JP3865327B2 - 直焚高温再生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は吸収冷凍機の直焚高温再生器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収冷凍機(吸収冷温水機などと呼ばれるものを含む)に設けられる直焚高温再生器は、吸収冷凍機全体に占める割合が、重量、容量共に大きい。したがって吸収冷凍機全体をコンパクト化するには、この直焚高温再生器のコンパクト化が必須である。また、直焚高温再生器における環境面の問題として、燃焼時における低NOx化が必要である。
【0003】
そして、従来の直焚高温再生器は、炉筒煙管方式あるいは炉筒液管方式が採用されるのが一般的であったが、これらの方式の直焚高温再生器は炉筒としての燃焼室をなくすことができず、より以上のコンパクト化は行いにくいものであった。すなわち、コンパクト化を図ろうとすると低NOx化を害するものであり、コンパクト化と低NOx化は相反する命題とされていた。
【0004】
このような炉筒煙管方式あるいは炉筒液管方式の限界を打ち破るものとして、ガス焚きボイラにおいては、燃焼室を設けず平板燃焼面などを設ける炉筒レス管群方式が近年導入された。この炉筒レス管群方式では、平板燃焼面などのバーナーからの燃焼火炎および燃焼ガスを直接に管群に導き、燃焼室を必要としない分だけ極端なコンパクト化が図れ低NOx化に成功している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記炉筒レス管群方式では、バーナーからの燃焼火炎および燃焼ガスが管群の直近を通過する。このため、管群の管の外面が高温の火炎で覆われ、さらに管内吸収液の熱伝達率が水に比べて大きく低下するために、管内壁面温度の局部的な高温度化が生じる。局部的な高温度化に伴う吸収液の局部的な過熱濃縮による腐食事故、液の結晶化などの不都合を生じるおそれがある。
【0006】
この発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、燃焼室がなく燃焼火炎および燃焼ガスが直近で通過する管群を有する炉筒レス管群方式に関して、局部的な高温度化に伴う不都合を防止できる直焚高温再生器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、
バーナーからの燃焼火炎および燃焼ガスを水平方向に炉壁の中を通過させて燃焼ガス出口から排出させるとともに、上記の炉壁の位置に配置された二重構造の管壁の上面部および下面部に連通させた多数の垂直な管でなる液管群ならびに上記の管壁の中に希吸収液を通して加熱濃縮する直焚高温再生器において、
上記の希吸収液を上記の管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散して開放状態で散布する吸収液供給路、または、上記のバーナーに近い上記の液管群、すなわち、近管群と、上記のバーナーからやや遠い上記の液管群との間に対応する位置に、上記の管壁を垂直方向に仕切るための隔壁を設けて、上記の希吸収液を上記の近管群の下部から流入する吸収液供給路、すなわち、下部流入供給路を設けたことを特徴とする直焚高温再生器である。
【0008】
請求項2の発明は、
上記の流入をポンプ圧によって流入させることを特徴とする上記の請求項1記載の直焚高温再生器である。
【0009】
請求項3の発明は、
上記のバーナーとは反対側に配置された上記の液管群、すなわち、反対側管群の液管上部に、または、上記の反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、上記の管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、上記の希吸収液の一部分を開放状態で散布させるとともに、上記の下部流入供給路に上記の希吸収液の他の部分をポンプ圧によって流入させることを特徴とする上記の請求項1記載の直焚高温再生器である。
【0010】
請求項4の発明は、
上記の希吸収液を、ポンプ圧により上記の下部流入供給路から流入して上記の近管群で加熱した後に、上記の隔壁を貫通させて、上記の反対側管群の上部に開放状態で散布することを特徴とする上記の請求項 1 記載の直焚高温再生器である。
【0011】
請求項5の発明は、
上記の直焚高温再生器の上流側には高温熱交換器が接続され、上記の高温熱交換器からの上記の希吸収液を分流した一部分を、ポンプ圧により上記の下部流入供給路から流入して上記の近管群で加熱した後に、上記の隔壁を貫通させて、上記の反対側管群の上部に開放状態で散布するとともに、
【0012】
