JP3865502B2 - 射出成形型及び射出成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は射出成形型に関するものであり、より詳細には積み重ね金型と称される成形キャビティを多段に有する射出成形型に関するものである。
【0002】
複雑な形状の樹脂製品を大量生産する方法として、射出成形が広く普及している。また特に、管継手等の幅の狭い製品を大量生産する場合には、積み重ね金型と称される成形キャビティを前後方向に多段に有する射出成形型が使用される。積み重ね金型の一般的な構成は、例えば日本プラスチック加工技術協会発行の1985年版「射出金型設計・製作の理論と実際」に開示されている。
【0003】
ところで積み重ね金型は、全てのランナ(スプル部を含む)がホットランナとなった構造が採用される場合が多いが、ホットランナ形式の射出成形型は、ヒータを内蔵するため構造が複雑であり、金型製作費が高いという欠点がある。そこで総成形個数が比較的少ない場合には、コールドランナを主体とする射出成形型が使用される。
【0004】
図5は、従来技術のコールドランナを主体とする射出成形型を模式的に表現した断面図である。図6は、図5の射出成形型を型開きした際の断面図である。図7は、図5の段階から更に型を開いて成形品を取り出す際の射出成形型の断面図である。
【0005】
図5,6,7に示す射出成形型100は、管継手を成形する積み重ね金型であり、大きく分けて固定側型片101と、移動側型片103を持ち、その中間に中間型片102が設けられている。射出成形型100は、型締め時には、図5の様に固定側型片101、中間型片102及び移動側型片103が一体となり、型開き時には、図6,7の様にこれら三者の間が分割される。
【0006】
そして射出成形型100では、固定側型片101と中間型片102の間で前段側成形キャビティ105が形成されている。また同じく中間型片102と移動側型片103の間によって後段側成形キャビティ106が形成されている。
【0007】
次に従来技術の射出成形型100のランナの構成について説明する。なお本明細書においては、ランナと言う場合にはスプル部を含む。
積み重ね金型においては、独立した成形キャビティ105,106が中間型片102を挟んで前後方向に二段に設けられているので、後段側成形キャビティ106に樹脂を注入するためには、中間型片102を貫通する中間型貫通ランナ110を設ける必要がある。
【0008】
従来技術の射出成形型100では、上記した中間型片102を貫通する中間型貫通ランナ110は、スプル部107から直線的に設けられている。すなわち固定側型片101には公知のスプルブッシュが設けられているが、スプルブッシュの末端が中間型貫通ランナ110の始端部と直接的に接し、中間型貫通ランナ110はスプル部107と同心的に延びている。またスプル部107は、公知のコールドランナ形式の金型と同様に中間型片102側に向かって開くテーパ形状が形成されている。中間型貫通ランナ110も前記したスプル部107と同様の形状であり、固定側型片101に開口する部位は断面積が小さく、移動側型片103に向かって暫時断面積が広がるテーパ形状となっている。また中間型貫通ランナ110の末端側、より詳細には中間型貫通ランナ110に連続する移動側型片103の一部には、樹脂溜まり111が形成されている。樹脂溜まり111は、アンダーカット形状となっておりランナロックとして機能する。
【0009】
スプル部107の末端及び中間型貫通ランナ110の末端は、それぞれ横方向ランナ115,116が延び、成形キャビティ105,106に至っている。すなわち横方向ランナ115は、固定側型片101と中間型片102の開き面に設けられたものであり、スプル部107に対して垂直方向に延び、前段側成形キャビティ105に連通している。
中間型貫通ランナ110の末端に設けられた横方向ランナ116についても同様であり、中間型片102と移動側型片103の開き面に設けられたものであり、中間型貫通ランナ110に対して垂直方向に延び、後段側成形キャビティ106に連通している。
【0010】
成形キャビティ105,106には、それぞれ突き出しピン125,126が突出される。また樹脂溜まり111にも突き出しピン127が突出される。
【0011】
次に従来技術の射出成形型100の作用を説明する。
