JP2964048B2 - 周壁部を有する板金体及びその周壁部の厚肉化方法 - Google Patents
周壁部を有する板金体及びその周壁部の厚肉化方法Info
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Description
ンに用いるピストン部品や、ドライブプレート、といっ
た基板部の周囲に周壁部を一体に有する板金体及びその
周壁部の厚肉化方法に関する。より詳しくは、肉厚の薄
い円板状板金材を用い、その円板状板金材の肉厚の数倍
の肉厚を持つ周壁部を形成することに関する。
一体に有する板金体を成形ローラを用いて転造すること
が従来より行われてはいたものの、従来の転造方法で板
金体の周壁部の肉厚をその基板部の肉厚の数倍にも厚肉
化するという方法は実施不可能であるとされ、また、周
壁部の肉厚が基板部の肉厚の数倍にも達するような板金
体を転造で作るというようなことは考えの及んでいない
ところであった。
周壁部を一体に有する板金体において、その周壁部の肉
厚が上記基板部の数倍に達するようなものは、従来、切
削加工で作られていた。しかし、切削加工は材料歩留り
が悪く、経済性に欠けるという問題があった。
部の周囲に、その基板部の肉厚の数倍の肉厚を有する厚
肉化された周壁部を一体に有する板金体を提供すること
を目的とする。
基板部の肉厚の数倍の肉厚に厚肉化することのできる板
金体の周壁部の厚肉化方法を提供することを目的とす
る。
円形の基板部とこの基板部の外周部から軸心方向片側に
突き出た単層の周壁部とが一体に形成され、その周壁部
における上記軸心方向での肉厚が肉流れにより周壁部の
全体に亘って上記基板部の肉厚の4倍以上に厚肉化さ
れ、その周壁部における径方向での肉厚が肉流れにより
周壁部の全体に亘って上記基板部の肉厚の2倍以上に厚
肉化されている、というものである。
方法の成功により、基板部の肉厚に対する上記周壁部の
肉厚が、軸心方向で4倍以上、径方向で2倍以上に厚肉
化されているものであるから、その周壁部の外周面にそ
の周壁部と同心状に環状溝を形成したり、あるいは、上
記基板部の中央にボス部を一体に設けたりすることによ
って、たとえば上記したピストン部品として用いること
ができるようになる。しかも、基板部が薄肉であり周壁
部は厚肉化されたものであるから材料費も安くつく。
金材を第1回転型と第2回転型とで挾圧保持させて上記
第1回転型及び上記第2回転型と共にその円板状板金材
を回転させながら、その挾圧箇所から外側へ張り出した
上記円板状板金材の張出部の外周部に、外拡がりの一対
の環状面が断面湾曲状の環状底面を介して連続された第
1溝状成形面を有する第1成形ローラを径内方向に向け
て押し付ける第1成形工程を行って、上記張出部を軸心
方向及び径方向に厚肉化しながらその張出部をその第1
成形ローラの上記第1溝状成形面に沿う形に成形するこ
とにより、上記挾圧箇所が基板部とされかつ上記張出部
がその基板部の外周部から軸心方向片側に突き出た周壁
部とされる板金体の周壁部の厚肉化方法であって、 上記第1成形工程を複数の小工程に分け、先の小工程
とその後の小工程との間では、後の小工程で用いる第1
成形ローラの環状底面の曲率半径を先の小工程で用いる
第1成形ローラの環状底面の曲率半径よりも大きくし、
かつ、後の小工程で用いる第1成形ローラの一対の環状
面の相互の開き角度を先の小工程で用いる第1成形ロー
ラの一対の環状面の相互の開き角度よりも小さくすると
共に、後の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝状成
形面の深さを先の小工程で用いる第1成形ローラの第1
溝状成形面の深さよりも浅くし、 上記第1成形工程の後に上記周壁部の外周面を円筒面
状に成形する第2成形工程を追加し、この第2成形工程
では、上記第1成形工程を経て形成された上記周壁部
に、外拡がりの一対の環状面とそれらの環状面を連続さ
せる軸方向に平坦な環状底面とにより形成された第2溝
