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備えたものとなっている。そして、シャッターカーテンの幅方向の縁部に抜け止め部が設けられた防火用シャッター装置と、抜け止め部が設けられていない防火用シャッター装置とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガイド構造体は金属で形成されており、このため、火災発生時にこのガイド構造体は加熱されて高温となるが、加熱される側の面は火災発生側の面である。このため、加熱される側の面と、この面とは反対側の面との間に大きな温度差が生じた場合や、ガイド構造体がその長さ方向の複数箇所、例えば、天井と床の2箇所で固定され、このためガイド構造体がシャッターカーテン移動方向に不動状態となっている場合には、ガイド構造体は熱によって湾曲変形することになる。このような大きな湾曲変形がガイド構造体に生ずると、シャッターカーテンの幅方向の縁部がガイド構造体から抜け出すおそれが生じる。
【0005】
従来提案されている防火用シャッター装置のなかに、火災発生時におけるこのようなガイド構造体の熱変形を充分考慮したものを見出すことはできない。
【0006】
本発明の目的は、火災発生時にガイド構造体が加熱されてもシャッターカーテンの幅方向の縁部がガイド構造体から抜け出すのを防止できるようになる防火用シャッター装置を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る防火用シャッター装置は、防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、これらの外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部が断熱状態となっていることを特徴とするものである。
【0008】
この防火用シャッター装置によると、火災が発生し、これによりガイド構造体の火災発生側の面が加熱された場合には、この面と同じ側の外ガイド部材の面は高温となるが、内ガイド部材は外ガイド部材と少なくとも一部が断熱状態となっているため、内ガイド部材は直ちに外ガイド部材と同じ温度まで昇温せず、このため、火災発生からある時間が経過するまで、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまで、内ガイド部材は大きく湾曲等の変形を行わない。したがって、この時間が経過するまでは、内ガイド部材の内部に挿入されているシャッターカーテンの幅方向の縁部が内ガイド部材から抜け出すのを防止できる。
【0009】
なお、この防火用シャッター装置において、外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部を断熱状態とすることとは、外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部に隙間を設けることでもよく、外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部に断熱材を介入することでもよく、要するに、外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部に断熱層を設ければよい。
【0010】
また、本発明に係る防火用シャッター装置は、防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、前記外ガイド部材よりも前記内ガイド部材の熱容量が小さいことを特徴とするである。
【0011】
この防火用シャッター装置によると、火災が発生し、これによりガイド構造体の火災発生側の面が加熱されることにより、この面と同じ側の外ガイド部材の面が加熱されて高温になると、内ガイド部材は外ガイド部材よりも熱容量が小さいため、内ガイド部材の火災発生側の面も高温になるとともに、内ガイド部材全体が短時間で高温となる。このため、内ガイド部材が大きく湾曲等の変形を行うことはなく、したがって、内ガイド部材の内部に挿入されているシャッターカーテンの幅方向の縁部が内ガイド部材から抜け出すのを防止できる。
【0012】
なお、この防火用シャッター装置において、外ガイド部材よりも内ガイド部材の熱容量を小さくすることとは、外ガイド部材よりも内ガイド部材の体積を小さくすることでもよく、内ガイド部材を外ガイド部材よりも比熱が小さい材料で形成することでもよく、これらを複合させることでもよい。
【0013】
また、本発明に係る防火用シャッター装置は、防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、前記シャッターカーテンの移動方向に不動となった外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、この内ガイド部材が前記外ガイド部材に対して前記シャッターカーテンの移動方向に遊動可能となっていることを特徴とするものである。
【0014】
この防火用シャッター装置によると、ガイド構造体が、外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置された内ガイド部材とを含んで形成され、外ガイド部材がシャッターカーテンの移動方向において、すなわち、この外ガイド部材の長さ方向において、外ガイド部材を結合するための建物躯体等の不動部材に不動となって結合され、このため、火災の発生により、外ガイド部材が複数個の不動部材同士の間の非結合箇所において大きく湾曲変形しても、内ガイド部材は外ガイド部材に対してシャッターカーテンの移動方向に遊動可能となっているため、火災の熱が伝達された内ガイド部材はシャッターカーテンの移動方向へ自由に伸び変形し、大きく湾曲変形することはない。これにより、内ガイド部材の内部に挿入されているシャッターカーテンの幅方向の縁部が内ガイド部材から抜け出すのを防止できることになる。
【0015】
なお、この防火用シャッター装置において、外ガイド部材の内側に配置された内ガイド部材を外ガイド部材に対してシャッターカーテンの移動方向に遊動可能にすることとは、内ガイド部材を外ガイド部材に対して全くの不拘束状態で配置することでもよく、あるいは、内ガイド部材と外ガイド部材のうちの一方に設けたボルト、ピン、リベット等による突起を、他方に設けたシャッターカーテンの移動方向に長い長孔に挿入することにより、内ガイド部材を外ガイド部材に対して一定距離だけシャッターカーテンの移動方向に移動可能に配置することでもよい。
【0016】
