JP3865297B2 - 有機リン化合物の不斉合成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬等の分野で有用な光学活性な有機リン化合物を容易に製造することができる新規な有機リン化合物の不斉合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、医薬、農薬で用いられる化合物は、炭素原子やリン原子上に不斉中心を持っており、その各々のエナンチオマーR体とS体では薬理効果と生体に対する毒性が異なることが知られている。例えば、S体が強い催奇性を持つサリドマイド、(−)体が清涼感のある香りを持つメントール、L体が旨味を持つグルタミン酸等、人を含むあらゆる生命体はエナンチオマーやジアステレオマーを厳格に認識している。これは、生命体を構成するアミノ酸がL体のみからなり、酵素や体内の反応場が高度に立体特異的であることと深い関わりがあることが知られている。
【0003】
従来、これらのエナンチオマーを得る方法として、大別すると以下の2つの方法が知られている。
(1)光学分割法
(2)不斉合成法
前記の(1)光学分割法の方法では、まず、従来の技術を使用して目的とする化合物を合成する。但し、この方法で得られるものはエナンチオマーの混合物であるラセミ体であり、各エナンチオマーの比は50:50である。次に、必要なエナンチオマーを得るため光学分割する。光学分割する方法としては、以下の方法が通常用いられている。
【0004】
例えば、ラセミ体を結晶化し機械的に選別する方法(機械的分離法)、どちらか一方の活性体の結晶を種として接種し、接種した方のエナンチオマーの結晶のみを優先的に析出させる方法(優先晶出法)、ラセミ体に光学分割剤を作用させ、生成したジアステレオマーの溶解度差などを利用して分割する方法(ジアステレオマー法)、生物の消化機能や酵素の不斉加水分解作用など、生体の不斉識別能力を利用して分割する方法(発酵法、酵素法)、不斉構造をもつ吸着剤を固定層としたガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーにより分割する方法が挙げられる。
【0005】
この(1)光学分割法の方法では、例え合成段階において収率が100%であっても最終的な収率は50%を越えることはない。これは合成時に目的とするエナンチオマーと等量の不要なエナンチオマーも生成していることに由来し、このことが光学分割法の大きな欠点となっている。
【0006】
一方、前記の(2)不斉合成法の方法は、アキラルまたはプロキラルな化合物を出発原料とし、骨格形成あるいは官能基変換の際に光学活性体に導く方法であり、合成段階において、必要とするエナンチオマーのみを選択的に作りだすことことができ、最大100%の収率が期待できることから工業的に最も有利な方法である。この不斉合成法は、不斉配位子を有する触媒を触媒量もしくは量論量用いる不斉合成反応として知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この不斉合成法は生体内反応において酵素が採用している理想的な合成技術であるが、希望するエナンチオマーのみを区別して作り分けるための精巧な反応場を作り出さなければならず、技術上の大きな障壁が存在する。
【0008】
光学活性な有機リン化合物は、近時、不斉配位子、医薬、農薬の分野で注目されている。例えば、下記一般式(4)
【0009】
【化4】
Figure 0003865297
【0010】
で示されるS−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレートは、殺虫、殺ダニ、殺線虫剤として有用であるが、この化合物の光学活性体(−)S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレートが、対応するラセミ体或いは(+)光学異性体に比べ有害動物防除剤として高い防除効果を有することが知られている。この光学活性体を製造する方法としては、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレートのラセミ体を光学分割剤として1,4−ポリ―2,3,6−トリ−O−フェニルカルバモイル−β−O−グルコシドを用いて光学分割する方法(特開平02−88590号公報)等が提案されている。
【0011】
これに限らず、従来より、有機リン化合物の光学活性体を得るには、光学分割法についての数多くの検討はなされているが、不斉合成法についての知見はほとんどない。
【0012】
上述したとおり、光学分割法により必要とするエナンチオマーの最終的な収率は50%を越えることはないことから、得られる光学活性体は必然的に高価なものとなり工業的に不利である。
【0013】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、光学活性な有機リン化合物を工業的に有利に効率よく得ることができる不斉合成方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化ホスフィン誘導体と活性水素含有化合物とを、塩基及びキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることにより光学活性な有機リン化合物を容易に製造することが出来ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【化21】
Figure 0003865297
(式中、R 1 、R 2 は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化有機リン化合物のラセミ体と、下記一般式(2)
【化22】
Figure 0003865297
(式中、Aは硫黄原子又は酸素原子を示す。)で表される活性水素含有化合物とを塩基及び下記一般式(5)
【化23】
Figure 0003865297
