JP3865620B2 - 鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造 - Google Patents

鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造の建造物における柱や梁等の構成材の材端固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7(A)を参照しながら、鉄筋コンクリート造の建造物における柱1(構成材)と基礎ないしは基礎梁2(基部)の従来の固定構造について説明する。柱1の鉄筋籠は垂直に延びる多数の鉄筋10(図では2本のみ示す)を有している。これら鉄筋10は、下方に垂直に延びて基礎2のコンクリート2aに埋め込まれている。コンクリート2aを打設して基礎2を構築した後、柱1のコンクリート1aが打設される。このように、連続した共通の鉄筋10を埋め込み、コンクリート1a,2aを連ねることにより、柱1の下端(材端)が基礎2に固定される。この固定構造において、柱1は基礎2の曲げ剛性より小さい。この曲げ剛性の急変する位置が、柱1の材端位置Eとなる。鉄筋10において、柱1の材端位置Eより上側が柱1の主筋部11となり、材端位置Eより下側がアンカー筋部12となる。なお、この従来例では、鉄筋10の下端部が曲げられて定着部15となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
大きな地震の際に、上記建造物が水平方向に揺れると、柱1の下端近傍には曲げモーメントが働く。この曲げモーメントにより、鉄筋10は引張,圧縮の交番荷重を受ける。図7(B)に示すように柱1が右方向に傾くと左側の鉄筋10に引張り荷重が付与される。この際、鉄筋10は、主筋部11において材端位置Eに最も近い領域で降伏が開始される。この鉄筋10の降伏すなわち伸びは、柱1のコンクリート1aの損傷Hをもたらす。その後で、柱1が左方向に傾くと、一旦伸びた鉄筋10に圧縮荷重が付与されるが、この際、損傷したコンクリート1aにおいて鉄筋10の外側にかぶっている部位(かぶりコンクリート)の剥落等の損傷が生じるため、場合によっては柱1の下端部において鉄筋10が外側にはみ出すのを阻止できず、その座屈をもたらす。このようにして、柱1の破損が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、構成材の材端をこの構成材より曲げ剛性の大きな基部に固定するために、連続した鉄筋を構成材と基部に通してこれら構成材および基部のコンクリートに埋め込んだ鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造において、上記構成材側の鉄筋の材端隣接領域の外周には、鉄筋および構成材を補強する補強筒が配されており、鉄筋は、補強筒内における構成材側の第1領域と、補強筒内における基部側の第2領域とを有し、鉄筋の第1領域と補強筒が付着され、鉄筋の第2領域と補強筒との付着強度が、鉄筋の第1領域と補強筒との付着強度より低いとともに、鉄筋と構成材および基部のコンクリートとの付着強度より低く、この第2領域が地震の際に降伏する降伏予定部として提供されることを特徴とする。
【0005】
上記第1の発明の構成によれば、大きな地震の際に補強筒内の鉄筋の降伏予定部で降伏が生じる。降伏予定部が伸びても、降伏予定部が補強筒に囲まれているので、構成材のコンクリートにひび割れ等の悪影響を及ぼさない。また、補強筒自体によって構成材の強度を高めることができる。その結果、地震の際の構成材の破損を著しく軽減できる。しかも、構造は補強筒を鉄筋に装着しただけであるから簡単である。
また、補強筒の構成材側では鉄筋と補強筒が付着されているので、鉄筋の降伏が補強筒の構成材側の端から構成材の奥へと及ぶのを防止でき、この点からも構成材のコンクートの損傷を回避できる。
【0006】
第2の発明は、構成材の材端をこの構成材より曲げ剛性の大きな基部に固定するために、構成材内の第1鉄筋の端部と、基部内の第2鉄筋の端部とを連結するようにした鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造において、上記構成材の材端隣接領域には補強筒が配されており、上記第1鉄筋は上記材端位置に達せずその端部が補強筒内に収容されて付着されており、上記第2鉄筋は材端位置を超えて構成材内に入り込むとともにその端部が補強筒内に収容されており、第2鉄筋の補強筒内の端部は、先端から所定長さにわたる第1領域と、補強筒の基部側の端から所定長さにわたる第2領域とを有し、第1領域が補強筒に付着され、第2領域と補強筒との付着強度が上記第1領域より低く、この第2領域が地震の際に降伏する降伏予定部として提供されることを特徴とする。
この構成によれば、構成材と基部の鉄筋が異なっていても、第1の発明と同等の作用効果を得ることができる。
【0007】
