JP3864772B2 - レバー式コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レバー式コネクタの一例として、特開2000−12154公報に記載されたものが知られている。これは、図7に示すように、雄ハウジング1にカム溝2を設けたレバー3が回動可能に設けられるとともに、相手の雌ハウジング4にカム溝2に嵌合するフォロワピン5が設けられ、フォロワピン5をカム溝2に臨ませてレバー3を回動操作すると、両者間のカム機能によって両ハウジング1,4が互いに引き寄せられて嵌合されるようになっている。
この例では特に、レバー3が雄ハウジング1側から雌ハウジング4側に押し出されるように回動されることで両ハウジング1,4が嵌合される、いわゆる押しタイプとなっており、これとは逆に、レバーが相手ハウジング側に突出した状態からそれを支持した雄ハウジング側に引き戻されるように回動されることで両ハウジングが嵌合される、引きタイプのものと区別される。両者は、例えばハウジングを嵌合または離脱操作する場合におけるレバー3の回動スペース等に応じて使い分けされている。
【0003】
ここで押しタイプ、すなわちレバー3が相手の雌ハウジング4側に押し出されるように回動されて両ハウジング1,4が嵌合されるものでは、両ハウジング1,4を正規の嵌合状態にロックするためのロック機構が、構造上、レバー3と相手の雌ハウジング4との間に設けられる。上記従来例では、雌ハウジング4に弾性変形可能なロック片6が、レバー3にロック部7がそれぞれ設けられていて、レバー3による嵌合操作の終盤では、ロック片6を撓み変形させつつレバー3が回動され、両ハウジング1,4が正規に嵌合する位置までレバー3が回動されると、ロック部7がロック片6を通過することで、ロック片6が復元変形してロック部7に係止し、レバー3を戻り不能にロックし、それに伴い両ハウジング1,4を正規の嵌合状態にロックするようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記のように、雌ハウジング4側にロック片6を設けた構造では、雌ハウジング4に対して、ロック片6の撓み変形を許容するための逃がし空間等を設ける必要があり、それだけ雌ハウジング4が大型化するという問題があって、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、押しタイプのレバーのロック機構を設けるに当たり、コネクタハウジングの小型化を図るところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、互いに嵌合される一対のコネクタハウジングのうちの一方のコネクタハウジングには、カム部を有するレバーが回動可能に軸支されるとともに、他方のコネクタハウジングには前記カム部と係合可能なフォロワ部が設けられ、前記レバーの回動操作により前記両コネクタハウジングが嵌合されるようにしたレバー式コネクタにおいて、前記レバーが、前記一方のコネクタハウジング側から他方のコネクタハウジング側に向けて押し出すように回動されることで前記両コネクタハウジングが嵌合されるようになっていて、前記レバーに弾性変形可能なロック片が、前記他方のコネクタハウジングに前記レバーが正規位置まで回動されたところで前記ロック片に係止可能なロック部がそれぞれ設けられているとともに、前記他方のコネクタハウジングの外壁を後方に延長させて片持ち状の突片が形成され、かつこの突片は基端部が薄肉でその先が厚肉とされ、この突片の自由端側に前記ロック部が設けられており、前記ロック片が復元弾性力で前記突片の自由端側に当たりつつ前記ロック部に係止した場合に前記突片が振動する構成となっているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
レバーが一方のコネクタハウジング側から他方のコネクタハウジング側に向けて押し出されるように回動されつつ両コネクタハウジングが嵌合され、回動操作の終盤では、レバーに設けられたロック片が相手の他方のコネクタハウジングに設けられたロック部に乗り上げて撓み変形しつつ回動され、両コネクタハウジングが正規に嵌合する位置まで回動されると、ロック片がロック部が越えることで復元変形してロック部に係止し、レバーを戻り不能にロックし、それに伴い両コネクタハウジングを正規の嵌合状態にロックする。
