JP3868184B2 - アクスル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフト等の産業用車両や特殊な牽引用車両等に用いられるアクスル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のアクスル装置としては例えば実開平6−83563号公報に示されるものがある。すなわち、アクスル本体の左右両端部にはキングピンを介してナックルが設けられている。また、上記両ナックルを同方向へ回動させるダブルロッド形式の油圧式シリンダ装置が本体フレームに取付けられている。上記シリンダ装置は、両ナックル間に位置し、かつピストンロッドの軸心方向を左右方向に向けて配置されている。上記両ナックルに備えられたアームとシリンダ装置のピストンロッドの両端部とがタイロッドを介して連結されている。
【0003】
これによると、ピストンロッドを左右方向へ出退(移動)させることによって、両ナックルがキングピンを中心にして左右同方向へ回動する。これにより、左右両車輪が左右同方向へ換向される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、図5に示すように、ピストンロッド41の左右一端部からシリンダ装置42のシリンダチューブ43の一端Aまでの距離をLとすると、ピストンロッド41の左右一端部に前向きの力Fが作用した場合、上記ピストンロッド41の左右一端部にモーメントM(M=L×F)が発生する。この際、上記距離Lが長いと、上記モーメントMも増大するため、シリンダチューブ43の一端Aに過大な力が作用し、これにより、シリンダチューブ43の一端Aとピストンロッド41とのシール部から油が漏れ出す恐れがあった。
【0005】
また、同様なモーメントMがピストンロッド41の左右他端部に発生した場合、シリンダチューブ43の他端Bとピストンロッド41とのシール部からも油が漏れ出す恐れがあった。このようなシール部からの油漏れは、ピストンロッド41の径を太くする等して、シリンダ装置42の強度を上げれば減少するが、これではシリンダ装置42やアクスル装置が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、ピストンロッドの端部に作用するモーメントを小さくして、シリンダ装置からの油漏れを防止することができ、さらに、従来よりも小型軽量化の可能なアクスル装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明におけるアクスル装置は、
本体フレームの左右両端部にキングピンが設けられ、
上記両キングピンに、これらキングピンを中心として左右へ回動自在なナックルが外嵌され、
上記ナックルに備えられたスピンドル部に車輪のハブが取付けられ、
上記両ナックルを同方向へ回動させるシリンダ装置が上記本体フレームに取付けられ、
上記シリンダ装置は、両ナックル間に位置し、かつピストンロッドの軸心方向を左右方向に向けて配置され、
上記両ナックルに備えられたアームと上記シリンダ装置のピストンロッドとが連結部材を介して連結され、
上記本体フレームに、上記ピストンロッドを左右方向へ移動可能に保持する保持部材が設けられ、
上記保持部材に形成されて左右に貫通する保持孔に、円筒状部材のはめ輪を嵌め込むとともにこのはめ輪に上記ピストンロッドが挿通されているものである。
【0008】
これによると、シリンダ装置のピストンロッドを左右方向へ移動させることにより、連結部材を介して両ナックルがキングピンを中心として左右同方向へ回動し、これにより、両車輪が同方向へ換向される。
【0009】
また、上記ピストンロッドの先端部に、ピストンロッドの軸心に直交する方向の力が作用してモーメントが発生した場合、上記ピストンロッドは保持部材で保持されているため、上記モーメントは上記保持部材で受けられる。これにより、シリンダ装置のシリンダチューブの端部に過大な力が作用することを防止し得る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
1は特殊な牽引用車両の前部またはフォークリフトの後部やホイールローダの後部等に設けられるアクスル装置であり、その構成は以下の通りである。
【0011】
すなわち、車体に本体フレーム3が設けられており、この本体フレーム3は、下部フレーム板4と、この下部フレーム板4の左右両端部に立設されているアングル状の端部フレーム5と、両端部フレーム5間に設けられた上部フレーム板6とで構成されている。
【0012】
上記本体フレーム3の左右両端部には上下一対のボス部材8が設けられ、これら上下一対のボス部材8間には、キングピン9が縦方向に挿通されている。上記両キングピン9には、キングピン9を中心として左右方向へ回動自在なナックル10が外嵌されている。これら両ナックル10は、互いにほぼ直交する方向に振り分けられたスピンドル部11とアーム12とを有している。
【0013】
上記スピンドル部11には車輪13のハブ14が取付けられている。また、上記下部フレーム板4の左右中央部と上部フレーム板6の左右中央部との間にはシリンダ取付用の取付板16が設けられており、この取付板16の前面には、両ナックル10を同方向へ回動させるダブルロッド形式の油圧式シリンダ装置17が取付けられている。上記シリンダ装置17は、両ナックル10の中間部に位置し、かつピストンロッド18の軸心方向を左右方向に向けて配置されている。尚、上記シリンダ装置17は、車体運転部に設けられたハンドル(図示せず)の操作に連動して作動するように構成されている。上記両ナックル10のアーム12と上記ピストンロッド18の両端部とは連結部材19を介して連結されている。
【0014】
