JP3866491B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、さらに詳しくは、光ビームを照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ追記が可能な情報記録媒体であって、より短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いる高密度光ディスクシステム(DVD−R)に好適な耐光性及び保存安定性に優れた光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、次世代大容量光ディスクとして、DVD−Rの開発が進められている。
記録容量向上の要素は、記録ピット微少化のための記録材料の開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読み取りのための半導体レーザの短波長化等の技術開発にある。
【0003】
これまで、赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm体のAlGaInPレーザダイオードが開発、商品化されているのみであったが、近年、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレーージ市場で使用されつつある。
DVDドライブの場合、光源としては、635nm帯と650nm帯のレーザダイオードの2つの波長で規格化されている。
高密度記録のためには、波長はより短波長化が望ましく、追記メディア用ドライブとしては、波長635nmが好ましい。
一方、再生専用のDVD−ROMドライブは、波長〜650nmで商品化されている。
【0004】
このような状況下、最も好ましいDVD−Rメディアは、635nmまでの波長で記録、再生が可能で、かつ650nmまでの波長でも再生が可能なメディア(DVD−R)で耐光性、保存安定性に優れ、650nm以下のレーザを用いた光ピックアップにより記録、再生が可能な記録材料が望まれている。
【0005】
昨今、このような記録材料として、ポリメチン色素(特開平10−83577号公報、特開平10−19434号公報、特開平10−149583号公報、特開平10−188339号公報、特開平10−278426号公報)やアゾ金属キレート色素(特開平8−295811号公報、特開平8−295812号公報、特開平9−332772号公報、特開平9−39394号公報、特開平10−6650号公報、特開平10−58828号公報、特開平10−157293号公報、特開平10−157300号公報、特開平10−188340号公報、特開平10−188341号公報)を用いたものの開発が進められている。
【0006】
しかしながら、ポリメチン色素中、特にシアニン色素とスクアリリウム色素は、光学特性的には優れており、信号特性も満足すべき特性が得られるものの、耐光性がきわめて悪く、それ単独では実用に耐えないものであった。
このため、光安定化材の開発が進められているが(特開平10−109475号公報、特開平10−109476号公報、特開平10−134413号公報、特開平10−151861号公報)、耐光性と信号特性とを両立させたものはいまだ見い出されていないのが現状である。
また、アゾ金属キレート色素を用いる場合も、信号特性においては満足すべきものの、充分な耐光性は得られていないものであった。
【0007】
さらに、ホルマザン金属キレート色素は、光安定性がきわめて高いことが知られており、光記録材料としての応用が試みられてきたが、(特開平8−295079号公報、特開平10−152623号公報、特開平10−154350号公報)、いずも吸収波長が長く、DVD−R用記録材料としては適していないものであった。
シアニン色素の光安定化材として、その応用も試みられているが、光安定化機構が主色素から光安定化材への励起エネルギー移動によることから、より効率の高い光安定化材には、主色素の励起エネルギーにより近接し、かつそれより低エネルギーレベルに吸収能を有することが必要であり、ホルマザン金属キレート色素は吸収波長が長波長すぎ、充分な光安定化能力を発揮できないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の欠点を解消し、従来システムに比べてより短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いる高密度光ディスクシステムに適用可な、耐光性及び保存安定性に優れたDVD−R用の光記録媒体を提供することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、記録層の光安定化に着目して鋭意検討を重ねた結果、記録層に特定のホルマザアン金属キレート色素を含有させることによって、耐光性及び保存安定性に優れた光記録媒体が得られるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体であって、該記録層に、下記一般式(1)で表される化合物を含有させたことを特徴とする光記録媒体が提供される。
【化2】
Figure 0003866491
〔式中、Z1、Z2は、それが結合している炭素原子及び窒素原子と一体となって複素環を形成する基を示し、A1、A2は、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はシクロヘキシル基を示し、B1、B2は、アリーレン基を示し、Xは、メチレン基、スルホン基又はいかなる基も有さない場合(B1とB2が直接結合する場合)を示し、Mは、2価の金属原子を示す〕。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体である。
本発明の光記録媒体にあっては、記録層が、基板上に直接又は下引き層を介して設けられたものであってもよく、また、記録層上に反射層、保護層又は接着層及び第二基板が設けられたものであってもよい。
【0012】
本発明に用いる基板は、基板側より記録再生を行なう場合のみ、使用レーザーに対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行なう場合は、透明であることを要しない。
基板材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等プラスチック、ガラス、セラミック、金属等が挙げられる。
なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や、案内ピット又はアドレス信号等のプリフォーマット等が形成されていてもよい。
この基板の厚さは、通常、0.6μm程度である。
【0013】
記録層は、レーザー光の照射によりなんらかの光学的変化を生じさせ、その変化によって情報を記録する光吸収性色素を含有する層である。