好ましくは、上記補強筒が上記材端の位置から上記基部へと突出している。この構成によれば、地震の際に降伏予定部が延びて補強筒の基部側の端から抜け出た場合に、補強筒と基部のコンクリートとの間の抵抗により、抜け出た降伏予定部に付与される剪断荷重を軽減できる。そのため、降伏予定部は引張,圧縮の交番荷重を良好に受け持つことができ、地震エネルギーを良好に吸収できる。
【0008】
さらに好ましくは、上記補強筒の上記材端位置からの突出量が、最大規模の地震時の上記降伏予定部の伸び量より大きい。これにより、抜け出た降伏予定部に付与される剪断荷重の軽減を一層確実に行うことができる。
【0009】
好ましくは、上記鉄筋の降伏予定部と補強筒との間の付着強度が実質的にゼロである。これにより、降伏予定部での降伏をより一層確実に実行でき、交番荷重をより一層良好に受け持つことができる。
【0010】
さらに上記鉄筋は、上記補強筒の基部側の端から所定長さにわたる領域でも、基部内の他の領域より基部のコンクリートとの付着強度が低く、この領域も地震の際に降伏する降伏予定部として提供されるようにしてもよい。これによれば、降伏領域を長くすることができる。
【0011】
上記発明の態様として、上記基部が柱で上記構成材が梁であり、上記鉄筋が上下に配されており、この梁の材端近傍には、鉄筋の長手方向と交差する方向に延びる開口が、上下の鉄筋に挟まれるようにして形成されている。この開口を利用することにより、設備配管を簡略化することができる。
【0012】
上記発明の態様として、構成材としての左右2本の梁が基部としての柱に固定され、これら梁と柱を共通の連続した鉄筋が通り、左右の梁に対応して鉄筋に補強筒が装着され、鉄筋において左右一対の補強筒の柱側の端間の領域が、全長にわたってコンクリートに付着され、その付着強度が、上記鉄筋の降伏予定部と補強筒との間の付着強度より高い。この場合、付着長さを十分に確保できるので、柱せいを短くできるとともに、鉄筋を太くしたり高強度鉄筋を用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態について図1を参照しながら説明する。本実施形態は、鉄筋コンクリート建造物において、柱1(構成材)を基礎2(基部)に固定するための構造である。基本構造は前述した従来例と同じであるので、図中同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0017】
上記鉄筋10は、異形鉄筋(ネジ鉄筋を含む)からなり、その外周にはフシが形成されており、コンクリート1a,2aとの十分な付着を確保している。鉄筋10の主筋部11の下端部外周(材端隣接領域)には、鋳鉄等の金属製の補強筒20が装着されている。鉄筋10は補強筒20内において、第1領域Nと第2領域Yとを有している。第1領域Nは柱1側であり、補強筒20の上端から所定長さにわたる。第2領域Yは基礎2側であり,補強筒20の下端から所定長さにわたる。
【0018】
第2領域Yの外周にはテープが巻かれたり粘度や樹脂等が塗布されており、この状態で補強筒20と鉄筋10との間にモルタルが充填固化されることにより、両者の付着がなされている。上記第1領域Nでは鉄筋10と補強筒20がモルタルにより直接付着されており、付着強度が十分に確保される。これに対して第2領域Yでは、鉄筋10の外周にテープが巻かれたり粘度や樹脂が塗布されているため、モルタルによる鉄筋10と補強筒20との付着強度は非常に低く、実質的にゼロ(アンボンド状態)である。さらに第2領域Yでの鉄筋10と補強筒20の付着強度は、鉄筋10と柱1,基部2のコンクリート1a,2aとの付着強度よりはるかに低い。この第2領域Yは後述の作用をなす降伏予定部として提供される。
【0019】
なお、アンボンド状態は、鉄筋10のフシをなくして丸棒部を形成することにより得てもよい。補強筒20は、第1領域Nでのみ鉄筋10に圧着,螺合させてもよい。本明細書では、これら圧着,螺合も付着の範囲に入る。
【0020】
上記補強筒20の材端位置Eより上方の長さ(構成材の奥へと向かう長さ)は、後述する地震の際の作用を考慮して所定長さとなっている。さらに補強筒20は、材端位置Eから下方へと突出しており、この突出した領域Tは、基礎2のコンクリート2aに埋め込まれている。この突出量は、材端位置Eより上方の長さより短いが、建築基準法で定められた最大規模の地震動の際に生じる降伏予定部Yの伸び量(最大伸び量)より長くなっている。
【0021】
上記柱1の固定構造において、鉄筋コンクリート造の建造物が地震によって横揺れした時には、従来構造と同様に柱1に大きな曲げモーメントが付与される。この際、コンクリート1a,2a間に割れが生じる点、主として鉄筋10の主筋部11で降伏する点では、従来構造と似ているが、以下に述べる点で従来構造と大きく異なる。
【0022】