(式中、R 5 はハロゲン原子、もしくは水酸基で置換されていてもよいアルキル基、又はハロゲン原子、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基もしくはアリール基を示す。R 6 は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。R 7 およびR 8 は、水素原子、エチル基またはビニル基を表し、いずれか一方が水素原子を表し、他方がエチル基またはビニル基を示してもよい。E - はハロゲン化物イオン、ClO 、H PO 、HSO 、MeSO 、EtSO またはCN - を表す。*は不斉炭素原子を表す。)
で表されるアンモニウム塩からなるキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化24】
Figure 0003865297
(式中、R 1 、R 2 、Aは前記と同義である。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。*は不斉リン原子を示す。)で表される有機リン化合物の不斉合成方法を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、下記一般式(1)
【化25】
Figure 0003865297
(式中、R 1 、R 2 は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化有機リン化合物のラセミ体と、下記一般式(2)
【化26】
Figure 0003865297
(式中、Aは硫黄原子又は酸素原子を示す。)で表される活性水素含有化合物とを塩基及び下記一般式(6)
【化27】
Figure 0003865297
(式中、R 9 、R 10 及びR 11 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよいアルキル基、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基またはアリール基を示す。R 12 は炭素原子数1〜8の低級アルキル基、またはハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表す。R 11 とR 12 は連結して、隣接する炭素原子および窒素原子とともに五員環または六員環を形成することができる。R 13 はハロゲン原子、炭素原子数1〜8の低級アルキル基、低級アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基を示す。E - はハロゲン化物イオン、ClO 、H PO 、HSO 、MeSO 、EtSO またはCN - を表す。*は不斉炭素原子を示す。)
で表されるアンモニウム塩からなるキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化28】
Figure 0003865297
(式中、R 1 、R 2 、Aは前記と同義である。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。*は不斉リン原子を示す。)で表される有機リン化合物の不斉合成方法を提供するものである。
【0022】
また、前記一般式(2)のAは硫黄原子であるのが好ましく、前記塩基は水酸化アルカリが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機リン化合物の不斉合成方法は、ハロゲン化有機リン化合物のラセミ体と、活性水素含有化合物とを、塩基及びキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする。
【0024】
従来より、上記一般式(3)で示される有機リン化合物の光学活性体を得るには、光学分割法についての数多くの検討はなされているが、不斉合成法についての知見はほとんどない。これらのホスフィン誘導体の不斉合成を困難なものとしている一つの要因に、これらの化合物の不斉軸周辺は、本来立体的に嵩高いことから、P原子とそれにカップリングする基の周辺は必然的に最も嵩高い部位となるため触媒作用で効率よく必要とするエナンチオマーを得ることは難しいことが挙げれる。これに対して本発明では、キラルな相間移動触媒を塩基の存在下で使用することにより、光学活性な有機リン化合物の不斉合成法を可能にしたものである。
【0025】
<ハロゲン化有機リン化合物>
本発明の原料の一つとして用いるハロゲン化有機リン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物のラセミ体である。
【0026】
【化8】
Figure 0003865297
【0027】
前記一般式(1)において、R1及びR2炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、R1とR2は同一の基となることはない。
【0028】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。
【0030】
また、硫黄原子、酸素原子のヘテロ原子が含まれ、これらのヘテロ原子はP原子と結合していてもよい。
【0031】
前記一般式(1)中のXは臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原子を示す。
【0032】
<活性水素含有化合物>
本発明の有機リン化合物の不斉合成方法で用いるもう一方の反応原料の活性水素含有化合物は、下記一般式(2)で表される。
【0033】
【化9】
Figure 0003865297
【0034】
前記一般式(2)において、Aは硫黄原子又は酸素原子を示す。式中のHは活性水素を示し、この活性水素は、酸と塩基の反応において、塩基と反応性を有する活性な水素原子である。
【0036】
これらの活性水素含有化合物の使用量は、前記一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物1molに対して、通常1.0〜1.5mol、好ましくは1.0〜1.1molである。
【0037】
<キラルな相間移動触媒>
本発明において、用いる相間移動触媒は、キラルな相間移動触媒であり、このようなキラルな相間移動触媒としては、下記一般式(5)
【0038】
【化10】
Figure 0003865297