本発明にあっては、基板上に記録層を設けたものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造(追記型光ディスク構造)としてもよく、基板上に記録層、反射層、保護層を設けたもの構造(CD−R構造)としてもよい。
また、CD−R構造を貼り合わせたものであってもよい。
【0014】
下引き層は、▲1▼接着性の向上、▲2▼水又はガス等のバリアー、▲3▼記録層の保存安定性の向上、▲4▼反射率の向上、▲5▼溶剤からの基板の保護、▲6▼案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成等を目的として形成される層である。
▲1▼の目的に対しては、高分子材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分化合物又はシランカップリング剤等を用いて形成される。
▲2▼及び▲3▼の目的に対しては、上記高分子材料の外に、無機化合物、例えば、SiO、MgF、SiO2、TiO、ZnO、TiN、SiN等により、さらに金属又は半金属、例えば、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等により形成される。
▲4▼の目的に対しては、金属、例えば、Al、Au、Ag等や金属光沢を有する有機薄膜、例えば、メチン染料、キサンテン系染料等が用いられる。
▲5▼及び▲6▼の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いて形成される。
この下引き層の厚さは、通常は、0.01〜30μm、好ましくは、0.05〜10μmである。
【0015】
反射層は、単体で高反射率を与える腐食されにくい金属、半金属等により形成され、この材料としては、例えば、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等が挙げらる。
反射率、生産性の観点から、Au、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用してもよく、2種以上の合金としても使用してもよい。
層形成法としては、蒸着、スッパタリング等が採用され、その層の厚さは、50〜5000Å、好ましくは、100〜3000Åである。
【0016】
保護層は、記録層(反射吸収層)を、傷、ホコリ、汚れ等から保護すること、記録層の保存安定性の向上させること、反射率の向上を図ること等を目的として形成される層である。
これらの目的に対しては、上記下引き層に示した材料を用いることができる。
また、無機材料として、SiO、SiO2等を、有機材料として、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂をも用いることができる。
これら材料のうちでも、ラジカル重合型アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、光カチオン重合型アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、スルホン酸エステル等の生産性に優れた紫外線硬化樹脂は、最も好適な材料である。
この保護層の厚さは、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmである。
【0017】
本発明においては、基板表面の耐擦傷性を高めるために、基板面ハードコート層を設けることができ、この層の材料、層の厚さも、保護層と同様である。
【0018】
上記記録層、下引き層、保護層、基板面ハードコート層には、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0019】
本発明は、このような光記録媒体であって、記録層に、下記一般式(1)で表される化合物を含有させたことを特徴とする光記録媒体である。
【化3】
Figure 0003866491
〔式中、Z1、Z2は、それが結合している炭素原子及び窒素原子と一体となって複素環を形成する基を示し、A1、A2は、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はシクロヘキシル基を示し、B1、B2は、アリーレン基を示し、Xは、メチレン基、スルホン基又はいかなる基も有さない場合(B1とB2が直接結合する場合)を示し、Mは、2価の金属原子を示す〕。
【0020】
記録層は、レーザー光の照射によりなんらかの光学的変化を生じさせ、その変化より情報を記録するものであって、本発明においては、この記録層に、上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有させることを必要とする。
【0021】
上記Z1、Z2としては、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピラゾール環、ベンゾピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾル環、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環等をが挙げもことができる。
これらは、置換基として、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、置換アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アニリノ基又はケト基を有していてもよい。
中でも、光学特性、保存安定性、耐光性の点から、特に、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環が好ましい。
【0022】
上記B1、B2としては、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、ビフェニレニレン基、as−インダセニレン基、s−インダセニレン基、アセナフタレニレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントラニレン基、アントラニレン基、フルオラセニレン基、アセフェナントラレニン基、アセアントリレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、ナフタセニレン基が挙げられる。これらは、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはそのエステル基、ニトリル基又はニトロ基を有していてもよい。
【0023】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の一級アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンタン基)等のシクロアルキル基等を挙げることができる。
