JP2004259525A - レバー式コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】レバー式コネクタにおいてロック機構が確実に係止されるようにする。
【解決手段】カムピン7が動作領域29の終端に至り、両コネクタハウジング1,2が完全嵌合状態になると、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32の抵抗面35の始端に突き当たり、ここで抵抗付与アーム32が撓み変形せられるまでの間に所定の抵抗が生じる。この抵抗力はロック操作片14がロック縁15に係止するのに必要な係止力よりも大きくしてあるため、レバー3が抵抗付与アーム32を撓ませる状態に至ると、レバー3はその慣性によってロック操作片14がロック縁15に係止する位置まで一気に回動する。
【選択図】 図6
【解決手段】カムピン7が動作領域29の終端に至り、両コネクタハウジング1,2が完全嵌合状態になると、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32の抵抗面35の始端に突き当たり、ここで抵抗付与アーム32が撓み変形せられるまでの間に所定の抵抗が生じる。この抵抗力はロック操作片14がロック縁15に係止するのに必要な係止力よりも大きくしてあるため、レバー3が抵抗付与アーム32を撓ませる状態に至ると、レバー3はその慣性によってロック操作片14がロック縁15に係止する位置まで一気に回動する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレバー式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレバー式コネクタにあっては、レバーを回動させて両コネクタハウジングを完全嵌合に至らしめるとともにロック機構に係止させてレバーをこの位置に保持するようにしたものが一般的である。このようにしたものの中には、レバーのカム溝を上記した完全嵌合に必要な動作領域と、この領域に連続しレバーをロック機構に係止させるのに必要な遊び領域とから形成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。動作領域中は、両コネクタの端子金具同士の嵌合に伴う大きな摩擦抵抗が作用するため、これに打ち勝つ大きな操作力が必要であるが、完全嵌合に至った後のロック動作の間では大きな操作力が必要でないため、以後は急激に必要操作力が低下してしまう。
【0003】
したがって、作業者は必要操作力の急激な低下をレバー操作が全て完了したものと勘違いしてしまい、ロックが不完全なまま作業を終えてしまうことが懸念される。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−17190公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記に挙げた特許文献1のものは、遊び領域の入口部分に突起を設けることで、ここを通過するカムピンの抵抗とし、作業者に次の操作段階(ロックのための操作)があることを認識させるようにしている。このような構造は極めて有効なものであるが、確実に突起を乗り越えるまでレバー操作が行われる、という保証はない。突起を乗り越える際の抵抗よりもロック機構に係止する際の抵抗の方が大きければ、たとえ突起を乗り越えるまで操作したとしても、ロック機構に対しては係止途上で操作が中断されてしまう可能性を完全に否定することはできない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レバーのロック操作に完全を期すことができるレバー式コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一方のコネクタハウジングにはカムピンが突設され、他方のコネクタハウジングにはカム部と操作部とよりなるレバーが回動操作可能に取り付けられるとともに、前記カム部には前記レバーの回動操作に伴って前記カムピンを誘導することで前記両コネクタハウジングを嵌合状態とするカム溝が形成されてなり、かつこのカム溝は始端位置から所定角度位置までは前記両コネクタハウジングを正規嵌合状態に至らしめる動作領域となり、この動作領域後、終端位置に至るまでの範囲は前記コネクタハウジング同士の嵌合を進行させることなくレバーの回動操作のみを可能にし前記両コネクタハウジングのうちのいずれかに設けられたロック機構への係止を可能にする位置へ前記レバーを至らしめる遊び領域となっているレバー式コネクタであって、前記他方のコネクタハウジングには前記レバーが前記遊び領域に入る時に、前記レバーと係止する抵抗付与部が形成されるとともに、前記レバーが前記抵抗付与部との係止を強制的に解除するまでの間に生じる抵抗力は前記レバーが前記ロック機構と係止する際の抵抗よりも大に設定されることで、前記レバーが前記抵抗付与部を通過することに伴って前記ロック機構への係止を可能にしていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、抵抗付与部は、前記他方のコネクタハウジングにおける前記カム部との対向面のうちカム部の動作領域中に配されかつ先端部には前記カム部の側縁に突き当てられる突部が形成された抵抗付与アームによって形成され、かつこの抵抗付与アームは前記カム部が前記両コネクタハウジングを嵌合させるときの回動方向前方に向けて自由端側が延びる片持ち状に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、突部は、前記カム部と突き当てられたときにカム部の側縁に沿うように延びていることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1の発明によれば、両コネクタハウジングを緩く嵌合させると、カムピンがカム溝の始端側に導入される。この状態でレバーを回動操作すると、カムピンがカム溝の動作領域中を変位し、その過程で両コネクタハウジングの嵌合が進行する。そして、動作領域を通過し、遊び領域に至った時点で両コネクタハウジングの嵌合が完了する。そして、ほぼこの時点においてレバーは抵抗付与部に係止し、レバーがこの抵抗付与部との係止を強制的に解除してここを通過するまでの間に所定の抵抗を発生させる。また、このときに生じる抵抗力はレバーをロック機構に係止させるに必要な操作力を上回るように設定されているため、レバーが抵抗付与部を通過すると、レバーは一気にロック機構との係止状態にまで至る。