射出成形型100は、図示しない射出成形機に取り付けられ、スプル部107から溶融樹脂が充填される。そして溶融樹脂が固化すると図6の様に移動側型片103及び中間型片102を固定側型片101から離間させる。この時のランナの成形物の様子は図6の通りであり、ランナの成形物は、ノズル部分及び固定側型片101と中間型片102の接合面の二箇所で切断される。
すなわち固定側型片101と中間型片102が分離する際に、スプル部107の成形物120が図示しないノズルから切れ離れる。そしてスプル部107の成形物120は、横方向ランナ115と共に中間型片102に引っ張られて固定側型片101のスプル部107から抜ける。
【0012】
また中間型片102と移動側型片103が分離する際に、中間型貫通ランナの成形物121は、最も断面積の小さい固定側型片101と中間型片102の接合面で切れる。そして中間型貫通ランナの成形物121は、横方向ランナ116と共に樹脂溜まり111がランナロックとなって移動側型片103側に付着して移動し、中間型貫通ランナ110から抜け出る。
【0013】
そしてさらに射出成形型100を開き、横方向ランナ115と一体となったスプル部の成形物120を落下させる。また成形キャビティ105,106の成形品122,123及び中間型貫通ランナの成形物121及び横方向ランナ116は、突き出しピン125,126,127によって押され、射出成形型100を離れて落下する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の射出成形型100は、積み重ね金型の構成として普通に採用されている構成であるが、前記した「射出金型設計・製作の理論と実際」にも説明されている様に、特に長い型開きストロークを持つ成形機を要するという問題点がある。
すなわち従来技術の射出成形型100は、スプル部の成形物120と、中間型貫通ランナの成形物121をそれぞれ固定側型片101と中間型片102から抜き出して落下させる。そのため成形機の型開きストロークは、少なくともスプル部の成形物120の長さと中間型貫通ランナの成形物121の長さの合計の長さを要することとなる。また従来技術の射出成形型100では、中間型貫通ランナの成形物121は、固定側型片101と中間型片102の接合面で切られ、移動側型片103に付いて移動する。そのため中間型貫通ランナの成形物121の長さは、中間型片102以上の長さを持ち、全長が長い。そして従来技術の射出成形型100では、この長い中間型貫通ランナの成形物121を、中間型片102と移動側型片103の間に引き出さして落下させるので、中間型片102と移動側型片103の間には、少なくとも中間型片102の厚さを越える空隙を設ける必要がある。
また従来技術の射出成形型100を使用して成形を行うと、固定側型片101、中間型片102,移動側型片103の間を広く開かなければランナの成形物を排出することができないので、型開きに時間がかかり、単位時間当たりのショット数が少なくならざるを得ない。そのため従来技術の射出成形型は、単位時間当たりの生産個数が少ないという不満がある。
【0015】
さらに従来技術の射出成形型100では、スプル部107の成形物120が抜け残ってスプル部107内に残ってしまうことがあり、ランナの成形物の排出に確実性を欠くという問題点があった。
【0016】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に着目し、成形物を離型する際に型片を離間させる距離が短くて足り、小型の射出成形機を使用することが可能であり、且つ単位時間当たりの生産個数が多く、さらにランナの成形物の排出が確実である射出成形型の開発を課題とするものである。
また合わせて本発明は、小型の射出成形機を使用することが可能であり、且つ単位時間当たりの生産個数が多く、さらにランナの成形物の排出が確実である射出成形型方法の開発を課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、少なくとも固定側型片と移動側型片とその両者の間に配された中間型片を有し、該中間型片を挟む前後の位置にそれぞれ独立した成形キャビティを有すると共に、中間型片を貫通して移動側型片側の成形キャビティに通じる中間型貫通ランナを有する射出成形型において、前記中間型貫通ランナは、その中間部に切断部位が設けられ、かつ固定側型片にはスプル部が設けられ、スプル部の少なくとも一部は保温又は加熱可能であることを特徴とする射出成形型である。
【0018】
