JP3861379B2 - 含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋重合後に高い表面硬度、良好な密着力及び低屈折率を示し、反射防止膜や光ファイバーのクラッド材料等の原材料成分として利用できる含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素原子を有する化合物は低屈折率を示すため反射防止膜や光ファイバーのクラッド材料等への使用が可能である。いずれも屈折率の低下に伴い性能は向上する。例えば含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体、他モノマーとの共重合体、テトラフルオロエチレン重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体又はフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等の光ファイバーへの応用が提案されている(特開昭59−84203号公報、特開昭59−84204号公報、特開昭59−98116号公報、特開昭59−147011号公報、特開昭59−204002号公報)。
【0003】
最近ではアクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体、メタクリル酸含フッ素アルキルエステル重合体、又は商品名「サイトップ」(旭硝子株式会社製)、商品名「テフロンAF」(アメリカ・デュポン社製)等の非結晶性ペルフルオロ樹脂等の溶媒可溶性の低屈折率含フッ素重合体の減反射フィルムへの応用が試みられている(特開昭64−16873号公報、特開平1−149808号公報、特開平6−115023号公報)。
しかし、これらの含フッ素樹脂はいずれも非架橋性樹脂であり硬化後の表面硬度が低く、耐摩耗性に劣り、密着力も不十分であるという欠点がある。
【0004】
表面硬度を向上させるために含フッ素単官能(メタ)アクリル酸エステル又は含フッ素二官能(メタ)アクリル酸エステルと、非含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルとの適当な配合から得られる架橋重合体が提案されている(特開昭58−105943号公報、特開昭62−199643号公報、特開昭62−250047号公報)。これらの架橋重合体は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル中のフッ素含量や非含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルとの配合比を調整することで、ある程度の範囲内で低屈折率と表面硬度を調節しうる。しかし、含フッ素単官能(メタ)アクリル酸エステルと多官能(メタ)アクリル酸エステルとは相溶性が悪く任意の割合では相溶しない。そのため十分な低屈折率を達成できない。一方、含フッ素二官能(メタ)アクリル酸エステルと多官能(メタ)アクリル酸エステルとは任意の割合で相溶する。しかし屈折率を下げるために架橋重合体中のフッ素原子含量を増やすと架橋密度が低下してしまう。そのため低屈折率と表面硬度とを満足に両立することはできず、光ファイバー及び減反射フィルムへ表面硬度を付与することは困難である。更に密着力にも問題がある。
【0005】
密着力の向上、並びに他の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの原材料としての使用を目的として、含フッ素ヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステルが提案されている(特開平4−321660号公報、特開平4−356443号公報、特開平4−356444号公報)。しかし、これらは単官能(メタ)アクリル酸エステルであるので、硬化後の表面硬度が低く、耐摩耗性に劣るという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低屈折率、表面硬度及び密着力を満足しうる含フッ素化合物を与える含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記式(1)で表される含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルが提供される。
【0008】
【化2】
【0009】
(式中Xは、フッ素原子を3個以上有する炭素数1〜14のフルオロアルキル基又はフッ素原子を4個以上有する炭素数3〜14のフルオロシクロアルキル基を示し、Y1、Y2及びY3は、水素原子、アクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、且つY1、Y2及びY3のうちの少なくとも2個は、同一若しくは異なる基であって、アクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。n及びmは0又は1を示し、且つn+m=1である。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルは、前記式(1)で表すことができる。式(1)においてn=1で且つm=0の場合は下記式(1a)で表すことができ、n=0で且つm=1の場合は下記式(1b)で表すことができる。
【0011】
【化3】
【0012】
具体的には、前記式(1a)において、Y1、Y2及びY3のうち2個がアクリロイル基又はメタクリロイル基を、残る1個が水素原子を示す、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する含フッ素二官能(メタ)アクリル酸エステル(以下ジエステルAと称する);前記式(1b)において、Y1、Y2及びY3のうち2個がアクリロイル基又はメタクリロイル基を、残る1個が水素原子を示す、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する含フッ素二官能(メタ)アクリル酸エステル(以下ジエステルBと称する);前記式(1a)において、Y1、Y2及びY3が同一又は異なる基であり、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す、含フッ素三官能(メタ)アクリル酸エステル(以下トリエステルAと称する);前記式(1b)において、Y1、Y2及びY3が同一又は異なる基であり、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す、含フッ素三官能(メタ)アクリル酸エステル(以下トリエステルBと称する)である。式(1)において、Xの炭素数が12を超えると製造が困難である。
