JP4075333B2 - レバー式コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レバー式コネクタとしては特開平9−120862に開示されているようなものが知られている。図5及び図6に示すように、レバー8は雌コネクタ3のハウジング6を跨ぐようにコの字型に配され、軸孔12が嵌合する支持軸7を中心に回動可能となっている。一対の脚部9の内面側には雄コネクタ1のカムピン2を案内可能なカム溝11が凹設され、動作領域11Aと遊び領域11Bとから成っている。
【0003】
両コネクタを嵌合する場合、カムピン2をカム溝11の始端に嵌め入れた後レバー8を回動させるとカムピン2がカム溝11に案内されつつ支持軸7付近へ引き寄せられる。このカムピン2はまずカム溝11の始端から両コネクタが正規に嵌合される角度位置までの動作領域11Aを摺動し、その終端にカムピン2が至ると両コネクタは正規に嵌合される。その後、動作領域11Aの後からカム溝11の終端までの遊び領域11Bではレバー8のみが回転しつつロック片10がロック受け部5と引っ掛かるとレバー8の回動が規制されて両コネクタが抜け止めされるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した動作領域11Aの間では両コネクタ同士の嵌合と端子金具同士の接続が進行する。このとき、両コネクタ内に収容された端子同士の接続に伴う摩擦力及びコネクタ同士の嵌まり合いに伴う摩擦力が徐々に増大し、動作領域11Aの終期でこれらの摩擦力がピークを迎えるため、レバー8の操作力も同様にピークを迎えることとなる。そして、動作領域11Aが終わればこれらの摩擦力が作用しないため、操作力はこの時点以降は急激に低下し、後はロック片10とロック受け部5との係止に必要な操作力のみが要求される。しかし、これらの係止に必要な力は動作領域11Aでの操作力に比較して小さいため、動作領域11Aを通過直後のレバー8の勢いで、そのままロック片10をロック受け部5に係止させることができてしまう。このため、レバー8の係止時の操作フィーリングが悪く、作業者にロックをかけたとの認識を持たせにくいものであった。
【0005】
このような問題を解決するにはロック片10とロック受け部5の係止力を強くしてロック時の操作力をアップさせるという方法が考えられるが、そうすると逆にロックを外す場合に強い操作力が必要となり外しにくくなってしまうため、この方法は実施し難く問題の解決は困難なものとなっていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作業者がレバー係止時にロックをかけたとの認識を得やすいコネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一方のコネクタハウジングにはカムピンが突設され、他方のコネクタハウジングにはレバーが回動操作可能に取り付けられるとともに、このレバーには同レバーの回動操作に伴って前記カムピンを誘導することで前記両コネクタハウジングを嵌合状態とするカム溝が形成されてなり、かつこのカム溝は始端位置から所定角度位置までは前記両コネクタハウジングを正規嵌合状態に至らしめる動作領域となり、この動作領域後、終端位置に至るまでの範囲は前記コネクタハウジング同士の嵌合を進行させることなくレバーの回動操作のみを可能にし前記両コネクタハウジングのうちのいずれかに設けられたロック機構への係止を可能にする位置へ前記レバーを至らしめる遊び領域となっているレバー式コネクタであって、前記レバーが前記遊び領域に入った後に、前記レバーと摺接することでレバーの操作力に対して摺接に伴う抵抗を加算する抵抗付与部が設けられ、かつこの抵抗付与部は、前記カム溝の開口縁の所定位置に内向きに突出する突起であり、かつこの突起は、前記動作領域を経た直後における前記レバーの操作力を一旦低下させるが、前記ロック機構の係止の際に生じる抵抗に前記カムピンが前記突起を乗り越える際に生じる抵抗を加算させるようにすることで、前記遊び領域の途中位置においても前記操作力のピークが生じる構成となっているところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
