JP3865330B2 - マトリックス型工具マガジンの工具搬送方法及びマトリックス型工具マガジン - Google Patents
マトリックス型工具マガジンの工具搬送方法及びマトリックス型工具マガジン Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械に設けられたマトリックス型工具マガジンの工具搬送方法及びマトリックス型工具マガジンに係り、特に、工具を工具マガジン部の前方に抜き出して工具搬送するマトリックス型工具マガジンにおける工具搬送方法と工具マガジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
マシニングセンタ(以下、MCと記載)など工作機械は自動工具交換装置(以下、ATCと記載)を備えており、このATCにより、工作機械の主軸と、複数の工具を貯蔵する工具マガジン又は中間保持手段(中間ポット)との間で工具交換を行う。
工具マガジンには、工具の軸線方向寸法(以下、工具長と記載)が所定寸法以下の標準的な寸法である工具(以下、標準寸法工具と記載)をマトリックス状に配列して収納する構成のマトリックス型工具マガジンがある。
このマトリックス型工具マガジンには、収納用の工具ポットと所定の工具マガジン側工具交換位置にある工具ポットとの間を工具搬送装置が移動して、工具を各工具ポットに対して着脱することにより工具の搬送が行われるタイプのものがある。
【0003】
ATCには、工具交換アーム(以下、交換アームと記載)が工具を把持して、マトリックス型工具マガジン(以下、工具マガジンと記載)と主軸との間,又はこれらと中間の待機位置との間を揺動することにより、主軸と工具マガジンとの間で工具の移送を行うものがある。
このタイプのATCでは、交換アームが待機位置から主軸側工具交換位置へ揺動する動作と、主軸に対する新旧工具の工具交換動作とを行って、主軸と交換アームとの間で工具交換を行う。
また、交換アームが、待機位置から工具マガジン側の工具交換位置へ揺動する動作と、工具マガジンに対する新旧工具の工具交換動作とを行って、工具マガジンと交換アームとの間で工具交換を行う。
【0004】
特公平4−6492号公報及び特公平4−8173号公報には、ツールラックをそれぞれ移動させてツールラック間隔を可変とする工具マガジンが開示されている。
特開昭63−57134号公報には、カセットストッカから工具収納カセットを一列抜き出して、この工具収納カセットを工具マガジン側工具交換位置に移動させる工具マガジンが開示されている。
【0005】
特開昭62−102941号公報には、工具収納棚の工具ポットの軸線をトラバーサの移動方向に対して所定の角度傾斜させる工具マガジンが開示されている。特開平4−310341号公報には、工具を保持するホルダの工具装着口が互いに反対方向に開口した工具マガジンが開示されている。
さらに、特開昭62−236643号公報にも、工具を工具マガジン部の前方に抜き出して工具搬送する構成の工具マガジンが開示され、特公昭46−42837号公報には、工具を上方に抜き出して工具搬送する構成の工具マガジンが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年のNC工作機械では、工具交換に要する時間全体を短縮して作業能率を向上させるために、工具マガジンにおいても、工具搬送時間の短縮化が求められている。
しかも、前記標準寸法工具の他に、標準寸法工具とは異なる寸法の工具、例えば、標準寸法工具より工具長の長い工具(以下、長寸法工具と記載)を使用しないと加工ができない工作物がある。
【0007】
このようなさまざまな種類の加工に対処するためには、NC工作機械の工具マガジンには標準寸法工具の他に長寸法工具も収納しなければならない。
しかし、長寸法工具を基準にして工具マガジンを設計,製作すると、工具マガジンが大型化してしまうという問題点が生じる。
【0008】
さらに、上述の各公報に記載の技術では、工具を工具マガジン部の前方(又は上方)に抜き出して、収納用の工具ポットと工具マガジン側工具交換位置の工具ポットとの間で工具搬送する場合に、工具搬送経路を最短経路になるようにして工具を短時間で搬送することができない。
また、前記各公報には、標準寸法工具と長寸法工具など工具軸線方向の寸法が異なる複数種類の工具を収納するための構成も開示されていない。
【0009】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、工具を工具マガジン部の前方に抜き出す構成のマトリックス型工具マガジンにおいて、さまざまな種類の加工に対処するために標準寸法工具の他、長寸法工具もマトリックス型工具マガジンに収納可能にし、且つ、工具搬送すべき工具を、収納中の他の工具に干渉することなく短時間で移動させて工具搬送することができるマトリックス型工具マガジンの工具搬送方法及びマトリックス型工具マガジンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明に係る工具搬送方法は、工具を収納するための複数の工具収納手段をマトリックス状に配列した工具マガジン部を有し、この工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送し、前記工具マガジン部は、一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されている工作機械のマトリックス型工具マガジンにおける工具搬送方法であって、工具搬送すべき前記工具の被把持部を工具用ハンドで着脱自在に把持し、前記工具収納手段に収納された前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させて、前記工具収納手段,前記工具保持部及び前記工具装着部のいずれかに対して前記工具を着脱し、前記工具搬送すべき工具の後端部が、この工具の移動経路にある収納中の前記工具の前端部より所定距離前方の前方位置に位置するまで、前記工具搬送すべき工具を前方に抜き出した後、この前方に抜き出された工具を、前記工具収納手段,前記工具保持部及び前記工具装着部のいずれかの前方位置の間で移動させる。
