JP3861425B2 - 加熱圧縮成形材料組成物、シートモールディングコンパウンド及びバルクモールディングコンパウンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱によって増粘させることができ、貯蔵安定性、フィルム剥離性、成形性に優れた加熱圧縮成形材料組成物、シートモールディングコンパウンド及びバルクモールディングコンパウンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂を繊維強化材で補強したいわゆるFRPは、漁船、ボート、タンク、パイプ、工業部品、住設部材等の多方面において使用されている。また、成形方法として作業効率、作業環境の点から、シートモールディングコンパウンド(以下SMCと略記)やバルクモールディングコンパウンド(以下BMCと略記)が広く用いられている。
【0003】
一方、現在一般にFRP用熱硬化性樹脂として知られている不飽和ポリエステル樹脂は、耐疲労性および高温熱的特性が劣るという欠点を有する。この改良のために、エポキシ樹脂、エポキシSMCおよびBMCの検討が進められている。エポキシ樹脂を主成分とするSMCおよびBMCのマトリックス樹脂については特開昭58−191723号公報に水酸基を有するエポキシ樹脂、ポリオール及びポリイソシアネート化合物よりなる組成物が記載されている。同様に水酸基とイソシアネートの反応によって増粘させる例は、特開平2−235919号公報、特開平4−88011号公報、特開平5−320303号公報、特開平6−166742号公報などがある。また、エポキシ樹脂と硬化剤であるアミンあるいは酸無水物と一部反応させ増粘させる方法もとられる。これらは、共有結合による増粘であることから成形時の流動性が悪く、かつ貯蔵安定性に問題がある。その他、常温固体のエポキシ樹脂を用いて加温溶融と冷却固化により増粘を行う系が特開昭57−31936号公報に記載されている。しかしながら、該組成物は粉体間混合の煩雑さ、熱的貯蔵安定性の悪さ、加熱圧縮硬化時の急激な粘度低下によるピンホールの発生等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エポキシ樹脂を用いて、貯蔵安定性、成形性、フィルム剥離性に優れた加熱圧縮成形材料組成物、シートモールディングコンパウンド及びバルクモールディングコンパウンドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、(A)常温で液状のエポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、(C)コア層とシェル層とで構成される熱可塑性樹脂粉末であり、コア層がアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの中から選ばれた少なくとも1種の単量体を用いるアクリル系重合体であり、シェル層がN−置換アクリルアミド、アクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体、遊離カルボキシル基を有する単量体から選ばれる2種以上の単量体を用いるものであり、ラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体をコア/シェル型共重合体中0.5%を超えないで用いるアクリル系共重合体からなる樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(D)無機フィラーからなり、加熱によって増粘可能であることを特徴とする加熱圧縮成形材料組成物、好ましくは該エポキシ樹脂(A)100重量部当たり、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤(C)5〜150重量部、無機フィラー(D)100〜500重量部含有してなること、好ましくは前記(C)成分の熱可塑性樹脂粉末のシェル層が、遊離カルボキシル基を有する共重合体に、金属カチオンを付加してイオンまたは配位結合によって架橋させた共重合体であること、これら組成物を用いたことを特徴とするシートモールディングコンパウンド、もしくはバルクモールディングコンパウンドを提供するものである。
【0007】
次に本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱圧縮成形材料とは、型内で加熱加圧圧縮成形される材料であり、好ましくはシートモールディングコンパウンド(SMCと言う)およびバルクモールディングコンパウンド(BMCと言う)である。
【0009】
本発明で使用される常温で液状のエポキシ樹脂(A)とは、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂であればいずれでもよく、固体のエポキシ樹脂でも液体エポキシ樹脂に溶解して使用することができる。その例としては、通常のビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンの縮合物のようなジグリシジルエーテル、脂肪族のグリシジルエーテル、脂環式エポキサイド、フタル酸誘導体とエピクロルヒドリンの縮合物のようなジグリシジルエステル、ヒダントイン系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂およびウレタン変性エポキシ樹脂などがあげられ、単体でまたは2種以上を混合して使用する事ができる。
【0010】
エポキシ用硬化剤(B)としては、好ましくは加熱活性型硬化剤が用いられ、加熱により硬化作用を発揮する硬化剤で、例えば、ジシアンジアミド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ペンタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N’−ジアルキル尿素誘導体、N,N’−ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン、グアナミンなどがあげられる。これらは、使用するエポキシ樹脂(A)のエポキシ当量、硬化条件により配合されるが、好ましくはエポキシ樹脂(A)100重量部に対して、1〜15重量部添加して用いる。
【0011】
前記イミダゾール誘導体、N,N’−ジアルキル尿素誘導体、アルキルアミノフェノール誘導体などは、促進剤としても使用できる。硬化剤および促進剤の硬化に必要充分な配合量は予め試験することによって容易に決定される。
【0012】
増粘剤(C)は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ジエンおよびこれらと共重合可能な単量体の中から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を含有する樹脂粉末で、コア層とシェル層で構成される熱可塑性樹脂粉末を有効成分とするものである。この成分に用いるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、などがあげられる。
【0013】
又、ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどの共役ジエン系化合物、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンなどの非共役ジエン系化合物などがあげられる。
【0014】
これらと共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物、メタアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、などのメタクリルアミド系化合物およびグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルアクリレートなどをあげることができる。好ましくは前記の芳香族ビニル化合物である。
【0015】
上記単量体成分の中から選ばれた1種以上の単量体をコア層とし、シェル層には2種以上の単量体を用いる。また、シェル層にはエポキシ樹脂に対し、加温によって溶解性を発現する構造とするため、N−置換アクリルアミド、アクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体、遊離カルボキシル基を有する単量体を共重合させる。
【0016】
N−置換アクリルアミドとしては、例えば、N−アクリロイルピロリジン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミドなどを用いることができる。
【0017】
アクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートヘキサンジオールジアクリレート、オリゴエチレンジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどの芳香族ジビニル単量体、トリメリット酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレートなどが例示される。該架橋性単量体量は、コア/シェル型共重合体中0.5%を超えてはならない。なぜなら、架橋度が高すぎ、マトリックスであるエポキシ樹脂に膨潤しないためである。
【0018】
遊離カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などのジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノエステルなどが例示される。
【0019】
本発明で使用するコア層/シェル層を有する熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤(C)、即ち、粒子状共重合体の製造方法は、格別限定されるものではないが、好ましくは少なくとも2段階の連続した多段シード乳化重合により製造する。すなわち、第1段目にコア層成分となる単量体を、乳化剤の存在下重合開始剤として過酸化物開始剤、レドックス開始剤などのラジカル重合開始剤を用いて乳化重合を行いコア層成分を含有するシードラテックスを得る。次いで第2段目としてシェル層成分の単量体を、第1段目で得られたコア層成分を含有するシードラテックスに添加して、乳化剤の存在下、重合開始剤として過酸化物開始剤、レドックス開始剤などのラジカル重合開始剤を用いて乳化重合してシェル層成分を形成する。このような多段シード乳化重合により粒径が300〜5000オングストロームのコア層/シェル層を有する粒子状共重合体を含有するラテックスを製造することができる。
【0020】