上記の分流した上記の希吸収液の他の部分を、上記の反対側管群の上部に、または、上記の反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、上記の管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、開放状態で散布することを特徴とする上記の請求項1記載の直焚高温再生器である。
【0013】
請求項6の発明は、
上記の直焚高温再生器の上流側には低温熱交換器が接続され、上記の低温熱交換器からの上記の希吸収液を分流した一部分を、ポンプ圧により上記の下部流入供給路から流入して上記の近管群で加熱した後に、上記の隔壁を貫通させて、上記の反対側管群の上部に開放状態で散布するとともに、
【0014】
上記の分流した上記の希吸収液の他の部分を、上記の反対側管群の上部に、または、上記の管壁の上記の反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、上記の管壁の左右両側の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、開放状態で散布することを特徴とする上記の請求項1記載の直焚高温再生器である。
【0015】
請求項7の発明は、
上記の直焚高温再生器の上流側には高温熱交換器が接続され、上記の高温熱交換器からの上記の希吸収液の全量を、ポンプ圧により上記の下部流入供給路から流入して上記の近管群で加熱した後に、上記の隔壁を貫通させて、上記の反対側管群の上部に開放状態で散布することを特徴とする上記の請求項1記載の直焚高温再生器である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図4・図5・図7・図9〜図11により説明するとともに、図1〜図3・図6・図8により参考例を説明する。
〔第一参考例〕
第一参考例を図1および図2において説明する。
まず、図1において、この発明に係る直焚高温再生器が備えられる吸収式冷凍機の参考例について、全体概要を説明する。
【0017】
図において、1は蒸発吸収器胴(下胴)であり、この蒸発吸収器胴1に蒸発器2及び吸収器3が収納されている。4はこの実施形態に係る直焚高温再生器でありガスバーナー5を備える。吸収器3から直焚高温再生器4に至る稀吸収液配管6の途中に吸収液ポンプP、低温熱交換器7及び高温熱交換器8が設けられている。
【0018】
10は上胴であり、この上胴10に低温再生器11及び凝縮器12が収納されている。そして、13は直焚高温再生器4から低温再生器11に至る冷媒蒸気管、16は凝縮器12から蒸発器2に至る冷媒液流下管、17は蒸発器2に配管接続された冷媒循環管、18は冷媒ポンプである。21は蒸発器2に接続された冷水管である。
【0019】
22は直焚高温再生器4から高温熱交換器8に至る中間吸収液管、23は高温熱交換器8から低温再生器11に至る中間吸収液菅である。25は低温再生器11から低温熱交換器7に至る濃吸収液管、26は低温熱交換器7から吸収器3に至る濃吸収液管である。又、29は冷却水管である。
【0020】
上記のように構成した吸収式冷凍機の運転時、直焚高温再生器4のガスバーナー5が燃焼し、吸収器3から流れて来た例えば臭化リチウム(LiBr)水溶液(界面活性剤を含む)などの稀吸収液が加熱され沸騰し、冷媒蒸気が稀吸収液から分離する。これにより稀吸収液が濃縮される。
【0021】
冷媒蒸気は冷媒蒸気管13を経て低温再生器11へ流れる。そして、低温再生器11で直焚高温再生器4からの中間吸収液を加熱して凝縮した冷媒液が凝縮器12へ流れる。凝縮器12では低温再生器11から流れて来た冷媒蒸気が凝縮して、低温再生器11から流れて来た冷媒液と共に蒸発器2へ流下する。
【0022】
蒸発器2では冷媒ポンプ18の運転によって、冷媒液が散布される。そして、この散布によって冷却されて温度が低下した冷水が負荷に供給される。蒸発器2で気化した冷媒蒸気は吸収器3へ流れ、前記散布された吸収液に吸収される。
【0023】
他方、直焚高温再生器4で冷媒蒸気が分離して濃度が上昇した中間吸収液は中間吸収液管22、高温熱交換器8、中間吸収液管23を経て低温再生器11へ流れる。
【0024】
中間吸収液は直焚高温再生器4からの冷媒蒸気が内部を流れる加熱器14によって加熱される。そして、中間吸収液から冷媒蒸気が分離して吸収液の濃度はさらに上昇する。
【0025】
低温再生器11で加熱凝縮された濃吸収液は凝吸収液管25へ流入して低温熱交換器7及び凝吸収液管26を経て吸収器3へ流れ、散布装置30から冷却水管29の上に滴下する。そして、蒸発器2を経由して入ってくる後述する冷媒蒸気を吸収して冷媒濃度が高くなる。冷媒濃度の高くなった吸収液は、吸収液ポンプPの駆動力により、低温熱交換器7および高温熱交換器8で予熱され、直焚高温再生器4に流入する。
【0026】
