JP3494465B2 - 光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法 - Google Patents
光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性α−アミノ酸
誘導体の製造方法に関するものであり、主に非天然型の
光学活性α−アミノ酸の製造に利用できる。 【0002】 【従来の技術】非天然型の光学活性α−アミノ酸は、各
種生理活性ペプチドのアナログ化合成原料として有用な
化合物として知られると共に、Mol. Carcinog.,第2
巻,159頁に記載のアザチロシン(L−β−(5−ヒ
ドロキシ−2−ピリジル)アラニン)のように、光学活
性α−アミノ酸そのものに抗癌活性があるものも知られ
ており、医薬品としての用途も期待されている。 【0003】また、光学活性アジリジン−2−カルボン
酸誘導体は、光学活性α−アミノ酸の活性誘導体と見な
され、光学活性α−アミノ酸誘導体の汎用原料として産
業上期待されていた。光学活性アジリジン−2−カルボ
ン酸誘導体は、Bull. Chem. Soc. Japan,第51巻,
1577頁及びBull. Chem. Soc. Japan, 第52巻,3
579頁に記載のように、L−セリン又はL−スレオニ
ンから数段階の反応を経て合成する方法、又は特願平
4−162797号明細書に記載のように、クロロアラ
ニン誘導体から、ニトリル溶媒中、弱塩基を用いて分子
内環化反応で合成する方法で調製できる。 【0004】これらの方法で調製した、カルボキシル基
をエステル体で、イミノ基をベンジルオキシカルボニル
基で保護した(S)−又は(R)−アジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体を原料にした光学活性α−アミノ酸誘導
体の従来の製造方法としては、Tetrahedron Letters,
第30巻,No.31,4073頁に記載されている
ように、ルイス酸であるトリフルオロメタンスルホン酸
亜鉛の存在下、インドール環誘導体を作用させ、トリプ
トファン誘導体を合成する方法がある。 【0005】このの方法は、収率が低く、トリプトフ
ァン誘導体に限られた条件であり、α−アミノ酸誘導体
一般に適用できず、工業的に汎用、有利な方法ではな
い。また、Tetrahedron Letters, 第26巻,No.
9,1153頁には、ジオルガノ銅酸リチウムによる種
々のN−置換アジリジン誘導体の開裂がフッ化ホウ素−
ジエチルエーテルで促進されることが記載されている。
しかしながら、アジリジン環の環構成炭素に置換基を有
するものについて検討されているのは、不斉点のない2
−ジメチル体のみであり、光学活性アジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体については検討されていない。更に、J.
E. Baldwin らは、の方法をラセミ体のアジリジン−
2−カルボン酸誘導体に適用しているが、目的とするα
−アミノ酸誘導体はほとんど得られないか、得られても
収率及びアジリジン環の開環位置の選択性は低かった
( J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1852頁(19
89))。また、J. E. Baldwin らは、光学活性アジリ
ジン−2−カルボン酸誘導体を、ルイス酸であるCuB
r・S(CH3 )2 の存在下、テトラヒドロフランとヘ
キサメチルホスホルアミド混合溶媒中、種々のグリニャ
ール試薬で処理することにより、収率を向上させている
が、アジリジン環の開環位置の選択性が低いため、副生
成物の収率が高く、工業的に有利な方法ではない。 【0006】このように、カルボキシル基とイミノ基を
保護した(S)−又は(R)−アジリジン−2−カルボ
ン酸誘導体を原料にした光学活性α−アミノ酸誘導体の
汎用な製造方法がなく、産業上の期待に応えるだけの充
分な成果が上がっていなかった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学活性α
−アミノ酸誘導体の工業的に有利な製造方法を提供する
ことを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、一般式
(I): 【0009】 【化3】 【0010】(式中、R1 及びR2 は、同一又は相異な
り、それぞれ1価の非芳香族炭化水素基又はアラルキル
基を表す。)で示される(S)−又は(R)−アジリジ
ン−2−カルボン酸誘導体を原料に、一般式(II): R3 2CuLi (II) (式中、R3 は1価の非芳香族炭化水素基、アラルキル
基又はアリール基を表す。)で示されるジオルガノ銅酸
リチウムを作用させて、前記原料の立体配置を保ったま
ま、アジリジン環を開環させることを特徴とする一般式
(III) : 【0011】 【化4】 【0012】(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同義
である。)で示される光学活性α−アミノ酸誘導体の製
造方法である。本発明の方法は、前記一般式(I)で示
される原料の立体配置を保ったまま、アジリジン環を開
環し、前記一般式(II)で示されるジオルガノ銅酸リチ
ウムのR3 を付加し、光学活性α−アミノ酸誘導体を製
造することが特徴であり、原料の(S)−体、(R)−
体の選択により、光学異性体の作り分けが可能である。 【0013】前記一般式(I)、(II)又は(III) にお
いて、R1 、R2 又はR3 で表される1価の非芳香族炭
化水素基としては、炭素数1〜10の非芳香族炭化水素