他方のコネクタハウジングには固定的なロック部を設けたから、撓み変形等を許容すべく逃がし空間が不要であって嵩高となるのが最小限に抑えられる。それに対してレバー側にロック片を設けたことで、その撓み変形等を許容する逃がし空間が必要とはなるが、レバー側に逃がし空間を設ける場合は、レバーの剛性を確保するために必要な厚み内等のデッドスペースを利用することとなって、コネクタハウジングの嵩高には繋がらない。もって、コネクタをコンパクトにまとめることができる。
【0007】
また、ロック部が突片上に設けられているから、ロック片がロック部乗り越えて復元変形しつつロック部に係止する場合に、突片に当たってこれを振動させつつ係止し、その結果大きな係止音が発する。レバーがロックされたことを係止音で確認する場合に好適となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
この実施形態では、図1及び図2に示すように、互いに嵌合される雄側のコネクタハウジング10(以下、雄ハウジングという)と、雌側のコネクタハウジング20(以下、雌ハウジングという)とを有するとともに、これらを嵌合操作するためのレバー30が雄ハウジング10に備えられている。
なお以下では、それぞれのハウジング10,20について嵌合面側を前面として説明する。
【0009】
雄ハウジング10は合成樹脂製であって、本体部11の前面にフード部12が形成された形状となっており、本体部11に形成されたキャビティ内に雄側端子金具(図示せず)が後面側から挿入され、それぞれのタブをフード部12内に突出させた状態で収容されている。
フード部12内には、ムービングプレート14が前後方向の摺動可能に装着され、このムービングプレート14は、その奥壁に開口された保持孔15に雄側端子金具のタブを貫通させることにより、相手の雌ハウジング20との嵌合時においてタブを真直姿勢に保持する機能を果たしている。なお、図2ないし図6では、ムービングプレート14は簡略化して図示されている。
【0010】
雌ハウジング20は同じく合成樹脂製であって、上記の雄ハウジング10のフード部12内に装着されたムービングプレート14の内側に嵌合可能なブロック状に形成されている。この雌ハウジング20に形成されたキャビティ21内には、雌側端子金具(図示せず)が後面側から挿入されて収容されている。
なお詳細には、雌ハウジング20は、その一部に大型の雌側端子金具が直接に挿入されるキャビティ21が形成される一方、他部には、小型の雌側端子金具が挿入された別体のサブハウジング22を収容可能な収容孔23が形成され、一部分割のハイブリッド形式となっている。上記の雄ハウジング10についても、同様に一部分割のハイブリッド形式となっている。
【0011】
雄ハウジング10にはレバー30が装着されている。レバー30は同じく合成樹脂製であって、幅広の一対のアーム部31の基端同士の間に操作部32が渡された門形形状に形成されており、雄ハウジング10の左右の側面を跨ぐようにして装着可能とされている。両アーム部31の中央部には軸孔33が開口されており、これらの軸孔33がフード部12の左右の側面に立てられた軸16に嵌合されることで、図2に示す始端位置と、図6に示す終端位置との間で回動可能に支持されている。
【0012】
レバー30の両アーム部31には、その先端側で軸孔33を挟んだ一側にカム溝34が形成されている。このカム溝34は所定の曲線形状に形成され、その入口35がアーム部31の先端縁に開口している。
一方、雌ハウジング20の左右の側面には、上記したカム溝34に嵌合可能なフォロワピン25が突設されている。また、雄ハウジング10のフード部12の左右の面、並びにムービングプレート14の左右の面には、フォロワピン25が進入可能な前後方向の進入溝17A,17Bが切られている。
【0013】
レバー30の両アーム部31におけるカム溝34の形成位置と反対側の先端側には、撓み変形可能な片持ち状の仮係止片37が形成されている。一方、フード部12の左右の側面には、前縁に開口した前後方向のガイド溝18が形成され、図2に示すように、このガイド溝18に仮係止片37が弾性的に嵌まることで、レバー30が始端位置に回り止めされて仮保持されるようになっている。レバー30が始端位置にある状態では、カム溝34の入口35が、進入溝17A,17Bと整合して前方に開口している。