状成形面を有する第2成形ローラを径内方向に向けて押
し付けることによって、上記周壁部の外周面を上記第2
成形ローラの上記第2溝状成形面に沿う形に成形する、
というものである。
ける軸心方向での肉厚が基板部の肉厚の4倍以上に厚肉
化され、周壁部における径方向での肉厚が基板部の肉厚
の2倍以上に厚肉化されているような板金体が得られ
る。
板状板金材を第1回転型と第2回転型とで挾圧保持させ
て上記第1回転型及び上記第2回転型と共にその円板状
板金材を回転させながら、その挾圧箇所から外側へ張り
出した上記円板状板金材の張出部の外周部に、外拡がり
の一対の環状面が断面湾曲状の環状底面を介して連続さ
れた第1溝状成形面を有する第1成形ローラを径内方向
に向けて押し付ける第1成形工程を行って、上記張出部
を軸心方向及び径方向に厚肉化しながらその張出部をそ
の第1成形ローラの上記第1溝状成形面に沿う形に成形
することにより、上記挾圧箇所が基板部とされかつ上記
張出部がその基板部の外周部から軸心方向片側に突き出
た周壁部とされる板金体の周壁部の厚肉化方法であっ
て、 上記第1成形工程を複数の小工程に分け、先の小工程
とその後の小工程との間では、後の小工程で用いる第1
成形ローラの環状底面の曲率半径を先の小工程で用いる
第1成形ローラの環状底面の曲率半径よりも大きくし、
かつ、後の小工程で用いる第1成形ローラの一対の環状
面の相互の開き角度を先の小工程で用いる第1成形ロー
ラの一対の環状面の相互の開き角度よりも小さくすると
共に、後の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝状成
形面の深さを先の小工程で用いる第1成形ローラの第1
溝状成形面の深さよりも浅くし、 最初の小工程を行うに当り、第1成形ローラの第1溝
状成形面における一方の環状面を上記円板状板金材の張
出部の外周部に押し付けてその張出部を端拡がり状に折
り曲げた後、上記張出部を軸心方向及び径方向に厚肉化
しながらその張出部の表面をその第1成形ローラの上記
第1溝状成形面に沿う形に成形する、というものであ
る。
の上記環状底面の曲率半径が、上記円板状板金材の上記
挾圧箇所の肉厚の1.5倍よりも短い寸法、好ましくは上
記挾圧箇所の肉厚よりも短い寸法であることが望まし
い。
が軸方向に平坦な円筒面になるので、上記したピストン
部品として有益な板金体が得られる。
に環状の段差部が形成された上記円板状板金材を第1回
転型と第2回転型とで挾圧保持させるに際して、それら
の第1回転型及び第2回転型に設けられた環状の段差部
を上記円板状板金材の段差部に径方向で係合させて挾圧
させる、ことが好ましい。
力などにより基板部が薄肉化されたり上記周壁部が厚肉
化されたりするときの肉流れによってその周壁部の根元
部分に肉の盛り上がりに起因する隆起が生じにくくな
る。
す説明図である。
す説明図である。
金材の部分断面図である。
を示す説明図である。
を示す説明図である。
部分断面図である。
金体の部分断面図である。
した後の板金体の部分断面図である。
る。
を切削加工した後の板金体の部分断面図である。
ーラの説明図である。
ーラの説明図である。
いての一般的な説明図である。
明図である。
説明図である。
図である。
図である。
図である。
図表である。
は、基本的には、図1に例示したような円板状板金材10
0を、第1回転型10と第2回転型20とで挾圧保持させて
上記第1回転型10及び上記第2回転型20と共にその円板
状板金材100を回転させながら、上記挾圧箇所から外側
へ張り出した上記円板状板金材100の張出部110の外周部
に、第1成形ローラ30の第1溝状成形面31を径内方向に
向けて押し付ける第1成形工程(図2A、図2B、図3A、図
3B)を行い、次に、その第1成形工程を経て得られた板
金体200の厚肉化された周壁部210の外周面を軸方向に平
坦な円筒面にする第2成形工程(図4A、図4B)を行うも
のである。
般的な形状を図10に示してある。同図のように、この第
1成形ローラ30は、外拡がりに傾斜した一対の環状面3