【0011】
なお、前方位置に移動した前記工具用ハンドを、前記工具収納手段相互間,前記工具収納手段と前記工具交換位置の前記工具保持部との間,及び前記工具収納手段と前記主軸の前記工具装着部との間で、最短経路になるようにほぼ直線的に移動させるのが好ましい。
【0012】
前記工具搬送方法を実現するためのマトリックス型工具マガジンは、工具を収納するための複数の工具収納手段がマトリックス状に配列された工具マガジン部と、この工具マガジン部の前記工具収納手段に収納された前記工具の軸線方向前方側に設けられ、前記工具の被把持部を把持して、前記工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送する工具搬送装置とを備えている。
【0013】
そして、前記工具マガジン部は、一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されており、前記工具搬送装置は、工具搬送すべき前記工具の前記被把持部を着脱自在に把持する工具用ハンドと、前記工具収納手段,前記所定の工具交換位置の前記工具保持部,及び前記主軸の前記工具装着部のいずれかに対して前記工具を着脱させるために、収納中の前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させるとともに、前記工具搬送すべき工具の後端部が、この工具の移動経路にある収納中の前記工具の前端部より所定距離前方の前方位置に位置するまで、前記工具搬送すべき工具を前方に抜き出し可能な進退移動手段と、この進退移動手段で前記前方位置に抜き出された前記工具を、前記工具収納手段,前記所定の工具交換位置の前記工具保持部,及び前記工具装着部のいずれかの前方位置の間で移動させる平面的移動手段とを備えている。
【0014】
好ましい態様に係る本発明のマトリックス型工具マガジンは、工具を収納するための複数の工具収納手段がマトリックス状に配列され、この工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送する工作機械のマトリックス型工具マガジンであって、一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されている工具マガジン部と、工具搬送する前記標準寸法工具又は前記長寸法工具を着脱自在に把持する工具把持部を有する工具用ハンドと、前記工具マガジン部に設けられ、前記工具用ハンドを前記工具マガジン部と平行な面内で移動させる平面的移動手段と、この平面的移動手段の支柱部材に移動自在に設けられ、前記工具用ハンドを前記第2の収納部側に突き出すように支持するフレームと、このフレームに設けられ、前記工具マガジン部の前記工具収納手段に収納されている前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させるとともに、前方に移動したとき前記工具収納手段に収納されている前記工具と工具搬送する前記標準寸法工具又は前記長寸法工具とが干渉しない前方位置に前記工具用ハンドを移動させる進退移動手段とを有し、前記標準寸法工具及び前記長寸法工具のいずれかの工具を搬送する時に、収納中の標準寸法工具と長寸法工具のいずれにも干渉することな く移動可能にしている。
【0015】
なお、前方に移動した前記工具用ハンドを、前記各前方位置に移動させる時、最短経路になるようにほぼ直線的に移動させるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態の一例を、図1乃至図5を参照しながら説明する。
図1及び図2はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る工作機械のマトリックス型工具マガジン(以下、工具マガジンと記載)の正面図及び平面図、図3は工具マガジンに設けられた工具搬送装置の拡大正面図、図4は図3に示す工具搬送装置の平面断面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態は工作機械として横形のMC(マシニングセンタ)の場合を示しているが、立形のMC,ターニングセンタなど他の種類の工作機械であってもよい。
工作機械本体1の側部には自動工具交換装置(以下、ATCと記載)2が設置されており、工作機械本体1とATC2とにより、ATCを備えたMC3を構成している。
【0018】
工作機械本体1の側部には、工具を貯蔵する工具マガジン4が設けられ、ATC2は工具交換アーム(以下、交換アームと記載)5を備えている。
ATC2は、交換アーム5を介して、工作機械本体1の主軸6と工具マガジン4との間で、主軸6に装着されるとともに工具長が所定長さ以下の標準的な寸法である工具(以下、標準寸法工具と記載)7と、工具長が前記所定長さより長い工具(以下、長寸法工具と記載)8の工具交換を行う。
【0019】
標準寸法工具7と長寸法工具8は、主軸6の工具装着部に着脱自在に装着される同一形状のツールシャンクを有している。
MC3において使用される工具のうち、通常は、標準寸法工具7のみで加工可能な工作物が多いので、工具マガジン4には、多数の標準寸法工具7が貯蔵されている。
しかしながら、長寸法工具8を使用しないと加工できない工作物の場合には、長寸法工具8も工具マガジン4に貯蔵される。
【0020】
工作機械本体1の主軸頭9には主軸6が回転自在に支持されており、主軸6は、標準寸法工具7又は長寸法工具8を着脱自在に装着して主軸駆動モータにより回転駆動される。
主軸6には、公知のボール式引っ張り機構方式又はコレット式引っ張り機構方式等の工具クランプ・アンクランプ機構が内蔵されている。この工具クランプ・アンクランプ機構は、皿ばね,コイルばね等ばね部材とアンクランプ用シリンダとにより、標準寸法工具7又は長寸法工具8を、主軸前部の工具装着部にクランプ・アンクランプする。