後者によると、ガイド構造体を所定場所に取り付けるなどの施工時において、外ガイド部材の内側に内ガイド部材を配置した状態でこの施工作業を行っても、突起と長孔との係止によって内ガイド部材は外ガイド部材から抜け出ないため、これらの外ガイド部材と内ガイド部材の取り扱いを容易に行えるようになる。
【0017】
また、このように内ガイド部材を外ガイド部材に対してシャッターカーテンの移動方向に遊動可能とすることを、前述した2つの本発明に係る防火用シャッター装置のうちのいずれか一方と組み合わせることもできる。すなわち、外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部を断熱状態とするとともに、内ガイド部材を外ガイド部材に対してシャッターカーテンの移動方向に遊動可能にしてもよく、外ガイド部材よりも内ガイド部材の熱容量を小さくするとともに、内ガイド部材を外ガイド部材に対してシャッターカーテンの移動方向に遊動可能にしてもよい。これによると、それぞれの発明についての相乗的効果を期待できることになる。
【0018】
以上のそれぞれの本発明に係る防火用シャッター装置において、シャッターカーテンの幅方向の縁部に抜け止め部を設けてもよく、抜け止め部を設けなくてもよい。
【0019】
また、以上のそれぞれの本発明に係る防火用シャッター装置において、内ガイド部材の内部にシャッターカーテンの幅方向の縁部をシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入し、この縁部に抜け止め部を設け、この抜け止め部を内ガイド部材の内部に抜け止めしてシャッターカーテンの移動方向にスライド自在に挿入するためには、抜け止め部に係止する係止部を内ガイド部材に設け、この係止部による係止作用によって抜け止め部の内ガイド部材からの抜け出しを直接的に防止してもよく、あるいは、抜け止め部に係止する係止部を外ガイド部材に設け、外ガイド部材が加熱されたときにこの係止部が熱変形するのを阻止する阻止部を内ガイド部材に設け、この阻止部の阻止力が作用する外ガイド部材の係止部を介して抜け止め部の内ガイド部材からの抜け出しを間接的に防止してもよい。
【0020】
これらの場合において、内ガイド部材及び外ガイド部材に設ける係止部と、内ガイド部材に設ける阻止部は、内ガイド部材、外ガイド部材の一部に形成された内ガイド部材、外ガイド部材の一部分でもよく、内ガイド部材、外ガイド部材とは別に用意した部材を内ガイド部材、外ガイド部材に結合することにより形成されたものでもよい。
【0021】
内ガイド部材に上記係止部を設ける場合の一例は、外ガイド部材に、この外ガイド部材の内部にシャッターカーテンの縁部を挿入するためのスリットを形成する一対の案内壁部をシャッターカーテンの厚さ方向に離間して設け、抜け止め部が内部に挿入された内ガイド部材には、これらの案内壁部とシャッターカーテン幅方向に対向するとともに、シャッターカーテンの厚さ方向への幅成分を有していて抜け止め部を係止する抜け止め部係止部を設けることである。
【0022】
これによると、火災の発生で外ガイド部材が加熱され、この外ガイド部材に一対設けられている案内壁部のうちの少なくとも一方が他方から離れる方向に変形しても、シャッターカーテンに設けられている抜け止め部は内ガイド部材の抜け止め部係止部に係止されているため、この内ガイド部材からの抜け止め部が抜け出すのを防止することができる。
【0023】
なお、この場合における案内壁部は、幅方向がシャッターカーテンの幅方向となったものでもよく、シャッターカーテンの厚さ方向となったものでもよい。
【0024】
また、内ガイド部材に上記阻止部を設ける場合の一例は、外ガイド部材に、この外ガイド部材の内部にシャッターカーテンの縁部を挿入するためのスリットを形成していて抜け止め部を係止する一対の係止部をシャッターカーテンの厚さ方向に離間して設け、抜け止め部が内部に挿入された内ガイド部材には、これらの係止部のうちの少なくとも一方がシャッターカーテンの厚さ方向へ拡開変形するのを阻止する係止部拡開変形阻止部を設けることである。
【0025】
これによると、火災の発生で外ガイド部材が加熱され、この外ガイド部材に一対設けられている係止部のうちの少なくとも一方が他方から離れる方向に変形しようとしても、この変形は、内ガイド部材に設けられた係止部拡開変形阻止部に阻止されることになる。したがって、一対の係止部の間のスリットを抜け止め部が通過してこの抜け止め部が内ガイド部材から抜け出すのを防止することができる。
【0026】
なお、この場合における係止部は、幅方向がシャッターカーテンの幅方向となったものでもよく、シャッターカーテンの厚さ方向となったものでもよい。
【0027】
また、本発明に係る防火用シャッター装置は、防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、前記シャッターカーテンの移動方向に不動となった保持部材と、この保持部材で前記シャッターカーテンの移動方向に遊動可能に保持され、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向にスライド自在に挿入されたガイド部材とを含んで形成されていることを特徴とするものである。
【0028】
この防火用シャッター装置によると、内部にシャッターカーテンの幅方向の縁部がシャッターカーテンの移動方向にスライド自在に挿入されたガイド部材は、保持部材によってシャッターカーテンの移動方向、すなわち、ガイド部材の長さ方向に遊動可能に保持されているため、火災の発生によりガイド部材が全体的に高温になると、このガイド部材は保持部材に拘束されずにガイド部材の長さ方向に自由に伸び変形し、大きく湾曲変形することはない。このため、ガイド部材の内部に挿入されているシャッターカーテンの幅方向の縁部がガイド部材から抜け出すのを防止できることになる。
【0029】
また、この防火用シャッター装置において、シャッターカーテンの幅方向の縁部に抜け止め部を設けてもよく、抜け止め部を設けなくてもよい。
【0030】
そして、シャッターカーテンの幅方向の縁部に抜け止め部を設ける場合には、この防火用シャッター装置では、ガイド部材に、シャッターカーテンの抜け止め部に係止してこの抜け止め部がガイド部材の内部から抜け出すのを防止する係止部が設けられるが、この係止部は、ガイド部材の一部に形成されたガイド部材の一部分でもよく、ガイド部材とは別に用意した部材をガイド部材に結合することにより形成されたものでもよい。また、この係止部は、幅方向がシャッターカーテンの幅方向となったものでもよく、シャッターカーテンの厚さ方向となったものでもよい。
