JP3862904B2 - 作業車の作業台自動移動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、作業車の作業台自動移動装置に関し、さらに詳細には、車体上に設けられたブームの先端部に作業台を有し、ブームの作動を操作するブーム操作装置の操作により移動した作業台の移動軌跡を記憶し、この記憶された移動軌跡に従って作業台を再生移動させる作業台再生移動制御手段を有した作業車の作業台自動移動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高所作業車は、車体上に少なくとも起伏動自在に設けられたブームと、ブームの先端部に上下方向に揺動自在に設けられた作業台と、ブームの作動を操作するため作業台に設けられらたブーム操作装置とを有して構成されているものがある。この高所作業車で揚重作業や壁面塗装作業等の往復移動を伴う作業を行なう場合には、作業台に搭乗した作業者がブーム操作装置を操作して作業台を作業対象物に対して往復移動させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業台の往復移動をともなう揚重作業や壁面塗装作業において、ブーム操作装置による同一操作を作業者が繰り返し操作することは作業者の負担を増加させるとともに、作業効率を低下させる。そこで、揚重作業や壁面塗装作業に必要な作業台の移動軌跡をメモリに記憶させ、この記憶情報に基づいて作業台を再生移動作動させる方法が考えられる。しかしながら、この方法によれば、作業台を作業対象物に衝突させるのを防止するため、作業対象物の外側に干渉防止領域を設定し、この干渉領域に作業台等が侵入すると伸縮ブームの作動を停止させる干渉規制を備えた高所作業車では、作業台を干渉防止領域の外側に極めて接近した状態の移動軌跡をメモリに記憶させてこの移動軌跡に従って作業台を再生移動させると、作動制御誤差等により作業台が干渉防止領域内に侵入する場合がある。この場合には、干渉規制が作動して作業台の再生移動を停止させ、揚重作業や壁面塗装作業が途中で中断して使い勝手を低下させる、という問題が発生する。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、高所作業車で繰り返し作業を行なう場合に作業者の負担を軽減し使い勝手の良い作業台自動移動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の作業車の作業台自動移動装置は、車体上に設けられた作業台移動手段(例えば、実施形態における伸縮ブーム17)と、作業台移動手段により移動される作業台と、作業台移動手段の作動を操作する操作手段(例えば、実施形態におけるブーム操作装置5)と、作業台の位置を検出する位置検出手段(例えば、実施形態におけるブーム姿勢センサ45)と、操作手段の操作により移動した作業台の移動軌跡を記憶する軌跡記憶手段(例えば、実施形態におけるメモリ55)と、軌跡記憶手段に記憶された移動軌跡に従って作業台を移動させる再生移動を行なわせる作業台再生移動制御手段(例えば、実施形態における作動制御回路51)とを備え、作業台再生移動制御手段により移動軌跡に従って作業台を再生移動させている場合に位置検出手段から得た作業台の位置情報が、作業対象物と作業台とが干渉しないように予め設定された干渉防止領域内に侵入しているか否かを判定する作動規制事態判定手段(例えば、実施形態における干渉判定回路57)と、作動規制事態判定手段により作業台の位置情報が干渉防止領域内に侵入していると判定されたときに、作業台再生移動制御手段により作業台を干渉防止領域側へ移動させる方向成分に対応する再生作動のみを規制し他の方向成分に対応する再生作動を許容して、作業台の再生移動を継続させる再生移動継続手段(例えば、実施形態における再生移動継続回路61)とを有して構成する。具体的には作業台移動手段が、旋回、起伏、および伸縮自在な伸縮ブームで構成され、作業台は前記伸縮ブームの先端に設けられ、位置検出手段が、伸縮ブームの旋回角度、起伏角度、および伸縮量に基づいて前記作業台の三次元位置を算出し、再生移動継続手段が、作動規制事態判定手段により算出された作業台の三次元位置が干渉防止領域内に侵入していると判定されたときに、伸縮ブームにおける旋回、起伏、および伸縮の作動のうち作業台を前記干渉防止領域側へ移動させる作動を規制し他の作動を許容して、前記作業台の再生移動を継続させるようにすることができる。