両コネクタハウジングの嵌合にあたり、カムピンをカム溝の始端に導いた状態で、レバーの回動操作を行うと、カムピンがカム溝に沿って誘導される。そして、カムピンがカム溝の動作領域の終わりの位置に至ると、両コネクタハウジングは嵌合が完了する。その後も、さらにレバーを回動操作すると、カムピンはカム溝の遊び領域を変位する。この間に、レバーは抵抗付与部と摺接するため、レバーには通常の操作力に対してさらにこの抵抗分が加算される。即ち、遊び領域での抵抗分はレバーをロック機構へロックさせる抵抗分とレバーが抵抗付与部を摺接する抵抗分が合算されたものとなり、遊び領域ではこれらを上回る操作力が必要となる。よって抵抗付与部が設けられることにより動作領域で必要な操作力と遊び領域で必要な操作力との差が縮まるため、動作領域を通過した慣性力によりそのままレバーをロック機構へロックさせる事態が緩和され、ロックの際の操作フィーリングが向上すると共に作業者はロックをかけたとの認識を得やすくなる。
また、カム溝の開口縁に突起を設けるだけの簡単な構成で抵抗付与部を設定することができるため、既存構造の僅かな変更ですむ。また、レバーの回動中心に近いところに突起が形成されるため、抵抗付与のタイミング設定が容易となる利点も得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図4によって説明する。図1には互いに嵌合可能な雄コネクタハウジング20(一方のコネクタハウジング)と、雌コネクタハウジング25(他方のコネクタハウジング)を示す。雄コネクタハウジング20から説明すると、内部には複数の雄端子金具21が収容され、その周囲を覆うようにフード部22が配されている。フード部22は前方が開口した状態で形成され、その両外側面には一対のカムピン23が突出形成されている。
【0012】
次に雌コネクタハウジング25はハウジング26とカバー28及びレバー30により構成されている。詳しくは図示しないが、ハウジング26は内部に複数の雌端子金具を収容可能な収容部が形成され、雄コネクタハウジング20のフード部22が嵌め合わされると雌雄の端子金具が接続可能となっている。
【0013】
ハウジング26の後面にはカバー28が装着され後面から延出している電線(図示せず)を一方向に束ねる役目を果たしている。このカバー28にはレバー30とのロックを行うロック受け部29(ロック機構)が形成されている。ロック受け部29はカバー28の上面に鈎状に形成され、両コネクタハウジングが嵌合された状態でレバー30をロック可能となっている。
【0014】
また、ハウジング26の両側面には一対の支持軸27が突出し、レバー30を取付けている。なお、カバー28はハウジング26から取外し可能となっている。
【0015】
このレバー30は一対の脚部33とそれらを連結する操作部31とからなり、ハウジング26を跨ぐようにコの字型に形成されている。脚部33の側方には軸孔34が開口しており、ハウジング26の支持軸27に嵌まりこの支持軸27を中心にレバー30を回動可能に装着している。操作部31の長さ方向中央部分にはロック部32が弾性的に撓み可能に設けられ、かつ前記したロック受け部29と係止可能な鈎状で形成されている。
【0016】
また、図2及び図3に示すように脚部33の内面側にはカム溝35が凹設され、カムピン23を嵌め入れ案内可能としている。またカム溝35は軸孔34の形成側とは反対の側縁から軸孔34に近づくようなほぼ円弧形状にて形成され、始端35Aからカムピン23を受け入れるようになっている。そのため詳しくは図示しないが、レバー30には両コネクタハウジングの嵌合前においてレバー30を所定の位置に保持するレバー保持機構が設けられ、両コネクタハウジングを嵌め合わせる操作に伴ってカム溝35の始端35Aがカムピン23をそのまま受け入れることができるように始端35Aを保持するようになっている。
【0017】
図3に示すようにカム溝35の始端35Aから両コネクタハウジングが正規(雌雄の端子金具同士の接続が完了した状態)に嵌合される角度位置までは動作領域36となり、その後からカム溝35の終端に至る角度位置までは遊び領域37となっている。この遊び領域37は軸孔34の中心からの距離が一定の領域となっている。即ち、カムピン23が動作領域36を摺動している間は両コネクタハウジングの嵌合操作が進み、動作領域36の終期において正規の嵌合位置に至る。その後の遊び領域37は両コネクタハウジングの嵌合を停止させたままレバー30が空転し、ロック部32とロック受け部29とのロックのみが行われる領域となっている。
【0018】
遊び領域37の始端でカム溝35の外周面側には、突起38が内方へ向けて突出形成されている。これによりカム溝35の溝幅が狭くなり、カムピン23がここを通過する際にレバー30に対して摩擦抵抗を付与できるようになっている。
【0019】
