JP3860865B2 - 引戸用電気錠の施解錠制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は引戸用電気錠の施解錠制御装置に関する。本発明は、例えば特別養護老人ホームや病院などの引戸用電気錠の施解錠制御装置に適する。
【0002】
【従来の技術】
特別養護老人ホームや病院では、天気の良い日などには、「風を入れたい」という理由で引戸を多少開くような場合がある。このような場合、管理上の観点から、引戸の全閉時はもちろん、所望の通風空間を設定した半開状態(ここでは一般に人の通過が不可能な空間状態:例えば12cmを意味する。)に於いても確実に引戸を施錠状態にする必要がある。
【0003】
そこで、現在、簡単な電気回路及び施解錠機構により、引戸の全閉時並びに半開時に確実に施錠できる引戸用電気錠の施解錠制御装置の出現が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような従来の要望点に鑑み、第1の目的は簡単な電気回路を採用し、引戸の開放スピード如何(速い、普通、遅い)を問わず、引戸を少しでも開けると、必ず引戸を半開状態で施錠できることである。第2の目的は半開状態に於ける施錠用信号を確実に取り出すことができることである。第3の目的は、第1及び第2の目的を前提に、引戸を半開(通風)状態にするか否かを自由に制御することができることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の引戸用電気錠の施解錠制御装置は、駆動源用制御装置85に設けられた電源90及びメイン開閉スイッチ91と、錠ケース7に設けられた駆動源30とを直列に接続して引戸全閉時の主施解錠制御回路92を構成し、一方、前記錠ケースに通風状態設定用開閉スイッチ80を設け、この開閉スイッチ80を主施解錠制御回路92に並列に接続することにより引戸半開時の施解錠制御枝路93を構成し、また引戸1には所要間隔を有して半開用デッドボルト3Aと全閉用デッドボルト3Bとを設け、一方、これらのデッドボルト3A、3Bに係脱し、かつ、錠ケースに内蔵された施解錠機構Xの一部を構成するラッチ50には、該ラッチと共に移動して前記通風状態設定用開閉スイッチ80を作動させる従動体70を組合わせたことを特徴とする。
【0006】
また上記構成に於いて、施解錠機構Xは、駆動源30の作動杆31の伸縮動により回動するように錠ケース7に軸支された回動ロック部材35と、この回動ロック部材35にロックされるように錠ケース7に回転及び上下動可能に軸支され、かつ、ラッチ用復帰バネ79で常時突出方向に付勢されたラッチ50と、このラッチに軸支され、かつ、全閉用デッドボルト3Bが引戸を開く初期の段階で開放方向Aに移動すると、従動体用復帰バネ78のバネのバネ力により所定量回転してそのまま所定位置で停止する従動体70とから構成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態を、引戸1の上端部或いは上框2に設けた支持箱4に取付けられた複数個のデッドボルト3A、3Bと、これらのデッドボルト3A、3Bに対してそれぞれ係脱する1個のラッチ50並びにこのラッチ50に組合わせられた従動体(トリガー)70とを含む電気錠の施解錠機構Xを内蔵し、かつ、望ましくは戸枠の上枠5内に設けられた錠ケース7と、引戸1の付近の壁や柱、管理室など建物の適当な箇所に設置され、かつ、電源やスイッチ等が設けられた駆動源用制御盤或いは制御装置85との関係で説明する。
【0008】
まず複数個のデッドボルト3A、3Bについて説明する。デッドボルト3A、3Bは、図1で示すように引戸1のデッドボルト用支持箱4に所要間隔を有して固定されている。ここで「所要間隔」とは、通風空間用の半開状態を形成するためのあいだを意味する。なお、デッドボルト3A、3Bの幅は同一であるが、同一の直線ライン上には位置していない(互い違い)。
【0009】
図1を基準にすると、左右のデッドボルト3A、3Bは、横方向に横設された長箱状の支持箱4に下端部3aが上下方向にスライド可能に内装され、一方、支持箱から突出する上端部3bが後述する駆動体としてのラッチ50に係合する。そして、左右のデッドボルト3A、3Bは、支持箱4に対し、固定具6を介してそれぞれ突出量を任意に調整することができる。
【0010】
デッドボルト3A(3B)の突出量の調整手段の一例について図5を参照に説明する。8は支持箱4の左右の部位にそれぞれ縦方向に形成された調整長孔、9はデッドボルト3A(3B)に形成され、かつ、前記調整長孔8と符合するボルト6a用メネジ貫通孔、6bは座金、6cはボルト6aに螺着するナットである。
【0011】
ところで、本実施例では支持箱4の所定位置に合計2個のデッドボルト3A、3Bがそれぞれ設けられているが、引戸の開放側端部に位置するデッドボルト3Aは、引戸1を半開状態にした時に施解錠機構Xのラッチ50に係止ロックされる係合片であり、一方、引戸の開放側端部寄りの部位に位置するデッドボルト3Bは、引戸1を全閉状態にした時に前記ラッチ50に係止ロックされる係合片である。
【0012】
次に施解錠機構Xを内蔵する錠ケース7について説明する。錠ケース7は長箱状に形成され、上述したように戸枠の上枠5内に横設されている。ここで図1を基準にすると、7aは前壁、7bは後壁、7cは左側壁、7dは右側壁、7eは上壁、7fは底壁である。
【0013】
図1又は図3で示すように前壁7a及び後壁7bには、それぞれ対向する複数個の案内部としての垂直ガイド長孔11、12や軸孔13、14、15が適宜に形成されている。
【0014】
しかして、11は錠ケース7の右側壁7d寄りの部位に形成された弧状部を有する第1垂直ガイド長孔で、この第1垂直ガイド長孔11にはラッチ50を案内するガイド部材としての横軸16が横架されている。
【0015】
また12は第1垂直ガイド長孔11に対して形成され、かつ、錠ケース7の略中央部に位置する第2垂直ガイト長孔で、この第2垂直ガイド長孔12には横軸16と相俟ってラッチ50を上下方向に案内するラッチ突起軸60が係合する。
【0016】