主軸6に対向する位置には、工作物を取付けるためのテーブル10が工作機械本体1に設けられており、主軸6に対してテーブル10が少なくとも直交座標系の三軸方向に相対移動自在になっている。
【0021】
テーブル10,コラム及び主軸頭9等を、NC装置(数値制御装置)に制御されるサーボモータとボールねじとによって駆動位置決め制御することにより、テーブル10上の工作物と、主軸6に装着された標準寸法工具7又は長寸法工具8とを、相対的に移動させて工作物を切削加工する。かかる駆動位置決め機構はリニアモータ等であってもよい。
なお、主軸6の軸線方向をZ軸とし、これに直交して直交座標系をなす各方向をX軸,Y軸とし、−X軸方向(図2の下方)を工具マガジン4の前方として説明する。
【0022】
ATC2は、標準寸法工具7及び長寸法工具8を着脱自在に把持するとともに、主軸6と工具マガジン4に対して標準寸法工具7及び長寸法工具8の受け渡しを行うツインアームタイプの交換アーム5と、交換アーム5を旋回動作,進退移動動作させる駆動手段(図示せず)と、主軸側の工具交換位置S1 ,待機位置S2 ,及び工具マガジン4側の工具交換位置S3 に交換アーム5を揺動させて位置決めする揺動手段(図示せず)とを備えている。
【0023】
工具マガジン4は、標準寸法工具7及び長寸法工具8を収納するための複数の工具ポット12がマトリックス状に配列された工具マガジン部13と、工具マガジン部13の工具ポット12に収納された標準寸法工具7,長寸法工具8の軸線方向前方側に設けられた工具搬送装置14とを備えている。
工具マガジン部13は、Y−Z軸平面と平行な面内にマガジンスタンド20を有している。標準寸法工具7,長寸法工具8を収納するための、複数の工具ポット12,及び後述する工具ポット12xは、マガジンスタンド20にマトリックス状に縦横方向に配列して設けられている。
【0024】
工具搬送装置14は、マガジンスタンド20上のマトリックスの交点即ち各工具ポット12,12xの場所に自在に移動動作をする。
工具搬送装置14は、標準寸法工具7と長寸法工具8のツールシャンクの被把持部(フランジのV溝部)15a,15bを把持し、工具ポット12,12xから標準寸法工具7又は長寸法工具8を前方に抜き出し、工具ポット12と、所定の工具交換位置例えば工具マガジン側工具交換位置S3 の工具保持部である工具ポット12xとの間を移動し、標準寸法工具7又は長寸法工具8を所望の位置に搬送して各工具ポット12,12xに対して着脱する。
主軸6の工具装着部に装着できるように、標準寸法工具7と長寸法工具8の各ツールシャンクの形状と、被把持部15a,15bの形状は、全部の工具でそれぞれ同一になっている。
【0025】
工具マガジン4側の工具交換位置S3 の下方隣の交点が、工具交換をしない時に工具搬送装置14が待機する移動原位置(以下、原位置と記載)S4 である。工具マガジン4には、工具マガジン4に対する工具の段取りを行う工具段取り位置S5 が、所定の場所(例えば、図1の下方左側)に設定されている。
工具マガジン部13には、これらの位置S3 乃至S5 が一箇所ずつ準備されている。
工具搬送装置14は、収納用の一つの工具ポット12に標準寸法工具7,長寸法工具8を装着した後には、所望の標準寸法工具7,長寸法工具8が収納されている他の工具ポット12の位置,工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの位置,又は原位置S4 に移動する。
【0026】
図1の符号Bで示す場所(即ち、標準寸法工具貯蔵部B)にある工具ポット12には標準寸法工具7のみが収納可能になっている。この標準寸法工具貯蔵部Bでは、工具ポット12が一列又は複数の列(本実施形態では複数列)をなしている。
符号Cで示す場所(即ち、長寸法工具貯蔵可能部C)にある工具ポット12には、標準寸法工具7又は長寸法工具8が収納可能になっている。
このように、工具マガジン部13は、第1の収納部である標準寸法工具貯蔵部Bと、第2の収納部である長寸法工具貯蔵可能部Cとに分けられている。
【0027】
長寸法工具8は、工具マガジン側工具交換位置S3 の位置している側部(例えば、図1の右側部R)とは反対側の工具マガジン部側部(例えば、図1の左側部L)の近傍に位置する、一列の一つ又は複数の工具ポット12に収納されている。
このように、長寸法工具貯蔵可能部Cは、工具搬送の際の工具搬送装置14の出発位置及び到着位置である工具マガジン側工具交換位置S3 とは最も離れた位置(即ち、工具マガジン側工具交換位置S3 の位置している側部Rとは反対側の工具マガジン部側部Lの近傍)に配置されている。
これにより、標準寸法工具7,長寸法工具8の搬送経路の途中には、長寸法工具8は収納されないことになる。
【0028】
図1乃至図4に示すように、工具搬送装置14は、工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8の被把持部15a,15bを着脱自在に把持するとともに標準寸法工具7,長寸法工具8の配列に対応する形状を有する工具用ハンド30と、工具用ハンド30を移動させる平面的移動手段31及び進退移動手段32とを備えている。
【0029】
進退移動手段32は、工具マガジン部13にマトリックス状に配列された収納用の工具ポット12及び工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに対して標準寸法工具7,長寸法工具8を着脱させるために、工具用ハンド30を、工具ポット12に収納中の前記工具と工具との間のスペースを通して、図1の紙面と直交する方向である前後方向(X軸方向、即ち収納中の標準寸法工具7,長寸法工具8の軸線方向)に進退移動させる。
【0030】
さらに、進退移動手段32は、工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8の後端部(即ち、プルスタッドの先端部)36が、この標準寸法工具7,長寸法工具8の移動経路にあり工具マガジン4に収納中の工具(即ち、標準寸法工具7)の前端部37より所定距離αだけ前方の前方位置に位置するまで、前記工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8を前方に抜き出し可能になっている。