で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)
【0039】
【化11】
Figure 0003865297
で表されるアンモニウム塩が挙げられる。
【0041】
前記一般式(5)の式中、R5 はハロゲン原子、もしくは水酸基で置換されていてもよいアルキル基、又はハロゲン原子、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基もしくはアリール基を示す。R6 は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。R7 およびR8 は、水素原子、エチル基またはビニル基を表し、いずれか一方が水素原子を表し、他方がエチル基またはビニル基を示してもよい。E- はハロゲン化物イオン、ClO4 -、H2 PO4 -、HSO4 -、MeSO4 -、EtSO4 -またはCN- を表す。*は不斉炭素原子を表す。
【0042】
前記一般式(5)で表されるアンモニウム塩の具体的な化合物としては、例えば臭化N−ドデシルシンコニジニウム、臭化N−ドデシルシンコニニウム、臭化N−ドデシルキニニウム、臭化N−ドデシルキニジニウム、臭化N−ベンジルシンコニジニウム、臭化N−(トリフルオロメチルベンジル)シンコニジニウム、臭化N−ドデシルヒドロシンコニジニウム、臭化N−フェニルシンコニジニウム、臭化N−ナフチルシンコニニウム、臭化(8S,9R)−1−ドデシル−9−ヒドロキシ−6’−メチル−シンコニニウム、塩化N−ドデシルシンコニジニウム、塩化N−ドデシルシンコニニウム、塩化N−ドデシルキニニウム、塩化N−ドデシルキニジニウム、塩化N−ベンジルシンコニジニウム、塩化N−(トリフルオロメチルベンジル)シンコニジニウム、塩化N−ドデシルヒドロシンコニジニウム、塩化N−フェニルシンコニジニウム、塩化N−ナフチルシンコニニウム、塩化(8S,9R)−1−ドデシル−9−ヒドロキシ−6’−メチル−シンコニニウム、硫酸水素N−ドデシルシンコニジニウム、リン酸N−ドデシルシンコニジニウム、過塩素酸N−ドデシルシンコニジニウム、メチル硫酸N−ドデシルシンコニジニウム、エチル硫酸N−ドデシルシンコニジニウム、シアン化N−ドデシルシンコニジウムなどを挙げることができる。
【0043】
前記一般式(5)で表されるキラルな相間移動触媒は通常の4級アンモニウム塩の合成法に準じて合成することができる。例えば、シンコニジンと臭化ドデシルとをアセトニトリル溶媒中、加熱還流し、通常の後処理を施すことにより臭化ドデシルシンコニジニウムを得ることができる。また、ハロゲン化物イオン以外を対陰イオンとする光学活性4級アンモニウム塩は、例えば、上記方法で得られたハロゲン化4級アンモニウム塩を陰イオン交換樹脂で処理して対応する水酸化4級アンモニウムとし、これを過塩素酸、リン酸等で処理することにより得ることができる。
【0044】
一方、前記一般式(6)の式中、R9 、R10及びR11はぞれぞれ独立に、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよいアルキル基、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基またはアリール基を示す。R12は炭素原子数1〜8の低級アルキル基、またはハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表す。R11とR12は連結して、隣接する炭素原子および窒素原子とともに五員環または六員環を形成することができる。R13はハロゲン原子、炭素原子数1〜8の低級アルキル基、低級アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基を示す。E- はハロゲン化物イオン、ClO4 -、H2 PO4 -、HSO4 -、MeSO4 -、EtSO4 -またはCN- を表す。*は不斉炭素原子を示す。
【0045】
前記一般式(6)で表されるアンモニウム塩の具体的な化合物としては、例えば、臭化ジメチルドデシル(1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−クロロフェニル−2−フェニル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、臭化ドデシルメチルエフェドリニウム、臭化ジメチルドデシル(1−エチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−エチル−2−トリル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−メトキシフェニルエチル)アンモニウム、臭化(12−ブロモドデシル)メチルエフェドリニウム、臭化(12−ヒドロキシドデシル)メチルエフェドリニウム、臭化(クロロフェニルメチル)メチルエフェドリニウム、臭化(ヒドロキシフェニルエチル)メチルエフェドリニウム、臭化メチルフェニルエフェドリニウム、臭化(クロロフェニル)メチルエフェドリニウム、臭化(ヒドロキシフェニル)メチルエフェドリニウム、臭化ジメチルドデシル〔2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、臭化ジメチルドデシル〔2−(2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、臭化ジメチルドデシル〔2−(2,5−ジメトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、臭化ジメチルドデシル〔2−(3−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、臭化ジオクチルエフェドリニウム、臭化ジメチル(1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシエチル)(p−トリフルオロメチルベンジル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−イソブチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ドデシルメチル−2−(1