なお、この場合シェル層成分の重合は、コア層成分の重合に引き続き行ってもよく、第1段目で製造したコア層成分のシードラテックスを部分凝集させた後に行っても良い。遊離カルボキシル基を有する単量体をシェル層成分の1つとした場合、第2段目の重合の後、金属カチオンを添加してシェル層のカルボキル基間をイオンまたは配位結合させる。この金属カチオンとしては、例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウムなどの一価の金属イオン、カルシウム、亜鉛、スズ、クロム、鉛などの二価の金属イオンなどを使用することができるが、特に周期律表I〜II属に属する金属の一価または二価のイオンが好ましい。また、該カチオンの供給体としては、前記金属類の酸化物、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、亜硝酸塩、亜硫酸塩などの無機酸の塩、さらにはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル酸、カプリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノレン酸、コハク酸、アジピン酸、ナフテン酸、チオカルボン酸などの有機酸の塩、アセチルアセトン塩、エトキシドやメトキシドなどのアルコラートなどがあげられる。これらの金属カチオンの中で、特に一価の金属の水酸化物およびカルボン酸塩が反応効率や加熱成形品の機械的強度の点から有効である。前記の一価および二価のカチオン供給体は、溶液中においては、室温で数分以内でイオン架橋反応が可能であるという特徴を有している。
【0021】
本発明の増粘剤(C)は、前述の多段重合により得られたコア層/シェル層型共重合体を含むラテックスである。従って、その乾燥方法は、多翼型回転ディスク式、円盤型回転ディスク式、ノズル式などで噴霧乾燥することにより、粉末状のコア層/シェル層型共重合体が得られる。この乾燥の場合、一般にコア層/シェル層型共重合体は噴霧液滴単位で凝集し、好ましくは20〜100μm程度の凝集粒子を形成する。凝集の程度は、乾燥条件によって異なり、乾燥後に粉砕してほぐす工程を設けることもできる。また、乳化重合後に塩析法や凍結法によりラテックス粒子を凝固分離し、脱水して調製したウェットケーキを流動床などで乾燥して、凝集粒子状として得ることもできる。
【0022】
本発明の加熱圧縮成形材料組成物には、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、好ましくはコア層/シェル層型粒子状共重合体からなる熱可塑性樹脂粉末を増粘剤として5〜150重量部、より好ましくは20〜50重量部を用いる必要がある。5重量部未満では加熱による増粘を行っても、わずかに粘度が上昇するだけであって、固形状とはならない。また、150重量部を超える場合は充分にエポキシ樹脂中に分散せず混合できない。なお、本発明のエポキシ樹脂(A)には、所望により硬化促進剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、顔料、内部離型剤等の添加剤を配合することができる。
【0023】
本発明の無機フィラー(D)としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、セッコウ、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉などが挙げられる。これらの無機フィラー(D)は、作業性や得られる成形品の強度、外観、経済性などを考慮して選ばれるが、通常炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、シリカなどがよく用いられる。その添加量は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは100〜500重量部、より好ましくは150〜300重量部を用いる。
【0024】
繊維強化材(E)としては、例えば、ガラス繊維、アミド、アラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維或いはこれらを組合わせて用いられる。経済性を考慮した場合、特に好ましいのはガラス繊維である。また、繊維の形態は、平織り、朱子織り、不織布、マット状等があるが、ガラスロービングを好ましくは5〜100mmにカットしてチョップドストランドにて使用する。
【0025】
本発明の組成物は、加熱によって増粘可能であり、増粘することで成形材料として使用できる。本発明の材料は、該増粘温度より10℃以上高い温度で加熱圧縮成形可能である。
【0026】
上記組成物は、(A)〜(D)各成分を混合分散させるに当たり、好ましくは液状成分に粉末成分を混合する方法で、通常のロール、インターミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの混合機を用いて行う。
【0027】
(A)〜(D)各成分の混合順序は、特に限定されるものではないが、好ましくは、常温で液状のエポキシ樹脂(A)にエポキシ硬化剤(B)を混合溶解させた後、(C)成分増粘剤を添加し、上記撹拌装置を用いて分散させる。続いて、無機フィラー(D)を加え混合分散させる。
【0028】
本発明の増粘工程は、加熱することでなされる。その加熱温度は、好ましくは45℃〜160℃で、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤(C)の種類および添加量によってその加熱温度は異なり、加熱時間も異なる。その加熱時間は、好ましくは15分〜2時間でる。増粘温度が45℃未満の場合、無機フィラー等の配合混合時、撹拌時の熱で粘度が上昇し、均一に分散した成形材料を得ることができない。また、160℃を超える場合、増粘と同時に硬化してしまうので、Bステージ化した成形材料を得ることができない。加熱方法は、加熱温度雰囲気にできる装置を使用して、その装置内に成形材料を一定時間放置し、増粘工程を行えば良い。
【0029】
増粘後のこれら成形材料の粘度は、好ましくは25℃で2万ポイズ以上であり、より好ましくは、5万〜10万ポイズである。
