JP3855295B2 - ビスオキサゾリン類の製造方法 - Google Patents

ビスオキサゾリン類の製造方法 Download PDF

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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスオキサゾリン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビスオキサゾリン類は遷移金属錯体を得るための配位子として有用な化合物であり、例えばその光学活性体はオレフィン類とジアゾ酢酸エステル類とを鉄塩と不斉配位子との存在下に反応させて不斉シクロプロパンカルボン酸類を製造する際の不斉配位子として知られている〔J.Am.Chem.Soc.,113,726(1991)〕。
かかるビスオキサゾリン類を製造する方法としては、例えばマロン酸エステル類およびアミノアルコール類をジアルキルジクロロスズ類の存在下に反応させる方法〔Tetrahedron Letters,31,6005(1990) 〕、ビスアミド類を塩化チオニルもしくはジアルキルジクロロスズの存在下に分子内縮合反応させる方法〔Helv.Chim.Acta.,74,232(1991)、USP5298623号公報〕などが知られているが、ジアルキルジクロロスズは毒性があるため、その取扱いのための特別の設備を必要とし、また塩化チオニルを用いる方法は収率が低いため、いずれも工業的に満足し得る方法であるとは言えなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、特別の設備を用いることなく、かつ高収率でビスオキサゾリン類を容易に製造する方法を開発するべく鋭意検討した結果、ビスアミド類を、ランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の存在下に分子内縮合反応させることにより容易にビスオキサゾリン類を製造できることを見い出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(2)
Figure 0003855295
(式中、R1 、R2 はそれぞれアルキル基を示し、*は不斉炭素原子を示す。)
で示されるビスアミド類を、ランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の存在下に分子内縮合反応させることを特徴とする一般式(1)
Figure 0003855295
(式中、R1 、R2 、*はそれぞれ前記と同じ意味を示す。)
で示されるビスオキサゾリン類の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に用いられるビスアミド類において、置換基R1 、R2 におけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0006】
かかる一般式(2)で示されるビスアミド類には*で示される2つの不斉炭素原子が存在し、これらを不斉中心とする少なくとも2種類の光学活性体が存在するが、本発明の方法に用いるビスアミド類はいずれの光学活性体であってもよいし、それらのラセミ体であってもよく、さらにはメソ型異性体であってもよい。かかるビスアミド類としては、例えばジメチルマロノビス〔N−(2R)−t−ブチルエタノール〕アミド、ジメチルマロノビス〔N−(2R)−メチルエタノール〕アミドおよび上記各化合物における(2R)が(2S)、(2RS)または(2R,2’S)に相当する化合物などが挙げられる。
【0008】
ランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩におけるランタノイド金属としてはイッテルビウムなどが例示される。かかるランタノイド金属有機酸塩としてはトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムなどが挙げられ、これは結晶水を含有していてもよい。
【0009】
かかるランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩は単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量はビスアミド類に対して通常は0.001〜0.5モル倍、好ましくは0.005〜0.1モル倍の範囲である。
【0010】
反応は無溶媒で行ってもよいが、通常は溶媒中で行われる。かかる溶媒としては反応に対して不活性なものであれば特に限定されず、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられ、中でもトルエン、キシレンなどの高沸点の溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量はビスアミド類に対して通常1〜100重量倍の範囲である。
【0011】
反応に際しては、例えば溶媒中でランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩とビスアミド類とを混合すればよく、反応温度は通常15〜200℃、好ましくは50〜200℃の範囲である。
なお、かかる反応によって水が副生するが、これは反応系から通常の方法、例えば溶媒と共沸または溶媒とともに留出させ、次いで水を分離したのちの溶媒を反応系内に戻す還流脱水法などによって除去することができ、かかる還流脱水法を容易に行うためには、溶媒として上記したものの中でも水と共沸し得るものや水と容易に分離し得る疎水性のものが好ましく用いられる。