【0031】
以上のそれぞれの本発明に係る防火用シャッター装置において、シャッターカーテンの全部又は主要部は、シートで形成してもよく、スラットの連設で形成してもよく、パネルの連設で形成してもよく、その他のカーテン形成部材で形成してもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合で形成してもよい。
【0032】
また、シャッターカーテンの移動は、シャッターカーテンの巻取軸への巻き取り、繰り出しでなされてもよく、スライディングオーバーヘッドドアのように、シャッターカーテン全体の移動でなされてもよく、パネル等の複数のカーテン形成部材の連結による連設と分離による重合とでなされてもよい。
【0033】
また、シャッターカーテンの移動方向は、鉛直方向でもよく、水平方向でもよく、これらの方向に対する傾き角度を有する方向でもよい。また、シャッターカーテンの移動方向の途中に屈曲した角度が設けられていてもよく、移動方向が全体的に湾曲していてもよい。
【0034】
さらに、それぞれの本発明に係る防火用シャッター装置は、建物はもちろんのこと、地下街や船舶等の構造物に設置される防火用シャッター装置としても適用できる。
【0035】
また、以上のそれぞれの本発明に係る防火用シャッター装置は、シャッターカーテンが火災発生時の閉鎖動のみを行うようにそのシャッターカーテンの移動機構が設定されたものでもよく、シャッターカーテンが、この閉鎖動と、試験運転や避難訓練等を考慮した開放動との両方を行うようにそのシャッターカーテンの移動機構が設定されたものでもよく、防火性を備えるシャッターカーテンが日常的に、すなわち、必要に応じて任意に閉鎖動と開放動の両方を行うようにそのシャッターカーテンの移動機構が設定されたものでもよく、本発明は、防火性を備えた通常の開閉用シャッター装置にも適用できる。
【0036】
そして、シャッターカーテンの閉鎖動は、手動操作による手動式、モータ等の駆動力を使用する自動式、シャッターカーテンの自重やウェイト部材の重量を利用する重力利用式のいずれでもよく、開放動も手動式、自動式、重力利用式のいずれでもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る防火用シャッター装置は建物に設置されるものであり、初めにこの防火用シャッター装置の全体構造を、この装置の全体正面図である図1によって説明する。
【0038】
防災用シャッター装置の巻取軸1は、天井部材2で室内空間3から仕切られた天井裏空間4に水平方向を軸方向として配置され、巻取軸1の軸方向両端部は保持部材である左右一対のブラケット5で回転自在に保持されている。これらのブラケット5は、天井裏空間4に存在する建物躯体6に結合されている。巻取軸1にはシャッターカーテン7の上端部が結合されており、このシャッターカーテン7は、カーテン本体7Aと、このカーテン本体の下端に設けられた座板7Bとを有する。カーテン本体7Aの全部又は大部分は、ガラスクロス又はシリカクロスによる防火性と防煙性を有するシート又はこのシートに耐火塗料等を塗布及び/又は含侵させて形成され、このようにシート式となっているシャッターカーテン7は、平常時には巻取軸1に巻き取られている。
【0039】
巻取軸1からのシャッターカーテン7の繰り出し、巻き取りは巻取軸1の正逆回転によってなされ、シャッターカーテン7の幅方向両側の縁部は、室内空間3の左右両側に形成された柱、壁等の建物躯体8に取り付けられているガイド構造体9に図1では図示しない抜け止め部材で抜け止めされてスライド自在に挿入されているため、巻取軸1の正逆回転によって天井部材2に配設されているまぐさ10を通過して行われるシャッターカーテン7の上下方向への移動である閉鎖動、開放動は、シャッターカーテン7の幅方向両側に配置されていて、鉛直方向を長さ方向としているこれらのガイド構造体9で案内されながら行われる。
【0040】
左右一対のブラケット5のうち一方のブラケット5には、モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機11が取り付けられ、この開閉機11は巻取軸1とチェーン、スプロケット等からなる伝動手段12を介して連結されている。火災発生によって図示しない手動レバーが操作されることにより、又は図示しないセンサが煙あるいは熱等を検出してこの検出信号が開閉機11の制御装置に送られることにより、開閉機11のブレーキが解除され、これによりシャッターカーテン7は座板7Bの重量を含む自重で巻取軸1を回転させながら下降する閉鎖動を行い、座板7Bが相手部材である床13に接触してシャッターカーテン7が全閉となることにより、シャッターカーテン7で室内空間3に防火区画が形成される。
【0041】
また、図示しないスイッチを操作すると、開閉機11のモータが駆動され、これにより、巻取軸1の回転でシャッターカーテン7が巻取軸1に巻き取られ、シャッターカーテン7は開放動を行う。
【0042】
図2は、図1S2−S2線断面図である。この図2で示されているように、それぞれのガイド構造体9は、建物躯体8に外面の一部が接触して鉛直に配置された金属製の外ガイド部材20と、この外ガイド部材20の内側に配置された金属製の内ガイド部材21とで形成されている。外ガイド部材20は、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部20Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部20B、後面部20Cと、これらの前面部20B、後面部20Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の内側面部20D,20Eと、これらの内側面部20D,20Eの先端からシャッターカーテン7の幅方向外側へ延びる一対の案内壁部20F,20Gとからなる。シャッターカーテン7の厚さ方向に離間していて幅方向がシャッターカーテン7の幅方向となっているこれらの案内壁部20F,20Gにより、シャッターカーテン7の幅方向の縁部を外ガイド部材20の内部に挿入するためのスリットSが形成されている。
【0043】