【0013】
ジエステルAとしては、3−ペルフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロヘキシル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、又は3−ペルフルオロオクチル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート等が好ましく挙げられる。
【0014】
ジエステルBとしては、2−ペルフルオロヘキシル−(1−ヒドロキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロヘキシル−1−((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロオクチル−(1−ヒドロキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、又は2−ペルフルオロオクチル−1−((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート等が好ましく挙げられる。
【0015】
トリエステルAとしては、3−ペルフルオロブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロヘキシル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロオクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロシクロペンチルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロシクロヘキシルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、又は3−ペルフルオロシクロヘプチルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート等が好ましく挙げられる。
【0016】
トリエステルBとしては、2−ペルフルオロブチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロヘキシル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロオクチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロシクロペンチルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロシクロヘキシルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、又は2−ペルフルオロシクロヘプチルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート等が好ましく挙げられる。
【0017】
これらジエステルA、ジエステルB、トリエステルA及びトリエステルBは、低屈折率樹脂等の原材料として使用する際には単独若しくは混合物として用いることができる(以下、ジエステルA及びジエステルBの混合物を「ジエステル混合物」と称し、トリエステルA及びトリエステルBの混合物を「トリエステル混合物」と称し、ジエステルとトリエステルとの混合物、ジエステル混合物又はトリエステル混合物を総称して「エステル混合物」と称する場合がある)。
【0018】
本発明の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルの好ましい製造法の例としては、以下の2種類の製造法を挙げることができる。
第1の製造法は、(a)まず下記式(2)で表わされる2つのヒドロキシメチル基を有するカルボン酸(以下カルボン酸Cと称す)と、下記式(3)で表される含フッ素ジエポキシド(以下、エポキシドDと称す)とを、触媒の存在下、通常の開環反応により反応させて、下記式(4)及び(5)で表される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)カルボン酸ヒドロキシフルオロアルキル(以下エステルEと称す)の混合物を生成させ、(b)次いでこのエステルEと(メタ)アクリル酸クロリドとをエステル化反応させる方法等によりエステル混合物が製造できる。
【0019】
【化4】
【0020】
(式中X及びZは、式(1)中のX及びYと同様である。)。
【0021】
前記反応(a)において使用するカルボン酸Cとしては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメキル)酪酸、2,2,−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸等が好ましく挙げられる。エポキシドDとしては、例えば、3−トリフルオロメチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロエチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロプロピル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロペンチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロヘプチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロノニル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロデシル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロウンデシル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロドデシル−1,2−エポキシプロパン、3−ペルフルオロトリデシル−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−1−メチルエチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−2−メチルプロピル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−3−メチルブチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−4−メチルペンチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−5−メチルヘキシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−6−メチルヘプチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−7−メチルオクチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−8−メチルノニル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−9−メチルデシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−10−メチルウンデシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−11−メチルドデシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(ペルフルオロ−12−メチルトリデシル)−1,2−エポキシプロパン等が好ましく挙げられる。
【0022】
前記反応(a)におけるカルボン酸CとエポキシドDとを反応させる際の仕込み比は、エポキシドD 1molに対してカルボン酸C 0.8〜5mol、特に1.0〜1.8molが望ましい。
前記反応(a)に用いる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。触媒の添加量は、反応混合物全量中0.001〜5重量%、特に0.01〜2.5重量%が望ましい。
前記反応(a)の反応温度は、40〜200℃、特に80〜120℃が好ましく、反応時間は1〜48時間、特に2〜12時間が望ましい。
前記反応(a)によって生成したエステルEの混合物は、次の反応(b)に供する前に、必要に応じて触媒等を除去するためにクロロホルム、塩化メチレン、トリフルオロメチルベンゼン、酢酸エチル又はこれらの混合物等の有機溶媒に溶解させた後、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液、若しくは水等で洗浄することができる。必要に応じて減圧蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィ等により精製することもできる。
【0023】
前記反応(b)におけるエステルEと(メタ)アクリル酸クロリドとを反応させる際の仕込み比は、ジエステル混合物を製造する場合、エステルE 1molに対して(メタ)アクリル酸クロリド1.6〜10mol、特に2.0〜4.0molが好ましい。一方、トリエステル混合物を製造する場合、エステルE 1molに対して(メタ)アクリル酸クロリド2.4〜15mol、特に3.0〜6.0molが好ましい。
前記反応(b)において生じる塩酸を捕捉するために、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アルキルアミン又はピリジン等の塩基を反応系に添加することができる。塩基の添加量は、ジエステル混合物を製造する場合、エステルE 1molに対して1.6〜10.0mol、特に2.0〜4.5molが好ましい。一方、トリエステル混合物を製造する場合、エステルE 1molに対して2.4〜15.0mol、特に3.0〜7.0molが好ましい。
前記反応(b)は、適切な溶媒中で行うのが好ましい。適切な溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、トリフルオロメチルベンゼン又はこれらの混合物等が挙げられる。溶媒は、エステルE、(メタ)アクリル酸クロリド及び塩基の総量100重量部に対して20〜2000重量部、特に100〜500重量部用いるのが好ましい。
前記反応(b)の反応温度は、−60〜20℃、特に−40〜0℃が好ましく、反応時間は0.1〜12時間、特に0.5〜2時間が望ましい。
前記反応(b)終了後、生成したエステル混合物を含む系に、必要に応じて各種処理を行うことができる。例えば、反応系中の過剰の(メタ)アクリル酸クロリドを分解するためにメタノール、エタノール等のアルコール類又は水等を反応系に少量添加できる。希塩酸等の酸性水溶液で洗浄することもできる。必要に応じて、減圧蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により精製することもできる。減圧蒸留を行う際には重合防止のために、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルカテコール等の重合禁止剤を添加することができる。重合禁止剤の添加量は、前記反応(c)終了後の混合物全量中0.001〜2重量%、特に0.005〜0.2重量%が好ましい。
【0024】
前記反応(b)により生成したジエステル混合物は、通常、ジエステルA及びジエステルBそれぞれ2種類ずつ計4種類の構造異性体の混合物となる。具体的には下記式(6)〜(9)で表される、ジエステルA1(式(6))、ジエステルA2(式(7))、ジエステルB1(式(8))及びジエステルB2(式(9))である。
【0025】
【化5】
【0026】
(式中X、Y1、Y2、Y3及びZは、式(1)中のX、Y1、Y2、Y3及びZと同様である。)。
【0027】
これらの混合物からジエステルA1、ジエステルA2、ジエステルB1又はジエステルB2を、若しくはジエステルA1及びジエステルA2からなるジエステルA、又はジエステルB1及びジエステルB2からなるジエステルBを分離単離することにより目的物を得ることができる。
一方、トリエステル混合物は、トリエステルA及びトリエステルBの構造異性体の混合物となる。従って、ジエステルA及びジエステルBと同様にトリエステル混合物からトリエステルA及びトリエステルBを分離単離することにより目的物を得ることができる。いずれも分離単離方法としては、例えば、分取用液体クロマトグラフィ等の方法が挙げられる。
【0028】
第2の製造法は、(c)まず前記カルボン酸Cから特開昭63−99038号公報記載の方法等により、即ち前記カルボン酸Cに(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、又は(メタ)アクリル酸エステルを、必要に応じ適当な触媒の存在下で反応させる方法等によって、下記一般式(10)で表される2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)カルボン酸(以下カルボン酸Fと称す)を生成させ、