3,34が断面湾曲状の環状底面35を介して滑らかに連続さ
れた第1溝状成形面31を有している。そして、上記第1
成形工程が複数の小工程に分かれており、それぞれの小
工程では、上記環状底面35の曲率半径Rnや一対の環状面
33,34の相互の開き角度θnの異なる第1成形ローラ30
が用いられる。
に分かれており、先の小工程では図8に示した第1成形
ローラ30Aが用いられ、後の小工程では図9に示した第
1成形ローラ30Bが用いられる。これら2種類の第1成
形ローラ30A,30Bの相互間において、後の小工程で用い
る第1成形ローラ30Bの環状底面35の曲率半径R2の先の
小工程で用いる第1成形ローラ30Aの環状底面35の曲率
半径R1よりも大きい。また、後の小工程で用いる第1成
形ローラ30Bの一対の環状面33,34の相互の開き角度θ2
は先の小工程で用いる第1成形ローラ30Aの一対の環状
面33,34の相互の開き角度θ1より小さい。さらに、後
の小工程で用いる第1成形ローラ30Bの第1環状成形面3
1の溝深さD2は先の小工程で用いる第1成形ローラ30Aの
第1環状成形面31の溝深さD1よりも浅い。
では、同じ第1回転型10と第2回転型20とが用いられて
いる。
は、その全小工程を通じて円板状板金材100が第1回転
型と第2回転型20とにより挾圧保持されているので、そ
の挾圧箇所の変形は阻止されているか、あるいは起こり
にくくなっている。そして、第1回転型10及び上記第2
回転型20のいずれかを回転駆動することによってそれら
の回転型10,20と共にその円板状板金材100が回転され
る。
にして円板状板金材100を回転させながら、上記挾圧箇
所から外側へ張り出した円板状板金材100の張出部100の
外周部に、回転自在な第1成形ローラ30Aが径内方向に
向けて押し付けられ、第1成形ローラ30Aが円板状板金
材100に追従して回転する。この初期段階において、図2
Aのように第1成形ローラ30Aの第1溝状成形面31におけ
る一方の環状面33が円板状板金材100の張出部110の外周
部に径内方向に向けて押し付けられると、その第1成形
ローラ30Aが図中左方Lへ移動するのに伴ってその張出
部110が端拡がり状に折り曲がった後、その張出部110の
外周部が上記第1溝状成形面31の環状底面35に突き当た
る。
と、上記張出部110が上記第1溝状成形面31の環状底面3
5や一対の環状面33,34により形を整えられながら肉の巻
込みを伴うことなく軸心方向及び径方向に徐々に厚肉化
されていく。このような張出部110の厚肉化は、上記第
1成形ローラ30Aによる押圧に伴って生じる上記張出部1
10の肉流れによって起こる。先の小工程の最終段階を経
た上記円板状板金材100の張出部110は、図2B及び図2Cの
ように、この小工程で用いた第1成形ローラ30Aの第1
環状成形面31に沿う形状に成形される。また、その張出
部110の直径は図1や図2Aに示した円板状成形体100の直
径よりも小さくなっている。
を経て第1成形ローラ30Aの第1環状成形面31に沿う形
状に厚肉化と成形とが行われた上記張出部110の外周部
に、回転自在な第1成形ローラ30Bが径内方向に向けて
押し付けられ、第1成形ローラ30Bが円板状板金材110に
追従して回転する。この初期段階において、図3Aのよう
に上記張出部110の外周部が上記第1溝状成形面31の環
状底面35に突き当たる。第1成形ローラ30Bが図中左方
Lへさらに移動されると、上記張出部110が上記第1溝
状成形面31の環状底面35や一対の環状面33,34により形
を整えられながら肉の巻込みを伴うことなく軸心方向及
び径方向に徐々に厚肉化されていく。このような張出部
110の厚肉化は、上記第1成形ローラ30Bによる押圧に伴
って生じる上記張出部110の肉流れによって起こる。後
の小工程の最終段階を経た上記円板状板金材100の張出
部110は、図3B及び図3Cのように、この小工程で用いた
第1成形ローラ30Bの第1環状成形面31に沿う形状に成
形される。また、その張出部110の直径は図2Bや図2Cに