また、内ガイド部材21は、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部21Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部21B、後面部21Cと、これらの前面部21B、後面部21Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の抜け止め部係止部21D,21Eとからなる。これらの抜け止め部係止部21D,21Eの間の隙間からシャッターカーテン7の幅方向の縁部が内ガイド部材21の内部に挿入され、この縁部に、この縁部が内ガイド部材21から抜け出すのを止めるための抜け止め部22が取り付けられ、この抜け止め部22は、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に複数個設けられている。
【0044】
本実施形態では、それぞれの抜け止め部22は、ボルト23の頭部23Aと、シャッターカーテン7を貫通したこのボルト23の軸部に螺合されたナット24とからなる。シャッターカーテン7の厚さ方向がそれぞれの幅方向となっている一対の係止部21D,21Eの間の隙間の大きさは、この抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも小さいため、抜け止め部22が係止部21D,21Eに係止されることにより、内ガイド部材21の内部からの抜け止め部22の抜け出しが防止されている。
また、外ガイド部材20の一対の案内壁部20F,20Gの間隔、言い換えるとスリットSの大きさも、抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも小さい。そして、これらの案内壁部20F,20Gの通常時の間隔は、係止部21D,21Eの間の隙間よりも少し大きく、したがって、係止部21D,21Eは案内壁部20F,20Gとシャッターカーテン7の幅方向に対向しているとともに、案内壁部20F、20GがスリットSの大きさを拡大する方向へ前記外側面部20A側を中心に大きく拡開変形しても、案内壁部20F,20Gが係止部21D,21Eから外れないようになっており、このときでも、抜け止め部22は係止部21D,21Eに係止されるようになっている。
【0045】
以上の外ガイド部材20についての断面形状及び内ガイド部材21についての断面形状は、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に連続しているため、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放動を通して、抜け止め部22によるシャッターカーテン7の縁部のガイド構造体9からの抜け止め、具体的には内ガイド部材21からの抜け止めがなされるようになっており、抜け止め部22は、係止部21D,21Eによる抜け止め作用を受けながら、内ガイド部材21の内部でシャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向へスライド自在となっている。
【0046】
なお、外ガイド部材20のスリットSにシャッターカーテン7と接触するモヘヤ等による遮煙部材を設けることにより、火災の発生時に煙がガイド構造体9の内部を通過してシャッターカーテン7の前後へ流通するのを遮断するようにしてもよい。また、このような遮煙部材は、図1の天井部材2に設けられているまぐさ10によるシャッターカーテン7の通過用の隙間に設けてもよい。
【0047】
以上において、図2で示されているように、外ガイド部材20の内部に挿入されている内ガイド部材21の大きさは、この内ガイド部材21の長さ方向と直交する断面における内ガイド部材21の全周に亘り内ガイド部材21と外ガイド部材20との間に隙間ができる大きさとなっている。このため、内ガイド部材21が抜け止め部22を係止部21D,21Eで抜け止めしながらシャッターカーテン7の閉鎖及び開放動を案内しているとき及びシャッターカーテン7が全閉となっているときには、外ガイド部材20と内ガイド部材21は一部で接触するが、他の部分では非接触となり、外ガイド部材20と内ガイド部材21との間を断熱状態とするこの非接触の部分の面積が、接触の部分の面積よりも大きくなるようになっている。
【0048】
また、外ガイド部材20は、図1で示した天井部材2や床13、さらには建物躯体8にビス等の止着具で結合され、したがって外ガイド部材20は、外ガイド部材20の長さ方向の複数箇所で天井部材2等の不動部材に取り付けられて不動となっているが、外ガイド部材20と同じ又は略同じ長さ寸法となっている内ガイド部材21は、外ガイド部材20の内部に単に挿入されているだけであるため、内ガイド部材21は、内ガイド部材21の長さ方向、すなわちシャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に外ガイド部材20に対して遊動可能になっている。
【0049】
以上説明した図2の実施形態において、外ガイド部材20の前面部20B側の室内空間で火災が発生すると、前述したとおり、シャッターカーテン7は閉鎖動を行って全閉状態となる。また、火災発生現場が外ガイド部材20に近いときには、この外ガイド部材20の前面部20Bが加熱され、火災発生からある時間が経過するまでは、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまでは、前面部20Bとは反対側の後面部20Cの温度はそれ程上がらないため、これらの前面部20Bと後面部20Cにはその温度差に基づく熱膨張差が生ずる。また、外ガイド部材20が、前述したように、その長さ方向の複数箇所で天井部材2等の不動部材に結合されていることから、外ガイド部材20の前面部20Bは、複数個の結合箇所の間の非結合箇所において大きく湾曲変形することになり、図2の2点鎖線は、このように湾曲変形したときの前面部20B’を示している。
【0050】
このように前面部20Bが大きく湾曲変形すると、一対の案内壁部20F,20Gの間隔は大きくなるが、このように前面部20Bが湾曲変形しても、この前面部20Bと前記内側面部20Dを介して連結されている案内壁部20Fは、内ガイド部材21の抜け止め部係止部21Dとシャッターカーテン7の幅方向に対向する状態を継続するため、案内壁部20F、20Gによる係止作用により、内ガイド部材21が外ガイド部材20の内部から脱出することはない。
【0051】