【0006】
上記構成の作業車の作業台自動移動装置によれば、作動規制事態判定手段により作業台再生移動制御手段の再生移動作動が規制すべき事態にあると判定されたときには、再生移動継続手段は作業台が移動軌跡から離反する方向の作業台再生移動制御手段の作動のみを規制して作業台の再生移動を継続させる。
【0007】
作動規制事態判定手段により作業台再生移動制御手段の再生移動作動が規制すべき事態にあると判定されても、作業台が移動軌跡から離反する方向の作業台再生移動制御手段の作動のみが規制されるので、作業台を停止させずに再生移動を継続させることができる。また、作業台の移動軌跡を記憶させるティーチング作業において、作業対象物の規制領域付近でティーチング作業を行なって再生移動作動を行なった場合、作業台が規制領域内に侵入しても作業台が作業対象物に衝突する虞はなく、且つ停止させずに再生移動作動を継続させることができ、使い勝手が向上して作業全体の作業効率を向上させることができる。
【0008】
また、上記作業台再生移動制御手段では、作業台の位置を検出する位置検出手段(例えば、実施形態におけるブーム姿勢センサ45)を設け、軌跡記憶手段に作業台の移動軌跡を記憶させる場合に、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡と位置検出手段により検出された作業台の移動軌跡とが相違するときには、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡の記憶を削除し操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を軌跡記憶手段に記憶させるように制御してもよい。
【0009】
上記構成によれば、軌跡記憶手段に作業台の移動軌跡を記憶させる場合、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡と位置検出手段により検出された作業台の移動軌跡とが相違するときには、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を軌跡記憶手段に記憶させる。このため、軌跡記憶手段に操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を確実に記憶させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1から図4を使用して説明する。本実施の形態は車体上に旋回且つ起伏動自在な伸縮ブームを有した高所作業車の態様を示す。最初に、本発明の作業台自動移動装置を搭載した高所作業車を説明する。高所作業車1は、図1に示すように、車体3の前部に運転キャビン5を有し、この運転キャビン5よりも後側の車体3の前後の左右両側部に車体3を持ち上げ支持するアウトリガジャッキ7を有している。アウトリガジャッキ7にはジャッキシリンダ9が内蔵され、このジャッキシリンダ9が伸縮作動するとアウトリガジャッキ7が接地又は車体3に格納されるように構成されている。車体後端にはアウトリガジャッキ7の作動を操作するジャッキ操作装置11が取り付けられており、ジャッキ操作装置11の操作レバー11aを手動操作するとジャッキシリンダ9の伸縮作動を操作することができるように構成されている。車体後部には上方へ突出し旋回動自在な旋回台13が設けられ、旋回台13の下方の車体3内には旋回台13を旋回動させる旋回モータ15が設けられている。
【0011】
旋回台13の上部には入れ子式に構成された伸縮ブーム17の基部が上下方向に揺動自在に枢結され、伸縮ブーム17の側壁下面と旋回台13の底部間には起伏シリンダ19が枢結されている。この起伏シリンダ19が伸縮動すると伸縮ブーム17が起伏動するように構成されている。伸縮ブーム17の内部には伸縮シリンダ21が内蔵されており、伸縮シリンダ21の伸縮作動により伸縮ブーム17が伸縮動するように構成されている。
【0012】