また、雌ハウジング20の左右両面には、上記のガイド溝18内に進入可能なリブ27が形成され、このリブ27の進入に伴って仮係止片37が強制的に撓み変形されつつガイド溝18の外側に抜け、アーム部31すなわちレバー30の回動が許容されるようになっている。なお、ムービングプレート14の左右両側面には、リブ27の逃がし溝19が形成されている。
【0014】
レバー30の操作部32における横幅方向の中央部には、レバー30を終端位置においてロックすべくレバー側ロック機構部40が設けられている。このロック機構部40の詳細を、図1及び図2に示すように、レバー30が始端位置にある状態で説明すると以下のようである。このロック機構部40では、前方に突出した左右一対の保護壁47が設けられて、その奥側の下部同士の間にわたって基部41が形成され、また奥側の上部同士の間にわたって指当部42が形成されている。
上記の基部41の後縁からは、前方の斜め上方に突出するように撓み変形可能なロック片43が形成されている。ロック片43にはロック溝44が切られているとともに、先端にはロック解除の操作用の解除片45が形成されている。
【0015】
一方、雌ハウジング20の上面の後縁側における横幅方向の中央部には、上記のレバー側ロック機構部40と係合可能なハウジング側ロック機構部50が設けられている。このロック機構部50では、ロック突部51の形成用の突片52が設けられており、この突片52は、図3にも示すように、後方に向けて次第に幅を狭くしつつ所定寸法突出したのち、厚肉となって鈎状に立ち上がっており、この立ち上がり部分の後面が傾斜した当接面53となっている。当接面53の左右両側縁には一対のガイド壁54が立てられており、このガイド壁54は、上記したレバー側ロック機構部40の保護壁47の内側に進入可能で、また、ガイド壁54の内側にロック片43が進入可能となっている。
上記の当接面53には、レバー30側のロック片43のロック溝44内に嵌合可能なロック突部51が形成されており、このロック突部51の下面側が、当接面53に対してほぼ垂直な係止面51Aで、一方上面側が斜めのガイド面51Bとなっている。
【0016】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
図2に示すように、ムービングプレート14を雄ハウジング10のフード部12内の前端側に装着するとともに、レバー30を始端位置に保持した状態において、同図の矢線に示すように、雄ハウジング10のフード部12内のムービングプレート14内に雌ハウジング20を嵌合する。初めに嵌合された状態では、図4に示すように、雌ハウジング20のフォロワピン25が進入溝17A,17Bに進入しつつ、カム溝34の入口35に臨む。また、仮係止片37によるレバー30の仮保持が解除される。
【0017】
この状態から、操作部32に指を掛けて、レバー30を同図の反時計回り方向、すなわち雌ハウジング20側に押し出すように回動すると、フォロワピン25が入口35からカム溝34の始端部に入り込み、図5の鎖線に示すように、フォロワピン25がカム溝34内を移動しつつ両者間のカム機能によって、雌ハウジング20はムービングプレート14ともども雄ハウジング10のフード部12内に次第に引き込まれる。
【0018】
さらにレバー30が回動されて、ムービングプレート14を挟んで両ハウジング10,20が正規嵌合する手前に至ると、図5の実線に示すように、ロック片43がガイド壁54で案内されつつ当接面53上を摺接し、ロック突部51のガイド面51Bに撓み変形して乗り上げる。さらに、レバー30が回動されて両ハウジング10,20が正規嵌合されると、ロック片43のロック溝44がロック突部51の位置に達することで、図6に示すように、ロック片43が復元変形しつつロック突部51がロック溝44内に嵌まり、ロック溝44の端縁がロック突部51の係止面51Aにより係止される。これにより、レバー30が戻り不能にロックされ、それに伴い両ハウジング10,20が正規の嵌合状態にロックされる。
【0019】