基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブ
チル基、 tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル
基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等の炭素数
2〜10のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基
等の炭素数2〜10のアルキニル基;シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;シクロブ
テニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等
の炭素数4〜10のシクロアルケニル基等が挙げられ
る。 【0014】前記一般式(II)及び(III) において、R
3 で表されるアリール基としては、例えば、フェニル
基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、イ
ミダゾリル基、インドリル基等の芳香族複素環基が挙げ
られる。前記一般式(I)、(II)又は(III) におい
て、R1 、R2 又はR3 で表されるアラルキル基として
は、前記炭素数1〜10のアルキル基が前記アリール基
で置換された基が好ましく、例えばベンジル基、フェネ
チル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基が挙げ
られる。 【0015】また、前述した1価の非芳香族炭化水素
基、アリール基及びアラルキル基は、水酸基、メルカプ
ト基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアル
キルチオ基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキ
シカルボニル基、アミノ基、グアニジノ基等の適当な置
換基で置換されていてもよい。置換された1価の非芳香
族炭化水素基としては、例えばヒドロキシメチル基、カ
ルボキシメチル基、アミノメチル基が挙げられ;置換さ
れたアリール基としては、例えばp−ヒドロキシフェニ
ル基、5−ヒドロキシ−2−ピリジル基が挙げられ;置
換されたアラルキル基としては、例えばp−ヒドロキシ
ベンジル基、5−ヒドロキシ−2−ピリジルメチル基が
挙げられる。 【0016】一般式(I)で示されるアジリジン−2−
カルボン酸誘導体を、一般式(II)で示されるジオルガ
ノ銅酸リチウムと反応させるにあたって、攪拌を容易に
して反応を円滑に進めるためには溶媒の使用を必要とす
る。溶媒はアジリジン−2−カルボン酸誘導体(I)と
ジオルガノ銅酸リチウム(II)を溶解し、またそれらの
化合物と反応しない溶媒であればいずれでもよい。かか
る溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ンのようなエーテル類を例示できるが、特にジエチルエ
ーテルが好ましい。 【0017】本発明は、前記一般式(II)で示されるジ
オルガノ銅酸リチウムが、ルイス酸のような働きをする
と共に、そのR3 が位置選択的に反応するので、他のル
イス酸の不存在下に反応を行うことが必要である。これ
は本発明の反応系にフッ化ホウ素のようなルイス酸を共
存させると、アジリジン環の開環位置の選択性が低下
し、目的とするα−アミノ酸誘導体の収率が低下してし
まうからである。 【0018】一般式(II)で示されるジオルガノ銅酸リ
チウムは、一般式(I)で示される原料のアジリジン−
2−カルボン酸誘導体に対して1モル当量で充分である
が、過剰に使用することによって、反応は促進される方
向にある。反応温度は、−80℃から50℃の範囲が好
ましい。溶媒の沸点、反応の選択性の点から、−80℃
から室温の範囲が特に好ましい。 【0019】反応後の処理方法としては、生成物の分離
の点から、飽和塩化アンモニウム水溶液を用いたジオル
ガノ銅酸リチウムのクエンチング、及びアンモニア水を
用いた銅化合物の可溶化処理を行うことが好ましい。一
般式(I)で示される原料のアジリジン−2−カルボン
酸誘導体は、前述のように、L−セリンからの反応、又
はクロロアラニン誘導体からの反応により調製できる
が、市販されている場合はそのものを用いればよい。 【0020】また、一般式(II)で示されるジオルガノ
銅酸リチウムは、ヨウ化銅と相当するアルキルリチウ
ム、アラルキルリチウム、アリールリチウム等から簡単
に調製できるが、この系内に原料のアジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体を加えるのも本発明の実施態様であり、
ジオルガノ銅酸リチウムの調製と次の反応を一つの装置
でできるという利点を有している。 【0021】 【実施例】以下、実施例に基いて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
るものではない。 (実施例1)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]ヘプタン酸メチルの合成 【0022】 【化5】 【0023】ヨウ化銅231mg(1.21mmol,1.9
2 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、−40℃で冷却攪拌した。
10分後、1.73Mブチルリチウムのヘキサン溶液
1.40ml(2.42mmol,3.84 eq.)を10分間
かけて滴下した。更に30分間攪拌後、−78℃に冷却
し、これに(2S)−N−(メトキシカルボニル)アジ
リジンカルボン酸メチル101mg(0.63mmol,1.