伸縮ブーム17の先端には上下方向に揺動自在に枢結された作業台23が設けられ、作業台23の底部と伸縮ブーム17の先端部間には図示しないレベリングシリンダが枢結されている。このレベリングシリンダは伸縮ブーム17の起伏角度に係わらず作業台23を常に水平状態に保持するように伸縮作動する。作業台23上と旋回台13の側部には伸縮ブーム17の作動を操作するブーム操作装置25が設けられており、ブーム操作装置25の操作レバー25aを手動操作すると、旋回モータ15・起伏シリンダ19・伸縮シリンダ21(以下、これらをまとめて「アクチュエータ15,19,21」と記す。)が伸縮作動して伸縮ブーム17が旋回・起伏・伸縮動するように構成されている。運転キャビン5よりも車両後方側の車体3の前部には上方へ突出し全縮状態の伸縮ブーム17の先端部を載置させるブーム受け26が設けられている。
【0013】
高所作業車1には、図2に示すように、作業台自動移動装置40が設けられている。作業台自動移動装置40は図1に示す作業台23を自動的に移動させる機能を有した制御装置であり、ブーム操作装置25、プレイバック・通常切替スイッチ41、ティーチング記憶開始・終了スイッチ43、ブーム姿勢センサ45、コントローラ47、作動制御弁49を有して構成されている。
【0014】
ブーム操作装置25は前述したのでその説明は省略する。プレイバック・通常切替スイッチ41は図1に示す作業台23を自動で移動させたい場合に操作するプレイバックモードと、作業者がブーム操作装置25を手動操作して作業台23を移動させる通常モードのいずれに切り替えるための切替スイッチである。ティーチング記憶開始・終了スイッチ43は、作業対象物に対して作業台23を往復動させる作業及び車体3に格納された作業台23を目的場所へ移動させる作業(以下、これらをまとめて「繰り返し作業」と記す。)を行なう場合に、作業台23の移動軌跡を記憶させる作業(以下、「ティーチング作業」と記す。)を開始するときに操作する開始スイッチ(図示せず)と、ティーチング作業を終了するときに操作する終了スイッチ(図示せず)とを有している。開始スイッチはティーチング作業を開始させるときにON操作する場合の他、作業台23の繰り返し作業を開始するときにON操作する機能をも併せて有している。
【0015】
コントローラ47は、作動制御回路51とブーム姿勢算出回路53とメモリ55と干渉判定回路57と不要軌跡特定回路59と再生移動継続回路61と規制回路63とを有して構成されている。ブーム姿勢算出回路53はブーム姿勢センサ45からの検出値(伸縮ブーム17の旋回角度・起伏角度・伸縮量)に基づいて図1に示す作業台23の位置(3次元位置)を算出する機能を有する。尚、作業台23の位置は3次元位置により特定する場合に限られず、極座標で特定することもできる。
【0016】
メモリ55は記憶回路であり、ティーチング作業が開始され時からの作動時間に対応する作業台23の移動軌跡を記憶し、記憶内容の読み書きは自由である。干渉判定回路57は、図3に示す作業対象物27に作業台23が当接するのを防止するため作業対象物27よりも外側に所定の間隙を有した干渉防止領域E0を設定し、この干渉防止領域E1内に作業台23が侵入しているか否かを判定する機能を有する。不要軌跡特定回路59は、ブーム操作装置25の操作内容を作動時間に対応させて記憶し、移動軌跡をメモリ55に記憶させたときのブーム操作装置25の操作内容と相違する方向の移動軌跡(以下、「不要軌跡」と記す。)を特定する機能を有する。
【0017】
規制回路63は、ブーム操作装置25の操作に基づいて作動制御弁49の作動を作動制御回路51が制御している場合に干渉判定回路57により干渉防止領域E0内に作業台23が侵入していると判定されたときに、作動制御回路51と作動制御弁49間を電気的に接続する制御信号伝達ラインLsを遮断してアクチュエータ15,19,21の作動を停止させる機能を有する。
【0018】
再生移動継続回路61は、メモリ55に記憶された移動軌跡に対応してアクチュエータ15,19,21を再生移動作動させる作動制御弁49の作動信号を発生させて、干渉判定回路57により図3に示す作業台23が干渉領域E0内に侵入しているとの判定信号を受け取ったときに作業台23を作業対象物27側へ移動させる作動信号のみの出力を遮断し、それ以外の作動信号の作動制御回路51への出力を許容し、また、不要軌跡特定回路63により不要軌跡が特定された場合に、その不要軌跡に対応する作動信号を削除し、不要軌跡が削除された残りの移動軌跡の作動信号を作動制御回路51に出力する機能を有する。尚、再生移動継続回路61が作業台23を再生移動させている場合には再生移動継続回路61により規制回路63の作動は規制される。
【0019】