即ち、工具搬送装置14は、標準寸法工具7又は長寸法工具8を搬送する時には標準寸法工具7上しか通過しないので、工具マガジン4の長寸法工具貯蔵可能部Cに収納されている長寸法工具8に干渉することなく自在に移動可能に構成されている。
【0031】
平面的移動手段31は、前方に移動した工具用ハンド30を、収納用の工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の前方位置との間,及び一つの工具ポット12の前方位置と他の工具ポット12の前方位置との間などで、移動させる。
例えば、平面的移動手段31は、進退移動手段32により前方に抜き出された工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8を把持している状態の工具用ハンド30を、工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の前方位置との間で移動させる。
平面的移動手段31により移動する工具用ハンド30,標準寸法工具7,長寸法工具8の移動経路は、Y−Z軸平面と平行な面内に形成されることになる。
【0032】
その結果、進退移動手段32により前方位置に抜き出され保持された標準寸法工具7,長寸法工具8は、工具マガジン4に収納中の標準寸法工具7に干渉することなく、平面的移動手段31により、工具マガジン部13の面と平行な面内を任意の方向に自在に移動する。
進退移動手段32により前方位置に移動した工具用ハンド30は、工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの前方位置との間,及び一つの工具ポット12の前方位置と他の工具ポット12の前方位置との間で、最短経路38,39,39aになるようにほぼ直線的に移動する(矢印M1 ,M2 ,M3 参照)。
【0033】
次に、平面的移動手段31の構成について説明する。
工具マガジン4の上部及び下部には、それぞれ上部ガイド21及び下部ガイド22が、左右方向(Z軸方向)を向き且つ互いに平行に配設されている。上部,下部のガイド21,22には、縦方向(Y軸方向)に立設されて工具搬送装置14を支持する支柱部材23が案内支持されている。
支柱部材23は、その下部に設けられた水平移動用サーボモータ24に駆動されて、上部,下部のガイド21,22に案内されながら、ラック22a及びピニオン(図示せず)を介して左右方向即ちZ軸方向に往復移動する。
【0034】
工具搬送装置14は、支柱部材23にY軸方向に向けて設けられたねじ部材25に係合している。ねじ部材25は、支柱部材23の上部に設けられた昇降用サーボモータ26により、ベルト27,プーリを介して正逆方向に回転する。
支柱部材23には、ねじ部材25と平行な一対の昇降用ガイド28,28が縦方向(Y軸方向)に設けられており、工具搬送装置14は、昇降移動自在に昇降用ガイド28,28に係合案内されている。
【0035】
したがって、昇降用サーボモータ26がねじ部材25を回転させると、工具搬送装置14は、昇降用ガイド28に案内されながら上下方向に昇降移動する。
なお、水平移動用サーボモータ24,昇降用サーボモータ26は、ステッピングモータ,リニアモータなど他の駆動モータ(制御モータ)であってもよい。要するに、マトリックス状の所定の工具授受位置に、工具用ハンド30を位置決め・駆動できるものであればよい。
【0036】
工具搬送装置14の本体40は昇降用ガイド28に昇降自在に案内され、ねじ部材25にねじ込まれているナット(図示せず)が本体40に固定されているので、本体40は、ねじ部材25の回転動作により昇降移動する。
工具搬送装置14が標準寸法工具7,長寸法工具8を把持して工具マガジンの前面を工具搬送する時には、工具搬送装置本体40,支柱部材23,ねじ部材25等の全体が、工具マガジン部13の前面側を左右方向に往復移動する。
【0037】
この時、前方に突出している収納中の長寸法工具8の工具前端部37aに干渉することを防止するために、工具搬送装置本体40,支柱部材23,ねじ部材25等は、長寸法工具貯蔵可能部Cより遠い方の位置(即ち、図1の右方向であり、工具マガジン部13の右側部Rの方向側)に配置されている。
したがって、進退移動手段32により前方位置に抜き出された標準寸法工具7,長寸法工具8は、工具搬送装置14に支持された状態で、収納用の工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の前方位置との間で、自在に移動することになる。
【0038】
次に、進退移動手段32の構成について説明する。
工具搬送装置14の本体40には、一対の水平移動用ガイド41が前後方向を向いて平行に且つ上下に並んで取付けられている。
水平移動用ガイド41には、本体40に対して前後方向に相対移動可能なフレーム42が、水平移動自在に係合案内されており、進退移動手段32はこのフレーム42に設けられている。
フレーム42は、支柱部材23に移動自在に設けられ、工具用ハンド32を長寸法工具貯蔵可能部C側に突き出すように支持している。
【0039】
工具搬送装置本体40には、第1の駆動手段としての第1のシリンダ(流体圧シリンダ)43が前後方向に向けて水平に取付けられている。フレーム42は、水平移動用ガイド41に案内されながら、第1のシリンダ43に駆動されて所定のストロークで前後方向に往復移動する。
フレーム42のこの移動動作は、工具搬送装置本体40に取付けられた近接スイッチ44と、フレーム42に取付けられたドッグ44aとにより検出される。
【0040】
フレーム42には、工具用ハンド30をフレーム42に対して相対的に前後方向に往復移動させるための第2の駆動手段としての第2のシリンダ(流体圧シリンダ)45が、前後方向に向けて水平に取付けられている。
第1,第2のシリンダ43,45は、圧縮空気又は圧力油など圧力流体の供給により駆動される。