【0011】
したがって、請求項1の発明によれば、レバーを確実にロック機構と係止させることができる。したがって、作業者の勘違いによるロックのかけ忘れを未然に防止することができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、抵抗付与アームの延び方向はカム部の動作方向にほぼ沿うようにしてあるため、カム部が回動されるときにカム部は抵抗付与アームの突部に対し抵抗付与アームの基端方向から接近し自由端側(突部)に向けて操作力を作用させるため、抵抗付与アームの撓み変形動作を円滑に行わせることができる。
【0013】
さらに、請求項3の発明によれば、カム部の側縁と突部の係止面とは整合状態で当たり合うため、レバーの操作力を確実に突部に作用させることタができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は雌コネクタハウジング1の全体を示すものであり、同コネクタハウジング1は合成樹脂材により形成されるとともに、ここには雄コネクタハウジング2を嵌合・離脱させるためのレバー3が回動可能に装着されている。
【0015】
一方、雄コネクタハウジング2も同様に合成樹脂材にて形成されており、雌コネクタハウジング1と嵌合可能な角筒形のフード部4を備えている。フード部4の内部には図示しない雄端子金具のタブが上下に複数本ずつ並列して突出しており、雌雄両コネクタハウジング1,2が正規に嵌合すると、雌雄端子金具同士も正規状態で接続がなされる。このフード部4の上面中央部には前後方向に沿って嵌合案内用のガイド突条5が突出形成され、また、フード部4の両側面の上部寄りには、レバー3の待機状態を解除するための一対の押圧突条6が前後方向に沿って突出形成されている。さらに、フード部4の両側面において両押圧突条6の下方位置には一対のカムピン7が突出している。
【0016】
さて、雌コネクタハウジング1は端子収容部1aとこの端子収容部1aの前部外側を全周に亘って覆う外筒部1bとからなっている。端子収容部1aには上下に複数のキャビティ8が貫通して形成され、それぞれの内部には図示しない雌端子金具が後方より挿入され、抜け止めされた状態で収容されている。雌コネクタハウジング1の上面中央部には嵌合面から前後方向に沿って断面コの字状をなすガイド凹部が9所定長さ範囲に亘って設けられている。このガイド凹部9は雄コネクタハウジング2側のガイド突条5と嵌合することにより、両コネクタハウジング1,2の嵌合動作の円滑化と両コネクタハウジング1,2を上下反転して嵌合させてしまう誤嵌合防止の役割を果たす。また、両コネクタハウジング1,2の上面であって嵌合面と反対側の中央部には両コネクタハウジング1,2を正規嵌合状態に保持すべく、レバー3と係止する係止受け部10(ロック機構を構成する)が設けられている。
【0017】
すなわち、図3に示すように、雌ハウジング1の上面後縁の中央部には幅広の基部11が後方へ突出し、係止受け部10はこの基部11からさらに後方へやや幅狭となって張り出し状に設けられている。また、係止受け部10の幅方向両側縁には一対の側壁12が起立形成されている。係止受け部10における両側壁12の間の上面側は後方へ向けて下り勾配となった傾斜面13が形成されており、レバー3がロックする際にはレバー3のロック操作片14が同傾斜面13に沿って摺接した後、傾斜面13後縁のロック縁15に係止することができるようにしてある(以下、このようなレバー3の位置をロック位置という。図7状態)。
【0018】
また、雌コネクタハウジング1において外筒部1bの両側面には、外筒部1bの開口縁を含むようにして切り欠き窓部16がそれぞれ開口している。さらに、両切り欠き窓部16の後方にはレバー3を回動可能に取り付けるための軸ピン17が突出している。この軸ピン17は円柱形状に形成されるとともに、その先端にはレバー3の外れ規制を行うための一対の張り出し突部18が直径方向に沿って突出形成されている。
【0019】
レバー3は一対のカム部19とこれらを連結するための操作部20とからなり、雌コネクタハウジング1を跨ぐことができるコの字型に形成されている。両カム部19には軸孔21が貫通している。軸ピン17の両張り出し突部18に対応した位置には逃がし部22が形成されており、レバー3装着の際には逃がし部22と張り出し突部18とを整合させることにより、軸ピン17と軸孔21とを嵌め込んでレバー3を軸ピン17周りに回動可能としている。
【0020】
また、レバー3の操作部20の中央には図8に示すように、前記したロック縁15に係止可能な爪部23を両端部寄りの位置に有したロック操作片14が設けられている。このロック操作片14の幅方向両側には一対の保護壁24が突設されており、ロック操作片14を保護するとともに、ロック縁15と係止しているときにロック操作片14に外力が作用して係止状態が不用意に解除されてしまわないようにしている。ロック操作片14は操作部20から二本の接続片25によって連結されていて、自然状態では操作部20の対向面とほぼ平行をなすようにしてあるが、先端側への押圧操作によって操作部20に接近する方向へ撓み変形し、爪部23とロック縁15との係止を解除できるようになっている。
【0021】