よって本実施形態によれば、両コネクタハウジングを嵌合するには、雄コネクタハウジング20のカムピン23を雌コネクタハウジング25のカム溝35の始端35Aに適合させる。この状態でレバー30をハウジング26の後方側へ向けて回動すると、カムピン23はカム溝35の外周面側に当接しつつ動作領域36を摺動すると共に両コネクタハウジングは互いに引き寄せられるように嵌合が進む。カムピン23が動作領域36の終点に至ると両コネクタハウジングは正規に嵌合される。
【0020】
さらにレバー30を回動すると遊び領域37には突起38が形成されているためカムピン23がこれを乗り越えて遊び領域37の終端へ至り、それと同時にロック部32が下方へ撓みロック受け部29と係止するとレバー30がロックされてレバー30の回動が規制され両コネクタハウジングの嵌合作業が完了する。
【0021】
ここで、レバー30の操作力について説明すると、動作領域36では、両コネクタハウジングの嵌まり合いの摩擦力や端子金具同士の接続時の摩擦力が作用することで、その操作力40は動作領域36の始端35Aから徐々に増加し、動作領域36の終期においてピークに達する。またこの後の遊び領域37では前記したような摩擦力は作用しないため動作領域36に比べると必要な操作力は減少する。しかし、突起38を設けたことでロック部32とロック受け部29の係止時の抵抗分にカムピン23が突起38を乗り越える抵抗分が加算された抵抗が作用するためこれを上回る操作力が必要となっている。したがって遊び領域37で必要な操作力43は、図4に示すようにロック部32をロック受け部29に係止させる操作力41とカムピン23が突起38を乗り越える時に必要な操作力42を合算したものとなる。
【0022】
よって、従来と比べて動作領域36でのレバー30の操作力40と遊び領域37でのレバー30の操作力43との差が減少するため、動作領域36を摺動した勢いでそのまま遊び領域37にレバー30を回動させてレバー30のロックが行われるような事態が緩和され、作業者はレバー30のロックをかけたという認識を得やすく、また操作フィーリングも向上する。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、レバー30を雌コネクタハウジング25側に形成したが雄コネクタハウジング20側に形成しても良い。
【0024】
(2)上記下実施形態では、レバー30の回動中心に近いカム溝35に突起38が設けられているため抵抗を付与するタイミングの設定が容易になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における両コネクタハウジングの斜視図
【図2】レバーの斜視図
【図3】レバーのカム溝とカムピンの摺動過程を示す図
【図4】動作領域と遊び領域でのレバーの操作力の変化を示した図
【図5】従来例におけるレバー式コネクタの分解斜視図
【図6】カム溝にカムピンが挿入された様子を示す図
【符号の説明】
20…雄コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
23…カムピン
25…雌コネクタハウジング(他方のコネクタハウジング)
29…ロック受け部(ロック機構)
30…レバー
35…カム溝
36…動作領域
37…遊び領域
38…突起
Claims (1)
- 一方のコネクタハウジングにはカムピンが突設され、他方のコネクタハウジングにはレバーが回動操作可能に取り付けられるとともに、このレバーには同レバーの回動操作に伴って前記カムピンを誘導することで前記両コネクタハウジングを嵌合状態とするカム溝が形成されてなり、かつこのカム溝は始端位置から所定角度位置までは前記両コネクタハウジングを正規嵌合状態に至らしめる動作領域となり、この動作領域後、終端位置に至るまでの範囲は前記コネクタハウジング同士の嵌合を進行させることなくレバーの回動操作のみを可能にし前記両コネクタハウジングのうちのいずれかに設けられたロック機構への係止を可能にする位置へ前記レバーを至らしめる遊び領域となっているレバー式コネクタであって、
前記レバーが前記遊び領域に入った後に、前記レバーと摺接することでレバーの操作力に対して摺接に伴う抵抗を加算する抵抗付与部が設けられ、かつこの抵抗付与部は、前記カム溝の開口縁の所定位置に内向きに突出する突起であり、かつこの突起は、前記動作領域を経た直後における前記レバーの操作力を一旦低下させるが、前記ロック機構の係止の際に生じる抵抗に前記カムピンが前記突起を乗り越える際に生じる抵抗を加算させるようにすることで、前記遊び領域の途中位置においても前記操作力のピークが生じる構成となっていることを特徴とするコネクタ。
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