請求項1に記載の射出成形型は、成形キャビティを多段に有する積み重ね金型である。そして本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナを有するが、当該中間型貫通ランナはその中間部に切断部位が設けられている。そのため本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で二つに分断される。したがって中間型貫通ランナを抜き出すのに要する型片の離間距離は小さく、射出成形機のストロークは短くて足る。
【0020】
本発明の射出成形型では、周知の射出成形型と同様に固定側型片にはスプル部が設けられているが、特に本発明では、スプル部の少なくとも一部は保温又は加熱可能である。言い換えると、スプル部の少なくとも一部がホットランナ構造となっている。そのため本発明では、スプル部の成形物が短く、スプル部から抜き出すのに要する型片の離間距離が小さい。
【0021】
さらに上記した発明を改良した発明は、中間型貫通ランナの中間部に断面積が最小および又は極小の部位が設けられ、当該最小および又は極小断面積の部位で切断部位が形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナの中間部に断面積が最小および又は極小の部位が設けられ、当該最小および又は極小断面積の部位で切断部位が形成されている。ここで断面積が極小とは、周辺部に比べて断面積が小さくなっていることを言う。一方断面積が最小とは、中間型貫通ランナのなかで断面積が最小であることを指す。中間型貫通ランナは、型を開いた時、強度の弱い断面積が最小および又は極小の部位で確実に切れる。そのため中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。したがって中間型貫通ランナを短くして取り出すことができ、中間型貫通ランナから抜き出すのに要する型片の離間距離が小さい。
【0023】
また上記した発明を改良した発明は、中間型貫通ランナの中間部に断面積の急変部が設けられ、当該断面積の急変部位で切断部位が形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナの中間部に断面積の急変部が設けられている。そのため中間型貫通ランナは、型を開いた時、断面積の急変部に応力が集中し、当該部位が切れる。そのため中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。したがって中間型貫通ランナから抜き出すのに要する型片の離間距離が小さい。
【0025】
上記した課題を解決するための請求項2に記載の発明は、少なくとも固定側型片と移動側型片とその両者の間に配された中間型片を有し、該中間型片を挟む前後の位置にそれぞれ独立した成形キャビティを有すると共に、中間型片を貫通して移動側型片側の成形キャビティに通じる中間型貫通ランナを有する射出成形型において、前記中間型貫通ランナは、その中間部に切断部位が設けられ、かつ中間型貫通ランナの中間部は保温又は加熱可能であり、当該保温又は加熱可能部位によって切断部位が形成されていることを特徴とする射出成形型である。
【0026】
本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナの中間部に保温又は加熱可能の部位が設けられている。そのため型内において、当該部位の成形品は他の部位に比べて温度が高く、剛性が低い。そのため中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。したがって中間型貫通ランナから抜き出すのに要する型片の離間距離が小さい。
【0027】
さらに上記した発明に改良を加えた発明は、中間型貫通ランナの前後の位置には、アンダーカット部が設けられていることを特徴とする。
【0028】
本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナの前後の位置にアンダーカット部が設けられている。そのため中間部分で切断された中間型貫通ランナの成形物は、アンダーカット部が係合して固定側型片又は移動側型片等に引っ張られ、中間型貫通ランナの穴から確実に排出される。
【0029】
さらに上記した発明を改良した請求項4に記載の発明は、アンダーカット部位には突き出し部材が突出されることを特徴とする射出成形型である。