フレーム42には第1,第2の軸部材46,47が往復移動自在に支持され、第1,第2の軸部材46,47は、前後方向に向けて水平に且つ平行に設けられている。第1,第2の軸部材46,47の後端部46a,47aには、工具用ハンド30が締結固定されている。
【0041】
第1,第2の軸部材46,47は、フレーム42に取付けられた第1,第2の筒状部材46b,47b内に、ころがりガイド部材,オイレスメタル等のすべりガイド部材等のガイド部材46c,47cを介して嵌合して、軸線方向に移動自在に支持されている。
第1の軸部材46は、第2のシリンダ45に駆動されて前後方向に往復移動可能になっている。
したがって、第1の軸部材46が第2のシリンダ45に駆動されると、第1,第2の軸部材46,47及び工具用ハンド30が、一体的に所定のストロークで前後方向に往復移動する。この移動動作は、フレーム42に設けられた近接スイッチ48,49により検出される。
【0042】
工具用ハンド30を前後方向に移動させる場合、本実施形態の進退移動手段32においては、まず第一段階として、第1のシリンダ43で、フレーム42,第1,第2の筒状部材46b,47b,第1,第2の軸部材46,47,及び工具用ハンド30を全体的に前後方向に移動させる。
次いで第二段階として、第2のシリンダ45で第1の軸部材46を動かして、工具用ハンド30をフレーム42に対して相対的に前後方向に移動させている。
このような二段階の移動動作により、工具用ハンド30は工具搬送装置本体40に対して前後方向に移動することになる。
【0043】
これにより、工具用ハンド30は、ストローク前端位置からストローク後端位置までの長いストロークSで前後方向に往復移動するので、標準寸法工具7及び長寸法工具8であっても工具搬送が可能である。
なお、標準寸法工具7,長寸法工具8の工具長が短い場合には、ストロークSも短かくてもよいので、第1のシリンダ43を省略して第2のシリンダ45のみの一段階の往復動作をするようにしてもよい。
【0044】
工具ポット12には、公知の工具保持手段と、標準寸法工具7,長寸法工具8の回転方向を規制して位置決めする回転方向規制部材とが設けられている。
工具保持手段は、一つ又は複数(例えば、3個)のボールを標準寸法工具7,長寸法工具8のプルスタッドに着脱自在に係合させ、圧縮ばねのばね力によりボールを付勢して標準寸法工具7,長寸法工具8を保持するように構成されている。工具ポット12と工具保持手段により、工具収納手段16が構成されている。
【0045】
工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xも、工具ポット12と同一の構造を有しており、また、前記構成の工具保持手段と同一の工具保持手段を備えている。
なお、工具保持手段において、標準寸法工具7,長寸法工具8のプルスタッドを板ばね,ゴムなど弾性部材の弾性力により着脱自在に把持するように構成してもよい。また、工具ポットに収納された状態の工具軸線を上下方向に対して傾斜させ、工具の自重で工具ポットに収納されるものであってもよい。
【0046】
次に、工具用ハンド30について説明する。
図1乃至図4に示すように、工具用ハンド30が工具ポット12に対して標準寸法工具7又は長寸法工具8を着脱する時には、工具用ハンド30は、把持部中心O1 がマトリックス状に並んだ収納中の工具と工具との間のスペース内を、又は収納されている工具の工具中心上を、前後方向即ち収納中の工具の軸線方向に進退移動することになる。
【0047】
工具用ハンド30のこの前後方向への進退移動動作時と着脱動作時に、工具用ハンド30や第1,第2の軸部材46,47等が、収納中の標準寸法工具7,長寸法工具8と干渉することを防止する必要がある。
そこで、工具用ハンド30の上面に形成されている工具把持部34を、ほぼ半円状に形成している。
【0048】
図3及び図4に示すように、工具把持部34は、標準寸法工具7,長寸法工具8の被把持部15a,15bに着脱自在に係合して、標準寸法工具7,長寸法工具8を把持するようになっている。
工具用ハンド30には、工具把持爪50が、矢印Eに示すように自在に所定角度で揺動するように取付けられている。工具把持爪50は、工具把持部34で把持した標準寸法工具7,長寸法工具8が脱落しないように、標準寸法工具7,長寸法工具8の被把持部15a,15bを係合離脱自在に係止する。
工具把持爪50に形成された係合部50a,50bは、工具把持爪50が標準寸法工具7,長寸法工具8の被把持部15a,15bを把持した時に、被把持部15a,15bに形成されたキー部(キー溝)と係合して、標準寸法工具7,長寸法工具8の回転方向の位置を規制して位置決めするためのものである。
【0049】
工具把持爪50は、図示しない公知のロック・アンロック機構により、ロック,アンロックされる。即ち、標準寸法工具7,長寸法工具8が工具把持爪50により把持された状態で工具用ハンド30が移動する時は、このロック・アンロック機構はロック状態になって標準寸法工具7,長寸法工具8が脱落しないようにする。
ところが、工具用ハンド30が最も後方(即ち、ストローク後端位置)に移動した位置、即ち、工具ポット12,12xに収納されている標準寸法工具7,長寸法工具8の被係合部15a,15bと工具把持爪50とが係脱する位置では、ロック・アンロック機構をアンロック状態にする。
【0050】
次に、工具マガジン4による自動工具搬送方法について説明する。
本実施形態に係る自動工具搬送方法において、標準寸法工具7を工具搬送する時には、工具用ハンド30により、標準寸法工具7の被把持部15aを把持し、長寸法工具8を工具搬送する時には、長寸法工具8の被把持部15bを把持する。
そして、工具用ハンド30は、工具マガジン4の工具ポット12に収納された工具と工具との間,又は把持部中心O1 と工具中心とが一致した位置で、工具の軸線方向に進退移動する。
また、X軸方向の前方に移動した工具用ハンド30は、工具ポット12と工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xとの間,及び一つの工具ポット12と他の工具ポット12との間を移動して、各工具ポット12,12xに対して、標準寸法工具7又は長寸法工具8を着脱する。