一方、カム部19の内面にはカム溝26が凹設され、カムピン7を嵌め入れ案内可能としている。カム溝26は軸孔21が形成されている側と反対側の側縁から始まり、そこから徐々に軸孔21に近づくようなほぼ円弧形状にて形成され、始端からカムピン7を受け入れるようになっている。そのため、詳しくは図示しないが、レバー3には両コネクタハウジング1,2の嵌合前においてカム溝26の始端を雄コネクタハウジング2に向けて水平に開口する位置で保持するためのレバー保持機構が設けられ、両コネクタハウジング1,2を嵌め合わせる操作に伴ってそのままカムピン7がカム溝26の始端へ受け入れられるようにしている(以下、このようなレバー3の位置を待機位置という。図5状態)。なお、レバー3が待機位置にあるときには、カム溝26は外筒部1bの切り欠き窓部16と連通する状態で位置している。
【0022】
レバー保持機構は両カム部19において操作部20寄りに配された弾性保持片27よりなる。弾性保持片27は軸ピン17に近い側を基端とし操作部20に近い側が自由端となった片持ち状に形成され、外方への撓み変形が可能となっている。また、弾性保持片27の先端部内面には係止突起28が形成され、レバー3が上記した待機位置にあるときに、係止突起28は外筒部1bにおける切り欠き窓部16の上縁に係止し、これによってレバー3を待機位置に保持することができる。さらに、係止突起28が切り欠き窓部16に係止している状態で、雌雄のコネクタハウジング1,2同士が嵌合すると、この嵌合動作に伴って係止突起28は押圧突条6によって外方へ押し出され、切り欠き窓部16側との係止を解除してレバー3操作を可能ならしめるようにしてある。
【0023】
ところで、カム溝26において、始端から両コネクタハウジング1,2が正規に嵌合(雌雄の端子金具同士の接続が完了した状態)される角度位置までが動作領域29であり、これより終端に至る角度位置までが遊び領域30とされている。この遊び領域30は軸孔21の中心からの距離が一定であり、軸孔21と同心の円弧をなすように形成されている。すなわち、カムピン7が動作領域29を変位している間は両コネクタハウジング1,2の嵌合動作が進行し、動作領域29の終端である遊び領域30との境界部分に至ると、両コネクタハウジング1,2は正規嵌合状態となる。但し、このときにはレバー3とロック機構、つまりロック操作片14と係止受け部10との位置関係は、ロック操作片14が係止受け部10の上方においてやや離間した位置にある(図6参照)。
【0024】
一方、遊び領域30内では両コネクタハウジング1,2の嵌合を進行させることなく、レバー3は空転し、レバー3と係止受け部10とのロック動作のみが行われる。そして、上記動作領域29を経てこの遊び領域30にさしかかったときに、レバー3の側縁31は抵抗付与部としての抵抗付与アーム32と係止するようになっている。
【0025】
抵抗付与アーム32は雌コネクタハウジング1の後部両側面の上部にそれぞれ配されている。抵抗付与アーム32は、雌コネクタハウジング1の後縁から高さ方向に二条のスリットを前方へ向けて切り込むことによって、両スリット間に切り出されて形成され(つまり、周辺と面一をなしている)、後端側を自由端とする片持ち状に形成されており、いる。このように、両抵抗付与アーム32は雌コネクタハウジング1の前後方向に沿うようにして配されているが、この方向はレバー3を嵌合方向に回動操作したときに、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32と係止する部分の移動方向にほぼ沿う方向であるから、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32の先端に設けられた突部33と係止した後の撓み動作の際に、ねじれ等を生じにくくしている。
【0026】
但し、両抵抗付与アーム32が形成されている部分の壁面の内側には肉抜き空間34が設けられていることから、抵抗付与アーム32は共にこの肉抜き空間34側へ撓み変形を行うことができるようになっている。
【0027】
抵抗付与アーム32の先端に配された突部33は雌コネクタハウジング1の外筒部1bの外面から突出し、レバー3の側縁31に対し充分な掛かり代が得られるようになっている。突部33における基端側の面は比較的急な登り勾配をなす抵抗面35としてある。また、この抵抗面35の始端縁はレバー3の側縁31と係止したときに、同側縁31と整合し、つまり同縁31に沿うような勾配をもって延びている。そして、レバー3の側縁31が抵抗面35の始端縁に整合して突き当てられると、ここでレバー3は一旦踏みとどまるため、抵抗付与アーム32が撓み変形を開始するまでの間に、所定の抵抗力が発生する。この抵抗力はロック操作片14がロック縁15に係止する間の抵抗力よりも充分に大きく設定されている。
【0028】
なお、レバー3の側縁31が抵抗面35へ乗り上げてゆくときの抵抗力は、抵抗付与アーム32の長さ及び抵抗面35の傾斜角度等によって定まる。図示のように、抵抗付与アーム32が比較的短い場合には、抵抗面35にある程度の勾配が設けられるが、抵抗付与アーム32が比較的長く確保できる、あるいは薄肉である等抵抗付与アーム32の撓み剛性が比較的低いような場合には、抵抗面35の始端縁をほぼ直角に切り立たせる等することで、抵抗力の設定は比較的容易である。
【0029】
かくして、レバー3に所定の操作力が加えられた結果、抵抗付与アーム32を撓ませつつレバー3の側縁31が抵抗面35へ乗り上げることとができれば、レバー5は突部33の頂点を乗り越え、ロック操作片14がロック縁15に係止する位置(ロック位置)まで一気に回動する。この位置に至った状態では、抵抗付与アーム32はカム部19の内面に撓み状態で当接しているが、カム部19の内面に抵抗付与アーム32の逃がし用の凹部あるいは窓部を開口させておき、レバー3がロック位置にあるときに抵抗付与アーム32を自然状態に復帰させるようにすることも可能である。