次に、直焚高温再生器4の説明を行う。
図1に示すように、直焚高温再生器4のガスバーナー5に向かって取り込まれる燃料のガス31と、ブロア33から送られる空気は、混合され点火されて燃焼を開始する。
【0027】
図2に示すように、ガスバーナー5からの燃焼火炎および燃焼ガスは、バーナー入口35を通って多数の垂直液管群37(37A,37B,37C)に直接に吹き付けられ、垂直液管群37の直近を通過することになる。これにより、従来の炉筒煙管方式や炉筒液管方式に必要であった炉筒(燃焼室)は不要となり、コンパクト化が図れると同時に、火炎温度が低下し、低NOx化が達成できる。
【0028】
これら垂直液管群37は、多数の管39が垂直方向に配置され、内部を稀吸収液が通る。各管39の上部および下部は、管壁41に連通する。この管壁41は、燃焼火炎や燃焼ガスが通過する炉壁の位置に配置され、上面部41A、下面部41B、側面部41Cからなり、各部は二重構造となって内部を稀吸収液が通る。
【0029】
すなわち、図2で示すように、外シェル60と内シェル61で囲まれた空間62と、多数の菅39の内部とに稀吸収液が通り、内シェル61の内部で囲まれた空間53に燃焼火炎や燃焼ガスが通過する。
【0030】
前記垂直液管群37は、3つの管群37A,37B,37Cに区分される。すなわち、バーナー5に近い第一管群37A、バーナー5からやや遠い第二管群37B、第二管群37Bよりもさらに遠い第三管群37Cに区分される。よってバーナー5とは反対側に配置されることとなる第三管群37Cは、燃焼ガス出口43の側に設けられ、各管39にはフィン45が取り付けられて、温度がやや低くなって排ガスとなった燃焼ガスからも熱を回収できる構成となっている。
【0031】
また、稀吸収液の液入口47は、第三管群37Cの上部に設けられ、管壁41の上部(気相部)の雰囲気に開放された状態となっている。
【0032】
そして、直焚高温再生器4に流入する稀吸収液は、直焚高温再生器4の上流側に接続される熱交換器7、8(図1)を通っており、この熱交換器7、8の特性上、直焚高温再生器4内部の沸騰開始温度よりも低くなっている。この温度の低い稀吸収液は、吸収液ポンプPのポンプ圧を利用して、まず第三管群37Cの上部へ流入され開放状態で散布される。
【0033】
散布された稀吸収液は、第三管群37Cを構成する各管39および側壁を通って下降する。この時、排ガス熱を回収し昇温する。そして、第三管群37Cを構成する各管39の下部において連通する管壁41の下面部41Bへ流入する。下面部41Bへ流入し、沸騰開始温度近くまで昇温された稀吸収液は、第二管群37Bや第一管群37Aの下部へ流入し、加熱され、管内で沸騰して発生した気泡の上昇と共に上昇する。このようにして、全体に大きな循環流(図中矢印)が形成される。
【0034】
また、初めに散布された稀吸収液は、第三管群37Cを下降する際に沸騰開始点(飽和温度)近傍まで昇温しているので、第二管群37Bや第一管群37Aにおいては直ちに沸騰し、沸騰によって循環流が活発になる。特に、管39の下部から全体に渡って沸騰させることができる。この沸騰による活発な循環流によって滞留を防ぎ全体としての熱伝達係数が高くなる。そして、均一に十分に加熱された稀吸収液は、図示しない流出部から外部へ流出する。
【0035】
活発な循環流により熱伝達係数が高くなることで均一で十分な加熱が行われることで、垂直液管群37や管壁41において、局部的な高温度化の防止が可能となる。したがって局部加熱による過熱が原因となって生じやすいと思われる腐食事故や、液の結晶化を防止することができる。
【0036】
〔第二参考例〕
第二参考例を図3において説明する。なお図2と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0037】
前記第一参考例では、液入口47は第三管群37Cの3列設けられている管列の最後尾の管列の中央に設けられるものであったが(図2(A))、第二参考例では図3に示すように、管壁41のうちバーナー5とは反対側に位置する部位の上部の左右に設けることもできる。すなわち、液入口47を構成するパイプを左右に分岐させて、この分岐管48によって管壁41の側面部41Cの左右の上部から、希吸収液を散布してもよい。
【0038】
燃料ガスとの関係から第三管群37Cよりも管壁41の側面部41Cの方が、温度が低いので、希吸収液の下降流を作る部位として適していると考えられる。よって、この第二参考例によれば、より強い下降流を得られ、したがって希吸収液の循環流をより積極的に形成することができる。
【0039】
〔第一実施形態〕
以下、この発明の第一実施形態を図4において説明する。なお図2と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0040】