示した円板状成形体100の直径よりも小さくなってい
る。
における第1回転型10と第2回転型20とによる上記挾圧
箇所が基板部220とされかつ上記張出部110がその基板部
220の外周部から軸心方向片側に突き出た周壁部210とさ
れた図2Cに示した板金体200が得られる。この板金体200
において、周壁部210の外周面は軸心方向中央部に近付
くほど膨らみ出た形になっている。このような板金体20
0の周壁部210に対して、上記第2成形工程が行われる。
図11に示してある。同図のように、この第2成形ローラ
40は、外拡がりに傾斜した一対の環状面43,44とそれら
の環状面43,44を連続させる軸方向に平坦な環状底面45
とにより形成された第2溝状成形面42を有している。そ
して、この第2成形ローラ40の一対の環状面43,44の相
互の開き角度θ3は上記した第1成形工程で用いた第1
成形ローラ30A,30Bの一対の環状面33,34の相互の開き角
度θ1,θ2よりも小さい。また、その第2環状成形面42
の溝深さD3は上記した第1成形工程で用いた第1成形ロ
ーラ30A,30Bの第1環状成形面31の溝深さD1,D2よりも浅
い。
第1回転型10と第2回転型20とがそのまま継続して用い
られている。したがって、第1成形工程を経て得られた
上記板金体200の基板部220は、第1回転型と第2回転型
20とにより挾圧保持されてその変形が阻止されている。
0を回転させながら、外側へ張り出した周壁部210の外周
部に、回転自在な第2成形ローラ40が径内方向に向けて
押し付けられ、第2成形ローラ40が板金体200に追従し
て回転する。第2成形ローラ40が図中左方Lへさらに移
動されると、上記周壁部210が上記第2溝状成形面42の
環状底面45や一対の環状面43,44により形を整えられ
る。このような周壁部210の成形は、上記第2成形ロー
ラ40による押圧に伴って生じる上記周壁部210の肉流れ
によって起こる。第2成形工程を経た上記板金体200の
周壁部210は、図4B及び図4Cのように上記第2成形ロー
ラ40の上記第2溝状成形面42に沿う形に成形され、その
外周面211が軸心方向で平坦な円筒面になる。また、そ
の周壁部210の直径は第1成形工程を経て得られた板金
体200(図3C参照)の直径よりも小さくなっている。
図2A及び図2Bで説明した最初の小工程で用いられ第1成
形ローラ30Aの上記環状底面35の曲率半径R1は、上記円
板状板金材100の上記挾圧箇所の肉厚tの1.5倍よりも短
い寸法になっていることが好ましく、その曲率半径R1が
上記肉厚tよりも短い寸法になっていることが特に好ま
しい。これは、上記曲率半径R1の寸法が円板状板金材10
0の肉厚tに比べて大きすぎると、第1成形ローラ30Aの
第1環状成形面31をその円板状板金材100の外周部に押
付けるのに伴ってその円板状板金材100の外周部に肉の
巻込みが生じるおそれが大きくなるからである。上記の
ように、第1成形工程の最初の小工程において、曲率半
径R1が円板状板金材100の肉厚tよりも短い寸法になっ
ている第1成形ローラ30Aを用いることによって、その
ようなおそれがなくなる。
部210の軸心方向及び径方向の肉厚をその基板部220の肉
厚の数倍にも増大させるという厚肉化方法である。そし
て、第1成形工程及び第2成形工程を通して、上記第1
回転型10と第2回転型20とによってそれらの円板状板金
材100や板金体200が大きな油圧力で挾圧されている。そ
のため、円板状板金材100や板金体200の挾圧箇所に肉流
れが生じてその挾圧箇所が薄肉化されてしまうおそれが
あり、そのような薄肉化が起こると、余剰の肉が、肉流
れの規制されていない箇所、具体的には、第1回転型10
と第1成形ローラ30Aとの間で盛り上がって図2Bに示し
たように肉の隆起5が生じ、この隆起5が、後の工程で
次第に先尖り状に成長していくような事態が顕著に発生
する。最終製品である板金体200においてそのような隆
起5が顕著に現れていると、それだけ材料に無駄が生じ