【0030】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。雌雄両コネクタハウジング1,2を嵌合する場合には、まず両コネクタハウジング1,2を緩く嵌合させ、カムピン7をカム溝26の始端に導入しておく。上記した両コネクタハウジング1,2の緩やかな嵌合の際に、両押圧突条6が弾性保持片27の係止突起28を押して弾性保持片27を外方へ押しやるため、係止突起28と切り欠き窓部16の開口縁との係止が解かれる。これによって、レバー3の待機位置における保持状態が解除されるため、引き続いてレバー3を後方へ回動操作すれば、カムピン7はカム溝26の動作領域を進行し、これに伴って両コネクタハウジング1,2は互いに引き寄せられるようにして相互の嵌合が進む。そして、カムピン7が動作領域の終点に至ると、両コネクタハウジング1,2は正規に嵌合し、図示しない雌雄の端子金具同士が正規の接続状態となる(図6状態)。
【0031】
このとき、カムピン7はカム溝26の動作領域29と遊び領域30の境界にあると共に、レバー3の側縁31は抵抗付与アーム32における突部33の抵抗面35の始端と整合して位置している。この状態からさらにレバー3の回動操作がなされると、カムピン7は遊び領域30内を移動する。遊び領域30では、雌雄のコネクタハウジング1,2同士の嵌合をこれ以上には進行させず、レバー3の回動動作のみがなされる。遊び領域30での変位にあたり、まずレバー3の側縁31が突部33の抵抗面35の始端縁に沿った状態で突き当てられる。この突き当たりによって、レバー3の回動動作は一旦踏み留められる。
【0032】
ところで、カムピン7が動作領域29を進行する間は、雌雄端子金具同士の嵌合に伴う大きな摩擦抵抗により、レバー3の回動操作には大きな操作力が必要となる。しかし、カムピン7が遊び領域30に達して完全嵌合の状態となった後は、もはや端子金具同士の摩擦力は作用しないため、従来のレバー式コネクタの中にはこのときの急激な操作力の低下をもたらし、コネクタの嵌合作業が完了してしまったかの如き誤解を生じさせるものもあったが、本実施形態ではレバー3と抵抗付与アーム32の突部33との突き当たりによって直ちに抵抗が生じるため、作業者は次の操作段階、具体的にはレバーロックのための操作が残されていることを感得する。
【0033】
しかも、このときに生じる抵抗力は前述したように、ロック操作片14がロック縁15に係止するときの抵抗力よりも充分に大きく設定されているため、レバー3にこの抵抗力を上回る操作力を加えて回動させれば、抵抗付与アーム32はついには内側へ撓み、レバー3のさらなる回動を許容してロック操作片14とロック縁15とが係止する位置にまで一気に至らしめる。かくして、レバー3はロック位置に至り、ロック状態が確実に達成される。
なお、コネクタハウジング1,2同士を離間させる場合には、ロック操作片14を押圧操作して、ロック縁15との係止を解いてやれば、後はレバー3を上記とは逆方向に回動させることによって、両コネクタハウジング1,2を容易に離間させることができる。この場合、抵抗付与アーム32はカム部19の内側に撓んだままの状態であるため、つまり自然状態に弾性復帰させてレバー3側に係止させるような形式を採用しなかったため、抵抗付与アーム32の係止を解除する操作が不要となる分、コネクタハウジング1、2同士の離間操作が容易になる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロック操作片14とロック縁15とを係止させる前に、レバー3の側縁31と抵抗付与アーム32との間にロックに必要な係止力を上回る抵抗力を生じさせるようにしたから、レバー3が抵抗付与アーム32の突部33を通過した勢い(慣性)によってロック操作片14をロック縁15に対し係止状態に至らしめることができる。したがって、レバー3が不完全なロック状態のまま放置されることがないため、コネクタの嵌合状態の信頼性を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態では抵抗付与アーム32の延び方向がレバー3の側縁31の進行方向に概ね沿っているため、レバー3からの力を受けて抵抗付与アーム32が撓み変形する際に、ねじれを生じにくい。また、抵抗面35の始端縁がレバー3の側縁と突き当たったときに、同縁に沿うように形成されているため、抵抗付与アーム32にレバー3からの力を確実に作用させることができる、という利点もある。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0037】
(1)抵抗付与部は本実施形態の抵抗付与アーム32のように、弾性片によるものばかりでなく、単なる突起であってもよく、突起を通過する際にロックに必要な係止力を上回る抵抗を生じさせるようなものであれば、形態を問わない。
【0038】
(2)本実施形態では、レバー3の側縁31と抵抗付与アーム32の突部33との突き当てによって抵抗を生じさせていたが、場所は問わない。例えば、レバー3の内面であってもよく、その他カム溝26の途中に抵抗付与部を設定することも可能である。
【0039】
(3)本実施形態では、ロック機構をレバー3が取り付けられているコネクタハウジング1側に設定したが、嵌合相手となる相手側コネクタハウジングに設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】雌コネクタハウジングの斜視図
【図2】同背面図
【図3】レバーを取り外した状態での雌コネクタハウジングの平面図
【図4】レバーを取り外した状態の側面図
【図5】雌雄コネクタハウジングの嵌合初期の状態を示す一部破断図
【図6】雌雄コネクタハウジングの完全嵌合状態(抵抗発生時)を示す一部破断図
【図7】レバーのロック状態を示す一部破断図
【図8】レバーのロック部分を拡大して示す断面図
【符号の説明】
1…雌コネクタハウジング
2…雄コネクタハウジング
3…レバー
7…カムピン
14…ロック操作片(ロック機構)
15…ロック縁(ロック機構)
19…カム部
26…カム溝
29…動作領域
30…遊び領域
32…抵抗付与アーム(抵抗付与部)
33…突部
35…抵抗面
【発明の属する技術分野】
