JP3860732B2 - ウエハ加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にウエハを加熱するのに用いるウエハ加熱装置に関するものであり、例えば、半導体ウエハや液晶装置あるいは回路基盤等のウエハ上に薄膜を形成したり、前記ウエ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成するのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体製造装置の製造工程における、半導体薄膜の成膜装置、エッチング処理、レジスト膜の焼き付け処理等においては、半導体ウエハ(以下、ウエハと略す)を加熱するためにウエハ加熱装置が用いられている。
【0003】
従来の半導体製造装置は、まとめて複数のウエハを成膜処理するバッチ式のものが使用されていたが、ウエハの大きさが200mmから300mmと大型化するにつれ、処理精度を高めるために、1枚づつ処理する枚葉式と呼ばれる手法が近年実施されている。しかしながら、枚葉式にすると1回あたりの処理数が減少するため、ウエハの処理時間の短縮が必要とされている。このため、ウエハ支持部材に対して、ウエハの加熱時間の短縮や温度精度の向上が要求されていた。
【0004】
このうち、ウエハ上へのレジスト膜の形成にあたっては、図4に示すような、炭化珪素、窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミックスからなる均熱板32の一方の主面を、ウエハWを載せる載置面とし、他方の主面には酸化膜53、絶縁層34を介して発熱抵抗体35が設置され、さらに前記発熱抵抗体35に導通端子37が弾性体38により固定された構造のウエハ加熱装置31が用いられていた。そして、前記均熱板32は、支持体41にボルト47で固定され、さらに均熱板32の内部には熱電対40が挿入され、これにより均熱板32の温度を所定に保つように、導入端子37から発熱抵抗体35に供給される電力を調整するシステムとなっていた。また、導入端子37は、板状構造部43に絶縁層39を介して固定されていた。
【0005】
そして、ウエハ加熱装置31の載置面33に、レジスト液が塗布されたウエハWを載せたあと、発熱抵抗体35を発熱させることにより、均熱板32を介して載置面33上のウエハWを加熱し、レジスト液を乾燥焼き付けしてウエハW上にレジスト膜を形成するようになっていた。
【0006】
このようなウエハ加熱装置31において、ウエハWの表面全体に均質な膜を形成し、レジスト膜の加熱反応状態を均質にするためには、ウエハWの温度分布を均一にすることが重要である。ウエハWの温度分布を小さくするため、加熱用のヒータを内蔵したウエハ加熱装置において、発熱抵抗体35の抵抗分布を調整したり、発熱抵抗体35の温度を分割制御したり、熱引きを発生したりするような構造部を接続する場合、その接続部の発熱量を増大させる等の提案がされていた。
【0007】
しかし、いずれも非常に複雑な構造、制御が必要になるという課題があり、簡単な構造で温度分布を均一にできるようなウエハ加熱装置が求められている。
【0008】
そこで、別の手法として、特開平10−223642号公報には、図5に示すように、均熱板52の載置面53からウエハWを浮かせて支持するために3個の支持ピン51を設置し、この位置を調整することにより、ウエハWの反りを発生させることにより載置面53との間隔を調整し、ウエハWの温度を均一にすることが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すウエハ加熱装置は、ウエハWを均一に加熱するために均熱板52の温度分布を、ウエハWの反りを利用して調整するようにしているが、均熱板52に温度分布があることを前提にすると、その温度分布は面全体に一様ではなく、ウエハWの反りで吸収できるものは極一部に過ぎない.このような温度調整をすると、例えば、ウエハ付け替え後の昇温過渡時の温度バラツキが大きくなり、その結果、昇温時の温度分布が大きくなってしまうという課題があった。
【0010】
また、図5のようにウエハWと均熱板32の間の間隔が一定でないと、ウエハWを載せ替えた際の昇温過渡時に、前記間隔が小さい部分は均熱板32の昇温の影響を大きく受けて速やかに温度が高めになり、逆に前記部分が大きい部分はウエハWの温度が遅れ気味に上昇するので、両者の間で温度差が大きくなるという問題があった。そして、この温度差は、成膜バラツキや、レジスト膜の反応状態を不均一にしてしまうという問題を引き起こした。
【0011】
さらに支持ピン51の高さがばらつき、ウエハWの温度分布をうまく調整できないという課題があった。
【0012】
そこで本発明者等は、上記の問題を解決するために、ウエハ加熱装置の載置面に該載置面からの突出高さが0.05〜0.5mmとなるような複数の支持ピンを備え、そのバラツキを15μm以内とすることを既に提案していた。
【0013】
しかし、近年、ウエハは大口径化と共に、スループットを高めるため搬送速度が向上しており、このような急速搬送を行ったウエハは加速度によってウエハ加熱装置に載置された瞬間に撓んでしまい、ウエハ加熱装置表面の均熱板に接触する場合が生じてきている。また、使用されるウエハは必ずしも平坦なものでなく、反ったものも存在する。そして、数μm以上の反りを持つウエハに対しては、上記方法だけでは解決不十分であることが判った。また、均熱板もウエハの大型化に伴い、うねりや撓みが大きくなり、先の述べたウエハ自身の反り、急速搬送に伴うウエハの撓みとにより、ウエハと均熱板との距離が不均一となり、レジストの焼き付けが均一にできないという課題が生じるようになった。