00 eq.)のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下
し、−78℃で1時間攪拌した。この溶液に飽和塩化ア
ンモニウム水溶液2mlと28%アンモニア水3mlを加
え、室温まで昇温しながら1時間攪拌した。得られた深
青色の水層をジエチルエーテル15mlで3回抽出した。
集めた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、濾別して濃縮
後、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル50ml、ヘキサン:酢酸エチル=1:
1)、リサイクル型HPLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサ
ン:酢酸エチル=1.5:1)により精製を行い、淡黄
色油状の(2S)−[(メトキシカルボニル)アミノ]
ヘプタン酸メチル89mg(0.43mmol)を得た。当該
化合物の収率は68%であった。 【0024】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0025】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3370, 2975, 2880, 1730, 1530, 1440, 1
360, 1220, 1120,1060 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ= 5.17-5.25(br., 1H), 4.31-4,40(t-like, 1H), 3.
75(s, 3H),3.69(s, 3H), 1.57-1.85(m, 2H), 1.21-1.40
(m, 6H),0.88(t, 3H, J=6.59Hz) [α]D 20+18.3 (C=1.58, CHCl3 ) (実施例2)(2S)−[(ベンジルオキシカルボニ
ル)アミノ]酪酸ベンジルの合成 【0026】 【化6】 【0027】ヨウ化銅383mg(2.01mmol,2.1
6 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.20Mメチルリチウムのヘキサン溶液3.30
ml(3.96mmol,4.26eq.)を15分間かけて滴
下した。更に15分間攪拌後、氷冷下において、これに
(2S)−N−(ベンジルオキシカルボニル)アジリジ
ンカルボン酸ベンジル290mg(0.93mmol,1.0
0 eq.)のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下し、
氷冷下で2時間攪拌した。この溶液に飽和塩化アンモニ
ウム水溶液20ml、ジエチルエーテル10mlを加え、氷
冷下で1時間攪拌した後、得られた深青色の水層をジエ
チルエーテル15mlで4回抽出した。集めた有機層を硫
酸マグネシウムで乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を
得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル70ml、ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、リサイク
ル型HPLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサン:酢酸エチル
=4:1)により精製を行い、淡黄色油状の(2S)−
[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]酪酸ベンジル
63mg(0.20mmol)を得た。当該化合物の収率は2
1%であった。また、副生成物として3−ベンジルオキ
シカルボニルアミノ−2−メチルプロピオン酸ベンジル
17mg(0.06mmol)を得た。 【0028】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0029】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2975, 1740, 1685, 1530, 1345, 1
210, 1060, 750,700 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 60MHz): δ=7.20(s, 10H), 5.12(s, 2H), 5.08(s, 2H), 4.90(b
r., 1H),4.08-4.55(m, 1H), 1.50-2.10(m, 2H), 0.85
(t, 3H, J=7.2Hz) [α]D 20−2.44 (C=1.26, CHCl3 ) (実施例3)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]酪酸メチルの合成 【0030】 【化7】 【0031】ヨウ化銅230mg(1.21mmol,2.0
0 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.20Mメチルリチウムのヘキサン溶液2.00
ml(2.40mmol,4.00eq.)を15分間かけて滴
下した。更に15分間攪拌後、氷冷下において、これに
(2S)−N−(メトキシカルボニル)アジリジンカル
ボン酸メチル100mg(0.60mmol,1.00 eq.)
のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下し、氷冷下で
2時間攪拌した。この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶
液15ml、ジエチルエーテル10mlを加え、氷冷下で1
時間攪拌した後、得られた深青色の水層をジエチルエー
テル15mlで4回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を得た。シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50m
l、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、リサイクル型H
PLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサン:酢酸エチル=2:
1)により精製を行い、淡黄色油状の(2S)−[(メ
トキシカルボニル)アミノ]酪酸メチル69mg(0.3
9 mmol)を得た。当該化合物の収率は66%であった。
また、副生成物として3−メトキシカルボニルアミノ−
2−メチルプロピオン酸メチル17mg(0.10mmol)
を得た。 【0032】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0033】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2975, 1730, 1530, 1440, 1360, 1
210, 1090, 1000,780 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ=5.20-5.35(br., 1H), 4.30-4.37(q-like, 1H), 3.7
9(s, 3H),3.69(s, 3H), 1.60-1.95(m, 2H), 0.93(t, 3
H, J=7.2Hz) [α]D 20+8.7 (C=1.49, CHCl3 ) (実施例4)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]−3−フェニルプロピオン酸メチルの合成 【0034】 【化8】 【0035】ヨウ化銅229mg(1.20mmol,2.0
0 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.07Mフェニルリチウムのシクロヘキサン:ジ
エチルエーテル=7:3溶液1.40ml(2.40mmo
l,4.00 eq.)を10分間かけ滴下した。更に25
分間攪拌後、−78℃に冷却し、これに(2S)−N−
(メトキシカルボニル)アジリジンカルボン酸メチル1
00mg(0.60mmol,1.00 eq.)のジエチルエー
テル溶液2.00mlを滴下し、−78℃で2時間攪拌し
た。この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液2mlと28
%アンモニア水3mlを加え、室温まで昇温しながら1時
間攪拌した。得られた深青色の水層をジエチルエーテル
15mlで3回抽出した。集めた有機層を炭酸カリウムで
乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を得た。シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル50ml、ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)で不純物を取り除いた後、酢
酸エチルで留出し、リサイクル型HPLC( D・SIL-5-
06-B、ヘキサン:酢酸エチル=1.5:1)により精製
を行い、淡黄色油状の(2S)−[(メトキシカルボニ
ル)アミノ]−3−フェニルプロピオン酸メチル50mg
(0.35mmol)を得た。当該化合物の収率は35%で
あった。 【0036】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0037】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2970, 1730, 1530, 1440, 1360, 1
160, 910, 735,700 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ=7.24-7.38(m, 3H), 7.10-7.18(m, 2H), 5.10-5.22
(br., 1H),4.60-4.73(t-like, 1H), 3.72(s, 3H), 3.66
(s, 3H),0.88(m, 2H) [α]D 20+45.1 (C=1.00, CHCl3) 【0038】 【発明の効果】本発明は、光学活性なアジリジン−2−
カルボン酸誘導体を原料にして、光学活性α−アミノ酸
誘導体を簡便に製造する方法を提供するものであり、本
発明により得られる光学活性α−アミノ酸誘導体は、合
成中間体原料、医薬品として有用である。
誘導体の製造方法に関するものであり、主に非天然型の
光学活性α−アミノ酸の製造に利用できる。 【0002】 【従来の技術】非天然型の光学活性α−アミノ酸は、各
種生理活性ペプチドのアナログ化合成原料として有用な
化合物として知られると共に、Mol. Carcinog.,第2
巻,159頁に記載のアザチロシン(L−β−(5−ヒ
ドロキシ−2−ピリジル)アラニン)のように、光学活
性α−アミノ酸そのものに抗癌活性があるものも知られ
ており、医薬品としての用途も期待されている。 【0003】また、光学活性アジリジン−2−カルボン
酸誘導体は、光学活性α−アミノ酸の活性誘導体と見な
され、光学活性α−アミノ酸誘導体の汎用原料として産
業上期待されていた。光学活性アジリジン−2−カルボ
ン酸誘導体は、Bull. Chem. Soc. Japan,第51巻,
1577頁及びBull. Chem. Soc. Japan, 第52巻,3
579頁に記載のように、L−セリン又はL−スレオニ
ンから数段階の反応を経て合成する方法、又は特願平
4−162797号明細書に記載のように、クロロアラ
ニン誘導体から、ニトリル溶媒中、弱塩基を用いて分子
内環化反応で合成する方法で調製できる。 【0004】これらの方法で調製した、カルボキシル基
をエステル体で、イミノ基をベンジルオキシカルボニル
基で保護した(S)−又は(R)−アジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体を原料にした光学活性α−アミノ酸誘導
体の従来の製造方法としては、Tetrahedron Letters,
第30巻,No.31,4073頁に記載されている
ように、ルイス酸であるトリフルオロメタンスルホン酸
亜鉛の存在下、インドール環誘導体を作用させ、トリプ
トファン誘導体を合成する方法がある。 【0005】このの方法は、収率が低く、トリプトフ
ァン誘導体に限られた条件であり、α−アミノ酸誘導体
一般に適用できず、工業的に汎用、有利な方法ではな
い。また、Tetrahedron Letters, 第26巻,No.