【0030】
本発明の射出成形型は、アンダーカット部位には突き出し部材が突出される。そのため中間型貫通ランナは、突き出し部材によって押し出され、確実に離型される。
【0031】
また上記した発明をより具体化した請求項4に記載の発明は、固定側型片にはスプル部が設けられ、スプル部は前記固定側型片を貫通し、固定側型片と中間型片の接合部位に前記スプル部に対して垂直に延びる横方向ランナが設けられ該横方向ランナは固定側型片側の成形キャビティに連通し、さらに横方向ランナのスプル部と固定側型片側の成形キャビティの中間部位は分岐されて中間型貫通ランナに連通していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の射出成形型である。
【0032】
本発明の射出成形型では、スプル部に横方向ランナが設けられ、この横方向ランナのスプル部と固定型側の成形キャビティの中間部位が分岐されて中間型貫通ランナに連通している。すなわち本発明の射出成形型では、中間型貫通ランナは、スプル部に対して偏心した位置にある。そのため本発明の射出成形型では、突き出しピン等によって中間型貫通ランナを離型し易い。
【0033】
また上記した射出成形型を使用した成形品の製造方法に関する発明は、請求項1乃至4のいずれかの射出成形型を使用することを特徴とする射出成形品の製造方法である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の射出成形型を模式的に表現した断面図である。図2は、図1の射出成形型の中間型貫通ランナの拡大図である。図3は、図1の射出成形型を型開きした際の断面図である。図4は、図1の段階から更に型を開いて成形品を取り出す際の射出成形型の断面図である。
なお、図1は、射出成形型内に樹脂が充填された状態を示し、図2は射出成形型内に樹脂が無い状態を図示している。
【0035】
図において、1は本発明の実施形態の射出成形型を示す。本実施形態で説明する射出成形型1は、従来技術の欄で説明したものと同様に管継手を成形する積み重ね金型であり、大きく分けて固定側型片5と、移動側型片7を持ち、その中間に中間型片6が配されている。
【0036】
固定側型片5は、大きく3つの板部材によって構成されている。すなわち固定側型片5は、端部側から固定側取付板10、スペーサブロック11及び固定側型板12が順次重ねられたものである。
固定側取付板10と固定側型板12は、後記するスプル部25等を除いて概ね中実であるが、スペーサブロック11は固定側取付板10の間に空隙を設けるための部材であり、スペーサブロック11が装着された部位の中心部分は空洞13となっている。そして当該空洞13内には押し出し板14が設けられている。
【0037】
中間型片6は、一枚の板材が所定形状に加工されたものである。
【0038】
移動側型片7の板構成は、前記した固定側型片5と略同様であり、端部側から移動側取付板15、スペーサブロック16及び移動側型板17が順次重ねられたものである。移動側取付板15と移動側型板17は、概ね中実であるが、スペーサブロック16中心部分は空洞18となっている。そして空洞18内には、押し出し板20が設けられている。
【0039】
射出成形型1は、型締め時には、図1の様に固定側型片5、中間型片6及び移動側型片7が一体となり、型開き時には、図3,4の様にこれら三者の間が分離される。
【0040】
そして射出成形型1では、従来技術の欄で説明した射出成形型100と同様に、固定側型片5と中間型片6の間で前段側成形キャビティ21が形成されている。すなわち固定側型片5の固定側型板12と中間型片6のそれぞれの接合面には、断面がそれぞれ半円形状の窪みが設けられ、固定側型片5と中間型片6が接合した状態の時に円形の空隙が形成される。そして当該円形の空隙内にコア23が配され、管状の前段側成形キャビティ21が形成される。
なお、図1は射出成形型1の特定の断面を表したものであり、前段側成形キャビティ21は一つしか図示されていないが、実際上は、奥行き方向に複数の独立した前段側成形キャビティ21が設けられている。
【0041】
また同じく中間型片6と移動側型片7の間によって後段側成形キャビティ22が形成されている。後段側成形キャビティ22の構造や形状は、前段側成形キャビティ21と同一である。
【0042】
次に本実施形態の特徴部分たるランナ(スプル部を含む)の構成について説明する。
