JP3172034B2 - トラクタの前輪駆動装置 - Google Patents

トラクタの前輪駆動装置

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JP3172034B2
JP3172034B2 JP05545894A JP5545894A JP3172034B2 JP 3172034 B2 JP3172034 B2 JP 3172034B2 JP 05545894 A JP05545894 A JP 05545894A JP 5545894 A JP5545894 A JP 5545894A JP 3172034 B2 JP3172034 B2 JP 3172034B2
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良雄 鰐川
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石川島芝浦機械株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フロントアクスルケー
スにパワーステアリング用のシリンダーと前輪駆動装置
とを配置する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から四輪駆動型のトラクタのフロン
トアクスルにおいて、両ロッド型のパワーステアリング
用のシリンダーをフロントアクスルケースに一体的に支
持して、操向輪を回動可能とするパワーステアリングは
公知となっている。例えば、実公平3−12612号公
報に記載の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の構
造であると、動力伝達ギアとシリンダーとの間には隔離
する壁が設けられているために、アクスル中心とシリン
ダー中心距離が離れてしまい、操向時にタイロッドとピ
ストンロッドとの交差角が大きくなってピストンロッド
の曲げ分力が大きくなる。特に、シリンダーロッドを最
大に伸ばすと、片持ち長さが最大となり、曲げ負荷が大
きくかかって、ロッド支持ブッシュやピストンとシリン
ダー内周部の摺動面での偏摩耗が発生して、摺動がスム
ースにできなくなったり、また、交差角を小さくしよう
として、ナックルアームを長くすると、シリンダーのス
トロークも長くする必要があり、大きな操向駆動装置と
なってコストアップとなってしまうという不具合が発生
していた。同様に交差角を小さくしようとしてステアリ
ングシリンダーをアクスルケース上方に配置すると、フ
ロントフレームと干渉し、フレーム下部を切り欠かなけ
ればならず、フレーム強度が低下して破損を招く不具合
があった。本発明は、このような従来技術の不具合を解
消するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
課題を解決するために、次のような手段を用いる。四輪
駆動トラクタのフロントアクスルケース1にフロントデ
フ装置とパワーステアリング用のステアリングシリンダ
ー10の一部を収納する構成において、該フロントアク
スルケース1を3分割して、中央のセンターケース1M
と、その両側へ突出した左アクスルケース1Lと右アク
スルケース1Rにより構成し、該フロントアクスルケー
ス1の中央のセンターケース1M内に、ステアリングシ
リンダー10を構成するシリンダーチューブ10bの中
央部を嵌入配置し、該シリンダーチューブ10bの嵌入
部分の外周に凹部10eを構成し、該凹部10e内にフ
ロントデフ装置のリングギア15を嵌入配置したもので
ある。
【0005】
【作用】このような手段を用いることによって、シリン
ダーチューブの外周に形成した凹部内にリングギアが入
り込んで、ステアリングシリンダーの中心とフロントア
クスルケースの中心との間の距離が短くなり、直進時と
旋回時におけるピストンロッドとタイロッドの交差角が
小さくできて、ピストンロッドにタイロッドからの負荷
が小さくなって、旋回操作をスムースにできるようにな
る。
【0006】
【実施例】次に、添付の図面に示した走行車両としてト
ラクタの場合について本発明の一実施例の構成を説明す
る。図1は前輪とフロントアクスルケース正面図、図2
はフロントアクスルケース平面断面図、図3は同じく側
面断面図、図4はステアリングシリンダー平面図一部断
面図、図5はステアリングシリンダーとタイロッドとナ
ックルアームの連結状態を示す平面図である。
【0007】図1において、フロントアクスルケース1
は3分割されて、中央のセンターケース1Mと、その両
側へ突出した左アクスルケース1Lと右アクスルケース
1Rからなり、センターケース1Mの両側でそれぞれボ
ルト6・6・・・によって固定され、該フロントアクス
ルケース1は、機体フレームを構成するアクスルフレー
ム2に対して、左右揺動自在に支持されており、図3に
示すように、センターケース1Mの中央前端に枢支ピン
1aを形成し、アクスルフレーム2より垂下したブラケ
ット3にベアリング7を介して回転自在に枢支され、セ
ンターケース1Mの後部中央に付設した入力軸ケース5
がアクスルフレーム2より垂下したブラケット4によっ
て回転自在に支持されている。
【0008】前記センターケース1Mの前部には後述す
るパワーステアリング用のステアリングシリンダー10
が左右水平方向に横設されて、該ステアリングシリンダ
ー10はピストンロッド10a・10aを両側に突出し
た両ロッド型の複動シリンダーよりなり、該ピストンロ
ッド10a・10a先端には球形ジョイント11・11
を介してタイロッド12・12と連結され、該タイロッ
ド12・12の他端はナックルアーム13・13に連結
されている。該ナックルアーム13・13は前輪9・9
を枢支した回動ケース20と連結され、回動ケース20
を支持するキングピンを中心に回動可能として、前記ピ
ストンロッド10a・10aの左右摺動によって前輪9
・9を左右に回動して操向できるようにしている。
【0009】前記センターケース1Mはフロントデフケ
ースを兼ねており、図2、図3に示すように、図示しな
い後部のミッションケースより前方へ突出した前輪駆動
軸がユニバーサルジョイントを介して前記入力軸ケース
5に回転自在に軸支された入力軸14に動力が伝達さ
れ、該入力軸14の前端にはピニオンギア14aを形成
して、該ピニオンギア14aは左右のアクスルケース1
L・1Rにベアリングを介して回転自在に支持したデフ