また13は錠ケース7の中央部寄りの部位に形成された第1軸孔で、この第1軸孔13には後述する回動ロック部材を枢支する軸(突起軸又は横軸)17が取付けられる。また14は錠ケース7の略中央部に位置する第2軸孔で、この第2軸孔14にはトリガーバネ用軸18が取付けられる。また15は錠ケース7の右端部に位置する第3軸孔で、この第3軸孔15にはラッチバネ用軸19が取付けられる。
【0017】
さらに、錠ケース7の底壁7fには、錠ケース7の一部を形成する長板状の取付け板20が固定的に設けられ、この取付け板20には固着具21を介してフロント板22が一体的に取付けられている。そして、各板20、22の右端部よりの部位には、ラッチ用貫通孔23が形成されている。
【0018】
次に錠ケース7に設けられた施解錠機構Xを構成する各部材について説明する。この施解錠機構Xは、回転及び上下方向に移動可能な駆動体(ラッチ)50と、この駆動体と共に錠ケース7内に後退動する従動体(トリガ)70と、この従動体の回転動を利用し、ソレノイドに素早く通電させるための通風状態設定用開閉スイッチ80等を有している。
【0019】
そこで、まず30は駆動源の一例としてのソレノイドである。このソレノイド30は錠ケース7内に横設され、かつ、配線用の電気コード86、コネクター87を介し、駆動源用制御装置(制御盤)85の電源、複数個の開閉スイッチに電気的に接続している。
【0020】
ここで、図2を参照に駆動源用制御装置85を含む電気回路について説明する。88は駆動源用制御装置85内に設けられた電力変換装置で、この電力変換装置88は商業用の交流電源89を直流電源90に変換する。91は駆動源通電用のメイン開閉スイッチで、このメイン開閉スイッチ91は前記直流電源90及び錠ケース7内に設けられたソレノイド30に前記配線用の電気コード86を介して直列に接続され、本実施例では引戸全閉時の主施解錠制御回路92を構成している。
【0021】
93は主施解錠制御回路92に並列に接続された引戸半開時の施解錠制御枝路である。この施解錠制御枝路93には、制御装置85内に設けられた引戸全開用選択スイッチ94及び錠ケース7内に設けられた通風状態設定用開閉スイッチ80がそれぞれ直列に設けられている。31はソレノイド30の作動杆で、この作動杆31は水平方向に伸縮動するが、本実施例では通電時に伸張し、一方、非通電時には収縮する。
【0022】
次に35は作動杆31の伸縮動により回動するように錠ケース7に軸17を介して軸支された回動ロック部材である。回動ロック部材35は、ソレノイド30の通電時に作動杆31が伸張するとラッチ50の回転を阻止するロック方向に、一方、非通電時に作動杆31が収縮するとラッチ50の回転を許容するロック解除の方向にそれぞれ回転する。
【0023】
しかして、回動ロック部材の軸受板36の一方の左下端部には突起部39が形成され、この突起部39は底壁7fに設けられたソレノイド用の施解(伸張)及び・解錠(収縮)状態を検出する検出手段81とプッシュ的に接触可能である。また軸受板36の下端部寄りの右側にはやや幅広のロックアーム部41が突出し、このロックアーム部41にはラッチの後退側垂直面と当接する水平ローラ42が設けられている。また44は回動ロック部材35内に位置するように軸17に巻装された回動ロック部材用バネ44である。回動ロック部材35はこのバネ44により常時ロック解除の方向(反時計方向)に付勢されている。
【0024】
次に錠ケース7のラッチ用貫通孔23から進退動可能に突出するラッチ50について説明する。本実施例に於いては、ラッチ50は従動体(トリガ)70との関係では支軸59を介して従動体70を錠ケース7内に持ち上げ(後退させ)たり、錠ケース7内から元の位置へと復帰(突出)させたりする。また引戸1の係合部材(デッドボルト)との関係ではストッパーとしの機能を発揮する。
【0025】
そこで、このラッチ50を図6に基づいて説明する。51は錠ケース7から突出する垂直係止面である。この垂直係止面51は引戸1を半開〜全開方向へ開くと、デッドボルト3B、3Aの一側面に係脱〜係合する。
【0026】
52は垂直係止面51の下端縁から後方へ連設するテーパー状摺接面である。このテーパー状摺接面52は引戸1を全開〜半開位置から全閉位置へと閉じると、デッドボルト3A、3Bの他側面に係脱する。
【0027】
53はテーパー状摺接面52にやや弧状に連設すると共に、ラッチ用貫通孔23に遊嵌合する後方連設部である。54はこの後方連設部53と錠ケース7内に常時位置する上壁55にそれぞれ連設する突起部で、この突起部54には固定軸筒56を介して横軸16が設けられている。
【0028】
57は全体としてピストル形状に形成された前後の側壁で、この前後の側壁57には錠ケース7の第2垂直ガイド長孔12と係合する一対の突起軸60が形成されている。また本実施例では一方側壁57の略中間部(突起軸60と横軸16とに間)に、従動体70を枢支する支軸59が突設されている。
【0029】
61は前記上壁55の先端部に突起状に形成され、かつ、回動ロック部材35の水平ローラ42と当接する後退側垂直面61aを有する当接部である。
【0030】
次に全閉用デッドボルト3Bが半開方向へ水平動するとラッチ50と共に移動(本実施例ではやや回転しながら上下動)し、かつ、トリガーバネのバネ力により所定量回転したまま所定位置に保持され、一方、全閉用デッドボルト3Bが全閉方向へ水平動すると再びラッチ50と共に移動し、かつ、トリガーバネのバネ力により元の位置に復帰する従動体(トリガー)70について説明する。
【0031】
この従動体70は、図7、図8で示すように、望ましくは一部に切欠部や開閉スイッチ80用突起部を有する外周円形〜多角形の板状体が用いられる。
【0032】
しかして、71はラッチ50の支軸59が嵌挿する中心孔で、この中心孔71を介して従動体70はラッチ50に回動可能に装着されている。72はこの中心孔71から左下半径方向へ広がるように一部切欠された切欠部で、この切欠部72はラッチ50の垂直係止面51と全閉用デッドボルト3Bとの係合関係を考慮し、本実施例では山形状に切欠されている。そこで、従動体70を山形状切欠部72との関係で親指〜人差し指の形態に例えると、73はラッチ50の前の側壁57の一部に対向する親指部であり、一方、74は引戸の半開時錠ケース7から突出する反面、引戸の全閉の際には全閉用デッドボルト3Bの上端面と一旦摺接する人差し指部である。
