JP3863633B2 - 薄肉円板状素材の外周増肉方法 - Google Patents

薄肉円板状素材の外周増肉方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄肉円板状素材の外周に例えば歯車等を形成するために増肉部を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記薄肉円板状素材の外周を増肉するためには、通常は図10に示す如くスピニングマシンを利用して上記素材Wを回転しつゝ外周を増肉ロールRを半径方向に押圧して鎖線で示す断面台形の増肉部Cを形成する方法がある。22はスピニングマシンの回転主軸に取付けられた駆動円板、24は心押台に取付けられる支持円板を示す。駆動円板22及び支持円板24の外径はそれぞれ形成すべき増肉部Cの内径とし、絞りロールRは所定の曲面、例えば台形の成形面Raを形成する。これにより素材Wを回転しつゝ絞りロールRを半径方向に押圧することにより図10の鎖線に示す台形等の増肉部Cを形成するものであり、該増肉部Cは更に所定形状に圧縮して例えば歯車等を刻設するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記絞りロールRによる加圧に際しては、素材Wの肉厚と突出し量Lが問題となる。即ち肉厚が素材の材質にもよるが、通常の鋼板では実験結果からはL=10×tが限界でありt=2.6mmの場合はL=26mmが限界であるも、増肉後の形状のボリューム(体積)からするとLを26mm以内とすることはできず、結果として2.6mmより薄い鋼板は図11に示す如く変形Dして、場所によってはクラックEを発生する等の問題がある。
本発明はかゝる点に鑑み上記通常の増肉加工では限界の例えば2.6mm以下の肉薄の素材に対しても所定の増肉部を形成することの出来る増肉方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の薄肉円板状素材の外周増肉方法は、薄肉円板状素材の外周近傍適所の所定長さを表裏両面に亘り波打ち状に屈曲して幅出し部を形成し、ついで該幅出し部を増肉ロールにより半径方向に押圧して断面台形状の増肉部に形成することを特徴とする。
【0005】
上記の方法からなる本発明は、素材の外周近傍適所の所定長さを表裏両面に亘り波打ち状に屈曲して幅出し部を形成することにより、素材は幅方向への押圧力に対する強度は増加する。これにより半径方向への圧縮は表裏方向に屈曲することなく、増肉される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1乃至図8は本発明の実施例を示す。薄肉円板状素材Wに対する増肉方法は、2工程に分けて行われる。先ず外周所定長さを図1に示す予備成形機構1により波打ち状に屈曲する。即ちこの予備成形機構1は、回転主軸2に取付けられる駆動円板3と心押台に回転可能に取付けられる支持円板4並びに両円板3、4に挟持して取付けられる薄肉円板状素材Wの外周近傍適所(に対し表裏両面に亘り波打ち状に屈曲する幅出し成形部材5とを備える。
【0007】
この幅出し成形部材5は、対をなす歯車10a、10bと、それぞれの歯車をベアリング11a、11bを介して回転可能に取付ける支持アーム12a、12bとを備え、支持アーム12a、12bはそれぞれ支軸13a、13bにより支持筐体14に取付けられ、かつ間隔調整ネジ15により、両歯車10a、10b間の間隔を調整する如くなす。なお、両歯車は通常の歯車としてもよいが、好ましくはサインカーブ10Cとする。そしてその高さhは、幅wの素材Wを屈曲することにより得られる屈曲部Aの幅Bを形成する高さとする。16は間隔調整ネジ15の駆動部材である。なお、この歯車10a、10bの幅dは素材Wの外周近傍適所に形成する波状屈曲部Aの高さとする。なお、この予備成形機構1は次工程のスピニングマシンを利用してもよい。
【0008】
つぎに図7はスピニングマシンを利用して行う第2工程の増肉要領の説明図である。このスピニングマシン20は、前記第1工程の予備成形機構1により外周近傍適所を波打ち状に屈曲された中間素材Waの屈曲部Aに対し半径方向に圧縮して増肉部Cを形成するもので、駆動軸21に駆動円板22を取付け、心押台23には支持円板24を回転可能に支持せしめる。Rは増肉用成形ロールを示し、ターレット台25に取付けられる。26は該ターレット台25を載置し進退させる取付け台、27は該取付け台26を左右方向に移行させる往復台を示す。その他の構造は周知構造であり、説明を省略する。なお、屈曲部Aを施す箇所は駆動円板22と支持円板24により把持された際に突出する根元部分を包含する範囲(従来例でクラックEの発生する箇所)である。
【0009】
次に薄肉円板状素材Wに対する増肉要領を説明する。まず適宜手段により所定の外径と内径とを有する素材Wを形成し、予備成形機構1の駆動円板3に取付け、支持円板4とにより支持せしめる。ただし両円板3、4の外径は形成すべき成形部Cの内径と略々同一径とする。ついで成形部材5の両歯車10a、10bを素材Wの外周に対し挟持せしめ、間隔調整ネジ15等により両歯車間を狭窄しつゝ駆動円板3を回転し、素材Wの外周に対し表裏両面に亘り波打ち状に屈曲する幅出し部Aを形成する。その概要を図5に示す。即ち幅出し部Aの幅Bは、増肉加工可能な幅、具体的には前記2.6mmより大、好ましくは3.0mmより大に形成する。
【0010】
次に上記形成された中間素材Waを第2工程のスピニングマシン20の駆動円板22に取付け、心押台23の支持円板24とにより挟持せしめる。ついで中間素材Waの幅出し部Aに対し増肉用成形ロールRを押しつけ増肉部Cを形成する。その要領を図8及び図9に示す。なおこの成形ロールRの成形部Raの角度θは必要な増肉の形状により異なるが、その工程を複数回とする場合、1工程としては可及的に狭くすることか好ましい。これにより増肉に際して湾曲することが防止される。なお、上記成形ロールRでは尖頭状で、そのまゝでは偏平に成形が困難なときは、それよりも形成部の角度を大とした第2の成形ロールR2により若干偏平の台形に形成してもよい。
【0011】
【発明の効果】
以上の如く本発明によるときは、薄肉円板状素材の外周所定長さを表裏両面に亘り波打ち状に屈曲して幅出し部を形成したから、素材は幅方向への押圧力に対する強度は増加し、従って該幅出し部を増肉ロールにより半径方向に押圧しても横方向へ変形することがなく、確実に所要の台形状の増肉部に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する第1工程の予備成形機構の説明図である。
【図2】予備成形機構の幅出し成形部材の正面図である。
【図3】図2における側面図である。
【図4】予備成形機構の成形歯車の平面図である。
【図5】素材に対する幅出し成形要領の説明図である。
【図6】屈曲部を説明するための中間素材の部分斜視図である。
【図7】第2工程のスピニングマシンの説明図である。
【図8】幅出し部への増肉形成要領説明図である。
【図9】形成された増肉部の説明図である。
【図10】従来方法による増肉要領説明図である。
【図11】従来方法による増肉時に形成される湾曲の発生要領の説明図である。
【符号の説明】
1 予備成形機構
10a 歯車
10b 歯車
20 スピニングマシン
R 増肉成形ロール
W 素材
Wa 中間素材
A 幅出し部
C 増肉部

Claims (1)

  1. 薄肉円板状素材の外周近傍適所の所定長さを表裏両面に亘り波打ち状に屈曲して幅出し部を形成し、ついで該幅出し部を増肉ロールにより半径方向に押圧して断面台形状の増肉部に形成することを特徴とする薄肉円板状素材の外周増肉方法。
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