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)ピロリジニウム、ヨウ化ジオクチルエフェドリニウム、臭化ジメチルドデシル(2−(1−ナフチル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−(p−tert−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−シクロヘキシルメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ジメチルトリデシル(2−p−トリル−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ジメチルドデシル(1−(2−ナフチル)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、臭化ジメチル(1,2−ジ(2−ナフチル)−2−ヒドロキシエチル)(p−トリフルオロメチルベンジル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−クロロフェニル−2−フェニル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、塩化ドデシルメチルエフェドリニウム、塩化ジメチルドデシル(1−エチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−エチル−2−トリル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−メトキシフェニルエチル)アンモニウム、塩化(12−ブロモドデシル)メチルエフェドリニウム、塩化(12−ヒドロキシドデシル)メチルエフェドリニウム、塩化(クロロフェニルメチル)メチルエフェドリニウム、塩化(ヒドロキシフェニルエチル)メチルエフェドリニウム、塩化メチルフェニルエフェドリニウム、塩化(クロロフェニル)メチルエフェドリニウム、塩化(ヒドロキシフェニル)メチルエフェドリニウム、塩化ジメチルドデシル〔2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、塩化ジメチルドデシル〔2−(2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、塩化ジメチルドデシル〔2−(2,5−ジメトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、塩化ジメチルドデシル〔2−(3−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル〕アンモニウム、塩化ジオクチルエフェドリニウム、塩化ジメチル(1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシエチル)(p−トリフルオロメチルベンジル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−イソブチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ドデシルメチル−2−(1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)ピロリジニウム、ヨウ化ジオクチルエフェドリニウム、塩化ジメチルドデシル(2−(1−ナフチル)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−(p−tert−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−シクロヘキシルメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ジメチルトリデシル(2−p−トリル−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ジメチルドデシル(1−(2−ナフチル)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アンモニウム、塩化ジメチル(1,2−ジ(2−ナフチル)−2−ヒドロキシエチル)(p−トリフルオロメチルベンジル)アンモニウム、過塩素酸ドデシルメチルエフェドリニウム、リン酸ドデシルメチルエフェドリニウム、硫酸水素ドデシルメチルエフェドリニウム、メチル硫酸ドデシルメチルエフェドリニウム、エチル硫酸ドデシルメチルエフェドリニウムなどを挙げることができる。
【0046】
前記一般式(6)で表されるキラルな相間移動触媒は通常の4級アンモニウム塩の合成に準じて調製することができる。例えば、(1R,2S)−2−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニルエタノールと臭化ドデシルとをアセトニトリル溶媒中で加熱還流し、通常の後処理を施すことにより、臭化(1S,2R)−ジメチルドデシル(1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシエチル)アンモニウムを得ることができる。また、ハロゲン化物イオン以外を対陰イオンとする光学活性4級アンモニウム塩は、例えば、上記方法で得られたハロゲン化4級アンモニウムを陰イオン交換樹脂で処理して対応する水酸化4級アンモニウムとし、これを過塩素酸、リン酸等の酸で中和することにより得ることができる。
【0050】
これらキラルな相間移動触媒の添加量は、一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物に対して通常0.1〜20mol%、好ましくは1.0〜10mol%である。
【0051】
<塩基>