【0030】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0031】
(参考例1)コア層/シェル層型共重合体の製造
メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体からなる高分子乳化剤を用い常法に従って、表1に記載されているコア成分の単量体の乳化重合を行い、コア成分を有するシードラテックスを得た。次いで、表1に記載されているシェル成分の単量体を添加、重合を行い、シェルを形成させ、コア/シェル型共重合体ラテックスを得た。メタクリル酸を含む系では、共重合の後、水酸化カリウム1重量%水溶液100重量部を室温で添加して30分間攪拌した。得られたコア/シェル型ラテックスの平均粒子径はいずれも0.2〜0.5μmの範囲内であった。得られたラテックスをスプレードライによって150℃で噴霧乾燥し、コア/シェル型共重合体粉末を得た。
【0032】
【表1】
※MMA:メチルメタクリレート、n-BA:n-ブチルアクリレート、DEGDMA:ジエチレングリコールジメタクリレート
NIPAM:N-イソプロピルアクリルアミド、MAA:メタクリル酸、SM:スチレン、KOH:水酸化カリウム
【0033】
(<評価方法>)
(フィルム剥離性)増粘後にポリプロピレンフィルムからの剥離性を確認し、以下の4段階評価で表した。
【0034】
◎:べたつきが無く、簡単にフィルムから剥がし易い。
○:わずかにべたつき感があるものの、容易にフィルムから剥がすことができる。
【0035】
△:べたつきがあり、一部フィルムから剥がす時に付着物が残る。
×:フィルムに密着する。
【0036】
(貯蔵安定性)増粘後、25℃で6日間放置し、配合物の分離があるか否かを目視で確認し、無い場合を良好とした。
(成形性)180℃/30分で成形した場合の離型性と成形品状態を以下の4段階で評価した。
【0037】
◎:離型性良好。成形品も均一であってピンホールなどの欠陥がほとんど見られない。
○:離型性やや不良。(離型時に一部張り付く部分あり)成形品はほぼ均一。
【0038】
△:離型性やや不良。成形品に圧力がかからず、空孔が成形品表面に見られる。 ×:離型性不良。成形時、圧力がかからず。
【0039】
(実施例1〜8)
表2に示す種類と量の各成分を室温下で分散混合し、加熱圧縮成形材料組成物をを調製し、該組成物をポリプロピレンフィルムで包んだ後、80℃にて30分増粘させた。この過程でフィルムの剥離性を評価した。また、プレス成形は該組成物340gを20×20cmの金型を用いて行った。成形条件は180℃で30分。評価結果を表2中に示す。いずれの場合も貯蔵安定性(6日/25℃)は良好であった。
【0040】
【表2】
(実施例1〜8)
【0041】
(比較例1〜4)
表3に示す種類と量の各成分を室温下で分散混合した。比較例3は混合時、室温下で粘度上昇がみられ、かつフィルム剥離性は不良。比較例1、4は加熱後もほとんど増粘が見られず、フィルム剥ぎ性が不良。比較例2では混合物がバサバサになり、ガラス繊維など充填物を追加することができない。
【0042】
【表3】
(比較例)
【0043】
【発明の効果】
本発明は、貯蔵安定性、フィルム剥離性、成形性に優れた加熱圧縮成形可能なエポキシ樹脂系成形材料であり、特にBMC、SMCと言った成形材料とすることが可能なものである。また、加温による増粘方法を取ることができることから品質の制御が簡単である。
Claims (6)
- (A)常温で液状のエポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、(C)コア層とシェル層とで構成される熱可塑性樹脂粉末であり、コア層がアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの中から選ばれた少なくとも1種の単量体を用いるアクリル系重合体であり、シェル層がN−置換アクリルアミド、アクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体、遊離カルボキシル基を有する単量体から選ばれる2種以上の単量体を用いるものであり、ラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体をコア/シェル型共重合体中0.5%を超えないで用いて得られるアクリル系共重合体からなる樹脂粉末を有効成分とする増粘剤、(D)無機フィラーからなり、加熱によって増粘可能であることを特徴とする加熱圧縮成形材料組成物。
- 更に、繊維強化材(E)を含むことを特徴とする請求項1記載の加熱圧縮成形材料組成物。
- 該エポキシ樹脂(A)100重量部当たり、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤(C)5〜150重量部、無機フィラー(D)100〜500重量部含有してなることを特徴とする請求項1記載の加熱圧縮成形材料組成物。
- 前記(C)成分の熱可塑性樹脂粉末のシェル層が、遊離カルボキシル基を有する共重合体に、金属カチオンを付加してイオンまたは配位結合によって架橋させた共重合体であることを特徴とする請求項1記載の加熱圧縮成形材料組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の組成物を用いたことを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
- 請求項1〜4いずれか記載の組成物を用いたことを特徴とするバルクモールディングコンパウンド。
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