前記第二参考例では、流入口47を構成するパイプの分岐管48の開口位置は、図3に示すように、燃焼ガスの流れ方向においては、第三管群37Cの3列設けられている管列の最後尾の管列の位置であり、燃焼ガスの流れ方向と直角方向すなわち左右方向においては、管壁41の側面部41Cの位置である。
【0041】
しかしながら、第一実施形態の図4に示すように、液入口47を構成するパイプの分岐管48を平面上(図4(A))でコの字状に屈曲することで、管壁41の左右の側面部41Cの上部に沿って延在させ、この延在させたパイプの分岐管48の長手方向に、希吸収液の散布口49を複数分散して設けることができる。
【0042】
燃焼ガスとの関係から、一般的に垂直液管群37よりも管壁41の方が、温度が低いので、稀吸収液の下降流を作る部位として適していると考えられる。よって、この実施形態によれば、管壁41の側面部41Cでより強い下降流を得られ、より温度の高い垂直液管群37で自然に得られる上昇流とともに、稀吸収液の循環流をより積極的に形成することができる。
【0043】
(第三参考例)
第三参考例を図5および図6において説明する。なお図1および図2と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0044】
上記の第一参考例、第二参考例及び第一実施形態では、垂直液管群37のうちバーナー5とは反対側に液入口47が設けられるものであったが、図5および図6の第四実施形態のようにバーナー5の側に配置される第一液管群37Aの下部に液入口47が設けられるものとしても良い。
【0045】
すなわち、稀吸収液は、第一液管群37Aの下部に設けられた稀吸収液流入箱51に受けられ、稀吸収液流入箱51に形成された液入口47から第一液管群37Aの下部に流入する。そして、稀吸収液流入箱51に形成された複数の液入口47はそれぞれノズルからなり、各ノズルは、管壁41の下面部41Bの二重構造を構成する底板を貫通して、下面部41Bの二重構造内部で突出する。突出したノズルは、第一液管群37Aを構成する各管の数に対応する。また、突出したノズルの内径は、第一液管群37Aを構成する各管の内径よりも小さい。
【0046】
よって、ポンプ圧を利用して流入する稀吸収液は、前記ノズルから噴出し、第一液管群37Aの下部にのみ勢い良く流入する。これにより、第一液管群37Aにおける加熱で自然に得られる上昇流と一緒になって強い上昇流を得る。そして、管壁41の側面部41Cで生じる下降流とともに、稀吸収液の循環流をより積極的に形成することができる。
【0047】
また、強い上昇流として流入する稀吸収液は、直焚高温再生器4の上流側に接続される熱交換器7、8(図5)を通っており、この熱交換器7、8の特性上、直焚高温再生器4内部の沸騰開始温度よりも低くなっている。この温度の低い稀吸収液によって、バーナー5からの燃焼火炎の温度を積極的に下げることができ、燃焼ガスの低NOx化を図ることができる。
【0048】
(第四参考例)
第四参考例を図7および図8において説明する。なお図1、図2、図5、および図6と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0049】
上記の第一参考例の図1および図2では、垂直液管群37のうちバーナー5とは反対側に液入口47が設けられるものであり、上記の第三参考例の図5および図6では、バーナー5の側に配置される第一液管群37Aの下部に液入口47が設けられるものであった。しかしながら、この第四参考例では、図7および図8に示すように、これら2種類の液入口47を両方とも設けることもできる。
【0050】
なお、図8において、第一参考例の液入口47を液入口47−1とし、第三参考例の液入口47を液入口47−2として表示する。そして、図7において、吸収器3から直焚高温再生器4に至る稀吸収液配管6は分岐して、分岐管6−1、6−2となり、それぞれ稀吸収液を液入口47−1または液入口47−2に流入させる。
これにより、この参考例では、第一参考例と第三参考例の両方の効果を得ることが可能となる。
【0051】
なお、図8では、第一参考例と同様に液管群37のうちバーナーとは反対側に配置される管39の上部に液入口47−1を設けるものであったが、他の変形例として、第二参考例と同様に管壁41のうちバーナーとは反対側に位置する部位の側面部41Cの上部の右または左に液入口47−1を設けるものとしても良い。また、第一実施形態と同様に管壁41のうち側面部41Cの上部の右または左に長手方向に分散した位置に、液入口47−1を設けるものとしても良い。
【0052】
(第二実施形態)
以下、この発明の第二実施形態を図5および図9において説明する。なお図1、図2、および図6と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0053】