【0014】
具体的に説明すると、ウエハを入れ替えた直後の温度バラツキがなかなか解消されずに、温度が安定するまでの時間が長くなったり、ウエハの温度分布を考慮してウエハの支持ピンの高さを高くすると、温度を均一にするために処理時間が長くなるという問題が生じたりするようになった。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミックスからなる均熱板の一方の主面をウエハの載置面とし、他方の主面もしくは内部に発熱抵抗体を有するとともに、該発熱抵抗体と電気的に接続される給電部を前記他方の主面に具備してなるウエハ加熱装置において、前記均熱板の厚みtと均熱板外径xとの関係が0.007≦t/x≦0.035の関係であり、また載置面に該載置面からの突出高さが0.05〜0.3mmとなる複数の支持ピンを備え、該支持ピンは載置面の中心からウエハ径の0.4倍の範囲内である中心部に少なくとも1点、ウエハ径の0.4〜0.8倍の範囲内である中間部に少なくとも3点、ウエハ径の0.8〜1倍の範囲内である外周部に少なくとも4点以上それぞれ同心円状に配置され、略同心円上の支持ピンの突出高さのバラツキは15μm以下であり、かつ隣合う支持ピン間の径方向の均熱板のうねりと、隣合う支持ピン間の円周方向の均熱板のうねりが40μm以下としたことを特徴とする。
【0016】
また、支持ピンの径はφ2〜φ10mmであり、かつ前記支持ピンとウエハの接触面積は支持ピン1本あたり10mm2以下であり、支持ピンの熱伝導率y、熱板の熱伝導率sの関係が0.05≦y/s≦0.60とすることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は本発明に係わるウエハ加熱装置の1例を示す断面図であり、炭化珪素、炭化硼素、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる均熱板2の一方の主面を、ウエハWを載せる載置面3とすると共に、内部に発熱抵抗体5を形成したものである。
【0019】
発熱抵抗体5のパターンとしては、円弧状の帯状電極部と直線上の帯状電極部とならなる略同心円状をしたものや渦巻き状をしたものなど、載置面3を均一に加熱できるパターン形状であれば良い。均熱性を改善するため、発熱抵抗体5を複数のパターンに分割することも可能である。発熱抵抗体5は、金や銀、パラジウム、白金族の金属や、タングステン、チタン、窒化チタン、ニッケル等の高融点金属を使用することができる。
【0020】
また、発熱抵抗体5には、金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給電部6に導通端子7を押圧して接触させることにより、導通が確保されている。
【0021】
さらに、均熱板2と支持体11の外周にボルトを貫通させ、均熱板2側より弾性体8、座金18を介在させてナットを螺着することにより弾性的に固定している。これにより、均熱板2の温度を変更したり載置面3にウエハを載せ均熱板2の温度が変動したりした場合に支持体11変形が発生しても、上記弾性体8によってこれを吸収し、これにより均熱板2の反りを抑制し、ウエハW加熱におけるウエハW表面に温度分布が発生することを抑制できる。
【0022】
また、支持体11は板状構造体13と側壁部とからなり、該板状構造体13には発熱抵抗体5に電力を供給するための導通端子7が絶縁材9を介して設置され、不図示の空気噴射口や熱電対固定部が形成されている。そして、前記導通端子7は、給電部6に弾性体8により押圧される構造となっている。また、前記板状構造体13は、複数の層から構成されている。
【0023】
また、均熱板の厚みtと均熱板の外径xとの関係t/xは、0.07≦t/x≦0.035とする。これは、t/xが0.007より小さいと、板厚が薄すぎるために均熱板2のうねりが大きくなり温度バラツキを平準化するという均熱板2としての効果が小さく、発熱抵抗体5におけるジュール熱のバラツキがそのまま載置面3の温度バラツキとして表れるため、載置面3の均熱化が難しいからであり、逆に、t/xが0.035より大きくなると、均熱板2の熱容量が大きくなり過ぎ、均熱板2を所定の処理温度に加熱するまでの昇温時間や温度変更時の冷却時間が長くなり、生産性を向上させることができないからである。
【0024】
そして、図2に示すように載置面3には複数の凹部21が形成されており、該凹部21の中にウエハWを支えるための支持ピン20を配置している。そして、前記支持ピン20の載置面3からの突出高さhは、0.05〜0.3mmであり、該支持ピン20は載置面3の中心部からウエハ径の0.4倍の範囲内である中心部2aに少なくとも1点、ウエハ径の0.4〜0.8倍の範囲内である中間部2bに少なくとも3点、ウエハ径の0.8〜1倍の範囲内である最外周部2cに4点以上配置され、略同心円上の支持ピン20cの突出高さhのバラツキは15μm以下に調整されている。この突出高さhは、図3に示すように支持ピン20の先端20aが載置面3から突き出ている高さを意味している。
【0025】