作動制御回路51は、ブーム操作装置25の操作内容に基づいて作動制御弁49の作動をコントロールし、また、ブーム姿勢算出回路53を作動させてメモリ55に作業台23の移動軌跡を記憶させ、更に、干渉判定回路57や作動移動継続回路61を作動させて作業台23が干渉領域E0内に侵入しても作業台23を作業対象物27に衝突させることなく再生移動を継続させ、また、不要軌跡判定回路59と作動移動継続回路61を作動させてメモリ55に記憶された不要軌跡を削除させる機能を有する。作動制御回路51にはアクチュエータ15,19,21の作動を制御する3つの作動制御弁49が規制回路63を介して電気的に接続されている。
【0020】
尚、作業台自動移動装置40は作業台23の繰り返し作動を一旦開始すると、何らかの停止操作が行なわれない限り繰り返し作動を継続するものである。
【0021】
次に、本発明の作業台自動移動装置40の作用を、▲1▼作業台23のティーチング作業をする場合、▲2▼作業台23を再生移動作動させる場合、▲3▼不要軌跡を削除して再生移動作動させる場合について説明する。最初に、作業台23のティーチング作業をする場合について説明する。図1に示す車体3に伸縮ブーム17とアウトリガジャッキ7を格納した状態で、車両を作業現場の近くまで移動させて停止させる。そして、図示しない作業者がジャッキ操作装置11の操作レバー11aを手動操作してアウトリガジャッキ7を張り出しその先端部を接地させて、車体3を持ち上げ支持させる。そして、作業者は作業台23に搭乗し、作業台23のブーム操作装置25の操作レバー25aを手動操作して伸縮ブーム17を作動させ作業台23を作業現場に移動させる。
【0022】
作業台23が作業現場に移動すると、作業者が図2に示すプレイバック・通常切替スイッチ41のプレイバックモードを選択操作し、ティーチング記憶開始・終了スイッチ43の開始スイッチをON操作した後に、ブーム操作装置25を手動操作して作動制御回路51を介して作動制御弁49の作動を制御してアクチュエータ15,19,21の作動をコントロールする。すると、図3に示す作業台23が干渉防止領域E0の外側から所定の間隙L0を有した現在位置(点P1)から点P2まで移動する。
【0023】
更に詳細には、図2に示す開始スイッチがON操作され、且つ作業者によりブーム操作装置25が操作されると、作動制御回路51がブーム姿勢算出回路53を作動させ、ブーム姿勢算出回路53がブーム姿勢センサ45から送られてくるブーム姿勢情報を開始スイッチがON操作された時から所定時間(以下、「作動時間」と記す。)毎に抽出し、抽出されたブーム姿勢情報に基づいて作業台23の位置を算出する。そして、この算出された作業台23の位置情報を作動時間とともにメモリ55に記憶させる。そして、作業台23が図3に示す移動先の点P2に到着すると、作業者は図2に示すブーム操作装置25を操作するとともに、ティーチング記憶開始・終了スイッチ43の終了スイッチをON操作してティーチング作業を終了させる。
【0024】
次に、作業台23を再生移動作動させる場合の作用について説明する。作業台23を図3に示す点P1の位置に配置させた後、作業者は図2に示すプレイバック・通常切替スイッチ41のプレイバックモードを選択操作し、ティーチング記憶開始・終了スイッチ43の開始スイッチをON操作する。開始スイッチがON操作されると、作動制御回路51は不要軌跡特定回路59を作動させ、不要軌跡特定回路59がメモリ55から移動軌跡を読み出し、この移動軌跡のうち移動軌跡を記憶させたときのブーム操作装置25の操作内容と相違する方向の移動軌跡(不要軌跡)を特定する。そして、不要軌跡がなければ、作動制御回路51が再生移動継続回路61を作動させ、再生移動継続回路61がメモリ61から作業台23の移動軌跡を読み出し、この移動軌跡に基づいて作動制御弁49を作動させる作動信号を発生する。そして、この作動信号に基づいて作動制御回路55が作動制御弁49の作動を制御してアクチュエータ15,19,21が作動し、作業台23が図3に示す点P1から点P2の方向へ移動する。尚、このとき、規制回路63は作動しない。
【0025】