上記の第三参考例では第一液管群37Aの下部に流入した稀吸収液は、第一液管群37Aの上部から密閉状態で連通する他の第二液管群37Bや第三液管群37Cの上部に流入するものであった(図6)。しかしながら、この第二実施形態では、稀吸収液を第一液管群37Aの上部から第三液管群37Cの上部に開放状態で散布し流入させるものである。
【0054】
すなわち、第一液管群37Aの部分の管壁41は、他の第二液管群37Bや第三液管群37Cの部分の管壁41と、隔壁53で分離されている。そして、第一液管群37Aの上方の管壁41の上面部41Aは、隔壁53を貫通する散布管55に連通し、この散布管55は第二液管群37Bや第三液管群37Cの部分の管壁41の上面部41Aの内部を通って、第三液管群37Cの上部に開口する。これによって、稀吸収液を第三液管群37Cの上部に開放状態で散布し流入させる。
【0055】
なお、この第二実施形態では、稀吸収液は、図5に示すように直焚高温再生器4の上流側に接続された高温熱交換器8を通ったものが全量、第一液管群37Aの下部に流入する。
【0056】
この第二実施形態によれば、上記の第三参考例の効果に加え、さらに次の効果が得られる。すなわち、第一液管群37Aはいわば予熱器の働きをすると同時に、ポンプ圧によって流入する稀吸収液を、第三液管群37Cの上部に開放状態で散布し流入させることで、冷媒蒸気の発生をより促進することができる。また、隔壁53の働きによって、温度の低い稀吸収液を第一液管群37Aの付近に十分にとどめることができ、燃焼火炎温度をより十分に低くすることができ、低NOx化をより図ることができる。
【0057】
(第三実施形態)
以下、この発明の第三実施形態を図7および図10において説明する。なお図1、図2、および図9と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。
【0058】
上記の第二実施形態では、高温熱交換器8を通った稀吸収液は全量が、第一液管群37Aの下部に流入する。しかしながら、この第三実施形態では、稀吸収液の一部分のみが第一液管群37Aの下部に流入し、他の部分は第三液管群37Cの上部に開放状態で散布するものである。
【0059】
すなわち、図7において、吸収器3から直焚高温再生器4に至る稀吸収液配管6は分岐して、分岐管6−1、6−2となる。これにより、高温熱交換器8からの稀吸収液が分流し、分流した稀吸収液の一部分を液入口47−1から、他の部分を液入口47−2から流入させる。そして、液入口47−2から流入し第一液管群37Aの上部から流出した稀吸収液は、液入口47−1から流入した他の部分の稀吸収液とともに、第三液管群37Cの上部に開放状態で散布する。
これにより、液入口47−2から流入する稀吸収液の量を調節でき、したがって燃焼火炎温度を低くする程度を調節できる。
【0060】
この実施形態では、開放状態での散布は、第三液管群37Cの上部に対して、すなわち液管群37のうちバーナー5とは反対側に配置される管39の上部に対して行われるものであったが、他の変形例として、第二参考例と同様に管壁41のうちバーナーとは反対側に位置する部位の側面部41Cの上部の右または左に対して散布するものでも良い。また、第一実施形態と同様に管壁41のうち側面部41Cの上部の右または左に長手方向に分散した位置に対して散布するものでもよい。これらの変形例は、次の第四実施形態でも同様に可能である。
【0061】
(第四実施形態)
以下、この発明の第四実施形態を図11において説明する。なお図1および図7と同一の部分については同一の番号を付して説明を省略する。また、直焚高温再生器4自体は前記第七実施形態の図10と同一とする。
【0062】
上記の第三実施形態では、吸収器3から直焚高温再生器4に至る稀吸収液配管6は高温熱交換器8を通った後に分岐して、分岐管6−1、6−2となる(図7)。しかし、この第四実施形態では、図11に示すように、稀吸収液配管6は低温熱交換器7を通った後で高温熱交換器8を通る前に分岐して、分岐管6−1、6−2となる。
【0063】
これにより、液入口47−2から流入する稀吸収液の温度をさらに低くでき、したがって燃焼火炎温度をより低くできる。よって、燃焼火炎温度をより十分に低くすることができ、低NOx化をより図ることができる。
【0064】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、希吸収液を管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散して開放状態で散布する吸収液供給路、または、バーナーに近い近管群と、バーナーからやや遠い上記の液管群との間に対応する位置に、管壁を垂直方向に仕切るための隔壁を設けて、希吸収液を近管群の下部から流入する吸収液供給路、すなわち、下部流入供給路を設けているため、前者の吸収液供給路による構成では、燃焼ガスとの関係から、一般的に液管群よりも管壁の方が温度が低いため、稀吸収液の下降流を作る部位として適しているので、管壁の側面部でより強い下降流を得られ、より温度の高い液管群で自然に得られる上昇流とともに、稀吸収液の循環流をより積極的に形成することができる。