【0029】
【化6】
【0030】
(式中Y1、Y2及びZは、式(1)中のY1、Y2及びZと同様である)。
(d)次いでこのカルボン酸Fと前記エポキシドDとを触媒の存在下通常の開環反応により反応させる方法でエステル混合物が得られる。この反応により得られるエステル混合物は前記式(6)で表されるジエステルA1と前記式(8)で表されるジエステルB1の混合物となる。
【0031】
前記反応(c)におけるカルボン酸Cと(メタ)アクリル酸クロリドとの仕込み比は、カルボン酸C 1molに対して(メタ)アクリル酸クロリド1.6〜10mol、特に2.0〜4.0molが望ましい。
前記反応(c)において、反応で生じる塩酸を捕捉するために、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アルキルアミン又はピリジン等の塩基が添加できる。塩基の添加量はカルボン酸C 1molに対して1.6〜10mol、特に2.0〜4.5molが望ましい。
前記反応(c)は、適切な溶媒中で行うのが好ましい。適切な溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。溶媒はカルボン酸C、(メタ)アクリル酸クロリド及び塩基の総量100重量部に対して20〜2000重量部、特に100〜500重量部が望ましい。
前記反応(c)は、反応温度−60〜20℃、好ましくは−40〜0℃で行うことが望ましい。反応時間は0.1〜12時間、特に0.5〜2時間が望ましい。
【0032】
前記反応(c)によって生成したカルボン酸Fは、次の反応(d)に供する前に、必要に応じて各種処理が行なえる。例えば反応系中の過剰の(メタ)アクリル酸クロリドを分解するためにメタノール、エタノール等のアルコール類又は水等を少量添加できる。希塩酸等の酸性水溶液で洗浄することもできる。必要に応じて減圧蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィ等により精製することもできる。減圧蒸留を行う際には重合防止のために重合禁止剤、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルカテコール等が添加できる。添加量は、反応後の混合物全量中0.001〜2重量%、特に0.005〜0.2重量%が望ましい。
【0033】
前記反応(d)におけるエポキシドDとカルボン酸Fとを反応させる際の反応混合比は、エポキシドD 1molに対してカルボン酸F 0.8〜5mol、特に1.0〜1.8molが望ましい。
前記反応(d)に用いる触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等の公知の触媒が挙げられる。触媒の添加量は、反応混合物全量中0.001〜5.0重量%、特に0.01〜2.5重量%が望ましい。
前記反応(d)においては、重合を防止するために重合禁止剤を添加するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルカテコール等が好ましく挙げられる。重合禁止剤の添加量は、反応混合物全量中0.001〜2重量%、特に0.005〜0.2重量%が望ましい。
前記反応(d)は、反応温度40〜200℃、特に80〜120℃が望ましい。反応時間は1〜48時間、特に2〜12時間が望ましい。
【0034】
前記反応(d)終了後、生成したジエステル混合物を含む混合物に、必要に応じ各種処理を行い、使用に供することができる。例えば触媒等を除去するためにクロロホルム、塩化メチレン、トリフルオロメチルベンゼン等の有機溶媒に溶解した後、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で洗浄することができる。必要に応じて減圧蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィ等により精製することができる。減圧蒸留を行う際には重合防止のために重合禁止剤、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルカテコール等を添加することが望ましい。添加量は、反応後の混合物全量中0.001〜2重量%、特に0.005〜0.2重量%が望ましい。
一方、トリエステル混合物を製造する場合は、(e)前記反応(c)及び(d)を経て得られるジエステル混合物に更に1当量の(メタ)アクリル酸クロリドをエステル化反応させることにより得られる。
【0035】
前記反応(e)におけるジエステル混合物と(メタ)アクリル酸クロリドとの仕込み比は、ジエステル混合物 1molに対して(メタ)アクリル酸クロリド0.8〜5mol、特に1.0〜2.0molが好ましい。
【0036】
前記反応(e)において生じる塩酸を捕捉するために、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アルキルアミン又はピリジン等の塩基が添加できる。塩基の添加量は、ジエステル混合物 1molに対して0.8〜5.0mol、特に1.0〜2.5molが好ましい。
前記反応(e)は、適切な溶媒中で行うのが好ましい。適切な溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。溶媒は、ジエステル混合物、(メタ)アクリル酸クロリド及び塩基の総量100重量部に対して20〜2000重量部、特に100〜500重量部用いるのが好ましい。
前記反応(e)の反応温度は、−60〜20℃、特に−40〜0℃が好ましく、反応時間は0.1〜12時間、特に0.5〜2時間が望ましい。
【0037】
前記反応(e)終了後、生成したエステル混合物を含む系に、必要に応じて各種処理が行なえる。例えば、反応系中の過剰の(メタ)アクリル酸クロリドを分解するためにメタノール、エタノール等のアルコール類や水等を反応系に少量添加できる。希塩酸等の酸性水溶液で洗浄することもできる。必要に応じて、減圧蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により精製することもできる。減圧蒸留を行う際には重合防止のために、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルカテコール等の重合禁止剤が添加できる。重合禁止剤の添加量は、前記反応(e)終了後の混合物全量中0.001〜2重量%、特に0.005〜0.2重量%が好ましい。