また、作動制御回路51は干渉判定回路57を作動させ、干渉判定回路57がブーム姿勢算出回路53から作業台23の位置情報を取り込み、この位置情報が干渉防止領域E0内にあるか否かを判定する。ここで、図3に示す作業台23が左側へ真っ直ぐ延出する移動軌跡29から作業対象物27側へずれて移動して干渉防止領域E0内に侵入すると、干渉判定回路57が作業台23が干渉防止領域E0内にあると判定する。そして、この判定信号が図2に示す再生移動継続回路61に送られ、再生移動継続回路61は、この判定信号に基づいて作動信号のうち作業台23を図3に示す干渉防止領域E0側へ移動させる作動信号を作動制御回路51に入力させないようにその出力をマスクし、それ以外の作動信号の作動制御回路51への入力を許容する。
【0026】
その結果、作動制御回路51はマスクされた作動信号以外の作動信号に基づいて作動制御弁49の作動を制御してアクチュエータ15,19,21を作動させる。ここで、図3に示す干渉防止領域E0内の作業台23の移動方向をDとすると、移動方向Dの方向成分は作業対象物27から移動軌跡29側へ向かう垂直方向成分Dvと点P2側へ向かう水平方向成分Dhの合算された方向になる。このため、作業台23は作業対象物27から遠ざかる方向へ移動するとともに終点である点P2側へ移動する。そして、作業台23はP2の近傍で停止する。
【0027】
このように、作業台23が再生移動作動されている場合、作業台23が移動軌跡29から作業対象物27側へずれて干渉防止領域E0内に侵入しても、作業台23は停止せず、終点に接近する方向の移動方向成分と移動軌跡29側の移動方向成分を有して移動する。このため、作業台23が作業対象物27に衝突する虞がなくなるとともに作業台23が停止することなく継続して移動するので、作業台23に搭乗した作業者は作業に集中することができ、繰り返し作業全体の作業効率を向上させることができる。
【0028】
尚、図2に示す再生移動継続回路61にはマスクする作動信号をいずれにするかを設定した規制情報を記憶した規制メモリ(図示せず)が内蔵されている。尚、この規制メモリは再生移動継続回路61と別個に設けることもできる。規制情報は図2に示すメモリ55に記憶する移動軌跡と作業対象物27等との位置関係から任意に設定することができる。例えば、図4(a)に示すように、運転キャビン5の両側部から外側に所定の幅を有する干渉防止領域E1を設定し、干渉防止領域E1の外側の近傍に干渉防止領域E1内に侵入することなく伸縮ブーム17を上方へ移動させるティーチング作業を行なって図2に示すメモリ55にこの移動軌跡65を記憶させた場合、再生移動継続回路61の規制メモリには、伸縮ブーム17が移動軌跡65から運転キャビン5側へずれて干渉防止領域E1内に侵入したときに伸縮ブーム17の運転キャビン5側への移動を阻止するため、伸縮ブーム17を運転キャビン17側へ旋回動させる作動信号をマスクする内容が記憶される。その結果、伸縮ブーム17が上方へ再生移動作動している途中で干渉防止領域E1内に侵入しても、伸縮ブーム17は運転キャビン5に衝突する虞はなく、また停止せずに上方へ継続して移動することができる。
【0029】
次に、不要軌跡を削除して再生移動作動させる場合について説明する。ここで、図4(b)は全縮状態の伸縮ブーム17がブーム受け26に載置された状態を示している。尚、干渉判定回路57はブーム受け26の近くに伸縮ブーム17があるか否かを判定する機能を有している。最初に、同図に示すように、ブーム受け26に載置された伸縮ブーム17を起伏動させて点P3の位置に移動させた後に点P3から右上方の点P4の位置に移動させるティーチング作業を説明する。
【0030】
作業者は図2に示すティーチング記憶開始・終了スイッチ43の開始スイッチをON操作した後にブーム操作装置25を操作する。ブーム操作装置25が操作されるとその直後に伸縮ブーム17が図4(b)に示すブーム受け26から浮き、車両の傾斜等の影響で微小ながら右に旋回動して点P0から点P5に移動する。そして、伸縮ブーム17が起伏動して点P5の上方位置の点P6に移動する。更に、作業者が図2に示すブーム操作装置25を操作して伸縮ブーム17を点P6の右上方の点P4に移動させる。これと同時に、図2に示すメモリ55には点P0から点P5に移動し点6を経由して点P4に至る移動軌跡が記憶される。また、不要軌跡特定回路59には作動時間に対応したブーム操作装置25の操作内容が記憶される。
【0031】