詳述すると、図1(B)に示すように、柱1が右側に傾くように曲げモーメントが働いた場合には、左側の鉄筋10に引張荷重が付与される。この際、鉄筋10の主筋部11の材端隣接領域に大きな引張荷重が付与されるが、鉄筋10は補強筒20内の降伏予定部Yがアンボンド状態なので、この部位で優先的に降伏が生じる。この降伏予定部Yが補強筒20内にあるので、降伏予定部Yでの降伏は、その周囲のコンクリート1aに影響を与えず、そのひび割れを回避ないしは軽減できる。しかも、鉄筋10は補強筒20内の第1領域Nで補強筒20との付着を確保しているので、鉄筋10の降伏が補強筒20より上方に及ばず、その周囲のコンクリート1aのひび割れも回避ないしは軽減できる。また、補強筒20自体も柱1の下端部を強化することができる。その結果、柱1の破損を回避ないしは軽減できる。
【0023】
柱1が右から左への傾きに移行する過程では、左側の鉄筋10の主筋部11の材端隣接領域に圧縮荷重が付与される(押し込み力が働く)。この圧縮荷重により、伸びていた降伏予定部Yが圧縮変形され、元の長さに戻る。このように、建造物の横揺れに伴い、アンカー筋部11の降伏予定部Yでは、引張荷重と圧縮荷重を受け持ちながら塑性変形を繰り返すことできる。その結果、地震エネルギーを吸収することができ、建造物の耐震性を向上できる。また、鉄筋10の降伏予定部Yの大部分は、補強筒20に守られているため圧縮荷重を受けても座屈が防止される。
【0024】
図1(B)に戻って説明するが、上記鉄筋10の降伏予定部Yが伸びた時に、補強筒20が基礎2のコンクリート2aから一部抜き出る。この抜き出し量は、上記降伏予定部Yの補強筒20からの抜き出し量(降伏予定部Yの伸び量)とほぼ等しい。この状態では、補強筒20の下端部とコンクリート2a(詳しくは補強筒20の下端部が収容されていた穴2xの周縁)との当たりにより、水平剪断荷重を受け持つため、降伏予定部Yへ付与される剪断荷重を小さくすることができる。したがって、降伏予定部Yは引張,圧縮の交番荷重を良好に受け持つことができ、地震エネルギーを良好に吸収できる。なお、上記補強筒20の材端位置Eから基礎2への突出量が最大規模の地震動の際に生じる降伏予定部Yの伸び量(最大伸び量)より長くなっているので、補強筒20の完全抜け出しを確実に防止でき、上記作用を確保することができる。
【0025】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これら実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。図2,図3を参照しながら本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は、本発明を柱・梁接合部に適用したものである。詳述すると、図2に示すように、左右2本の梁5(構成材)が、柱6(基部)と交差して接合されている。梁5,柱6のコンクリートをそれぞれ符号5a,6aで示す。
【0026】
左右の梁5および柱6には、共通の連続した鉄筋30が通っている。この鉄筋30は梁5において主筋部31となり、柱6においてアンカー筋部32として働く。左右の梁5の材端位置Eの近傍において、鉄筋30にはそれぞれ補強筒40が装着されている。鉄筋30と補強筒40との関係および補強筒40と材端位置Eとの関係は、第1実施形態と同様であるので、同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0027】
上記梁5の材端位置Eの近傍には、鉄筋30と直交する方向(紙面と直交する方向に延びる)に開口50が形成されている。この開口50は、上下の鉄筋30に挟まれるようにして配置されている。この開口50には、冷暖房配管や排気管等の設備配管が通されるようになっている。
【0028】
上記構成をなす第2実施形態では、地震の際に梁5は曲げモーメントを受ける。例えば柱6が図3に示すように右に傾くと、右側の梁5の下側の主筋部31と左側の梁5の上側の主筋部31が引張り荷重を受け、その降伏予定部Yが伸びる。
【0029】
上記とは逆に、柱6が左に傾くと、上記の伸びた降伏予定部Yが圧縮荷重を受けて元の長さに戻り、右側の梁5の上側の主筋部31と左側の梁5の下側の主筋部31が引張り荷重を受けてその降伏予定部Yが伸びる。このようにして、降伏予定部Yが引張り,圧縮の交番荷重を受け持ちながら、伸びと圧縮の変形を繰り返す。補強筒40の役割は第1実施形態の補強筒20と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
図2に示すように、柱6を通る鉄筋30は、左右の補強筒40の柱6側の端の間の領域Aの全長にわたってコンクリート6aと付着している。地震の際の鉄筋の降伏領域は、柱5側では材端位置の近傍のみに限られる。このように付着長さを最大限にとれるので、柱せい(柱6における鉄筋30の長手方向の寸法)を大きくせずに済むとともに、鉄筋30を太くしたり、高強度鉄筋を用いることができる(鉄筋30の太さ等は建築基準上、柱せい等との関係で設定される)。
【0031】
本実施形態では、上述したように補強筒40によって梁5の材端近傍領域の強度が向上しているので、開口50を形成でき、この開口50に容易に設備配管を通すことができる。
【0032】