本実施形態の射出成形型1は、スプル部25だけがホットランナ構成であり、他のランナはいずれもコールド形式である。
すなわち本実施形態の射出成形型1では、固定側型片5にホットランナブロック27が装着されている。ホットランナブロック27の中心部には、スプルとなる貫通穴26(図2)が開口しており、その周囲には図示しないヒータが埋め込まれていてスプルとなる貫通穴26(図2)が保温又は加熱される。ホットランナブロック27の貫通穴26の前端は、固定側取付板10に開口し、図示しないノズルが当接される。
【0043】
スプル部25の貫通穴26の末端からは、図面奥行き方向にランナが延びている(図示せず)と共に図面下方向に横方向ランナ30が延び、横方向ランナ30の先端は前段側成形キャビティ21に直接的に開口している。横方向ランナ30は、固定側型板10と中間型片6の開き面に設けられたものであり、スプル部25の貫通穴26に対して垂直方向に延びている
【0044】
そして横方向ランナ30は、スプル部25と前段側成形キャビティ21の中間部位が分岐されて、中間型貫通ランナ40に連通している。すなわち中間型貫通ランナ40の中心軸は、スプル部25のそれと図面の高さ方向に一致せず、偏心している。
中間型貫通ランナ40は、中間型片6を貫通するものであるが、その断面形状は本実施例に特有のものである。すなわち本実施形態で採用する中間型貫通ランナ40は、中間型片6の両端面の開口部分の面積が大きく、中心へ向かうほど断面積が減少する。言い換えると、中間型貫通ランナ40は、両端面から中心方向に向かうテーパ形状に形成されており、中心部分の断面積が最も小さい。
すなわち中間型貫通ランナ40は、中心部分で断面積が極小かつ最小となる。そして中間型貫通ランナ40は中心部分で断面積が急変する。すなわち中間部では、断面積が漸減状態から漸増状態となり断面積が急変する。また本実施形態では、中間型貫通ランナ40の中心部の周囲にヒータ45が配され、当該部位が樹脂の軟化点以上の温度に加熱又は保温される。
本実施形態では、中間型貫通ランナ40の長手方向の中心であって、断面積が極小かつ最小であり、断面積が急変していると共に軟化点以上に加熱可能の部位が切断部位41となる。
【0045】
中間型貫通ランナ40の前後に目を移すと、本実施形態の射出成形型1では、中間型貫通ランナ40の前後の位置にアンダーカット部46,47が設けられている。アンダーカット部46,47は、中間型片6と接する固定側型板12と、移動側型板17に設けられており、中間型貫通ランナ40の断面中心が一つの角となる三角形状の樹脂溜まりである。アンダーカット部46,47の中心線は、中間型貫通ランナ40の中心線と一致する。
【0046】
また中間型貫通ランナ40の下流側、すなわち移動側型片7側は、横方向ランナ48に繋がり、さらに横方向ランナ48は、後段側成形キャビティ22に直接開放されている。横方向ランナ48は、中間型片6の移動側型板17の接合面に設けられたものである。
【0047】
本実施形態の射出成形型1では、公知のそれと同様に前後の成形キャビティ21,22にそれぞれ突き出しピン50,51が突出されるが、特に本実施形態の射出成形型1では、アンダーカット部46,47にも突き出しピン55,56が突出される。
詳細に説明すると、スペーサブロック11の空洞13内に配された押し出し板14には、複数の突き出しピン50,55が設けられ(図では2本)、その内の一つの突き出しピン50が固定側型片5内から前段の成形キャビティ21に突出される。また他の一つの突き出しピン55は、固定側型片5内からアンダーカット部46に突き出される。
さらに移動側型片7側についても同様であり、スペーサブロック16の空洞18内に配された押し出し板20には、複数の突き出しピン51,56が設けられ(図では2本)、その内の一つの突き出しピン51が、移動側型片7内から後段の成形キャビティ22に突出され、他の一つの突き出しピン56がアンダーカット部47に突き出される。
【0048】
次に本実施形態の射出成形型1の作用を説明する。
射出成形型1は、射出成形機に取り付けられ、スプル部25から溶融樹脂が充填される。そして溶融樹脂が固化すると図3の様に移動側型片7及び中間型片6が固定側型片5から分離される。この時のランナの成形物60の様子は図3の通りであり、ランナの成形物60は、中間型貫通ランナ40の中心で切断される。すなわち本実施形態の射出成形型1では、中間型貫通ランナ40の中間部は、断面積が最小および又は極小であり、負荷される応力が最も大きい。また当該部分は、断面積が急変しているので、応力集中が起こる。さらに当該部分は軟化点以上に加熱可能であり、樹脂自身の剛性が極めて低い。そのため射出成形型1を開くと、最も強度の低い中間型貫通ランナ40の中心部分でランナの成形物60が分断される。