【0033】
75は、図8を基準にすると板状従動体70の前壁面70aの上部に設けられた突出ピンで、一方、76は板状従動体70の後壁面70bの上部に設けられた検出手段用突起部である。前記突出ピン75は開閉スイッチ80用突起部76よりも右側に位置し、トリガーバネ78と相俟って従動体70を左右いずれかの方向に回転させる役割を果たす。また前記突起部76は、トリガー70が一方向へ回転した際にラッチ50の上壁55と当接し、トリガー70がフリーにならないように所定位置に保持する役割を果たす。
【0034】
次に78は軸18に巻装され、かつ、一端部78a側が従動体70の突出ピン75に圧接係合する従動体用付勢バネである。一方、79は軸19に巻装され、かつ、ラッチ50の固定軸筒56に圧接するラッチ用復帰バネである。
【0035】
次にソレノイドに素早く通電させるための検出信号を拾う通風状態設定用開閉スイッチ80について説明する。この開閉スイッチ80は錠ケース7に内装され、従動体70に対して設けられている。本実施例では引戸1が全閉状態の時、その可動接片80aが突起部76に押圧され、施解錠制御枝路93に於いてソレノイド30に対し通電スイッチOFFであり、一方、全閉用デッドボルト3Bが半開方向へ水平動することにより従動体70がラッチ50と共に移動し、その可動接片80aが突起部76から離れるや否や、ソレノイド30に対して通電スイッチONと成る。なお、81は施解錠機構Xの施解状態又は解錠状態の信号を検出するための検出手段で、この検出手段81は本発明の構成を特定するための要件ではない。
【0036】
上記構成に於て、まず図3は、引戸1が全閉状態で、かつ、ソレノイド30が通電状態の説明図(引戸全閉時施錠)である。この引戸全閉時施錠の状態の電気回路を図4で簡単に示す。この場合メイン開閉スイッチ91及び選択スイッチ94は閉じ、一方、通風状態設定用開閉スイッチ80は開いている。したがって、図3で示すようにソレノイド30の作動杆31は主施解錠制御回路92側の通電により伸張し、回動ロック部材35の水平ローラ42はラッチ50の後退側垂直面61aに当接している。それ故にラッチ50は反時計方向に回転することができず、そのため全閉用デッドボルト3Bはラッチ50に阻止されている。
【0037】
次に図9は、引戸1が全閉状態で、かつ、ソレノイド30が非通電状態の説明図である(引戸全閉時解錠)。この場合主施解錠制御回路92のメンイ開閉スイッチ91は開く。そのためソレノイド30の作動杆31は収縮し、回動ロック部材35は反時計方向に回転する。これにより回動ロック部材35の水平ローラ42はラッチ50の後退側垂直面61aから離れる。検出手段81は、ソレノイド30の非通電状態を検出し、この状態の検出信号を制御装置85に送る。したがって、ラッチ50は反時計方向に回転することができ、そのため全閉用デッドボルト3Bは矢印A方向へ移動可能になる。
【0038】
次に引戸1を開放方向Aへと開くと、ラッチ50は全閉用デッドボルト3Bの移動により、ラッチ用復帰バネ79のバネ力に抗して突起軸60を支点に反時計方向へ回転する。そうすると、従動体70はラッチ50に支軸59を介して一体的に連結されているので、ラッチ50の軌跡に基づいて錠ケース7内に回転後退する。この場合従動体70の突出ピン75は付勢バネ78の一端部78aをそのバネ力に抗して押し上げ、従動体70の中心孔71よりも左側へと移行する。この突出ピン75の移行時に従動体70の突起部76は開閉スイッチ80の可動接片80aから離れる。この引戸半開ヘの移行時に於ける施錠状態の電気回路を図12で示す。この場合メイン開閉スイッチ91は既に開いているが、引戸1を全開状態にすることができる選択スイッチ94はそのま閉じている。そして、通風状態設定用開閉スイッチ80は閉じる。
【0039】
次に図10は、引戸1を開放方向Aへさらに開き、全閉用デッドボルト3Bがラッチ50の下方を通過した場合を示す。この場合ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力により回転して直ぐ元の位置に復帰する。この時従動体70は突出ピン75の位置が左側に移行しているため、付勢バネ78のバネ力により支軸59を支点に反時計方向へ回転し、そのまま付勢バネ78により押さえ付けられ、かつ、突起部76がラッチ50の上壁55と当接するため、所定位置に回転停止する。この時施解錠制御枝路93の開閉スイッチ80は「スイッチON」のままである。回動ロック部材35は作動杆31の伸張により、バネ44のバネ力に抗して時計方向に回転し、ラッチ50の回転を確実に阻止している。
【0040】
ところで、この引戸の半開時施錠状態に於いて、引戸1の施錠状態を解消し、引戸1の全開を望む場合は、制御装置85側の選択スイッチ94を「開」にすれば良い。
【0041】
図11は、引戸1を開き、半開用デッドボルト3Aがラッチ50に係止ロックされた場合の説明図(引戸半開時施錠)である。この場合半開用デッドボルト3Aは、全閉用デッドボルト3Bに対して互い違いに位置しているので、従動体70の人差し指部74が錠ケース7から突出していても邪魔にならない。
【0042】
次に図13は、引戸1を半開状態から全閉方向Bへ移動させ、全閉用デッドボルト3Bによりラッチ50が錠ケース7内へと後退した場合の説明図である。この場合全閉用デッドボルト3Bがラッチ50のテーパー状摺接面52に摺接すると、ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力に抗し、かつ、横軸16、突起軸60を介し、第1垂直ガイド長孔11及び第2垂直長孔12に案内されながら錠ケース7内へと水平後退する。したがって、従動体70もラッチ50と共に錠ケース7内へと水平後退する。
【0043】