なお、両ハウジング10,20を離脱させる場合は、図6の状態から、指当部42との間で解除片45を摘むことでロック片43を強制的に撓み変形させると、ロック突部51がロック溝44から抜けてロックが解除されるから、引き続いてレバー30を同図の時計回り方向に回動させることによって、カム溝34とフォロワピン25との間のカム機能を介して、両ハウジング10,20を離脱させることができる。
【0020】
以上説明したように本実施形態によれば、押しタイプのレバー30をロックすべく、レバー30と相手の雌ハウジング20の間にロック機構を設けるに当たり、雌ハウジング20側に固定的なロック突部51を、レバー30側に撓み変形するロック片43を設けている。すなわち、雌ハウジング20側に固定的なロック突部51を設けたことで、少なくとも撓み変形を許容すべく逃がし空間を設けることが不要にできるから、雌ハウジング20が嵩高となることが最小限に抑えられる。それに対してレバー30側にロック片43を設けたことで、その撓み変形を許容する逃がし空間が必要とはなるが、レバー30側に逃がし空間を設ける場合は、強度等の関係で当然に必要とされる操作部32の厚さ寸法内、すなわちデッドスペースを利用して設けることが可能であり、雄ハウジング10側の嵩高には繋がらない。もって、全体としてコネクタをコンパクトにまとめることができる。
【0021】
また、ロックが掛かる際には、ロック溝44にロック突部51を嵌めつつロック片43が復元弾性力で突片52の当接面53に打ち付けられることになるが、突片52であるが故に、ロック片43が打ち付けられた場合に、振動を伴って大きな係止音が発する。したがって、レバー30がロックされたことを係止音で確認する場合に、はっきりと判って好適となる。
【0022】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、ムービングプレートを備えていないレバー式コネクタにも適用可能である。
(2)コネクタハウジングは、別体のサブハウジングを挿入する分割型ではなく、直接にキャビティを形成した通常のものであってもよい。
(3)レバーを装着するハウジングとフォロワピンを設けるハウジングは、形状等によっては上記実施形態とは雌雄反対としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る両ハウジングの嵌合前の状態の斜視図
【図2】その一部切欠側面図
【図3】両ハウジングの嵌合初期状態における平面図
【図4】その一部切欠側面図
【図5】レバーが終端位置の手前まで回動された状態の一部切欠側面図
【図6】レバーが終端位置まで回動された状態の一部切欠側面図
【図7】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…雄ハウジング(一方のコネクタハウジング)
16…軸
20…雌ハウジング(他方のコネクタハウジング)
25…フォロワピン(フォロワ部)
30…レバー
32…操作部
33…軸孔
34…カム溝(カム部)
40…レバー側ロック機構部
43…ロック片
44…ロック溝
50…ハウジング側ロック機構部
51…ロック突部(ロック部)
52…突片

Claims (1)

  1. 互いに嵌合される一対のコネクタハウジングのうちの一方のコネクタハウジングには、カム部を有するレバーが回動可能に軸支されるとともに、他方のコネクタハウジングには前記カム部と係合可能なフォロワ部が設けられ、前記レバーの回動操作により前記両コネクタハウジングが嵌合されるようにしたレバー式コネクタにおいて、
    前記レバーが、前記一方のコネクタハウジング側から他方のコネクタハウジング側に向けて押し出すように回動されることで前記両コネクタハウジングが嵌合されるようになっていて、前記レバーに弾性変形可能なロック片が、前記他方のコネクタハウジングに前記レバーが正規位置まで回動されたところで前記ロック片に係止可能なロック部がそれぞれ設けられているとともに、
    前記他方のコネクタハウジングの外壁を後方に延長させて片持ち状の突片が形成され、かつこの突片は基端部が薄肉でその先が厚肉とされ、この突片の自由端側に前記ロック部が設けられており、前記ロック片が復元弾性力で前記突片の自由端側に当たりつつ前記ロック部に係止した場合に前記突片が振動する構成となっていることを特徴とするレバー式コネクタ。
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