また、下部フレーム板4の左右両端部と上部フレーム板6の左右両端部との間には保持部材取付用の取付板21が設けられており、これら両取付板21の前面にはそれぞれ、上記ピストンロッド18を左右方向へ移動可能に保持する保持部材22が設けられている。図2に示すように、両保持部材22はそれぞれ四角形のブロック体であり、左右方向に貫通する保持孔23が形成されており、これら保持孔23内に、軸受用のはめ輪27a,27bが左右一対に分割されて嵌め込まれている。これらはめ輪27a,27bは薄肉の円筒状部材であり、両はめ輪27a,27b内に上記ピストンロッド18が挿通されて保持されている。
【0015】
上記両保持部材22はそれぞれ、上記取付板21に後方から挿入された複数のボルト24によって、上記取付板21に取付け固定されている。尚、保持部材22の後面と上記取付板21の前面との間には、保持部材22の前後位置を調整するためのシム25が挿入されている。
【0016】
以下、上記構成における作用を説明する。
ハンドル操作によって、例えば図4に示すように、ピストンロッド18が保持部材22で保持されて中立位置から左右いずれか一方向へ移動し、連結部材19を介して両ナックル10がキングピン9を中心として左右一方へ回動し、これにより、両車輪13が左右一方向へ換向される。反対に、ピストンロッド18が保持部材22で保持されて中立位置から左右他方向へ移動することにより、連結部材19を介して両ナックル10がキングピン9を中心として左右他方へ回動し、両車輪13が左右他方向へ換向される。
【0017】
また、図1に示すように、上記ピストンロッド18の左右いずれか一端から一方の保持部材22までの距離をLaとし、ピストンロッド18の一端からシリンダ装置17のシリンダチューブ17aの一端Aまでの距離をLとすると、距離La<距離Lの関係にある。そして、ピストンロッド18の一端部に前向きの力Fが作用した場合、上記ピストンロッド18の一端部にモーメントMaが発生し、このモーメントMaはMa=La×Fとなる。したがって、上記モーメントMaは、従来において保持部材22の無い場合に発生するモーメントM(M=L×F)よりも小さくなる(Ma<M)。これにより、ピストンロッド18の径を従来のものよりも細くすることができ、その分、シリンダ装置17を小型軽量化することができる。
【0018】
また、上記のようなモーメントMaがピストンロッド18の一端部に作用しても、図2に示すように、上記ピストンロッド18ははめ輪27a,27bを介して保持部材22で保持されているため、上記モーメントMaは保持部材22で受けられる。これにより、上記シリンダチューブ17aの一端部Aに過大な力が作用することを防止し得るため、シリンダチューブ17の一端部Aとピストンロッド18とのシール部からの油漏れを防止することができる。
【0019】
上記実施の形態においては、図1に示すように、ピストンロッド18の左右いずれか一端部に前向きの力Fが作用した場合を説明したが、ピストンロッド18の左右他端部に前向きの力Fが作用した場合も同様な作用効果が得られ、これにより、シリンダチューブ17の他端部Bとピストンロッド18とのシール部からの油漏れを防止することができる。
【0020】
上記実施の形態においては、図1に示すように、ピストンロッド18の軸心に直交する方向の力として、前向きの力Fが作用した場合を述べたが、前向きの力Fに限らず、後向きの力が作用した場合も、同様な作用効果が得られる。
【0021】
上記実施の形態においては、図2に示すように、保持部材22の保持孔23内に、左右一対に分割したはめ輪27a,27bを嵌め込んでいるが、分割していないはめ輪を嵌め込んでもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ピストンロッドの先端部に、ピストンロッドの軸心に直交する方向の力が作用してモーメントが発生しても、上記ピストンロッドは保持部材で保持されているため、上記モーメントは上記保持部材で受けられる。これにより、シリンダ装置のシリンダチューブの端部に過大な力が作用することを防止し得るため、シリンダチューブの端部とピストンロッドとのシール部からの油漏れを防止することができる。また、上記モーメントは従来よりも小さくなるため、従来よりもアクスル装置を小型軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるアクスル装置の一部切欠き平面図である。
【図2】同、アクスル装置に設けられた保持部材の平面視における断面図である。
【図3】同、アクスル装置の正面図である。
【図4】同、アクスル装置の一部切欠き平面図であり、車輪を左右いずれか一方向へ換向した状態を示す。
【図5】従来のアクスル装置の平面図である。
【符号の説明】
1 アクスル装置
3 本体フレーム
9 キングピン
10 ナックル
11 スピンドル部
12 アーム
13 車輪
14 ハブ
17 シリンダ装置
18 ピストンロッド
19 連結部材
22 保持部材
23 保持孔
Claims (1)
- 本体フレームの左右両端部にキングピンが設けられ、
上記両キングピンに、これらキングピンを中心として左右へ回動自在なナックルが外嵌され、
上記ナックルに備えられたスピンドル部に車輪のハブが取付けられ、
上記両ナックルを同方向へ回動させるシリンダ装置が上記本体フレームに取付けられ、
上記シリンダ装置は、両ナックル間に位置し、かつピストンロッドの軸心方向を左右方向に向けて配置され、
上記両ナックルに備えられたアームと上記シリンダ装置のピストンロッドとが連結部材を介して連結され、
上記本体フレームに、上記ピストンロッドを左右方向へ移動可能に保持する保持部材が設けられ、
上記保持部材に形成されて左右に貫通する保持孔に、円筒状部材のはめ輪を嵌め込むとともにこのはめ輪に上記ピストンロッドが挿通されていることを特徴とするアクスル装置。
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