次に、ブーム受け26に載置された伸縮ブーム17を点P0から点P4に再生移動させるには、作業者が図2に示すプレイバック・通常切替スイッチ41のプレイバックモードを選択操作し、ティーチング記憶開始・終了スイッチ43の開始スイッチをON操作する。開始スイッチがON操作されると作動制御回路51が不要軌跡特定回路59を作動させる。不要軌跡特定回路59はメモリ55から移動軌跡を読み出し、この移動軌跡のうち移動軌跡を記憶したときのブーム操作装置25の操作内容と相違する方向の移動軌跡(不要軌跡)を特定する。
【0032】
即ち、不要軌跡特定回路59は図4(b)に示す伸縮ブーム17を起伏動させる操作をしたにも係わらず旋回動して、伸縮ブーム17が点P0から点P5に至る軌跡を不要軌跡L1として特定する。そして、不要軌跡特定回路59はこの不要軌跡L1の情報を図2に示す再生移動継続回路61に送り、再生移動継続回路61は作動信号のうち不要軌跡L1に対応する作動信号の作動制御回路51への出力を遮断(マスク)する。
【0033】
その結果、再生移動継続回路61は伸縮ブーム17を図4(b)の点P0から起伏動させて点P6の高さ位置(点P3の近傍の位置)まで移動させた後にその向きを変え、点P4へ向かって移動させて点P4に到達した時点で停止させる。このように、移動軌跡内に不要軌跡L1が存在していても再生作動時にはこれを削除した残りの移動軌跡情報に従って再生移動作動を継続させることができる。
【0034】
尚、図2に示すメモリ55に移動軌跡を記憶させる場合、ブーム操作装置25の操作により移動すべき作業台23の移動軌跡とブーム姿勢算出回路53により算出された作業台23の移動軌跡とが相違するときには、ブーム操作装置25の操作により移動すべき方向への作業台23の移動軌跡をメモリ55に記憶させる移動軌跡修正回路をコントローラ47に設けることができる。
【0035】
この場合、移動軌跡修正回路はブーム姿勢算出回路53とメモリ55間に介在させ、作動制御回路51を介してブーム操作装置25の操作内容を取り入れる。このように接続することで、移動軌跡修正回路はブーム操作装置25の操作内容と作業台23の位置情報からブーム操作装置25の操作により移動すべき作業台23の移動軌跡とブーム姿勢算出回路53により算出された作業台23の移動軌跡とが相違する場合に、ブーム操作装置25の操作により移動すべき方向への作業台23の移動軌跡をメモリ55に記憶させることができる。
【0036】
また、前述した実施の形態では、作業台23の作業対象物27側への移動を規制する場合として作業台23が干渉領域に侵入している状態のときを示したが、これに限るものではなく、車体3を転倒させようとする方向に作用する転倒モーメントの大きさが許容転倒モーメントを越えたときに転倒モーメントが大きくなる方向の作業台23の移動のみを規制するようにすることができる。
【0037】
この場合には、図2に示す作業台自動移動装置40において、転倒モーメントの大きさを検出するモーメント検出センサと、モーメント検出センサにより検出された検出値と許容転倒モーメントを比較し検出値が許容転倒モーメントを越えたときに転倒する虞がある旨の判定をする転倒モーメント判定回路とを設ける。そして、転倒モーメント判定回路が転倒する虞があると判定したときには、再生移動継続回路61が転倒モーメントが大きくなる方向の作業台23の移動のみを規制し再生移動を継続させる。
【0038】
【発明の効果】
本発明による作業車の作業台自動移動装置によれば、位置検出手段から得た作業台の位置情報が、予め設定された干渉防止領域内に侵入していると判定されたときに、再生移動継続手段が作業台が移動軌跡から離反する方向の作業台再生移動制御手段の作動のみを規制して、すなわち作業台再生移動制御手段により作業台を干渉防止領域側へ移動させる方向成分に対応する再生作動のみを規制し他の方向成分に対応する再生作動を許容して、作業台の再生移動を継続させる。例えば、伸縮ブームにおける旋回、起伏、および伸縮の作動のうち作業台を干渉防止領域側へ移動させる作動を規制し他の作動を許容して、作業台の再生移動を継続させる。これにより、作業台を停止させずに再生移動を継続させることができ、また、作業台の移動軌跡を記憶させるティーチング作業において、作業対象物の規制領域付近でティーチング作業を行なって再生移動作動を行なった場合、作業台が規制領域内に侵入しても作業台が作業対象物に衝突する虞はなく、且つ停止させずに再生移動作動を継続させることができ、使い勝手が向上して作業全体の作業効率を向上させることができる。
【0039】