次に、図4を参照しながら本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態では、第1実施形態と同様に柱固定構造に関するものである。補強筒20の全長にわたって鉄筋10は補強筒20とアンボンド状態となっており(両者の付着強度が鉄筋10とコンクリート1a,2aとの付着強度より低い)、この領域が地震の際に伸縮を繰り返す降伏予定部Yとして提供される。この構成では、補強筒20の上方において鉄筋10の若干の降伏が予想されるが、補強筒20の周囲のコンクリート1aの損傷軽減に関しては、第1実施形態と同様である。
【0033】
次に、図5を参照しながら本発明の第4実施形態を説明する。この実施形態では、柱1の第1鉄筋11A(主筋または主筋部)と基礎2の第2鉄筋12A(アンカー筋またはアンカー筋部)とは、別の鉄筋で構成されており、これら端部が補強筒20(継手)によって連結されている。補強筒20は、第1実施形態と同様に柱1のの材端隣接領域に配されている。
【0034】
上記第1鉄筋11Aは材端位置Eに達せず、その端部が補強筒20内に収容されモルタル等により補強筒20に付着されている。上記第2鉄筋12Aは材端位置Eを超えて柱1内に入り込むとともにその端部が補強筒20内に収容されている。第2鉄筋12Aの補強筒20内の端部は、その上端(先端)から所定長さにわたる第1領域N’と、補強筒20の下端(基礎2側端)から所定長さにわたる第2領域Y’とを有している。第1領域N’はモルタル等により補強筒20に付着されているが、第2領域Y’は補強筒20とアンボンド状態となっており、降伏予定部として提供される。(第2領域Y’と補強筒20との付着強度は、上記第1領域N’,第1鉄筋11Aと補強筒20の付着強度より低く、鉄筋11A,12Aとコンクリート1a,2aとの付着強度より低い。
【0035】
上記第4実施形態の地震時の作用は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
上記第4実施形態において、降伏予定部Y’を第2鉄筋の他の部位より細くしてもよい。
【0036】
上記第1〜第4実施形態において、鉄筋は、補強筒の基部側端から所定長さにわたって基部のコンクリートとアンボンド状態にし(基部内の他の領域に比べて基部のコンクリートとの付着強度を低くし)、この領域をも降伏予定部としてもよい。この領域が補強筒内の降伏予定部と連続するため、降伏予定部を長くすることができる。
【0037】
上記第1〜第4実施形態において、補強筒の端が材端位置Eとほぼ一致して、基部側に突出していなくてもよい。この場合、降伏予定部への剪断荷重を軽減するという作用は期待できないが、構成材の破損回避に関しては上記実施形態と同等の作用効果が得られる。
補強筒内において鉄筋の降伏予定部はアンボンド状態でなくてもよく、例えば付着力の弱いモルタルで両者を直接付着してもよい。
モルタル充填に先立ち補強筒の内周面に樹脂等を塗布して内周面を平滑にしたり、あるいは内周面が平滑な補強筒を用いることにより、鉄筋と補強筒との間のアンボンド状態を得てもよい。
【0038】
次に、図6を参照しながら、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、柱1の固定のために連続した鉄筋10を用いる点で第1実施形態と同じであるが、補強筒20を用いない。この実施形態では、鉄筋10の主筋部11の材端隣接領域Y”がコンクリート1aに対してアンボンド状態となっている(材端隣接領域Y”とコンクリート1aとの付着強度が、主筋部11の他の領域とコンクリート1aとの付着強度を低い)。その結果、この材端隣接領域Y”が地震の際に降伏する降伏予定部として提供される。この実施形態によれば、補強筒による効果は得られないが、鉄筋10の降伏予定部Y”での降伏に伴うコンクリート1aの損傷を軽減できる。
【0039】
なお、上記鉄筋10は、アンカー筋部12の材端隣接領域をもアンボンド状態にして(アンカー筋部の他の領域より基礎2のコンクリートとの付着強度を低くして)、降伏予定部を構成してもよい。この場合、この降伏予定部が主筋部の降伏予定部と連続して、鉄筋10の降伏予定部を長くすることができる。
上記第3〜第5実施形態は、柱・梁接合部にも適用できる。
【0040】
さらに本発明は上記実施形態に拘わらず、種々の形態を採用可能である。例えば、構成材は壁であってもよい。壁の場合、地震の際に回転モーメントが付与されると、一方の隅部を基点に他方の隅部が浮き上がり、その量が柱に比べて大きいが、補強筒を長くして降伏予定部を長く設定することにより、十分な伸び量を確保することができる。
本発明は鉄骨鉄筋コンクリート建造物にも適用される。また、プレキャスト構造にも適用できる。さらに、プレストレストコンクリートを用いることもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の固定構造によれば、地震の際の構成材の破損を著しく軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態をなす柱固定構造の縦断面図であり、(A)は通常時の状態、(B)は地震時の状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態をなす柱・梁接合部を示す縦断面図である。