【0049】
そして中間型貫通ランナ40の前後であって、中間型片6と接する固定側型板12と、移動側型板17とにそれぞれアンダーカット部46,47が設けられているので、ランナの成形物60は、中間型貫通ランナ40の中心で二分割され、その一片61は固定側型板12に付着し、他の一片65は移動側型板17に付着する。
したがって射出成形型1の型開き動作に伴って、中間型貫通ランナ40は、分断された上、固定側型板12と移動側型板17に付着し、中間型片6の両側に抜ける。
ここで中間型貫通ランナ40は、図3の様に二分割されているので、それぞれの成形物(一片61と他片65)は、従来技術のものと比べて全長が短い。そのためランナの成形物60を抜き出すのに要する各型片5,6.7の移動距離は、従来技術のそれに比べて短くて足る。
【0050】
そしてさらに移動側型片7と中間型片6が固定側型片5から分離すると、押し出し板14,20が作動し、押し出し板14,20が中間型片6側に移動して突き出しピン50,51を成形品62,63の背後から突出させる。その結果成形品62,63は、背後から押し出されて離型する。
また同時に突き出しピン55,56がアンダーカット部46,47に突出し、アンダーカット部46,47に残った成形物を背後から押し出す。その結果、それぞれのランナ成形物(一片61と他片65)は、型を離れて落下する。なお、本実施形態では、スプル部25がホットランナ形式であるから、固定側型片5に付着した成形物片60は、スプル部25の末端で切れ、短い状態で落下する。
【0051】
以上説明した実施形態では、中間型貫通ランナ40は、両端面から中心方向に向かうテーパ形状のものを採用した。本実施形態の射出成形型1が、中間型貫通ランナ40の形状としてこの様なテーパ形状を採用した理由は、本発明の射出成形型が中間型貫通ランナ40の部位の成形物を中間型片6の両側に抜き出すものであるから、成形物の抜け勾配を中間型片6の両側に設けることが望ましいためである。
この様な、両端面から中心方向に向かうテーパ形状の中間型貫通ランナは、最も推奨されるものであるが、勿論他の形状の中間型貫通ランナを採用してもよい。
また本実施形態では、中間型貫通ランナ40の中心を
▲1▼ 断面積が極小とし、
▲2▼ 断面積を最小とし、
▲3▼ 断面積が急変し、
▲4▼ 軟化点以上に加熱可能とした。
本実施形態では、このように中間型貫通ランナ40の中心に四つの特徴的構成を付加したが、本発明は、必ずしもこの四つの構成が必須ではなく、この内の一又は二以上の構成を備えておれば足りる。
また以上説明した実施形態では、管継手を成形する射出成形型を例に説明したが勿論他のあらゆるものの成形に、本発明は活用可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の射出成形型は、中間型貫通ランナを有するが、当該中間型貫通ランナはその中間部に切断部位が設けられているので、中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で二つに分断され、抜き出す際の全長は短い。そのため本発明の射出成形型は、中間型貫通ランナを抜き出すのに要する型片同士の離間距離が短く、移動ストロークの短い小型の射出成形機を使用して樹脂製品を成形することができる効果がある。
また本発明の射出成形型は、型片同士の離間距離が短い状態でランナの成形物を排出することができるので、型開きに要する時間が短縮され、単位時間当たりのショット数を増加させることが可能であり、単位時間当たりの成形個数の増加を図ることができる。
さらに本発明の射出成形型では、ランナの取り出しが確実に行われ、ランナ詰まりによる機械の停止が少ない。
また型開きの寸法が小さくなることと相まって、射出成形型自体が小型となり、射出成形型を製造する際のコスト低減が可能となる。
【0053】
また、スプル部の少なくとも一部が保温又は加熱可能であり、少なくとも一部がホットランナ構造となっているので、スプル部の成形物が短く、スプル部を抜き出すのに要する型片同士の離間距離が短く、型開きの寸法がさらに小型化される。
【0054】