本発明はレバー式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレバー式コネクタにあっては、レバーを回動させて両コネクタハウジングを完全嵌合に至らしめるとともにロック機構に係止させてレバーをこの位置に保持するようにしたものが一般的である。このようにしたものの中には、レバーのカム溝を上記した完全嵌合に必要な動作領域と、この領域に連続しレバーをロック機構に係止させるのに必要な遊び領域とから形成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。動作領域中は、両コネクタの端子金具同士の嵌合に伴う大きな摩擦抵抗が作用するため、これに打ち勝つ大きな操作力が必要であるが、完全嵌合に至った後のロック動作の間では大きな操作力が必要でないため、以後は急激に必要操作力が低下してしまう。
【0003】
したがって、作業者は必要操作力の急激な低下をレバー操作が全て完了したものと勘違いしてしまい、ロックが不完全なまま作業を終えてしまうことが懸念される。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−17190公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記に挙げた特許文献1のものは、遊び領域の入口部分に突起を設けることで、ここを通過するカムピンの抵抗とし、作業者に次の操作段階(ロックのための操作)があることを認識させるようにしている。このような構造は極めて有効なものであるが、確実に突起を乗り越えるまでレバー操作が行われる、という保証はない。突起を乗り越える際の抵抗よりもロック機構に係止する際の抵抗の方が大きければ、たとえ突起を乗り越えるまで操作したとしても、ロック機構に対しては係止途上で操作が中断されてしまう可能性を完全に否定することはできない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レバーのロック操作に完全を期すことができるレバー式コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一方のコネクタハウジングにはカムピンが突設され、他方のコネクタハウジングにはカム部と操作部とよりなるレバーが回動操作可能に取り付けられるとともに、前記カム部には前記レバーの回動操作に伴って前記カムピンを誘導することで前記両コネクタハウジングを嵌合状態とするカム溝が形成されてなり、かつこのカム溝は始端位置から所定角度位置までは前記両コネクタハウジングを正規嵌合状態に至らしめる動作領域となり、この動作領域後、終端位置に至るまでの範囲は前記コネクタハウジング同士の嵌合を進行させることなくレバーの回動操作のみを可能にし前記両コネクタハウジングのうちのいずれかに設けられたロック機構への係止を可能にする位置へ前記レバーを至らしめる遊び領域となっているレバー式コネクタであって、前記他方のコネクタハウジングには前記レバーが前記遊び領域に入る時に、前記レバーと係止する抵抗付与部が形成されるとともに、前記レバーが前記抵抗付与部との係止を強制的に解除するまでの間に生じる抵抗力は前記レバーが前記ロック機構と係止する際の抵抗よりも大に設定されることで、前記レバーが前記抵抗付与部を通過することに伴って前記ロック機構への係止を可能にしていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、抵抗付与部は、前記他方のコネクタハウジングにおける前記カム部との対向面のうちカム部の動作領域中に配されかつ先端部には前記カム部の側縁に突き当てられる突部が形成された抵抗付与アームによって形成され、かつこの抵抗付与アームは前記カム部が前記両コネクタハウジングを嵌合させるときの回動方向前方に向けて自由端側が延びる片持ち状に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、突部は、前記カム部と突き当てられたときにカム部の側縁に沿うように延びていることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1の発明によれば、両コネクタハウジングを緩く嵌合させると、カムピンがカム溝の始端側に導入される。この状態でレバーを回動操作すると、カムピンがカム溝の動作領域中を変位し、その過程で両コネクタハウジングの嵌合が進行する。そして、動作領域を通過し、遊び領域に至った時点で両コネクタハウジングの嵌合が完了する。そして、ほぼこの時点においてレバーは抵抗付与部に係止し、レバーがこの抵抗付与部との係止を強制的に解除してここを通過するまでの間に所定の抵抗を発生させる。また、このときに生じる抵抗力はレバーをロック機構に係止させるに必要な操作力を上回るように設定されているため、レバーが抵抗付与部を通過すると、レバーは一気にロック機構との係止状態にまで至る。
【0011】
したがって、請求項1の発明によれば、レバーを確実にロック機構と係止させることができる。したがって、作業者の勘違いによるロックのかけ忘れを未然に防止することができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、抵抗付与アームの延び方向はカム部の動作方向にほぼ沿うようにしてあるため、カム部が回動されるときにカム部は抵抗付与アームの突部に対し抵抗付与アームの基端方向から接近し自由端側(突部)に向けて操作力を作用させるため、抵抗付与アームの撓み変形動作を円滑に行わせることができる。
【0013】
さらに、請求項3の発明によれば、カム部の側縁と突部の係止面とは整合状態で当たり合うため、レバーの操作力を確実に突部に作用させることタができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は雌コネクタハウジング1の全体を示すものであり、同コネクタハウジング1は合成樹脂材により形成されるとともに、ここには雄コネクタハウジング2を嵌合・離脱させるためのレバー3が回動可能に装着されている。
【0015】