【0051】
即ち、工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8の後端部36が、この標準寸法工具7,長寸法工具8の移動経路にあり工具マガジン4に収納中の工具(即ち、標準寸法工具7)の前端部37より所定距離αだけ前方の前方位置に位置するまで、標準寸法工具7,長寸法工具8を前方に抜き出した後、この前方位置に抜き出された標準寸法工具7,長寸法工具8を、収納用の工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの前方位置との間で、Y−Z軸平面内を移動させるようにしている。
【0052】
この場合に、前方に移動した工具用ハンド30を、工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの前方位置との間,及び一つの工具ポット12の前方位置と他の工具用ポット12の前方位置との間で、最短経路38,39,39aになるようにほぼ直線的に移動させるようにしているので(矢印M1 ,M2 ,M3 参照)、標準寸法工具7,長寸法工具8の搬送時間と工具用ハンド30の移動時間が最短になる。
【0053】
次に、図1乃至図5を参照しながら、本実施形態における工具搬送の具体的な手順を説明する。図5は工具搬送の手順を示すフローチャートである。
交換アーム5は、待機位置S2 で待機している時は、MC3の加工動作の邪魔にならないように、加工領域外(スプラッシュガードの外方)で待機している。
この状態で、標準寸法工具7又は長寸法工具8が工具装着部に装着された主軸6を、主軸駆動モータにより回転駆動するとともに、テーブル10,コラム及び主軸頭9を、NC装置に制御されるサーボモータとボールねじとによりX,Y,Z軸方向に相対移動制御することにより、テーブル10上の工作物を切削加工する。
【0054】
この加工工程の後に次工具による加工がある場合には、工具マガジン4の工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに、工具搬送装置14により次加工用の工具を搬送し、ATC2によりこの次加工用の工具に自動的に工具交換する必要がある。
そこで、図5に示すように、次加工用の所望の工具Tmn(例えば、長寸法工具8)を工具マガジン側工具交換位置S3 に呼び出して待機させるべく、NC装置から工具Tmnの工具呼出し指令が出力される(ステップ101)。
なお、この場合の初期条件としては、交換アーム5が待機位置S2 にあり、工具搬送装置14が原位置S4 にあり、工具用ハンド30がストローク前端位置に位置し、また、交換アーム5の工具マガジン側把持部には標準寸法工具7(旧工具)が把持されているものとする。
【0055】
工具Tmnの工具番号「mn」は、工具マガジン部13に収納された各工具の番号,又は各工具が収納されている工具ポット12の番号であり、2桁乃至4桁の数字で表されている。
工具呼出し指令により指令工具Tmnが要求されると、交換アーム5は工具マガジン4側に揺動し、工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに標準寸法工具7を返却する。
こうして工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに返却されたこの工具7を、工具マガジン部13の収納用の工具ポット12に返却収納する必要がある。交換アーム5は、工具返却後に待機位置S2 に戻って待機する。
【0056】
この工具7の返却収納を行うためには、まず初めに、工具搬送装置14が原位置S4 に位置していることを確認する(ステップ102)。
工具用ハンド30をストローク後端位置まで後退させたのち上方に移動させ、工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに収納されている工具7の被把持部15aに工具把持部34を係合させて、工具7を把持する。
この時、ロック・アンロック機構は、工具用把持爪50をアンロック状態にするので、工具用把持爪50は、工具7の被把持部15aへの挿入時に揺動する(ステップ103)。
【0057】
次に、工具7を把持した状態の工具用ハンド30を前進させれば、ロック・アンロック機構はロック状態になり、工具用把持爪50はロックされる。そして、工具用ハンド30を前方ストローク端まで前進させる。
その後、水平移動用サーボモータ24及び昇降用サーボモータ26を駆動して、工具7を返却すべき所定の工具ポット12の中心と、返却する工具7の中心とが一致状態となる前方中心位置に、工具用ハンド30を直線的に最短経路38で移動させる。
【0058】
次に、工具用ハンド30の把持部中心O1 を工具ポット12の中心にX軸方向前方位置で一致させ、工具用ハンド30をストローク後端部まで後退させて、工具7を工具ポット12に返却する。この返却動作時には、ロック・アンロック機構はアンロック状態になっている。
工具用ハンド30を下降させて、工具把持部34を工具7の被把持部15aより離脱させた後、工具用ハンド30を前進させ、ストローク前端位置に移動させる(ステップ104)。
【0059】
次いで、工具用ハンド30を有する工具搬送装置14を、収納中の指令工具Tmnの前方であって、この指令工具Tmnの中心より把持部中心O1 が所定量下方の位置である前方把持準備位置に、最短経路39になるようにほぼ直線的に移動させる。
また、指令工具Tmnの下方位置の標準寸法工具7又は長寸法工具8と工具用ハンド30とが干渉しないような位置に、工具用ハンド30が移動している(ステップ105)。
なお、前方把持準備位置と前方中心位置を総称して「前方位置」と記載する。
【0060】
次に、工具用ハンド30をストローク後端位置まで後退させると、後端位置でロック・アンロック機構がロック状態からアンロック状態になる。工具用ハンド33を上方に移動させ、収納中の指令工具Tmn(長寸法工具8)の被把持部15bに工具把持部34を係合させて、この指令工具Tmnを把持する(ステップ106)。