これら一級及び二級アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等を以て置換されていてもよい。
また、酸素、硫黄、窒素等の原子を介して上記のアルキル基で置換されていてもよい。
酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0024】
上記アリール基としては、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、アセナフタレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントラニル基、アントラニル基、フルオラセニル基、アセフェナントラレニル基、アセアントリレン基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。
これらアリール基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0025】
上記アルコキシ基としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては、上記のものを挙げることができる。
【0026】
上記アリールオキシ基としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては、上記のものを挙げることができる。
【0027】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0028】
上記金属原子Mとしては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジリコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられる。
中でも、光学特性、保存安定性、光安定性の点から、特に、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウムが好ましい。
【0029】
上記一般式(1)で表される化合物は、1種のみ使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記一般式(1)で表される化合物は、光学特性、記録感度、信号特性等の向上を図るため、他の有機色素及び金属、金属化合物と混合又は積層化して用いてもよい。
有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン色素、フタロシアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、ピリリウム色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素(インダンスレン色素)、キサンテン色素、トリフェニルメタン色素、アズレン色素、テトラヒドロコリン色素、フェナンスレン色素、トリフェノチアジン色素及びその金属錯体化合物等が挙げられる。
金属、金属化合物としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cd等が挙げられ、それぞれを分散混合又は積層した形態で用いることができる。
【0030】
また、上記一般式(1)で表される化合物を安定化材として用いる場合は、550〜630nmに吸収最大波長を有する色素と混合して使用する。
この場合、上記一般式(1)で表される化合物は、上記色素に比較し、より長波長に吸収を持つことが好ましい。
550〜630nmに吸収最大波長のある色素の好ましい例としては、ポリメチン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、ピリリウム色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素(インダンスレン系)、キサンテン色素、トリフェニルメタン色素、テトラヒドロコリン色素、フェナンスレン色素、トリフェノチアジン色素、アゾ金属キレート色素等を挙げることができ、光学特性から、ポリメチン色素、スクアリリウム色素、アゾ金属キレート色素が特に好ましい。
【0031】
本発明において用いる上記一般式(1)で表される化合物の例を表1〜4に示す。
【表1】
Figure 0003866491
【表2】
Figure 0003866491
【表3】
Figure 0003866491
【表4】
Figure 0003866491
【0032】
さらに、記録層には、高分子材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の材料又はシランカップリング剤等を分散混合してもよく、特性改良を目的として、安定剤、例えば、遷移金属錯体、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等配合してもよい。
【0033】
記録層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤塗布法等の通常の方法を採用することができる。
溶剤塗布法を用いる場合には、色素を有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティグ、ディピング及びスピーランコーティング等の慣用のコーティング法によって行うことができる。
ここに用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、などの芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等が挙げられる。
【0034】
この記録層の厚さは、100Å〜10μm、好ましくは、200〜2000Åである。
【0035】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
実施例1
深さ1600Å、半値幅0.30μm、トラックピッチ0.8μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、表1化合物例No.12をテトラフルオロプロパノールに溶解した液を、スピンナー塗布し、厚さ800Åの記録層を形成し、次いで、この記録層上に、スパッタ法により金2000Åの反射層を設け、その上に、アクリル系フォトポリマーを用いて10μmの保護層を設け、その上にさらに0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板を、アクリル系フォトポリマーを用いて貼り合わせて、光記録媒体を作製した。
【0036】
実施例2