【図3】第2実施形態の柱・梁接合部の地震時の状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態をなす柱固定構造の縦断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態をなす柱固定構造の縦断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態をなす柱固定構造の縦断面図である。
【図7】従来の柱固定構造の縦断面図であり、(A)は通常時の状態、(B)は地震時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
E 材端位置
N、N’ 第1領域
Y,Y’ 第2領域(降伏予定部)
Y” 主筋部の材端隣接領域(降伏予定部)
1 柱(構成材)
2 基礎(基部)
5 梁(構成材)
6 柱(基部)
1a,2a,5a,6a コンクリート
10,30 鉄筋
20,40 補強筒
50 開口

Claims (8)

  1. 構成材の材端をこの構成材より曲げ剛性の大きな基部に固定するために、連続した鉄筋を構成材と基部に通してこれら構成材および基部のコンクリートに埋め込んだ鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造において、
    上記構成材側の鉄筋の材端隣接領域の外周には、鉄筋および構成材を補強する補強筒が配されており、鉄筋は、補強筒内における構成材側の第1領域と、補強筒内における基部側の第2領域とを有し、鉄筋の第1領域と補強筒が付着され、鉄筋の第2領域と補強筒との付着強度が、鉄筋の第1領域と補強筒との付着強度より低いとともに、鉄筋と構成材および基部のコンクリートとの付着強度より低く、この第2領域が地震の際に降伏する降伏予定部として提供されることを特徴とする鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  2. 構成材の材端をこの構成材より曲げ剛性の大きな基部に固定するために、構成材内の第1鉄筋の端部と、基部内の第2鉄筋の端部とを連結するようにした鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造において、
    上記構成材の材端隣接領域には補強筒が配されており、上記第1鉄筋は上記材端位置に達せずその端部が補強筒内に収容されて付着されており、上記第2鉄筋は材端位置を超えて構成材内に入り込むとともにその端部が補強筒内に収容されており、第2鉄筋の補強筒内の端部は、先端から所定長さにわたる第1領域と、補強筒の基部側の端から所定長さにわたる第2領域とを有し、第1領域が補強筒に付着され、第2領域と補強筒との付着強度が上記第1領域より低く、この第2領域が地震の際に降伏する降伏予定部として提供されることを特徴とする鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  3. 上記補強筒が上記材端の位置から上記基部へと突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  4. 上記補強筒の上記材端位置からの突出量が、最大規模の地震時の上記降伏予定部の伸び量より大きいことを特徴とする請求項に記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  5. さらに上記鉄筋は、上記補強筒外において上記補強筒の基部側の端から所定長さにわたる領域でも、基部内の他の領域より基部のコンクリートとの付着強度が低く、この領域も地震の際に降伏する降伏予定部として提供されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  6. 上記鉄筋の降伏予定部と補強筒との間の付着強度が実質的にゼロであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  7. 上記基部が柱で上記構成材が梁であり、上記鉄筋が上下に配されており、この梁の材端近傍には、鉄筋の長手方向と交差する方向に延びる開口が、上下の鉄筋に装着された上記補強筒に挟まれるようにして形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
  8. 構成材としての左右2本の梁が基部としての柱に固定され、これら梁と柱を共通の連続した鉄筋が通り、左右の梁に対応して鉄筋に補強筒が装着され、鉄筋において左右一対の補強筒の柱側の端間の領域が、全長にわたってコンクリートに付着され、その付着強度が、上記鉄筋の降伏予定部と補強筒との間の付着強度より高いことを特徴とする請求項に記載の鉄筋コンクリート造の建造物における構成材の材端固定構造。
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