しかして、図14で示すように全閉用デッドボルト3Bがラッチ50及び従動体70の下方を通過する際、従動体70はその人差し指部74が全閉用デッドボルト3Bの上端面と摺接する一方、その後ラッチ50が錠ケース7から突出するのに追従し、かつ、トリガーバネ78のバネ力により支軸59を支点に時計方向に回転する。その結果、従動体の突出ピン75は元の位置へと戻ると共に、その突起部76が開閉スイッチ80の可動接片80aを押圧し、開閉スイッチ80は「スイッチOFF」と成る。
【0044】
したがって、ソレノイド30は一旦非通電状態になるが、その後制御装置85は検出手段81からの信号を受理した後、主施解錠制御回路92のメイン開閉スイッチ91を閉じ、ソレノイド30を通電状態にする。そして、前述した図3で示すように全閉状態になると、ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力により錠ケース7から突出し、全閉用デッドボルト3Bを係止する。
【0045】
【実施例】
まず本発明の実施例に於いては、開閉スイッチ80、81の一例としては、マイクロスイッチが使用される。また錠ケース7のラッチ50を上下方向に案内する案内部は垂直ガイド溝であっても良い。また従動体70は、本実施例では支軸59を支点に略60度回転する。またデッドボルト3A、3Bは同一の直線ライン上には位置していないが、仮にデッドボルト3A、3Bは同一の直線ライン上に位置させる場合には、半開用デッドボルト3Aの幅は従動体と衝突しないように全閉用デッドボルト3Bのそれよりも狭いことが必要である。
【0046】
さらに、トリガー70の人指し指部74の長さは親指部73と略同等であるが、例えば引戸1の全閉時の際に人指し指部74がデッドボルト3Bの上端部に係合するように親指部73よりも多少長く設定しても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)簡単な電気回路を採用し、引戸の開放スピード如何(速い、普通、遅い)を問わず、引戸を少しでも開けると、必ず引戸を半開状態で施錠できる。
(2)半開状態に於ける施錠用信号を確実に取り出すことができる。
(3)トリガーがラッチと共にスムースに作動する。
(4)ラッチにトリガーを組合わせているので、錠ケースのコンパクト化の要望を満たすことができる。
(5)選択スイッチが設けられている実施例の場合は、引戸を半開(通風)状態にするか否かを自由に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図14は本発明の実施の形態を説明するための第1実施例に基づく各説明図。
【図1】引戸の全閉状態に於に於ける概略説明図。
【図2】錠ケース内の施解錠機構との関係に於いて、電気回路の全体を示す概略説明図。
【図3】錠ケース内の施解錠機構を構成する各部材並びに支持箱側の部材(主にデッドボルト)の配置を示す概略説明図。なお、引戸が全閉状態で、かつ、駆動源が通電状態の説明図(引戸全閉時施錠)でもある。
【図4】引戸全閉時施錠状態の電気回路を示す説明図。
【図5】支持箱側の部材(主にデッドボルト)を示す斜視からの説明図。
【図6】駆動体(ラッチ)と従動体(トリガー)との関係を示す斜視からの説明図。
【図7】従動体を示す斜視図。
【図8】従動体と他の部材との関係を示す概略説明図。
【図9】図3に於いて、駆動源が非通電状態の説明図(引戸全閉時解錠)。
【図10】全閉用デッドボルトがラッチの下方を通過中に駆動源が施解錠制御枝路により通電状態になった場合の説明図。
【図11】引戸を半開状態にし、半開用デッドボルトがラッチに係止ロックされた場合の説明図(引戸半開時施錠)。
【図12】図10に於ける電気回路の状態を示す説明図。
【図13】引戸を半開状態から全閉方向Bへ移動させ、全閉用デッドボルトによりラッチが錠ケース内へと後退した場合の説明図。
【図14】図13に於いて、全閉用デッドボルトがラッチ及び従動体の下方を通過し、ラッチに係止された説明図。
【符号の説明】
1…引戸、2…上框、3A…半開用デッドボルト、3B…全閉用デッドボルト、4…支持箱、5…上枠、6…固定具、7…錠ケース、11、12…垂直ガイド長孔、13、14、15…軸孔、16…横軸、17、18、19…軸、59…支軸、60…突起軸、20…取付け板、21…固着具、22…フロント板、X…施解錠機構、30…駆動源、31…作動杆、33…駆動ピン、35…回動ロック部材、36…軸受板、39…突起部、41…ロックアーム部、42…水平ローラ、50…ラッチ、51…垂直係止面、52…摺接面、54…突起部、55…上壁、56…固定軸筒、57…前後の側壁、61…当接部、70、70A…従動体、71…中心孔、72…切欠部、73…親指部、74…人差し指部、75…突出ピン、78…付勢バネ、79…復帰バネ、80…通風状態設定用開閉スイッチ、81…検出手段、85…制御装置、86…電気コード、87…コネクター、88…電力変換装置、89…交流電源、90…直流電源、91…メイン開閉スイッチ、92…主施解錠制御回路、93…施解錠制御枝路、94…選択スイッチ、A…開放方向、B…全閉方向。
【発明の属する技術分野】
本発明は引戸用電気錠の施解錠制御装置に関する。本発明は、例えば特別養護老人ホームや病院などの引戸用電気錠の施解錠制御装置に適する。
【0002】
【従来の技術】
特別養護老人ホームや病院では、天気の良い日などには、「風を入れたい」という理由で引戸を多少開くような場合がある。このような場合、管理上の観点から、引戸の全閉時はもちろん、所望の通風空間を設定した半開状態(ここでは一般に人の通過が不可能な空間状態:例えば12cmを意味する。)に於いても確実に引戸を施錠状態にする必要がある。
【0003】