9,1153頁には、ジオルガノ銅酸リチウムによる種
々のN−置換アジリジン誘導体の開裂がフッ化ホウ素−
ジエチルエーテルで促進されることが記載されている。
しかしながら、アジリジン環の環構成炭素に置換基を有
するものについて検討されているのは、不斉点のない2
−ジメチル体のみであり、光学活性アジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体については検討されていない。更に、J.
E. Baldwin らは、の方法をラセミ体のアジリジン−
2−カルボン酸誘導体に適用しているが、目的とするα
−アミノ酸誘導体はほとんど得られないか、得られても
収率及びアジリジン環の開環位置の選択性は低かった
( J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1852頁(19
89))。また、J. E. Baldwin らは、光学活性アジリ
ジン−2−カルボン酸誘導体を、ルイス酸であるCuB
r・S(CH3 )2 の存在下、テトラヒドロフランとヘ
キサメチルホスホルアミド混合溶媒中、種々のグリニャ
ール試薬で処理することにより、収率を向上させている
が、アジリジン環の開環位置の選択性が低いため、副生
成物の収率が高く、工業的に有利な方法ではない。 【0006】このように、カルボキシル基とイミノ基を
保護した(S)−又は(R)−アジリジン−2−カルボ
ン酸誘導体を原料にした光学活性α−アミノ酸誘導体の
汎用な製造方法がなく、産業上の期待に応えるだけの充
分な成果が上がっていなかった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学活性α
−アミノ酸誘導体の工業的に有利な製造方法を提供する
ことを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、一般式
(I): 【0009】 【化3】 【0010】(式中、R1 及びR2 は、同一又は相異な
り、それぞれ1価の非芳香族炭化水素基又はアラルキル
基を表す。)で示される(S)−又は(R)−アジリジ
ン−2−カルボン酸誘導体を原料に、一般式(II): R3 2CuLi (II) (式中、R3 は1価の非芳香族炭化水素基、アラルキル
基又はアリール基を表す。)で示されるジオルガノ銅酸
リチウムを作用させて、前記原料の立体配置を保ったま
ま、アジリジン環を開環させることを特徴とする一般式
(III) : 【0011】 【化4】 【0012】(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同義
である。)で示される光学活性α−アミノ酸誘導体の製
造方法である。本発明の方法は、前記一般式(I)で示
される原料の立体配置を保ったまま、アジリジン環を開
環し、前記一般式(II)で示されるジオルガノ銅酸リチ
ウムのR3 を付加し、光学活性α−アミノ酸誘導体を製
造することが特徴であり、原料の(S)−体、(R)−
体の選択により、光学異性体の作り分けが可能である。 【0013】前記一般式(I)、(II)又は(III) にお
いて、R1 、R2 又はR3 で表される1価の非芳香族炭
化水素基としては、炭素数1〜10の非芳香族炭化水素
基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブ
チル基、 tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル
基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等の炭素数
2〜10のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基
等の炭素数2〜10のアルキニル基;シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;シクロブ
テニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等
の炭素数4〜10のシクロアルケニル基等が挙げられ
る。 【0014】前記一般式(II)及び(III) において、R
3 で表されるアリール基としては、例えば、フェニル
基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、イ
ミダゾリル基、インドリル基等の芳香族複素環基が挙げ
られる。前記一般式(I)、(II)又は(III) におい
て、R1 、R2 又はR3 で表されるアラルキル基として
は、前記炭素数1〜10のアルキル基が前記アリール基
で置換された基が好ましく、例えばベンジル基、フェネ
チル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基が挙げ
られる。 【0015】また、前述した1価の非芳香族炭化水素
基、アリール基及びアラルキル基は、水酸基、メルカプ
ト基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアル
キルチオ基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキ
シカルボニル基、アミノ基、グアニジノ基等の適当な置