前記突出高さhが0.05mm未満となると、均熱板2の温度に影響されやすくなり昇温過渡時の温度バラツキが大きくなりすぎるので好ましくない。また、前記突出高さhが0.3mmを越えると、ウエハWの温度分布は小さくなるが、ウエハW交換後のウエハW温度の昇温応答性が悪くなり、ウエハWの温度が安定するまでの時間が長くなるので好ましくない。これに対し、前記突出高さhを0.05〜0.3mmとすると、昇温過渡時の温度バラツキを小さくすることができ、かつウエハWの温度を速やかに安定させることができる。より好ましくは0.05〜0.2mmの範囲がよい。ウエハWの温度分布を均一にするためには、支持ピン20の突出高さhを高くした方がいいが、該突出高さhを高くすると温度の安定時間が遅くなってしまう。本発明者等が検討した結果、ウエハWに関して±0.3℃という厳しい温度分布を達成するためには、前記突出高さhを上記の範囲とすることが好ましいことが判った。
【0026】
また、支持ピン20は載置面3の前記中心部2aに少なくとも1点、前記中間部に少なくとも3点、前記外周部に4点以上配置されないと、ウエハWの載置状態が不安定となり、かつ略同心円状でなければ、前記支持ピン20による作用点とウエハ重心が一致しないため、安定したウエハ載置は望めないためである。
【0027】
よって、ウエハWを安定して支持するためには、該支持ピン20は載置面3の中心部2aに少なくとも1点、中間部2bに少なくとも3点、外周部2cに4点以上配列することが好ましい。
【0028】
なお、図2の例では略同心円上の支持ピン20cの外側に、径の大きな略同心円上の支持ピン20d、20eを備えており、1つのウエハ加熱装置1において、異なる2種類以上のウエハ径に対応することができる。例えば、外径300mmのウエハ加熱装置1でφ200mmとφ300mmのウエハWに対応する場合、ウエハ加熱装置1の前記支持ピン20c、20dは、ウエハの外周部2c、つまりφ180〜195mm上とφ280〜295mm上に配列してあれば良く、前記支持ピン20c、20dは1配列上に少なくとも3点配置してあれば良い。
【0029】
一方、載置面3の中心部2aに少なくとも1点の支持ピン20bを設置したのは、ウエハWは0.7mm程の厚みしかなく非常に撓みやすいため、ウエハWを載置した瞬間等に均熱板2表面にウエハWの裏面が触れる恐れがあり、この時点でウエハWの温度分布が著しく悪化してしまったり、ウエハW自身の反りが大きく、均熱板2に触れてしまったりすることを抑制するためである。もちろん、ウエハWの中央部に設置された前記支持ピン20bも、載置面3からの突出高さhは0.05〜0.3mmでなければならない。
【0030】
また、ウエハWが200mmから300mmへ大型化するに伴い、最外周のウエハWの撓みが従来に対し約2倍程度大きくなったり、また、均熱板2自体の撓みも約1.6倍程度大きくなったりする傾向があった。その結果、ウエハWを入れ替えた際の昇温過渡時の温度ばらつきにより、レジスト焼き付けのばらつきによる製品歩留りが悪くなるという問題があった。従って、本発明は均熱板2のうねりを防止するために、均熱板2の外辺を弾性体を介してネジ止め締めする構造にした。さらに、撓んだ均熱板2とウエハWとの距離一定に保つようにウエハWを支える支持ピン20間の均熱板2のうねりの大きさに着目した。その結果、径方向の隣合う支持ピン20間の均熱板2のうねりL、および径方向の隣合う支持ピン20間の均熱板2のうねりMを40μm以下にすることにより、±0.3℃以内の温度精度を達成することができるようになった。ここで、隣合う支持ピン20間の距離とは、図2に示したように、それぞれの支持ピン20の中で最も近い距離の支持ピン20間の距離を意味する。
【0031】
また、前記支持ピン20の径はφ2〜φ10mmであり、かつ該支持ピン20とウエハWとの接触面積は支持ピン20の1本あたり10mm2以下で、かつ前記支持ピンの熱伝導率y、均熱板2の熱伝導率sの関係が0.05≦y/s≦0.60であることが好ましいことを見出した。すなわち、ウエハWを載せ替えた際の昇温過渡時において、支持ピン20からの熱伝導による温度ばらつきを小さくできることを見出した。
【0032】
支持ピン20の熱伝導率yと均熱板2の熱伝導率sとの関係y/sが0.05より小さいと、支持ピン20を介しての熱伝導によりウエハWに供給される熱量が、均熱板2からの輻射によりウエハWに供給される単位面積あたりの熱量より小さくなり、支持ピン20で支えられた部分のウエハWの昇温が遅くなり、温度差が大きくなる。逆に、y/sが0.60より大きくなると、支持ピン20に接している部分のウエハW部の昇温上昇が早くなってしまい、温度差が大きくなる。これに対し、前記y/sを0.05〜0.60とすると、良好な温度分布を維持することが可能となる。
【0033】
また、前記支持ピン20の径をφ2〜φ10mmとしたのは、前記支持ピン20によって阻害されてしまう均熱板2からウエハWへの熱伝達を、前記支持ピン20がウエハWに直接触れることによる熱伝導によって、バランス良く補わなければならないからである。
【0034】
すなわち、前記支持ピン20の径がφ2mmより小さくなると、前記支持ピン20からウエハWに伝わる熱量が減少し、ウエハWの前記支持ピン20で支持部分のみが低温となってしまい、逆に前記支持ピン20の径がφ10mmより大きくなると、前記支持ピン20からウエハWに伝わる熱量が大きすぎて、ウエハWの前記支持ピン20で支持部分のみが高温となってしまうためである。
【0035】