そして、シャッターカーテン7に設けられている抜け止め部22は、この抜け止め部22に係止する抜け止め部係止部21D,21Eを備えた内ガイド部材21の内部に挿入され、この内ガイド部材21は、前述したように、外ガイド部材20と一部のみが接触して他の部分は非接触となっており、この非接触の部分で内ガイド部材21は外ガイド部材20と断熱状態になっているため、外ガイド部材20の熱は内ガイド部材21に短時間に伝達されず、また、内ガイド部材21は外ガイド部材20に対して内ガイド部材21の長さ方向へ遊動可能になっているため、外ガイド部材20の熱が内ガイド部材21に伝達されても、内ガイド部材21は、外ガイド部材20と異なり、大きく湾曲することはないため、少なくとも火災発生からある時間が経過するまでの間は、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまでの間は、内ガイド部材21の抜け止め部係止部21D,21Eによる抜け止め部22の係止作用は維持され、これにより、シャッターカーテン7の幅方向の縁部がガイド構造体9から抜け出すことが阻止される。
【0052】
なお、この実施形態において、外ガイド部材20の後面部20C側の室内空間で火災が発生した場合には、この後面部20Cの大面積は建物躯体8で覆われているため、この後面部20Dが少なくとも火災発生からある時間が経過するまでの間に、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまでの間に、高温に加熱されることはない。
【0053】
図3は、第2実施形態に係るガイド構造体9を示し、図4は、図3のS4−S4線断面図である。この実施形態では、外ガイド部材20の外側面部20Aにスタッドボルト25が内ガイド部材21側へ向けて突設され、内ガイド部材21の外側面部21Aには、図4で示すように、内ガイド部材21の長さ方向に長い長孔26が形成されている。この長孔26に挿入されて内ガイド部材21の内部に突出したスタッドボルト25の先端にダブルナット27が螺締されている。
【0054】
このようなスタッドボルト25と長孔26は、外ガイド部材20及び内ガイド部材21の長さ方向に複数設けられている。
【0055】
この実施形態によっても、長孔26により内ガイド21を外ガイド部材20に対して内ガイド部材21の長さ方向に遊動自在とすることができる。また、この実施形態によると、外ガイド部材20と内ガイド部材21からなるガイド構造体9を施工現場の建物躯体8に取り付けるまで、内ガイド部材21を外ガイド部材20から抜け落ちるのを防止してガイド構造体9を取り扱うことができるため、その取り扱い性を良好にできる。
【0056】
図5は、第3実施形態に係るガイド構造体9を示す。この実施形態における外ガイド部材30の形状は、図2の外ガイド部材20と基本的に同じである。すなわち、外ガイド部材30は、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部30Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部30B、後面部30Cと、これらの前面部30B、後面部30Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の内側面部30D,30Eと、これらの内側面部30D,30Eの先端からシャッターカーテン7の幅方向外側へ延びる一対の係止部30F,30Gとからなる。シャッターカーテン7の厚さ方向に離間していて幅方向がシャッターカーテン7の幅方向となっている係止部30F,30Gにより、シャッターカーテン7の幅方向の縁部を外ガイド部材20の内部に挿入するためのスリットSが形成されている。
【0057】
一方、内ガイド部材31は、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部31Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部31B、後面部31Cと、これらの前面部31B、後面部31Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の係止部拡開変形阻止部31D,31Eとからなる。これらの係止部拡開変形阻止部31D,31Eは、外ガイド部材30の係止部30F,30Gとシャッターカーテン7の厚さ方向に対向している。
【0058】
シャッターカーテン7の縁部に設けられている抜け止め部22は、内ガイド部材31の内部において、外ガイド部材30の一対の係止部30F,30Gとシャッターカーテン7に幅方向に対向し、シャッターカーテン7の幅方向がそれぞれの幅方向となっているこれらの係止部30F,30Gの間の隙間の大きさは、抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも小さいため、抜け止め部22が係止部30F,30Gに係止されることにより、内ガイド部材21の内部からの抜け止め部22の抜け出しが防止されている。
【0059】
この実施形態でも、外ガイド部材30の内部に挿入されている内ガイド部材31の大きさは、この内ガイド部材31の長さ方向と直交する断面における内ガイド部材31の全周に亘り内ガイド部材31と外ガイド部材30との間に隙間ができる大きさとなっているため、外ガイド部材30が抜け止め部22を係止部30F,30Gで抜け止めしながらシャッターカーテン7の閉鎖及び開放動を案内しているとき及びシャッターカーテン7が全閉となっているときに、外ガイド部材30と内ガイド部材31は一部で接触するが、他の部分では非接触となり、外ガイド部材30と内ガイド部材31との間を断熱状態とするこの非接触の部分の面積が、接触の部分の面積よりも大きくなっている。
【0060】
また、外ガイド部材30は、図1で示した天井部材2や床13、さらには建物躯体8にビス等の止着具で結合されている。したがって外ガイド部材30は、外ガイド部材30の長さ方向の複数箇所で天井部材2等の不動部材に取り付けられて不動となっている。これに対して、外ガイド部材30と同じ又は略同じ長さ寸法となっている内ガイド部材31は、外ガイド部材30の内部に単に挿入されているだけであるため、内ガイド部材31は、内ガイド部材31の長さ方向へ外ガイド部材30に対して遊動可能になっている。
【0061】
この実施形態においても、外ガイド部材30の前面部30B側の室内空間で火災が発生すると、この前面部30Bが加熱される。このため、火災発生からある時間が経過するまでの間において、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまでの間において、この前面部30Bが、図2で説明した理由によって図2の2点鎖線で示したように大きく湾曲変形しようとし、この前面部30Bと内側面部30Dで連結されている係止部30Fもこれと同様に大きく拡開変形しようとする。しかし、このときにおける内ガイド部材31の少なくとも一部は外ガイド部材30と非接触の断熱状態となっていて、しかも、内ガイド部材31全体はその長さ方向に遊動可能になっているため、内ガイド部材31は熱によって大きく湾曲変形することはなく、常温時の形状である図5と同じ又は略同じ形状を維持している。