ることになる。また、上記のような顕著な隆起5が生じ
ると、第2成形ローラ40による成形が良好に行われなく
なって、周壁部210のコーナ部が欠落したりする。
るために次のような対策を講じた。すなわち、図12に示
したように、円板状板金材100の径方向の2箇所の表裏
両面に環状の段差部61,62をプレスなどで形成してお
き、上記第1回転型10や第2回転型20でその円板状板金
材100を挾圧保持させると共に、それらの第1回転型10
及び第2回転型20に設けられた環状の段差部11,12,21,2
2を上記円板状板金材100の段差部61,62に径方向で係合
させる。このようにしておくと、上述した第1成形工程
や第2成形工程を経た後の板金体200に生じた隆起5が
それほど大きいものではなくなった。また、周壁部210
のコーナ部の欠落も生じなかった。これは、第1回転型
10の段差部11,21や第2回転型20の段差部21,22によって
上記挾圧箇所の肉流れが抑えられるからであろうと推測
される。なお、上記段差部61,62の段差Hは、0.1mm程度
の段差であっても十分にその効果が現れる。また、図例
では内外2段に段差部61,62を設けてあるけれども、こ
の段差部を1段だけ設けても、あるいは3段以上設けて
もよく、その段数が多いほど顕著な効果の得られること
が判っている。
外周側に、その周壁部210と同心状に環状溝230を形成す
る方法を示している。
明した第2成形ローラ40や第2溝状成形面42の環状底面
45に凸状46を環状に設けたものである。このような第2
成形ローラ40を用いると、図4Aや図4Bで説明した第2成
形工程が行われることと併行して、周壁部210と同心状
に環状溝230が形成される。
うに、第2成形工程を経ることにより得られた板金体20
0は、その後必要な切削加工が施されて、図5や図7に
示したような周壁部210の端面が水平な板金体200とされ
る。そして、これらの板金体200は、冒頭で説明したピ
ストン部品やドライブプレートなどに好適に用いること
ができる。特に、図7の板金体200のように、周壁部210
に環状溝230を有するものは、その環状溝230をピストン
リングの装着溝として利用できる利便がある。また、周
壁部210の外周や内周に歯車を加工することによって外
歯歯車や内歯歯車として利用でき、さらに、その周壁部
210の外周に1つまたは複数のV溝を加工することによ
ってV溝プーリとして利用することも可能である。な
お、図例の板金体200は、その基板部220の中央に、軸孔
や取付孔として利用することのできるボス部240を有し
ている。このボス部240は円板状板金材100をバーリング
加工するなどして容易に設けることができる。
板金材100を用い、また、図8に示した第1成形ローラ3
0Aの環状底面35の曲率半径R1は3.0mm、軸線と直交する
仮想線Pに対する一方の環状面33の開き角度a1は17゜、
上記仮想線Pに対する他方の環状面34の開き角度b1は5
゜とし、一対の環状面33,34の開き角度は22゜とした。
また、図9に示した第1成形ローラ30Bの環状底面35の
曲率半径R2は6.0mm、軸線と直交する仮想線Pに対する
一方の環状面33の開き角度a2は15゜、上記仮想線Pに対
する他方の環状面34の開き角度b2は5゜とし、一対の環
状面33,34の開き角度は20゜とした。さらに、図9に示
した第2成形ローラ40における軸線と直交する仮想線P
に対する一方の環状面33の開き角度a3は5゜、上記仮想
線Pに対する他方の環状面34の開き角度b2は8゜とし、
一対の環状面33,34の開き角度は13゜とした。これらの
各成形ローラを用いて上述した厚肉化方法を実施したと
ころ、第1成形工程に含まれる先の小工程で図13に示し
た寸法の張出部110が成形され、後の小工程で図14に示
した寸法の周壁部210が成形され、第2成形工程で図15
に示した寸法の周壁部210が成形された。なお、第1回
転型10と第2回転型20とによる挾圧箇所、すなわち基板