前記反応(e)で生成したトリエステル混合物は、トリエステルA及びトリエステルBの構造異性体の混合物である。この混合物からトリエステルA及びトリエステルBを分離単離することにより目的物が得られる。分離単離は、例えば、分取用液体クロマトグラフィ等の方法により行なえる。
【0038】
本発明の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルは、そのまま架橋重合により硬化させて耐摩耗性、密着性等に優れた硬化被膜等とすることができ、使用に際しては夫々単独若しくは混合物として用いられる。ジエステルA又はジエステルBはさらに反応工程を行い、他の含フッ素多官能アクリレートとした後に架橋重合させても良い。例えば本発明のジエステルA又はジエステルBと、イソシアネート化合物等とを反応させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート等を合成し、さらにこれらを架橋重合により硬化させて硬化被膜を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルは、複数の(メタ)アクリロイル基を有するので、架橋重合により硬化させた際に三次元網目構造を呈し、表面硬度が高く耐擦傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐候性等に優れた硬化被膜が得られる。また水酸基を有するジエステルA及びジエステルBは、硬化被膜の密着力を良好にしうる。得られる硬化物は高い光透過性と低屈折率を有している上に密着性にも優れ、反射防止膜、光ファイバーのクラッド材料等の耐摩耗性、密着性等を要求される低屈折率樹脂の材料として有用である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−1
撹拌機、冷却管、ガス導入管を備えた反応器に、3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン476g(1.0mol)、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸161g(1.5mol)、テトラエチルアンモニウムブロマイド6.4g、イソプロピルアルコール600mlを仕込み、油浴中で徐々に加熱して95〜100℃とし、同温度で4時間撹拌した後、室温まで冷却した。得られた反応液に5リットルの水を加えペースト状物質を析出させた。析出物を濾過した後1000mlの酢酸エチルに溶解し、1000mlの水で3回洗浄し、溶媒を減圧留去して白色結晶を得た。これは下記化学式(11)及び(12)に示す構造を有する化合物の混合物であると考えられる。
【0041】
【化7】
【0042】
撹拌機、温度計、ガス導入管、滴下ロートを備えた反応器に前記反応で得られた白色結晶、トリエチルアミン303.6g、及びクロロホルム1000mlを仕込み、氷冷下でアクリル酸クロリド271.5g(3.0mol)をクロロホルム300mlに溶解して、滴下ロートから反応液の温度が5℃を超えないよう滴下した。滴下終了後氷冷のまま2時間撹拌した。クロロホルムを減圧留去し、得られた黄色結晶を更に酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:4)を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィにより精製し、溶媒を減圧留去することで白色結晶の生成物G 215g(収率30%)を得た。
【0043】
得られた生成物Gの一部を、更に高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。カラムはTSK gel Silica−60(内径21.5mm:長さ300mm:東ソー社製)を用い、酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:5)を毎分5mlの流速で分取した。検出は紫外線検出器で230nmの波長を用いた。分離の結果得られた化合物G−1、G−2、G−3及びG−4は、それぞれ下記化学式(13)、(14)、(15)及び(16)に示す構造を有する化合物であった。以下にこれらの化合物の1H−NMR、19F−NMR、Exact MSの結果を、構造式と共に示す。
【0044】
【化8】
【0045】
(G−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.43(dd,2H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,2H);4.53〜4.31(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.28,4.12(dABq,2H);2.49〜2.20(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.72;−118.91;−118.60;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値;718.0865,理論値;C22H19F17O7:718.0859
【0046】
【化9】
【0047】
(G−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,1H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);5.89(dd,1H);5.88(dd,1H);5.38〜5.35(m,1H);4.43,4.34(ABq,2H);4.28,4.12(dABq,2H);3.90,3.74(ABq,2H);2.49〜2.21(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.11;−120.47;−119.72;−118.92;−118.60;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値;718.0862,理論値;C22H19F17O7:718.0859
【0048】
【化10】
【0049】
(G−3分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.42(dd,2H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,2H);5.38〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);3.89,3.75(dABq,2H);2.49〜2.20(m,2H);1.32(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.71;−118.91;−118.60;−109.76;−77.78