換基で置換されていてもよい。置換された1価の非芳香
族炭化水素基としては、例えばヒドロキシメチル基、カ
ルボキシメチル基、アミノメチル基が挙げられ;置換さ
れたアリール基としては、例えばp−ヒドロキシフェニ
ル基、5−ヒドロキシ−2−ピリジル基が挙げられ;置
換されたアラルキル基としては、例えばp−ヒドロキシ
ベンジル基、5−ヒドロキシ−2−ピリジルメチル基が
挙げられる。 【0016】一般式(I)で示されるアジリジン−2−
カルボン酸誘導体を、一般式(II)で示されるジオルガ
ノ銅酸リチウムと反応させるにあたって、攪拌を容易に
して反応を円滑に進めるためには溶媒の使用を必要とす
る。溶媒はアジリジン−2−カルボン酸誘導体(I)と
ジオルガノ銅酸リチウム(II)を溶解し、またそれらの
化合物と反応しない溶媒であればいずれでもよい。かか
る溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ンのようなエーテル類を例示できるが、特にジエチルエ
ーテルが好ましい。 【0017】本発明は、前記一般式(II)で示されるジ
オルガノ銅酸リチウムが、ルイス酸のような働きをする
と共に、そのR3 が位置選択的に反応するので、他のル
イス酸の不存在下に反応を行うことが必要である。これ
は本発明の反応系にフッ化ホウ素のようなルイス酸を共
存させると、アジリジン環の開環位置の選択性が低下
し、目的とするα−アミノ酸誘導体の収率が低下してし
まうからである。 【0018】一般式(II)で示されるジオルガノ銅酸リ
チウムは、一般式(I)で示される原料のアジリジン−
2−カルボン酸誘導体に対して1モル当量で充分である
が、過剰に使用することによって、反応は促進される方
向にある。反応温度は、−80℃から50℃の範囲が好
ましい。溶媒の沸点、反応の選択性の点から、−80℃
から室温の範囲が特に好ましい。 【0019】反応後の処理方法としては、生成物の分離
の点から、飽和塩化アンモニウム水溶液を用いたジオル
ガノ銅酸リチウムのクエンチング、及びアンモニア水を
用いた銅化合物の可溶化処理を行うことが好ましい。一
般式(I)で示される原料のアジリジン−2−カルボン
酸誘導体は、前述のように、L−セリンからの反応、又
はクロロアラニン誘導体からの反応により調製できる
が、市販されている場合はそのものを用いればよい。 【0020】また、一般式(II)で示されるジオルガノ
銅酸リチウムは、ヨウ化銅と相当するアルキルリチウ
ム、アラルキルリチウム、アリールリチウム等から簡単
に調製できるが、この系内に原料のアジリジン−2−カ
ルボン酸誘導体を加えるのも本発明の実施態様であり、
ジオルガノ銅酸リチウムの調製と次の反応を一つの装置
でできるという利点を有している。 【0021】 【実施例】以下、実施例に基いて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
るものではない。 (実施例1)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]ヘプタン酸メチルの合成 【0022】 【化5】 【0023】ヨウ化銅231mg(1.21mmol,1.9
2 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、−40℃で冷却攪拌した。
10分後、1.73Mブチルリチウムのヘキサン溶液
1.40ml(2.42mmol,3.84 eq.)を10分間
かけて滴下した。更に30分間攪拌後、−78℃に冷却
し、これに(2S)−N−(メトキシカルボニル)アジ
リジンカルボン酸メチル101mg(0.63mmol,1.
00 eq.)のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下
し、−78℃で1時間攪拌した。この溶液に飽和塩化ア
ンモニウム水溶液2mlと28%アンモニア水3mlを加
え、室温まで昇温しながら1時間攪拌した。得られた深
青色の水層をジエチルエーテル15mlで3回抽出した。
集めた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、濾別して濃縮
後、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル50ml、ヘキサン:酢酸エチル=1:
1)、リサイクル型HPLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサ
ン:酢酸エチル=1.5:1)により精製を行い、淡黄
色油状の(2S)−[(メトキシカルボニル)アミノ]
ヘプタン酸メチル89mg(0.43mmol)を得た。当該
化合物の収率は68%であった。 【0024】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0025】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3370, 2975, 2880, 1730, 1530, 1440, 1
360, 1220, 1120,1060 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ= 5.17-5.25(br., 1H), 4.31-4,40(t-like, 1H), 3.