部220の厚さは当初の円板状板金材100の肉厚(3.6mm)
と同じであった。
の肉厚は16.5mmであり、この肉厚は当初の円板状板金材
100の肉厚3.6mmの約5倍である。また、周壁部210にお
ける径方向での肉厚は9.8mmであり、この肉厚は当初の
円板状板金材100の肉厚3.6mmの約3倍である。
金体は、円形の基板部220とこの基板部220の外周部から
軸心方向片側に突き出た周壁部210とが一体に形成さ
れ、その周壁部210における上記軸心方向での肉厚が上
記基板部220の肉厚の4倍以上に厚肉化され、その周壁
部210における径方向での肉厚が上記基板部の肉厚の2
倍以上に厚肉化されているものである。このような板金
体200は上述した厚肉化方法によってはじめて製作でき
るようになったのであり、その製作に際して切削屑が出
ないので経済的に有利なものである。なお、上記周壁部
210における上記軸心方向での肉厚が上記基板部220の肉
厚の4倍〜5倍に厚肉化され、その周壁部210における
径方向での肉厚が上記基板部の肉厚の2〜3倍に厚肉化
されているものが実用上特に有益である。
程に分けたものを説明したけれども、それをさらに多く
の小工程に分けて行うことも可能である。図16には、肉
厚3.6mmの円板状板金材を用いた厚肉化方法において、
第1成形工程を5つの小工程に分け、それぞれの小工程
で用いられた第1成形ローラの図10に示したRn、θn、
an、bnの具体的数値を工程順に示してある。また、第2
成形工程では上記した実施形態と同じ第2成形ローラを
用いたので、その第2成形工程でのR3、θ3、a3、b3
(図11)の具体的数値を図16に併記してある。
基板部と一体の周壁部が軸心方向においてその基板部の
肉厚の4倍以上、径方向においてその基板部の肉厚の2
倍以上に厚肉化される。そのため、従来は切削による以
外に方法がなかった板金体を転造で製作できるようにな
る。また、本発明の周壁部を有する板金体は、ピストン
部品やドライブプレート、プーリなどに好適に利用する
ことができる。
Claims (9)
- 【請求項1】円形の基板部とこの基板部の外周部から軸
心方向片側に突き出た単層の周壁部とが一体に形成さ
れ、その周壁部における上記軸心方向での肉厚が肉流れ
により周壁部の全体に亘って上記基板部の肉厚の4倍以
上に厚肉化され、その周壁部における径方向での肉厚が
肉流れにより周壁部の全体に亘って上記基板部の肉厚の
2倍以上に厚肉化されていることを特徴とする、周壁部
を有する板金体。 - 【請求項2】請求の範囲第1項に記載した周壁部を有す
る板金体において、 上記周壁部の外面側に、その周壁部と同心状に環状溝が
形成されている、周壁部を有する板金体。 - 【請求項3】請求の範囲第1項に記載した周壁部を有す
る板金体において、 上記基板部の中央にボス部が一体に設けられている、周
壁部を有する板金体。 - 【請求項4】円板状板金材を第1回転型と第2回転型と
で挾圧保持させて上記第1回転型及び上記第2回転型と
共にその円板状板金材を回転させながら、その挾圧箇所
から外側へ張り出した上記円板状板金材の張出部の外周
部に、外拡がりの一対の環状面が断面湾曲状の環状底面
を介して連続された第1溝状成形面を有する第1成形ロ
ーラを径内方向に向けて押し付ける第1成形工程を行っ
て、上記張出部を軸心方向及び径方向に厚肉化しながら
その張出部をその第1成形ローラの上記第1溝状成形面
に沿う形に成形することにより、上記挾圧箇所が基板部
とされかつ上記張出部がその基板部の外周部から軸心方
向片側に突き出た周壁部とされる板金体の周壁部の厚肉
化方法であって、 上記第1成形工程を複数の小工程に分け、先の小工程と
その後の小工程との間では、後の小工程で用いる第1成
形ローラの環状底面の曲率半径を先の小工程で用いる第
1成形ローラの環状底面の曲率半径よりも大きくし、か
つ、後の小工程で用いる第1成形ローラの一対の環状面
の相互の開き角度を先の小工程で用いる第1成形ローラ
の一対の環状面の相互の開き角度よりも小さくすると共