そこで、現在、簡単な電気回路及び施解錠機構により、引戸の全閉時並びに半開時に確実に施錠できる引戸用電気錠の施解錠制御装置の出現が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような従来の要望点に鑑み、第1の目的は簡単な電気回路を採用し、引戸の開放スピード如何(速い、普通、遅い)を問わず、引戸を少しでも開けると、必ず引戸を半開状態で施錠できることである。第2の目的は半開状態に於ける施錠用信号を確実に取り出すことができることである。第3の目的は、第1及び第2の目的を前提に、引戸を半開(通風)状態にするか否かを自由に制御することができることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の引戸用電気錠の施解錠制御装置は、駆動源用制御装置85に設けられた電源90及びメイン開閉スイッチ91と、錠ケース7に設けられた駆動源30とを直列に接続して引戸全閉時の主施解錠制御回路92を構成し、一方、前記錠ケースに通風状態設定用開閉スイッチ80を設け、この開閉スイッチ80を主施解錠制御回路92に並列に接続することにより引戸半開時の施解錠制御枝路93を構成し、また引戸1には所要間隔を有して半開用デッドボルト3Aと全閉用デッドボルト3Bとを設け、一方、これらのデッドボルト3A、3Bに係脱し、かつ、錠ケースに内蔵された施解錠機構Xの一部を構成するラッチ50には、該ラッチと共に移動して前記通風状態設定用開閉スイッチ80を作動させる従動体70を組合わせたことを特徴とする。
【0006】
また上記構成に於いて、施解錠機構Xは、駆動源30の作動杆31の伸縮動により回動するように錠ケース7に軸支された回動ロック部材35と、この回動ロック部材35にロックされるように錠ケース7に回転及び上下動可能に軸支され、かつ、ラッチ用復帰バネ79で常時突出方向に付勢されたラッチ50と、このラッチに軸支され、かつ、全閉用デッドボルト3Bが引戸を開く初期の段階で開放方向Aに移動すると、従動体用復帰バネ78のバネのバネ力により所定量回転してそのまま所定位置で停止する従動体70とから構成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態を、引戸1の上端部或いは上框2に設けた支持箱4に取付けられた複数個のデッドボルト3A、3Bと、これらのデッドボルト3A、3Bに対してそれぞれ係脱する1個のラッチ50並びにこのラッチ50に組合わせられた従動体(トリガー)70とを含む電気錠の施解錠機構Xを内蔵し、かつ、望ましくは戸枠の上枠5内に設けられた錠ケース7と、引戸1の付近の壁や柱、管理室など建物の適当な箇所に設置され、かつ、電源やスイッチ等が設けられた駆動源用制御盤或いは制御装置85との関係で説明する。
【0008】
まず複数個のデッドボルト3A、3Bについて説明する。デッドボルト3A、3Bは、図1で示すように引戸1のデッドボルト用支持箱4に所要間隔を有して固定されている。ここで「所要間隔」とは、通風空間用の半開状態を形成するためのあいだを意味する。なお、デッドボルト3A、3Bの幅は同一であるが、同一の直線ライン上には位置していない(互い違い)。
【0009】
図1を基準にすると、左右のデッドボルト3A、3Bは、横方向に横設された長箱状の支持箱4に下端部3aが上下方向にスライド可能に内装され、一方、支持箱から突出する上端部3bが後述する駆動体としてのラッチ50に係合する。そして、左右のデッドボルト3A、3Bは、支持箱4に対し、固定具6を介してそれぞれ突出量を任意に調整することができる。
【0010】
デッドボルト3A(3B)の突出量の調整手段の一例について図5を参照に説明する。8は支持箱4の左右の部位にそれぞれ縦方向に形成された調整長孔、9はデッドボルト3A(3B)に形成され、かつ、前記調整長孔8と符合するボルト6a用メネジ貫通孔、6bは座金、6cはボルト6aに螺着するナットである。
【0011】
ところで、本実施例では支持箱4の所定位置に合計2個のデッドボルト3A、3Bがそれぞれ設けられているが、引戸の開放側端部に位置するデッドボルト3Aは、引戸1を半開状態にした時に施解錠機構Xのラッチ50に係止ロックされる係合片であり、一方、引戸の開放側端部寄りの部位に位置するデッドボルト3Bは、引戸1を全閉状態にした時に前記ラッチ50に係止ロックされる係合片である。
【0012】
次に施解錠機構Xを内蔵する錠ケース7について説明する。錠ケース7は長箱状に形成され、上述したように戸枠の上枠5内に横設されている。ここで図1を基準にすると、7aは前壁、7bは後壁、7cは左側壁、7dは右側壁、7eは上壁、7fは底壁である。
【0013】
図1又は図3で示すように前壁7a及び後壁7bには、それぞれ対向する複数個の案内部としての垂直ガイド長孔11、12や軸孔13、14、15が適宜に形成されている。
【0014】
しかして、11は錠ケース7の右側壁7d寄りの部位に形成された弧状部を有する第1垂直ガイド長孔で、この第1垂直ガイド長孔11にはラッチ50を案内するガイド部材としての横軸16が横架されている。
【0015】
また12は第1垂直ガイド長孔11に対して形成され、かつ、錠ケース7の略中央部に位置する第2垂直ガイト長孔で、この第2垂直ガイド長孔12には横軸16と相俟ってラッチ50を上下方向に案内するラッチ突起軸60が係合する。
【0016】
また13は錠ケース7の中央部寄りの部位に形成された第1軸孔で、この第1軸孔13には後述する回動ロック部材を枢支する軸(突起軸又は横軸)17が取付けられる。また14は錠ケース7の略中央部に位置する第2軸孔で、この第2軸孔14にはトリガーバネ用軸18が取付けられる。また15は錠ケース7の右端部に位置する第3軸孔で、この第3軸孔15にはラッチバネ用軸19が取付けられる。
【0017】
さらに、錠ケース7の底壁7fには、錠ケース7の一部を形成する長板状の取付け板20が固定的に設けられ、この取付け板20には固着具21を介してフロント板22が一体的に取付けられている。そして、各板20、22の右端部よりの部位には、ラッチ用貫通孔23が形成されている。
【0018】
次に錠ケース7に設けられた施解錠機構Xを構成する各部材について説明する。この施解錠機構Xは、回転及び上下方向に移動可能な駆動体(ラッチ)50と、この駆動体と共に錠ケース7内に後退動する従動体(トリガ)70と、この従動体の回転動を利用し、ソレノイドに素早く通電させるための通風状態設定用開閉スイッチ80等を有している。
【0019】
そこで、まず30は駆動源の一例としてのソレノイドである。このソレノイド30は錠ケース7内に横設され、かつ、配線用の電気コード86、コネクター87を介し、駆動源用制御装置(制御盤)85の電源、複数個の開閉スイッチに電気的に接続している。