そして、工具用ハンド30をストローク前端位置まで前進させる。この前進移動動作で、ロック・アンロック機構がロック状態になる(ステップ107)。
【0061】
次いで、工具搬送装置14を、工具マガジン側工具交換位置S3 の前方中心位置に、最短経路39aになるようにほぼ直線的に移動させる。
把持部中心O1 とマガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの中心とをX軸方向前方位置で一致させて、工具用ハンド30をストローク後端位置まで後退させれば、ロック・アンロック機構はアンロック状態となる。
これにより、指令工具Tmn(ここでは、長寸法工具8)は、工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xに装着されて待機する(ステップ108)。
次に、工具搬送装置14を下方に移動させて原位置S4 に戻す(ステップ109)。
【0062】
最後に、待機位置S2 に待機している交換アーム5が工具マガジン4側に揺動して、工具マガジン側工具交換位置S3 に収納されている指令工具Tmn(即ち、長寸法工具8)を把持する。
その後、駆動手段と揺動手段(図示せず)で、交換アーム5を工具マガジン側工具交換位置S3 から待機位置S2 に揺動させることにより、工具呼出し指令の実行が終了する。
こうして、指令工具Tmnが交換アーム5に把持されて待機位置S2 に待機すれば、工具呼出し指令による動作が完了する(ステップ110)。
【0063】
次に、工具交換指令M06が出力されると、待機位置S2 に待機している交換アーム5を主軸側工具交換位置S1 に揺動させる。その後、交換アーム5に把持された新工具(指令工具Tmn)と、主軸6に装着されている旧工具との工具交換が、主軸側工具交換位置S1 で実行される。
【0064】
上述のように、本実施形態では、標準寸法工具7と長寸法工具8とを工具マガジン4の工具ポット12に収納し、この標準寸法工具7,長寸法工具8を前方に抜き出して工具搬送するタイプの工具マガジン4において、工具搬送すべき標準寸法工具7,長寸法工具8の後端部36が、この標準寸法工具7,長寸法工具8の移動経路にある工具ポット12に収納された標準寸法工具7の前端部37より所定距離αだけ前方の前方位置に位置するまで、標準寸法工具7,長寸法工具8を前方に抜き出した後、この前方に抜き出された標準寸法工具7,長寸法工具8を、工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の前方位置との間で、Y−Z軸平面内を移動させるようにした。
【0065】
その結果、進退移動手段32により前方位置に抜き出された標準寸法工具7,長寸法工具8は、移動経路にある標準寸法工具7に干渉することなく、平面的移動手段31によりY−Z軸平面内を任意の方向に自在に移動できることになる。
また、工具マガジン部13の前方に移動した工具用ハンド30は、工具ポット12の前方位置と工具マガジン側工具交換位置S3 の工具ポット12xの前方位置との間,及び一つの工具用ポット12の前方位置と他の工具用ポット12の前方位置との間で、最短経路38,39,39aになるようにほぼ直線的に移動できる。
これにより、工具用ハンド30の移動距離が最短になり、工具搬送に要する全体の時間を短縮することができる。
【0066】
本発明では、標準寸法工具7と長寸法工具8など工具軸線方向寸法の異なる種類の工具を、工具マガジン4の工具ポット12に収納できるので、工具マガジン4に貯蔵可能な工具長の制限が緩和される。
また、工具マガジン部13の前方が解放しているので、工具搬送装置14を設置するためのスペース的な制約がなく、収納する長寸法工具8の長さにも制限が少ない。
【0067】
なお、工具搬送装置は、工具収納手段を構成する各工具ポットと工具マガジン側工具交換位置の工具ポット(工具保持部)との間で工具を搬送しているが、工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間を工具搬送するその他の例としては、各工具ポットと中間搬送部材(工具保持部)との間で工具を搬送する場合でもよく、各工具ポットと主軸の工具装着部との間で工具を直接搬送する場合であってもよい。
特に、工具マガジンと主軸とが同一平面にある場合や、平行な平面にある場合等には、収納用の工具ポットと主軸の工具装着部との間で工具を直接搬送する方法は有効である。
【0068】
さらに、工具はJISB6339で規定されているツールシャンクとプルスタッドを有するものを示したが、HSK(ホローツールシャンク)タイプの工具であってもよい。
なお、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0069】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、工具を工具マガジン部の前方に抜き出す構成のマトリックス型工具マガジンは、さまざまな種類の加工に対処するために標準寸法工具の他、長寸法工具も収納することができ、且つ、長寸法工具を収納する第2の収納部が所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されているので、標準寸法工具と長寸法工具の搬送経路の途中には長寸法工具は収納されないことになり、工具搬送すべき工具を、収納中の他の工具に干渉することなく短時間で移動させて工具搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1乃至図5は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は工作機械のマトリックス型工具マガジンの正面図である。
【図2】 図1のマトリックス型工具マガジンの平面図である。
【図3】 前記マトリックス型工具マガジンの工具搬送装置の拡大正面図である。