75(s, 3H),3.69(s, 3H), 1.57-1.85(m, 2H), 1.21-1.40
(m, 6H),0.88(t, 3H, J=6.59Hz) [α]D 20+18.3 (C=1.58, CHCl3 ) (実施例2)(2S)−[(ベンジルオキシカルボニ
ル)アミノ]酪酸ベンジルの合成 【0026】 【化6】 【0027】ヨウ化銅383mg(2.01mmol,2.1
6 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.20Mメチルリチウムのヘキサン溶液3.30
ml(3.96mmol,4.26eq.)を15分間かけて滴
下した。更に15分間攪拌後、氷冷下において、これに
(2S)−N−(ベンジルオキシカルボニル)アジリジ
ンカルボン酸ベンジル290mg(0.93mmol,1.0
0 eq.)のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下し、
氷冷下で2時間攪拌した。この溶液に飽和塩化アンモニ
ウム水溶液20ml、ジエチルエーテル10mlを加え、氷
冷下で1時間攪拌した後、得られた深青色の水層をジエ
チルエーテル15mlで4回抽出した。集めた有機層を硫
酸マグネシウムで乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を
得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル70ml、ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、リサイク
ル型HPLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサン:酢酸エチル
=4:1)により精製を行い、淡黄色油状の(2S)−
[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]酪酸ベンジル
63mg(0.20mmol)を得た。当該化合物の収率は2
1%であった。また、副生成物として3−ベンジルオキ
シカルボニルアミノ−2−メチルプロピオン酸ベンジル
17mg(0.06mmol)を得た。 【0028】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0029】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2975, 1740, 1685, 1530, 1345, 1
210, 1060, 750,700 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 60MHz): δ=7.20(s, 10H), 5.12(s, 2H), 5.08(s, 2H), 4.90(b
r., 1H),4.08-4.55(m, 1H), 1.50-2.10(m, 2H), 0.85
(t, 3H, J=7.2Hz) [α]D 20−2.44 (C=1.26, CHCl3 ) (実施例3)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]酪酸メチルの合成 【0030】 【化7】 【0031】ヨウ化銅230mg(1.21mmol,2.0
0 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.20Mメチルリチウムのヘキサン溶液2.00
ml(2.40mmol,4.00eq.)を15分間かけて滴
下した。更に15分間攪拌後、氷冷下において、これに
(2S)−N−(メトキシカルボニル)アジリジンカル
ボン酸メチル100mg(0.60mmol,1.00 eq.)
のジエチルエーテル溶液2.00mlを滴下し、氷冷下で
2時間攪拌した。この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶
液15ml、ジエチルエーテル10mlを加え、氷冷下で1
時間攪拌した後、得られた深青色の水層をジエチルエー
テル15mlで4回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を得た。シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50m
l、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、リサイクル型H
PLC( D・SIL-5-06-B、ヘキサン:酢酸エチル=2:
1)により精製を行い、淡黄色油状の(2S)−[(メ
トキシカルボニル)アミノ]酪酸メチル69mg(0.3
9 mmol)を得た。当該化合物の収率は66%であった。
また、副生成物として3−メトキシカルボニルアミノ−
2−メチルプロピオン酸メチル17mg(0.10mmol)
を得た。 【0032】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0033】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2975, 1730, 1530, 1440, 1360, 1
210, 1090, 1000,780 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ=5.20-5.35(br., 1H), 4.30-4.37(q-like, 1H), 3.7
9(s, 3H),3.69(s, 3H), 1.60-1.95(m, 2H), 0.93(t, 3
H, J=7.2Hz) [α]D 20+8.7 (C=1.49, CHCl3 ) (実施例4)(2S)−[(メトキシカルボニル)アミ
ノ]−3−フェニルプロピオン酸メチルの合成 【0034】 【化8】 【0035】ヨウ化銅229mg(1.20mmol,2.0
0 eq.)を1時間減圧乾燥し、これに窒素雰囲気下、ジ
エチルエーテル5mlを加え、氷冷下で攪拌した。10分