実施例1における化合物例No.12に代えて、表1化合物例No.3を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【0037】
実施例3
実施例1における化合物例No.12に代えて、表1化合物例No.8を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【0038】
実施例4
実施例1における化合物例No.12に代えて、表2化合物例No.20を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【0039】
実施例5
実施例1における化合物例No.12に代えて、表3化合物例No.36を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【0040】
比較例1
実施例1における化合物例No.12に代えて、下記式(i)で表される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【化4】
Figure 0003866491
【0041】
比較例2
実施例1における化合物例No.12に代えて、下記式(ii)で表される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
【化5】
Figure 0003866491
【0042】
〔評価〕
このようにして作製した光記録媒体に、発振波長658nmの半導体レーザー光を用い、トラッキングしながら、EFM信号(線速3.0m/sec、最短マーク長0.4μm)を記録し、発振波長650nmの半導体レーザーの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、反射率、C/Nを測定した。
耐光テストは、タングステンランプ、5万ルクス、20時間照射により実施した。
結果を表5に示す。
【表5】
Figure 0003866491
【0043】
実施例6
厚さ1.2mmの射出成形ポリカボネート平板上に、上記式(i)で表される化合物と表3化合物No.14(重量比10/3)との混合物をテトラフルオロプロパノールに溶解した液を、スピンナー塗布して、厚さ1000Åの記録層を形成して光記録媒体を作製した。
【0044】
実施例7
実施例6における表1化合物No.14に代えて、表1化合物No.1を用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0045】
実施例8
実施例6における表1化合物No.14に代えて、表1化合物No.10を用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0046】
実施例9
実施例6における表1化合物No.14に代えて、表3化合物No.30を用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0047】
実施例10
実施例6における上記式(i)で表される化合物に代えて、上記式(ii)で表される化合物を用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0048】
比較例3
実施例6において、上記式(i)で表される化合物のみを用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0049】
比較例4
実施例6において、上記式(i)で表される化合物のみを用いた以外は、実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。
【0050】
〔評価〕
このようにして作製した光記録媒体を、タングステンランプ、5万ルクス下に据置し、色素の吸光度の変化を測定した。
結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0003866491
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、光ビームを照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ追記が可能な情報記録媒体であって、より短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いる高密度光ディスクシステム(DVD−R)に好適な耐光性及び保存安定性に優れた光記録媒体が提供され、光記録媒体の設計、作製分野に寄与することろはきわめて大きいものである。

Claims (7)

  1. 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体であって、該記録層に、下記一般式(1)で表される化合物を含有させたことを特徴とする光記録媒体。
    Figure 0003866491
    〔式中、Z1、Z2は、それが結合している炭素原子及び窒素原子と一体となって複素環を形成する基を示し、A1、A2は、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はシクロヘキシル基を示し、B1、B2は、アリーレン基を示し、Xは、メチレン基、スルホン基又はいかなる基も有さない場合(B1とB2が直接結合する場合)を示し、Mは、2価の金属原子を示す〕。
  2. 該記録層が、基板上に反射層、保護層又は接着剤層及び第二基板を介して設けられたものである請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 上記一般式(1)におけるZが、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環又はトリアジン環である請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  4. 上記一般式(1)におけるMが、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛又はパラジウムである請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 該記録層が、550〜650nmに最大吸収波長を有する光吸収性色素を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 該光吸収性色素が、ポリメチン色素、スクアリリウム色素又はアゾ金属キレート色素である請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 該ポリメチン色素が、シアニン色素である請求項6に記載の光記録媒体。
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