Exact MS:測定値;718.0862,理論値;C22H19F17O7:718.0859
【0050】
【化11】
【0051】
(G−4分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,1H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);5.89(dd,1H);5.88(dd,1H);5.39〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.29,4.13(dABq,2H);3.90,3.75(ABq,2H);2.49〜2.20(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.46;−119.72;−118.91;−118.61;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値;718.0856,理論値;C22H19F17O7:718.0859
実施例1−2
3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパンの代わりに、3−ペルフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン376.1g(1.0mol)を用いた以外は実施例1−1と同様にして、下記化学式(17)及び(18)に示す構造の化合物を経て白色結晶の生成物H 198g(収率32%)を得た。
【0052】
【化12】
【0053】
得られた生成物Hの一部を、実施例1−1と同様にして高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。得られた化合物H−1、H−2、H−3及びH−4は、それぞれ下記化学式(19)、(20)、(21)及び(22)に示す構造を有する化合物であった。以下にこれらの化合物の1H−NMR、19F−NMR、Exact MSの結果を、構造式と共に示す。
【0054】
【化13】
【0055】
(H−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.43(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,2H);4.53〜4.31(m,1H);4.43,4.37(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.28,4.12(dABq,2H);2.49〜2.21(m,2H);1.34(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.09;−120.39;−119.89;−118.89;−109.39;−77.90
Exact MS:測定値;618.0931,理論値;C20H19F13O7:618.0923
【0056】
【化14】
【0057】
(H−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,1H);6.11(dd,1H);6.10(dd,1H);5.88(dd,1H);5.88(dd,1H);5.38〜5.35(m,1H);4.43,4.34(ABq,2H);4.28,4.12(dABq,2H);3.90,3.75(ABq,2H);2.49〜2.21(m,2H);1.32(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.09;−120.39;−119.88;−118.89;−109.38;−77.90
Exact MS:測定値;618.0921,理論値;C20H19F13O7:618.0923
【0058】
【化15】
【0059】
(H−3分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.42(dd,2H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.87(dd,2H);5.37〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.40(ABq,2H);3.89,3.75(dABq,2H);2.49〜2.20(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.08;−120.39;−119.88;−118.89;−109.39;−77.90
Exact MS:測定値;618.0919,理論値;C20H19F13O7:618.0923
【0060】
【化16】
【0061】
(H−4分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,1H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);5.89(dd,1H);5.87(dd,1H);5.38〜5.33(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.30,4.14(dABq,2H);3.90,3.75(ABq,2H);2.49〜2.21(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.09;−120.39;−119.88;−118.88;−109.39;−77.89
Exact MS:測定値;618.0929,理論値;C20H19F13O7:618.0923
実施例1−3
撹拌機、温度計、ガス導入管、滴下ロートを備えた反応器に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸201g(1.5mol)、トリメチルアミン304g(3.0mol)、クロロホルム600mlを仕込み、氷冷下でアクリル酸クロリド406g(4.5mol)をクロロホルム400mlに溶解して、滴下ロートから反応液の温度が5℃を超えないよう滴下した。滴下終了後氷冷のまま2時間撹拌した。クロロホルムを減圧留去し、得られた黄色結晶を更に酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:4)を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィにより精製し、溶媒を減圧留去することで、下記化学式(23)で示される2,2−ビス(アクリロイルオキシメチル)プロピオン酸を白色結晶として得た。