【図4】 図3に示す工具搬送装置の平面断面図である。
【図5】 本実施形態における自動工具搬送の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 マシニングセンタ(工作機械)
4 マトリックス型工具マガジン
6 主軸
7 標準寸法工具(工具)
8 長寸法工具(工具)
12x 工具ポット(工具保持部)
13 工具マガジン部
14 工具搬送装置
15a 標準寸法工具の被把持部(工具の被把持部)
15b 長寸法工具の被把持部(工具の被把持部)
16 工具収納手段
23 支柱部材
30 工具用ハンド
31 平面的移動手段
32 進退移動手段
34 工具把持部
36 工具後端部
37 標準寸法工具の前端部(収納中の工具の前端部)
38,39,39a 最短経路
42 フレーム
B 標準寸法工具貯蔵部(第1の収納部)
C 長寸法工具貯蔵可能部(第2の収納部)
S3 工具マガジン側の工具交換位置(所定の工具交換位置)
α 所定距離
Claims (5)
- 工具を収納するための複数の工具収納手段をマトリックス状に配列した工具マガジン部を有し、
この工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送し、
前記工具マガジン部は、一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されている工作機械のマトリックス型工具マガジンにおける工具搬送方法であって、
工具搬送すべき前記工具の被把持部を工具用ハンドで着脱自在に把持し、
前記工具収納手段に収納された前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させて、前記工具収納手段,前記工具保持部及び前記工具装着部のいずれかに対して前記工具を着脱し、
前記工具搬送すべき工具の後端部が、この工具の移動経路にある収納中の前記工具の前端部より所定距離前方の前方位置に位置するまで、前記工具搬送すべき工具を前方に抜き出した後、
この前方に抜き出された工具を、前記工具収納手段,前記工具保持部及び前記工具装着部のいずれかの前方位置の間で移動させることを特徴とするマトリックス型工具マガジンの工具搬送方法。 - 前方位置に移動した前記工具用ハンドを、前記工具収納手段相互間,前記工具収納手段と前記工具交換位置の前記工具保持部との間,及び前記工具収納手段と前記主軸の前記工具装着部との間で、最短経路になるようにほぼ直線的に移動させることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス型工具マガジンの工具搬送方法。
- 工具を収納するための複数の工具収納手段がマトリックス状に配列された工具マガジン部と、
この工具マガジン部の前記工具収納手段に収納された前記工具の軸線方向前方側に設けられ、前記工具の被把持部を把持して、前記工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送する工具搬送装置とを備えた工作機械のマトリックス型工具マガジンであって、
前記工具マガジン部は、一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されており、
前記工具搬送装置は、
工具搬送すべき前記工具の前記被把持部を着脱自在に把持する工具用ハンドと、
前記工具収納手段,前記所定の工具交換位置の前記工具保持部,及び前記主軸の前記工具装着部のいずれかに対して前記工具を着脱させるために、収納中の前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させるとともに、前記工具搬送すべき工具の後端部が、この工具の移動経路にある収納中の前記工具の前端部より所定距離前方の前方位置に位置するまで、前記工具搬送すべき工具を前方に抜き出し可能な進退移動手段と、
この進退移動手段で前記前方位置に抜き出された前記工具を、前記工具収納手段,前記所定の工具交換位置の前記工具保持部,及び前記工具装着部のいずれかの前方位置の間で移動させる平面的移動手段とを備えたことを特徴とするマトリックス型工具マガジン。 - 工具を収納するための複数の工具収納手段がマトリックス状に配列され、この工具収納手段相互間,又は前記工具収納手段と所定の工具交換位置の工具保持部との間,又は前記工具収納手段と主軸の工具装着部との間を工具搬送する工作機械のマトリックス型工具マガジンであって、
一列又は複数の列をなし工具軸線方向寸法が所定寸法以下の標準寸法工具を収納する第1の収納部と、前記標準寸法工具又は前記所定寸法以上の長寸法工具を収納する一列の第2の収納部とに分けられ、この第2の収納部が、前記所定の工具交換位置とは最も離れた位置に配置されている工具マガジン部と、
工具搬送する前記標準寸法工具又は前記長寸法工具を着脱自在に把持する工具把持部を有する工具用ハンドと、
前記工具マガジン部に設けられ、前記工具用ハンドを前記工具マガジン部と平行な面内で移動させる平面的移動手段と、
この平面的移動手段の支柱部材に移動自在に設けられ、前記工具用ハンドを前記第2の収納部側に突き出すように支持するフレームと、
このフレームに設けられ、前記工具マガジン部の前記工具収納手段に収納されている前記工具の軸線方向に前記工具用ハンドを進退移動させるとともに、前方に移動したとき前記工具収納手段に収納されている前記工具と工具搬送する前記標準寸法工具又は前記長寸法工具とが干渉しない前方位置に前記工具用ハンドを移動させる進退移動手段とを有し、
前記標準寸法工具及び前記長寸法工具のいずれかの工具を搬送する時に、収納中の標準寸法工具と長寸法工具のいずれにも干渉することなく移動可能にしたことを特徴とするマトリックス型工具マガジン。 - 前方に移動した前記工具用ハンドを、前記各前方位置に移動させる時、最短経路になるようにほぼ直線的に移動させることを特徴とする請求項3又は4に記載のマトリックス型工具マガジン。
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