また、作業台の位置を検出する位置検出手段を設け、軌跡記憶手段に作業台の移動軌跡を記憶させる際に、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡と位置検出手段により検出された作業台の移動軌跡とが相違するときは、操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を軌跡記憶手段に記憶させる場合には、軌跡記憶手段に操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を確実に記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における作業台自動移動装置を搭載した高所作業車の正面図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態における作業台自動移動装置のブロック図を示す。
【図3】本発明の一実施の形態における作業台自動移動装置の作用を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施の形態における作業台自動移動装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1 高所作業車(作業車)
3 車体
17 伸縮ブーム(作業台移動手段)
23 作業台
25 ブーム操作装置(操作手段)
29,65 移動軌跡
40 作業台自動移動装置
45 ブーム姿勢センサ(位置検出手段)
51 作動制御回路(作業台再生移動制御手段)
55 メモリ(軌跡記憶手段)
57 干渉判定回路(作動規制事態判定手段)
61 再生移動継続回路(再生移動継続手段)

Claims (3)

  1. 車体上に設けられた作業台移動手段と、前記作業台移動手段により移動される作業台と、前記作業台移動手段の作動を操作する操作手段と、前記作業台の位置を検出する位置検出手段と、前記操作手段の操作により移動した作業台の移動軌跡を記憶する軌跡記憶手段と、前記軌跡記憶手段に記憶された移動軌跡に従って前記作業台を移動させる再生移動を行なわせる作業台再生移動制御手段とを備え、
    前記作業台再生移動制御手段により前記移動軌跡に従って前記作業台を再生移動させている場合に前記位置検出手段から得た前記作業台の位置情報が、作業対象物と前記作業台とが干渉しないように予め設定された干渉防止領域内に侵入しているか否かを判定する作動規制事態判定手段と、
    前記作動規制事態判定手段により前記作業台の位置情報が前記干渉防止領域内に侵入していると判定されたときに、前記作業台再生移動制御手段により前記作業台を前記干渉防止領域側へ移動させる方向成分に対応する再生作動のみを規制し他の方向成分に対応する再生作動を許容して、前記作業台の再生移動を継続させる再生移動継続手段とを有することを特徴とする作業車の作業台自動移動装置。
  2. 前記作業台移動手段が、旋回、起伏、および伸縮自在な伸縮ブームで構成され、前記作業台は前記伸縮ブームの先端に設けられ、
    前記位置検出手段が、前記伸縮ブームの旋回角度、起伏角度、および伸縮量に基づいて前記作業台の三次元位置を算出し、
    前記再生移動継続手段が、前記作動規制事態判定手段により算出された前記作業台の三次元位置が前記干渉防止領域内に侵入していると判定されたときに、前記伸縮ブームにおける旋回、起伏、および伸縮の作動のうち前記作業台を前記干渉防止領域側へ移動させる作動を規制し他の作動を許容して、前記作業台の再生移動を継続させる、ことを特徴とする請求項1記載の作業車の作業台自動移動装置。
  3. 前記作業台再生移動制御手段は、
    前記軌跡記憶手段に前記作業台の移動軌跡を記憶させる場合に、前記操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡と前記位置検出手段により検出された前記作業台の移動軌跡とが相違するときには、前記操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡の記憶を削除し前記操作手段の操作により移動すべき作業台の移動軌跡を記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車の作業台自動移動装置。
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