【0062】
【化17】
【0063】
撹拌機、冷却管、ガス導入管を備えた反応器に、前記反応で得られた2,2−ビス(アクリロイルオキシメチル)プロピオン酸290g(1.2mol)、3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン476g(1.0mol)、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸161g(1.2mol)、テトラエチルアンモニウムブロマイド6.4g、イソプロピルアルコール600mlを仕込み、油浴中で徐々に加熱して95〜100℃とし、同温度で4時間撹拌した後、室温まで冷却した。得られた反応液に5リットルの水を加えペースト状物質を析出させた。析出物を濾過した後1000mlの酢酸エチルに溶解し、1000mlの水で3回洗浄し、溶媒を減圧留去して白色結晶の生成物Iを得た。この一部を実施例1−1と同様にして高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。得られた化合物I−1及びI−2は、夫々前記化学式(13)及び(15)に示す構造を有する化合物であった。以下に得られた化合物の1H−NMR、19F−NMR、Exact MSの結果を示す。
【0064】
(I−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,2H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,2H);4.54〜4.31(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.28,4.12(dABq,2H);2.49〜2.20(m,2H);1.34(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.46;−119.72;−118.91;−118.60;−109.76;−77.78
Exact MS:測定値;718.0856,理論値;C22H19F17O7:718.0859
(I−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.42(dd,2H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,2H);5.37〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.38(ABq,2H);3.89,3.75(dABq,2H);2.48〜2.20(m,2H);1.32(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.72;−118.91;−118.60;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値;718.0852,理論値;C22H19F17O7:718.0859
実施例2−1
撹拌機、冷却管、ガス導入管を備えた反応器に、3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン476g(1.0mol)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸161g(1.2mol)、テトラエチルアンモニウムブロマイド6.4g、イソプロピルアルコール600mlを仕込み、油浴中で徐々に加熱して95〜100℃とし、同温度で4時間撹拌した後、室温まで冷却した。得られた反応液に5リットルの水を加えペースト状物質を析出させた。析出物を濾過した後1000mlの酢酸エチルに溶解し、1000mlの水で3回洗浄し、溶媒を減圧留去して白色結晶を得た。この白色結晶は、前記化学式(11)及び(12)に示す構造の化合物の混合物であると考えられる。
【0065】
撹拌機、温度計、ガス導入管、滴下ロートを備えた反応器に、前記反応により得られた白色結晶535g、トリエチルアミン455.4g及びクロロホルム1000mlを仕込んだ。次いで、氷冷下でアクリル酸クロリド479.6g(4.5mol)をクロロホルム450mlに溶解して、滴下ロートから反応液の温度が5℃を超えないよう滴下した。滴下終了後氷冷のまま2時間撹拌した。クロロホルムを減圧留去し、得られた黄色結晶を更に酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:4)を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィにより精製し、溶媒を減圧留去することで、白色結晶の目的生成物J 232g(収率30%)を得た。
【0066】
得られた生成物Jの一部を、実施例1−1と同様に高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。分離の結果、得られた目的生成物J−1及びJ−2は、夫々下記化学式(24)及び(25)で示される構造であった。以下に得られた化合物の1H−NMR、19F−NMR、Exact MSの結果を示す。
【0067】
【化18】
【0068】
(J−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.43(dd,1H);6.42(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.10(dd,1H);5.89(dd,2H);5.88(dd,1H);5.57〜5.64(m,1H);4.46,4.41(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.27,4.23(dABq,2H);2.68〜2.31(m,2H);1.30(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.72;−118.91;−118.60;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値:772.0969,理論値:C25H21F17O8:772.0965
【0069】
【化19】
【0070】