【0012】
反応後、得られた反応混合物から通常の方法、例えば該反応混合物を水洗、または先の反応において水と相溶性の溶媒を用いた場合や溶媒の使用量が少なかった場合にはトルエン、キシレンなどの粗水性の溶媒を加えた後に水洗し、次いで溶媒を留去する方法などによって、容易に目的のビスオキサゾリン類を得ることができる。これはさらに再結晶、カラムクロマトグラフ処理などの方法によって精製されてもよい。
【0013】
かくして得られる一般式(1)で示されるビスオキサゾリン類において、*で示される2つの不斉炭素原子を中心とする立体配置は、それぞれ用いたビスアミド類におけると同様である。
【0014】
かかるビスオキサゾリン類としては、例えば2,2’−イソプロピリデンビス〔(4R)−4−t−ブチル−2−オキサゾリン〕、2,2’−イソプロピリデンビス〔(4R)−4−メチル−2−オキサゾリン〕および上記各化合物における(4R)が(4S)、(4RS)または(4R,4’S)に相当する化合物などが挙げられる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、特別な設備を用いることなく、かつ高収率でビスオキサゾリン類を製造することができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0017】
参考例1
クロロホルム150mlに(S)−t−ロイシノール5gおよびトリエチルアミン8.63gを溶解し、0℃にて攪拌しながらジメチルマロン酸クロリド3.61gを40分かけて滴下して加え、その後同温度下で8時間攪拌を続けた。
次いで、得られた反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液200gと混合し、攪拌後、分液して有機層と水層とを得た。得られた水層をクロロホルム100mlを用いる抽出操作を2回行い、得られた有機層と先の有機層とを合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に塩化メチレン150mlを加え、水100mlにて2回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、ジメチルマロノビス〔N−(2S)−2−t−ブチルエタノール〕アミド4.99gを得た。
【0020】
実施例
キシレン40mlにジメチルマロノビス〔N−(2S)−2−t−ブチルエタノール〕アミド1g(3.03mg)およびトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム一水和物93.8mg(0.15mmol)を加えたのち、攪拌下、還流脱水しながら24時間加熱した。
その後、溶媒を減圧留去して、残渣835mgを得た。 1H−NMR−IS法によってこの残渣を分析したところ、2,2−イソプロピリデンビス〔(4S)−4−t−ブチル−2−オキサゾリン〕含有量は65重量%であった(収率61%)。
【0021】
比較例1
キシレン35mlに(S)−t−ロイシノール1g(8.53mmol)、ジメチルマロン酸ジエチル0.803g(4.27mmol)およびモレキュラーシーブ4A(100mg)を加えたのち、攪拌下、4時間還流脱水しながら加熱した。その後、ジクロロジブチルスズ65mg(0.21mmol)を加え、さらに攪拌下、90時間還流脱水しながら加熱した。
次いで、濾過操作により固形分を取り除き、溶媒を減圧留去して、残渣430mgを得た。 1H−NMR−IS法によってこの残渣の分析を試みたが、副生物が多く、2,2−イソプロピリデンビス〔(4S)−4−t−ブチル−2−オキサゾリン〕の含有量を求めることはできなかった。
【0022】
比較例2
キシレン40mlにジメチルマロノビス〔N−(2S)−2−t−ブチルエタノール〕アミド1g(3.03mg)を加えたのち、攪拌下、4時間還流脱水しながら加熱した。その後、ジクロロジブチルスズ46mg(0.15mmol)を加え、さらに攪拌下、48時間還流脱水しながら加熱した。
次いで、濾過操作により固形分を取り除き、溶媒を減圧留去して、残渣919mgを得た。 1H−NMR−IS法によってこの残渣の分析を試みたが、副生物が多く、2,2−イソプロピリデンビス〔(4S)−4−t−ブチル−2−オキサゾリン〕の含有量を求めることはできなかった。

Claims (3)

  1. 一般式(2)
    Figure 0003855295
    (式中、R1 、R2 はそれぞれアルキル基を示し、*は不斉炭素原子を示す。)
    で示されるビスアミド類を、ランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の存在下に分子内縮合反応させることを特徴とする一般式(1)
    Figure 0003855295
    (式中、R1 、R2 、*はそれぞれ前記と同じ意味を示す。)
    で示されるビスオキサゾリン類の製造方法。
  2. ランタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩がトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. ンタノイド金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の使用量がビスアミド類に対して0.001〜0.5モル倍であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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