ギアケース16上に固設したリングギア15と噛合さ
れ、該デフギアケース16内には二組のベベルギア17
・17・18・18を回転可能に噛合させて収納してフ
ロントデフ装置を形成し、左右の前伝動軸19・19が
前記左アクスルケース1L、右アクスルケース1R内に
横架されて、その一端に前記ベベルギア18・18を固
設し、他端は前記回動ケース20・20内に挿入して歯
車等を介して前輪9・9を駆動可能としている。
【0010】ステアリングシリンダー10は、図2、図
3、図4に示すように、フロントアクスルケース1の前
部に一部内包して横設されており、ステアリングシリン
ダー10は左右対称に構成されており、シリンダーチュ
ーブ10bの外周の中央部には環状凸部10cが形成さ
れ、該環状凸部10cの外周の中央に係止孔10dが穿
設されている(但し貫通しない)。一方、センターケー
ス1Mの中央上面には前記係止孔10dの位置と合わせ
て挿入孔を開口して、係止具21がシール材22を外嵌
してセンターケース1M外側から中心方向(半径方向)
の係止孔10dに挿入して固定され、シリンダーチュー
ブ10bの回り止めとしている。尚、該係止具21は本
実施例ではボルトで構成して一つだけであるが、それ以
上設けてもよい。
【0011】そして、前記環状凸部10cの両側の外周
に凹部10e・10eを形成し、該凹部10e・10e
の外側の対向する側面10f・10fを組立時に図2に
示すようにセンターケース1Mの外側面に当接させて軸
心方向の位置決めをし、その両側のシリンダーチューブ
10b外周にはシール材挿入溝10g・10gを形成し
てシール材23・23を嵌合し、この両側のシリンダー
チューブ10bを左アクスルケース1Lと右アクスルケ
ース1Rに挿入支持して軸心と直角方向を固定してい
る。そして、シリンダーチューブ10bの両端側に圧油
口10h・10hを開口して、図示しない配管を介して
操向制御バルブと接続し、走行時に本機のステアリング
ハンドルを回動すると、操向制御バルブが切り換えられ
て一方の圧油口10hに圧油が送油され、ピストン10
iを押して摺動させてピストンロッド10a・10aを
伸縮させ、球形ジョイント11、タイロッド12、ナッ
クルアーム13を介して前輪9・9を回動して操向する
ように構成している。
【0012】そして、前述したようにセンターケース1
M内にはステアリングシリンダー10の中央部とフロン
トデフ装置が収納されて、前記シリンダーチューブ10
bに形成した一方の凹部10eには図2に示すように、
前記リングギア15が接しない程度に入り込んで配置さ
れ、図5に示すように、フロントアクスルケース1の中
心(中心線L1)とステアリングシリンダーの中心(中
心線L2)の間隔Dができるだけ短くなるように配置し
ており、従って、このように配設することで、直進時の
ピストンロッド10a(中心線L2)とタイロッド12
の交差角αと、旋回時(ステアリングシリンダー10摺
動時)のピストンロッド10a’とタイロッド12’の
交差角α’が小さくなるようにして、最大旋回時、即
ち、ピストンロッド10aを最も伸長させた時のタイロ
ッド12’のピストンロッド10a’側への反力Fのう
ち、ピストンロッド10a’と直角方向の分力F1が小
さくなるようにし、ピストンロッド10aの軸芯と垂直
方向に掛かる曲げ力が小さく抑えられて、ステアリング
シリンダー10の作動に悪影響を与えないようにしてい
る。
【0013】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したことによ
り次のような効果を奏する。第1に、フロントアクスル
ケースの中心とステアリングシリンダーの中心との間の
距離を短くすることができて、ピストンロッドを伸ばし
た時のピストンロッドとタイロッドの交差角が小さくな
り、ピストンロッドを曲げようとする分力を小さく抑え
ることができるため、ピストンロッドの曲がりを防ぎ、
シリンダーの摺動部の摩耗やカジリを防ぎ、安全性、耐
久性の向上が図れると共に、フロントアクスルフレーム
を切り欠くことなく十分な強度が確保できる。第2に
ピストンロッドの曲げ分力を小さくできるので、タイロ
ッドを左右方向へ押す力を効率良くナックルアームへ伝
えることができるようになったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】前輪とフロントアクスルケース正面図である。
【図2】フロントアクスルケース平面断面図である。
【図3】同じく側面断面図である。
【図4】ステアリングシリンダー平面図一部断面図であ
る。
【図5】ステアリングシリンダーとタイロッドとナック
ルアームの連結状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 フロントアクスルケース 10 ステアリングシリンダー 10a ピストンロッド 10b シリンダーチューブ 10e 凹部 15 リングギア

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四輪駆動トラクタのフロントアクスルケ
    ース1にフロントデフ装置とパワーステアリング用のス
    テアリングシリンダー10の一部を収納する構成におい
    て、該フロントアクスルケース1を3分割して、中央の
    センターケース1Mと、その両側へ突出した左アクスル
    ケース1Lと右アクスルケース1Rにより構成し、該フ
    ロントアクスルケース1の中央のセンターケース1M内
    に、ステアリングシリンダー10を構成するシリンダー
    チューブ10bの中央部を嵌入配置し、該シリンダーチ
    ューブ10bの嵌入部分の外周に凹部10eを構成し、
    該凹部10e内にフロントデフ装置のリングギア15を
    嵌入配置したことを特徴とするトラクタの前輪駆動装
    置。
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JP2007062620A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Iseki & Co Ltd トラクタのパワーステアリング装置
JP6981958B2 (ja) * 2018-12-28 2021-12-17 株式会社クボタ 車軸の支持構造

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