(J−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.89(dd,1H);5.88(dd,2H);5.38〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.29,4.13(dABq,2H);2.68〜2.31(m,2H);1.30(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.71;−118.91;−118.60;−109.76;−77.78
Exact MS:測定値:772.0962,理論値:C25H21F17O8:772.0965
実施例2−2
3−ペルフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパンの代わりに、3−ペルフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン376.1g(1.0mol)を用いた以外は実施例2−1と同様に、前記化学式(17)及び(18)に示す構造の化合物を経て白色結晶の目的生成物K 215g(収率32%)を得た。
得られた生成物Kの一部を、実施例1−1と同様に高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。得られた目的生成物K−1及びK−2は、夫々下記化学式(26)及び(28)に示す構造を有する化合物であった。以下に得られた化合物の1H−NMR、19F−NMR、Exact MSの結果を示す。
【0071】
【化20】
【0072】
(K−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.43(dd,1H);6.42(dd,1H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.10(dd,1H);5.89(dd,2H);5.88(dd,1H);5.57〜5.64(m,1H);4.47,4.41(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.28,4.23(dABq,2H);2.68〜2.31(m,2H);1.30(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.09;−120.39;−119.89;−118.89;−109.39;−77.90
Exact MS:測定値:672.1023,理論値:C23H21F13O8:672.1029
【0073】
【化21】
【0074】
(K−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.43(dd,1H);6.42(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.88(dd,1H);5.87(dd,2H);5.37〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);3.88,4.75(dABq,2H);2.48〜2.21(m,2H);1.33(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.08;−120.39;−119.88;−118.89;−109.39;−77.90
Exact MS:測定値:672.1018,理論値:C23H21F13O8:672.1029
実施例2−3
実施例1−3と同様にして生成物Iを得た。撹拌機、温度計、ガス導入管及び滴下ロートを備えた反応器に、生成物I 574g、トリエチルアミン151.8g及びクロロホルム1000mlを仕込んだ。次いで、氷冷下でアクリル酸クロリド159.8g(1.5mol)をクロロホルム150mlに溶解して、滴下ロートから反応液の温度が5℃を超えないよう滴下した。滴下終了後氷冷のまま2時間撹拌した。クロロホルムを減圧留去し、得られた黄色結晶を更に酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒(体積比1:4)を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィにより精製し、溶媒を減圧留去することで、白色結晶の目的生成物L 208g(収率27%)を得た。
【0075】
得られた生成物Lの一部を、実施例1−1と同様に高速液体クロマトグラフィを用いて分離した。得られた目的生成物L−1及びL−2は、前記化学式(24)及び(25)で示される構造であった。以下に得られた化合物の1H−NMR、19F−NMR及びExact MSの結果を示す。
【0076】
(L−1分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.43(dd,1H);6.42(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.10(dd,1H);5.89(dd,2H);5.88(dd,1H);5.57〜5.64(m,1H);4.46,4.41(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.27,4.23(dABq,2H);2.68〜2.31(m,2H);1.30(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.72;−118.91;−118.60;−109.76;−77.79
Exact MS:測定値:772.0969,理論値:C25H21F17O8:772.0965
(L−2分析結果)
1H−NMR(δ(ppm)CDCl3/TMS):6.44(dd,1H);6.42(dd,2H);6.12(dd,1H);6.11(dd,1H);6.11(dd,1H);5.89(dd,1H);5.88(dd,2H);5.38〜5.34(m,1H);4.43,4.36(ABq,2H);4.41,4.39(ABq,2H);4.29,4.13(dABq,2H);2.68〜2.31(m,2H);1.30(s,3H)
19F−NMR(δ(ppm)CDCl3/CFCl3):−123.10;−120.47;−119.71;−118.91;−118.60;−109.76;−77.78
Exact MS:測定値:772.0962,理論値:C25H21F17O8:772.0965
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1997
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