一方、雄コネクタハウジング2も同様に合成樹脂材にて形成されており、雌コネクタハウジング1と嵌合可能な角筒形のフード部4を備えている。フード部4の内部には図示しない雄端子金具のタブが上下に複数本ずつ並列して突出しており、雌雄両コネクタハウジング1,2が正規に嵌合すると、雌雄端子金具同士も正規状態で接続がなされる。このフード部4の上面中央部には前後方向に沿って嵌合案内用のガイド突条5が突出形成され、また、フード部4の両側面の上部寄りには、レバー3の待機状態を解除するための一対の押圧突条6が前後方向に沿って突出形成されている。さらに、フード部4の両側面において両押圧突条6の下方位置には一対のカムピン7が突出している。
【0016】
さて、雌コネクタハウジング1は端子収容部1aとこの端子収容部1aの前部外側を全周に亘って覆う外筒部1bとからなっている。端子収容部1aには上下に複数のキャビティ8が貫通して形成され、それぞれの内部には図示しない雌端子金具が後方より挿入され、抜け止めされた状態で収容されている。雌コネクタハウジング1の上面中央部には嵌合面から前後方向に沿って断面コの字状をなすガイド凹部が9所定長さ範囲に亘って設けられている。このガイド凹部9は雄コネクタハウジング2側のガイド突条5と嵌合することにより、両コネクタハウジング1,2の嵌合動作の円滑化と両コネクタハウジング1,2を上下反転して嵌合させてしまう誤嵌合防止の役割を果たす。また、両コネクタハウジング1,2の上面であって嵌合面と反対側の中央部には両コネクタハウジング1,2を正規嵌合状態に保持すべく、レバー3と係止する係止受け部10(ロック機構を構成する)が設けられている。
【0017】
すなわち、図3に示すように、雌ハウジング1の上面後縁の中央部には幅広の基部11が後方へ突出し、係止受け部10はこの基部11からさらに後方へやや幅狭となって張り出し状に設けられている。また、係止受け部10の幅方向両側縁には一対の側壁12が起立形成されている。係止受け部10における両側壁12の間の上面側は後方へ向けて下り勾配となった傾斜面13が形成されており、レバー3がロックする際にはレバー3のロック操作片14が同傾斜面13に沿って摺接した後、傾斜面13後縁のロック縁15に係止することができるようにしてある(以下、このようなレバー3の位置をロック位置という。図7状態)。
【0018】
また、雌コネクタハウジング1において外筒部1bの両側面には、外筒部1bの開口縁を含むようにして切り欠き窓部16がそれぞれ開口している。さらに、両切り欠き窓部16の後方にはレバー3を回動可能に取り付けるための軸ピン17が突出している。この軸ピン17は円柱形状に形成されるとともに、その先端にはレバー3の外れ規制を行うための一対の張り出し突部18が直径方向に沿って突出形成されている。
【0019】
レバー3は一対のカム部19とこれらを連結するための操作部20とからなり、雌コネクタハウジング1を跨ぐことができるコの字型に形成されている。両カム部19には軸孔21が貫通している。軸ピン17の両張り出し突部18に対応した位置には逃がし部22が形成されており、レバー3装着の際には逃がし部22と張り出し突部18とを整合させることにより、軸ピン17と軸孔21とを嵌め込んでレバー3を軸ピン17周りに回動可能としている。
【0020】
また、レバー3の操作部20の中央には図8に示すように、前記したロック縁15に係止可能な爪部23を両端部寄りの位置に有したロック操作片14が設けられている。このロック操作片14の幅方向両側には一対の保護壁24が突設されており、ロック操作片14を保護するとともに、ロック縁15と係止しているときにロック操作片14に外力が作用して係止状態が不用意に解除されてしまわないようにしている。ロック操作片14は操作部20から二本の接続片25によって連結されていて、自然状態では操作部20の対向面とほぼ平行をなすようにしてあるが、先端側への押圧操作によって操作部20に接近する方向へ撓み変形し、爪部23とロック縁15との係止を解除できるようになっている。
【0021】
一方、カム部19の内面にはカム溝26が凹設され、カムピン7を嵌め入れ案内可能としている。カム溝26は軸孔21が形成されている側と反対側の側縁から始まり、そこから徐々に軸孔21に近づくようなほぼ円弧形状にて形成され、始端からカムピン7を受け入れるようになっている。そのため、詳しくは図示しないが、レバー3には両コネクタハウジング1,2の嵌合前においてカム溝26の始端を雄コネクタハウジング2に向けて水平に開口する位置で保持するためのレバー保持機構が設けられ、両コネクタハウジング1,2を嵌め合わせる操作に伴ってそのままカムピン7がカム溝26の始端へ受け入れられるようにしている(以下、このようなレバー3の位置を待機位置という。図5状態)。なお、レバー3が待機位置にあるときには、カム溝26は外筒部1bの切り欠き窓部16と連通する状態で位置している。
【0022】
レバー保持機構は両カム部19において操作部20寄りに配された弾性保持片27よりなる。弾性保持片27は軸ピン17に近い側を基端とし操作部20に近い側が自由端となった片持ち状に形成され、外方への撓み変形が可能となっている。また、弾性保持片27の先端部内面には係止突起28が形成され、レバー3が上記した待機位置にあるときに、係止突起28は外筒部1bにおける切り欠き窓部16の上縁に係止し、これによってレバー3を待機位置に保持することができる。さらに、係止突起28が切り欠き窓部16に係止している状態で、雌雄のコネクタハウジング1,2同士が嵌合すると、この嵌合動作に伴って係止突起28は押圧突条6によって外方へ押し出され、切り欠き窓部16側との係止を解除してレバー3操作を可能ならしめるようにしてある。
【0023】