本発明で用いることができる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム等の無機塩基類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン,N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、4−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,3−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、N−エチルピペリジン、キノリン、イソキノリン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N−ジエチルピペラジン、キナルジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、4−メチルモルホリン、2,4,6−コリジン等の有機塩基類、ピリジル基やジメチルアミノベンジル基を有するイオン交換樹脂等の1種又は2種以上で用いられる。本発明において、これらの塩基の中、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが安価で工業的に入手可能である点で特に好ましい。
【0052】
これらの塩基の使用量は、前記一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物1molに対して、通常1.0〜1.5mol、好ましくは1.0〜1.1molである。
【0053】
本発明の有機リン化合物の不斉合成法は、前記活性水素含有化合物、前記一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物とキラルな相関移動触媒を仕込み、ここに塩基を一定時間かけて滴下する方法、前記活性水素含有化合物と塩基とキラルな相関移動触媒とを仕込み、ここに前記一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物を一定時間かけて滴下する方法、又は前記活性水素含有化合物、塩基と前記一般式(1)で表されるハロゲン化有機リン化合物を仕込み、ここにキラルな相関移動触媒を一定時間かけて滴下する方法等により行われる。このとき不活性な有機溶媒又は水相と不活性な有機相との不均一溶媒系で反応を行うことにより実施することができる。
【0054】
用いることができる有機溶媒としては、反応条件下で水相と混和しない任意のものを用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、あるいは脂肪族エーテル等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばクロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、塩化エチル、ジクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられる。脂肪族エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0055】
反応条件としては、反応温度が通常−80〜80℃、好ましくは−30〜30℃であり、反応時間は通常2〜10時間、好ましくは5〜8時間である。
【0056】
反応終了後、有機相と水相とを分離し、反応液を常法により洗浄した後、有機相を濃縮することにより目的とする下記一般式(3)で表される光学活性な有機リン化合物を製造することができる。
【0057】
【化13】
Figure 0003865297
【0058】
(式中、R1、R2、A前記と同義である。但し、R1とR2 同一の基となることはない。*は不斉リン原子を示す。)
【0060】
また、光学活性な有機リン化合物は、反応終了後、所望により、光学分割法を併用し、更に光学純度を高めてもよい。
かくして得られる光学活性な有機リン化合物は、医薬、農薬、あるいはその中間体として有用である。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
本実施例で用いたキラルな相間移動触媒の種類を表1〜表3に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003865297
【0064】
【表2】
Figure 0003865297
【0065】
【表3】
Figure 0003865297
【0066】
なお、上記のキラルな相間移動触媒の中、DMEB(1)はMerck社、BMEB(2)、FMBCB(3)、BCC(5)、BQC(9)はAldrich社の市販のものを用いた。
それ以外のNMCB(4)、AMCC(6)、BBCB(7)、CBCB(8)は下記に方法により合成した。
【0067】
<NMCB(4)の合成>
攪拌機、コンデンサーを備え付けた50mlの4つ口フラスコに、1.55gの(−)−シンコニジン(Aldrich社製)、1.21gの2−(ブロモメチル)ナフタレン(Aldrich社製)と、25mlのトルエンを仕込んだ。3時間加熱還流の後、生じた結晶をグラスフィルターでろ過、少量のトルエンで3回洗浄してNMCB(4)を2.47g得た。収率96.1%
【0068】
・同定データ
LC−MS,APCI法 (Pos.,m/z)435[アンモニウム塩カチオン]
m.p. 253〜254℃(分解)
比旋光度 [α]17=−175.9°(C=0.544 メタノール)
【0069】
<AMCC(6)の合成>
攪拌機、コンデンサーを備え付けた50mlの4つ口フラスコに、1.54gの(−)−シンコニジン(Aldrich社製)、1.22gの9−(クロロメチル)アントラセン(Aldrich社製)と、25mlのトルエンを仕込んだ。3時間加熱還流の後、生じた結晶をグラスフィルターでろ過、少量のトルエンで3回洗浄してAMCC(6)を2.69g得た。収率98.8%
【0070】
・同定データ
LC−MS,APCI法 (Pos.,m/z)485[アンモニウム塩カチオン]
m.p. 158〜159℃ (分解)
比旋光度 [α]21=−310.2°(C=1.00 エタノール)
【0071】
<BBCB(7)の合成>
攪拌機、コンデンサーを備え付けた50mlの4つ口フラスコに、1.59gの(−)−シンコニジン(Aldrich社製)、1.41gのp−ブロモベンジルブロミド(Aldrich社製)と、25mlのトルエンを仕込んだ。3時間加熱還流の後、生じた結晶をグラスフィルターでろ過、少量のトルエンで3回洗浄してBBCB(7)を2.65g得た。収率 95.6%