また特に、中間型貫通ランナの中間部に断面積が最小および又は極小の部位が設けられているので、中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。
【0055】
同様に、中間型貫通ランナの中間部に断面積の急変部が設けられ、中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。
【0056】
また請求項2に記載の射出成形型では、中間型貫通ランナの中間部に保温又は加熱可能の部位が設けられているので中間型貫通ランナの成形物は、中間部分で確実に二つに分断される。
【0057】
また、中間型貫通ランナの前後の位置には、アンダーカット部が設けられているので、中間部分で切断された中間型貫通ランナは、アンダーカット部が係合して固定側型片又は移動側型片等に引っ張られ、中間型貫通ランナの穴からの排出がより確実に行われる。
【0058】
さらに請求項3に記載の射出成形型では、アンダーカット部位に突き出し部材が突出されるので、中間型貫通ランナの離型は確実である。
【0059】
請求項4に記載の射出成形型は、中間型貫通ランナは、スプル部に対して偏心した位置にある。そのため本発明の射出成形型では、突き出しピン等によって中間型貫通ランナを離型し易く、中間型貫通ランナの離型がより確実であるという効果がある。
【0060】
さらに請求項5に記載の射出成形品の製造方法は、単位時間当たりの成形個数が多いという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の射出成形型を模式的に表現した断面図である。
【図2】図1の射出成形型の中間型貫通ランナの拡大図である。
【図3】図1の射出成形型を型開きした際の断面図である。
【図4】図1の段階から更に型を開いて成形品を取り出す際の射出成形型の断面図である。
【図5】従来技術のコールドランナを主体とする射出成形型を模式的に表現した断面図である。
【図6】図5の射出成形型を型開きした際の断面図である。
【図7】図5の段階から更に型を開いて成形品を取り出す際の射出成形型の断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形型
5 固定側型片
6 中間型片
7 移動側型片
21 前段側成形キャビティ
22 後段側成形キャビティ
25 スプル部
30 横方向ランナ
40 中間型貫通ランナ
41 切断部位
46,47 アンダーカット部
55,56 突き出しピン
60 ランナの成形物
Claims (5)
- 少なくとも固定側型片と移動側型片とその両者の間に配された中間型片を有し、該中間型片を挟む前後の位置にそれぞれ独立した成形キャビティを有すると共に、中間型片を貫通して移動側型片側の成形キャビティに通じる中間型貫通ランナを有する射出成形型において、
前記中間型貫通ランナは、その中間部に切断部位が設けられ、かつ固定側型片にはスプル部が設けられ、スプル部の少なくとも一部は保温又は加熱可能であることを特徴とする射出成形型。 - 少なくとも固定側型片と移動側型片とその両者の間に配された中間型片を有し、該中間型片を挟む前後の位置にそれぞれ独立した成形キャビティを有すると共に、中間型片を貫通して移動側型片側の成形キャビティに通じる中間型貫通ランナを有する射出成形型において、
前記中間型貫通ランナは、その中間部に切断部位が設けられ、かつ中間型貫通ランナの中間部は保温又は加熱可能であり、当該保温又は加熱可能部位によって切断部位が形成されていることを特徴とする射出成形型。 - アンダーカット部位には突き出し部材が突出されることを特徴とする請求項1乃至2に記載の射出成形型。
- 固定側型片にはスプル部が設けられ、スプル部は前記固定側型片を貫通し、固定側型片と中間型片の接合部位に前記スプル部に対して垂直に延びる横方向ランナが設けられ、該横方向ランナは固定側型片側の成形キャビティに連通し、さらに横方向ランナのスプル部と固定側型片側の成形キャビティの中間部位は分岐されて中間型貫通ランナに連通していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の射出成形型。
- 請求項1乃至4のいずれかの射出成形型を使用することを特徴とする射出成形品の製造方法。
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