【0020】
ここで、図2を参照に駆動源用制御装置85を含む電気回路について説明する。88は駆動源用制御装置85内に設けられた電力変換装置で、この電力変換装置88は商業用の交流電源89を直流電源90に変換する。91は駆動源通電用のメイン開閉スイッチで、このメイン開閉スイッチ91は前記直流電源90及び錠ケース7内に設けられたソレノイド30に前記配線用の電気コード86を介して直列に接続され、本実施例では引戸全閉時の主施解錠制御回路92を構成している。
【0021】
93は主施解錠制御回路92に並列に接続された引戸半開時の施解錠制御枝路である。この施解錠制御枝路93には、制御装置85内に設けられた引戸全開用選択スイッチ94及び錠ケース7内に設けられた通風状態設定用開閉スイッチ80がそれぞれ直列に設けられている。31はソレノイド30の作動杆で、この作動杆31は水平方向に伸縮動するが、本実施例では通電時に伸張し、一方、非通電時には収縮する。
【0022】
次に35は作動杆31の伸縮動により回動するように錠ケース7に軸17を介して軸支された回動ロック部材である。回動ロック部材35は、ソレノイド30の通電時に作動杆31が伸張するとラッチ50の回転を阻止するロック方向に、一方、非通電時に作動杆31が収縮するとラッチ50の回転を許容するロック解除の方向にそれぞれ回転する。
【0023】
しかして、回動ロック部材の軸受板36の一方の左下端部には突起部39が形成され、この突起部39は底壁7fに設けられたソレノイド用の施解(伸張)及び・解錠(収縮)状態を検出する検出手段81とプッシュ的に接触可能である。また軸受板36の下端部寄りの右側にはやや幅広のロックアーム部41が突出し、このロックアーム部41にはラッチの後退側垂直面と当接する水平ローラ42が設けられている。また44は回動ロック部材35内に位置するように軸17に巻装された回動ロック部材用バネ44である。回動ロック部材35はこのバネ44により常時ロック解除の方向(反時計方向)に付勢されている。
【0024】
次に錠ケース7のラッチ用貫通孔23から進退動可能に突出するラッチ50について説明する。本実施例に於いては、ラッチ50は従動体(トリガ)70との関係では支軸59を介して従動体70を錠ケース7内に持ち上げ(後退させ)たり、錠ケース7内から元の位置へと復帰(突出)させたりする。また引戸1の係合部材(デッドボルト)との関係ではストッパーとしの機能を発揮する。
【0025】
そこで、このラッチ50を図6に基づいて説明する。51は錠ケース7から突出する垂直係止面である。この垂直係止面51は引戸1を半開〜全開方向へ開くと、デッドボルト3B、3Aの一側面に係脱〜係合する。
【0026】
52は垂直係止面51の下端縁から後方へ連設するテーパー状摺接面である。このテーパー状摺接面52は引戸1を全開〜半開位置から全閉位置へと閉じると、デッドボルト3A、3Bの他側面に係脱する。
【0027】
53はテーパー状摺接面52にやや弧状に連設すると共に、ラッチ用貫通孔23に遊嵌合する後方連設部である。54はこの後方連設部53と錠ケース7内に常時位置する上壁55にそれぞれ連設する突起部で、この突起部54には固定軸筒56を介して横軸16が設けられている。
【0028】
57は全体としてピストル形状に形成された前後の側壁で、この前後の側壁57には錠ケース7の第2垂直ガイド長孔12と係合する一対の突起軸60が形成されている。また本実施例では一方側壁57の略中間部(突起軸60と横軸16とに間)に、従動体70を枢支する支軸59が突設されている。
【0029】
61は前記上壁55の先端部に突起状に形成され、かつ、回動ロック部材35の水平ローラ42と当接する後退側垂直面61aを有する当接部である。
【0030】
次に全閉用デッドボルト3Bが半開方向へ水平動するとラッチ50と共に移動(本実施例ではやや回転しながら上下動)し、かつ、トリガーバネのバネ力により所定量回転したまま所定位置に保持され、一方、全閉用デッドボルト3Bが全閉方向へ水平動すると再びラッチ50と共に移動し、かつ、トリガーバネのバネ力により元の位置に復帰する従動体(トリガー)70について説明する。
【0031】
この従動体70は、図7、図8で示すように、望ましくは一部に切欠部や開閉スイッチ80用突起部を有する外周円形〜多角形の板状体が用いられる。
【0032】
しかして、71はラッチ50の支軸59が嵌挿する中心孔で、この中心孔71を介して従動体70はラッチ50に回動可能に装着されている。72はこの中心孔71から左下半径方向へ広がるように一部切欠された切欠部で、この切欠部72はラッチ50の垂直係止面51と全閉用デッドボルト3Bとの係合関係を考慮し、本実施例では山形状に切欠されている。そこで、従動体70を山形状切欠部72との関係で親指〜人差し指の形態に例えると、73はラッチ50の前の側壁57の一部に対向する親指部であり、一方、74は引戸の半開時錠ケース7から突出する反面、引戸の全閉の際には全閉用デッドボルト3Bの上端面と一旦摺接する人差し指部である。
【0033】
75は、図8を基準にすると板状従動体70の前壁面70aの上部に設けられた突出ピンで、一方、76は板状従動体70の後壁面70bの上部に設けられた検出手段用突起部である。前記突出ピン75は開閉スイッチ80用突起部76よりも右側に位置し、トリガーバネ78と相俟って従動体70を左右いずれかの方向に回転させる役割を果たす。また前記突起部76は、トリガー70が一方向へ回転した際にラッチ50の上壁55と当接し、トリガー70がフリーにならないように所定位置に保持する役割を果たす。
【0034】
次に78は軸18に巻装され、かつ、一端部78a側が従動体70の突出ピン75に圧接係合する従動体用付勢バネである。一方、79は軸19に巻装され、かつ、ラッチ50の固定軸筒56に圧接するラッチ用復帰バネである。
【0035】