【0062】
このため、外ガイド部材30の係止部30Fが大きく拡開変形しようとするのを、内ガイド部材31の係止部拡開変形阻止部31Dが阻止することになる。これにより、一対の係止部30F,30Gの間のスリットSの大きさが、抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも大きくなることが防止され、抜け止め部22が係止部30F、30Gの係止から外れて外ガイド部材30の内部から抜け出るのを阻止される。
【0063】
図6は、図3の実施形態と図5の実施形態を組み合わせた第4実施形態に係るガイド構造体9を示す。すなわち、外ガイド部材30の外側面部30Aにはスタッドボルト35が突設され、このスタッドボルト35は、内ガイド部材31の外側面部31Aに内ガイド部材31の長さ方向に長く形成された長孔36に挿入され、、内ガイド部材31の内部に突出したスタッドボルト35の先端にダブルナット37が螺締されている。
【0064】
これにより、外ガイド部材30と内ガイド部材31からなるガイド構造体を建物躯体8等に取付施工等するときに、内ガイド部材31が外ガイド部材30から抜け出すのを防止して容易に取り扱うことができるようになっている。
【0065】
図7は、第5実施形態に係るガイド構造体9を示す。この実施形態における外ガイド部材は図2の外ガイド部材20と同じである。また、内ガイド部材41は、図2の内ガイド部材21と同じく、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部41Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部41B、後面部41Cと、これらの前面部41B、後面部41Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の抜け止め部係止部41D,41Eとからなる。内ガイド部材41の内部に挿入されている抜け止め部22がこれらの抜け止め部係止部41D,41Eに係止され、内ガイド部材41からの抜け出しが防止されている。
【0066】
この実施形態においては、内ガイド部材41の前面部41B、後面部41Cについてのシャッターカーテン7の幅方向における寸法が、図2の内ガイド部材21よりも短くなっている。このため、内ガイド部材41の体積は外ガイド部材40よりも充分小さい。このことから、外ガイド部材20と内ガイド部材41が同じ金属材料、例えば、スチールで形成されていても、内ガイド部材41の熱容量は外ガイド部材20よりも充分に小さい。
【0067】
また、この実施形態でも、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に不動となっている外ガイド部材20に対して、内ガイド部材41は、このシャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に遊動可能になっているが、内ガイド部材41についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法は、内ガイド部材41の前面部41B、後面部41Cが外ガイド部材20の前面部20B、後面部20Cにできるだけ近づく寸法となっている。これにより、この実施形態では、外ガイド部材20と内ガイド部材41との間の伝熱性が、これまでの実施形態と異なり、良好となっている。
【0068】
この実施形態において、外ガイド部材20の前面側20B側の室内空間で火災が発生し、この前面部20Bが加熱されると、この前面部20Bは、前述したように、火災発生からある時間が経過するまでの間において、例えば、避難に必要とされる時間が経過するまでの間において、図2の2点鎖線で示したように大きく湾曲変形するが、この前面部20Bの熱は、外ガイド部材20と内ガイド部材41との良好な伝熱性のために内ガイド部材41の前面部41Bに伝達され、内ガイド部材41の熱容量は外ガイド部材20よりも小さいため、内ガイド部材41全体が短時間で同じ又は略同じ温度まで昇温する。そして、内ガイド部材41は、外ガイド部材20に対して内ガイド部材41の長さ方向へ遊動可能で、この方向へは外ガイド部材20に拘束されていないため、内ガイド部材41は自由に伸び変形することになる。
【0069】
このため、内ガイド部材41が高温になっても、内ガイド部材41が大きく湾曲等の変形を行うことはなく、このため、内ガイド部材41の抜け止め部係止部41D,41Eによる抜け止め部22の係止作用は継続され、この抜け止め部22が内ガイド部材41の内部から抜け出ることが防止される。
【0070】
図8は、図3の実施形態と図7の実施形態を組み合わせた第6実施形態に係るガイド構造体9を示す。すなわち、外ガイド部材20の外側面部20Aにはスタッドボルト45が突設され、内ガイド部材41の外側面部41Aには長孔46が内ガイド部材41の長さ方向に長く形成され、この長孔46に挿入されて内ガイド部材41の内部に突出したスタッドボルト45の先端にダブルナット47が螺締されている。
【0071】
したがって、外ガイド部材20と内ガイド部材41からなるガイド構造体9を建物躯体8等に取付施工等するときに、内ガイド部材41が外ガイド部材20から抜け出すのを防止して容易に取り扱うことが可能になる。
【0072】
図9は、第7実施形態に係るガイド構造体9を示す。この実施形態のガイド構造体9は図5の実施形態と図7の実施形態と組み合わせたものであり、外ガイド部材は図5の外ガイド部材30と同じである。また、内ガイド部材51は、図5の内ガイド部材31と同じく、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部51Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部51B、後面部51Cと、これらの前面部51B、後面部51Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の係止部拡開変形阻止部51D,51Eとからなり、これらの係止部拡開変形阻止部51D,51Eは、外ガイド部材30の係止部30F,30Gとシャッターカーテン7の厚さ方向に対向している。
【0073】