また、該支持ピン20とウエハWの接触面積を支持ピン1本あたり10mm2以下としたのは、前記支持ピン20とウエハWの接触面積が10mm2を越えると支持ピン20からの伝熱量が増え、この部分のウエハ温度が上昇しウエハの温度ムラとなってしまうからである。よって、前記支持ピン20は、先細り加工や先端R面加工など先端形状を変化させることによって、前記支持ピン20とウエハの接触面積を支持ピン1本あたり10mm2以下とし、より望ましくは3mm2以下とした方が良い。なお、ウエハWに対するパーティクル付着を低減させる観点からも、ウエハWに接触する支持ピン20の面積は少なくする方が好ましい。
【0036】
また、図3に示すように、前記支持ピン20の先端20aは曲面形状をなすとともに、該曲面部分の表面粗さ(Ra)は0.8μm以下とすることが好ましい。なぜならば、ウエハWに対するパーティクル付着を低減させるためには、ウエハWを支持する部材はウエハWを傷つけるものであってはならないことはもちろんのこと、ウエハWに接触する面積は少ない方が良いためである。ウエハWに接触する面積を極小とするには、前記支持ピン20の先端20aは鋭利形状とすべきであるが、逆にウエハWを削り取りパーティクルを発生させる恐れがある。よって、前記支持ピン20の先端20aは曲面形状とするとともに、該曲面部分の表面粗さ(Ra)は0.8μm以下として、ウエハWと摺動してもウエハWや前記支持ピン20自身を傷つけないような滑らかな仕上げとしなければならない。
【0037】
ところで、前記略同心円上の支持ピン20cの突出高さhのバラツキが15μmを越えると、ウエハWを載せ替えた際の昇温過渡時に、載置面3とのギャップが小さい部分は均熱板2の昇温の影響を大きく受けて温度は速やかに上昇し、逆に前記ギャップが大きい部分はウエハWの温度が遅れながら上昇するので、両者の間で温度差が過大となってしまうので好ましくない。ゆえに、略同心円上の支持ピン20cの突出高さhのバラツキは、15μm以下としなければならない。
【0038】
なお、支持ピン20は凹部21に接合せずに単に載置しておくだけでよい。その場合、脱落を抑制するために、図3に示すように固定治具24を凹部21の上部に設置する。この固定治具24は、支持ピン20とは接触しても接触しなくても特に支障はなく、固定治具24は市販のスナップリングを用いても何ら問題ない。ただし、固定治具24の材質としては、Ni、SUS316、SUS631、42アロイ、インコネル、インコロイ等、耐熱金属のものを使用する。
【0039】
また、均熱板2の平坦度に関しては、100μm以下好ましくは50μm以下とすることが好ましい。また、均熱板2を弾性的に支持体11に保持することにより、支持体11内の温度分布によって発生する反りを、この弾性的構造で緩和することができるので、均熱板2の平坦度を維持することが可能となる。
【0040】
ところで、金属製の支持体11は、側壁部と板状構造体13を有し、該板状構造体13には、その面積の5〜50%にあたる開口部が形成されている。また、該板状構造体13には、必要に応じて他に、均熱板2の発熱抵抗体5に給電するための給電部6と導通するための導通端子7、均熱板2を冷却するためのガス噴出口、均熱板2の温度を測定するための熱電対10を設置する。
【0041】
また、不図示のリフトピンは支持体11内に昇降自在に設置され、ウエハWを載置面3上に載せたり、載置面3より持ち上げたりするために使用される。そして、このウエハ加熱装置1によりウエハWを加熱するには、不図示の搬送アームにて載置面3の上方まで運ばれたウエハWをリフトピンにより支持したあと、リフトピンを降下させてウエハWを載置面3上に載せる。次に、給電部6に通電して発熱抵抗体5を発熱させ、絶縁層4及び均熱板2を介して載置面3上のウエハWを加熱する。
【0042】
このとき、本発明は、均熱板2を炭化珪素質焼結体、炭化硼素質焼結体、窒化硼素質焼結体、窒化珪素質焼結体、もしくは窒化アルミニウム質焼結体により形成してあることから、熱を加えても変形が小さく、板厚を薄くできるため、所定の処理温度に加熱するまでの昇温時間及び所定の処理温度から室温付近に冷却するまでの冷却時間を短くすることができ、生産性を高めることができるとともに、60W/m・K以上の熱伝導率を有することから、薄い板厚でも発熱抵抗体5のジュール熱を素早く伝達し、載置面3の温度バラツキを極めて小さくすることができる。しかも、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、半導体ウエハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。
【0043】
また、均熱板2を形成するセラミックスとしては、炭化珪素、炭化硼素、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムのようないずれか1種以上を主成分とするものを使用することができる。
【0044】
炭化珪素質焼結体としては、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を含有した焼結体や、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤としてアルミナ(Al23)とイットリア(Y23)を含有し1900〜2200℃で焼成した焼結体を用いることができ、また、炭化珪素はα型を主体とするもの、あるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
【0045】