次にソレノイドに素早く通電させるための検出信号を拾う通風状態設定用開閉スイッチ80について説明する。この開閉スイッチ80は錠ケース7に内装され、従動体70に対して設けられている。本実施例では引戸1が全閉状態の時、その可動接片80aが突起部76に押圧され、施解錠制御枝路93に於いてソレノイド30に対し通電スイッチOFFであり、一方、全閉用デッドボルト3Bが半開方向へ水平動することにより従動体70がラッチ50と共に移動し、その可動接片80aが突起部76から離れるや否や、ソレノイド30に対して通電スイッチONと成る。なお、81は施解錠機構Xの施解状態又は解錠状態の信号を検出するための検出手段で、この検出手段81は本発明の構成を特定するための要件ではない。
【0036】
上記構成に於て、まず図3は、引戸1が全閉状態で、かつ、ソレノイド30が通電状態の説明図(引戸全閉時施錠)である。この引戸全閉時施錠の状態の電気回路を図4で簡単に示す。この場合メイン開閉スイッチ91及び選択スイッチ94は閉じ、一方、通風状態設定用開閉スイッチ80は開いている。したがって、図3で示すようにソレノイド30の作動杆31は主施解錠制御回路92側の通電により伸張し、回動ロック部材35の水平ローラ42はラッチ50の後退側垂直面61aに当接している。それ故にラッチ50は反時計方向に回転することができず、そのため全閉用デッドボルト3Bはラッチ50に阻止されている。
【0037】
次に図9は、引戸1が全閉状態で、かつ、ソレノイド30が非通電状態の説明図である(引戸全閉時解錠)。この場合主施解錠制御回路92のメンイ開閉スイッチ91は開く。そのためソレノイド30の作動杆31は収縮し、回動ロック部材35は反時計方向に回転する。これにより回動ロック部材35の水平ローラ42はラッチ50の後退側垂直面61aから離れる。検出手段81は、ソレノイド30の非通電状態を検出し、この状態の検出信号を制御装置85に送る。したがって、ラッチ50は反時計方向に回転することができ、そのため全閉用デッドボルト3Bは矢印A方向へ移動可能になる。
【0038】
次に引戸1を開放方向Aへと開くと、ラッチ50は全閉用デッドボルト3Bの移動により、ラッチ用復帰バネ79のバネ力に抗して突起軸60を支点に反時計方向へ回転する。そうすると、従動体70はラッチ50に支軸59を介して一体的に連結されているので、ラッチ50の軌跡に基づいて錠ケース7内に回転後退する。この場合従動体70の突出ピン75は付勢バネ78の一端部78aをそのバネ力に抗して押し上げ、従動体70の中心孔71よりも左側へと移行する。この突出ピン75の移行時に従動体70の突起部76は開閉スイッチ80の可動接片80aから離れる。この引戸半開ヘの移行時に於ける施錠状態の電気回路を図12で示す。この場合メイン開閉スイッチ91は既に開いているが、引戸1を全開状態にすることができる選択スイッチ94はそのま閉じている。そして、通風状態設定用開閉スイッチ80は閉じる。
【0039】
次に図10は、引戸1を開放方向Aへさらに開き、全閉用デッドボルト3Bがラッチ50の下方を通過した場合を示す。この場合ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力により回転して直ぐ元の位置に復帰する。この時従動体70は突出ピン75の位置が左側に移行しているため、付勢バネ78のバネ力により支軸59を支点に反時計方向へ回転し、そのまま付勢バネ78により押さえ付けられ、かつ、突起部76がラッチ50の上壁55と当接するため、所定位置に回転停止する。この時施解錠制御枝路93の開閉スイッチ80は「スイッチON」のままである。回動ロック部材35は作動杆31の伸張により、バネ44のバネ力に抗して時計方向に回転し、ラッチ50の回転を確実に阻止している。
【0040】
ところで、この引戸の半開時施錠状態に於いて、引戸1の施錠状態を解消し、引戸1の全開を望む場合は、制御装置85側の選択スイッチ94を「開」にすれば良い。
【0041】
図11は、引戸1を開き、半開用デッドボルト3Aがラッチ50に係止ロックされた場合の説明図(引戸半開時施錠)である。この場合半開用デッドボルト3Aは、全閉用デッドボルト3Bに対して互い違いに位置しているので、従動体70の人差し指部74が錠ケース7から突出していても邪魔にならない。
【0042】
次に図13は、引戸1を半開状態から全閉方向Bへ移動させ、全閉用デッドボルト3Bによりラッチ50が錠ケース7内へと後退した場合の説明図である。この場合全閉用デッドボルト3Bがラッチ50のテーパー状摺接面52に摺接すると、ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力に抗し、かつ、横軸16、突起軸60を介し、第1垂直ガイド長孔11及び第2垂直長孔12に案内されながら錠ケース7内へと水平後退する。したがって、従動体70もラッチ50と共に錠ケース7内へと水平後退する。
【0043】
しかして、図14で示すように全閉用デッドボルト3Bがラッチ50及び従動体70の下方を通過する際、従動体70はその人差し指部74が全閉用デッドボルト3Bの上端面と摺接する一方、その後ラッチ50が錠ケース7から突出するのに追従し、かつ、トリガーバネ78のバネ力により支軸59を支点に時計方向に回転する。その結果、従動体の突出ピン75は元の位置へと戻ると共に、その突起部76が開閉スイッチ80の可動接片80aを押圧し、開閉スイッチ80は「スイッチOFF」と成る。
【0044】
したがって、ソレノイド30は一旦非通電状態になるが、その後制御装置85は検出手段81からの信号を受理した後、主施解錠制御回路92のメイン開閉スイッチ91を閉じ、ソレノイド30を通電状態にする。そして、前述した図3で示すように全閉状態になると、ラッチ50はラッチ用復帰バネ79のバネ力により錠ケース7から突出し、全閉用デッドボルト3Bを係止する。
【0045】
【実施例】
まず本発明の実施例に於いては、開閉スイッチ80、81の一例としては、マイクロスイッチが使用される。また錠ケース7のラッチ50を上下方向に案内する案内部は垂直ガイド溝であっても良い。また従動体70は、本実施例では支軸59を支点に略60度回転する。またデッドボルト3A、3Bは同一の直線ライン上には位置していないが、仮にデッドボルト3A、3Bは同一の直線ライン上に位置させる場合には、半開用デッドボルト3Aの幅は従動体と衝突しないように全閉用デッドボルト3Bのそれよりも狭いことが必要である。