に、後の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝状成形
面の深さを先の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝
状成形面の深さよりも浅くし、 上記第1成形工程の後に上記周壁部の外周面を円筒面状
に成形する第2成形工程を追加し、この第2成形工程で
は、上記第1成形工程を経て形成された上記周壁部に、
外拡がりの一対の環状面とそれらの環状面を連続させる
軸方向に平坦な環状底面とにより形成された第2溝状成
形面を有する第2成形ローラを径内方向に向けて押し付
けることによって、上記周壁部の外周面を上記第2成形
ローラの上記第2溝状成形面に沿う形に成形する、板金
体の周壁部の厚肉化方法。 - 【請求項5】円板状板金材を第1回転型と第2回転型と
で挾圧保持させて上記第1回転型及び上記第2回転型と
共にその円板状板金材を回転させながら、その挾圧箇所
から外側へ張り出した上記円板状板金材の張出部の外周
部に、外拡がりの一対の環状面が断面湾曲状の環状底面
を介して連続された第1溝状成形面を有する第1成形ロ
ーラを径内方向に向けて押し付ける第1成形工程を行っ
て、上記張出部を軸心方向及び径方向に厚肉化しながら
その張出部をその第1成形ローラの上記第1溝状成形面
に沿う形に成形することにより、上記挾圧箇所が基板部
とされかつ上記張出部がその基板部の外周部から軸心方
向片側に突き出た周壁部とされる板金体の周壁部の厚肉
化方法であって、 上記第1成形工程を複数の小工程に分け、先の小工程と
その後の小工程との間では、後の小工程で用いる第1成
形ローラの環状底面の曲率半径を先の小工程で用いる第
1成形ローラの環状底面の曲率半径よりも大きくし、か
つ、後の小工程で用いる第1成形ローラの一対の環状面
の相互の開き角度を先の小工程で用いる第1成形ローラ
の一対の環状面の相互の開き角度よりも小さくすると共
に、後の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝状成形
面の深さを先の小工程で用いる第1成形ローラの第1溝
状成形面の深さよりも浅くし、 最初の小工程を行うに当り、第1成形ローラの第1溝状
成形面における一方の環状面を上記円板状板金材の張出
部の外周部に押し付けてその張出部を端拡がり状に折り
曲げた後、上記張出部を軸心方向及び径方向に厚肉化し
ながらその張出部の表面をその第1成形ローラの上記第
1溝状成形面に沿う形に成形する、板金体の周壁部の厚
肉化方法。 - 【請求項6】請求の範囲第4項に記載した板金体の周壁
部の厚肉化方法において、 最初の上記小工程で用いられ第1成形ローラの上記環状
底面の曲率半径が、上記円板状板金材の上記挟圧箇所の
肉厚よりも短い寸法である、板金体の周壁部の厚肉化方
法。 - 【請求項7】請求の範囲第4項に記載した板金体の周壁
部の厚肉化方法において、 最初の上記小工程で用いられ第1成形ローラの上記環状
底面の曲率半径が、上記円板状板金材の上記挾圧箇所の
肉厚の1.5倍よりも短い寸法である、板金体の周壁部の
厚肉化方法。 - 【請求項8】請求の範囲第4項に記載した板金体の周壁
部の厚肉化方法において、 径方向の所定箇所に環状の段差部が形成された上記円板
状板金材を第1回転型と第2回転型とで挾圧保持させる
に際して、それらの第1回転型及び第2回転型に設けら
れた環状の段差部を上記円板状板金材の段差部に径方向
で係合させて挾圧させる、板金体の周壁部の厚肉化方
法。 - 【請求項9】請求の範囲第4項に記載した板金体の周壁
部の厚肉化方法において、 径方向の所定箇所に環状の段差部が形成された上記円板
状板金材を第1回転型と第2回転型とで挾圧保持させる
に際して、それらの第1回転型及び第2回転型に設けら
れた環状の段差部を上記円板状板金材の段差部に径方向
で係合させて挾圧させる、板金体の周壁部の厚肉化方
法。
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