また、炭化硼素質焼結体としては、主成分の炭化硼素に対し、焼結助剤として炭素を3〜10重量%混合し、2000〜2200℃でホットプレス焼成することにより焼結体を得ることができる。
【0046】
そして、窒化硼素質焼結体としては、主成分の窒化硼素に対し、焼結助剤として30〜45重量%の窒化アルミニウムと5〜10重量%の希土類元素酸化物を混合し、1900〜2100℃でホットプレス焼成することにより焼結体を得ることができる。窒化硼素の焼結体を得る方法としては、他に硼珪酸ガラスを混合して焼結させる方法があるが、この場合熱伝導率が著しく低下するので好ましくない。
【0047】
また、窒化珪素質焼結体としては、主成分の窒化珪素に対し、焼結助剤として3〜12重量%の希土類元素酸化物と0.5〜3重量%のAl23、さらに焼結体に含まれるSiO2量として1.5〜5重量%となるようにSiO2を混合し、1650〜1750℃でホットプレス焼成することにより焼結体を得ることができる。ここで示すSiO2量とは、窒化珪素原料中に含まれる不純物酸素から生成するSiO2と、他の添加物に含まれる不純物としてのSiO2と、意図的に添加したSiO2の総和である。
【0048】
また、窒化アルミニウム質焼結体としては、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてY23やYb23等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。
【0049】
これらの焼結体は、その用途により材質を選択して使用する。例えば、レジスト膜の乾燥に使用する場合は、窒化物は水分と反応してアンモニアガスを発生し、これがレジスト膜に悪影響を及ぼすので使用できない。また、800℃程度の高温で使用する可能性のあるCVD用のウエハ加熱装置の場合は、ガラスを多く含む窒化硼素系の材料は、均熱板2が使用中に変形してしまい均熱性が損なわれてしまう可能性がある。
【0050】
さらに、均熱板2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
【0051】
一方、炭化珪素質焼結体を均熱板2として使用する場合、多少導電性を有する均熱板2と発熱抵抗体5との間の絶縁を保つ絶縁層4としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが350μmを越えると、均熱板2を形成する炭化珪素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層4として機能しなくなる。その為、絶縁層4としてガラスを用いる場合、絶縁層4の厚みは100μm〜350μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200μm〜350μmの範囲で形成することが良い。
【0052】
また、均熱板2を、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体で形成する場合は、均熱板2に対する発熱抵抗体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層4を形成する。ただし、発熱抵抗体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
【0053】
次に、絶縁層4に樹脂を用いる場合、その厚みが30μm未満では、耐電圧が1.5kVを下回り、絶縁性が保てなくなるとともに、発熱抵抗体5にレーザ加工等によってトリミングを施した際に絶縁層4を傷つけ、絶縁層4として機能しなくなり、逆に厚みが150μmを越えると、樹脂の焼き付け時に発生する溶剤や水分の蒸発量が多くなり、均熱板2との間にフクレと呼ばれる泡状の剥離部ができ、この剥離部の存在により熱伝達が悪くなるため、載置面3の均熱化が阻害される。その為、絶縁層4として樹脂を用いる場合、絶縁層4の厚みは30μm〜150μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは60μm〜150μmの範囲で形成することが良い。
【0054】
また、絶縁層4を形成する樹脂としては、200℃以上の耐熱性と、発熱抵抗体5との密着性を考慮すると、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂等が好ましい。
【0055】
なお、ガラスや樹脂から成る絶縁層4を均熱板2上に被着する手段としては、前記ガラスペースト又は樹脂ペーストを均熱板2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペーストにあっては、600℃の温度で、樹脂ペーストにあっては、300℃以上の温度で焼き付ければ良い。また、絶縁層4としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は炭化硼素質焼結体から成る均熱板2を1200℃程度の温度に加熱し、絶縁層4を被着する表面を酸化処理し酸化膜23を形成することで、ガラスから成る絶縁層4との密着性を高めることができる。
【0056】