【0046】
さらに、トリガー70の人指し指部74の長さは親指部73と略同等であるが、例えば引戸1の全閉時の際に人指し指部74がデッドボルト3Bの上端部に係合するように親指部73よりも多少長く設定しても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)簡単な電気回路を採用し、引戸の開放スピード如何(速い、普通、遅い)を問わず、引戸を少しでも開けると、必ず引戸を半開状態で施錠できる。
(2)半開状態に於ける施錠用信号を確実に取り出すことができる。
(3)トリガーがラッチと共にスムースに作動する。
(4)ラッチにトリガーを組合わせているので、錠ケースのコンパクト化の要望を満たすことができる。
(5)選択スイッチが設けられている実施例の場合は、引戸を半開(通風)状態にするか否かを自由に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図14は本発明の実施の形態を説明するための第1実施例に基づく各説明図。
【図1】引戸の全閉状態に於に於ける概略説明図。
【図2】錠ケース内の施解錠機構との関係に於いて、電気回路の全体を示す概略説明図。
【図3】錠ケース内の施解錠機構を構成する各部材並びに支持箱側の部材(主にデッドボルト)の配置を示す概略説明図。なお、引戸が全閉状態で、かつ、駆動源が通電状態の説明図(引戸全閉時施錠)でもある。
【図4】引戸全閉時施錠状態の電気回路を示す説明図。
【図5】支持箱側の部材(主にデッドボルト)を示す斜視からの説明図。
【図6】駆動体(ラッチ)と従動体(トリガー)との関係を示す斜視からの説明図。
【図7】従動体を示す斜視図。
【図8】従動体と他の部材との関係を示す概略説明図。
【図9】図3に於いて、駆動源が非通電状態の説明図(引戸全閉時解錠)。
【図10】全閉用デッドボルトがラッチの下方を通過中に駆動源が施解錠制御枝路により通電状態になった場合の説明図。
【図11】引戸を半開状態にし、半開用デッドボルトがラッチに係止ロックされた場合の説明図(引戸半開時施錠)。
【図12】図10に於ける電気回路の状態を示す説明図。
【図13】引戸を半開状態から全閉方向Bへ移動させ、全閉用デッドボルトによりラッチが錠ケース内へと後退した場合の説明図。
【図14】図13に於いて、全閉用デッドボルトがラッチ及び従動体の下方を通過し、ラッチに係止された説明図。
【符号の説明】
1…引戸、2…上框、3A…半開用デッドボルト、3B…全閉用デッドボルト、4…支持箱、5…上枠、6…固定具、7…錠ケース、11、12…垂直ガイド長孔、13、14、15…軸孔、16…横軸、17、18、19…軸、59…支軸、60…突起軸、20…取付け板、21…固着具、22…フロント板、X…施解錠機構、30…駆動源、31…作動杆、33…駆動ピン、35…回動ロック部材、36…軸受板、39…突起部、41…ロックアーム部、42…水平ローラ、50…ラッチ、51…垂直係止面、52…摺接面、54…突起部、55…上壁、56…固定軸筒、57…前後の側壁、61…当接部、70、70A…従動体、71…中心孔、72…切欠部、73…親指部、74…人差し指部、75…突出ピン、78…付勢バネ、79…復帰バネ、80…通風状態設定用開閉スイッチ、81…検出手段、85…制御装置、86…電気コード、87…コネクター、88…電力変換装置、89…交流電源、90…直流電源、91…メイン開閉スイッチ、92…主施解錠制御回路、93…施解錠制御枝路、94…選択スイッチ、A…開放方向、B…全閉方向。
Claims (4)
- 駆動源用制御装置85に設けられた電源90及びメイン開閉スイッチ91と、錠ケース7に設けられた駆動源30とを直列に接続して引戸全閉時の主施解錠制御回路92を構成し、一方、前記錠ケースに通風状態設定用開閉スイッチ80を設け、この開閉スイッチ80を主施解錠制御回路92に並列に接続することにより引戸半開時の施解錠制御枝路93を構成し、また引戸1には所要間隔を有して半開用デッドボルト3Aと全閉用デッドボルト3Bとを設け、一方、これらのデッドボルト3A、3Bに係脱し、かつ、錠ケースに内蔵された施解錠機構Xの一部を構成するラッチ50には、該ラッチと共に移動して前記通風状態設定用開閉スイッチ80を作動させる従動体70を組合わせたことを特徴とする引戸用電気錠の施解錠制御装置。
- 請求項1に於いて、施解錠機構Xは、駆動源30の作動杆31の伸縮動により回動するように錠ケース7に軸支された回動ロック部材35と、この回動ロック部材35にロックされるように錠ケース7に回転及び上下動可能に軸支され、かつ、ラッチ用復帰バネ79で常時突出方向に付勢されたラッチ50と、このラッチに軸支され、かつ、全閉用デッドボルト3Bが引戸を開く初期の段階で開放方向Aに移動すると、従動体用復帰バネ78のバネのバネ力により所定量回転してそのまま所定位置で停止する従動体70とから構成されていることを特徴とする引戸用電気錠の施解錠制御装置。
- 請求項1に於いて、通風状態設定用開閉スイッチ80は、全閉用デッドボルト3Bがラッチ50に係止されている時は、従動体70が開閉スイッチ80に接触して「スイッチOFF」となり、一方、全閉用デッドボルト3Bが半開方向へ水平動することにより従動体70がラッチ50と共に移動し、突起部76が開閉スイッチ80から離れるや否や駆動源30に対して「スイッチON」と成ることを特徴とする引戸用電気錠。
- 請求項1に於いて、引戸半開時の施解錠制御枝路93には、駆動源用制御装置85により開閉が制御される選択スイッチ94が設けられていることを特徴とする引戸用電気錠の施解錠制御装置。
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1996
- 1996-08-27 JP JP24571496A patent/JP3860865B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1068255A (ja) | 1998-03-10 |
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