内ガイド部材51についてのシャッターカーテン7の幅方向の寸法は外ガイド部材30よりも充分に小さく、したがって、内ガイド部材51の体積は外ガイド部材30よりも充分小さい。このため、外ガイド部材30と内ガイド部材51が同じ金属材料で形成されていても、内ガイド部材41の熱容量は外ガイド部材30よりも充分に小さい。
【0074】
また、この実施形態でも、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に不動となっている外ガイド部材30に対して、内ガイド部材51は、このシャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向に遊動可能になっているとともに、内ガイド部材51についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法は、内ガイド部材51の前面部51B、後面部51Cが外ガイド部材30の前面部30B、後面部30Cにできるだけ近づく寸法となっている。これにより、この実施形態でも、外ガイド部材30と内ガイド部材51との間の伝熱性は良好である。
【0075】
この実施形態において、外ガイド部材30の前面側30B側の室内空間で火災が発生し、この前面部30Bが加熱された場合には、この前面部30Bは、例えば、火災発生から避難に必要とされる時間が経過するまでの間等のように、火災発生からある時間が経過するまでの間において、図2の2点鎖線で示したように大きく湾曲変形するが、この前面部30Bの熱は、外ガイド部材30と内ガイド部材51との良好な伝熱性のために内ガイド部材51の前面部51Bに伝達され、内ガイド部材51の熱容量は外ガイド部材30よりも小さいため、内ガイド部材51全体が短時間で同じ又は略同じ温度まで昇温する。そして、内ガイド部材51は、外ガイド部材30に対して内ガイド部材51の長さ方向へ遊動可能であるため、内ガイド部材51は自由に伸び変形する。
【0076】
このため、内ガイド部材51は熱によって大きく湾曲変形することはなく、常温時の形状である図9と同じ又は略同じ形状を維持する。この結果、外ガイド部材30の係止部30Fが前面部30Aと共に大きく拡開変形しようとするのを、内ガイド部材51の係止部拡開変形阻止部51Dが阻止することになり、これにより、一対の係止部30F,30Gの間のスリットSの大きさが、抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも大きくなることが防止され、抜け止め部22が係止部30F、30Gの係止から外れて外ガイド部材30の内部から抜け出ることはない。
【0077】
図10は、図3の実施形態と図9の実施形態を組み合わせた第8実施形態に係るガイド構造体9を示す。外ガイド部材30の外側面部30Aにはスタッドボルト55が突設され、内ガイド部材51の外側面部51Aには長孔56が内ガイド部材51の長さ方向に長く形成され、この長孔56に挿入されて内ガイド部材41の内部に突出したスタッドボルト55の先端にダブルナット57が螺締されている。
【0078】
したがって、この実施形態でも外ガイド部材30と内ガイド部材51からなるガイド構造体9を建物躯体8等に取付施工等する場合において、内ガイド部材51が外ガイド部材30から抜け出すのを防止して容易に取り扱うことができる。
【0079】
これまで説明したそれぞれの実施形態に係るガイド構造体9は、ガイド構造体の全長に亘り外ガイド部材の内部に内ガイド部材が配置された内外二重構造のものとなっていたが、図11は、この点でこれまでの実施形態と異なる第9実施形態に係るガイド構造体9を示す。図12は、図11のS12−S12線断面図である。
【0080】
図11において、シャッターカーテン7の幅方向両側に配置されているそれぞれのガイド構造体9は、天井部材2から床13まで達する長さのガイド部材60と、床13に埋設され、内部にガイド部材60の下端が差し込まれた有底角筒状の保持部材61と、天井部材2に貫通結合された角筒状の保持部材62とからなる。ガイド部材60はこれらの保持部材61,62の内部に挿入され、これにより、ガイド部材60は、シャッターカーテン7の閉鎖及び開放方向であるガイド部材60の長さ方向に保持部材61,62で遊動可能に保持されている。
【0081】
図12で示されているように、ガイド部材60は、シャッターカーテン7の幅方向外側の外側面部60Aと、シャッターカーテン7に対する前後方向の前面部60B、後面部60Cと、これらの前面部60B、後面部60Cにおけるシャッターカーテン7の幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の内側面部60D,60Eと、これらの内側面部60D,60Eの先端からシャッターカーテン7の幅方向外側へ延びる一対の係止部60F,60Gとからなる。シャッターカーテン7の厚さ方向に離間していて幅方向がシャッターカーテン7の幅方向となっている係止部60F,60Gにより、シャッターカーテン7の幅方向の縁部を外ガイド部材60の内部に挿入するためのスリットSが形成され、また、保持部材62には、スリットSと連通してシャッターカーテン7をガイド部材60の内部へ挿入するための隙間63が設けられている。
【0082】
また、ガイド部材60の内部に挿入されていてシャッターカーテン4の幅方向の縁部に設けられている抜け止め部22は、係止部60F、60Gとシャッターカーテン7の幅方向に対向し、これらの係止部60F、60Gの間隔は、抜け止め部22についてのシャッターカーテン7の厚さ方向の寸法よりも小さいため、係止部60F、60Gによる係止作用によって抜け止め部22がガイド部材60の内部から抜け出すことが防止されている。
【0083】
また、ガイド部材60についてのシャッターカーテン7の幅方向の寸法は大きくなく、このため、金属製のガイド部材60の熱容量は小さい。
【0084】
この実施形態において、ガイド部材60の前面側60B側の室内空間で火災が発生し、この前面部60Bが加熱された場合には、熱容量が小さいガイド部材60の全体は短時間で同じ又は略同じ温度まで昇温するとともに、ガイド部材60は保持部材61,62でガイド部材60の長さ方向に遊動可能に保持されているため、ガイド部材60は熱膨張によって伸び変形する。このため、ガイド部材60の前面部60Bが、保持部材61,62で保持されていない箇所において、図2の2点鎖線で示したように大きく湾曲変形することはない。したがって、ガイド部材60の一対の係止部60F、60Gによる抜け止め部22の係止作用は維持され、抜け止め部22がガイド部材60の内部から抜け出すことが防止されることになる。