さらに、絶縁層4上に被着する発熱抵抗体5としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等の金属単体を、蒸着法やメッキ法にて直接被着するか、あるいは前記金属単体や酸化レニウム(Re23)、ランタンマンガネート(LaMnO3)等の酸化物を導電材として含む樹脂ペーストやガラスペーストを用意し、所定のパターン形状にスクリーン印刷法等にて印刷したあと焼き付けて前記導電材を樹脂やガラスから成るマトリックスで結合すれば良い。マトリックスとしてガラスを用いる場合、結晶化ガラス、非晶質ガラスのいずれでも良いが、熱サイクルによる抵抗値の変化を抑えるために結晶化ガラスを用いることが好ましい。
【0057】
ただし、発熱抵抗体5に銀又は銅を用いる場合、マイグレーションが発生する恐れがあるため、このような場合には、発熱抵抗体5を覆うように絶縁層4と同一の材質から成る保護膜を30μm程度の厚みで被覆しておけば良い。
【0058】
また、図示しないが、発熱抵抗体5を内蔵するタイプの均熱板2に関しては、熱伝導率が高く電気絶縁性が高い窒化アルミニウム質焼結体を用いることが好ましい。この場合、窒化アルミニウムを主成分とし焼結助剤を適宜含有する原料を十分混合したのち円盤状に成形し、その表面にWもしくはWCからなるペーストを発熱抵抗体5のパターン形状にプリントし、その上に別の窒化アルミニウム成形体を重ねて密着した後、窒素ガス中1900〜2100℃の温度で焼成することにより発熱抵抗体を内蔵した均熱板2得ることが出来る。また、発熱抵抗体5からの導通は、窒化アルミニウム質基材にスルーホール19を形成し、WもしくはWCからなるペーストを埋め込んだ後焼成するようにして表面に電極を引き出すようにすれば良い。また、給電部6は、ウエハWの加熱温度が高い場合、Au、Ag等の貴金属を主成分とするペーストを前記スルーホール19の上に塗布し900〜1000℃で焼き付けることにより、内部の発熱抵抗体5の酸化を抑制することができる。
【0059】
上記絶縁層4を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、例えばレジスト乾燥用に使用する場合、耐熱温度が200℃以上でかつ0℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が均熱板2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5〜+5×10-7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が前記範囲を外れたガラスを用いると、均熱板2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼き付け後の冷却時において、均熱板2に反りが発生したり、クラックや剥離等の欠陥が生じたりし易いからである。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。
【0061】
実施例 1
炭化珪素原料に3重量%のB4Cと2重量%の炭素を適量のバインダーおよび溶剤を用いて混合し、造粒した後成形圧100MPaで成形し、1900〜2100℃で焼成して、熱伝導率が80W以上であり外径が300mmの円盤状の炭化珪素焼結体を得た。
【0062】
この炭化珪素焼結体の両主面に研削加工を施し、外径300mm、板厚を1〜10mmの円盤状をした均熱板2を作製した。さらに大気中で1200℃×1時間の熱処理を施し前記焼結体の表面に酸化膜24を形成した。その後、ガラス粉末に対してバインダーとしてのエチルセルロースと有機溶剤としてのテルピネオールを混練して作製したガラスペーストをスクリーン印刷法にて敷設し、80℃に加熱して有機溶剤を乾燥させたあと、450℃で30分間脱脂処理を施し、さらに700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、ガラスからなる厚み400μmの絶縁層4を形成した。次いで絶縁層4上に発熱抵抗体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPt粉末を混合したガラスペーストを、スクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、80℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに450℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが30μmの発熱抵抗体5を形成した。
【0063】
発熱抵抗体5は中心部と外周部を周方向に4分割し、中央部を加えた5パターン構成とした。しかるのち発熱抵抗体5に給電部6を導電性接着剤にて固着させることにより、均熱板2を製作した。
【0064】
また、均熱板2の載置面3に、同心円上φ190mm、φ290mmの4等配、6等配の位置および中央部に凹部21を形成し、同心円上の支持ピン20は載置面3からの突出高さhを100μmとした。
【0065】
また、支持体11は、主面の40%に開口部を形成した厚み2.5mmのSUS304からなる2枚の板状構造体13を準備し、この内の1枚に、熱電対10、10本の導通端子7を所定の位置に形成し、同じくSUS304からなる側壁部とネジ締めにて固定して支持体11を準備した。
【0066】
その後、前記支持体11の上に、均熱板2を重ね、その外周部を弾性体8を介してネジ締めすることにより図1に示した本発明のウエハ加熱装置1とした。
【0067】
さらに、バネを有する導通端子7を装着した支持体11にその外周部を弾性体8を介してネジ締めすることにより図1に示した本発明のウエハ加熱装置1とした。
【0068】