【0072】
・同定データ
LC−MS,APCI法(Pos.,m/z)465[アンモニウム塩カチオン]
m.p. 249〜252℃(分解)
比旋光度 [α]21=−140.6°(C=0.510 メタノール)
【0073】
<CBCB(8)の合成>
攪拌機、コンデンサーを備え付けた50mlの4つ口フラスコに、1.56gの(−)−シンコニジン(Aldrich社製)、1.37gの2,6−ジクロロベンジルブロミド(Aldrich社製)と、25mlのトルエンを仕込んだ。3時間加熱還流の後、生じた結晶をグラスフィルターでろ過、少量のトルエンで3回洗浄してCBCB(8)を2.33g得た。収率87.2%
【0074】
・同定データ
LC−MS,APCI法(Pos.,m/z)454[アンモニウム塩カチオン]
m.p. 198〜199℃(分解)
比旋光度 [α]20=−201.5°(C=0.950 メタノール)
【0075】
実施例1
下記反応式(1)に基づいて反応を行った。
【0076】
【化14】
Figure 0003865297
【0077】
攪拌機、滴下ロートを備え付けた100mlの4つ口フラスコにトルエン30mlと1,3−チアゾリヂン−2−オン(化合物(7))(イハラケミカル社製、純度96.4%)1.33g(12.4mmol)を仕込み、室温で攪拌した。次に、0℃にフラスコを冷却し、これにS−sec−ブチル−O−エチルクロロホスホノチオレート(化合物(8))(日本化学工業社製、純度87.4%)2.98g(12.0mmol)とキラルな相間移動触媒DMEB(1)0.244g(0.57mmol)を添加した後、25%水酸化ナトリウム水溶液1.98g(12.3mmol)を0℃に反応系内の温度を維持しながら2時間かけて段階的に滴下した。数時間後、反応液の一部を適宜採取し、GCにより反応原料のS−sec−ブチル−O−エチルクロロホスホノチオレートのピークが消失した時点で反応終了とした。
【0078】
反応終了後、水相を廃棄し、次いで有機相を水で3回洗浄してボウ硝で乾燥した後、溶媒を留去してS−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.88g(収率84.7%)(化合物(9))を得た。
【0079】
<同定データ>
GC−MS(Pos.,m/z)283[M]+
また、光学活性カラム;Chiral Cel OC(0.46cmφ×25cm;ダイセル化学工業社製)、溶離液にヘキサン:イソプロパノール=9:1、流速0.5ml/分、UV検出器(220nm)、温度30℃で光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]22=3.79°(C=0.958、メタノール)であった。
【0080】
実施例2
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からBCC(5)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.97g(収率87.5%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]21=11.56°(C=0.982、メタノール)であった。
【0081】
実施例3
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からFMBCB(3)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.67g(収率78.6%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]20=−1.87°(C=1.02、メタノール)であった。
【0082】
実施例4
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からBMEB(2)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.89g(収率85.0%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]21=4.67°(C=1.00、メタノール)であった。
【0083】
実施例5
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からAMCC(6)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート3.16g(収率93.0%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]20=36.80°(C=1.00、メタノール)であった。
【0084】
実施例6
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からBBCB(7)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート3.06g(収率90.2%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]21=−13.40°(C=1.01、メタノール)であった。
【0085】
実施例7
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からCBCB(8)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート3.03g(収率89.3%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]19=14.70°(C=0.98、メタノール)であった。
【0086】
実施例8
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からNMCB(4)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.76g(収率81.2%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]21=7.20(C=0.973、メタノール)であった。