【0085】
【発明の効果】
本発明によると、火災発生時にガイド構造体が加熱されてもシャッターカーテンの幅方向の縁部がガイド構造体から抜け出すのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防火用シャッター装置の全体を示す正面図である。
【図2】図1のS2−S2線断面図で、第1実施形態に係るガイド構造体の構造を示す図である。
【図3】第2実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図4】図3のS4−S4線断面図である。
【図5】第3実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図6】第4実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図7】第5実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図8】第6実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図9】第7実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図10】第8実施形態に係るガイド構造体を示す図2と同様の図である。
【図11】第9実施形態に係るガイド構造体を有している防火用シャッター装置の全体を示す正面図である。
【図12】図11のS12−S12線断面図である。
【符号の説明】
7 シャッターカーテン
9 ガイド構造体
20,30 外ガイド部材
20F,20G 案内壁部
30F,30G 係止部
21,31,41,51 内ガイド部材
21D,21E,41D,41E 抜け止め部係止部
31D,30E,51D,51E 係止部拡開変形阻止部
22 抜け止め部
60 ガイド部材
61,62 保持部材
S スリット

Claims (4)

  1. 防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、これらの外ガイド部材と内ガイド部材との間の少なくとも一部が断熱状態となっており、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部には抜け止め部が設けられ、前記外ガイド部材には、この外ガイド部材の内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部を挿入するためのスリットを形成していて前記抜け止め部を係止する一対の係止部が前記シャッターカーテンの厚さ方向に離間して設けられ、前記抜け止め部が内部に挿入された前記内ガイド部材には、これらの係止部のうちの少なくとも一方が前記シャッターカーテンの厚さ方向へ拡開変形するのを阻止する係止部拡開変形阻止部が設けられていることを特徴とする防火用シャッター装置。
  2. 防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、前記外ガイド部材よりも前記内ガイド部材の熱容量が小さくなっており、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部には抜け止め部が設けられ、前記外ガイド部材には、この外ガイド部材の内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部を挿入するためのスリットを形成していて前記抜け止め部を係止する一対の係止部が前記シャッターカーテンの厚さ方向に離間して設けられ、前記抜け止め部が内部に挿入された前記内ガイド部材には、これらの係止部のうちの少なくとも一方が前記シャッターカーテンの厚さ方向へ拡開変形するのを阻止する係止部拡開変形阻止部が設けられていることを特徴とする防火用シャッター装置。
  3. 防火性を有するシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、前記シャッターカーテンの移動を案内するとともに、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部が挿入されたガイド構造体とを備える防火用シャッター装置において、前記ガイド構造体が、前記シャッターカーテンの移動方向に不動となった外ガイド部材と、この外ガイド部材の内側に配置されているとともに、内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部がこのシャッターカーテンの移動方向へスライド自在に挿入された内ガイド部材とを含んで形成され、この内ガイド部材が前記外ガイド部材に対して前記シャッターカーテンの移動方向に遊動可能となっており、前記シャッターカーテンの幅方向の縁部には抜け止め部が設けられ、前記外ガイド部材には、この外ガイド部材の内部に前記シャッターカーテンの幅方向の縁部を挿入するためのスリットを形成していて前記抜け止め部を係止する一対の係止部が前記シャッターカーテンの厚さ方向に離間して設けられ、前記抜け止め部が内部に挿入された前記内ガイド部材には、これらの係止部のうちの少なくとも一方が前記シャッターカーテンの厚さ方向へ拡開変形するのを阻止する係止部拡開変形阻止部が設けられていることを特徴とする防火用シャッター装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の防火用シャッター装置において、前記外ガイド部材は、前記シャッターカーテンの幅方向外側の外側面部と、このシャッターカーテンに対する前後方向の前面部、後面部と、これらの前面部、後面部における前記シャッターカーテンの幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設された一対の内側面部と、これらの内側面部の先端から前記シャッターカーテンの幅方向外側へ延びる前記一対の係止部とを有し、前記内ガイド部材は、前記シャッターカーテンの幅方向外側の外側面部と、前記シャッターカーテンに対する前後方向の前面部、後面部と、これらの前面部、後面部における前記シャッターカーテンの幅方向内側の端部から互いに近づく方向へ延設 された一対の前記係止部拡開変形阻止部とを有し、これらの係止部拡開変形阻止部は、前記外ガイド部材の前記一対の係止部と前記シャッターカーテンの厚さ方向に対向していることを特徴する防火用シャッター装置。
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