まず、均熱板2の厚みtと均熱板2の外径xの関係t/xを0.005、0.007、0.013、0.020、0.030、0.035、0.040と変えた均熱板2を用いたウエハ加熱装置1を準備した。
【0069】
そして、同心円上の支持ピン20の突出高さhを30、50、100、200、300、400μmと変量したウエハ加熱装置1を準備した。測定方法は、凹部21から半径10mmの円周上の4等分点の高さを基準に支持ピン20の頭の高さを1μm精度のデプスゲージを用いて測定した。
【0070】
また、中心部2a、中間部2b、外周部2cにそれぞれ支持ピン20を形成しないサンプルを準備して、この影響を調べた。
【0071】
また、上記外周部弾性体のバネ圧を変えて、均熱板2上の中間部2bおよび外周部2cの支持ピン20間のうねりを10〜50μmと変えたサンプルを作製した。
【0072】
なお、作製したサンプルの上記パラメータ以外の詳細は、表1に示した。
【0073】
そして、このようにして得られたウエハ加熱装置1の導電端子7に通電して200℃で保持し、載置面3の上に載せたウエハ表面の温度分布を、均熱板2の同心円上の各点の温度バラツキが1℃以内となることを確認した後、150℃に30分保持したのち、ウエハWを載せてウエハWが150℃に保持されるまでのウエハW面内の温度バラツキの過渡特性を評価した。評価基準としては、ウエハWを入れ替えた際の昇温過渡時の温度バラツキが10℃以下のものをOKとし、10℃を越えるもとをNGとした。また、ウエハ面の温度上昇時における温度のオーバーシュートが0.3℃以内をOK、0.3℃を越えるとNGとした。なお、ここでいうオーバーシュートとは、均熱板2の温度を制御してウエハWの温度を所定の温度に制御する際に、勢い余ってその設定温度より高めになってしまった温度差のことである。
【0074】
また、ウエハWを入れ替えた際の昇温過渡評価において、ウエハ載置後50秒以内に温度バラツキが±0.3℃以内に安定するものをOKとし、温度バラツキが±0.3℃以内に安定する時間が50秒を越えるものをNGと判定定した。
【0075】
上記、全項目の評価判断として、5/5OKのものを◎、4/5OKのものを○、3/5〜2/5を△、1/5以下を×とした。
【0076】
結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
Figure 0003860732
【0078】
表1から判るように、熱板厚みtと熱板外径xとの関係t/xが0.007より小さいNo.1は、均熱板2のうねりが大きくなり昇温過渡時の温度ばらつきが10℃以上になり、NGとなった。また、t/xが0.035より大きいNo.7は、均熱板2の熱容量が大きくなるため安定するまでの時間が50秒以上となりNGであった。これに対し、t/xが0.007〜0.035であるNo.2〜6は、昇温過渡時の温度ばらつきが10℃以下、安定するまでの時間は50秒で良好な結果が得られた。
【0079】
また、支持ピン20の載置面3からの突出高さhが30μmと低いNo.8は、均熱板2からの熱をウエハWが直接受けるため、昇温過渡時の温度ばらつきが大きくなった。また、前記突出高さhを400μmとしたNo.13は、オーバーシュートは良好な結果であるが、温度が±0.3℃の範囲に安定するまでの時間が50秒以上かかりNGであった。また、同円周上の支持ピン20の突出高さhのバラツキが20μmと大きなNo.16は、温度バラツキが大きくなった。これに対し、前記突出高さhが50〜300μmであるNo.9〜12およびNo.14〜15は、温度のオーバーシュート、温度分布が±0.3℃の範囲内に安定するまでの時間が5/5全てOKになり、良好な結果が得られた。
【0080】
また、前記突出高さhを50〜300μmとしたものの中で、均熱板2に支持ピン20を設置しなかったNo.17〜19については、ウエハ載置直後にウエハWが撓んでしまい、温度バラツキが5ヶ中5ヶとも全て10℃以下とすることはできなかった。
【0081】
また、中間部2bおよび外周部2cのいずれかの支持ピン20間のうねりが40μmを越えるNo.21〜23は、温度バラツキが大きくなるので好ましくない。これに対し、前記うねりが40μm以下であるNo.20、2〜6、9〜12、14、15は、良好な温度分布が得られた。
【0082】
実施例 2(支持ピン形状の関係)
ここでは、ウエハWの温度分布に対する支持ピン20からの熱伝導の影響を調べた。支持ピン20の形状によって生じる過渡特性に関する実験を行った。
【0083】
まず、実施例1と同様にしてウエハ加熱装置1を作製した。
【0084】
そして、同心円上の支持ピン20の突出高さhを100μmとし、支持ピン20の外径を1〜12μmの範囲、支持ピン20とウエハWの接触面積を0.7〜20mm2の範囲で調整したサンプルをサンプルを準備した。
【0085】
なお、均熱板2は表面粗さRa=0.8μm以下で、支持ピン20は純度の異なるアルミナ製のセラミックスを準備した。また、これらのサンプルについて、実施例1と同様に、ウエハWを入れ替えた際の昇温過渡時の温度バラツキ、オーバーシュートの大きさと、ウエハW温度が±0.3℃の範囲内に安定するまでの時間を評価した。
【0086】
このようにして得られた結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
Figure 0003860732
【0088】