ところで、カム溝26において、始端から両コネクタハウジング1,2が正規に嵌合(雌雄の端子金具同士の接続が完了した状態)される角度位置までが動作領域29であり、これより終端に至る角度位置までが遊び領域30とされている。この遊び領域30は軸孔21の中心からの距離が一定であり、軸孔21と同心の円弧をなすように形成されている。すなわち、カムピン7が動作領域29を変位している間は両コネクタハウジング1,2の嵌合動作が進行し、動作領域29の終端である遊び領域30との境界部分に至ると、両コネクタハウジング1,2は正規嵌合状態となる。但し、このときにはレバー3とロック機構、つまりロック操作片14と係止受け部10との位置関係は、ロック操作片14が係止受け部10の上方においてやや離間した位置にある(図6参照)。
【0024】
一方、遊び領域30内では両コネクタハウジング1,2の嵌合を進行させることなく、レバー3は空転し、レバー3と係止受け部10とのロック動作のみが行われる。そして、上記動作領域29を経てこの遊び領域30にさしかかったときに、レバー3の側縁31は抵抗付与部としての抵抗付与アーム32と係止するようになっている。
【0025】
抵抗付与アーム32は雌コネクタハウジング1の後部両側面の上部にそれぞれ配されている。抵抗付与アーム32は、雌コネクタハウジング1の後縁から高さ方向に二条のスリットを前方へ向けて切り込むことによって、両スリット間に切り出されて形成され(つまり、周辺と面一をなしている)、後端側を自由端とする片持ち状に形成されており、いる。このように、両抵抗付与アーム32は雌コネクタハウジング1の前後方向に沿うようにして配されているが、この方向はレバー3を嵌合方向に回動操作したときに、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32と係止する部分の移動方向にほぼ沿う方向であるから、レバー3の側縁31が抵抗付与アーム32の先端に設けられた突部33と係止した後の撓み動作の際に、ねじれ等を生じにくくしている。
【0026】
但し、両抵抗付与アーム32が形成されている部分の壁面の内側には肉抜き空間34が設けられていることから、抵抗付与アーム32は共にこの肉抜き空間34側へ撓み変形を行うことができるようになっている。
【0027】
抵抗付与アーム32の先端に配された突部33は雌コネクタハウジング1の外筒部1bの外面から突出し、レバー3の側縁31に対し充分な掛かり代が得られるようになっている。突部33における基端側の面は比較的急な登り勾配をなす抵抗面35としてある。また、この抵抗面35の始端縁はレバー3の側縁31と係止したときに、同側縁31と整合し、つまり同縁31に沿うような勾配をもって延びている。そして、レバー3の側縁31が抵抗面35の始端縁に整合して突き当てられると、ここでレバー3は一旦踏みとどまるため、抵抗付与アーム32が撓み変形を開始するまでの間に、所定の抵抗力が発生する。この抵抗力はロック操作片14がロック縁15に係止する間の抵抗力よりも充分に大きく設定されている。
【0028】
なお、レバー3の側縁31が抵抗面35へ乗り上げてゆくときの抵抗力は、抵抗付与アーム32の長さ及び抵抗面35の傾斜角度等によって定まる。図示のように、抵抗付与アーム32が比較的短い場合には、抵抗面35にある程度の勾配が設けられるが、抵抗付与アーム32が比較的長く確保できる、あるいは薄肉である等抵抗付与アーム32の撓み剛性が比較的低いような場合には、抵抗面35の始端縁をほぼ直角に切り立たせる等することで、抵抗力の設定は比較的容易である。
【0029】
かくして、レバー3に所定の操作力が加えられた結果、抵抗付与アーム32を撓ませつつレバー3の側縁31が抵抗面35へ乗り上げることとができれば、レバー5は突部33の頂点を乗り越え、ロック操作片14がロック縁15に係止する位置(ロック位置)まで一気に回動する。この位置に至った状態では、抵抗付与アーム32はカム部19の内面に撓み状態で当接しているが、カム部19の内面に抵抗付与アーム32の逃がし用の凹部あるいは窓部を開口させておき、レバー3がロック位置にあるときに抵抗付与アーム32を自然状態に復帰させるようにすることも可能である。
【0030】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。雌雄両コネクタハウジング1,2を嵌合する場合には、まず両コネクタハウジング1,2を緩く嵌合させ、カムピン7をカム溝26の始端に導入しておく。上記した両コネクタハウジング1,2の緩やかな嵌合の際に、両押圧突条6が弾性保持片27の係止突起28を押して弾性保持片27を外方へ押しやるため、係止突起28と切り欠き窓部16の開口縁との係止が解かれる。これによって、レバー3の待機位置における保持状態が解除されるため、引き続いてレバー3を後方へ回動操作すれば、カムピン7はカム溝26の動作領域を進行し、これに伴って両コネクタハウジング1,2は互いに引き寄せられるようにして相互の嵌合が進む。そして、カムピン7が動作領域の終点に至ると、両コネクタハウジング1,2は正規に嵌合し、図示しない雌雄の端子金具同士が正規の接続状態となる(図6状態)。
【0031】
このとき、カムピン7はカム溝26の動作領域29と遊び領域30の境界にあると共に、レバー3の側縁31は抵抗付与アーム32における突部33の抵抗面35の始端と整合して位置している。この状態からさらにレバー3の回動操作がなされると、カムピン7は遊び領域30内を移動する。遊び領域30では、雌雄のコネクタハウジング1,2同士の嵌合をこれ以上には進行させず、レバー3の回動動作のみがなされる。遊び領域30での変位にあたり、まずレバー3の側縁31が突部33の抵抗面35の始端縁に沿った状態で突き当てられる。この突き当たりによって、レバー3の回動動作は一旦踏み留められる。
【0032】
ところで、カムピン7が動作領域29を進行する間は、雌雄端子金具同士の嵌合に伴う大きな摩擦抵抗により、レバー3の回動操作には大きな操作力が必要となる。しかし、カムピン7が遊び領域30に達して完全嵌合の状態となった後は、もはや端子金具同士の摩擦力は作用しないため、従来のレバー式コネクタの中にはこのときの急激な操作力の低下をもたらし、コネクタの嵌合作業が完了してしまったかの如き誤解を生じさせるものもあったが、本実施形態ではレバー3と抵抗付与アーム32の突部33との突き当たりによって直ちに抵抗が生じるため、作業者は次の操作段階、具体的にはレバーロックのための操作が残されていることを感得する。