後、1.07Mフェニルリチウムのシクロヘキサン:ジ
エチルエーテル=7:3溶液1.40ml(2.40mmo
l,4.00 eq.)を10分間かけ滴下した。更に25
分間攪拌後、−78℃に冷却し、これに(2S)−N−
(メトキシカルボニル)アジリジンカルボン酸メチル1
00mg(0.60mmol,1.00 eq.)のジエチルエー
テル溶液2.00mlを滴下し、−78℃で2時間攪拌し
た。この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液2mlと28
%アンモニア水3mlを加え、室温まで昇温しながら1時
間攪拌した。得られた深青色の水層をジエチルエーテル
15mlで3回抽出した。集めた有機層を炭酸カリウムで
乾燥し、濾別して濃縮後、粗生成物を得た。シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル50ml、ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)で不純物を取り除いた後、酢
酸エチルで留出し、リサイクル型HPLC( D・SIL-5-
06-B、ヘキサン:酢酸エチル=1.5:1)により精製
を行い、淡黄色油状の(2S)−[(メトキシカルボニ
ル)アミノ]−3−フェニルプロピオン酸メチル50mg
(0.35mmol)を得た。当該化合物の収率は35%で
あった。 【0036】以下、当該化合物の赤外吸収スペクトル分
析、核磁気共鳴スペクトル分析(1HNMR)及び旋光度
分析の結果を示す。当該化合物の構造については、核磁
気共鳴スペクトル分析で確認した。また、生成物は、ほ
ぼ光学的に純粋であることが、ユウロピウムシフト試薬
(トリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレ
ン)−d−カンフォラト]ユウロピウム(III) )を用い
た核磁気共鳴スペクトル分析(1H NMR)で示され
た。 【0037】(理化学的特性) 淡黄色油状 IR(液膜) 3350, 2970, 1730, 1530, 1440, 1360, 1
160, 910, 735,700 cm-1 1 H NMR(CDCl3, 270MHz) : δ=7.24-7.38(m, 3H), 7.10-7.18(m, 2H), 5.10-5.22
(br., 1H),4.60-4.73(t-like, 1H), 3.72(s, 3H), 3.66
(s, 3H),0.88(m, 2H) [α]D 20+45.1 (C=1.00, CHCl3) 【0038】 【発明の効果】本発明は、光学活性なアジリジン−2−
カルボン酸誘導体を原料にして、光学活性α−アミノ酸
誘導体を簡便に製造する方法を提供するものであり、本
発明により得られる光学活性α−アミノ酸誘導体は、合
成中間体原料、医薬品として有用である。
フロントページの続き
(72)発明者 亀山 明代
栃木県小山市稲葉郷941−1 サンビレ
ッジアイランドI−102
(72)発明者 金沢 潤
神奈川県逗子市久木2−6 C−7
(56)参考文献 特開 昭57−156447(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07C 269/00
C07C 271/22
C07B 53/00
C07D 203/00
CA(STN)
CAOLD(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、同一又は相異なり、それぞれ
1価の非芳香族炭化水素基又はアラルキル基を表す。)
で示される(S)−又は(R)−アジリジン−2−カル
ボン酸誘導体を原料に、一般式(II): R3 2CuLi (II) (式中、R3 は1価の非芳香族炭化水素基、アラルキル
基又はアリール基を表す。)で示されるジオルガノ銅酸
リチウムを作用させて、前記原料の立体配置を保ったま
ま、アジリジン環を開環させることを特徴とする一般式
(III) : 【化2】 (式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同義である。)で
示される光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4156594A JP3494465B2 (ja) | 1994-03-11 | 1994-03-11 | 光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4156594A JP3494465B2 (ja) | 1994-03-11 | 1994-03-11 | 光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07252202A JPH07252202A (ja) | 1995-10-03 |
JP3494465B2 true JP3494465B2 (ja) | 2004-02-09 |
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ID=12611971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4156594A Expired - Fee Related JP3494465B2 (ja) | 1994-03-11 | 1994-03-11 | 光学活性α−アミノ酸誘導体の製造方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3494465B2 (ja) |
-
1994
- 1994-03-11 JP JP4156594A patent/JP3494465B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH07252202A (ja) | 1995-10-03 |
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