【0087】
実施例9
キラルな相間移動触媒の種類をDMEB(1)からBQC(9)に代えた以外は実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート2.91g(収率85.6%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]19=5.29(C=1.02、メタノール)であった。
【0088】
比較例1
相間移動触媒としてPX−4B;テトラブチルホスホニウムブロミドを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、S−sec−ブチル−O−エチル(2−オキソ−3−チアゾリジニル)ホスホノチオレート3.18g(収率93.5%)を得た。
また、実施例1と同様に光学純度を測定した。その結果を表4に示す。また、比旋光度は、[α]20=0(C=1.00、メタノール)であった。
【0089】
【表4】
Figure 0003865297
【0090】
(注1)キラルな不斉相間移動触媒の配合量は、ハロゲン化有機リン化合物の量に対するmol%を示す。
(注2)光学純度は、光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフ法による分析において、得られた両エナンチオマーのピーク面積比をAR、ASとしたときに次式により求めた値を示す。
【0091】
【数1】
Figure 0003865297
【0092】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明の有機リン化合物の不斉合成方法によれば、容易に医薬、農薬等の薬品で有用な光学活性な有機リン化合物をキラルな不斉相間移動触媒を用いて合成することができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003865297
    (式中、R1、R2炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。但し、R1とR2は同一の基となることはない。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化有機リン化合物のラセミ体と、下記一般式(2)
    Figure 0003865297
    (式中、Aは硫黄原子又は酸素原子を示す。)で表される活性水素含有化合物とを塩基及び下記一般式(5)
    Figure 0003865297
    (式中、R 5 はハロゲン原子、もしくは水酸基で置換されていてもよいアルキル基、又はハロゲン原子、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基もしくはアリール基を示す。R 6 は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。R 7 およびR 8 は、水素原子、エチル基またはビニル基を表し、いずれか一方が水素原子を表し、他方がエチル基またはビニル基を示してもよい。E - はハロゲン化物イオン、ClO 、H PO 、HSO 、MeSO 、EtSO またはCN - を表す。*は不斉炭素原子を表す。)
    で表されるアンモニウム塩からなるキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(3)
    Figure 0003865297
    (式中、R1、R2、A前記と同義である。但し、R1とR2 同一の基となることはない。*は不斉リン原子を示す。)で表される有機リン化合物の不斉合成方法。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 0003865297
    (式中、R 1 、R 2 は炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化有機リン化合物のラセミ体と、下記一般式(2)
    Figure 0003865297
    (式中、Aは硫黄原子又は酸素原子を示す。)で表される活性水素含有化合物とを塩基及び下記一般式(6)
    Figure 0003865297
    (式中、R 9 、R 10 及びR 11 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよいアルキル基、アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル基またはアリール基を示す。R 12 は炭素原子数1〜8の低級アルキル基、またはハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表す。R 11 とR 12 は連結して、隣接する炭素原子および窒素原子とともに五員環または六員環を形成することができる。R 13 はハロゲン原子、炭素原子数1〜8の低級アルキル基、低級アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基を示す。E - はハロゲン化物イオン、ClO 、H PO 、HSO 、MeSO 、EtSO またはCN - を表す。*は不斉炭素原子を示す 。)
    で表されるアンモニウム塩からなるキラルな相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(3)
    Figure 0003865297
    (式中、R 1 、R 2 、Aは前記と同義である。但し、R 1 とR 2 は同一の基となることはない。*は不斉リン原子を示す。)で表される有機リン化合物の不斉合成方法。
  3. 前記一般式(2)のAは硫黄原子である請求項1又は2記載の有機リン化合物の不斉合成方法。
  4. 前記塩基は水酸化アルカリである請求項1乃至3のいずれかの項に記載の有機リン化合物の不斉合成方法。
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