また、散布された希吸収液が左右両方の側面部から中央部分までの短い経路で循環するため、希吸収液をより効率的に加熱濃縮し得るとともに、管壁や液管群の局部的な高温度化を避け得る。
【0065】
そして、後者の下部流入供給路を設ける構成では、隔壁によってバーナーから遠い液管郡からの希吸収液の対流が遮断されるので、温度の低い希吸収液をバーナーに近い液管群の付近に十分にとどめて、バーナーに近い管壁や液管群の局部的な高温度化を避け得る。
【0066】
請求項2の発明によれば、バーナーに近い近管群の下部に、希吸収液をポンプ圧によって流入させるので、この近管群における加熱で自然に得られる上昇流と一緒になって強い上昇流を得ることができ、他の部分で生じる下降流とともに、希吸収液の循環流をより積極的に形成することができる。
【0067】
したがって、熱伝達係数を全体として高くでき、管群や管壁などの局部的な高温度化が避けられるので、高温度化に伴う腐食事故や液の結晶化などの不都合を防止できる。また、バーナーに近い近管群の下部に流入する温度の低い希吸収液によって、バーナーからの燃焼火炎の温度を積極的に下げることができるので、燃焼ガスの低NOx化を図ることができる。
【0068】
請求項3の発明によれば、上記の請求項2の構成に加えて、反対側管群の液管上部に、または、反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、希吸収液の一部分を開放状態で散布させていることになるので、上記の請求項2の発明の効果に加えて、上記の請求項 1 の前者の効果と、上記の第一参考例、または、第二参考例で説明した効果とを得ることができる。
【0069】
請求項4の発明によれば、上記の請求項2の構成に加えて、希吸収液を近管群で加熱した後に、隔壁を貫通させて、反対側管群の上部に開放状態で散布することになるので、上記の請求項2の発明の効果に加えて、反対側管群側での冷媒蒸気の発生をより促進することができる。
【0070】
請求項5の発明によれば、直焚高温再生器の上流側に接続された高温熱交換器からの希吸収液を分流し、分流した希吸収液の一部分を、上記の請求項4の構成と同様に、近管群の下部にポンプ圧によって流入させて近管群で加熱した後に、隔壁を貫通させて、反対側管群の上部に開放状態で散布するとともに、
【0071】
分流した希吸収液の他の部分を、上記の請求項3の構成と同様に、反対側管群の液管上部に、または、反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、希吸収液の一部分を開放状態で散布させていることになるため、上記の請求項4・請求項3の発明の効果に加えて、ポンプにより近管群の希吸収液の流量を調節できるので、燃焼火炎温度を低くする程度を調節できる。
【0072】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明に比べて、低温熱交換器からの希吸収液を分流している点が異なるだけなので、請求項5の発明の効果とほぼ同等の効果が得られるほか、低温熱交換器からの希吸収液によって近管群の温度をさらに低くできるため、燃焼火炎温度をより低くできるので、燃焼火炎温度をより十分に低くすることができ、低NOx化をより図ることができる。
【0073】
請求項7の発明によれば、上記の請求項4の構成における希吸収液を低温熱交換器からの希吸収液にしているので、上記の請求項4の発明の効果に加えて、低温熱交換器からの希吸収液によって近管群の温度をさらに低くできるため、燃焼火炎温度をより低くできるので、燃焼火炎温度をより十分に低くすることができ、低NOx化をより図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一参考例の吸収式冷凍機の全体概略図である。
【図2】図1の吸収式冷凍機に備えられた第一参考例の直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図3】第二参考例の直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図4】この発明の第一実施形態に係る直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図5】この発明の第三参考例に係る吸収式冷凍機の全体概略図である。