【0033】
しかも、このときに生じる抵抗力は前述したように、ロック操作片14がロック縁15に係止するときの抵抗力よりも充分に大きく設定されているため、レバー3にこの抵抗力を上回る操作力を加えて回動させれば、抵抗付与アーム32はついには内側へ撓み、レバー3のさらなる回動を許容してロック操作片14とロック縁15とが係止する位置にまで一気に至らしめる。かくして、レバー3はロック位置に至り、ロック状態が確実に達成される。
なお、コネクタハウジング1,2同士を離間させる場合には、ロック操作片14を押圧操作して、ロック縁15との係止を解いてやれば、後はレバー3を上記とは逆方向に回動させることによって、両コネクタハウジング1,2を容易に離間させることができる。この場合、抵抗付与アーム32はカム部19の内側に撓んだままの状態であるため、つまり自然状態に弾性復帰させてレバー3側に係止させるような形式を採用しなかったため、抵抗付与アーム32の係止を解除する操作が不要となる分、コネクタハウジング1、2同士の離間操作が容易になる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロック操作片14とロック縁15とを係止させる前に、レバー3の側縁31と抵抗付与アーム32との間にロックに必要な係止力を上回る抵抗力を生じさせるようにしたから、レバー3が抵抗付与アーム32の突部33を通過した勢い(慣性)によってロック操作片14をロック縁15に対し係止状態に至らしめることができる。したがって、レバー3が不完全なロック状態のまま放置されることがないため、コネクタの嵌合状態の信頼性を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態では抵抗付与アーム32の延び方向がレバー3の側縁31の進行方向に概ね沿っているため、レバー3からの力を受けて抵抗付与アーム32が撓み変形する際に、ねじれを生じにくい。また、抵抗面35の始端縁がレバー3の側縁と突き当たったときに、同縁に沿うように形成されているため、抵抗付与アーム32にレバー3からの力を確実に作用させることができる、という利点もある。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0037】
(1)抵抗付与部は本実施形態の抵抗付与アーム32のように、弾性片によるものばかりでなく、単なる突起であってもよく、突起を通過する際にロックに必要な係止力を上回る抵抗を生じさせるようなものであれば、形態を問わない。
【0038】
(2)本実施形態では、レバー3の側縁31と抵抗付与アーム32の突部33との突き当てによって抵抗を生じさせていたが、場所は問わない。例えば、レバー3の内面であってもよく、その他カム溝26の途中に抵抗付与部を設定することも可能である。
【0039】
(3)本実施形態では、ロック機構をレバー3が取り付けられているコネクタハウジング1側に設定したが、嵌合相手となる相手側コネクタハウジングに設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】雌コネクタハウジングの斜視図
【図2】同背面図
【図3】レバーを取り外した状態での雌コネクタハウジングの平面図
【図4】レバーを取り外した状態の側面図
【図5】雌雄コネクタハウジングの嵌合初期の状態を示す一部破断図
【図6】雌雄コネクタハウジングの完全嵌合状態(抵抗発生時)を示す一部破断図
【図7】レバーのロック状態を示す一部破断図
【図8】レバーのロック部分を拡大して示す断面図
【符号の説明】
1…雌コネクタハウジング
2…雄コネクタハウジング
3…レバー
7…カムピン
14…ロック操作片(ロック機構)
15…ロック縁(ロック機構)
19…カム部
26…カム溝
29…動作領域
30…遊び領域
32…抵抗付与アーム(抵抗付与部)
33…突部
35…抵抗面
Claims (3)
- 一方のコネクタハウジングにはカムピンが突設され、他方のコネクタハウジングにはカム部と操作部とよりなるレバーが回動操作可能に取り付けられるとともに、前記カム部には前記レバーの回動操作に伴って前記カムピンを誘導することで前記両コネクタハウジングを嵌合状態とするカム溝が形成されてなり、かつこのカム溝は始端位置から所定角度位置までは前記両コネクタハウジングを正規嵌合状態に至らしめる動作領域となり、この動作領域後、終端位置に至るまでの範囲は前記コネクタハウジング同士の嵌合を進行させることなくレバーの回動操作のみを可能にし前記両コネクタハウジングのうちのいずれかに設けられたロック機構への係止を可能にする位置へ前記レバーを至らしめる遊び領域となっているレバー式コネクタであって、
前記他方のコネクタハウジングには前記レバーが前記遊び領域に入る時に、前記レバーと係止する抵抗付与部が形成されるとともに、前記レバーが前記抵抗付与部との係止を強制的に解除するまでの間に生じる抵抗力は前記レバーが前記ロック機構と係止する際の抵抗よりも大に設定されることで、前記レバーが前記抵抗付与部を通過することに伴って前記ロック機構への係止を可能にしていることを特徴とするレバー式コネクタ。 - 前記抵抗付与部は、前記他方のコネクタハウジングにおける前記カム部との対向面のうちカム部の動作領域中に配されかつ先端部には前記カム部の側縁に突き当てられる突部が形成された抵抗付与アームによって形成され、かつこの抵抗付与アームは前記カム部が前記両コネクタハウジングを嵌合させるときの回動方向前方に向けて自由端側が延びる片持ち状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレバー式コネクタ。
- 前記突部は、前記カム部と突き当てられたときにカム部の側縁に沿うように延びていることを特徴とする請求項1又は2記載のレバー式コネクタ。
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