表2より、ウエハWの載置面3を基準としたときの支持ピン20の突出高さhは0.05〜0.3mmであって、かつ前記支持ピン20の径はφ2〜φ10mmであり、かつ前記支持ピン20とウエハWの接触面積は、支持ピン20の1本あたり10mm2以下とすれば過渡特性に有効であることが判った。支持ピン20の影響を小さくするためには、さらに望ましくは3mm2以下が良い。
【0089】
実施例 3(熱伝導率の関係)
ここでは、支持ピン20の熱伝導率yと均熱板2の熱伝導率sとの比y/sと、ウエハWの温度分布の関係を評価した。
【0090】
サンプルは、実施例1と同様にして加工し、均熱板2の材質を炭化珪素と窒化アルミニウムとし、支持ピン20の材質をジルコニア、アルミナ(純度92%、99.5%、99.99%、炭化珪素、窒化アルミニウムと変更して、前記y/sの値を0.02〜2.56の間で変更して、評価方法は実施例1と同様な方法でサンプル間の差を調べた。
【0091】
このようにして得られた結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
Figure 0003860732
【0093】
表3より、支持ピン20と均熱板2の熱伝導率の比がy/sが0.05より小さいNo.1は、支持ピンからの熱伝導が伝わり難いので、支持ピン20と接触した部分の温度が低くなる傾向があり、昇温過渡時の温度ばらつきが大きくなり、歩留まりが低下する傾向を示した。逆に、前記熱伝導率の比y/sが0.60より大きいNo.10〜12は、支持ピン20からの熱伝導が大きくなる傾向になり、支持ピン20を介して早く熱が伝わるので昇温過渡時の温度ばらつきが大きくなった。これに対し、0.05≦y/s≦0.60としたNo.2〜9は、ウエハWを交換した際のウエハW温度の昇温過渡時のばらつきが10℃以下となり、オーバーシュート量を小さくできるとともに、所定温度に対するウエハWの温度が安定するまでの時間を短縮でき、その安定温度のばらつきを小さくできることが判った。
【0094】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、セラミックスからなる均熱板の一方の主面をウエハの載置面とし、他方の主面もしくは内部に発熱抵抗体を有するとともに、該発熱抵抗体と電気的に接続される給電部を前記他方の主面に具備してなるウエハ加熱装置において、前記均熱板の厚みtと均熱板外径xとの関係が0.007≦t/x≦0.035の関係であり、また載置面に該載置面からの突出高さが0.05〜0.3mmとなる複数の支持ピンを備え、該支持ピンは載置面の中心からウエハ径の0.4倍の範囲内の中心部に少なくとも1点、ウエハ径の0.4〜0.8倍の範囲の中間部に少なくとも3点配列され、ウエハ径の0.8〜1倍の範囲内の最外周部に少なくとも4点以上それぞれ同心円状に配置され、略同心円上の支持ピンの突出高さのバラツキは15μm以下であり、かつ隣合う支持ピン間の径方向の均熱板のうねりと、隣合う支持ピン間の円周方向の均熱板のうねりを40μm以下とすることにより、ウエハを交換した際のウエハ温度の昇温過渡時のばらつきが10℃以下とし、オーバーシュート量を小さくするとともに、所定温度に対するウエハ温度が安定するまでの時間を短縮し、その安定温度のばらつきを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウエハ加熱装置を示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明のウエハ加熱装置の均熱板の平面図であり、(b)はそのX−X断面図である。
【図3】本発明のウエハ加熱装置の支持ピン載置部の断面図である。
【図4】従来のウエハ加熱装置を示す断面図である。
【図5】従来のウエハ加熱装置の均熱板を示す断面図である。
【符号の説明】
1:ウエハ加熱装置
2:均熱板
3:載置面
4:絶縁層
5:発熱抵抗体
6:給電部
7:導通端子
8:弾性体
10:熱電対
11:支持体
20:支持ピン
21:凹部
24:固定治具
h:突出高さ
W:ウエハ

Claims (3)

  1. セラミックスからなる均熱板の一方の主面をウエハの載置面とし、他方の主面もしくは内部に発熱抵抗体を有するとともに、該発熱抵抗体と電気的に接続される給電部を前記他方の主面に具備してなるウエハ加熱装置において、前記均熱板の厚みtと均熱板外径xとの関係が0.007≦t/x≦0.035の関係であり、また載置面に該載置面からの突出高さが0.05〜0.3mmとなる複数の支持ピンを備え、該支持ピンは載置面の中心からウエハ径の0.4倍の範囲内である中心部に少なくとも1点、ウエハ径の0.4〜0.8倍の範囲内である中間部に少なくとも3点、ウエハ径の0.8〜1倍の範囲内である外周部に少なくとも4点以上それぞれ同心円状に配置され、略同心円上の支持ピンの突出高さのバラツキは15μm以下であり、かつ隣合う支持ピン間の径方向の均熱板のうねりと、隣合う支持ピン間の円周方向の均熱板のうねりを40μm以下としたことを特徴とするウエハ加熱装置。
  2. 前記支持ピンの径はφ2〜φ10mmであり、かつ前記支持ピンとウエハの接触面積は支持ピン1本あたり10mm2以下であることを特徴とする請求項1記載のウエハ加熱装置。
  3. 前記支持ピンの熱伝導率y、均熱板の熱伝導率sの関係が0.05≦y/s≦0.60であることを特徴とする請求項1および2記載のウエハ加熱装置。
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