【図6】図5の吸収式冷凍機に備えられた第三参考例の直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図7】この発明の第四参考例・第二実施形態・第三実施形態に係る吸収式冷凍機の全体概略図である。
【図8】図7の吸収式冷凍機に備えられた第四参考例の直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図9】この発明の第二実施形態に係る直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図10】この発明の第三実施形態・第四実施形態に係る直焚高温再生器の要部を示すもので、(A)水平断面図、(B)は垂直断面正面図、(C)は垂直断面側面図である。
【図11】この発明の第四実施形態に係る吸収式冷凍機の全体概略図である。
【符号の説明】
4 直焚高温再生器
5 バーナー
7 低温熱交換器
8 高温熱交換器
37 垂直液管群
37A 第一管群
37B 第二管群
37C 第三管群
39 管
41 管壁
45 フィン
47 希吸収液流入口
51 希吸収液流入箱

Claims (7)

  1. バーナーからの燃焼火炎および燃焼ガスを水平方向に炉壁の中を通過させて燃焼ガス出口から排出させるとともに、前記炉壁の位置に配置された二重構造の管壁の上面部および下面部に連通させた多数の垂直な管でなる液管群ならびに前記管壁の中に希吸収液を通して加熱濃縮する直焚高温再生器において、
    前記希吸収液を前記管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散して開放状態で散布する吸収液供給路、または、前記バーナーに近い前記液管群(以下、近管群という)と、前記バーナーからやや遠い前記液管群との間に対応する位置に、前記管壁を垂直方向に仕切るための隔壁を設けて、前記希吸収液を前記近管群の下部から流入する吸収液供給路(以下、下部流入供給路という)を設けたことを特徴とする直焚高温再生器。
  2. 前記流入をポンプ圧によって流入させることを特徴とする請求項1記載の直焚高温再生器。
  3. 前記バーナーとは反対側に配置された前記液管群(以下、反対側管群という)の液管上部に、または、前記反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、前記管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、前記希吸収液の一部分を開放状態で散布させるとともに、前記下部流入供給路に前記希吸収液の他の部分をポンプ圧によって流入させることを特徴とする請求項1記載の直焚高温再生器。
  4. 前記希吸収液を、ポンプ圧により前記下部流入供給路から流入して前記近管群で加熱した後に、前記隔壁を貫通させて、前記反対側管群の上部に開放状態で散布することを特徴とする請求項 1 記載の直焚高温再生器。
  5. 前記直焚高温再生器の上流側には高温熱交換器が接続され、前記高温熱交換器からの前記希吸収液を分流した一部分を、ポンプ圧により前記下部流入供給路から流入して前記近管群で加熱した後に、前記隔壁を貫通させて、前記反対側管群の上部に開放状態で散布するとともに、前記分流した前記希吸収液の他の部分を、前記反対側管群の上部に、または、前記反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、前記管壁の左右両方の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、開放状態で散布することを特徴とする請求項1記載の直焚高温再生器。
  6. 前記直焚高温再生器の上流側には低温熱交換器が接続され、前記低温熱交換器からの前記希吸収液を分流した一部分を、ポンプ圧により前記下部流入供給路から流入して前記近管群で加熱した後に、前記隔壁を貫通させて、前記反対側管群の上部に開放状態で散布するとともに、前記分流した前記希吸収液の他の部分を、前記反対側管群の上部に、または、前記管壁の前記反対側に位置する部位の左右両方の側面部の上部に、もしくは、前記管壁の左右両側の側面部の上部に沿って長手方向に分散した位置に、開放状態で散布することを特徴とする請求項1記載の直焚高温再生器。
  7. 前記直焚高温再生器の上流側には高温熱交換器が接続され、前記高温熱交換器からの前記希吸収液の全量を、ポンプ圧により前記下部流入供給路から流入して前記近管群で加熱した後に、前記隔壁を貫通させて、前記反対側管群の上部に開放状態で散布することを特徴とする請求項1記載の直焚高温再生器。
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