JP3860720B2 - コンバインの伝動構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンからの動力を、静油圧式無段変速装置とミッションケースに内装した走行用伝動系とを介して走行装置に伝達するように構成したコンバインの伝動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなコンバインの伝動構造においては、例えば特開平11−220933号公報で開示されているように、ミッションケースに走行用伝動系などを内装して伝動装置を構成し、この伝動装置に別途構成した静油圧式無段変速装置を伝動可能に連結して、静油圧式無段変速装置による変速後の動力を伝動装置に伝達するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術によると、静油圧式無段変速装置と伝動装置とを個別に構成して連結することから、製造コストが嵩むとともに、静油圧式無段変速装置と伝動装置とからなる変速伝動装置の全体が大型化するようになっており、コンバインの小型化や低価格化を図る上において改善の余地があった。
【0004】
本発明の目的は、コンバインの小型化や低価格化を図れる伝動構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、エンジンからの動力を、静油圧式無段変速装置とミッションケースに内装した走行用伝動系とを介して走行装置に伝達するとともに、前記ミッションケースに内装されている刈取用伝動系を介して刈取搬送装置に伝達するように構成したコンバインの伝動構造において、
前記ミッションケースを左右分割構造に構成し、このミッションケースの一方の側壁に内方に向けて凹入する凹部を形成し、前記凹部にピストンポンプとピストンモータとを収容し、前記ピストンポンプと前記ピストンモータとを接続する油路が形成されたポートブロックを前記側壁に連結して前記凹部を閉塞することで、前記静油圧式無段変速装置を、前記ミッションケースの内方に入り込ませた状態で、前記ポートブロックが前記ミッションケースの外方に位置するように構成し、
かつ、前記ミッションケースの一方の側壁に形成された前記凹部を、ケース内方への突出端がケース分割面よりも他側へ突出しない状態で設け、
前記ピストンポンプの入力軸を、前記ポートブロックとは反対側においてミッションケースの他方の側壁から外側方に突出させてエンジンに連動連結するとともに、前記ピストンポンプの入力軸の前記ミッションケース内における配設部分に刈取伝動系への出力ギヤを装備し、
前記ピストンポンプの入力軸が配置されている箇所での、ケース分割面から他方の側壁内面までのケース左右方向幅を、前記一方の側壁に形成された凹部のケース内方への突出端と前記他方の側壁内面との間に、刈取伝動系への前記出力ギヤのみを位置させ得る程度の幅寸法に設定してある。
【0006】
〔作用〕
上記請求項1記載の発明によると、ミッションケースの側壁を静油圧式無段変速装置のケーシングに有効利用していることから、部品点数の削減を図れるようになり、又、静油圧式無段変速装置のケーシングを成形するための専用の金型を要することなく、ミッションケースの側壁を成形する金型で静油圧式無段変速装置のケーシングを成形することができ、結果、製造コストを削減できるとともに部品管理の面で有利にすることができるようになる。
【0007】
しかも、静油圧式無段変速装置がミッションケースの内方に入り込むことから変速伝動装置全体としての小型化を図れるようになり、又、ポートブロックがミッションケースの外方に位置することから、高圧で昇温し易いポートブロックからの放熱を促進させることができて油温の上昇を抑制できるようになる。
【0008】
その上、ミッションケースに対する外方からの組み付けで静油圧式無段変速装置を構成できることから、ミッションケースに対する静油圧式無段変速装置の組み付けが容易になり、又、ミッションケースを分解することなく静油圧式無段変速装置のメンテナンスを行えるとともに、静油圧式無段変速装置を分解することなくミッションケースに内装された走行用伝動系などのメンテナンスを行えるようになる。
【0009】
〔効果〕
従って、コンバインの小型化や低価格化を図れる上に、静油圧式無段変速装置の冷却や部品管理並びに組み付けやメンテナンスの面で有利にできる伝動構造を提供できるようになった。
【0010】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記静油圧式無段変速装置の入力軸に、前記ポートブロックに向けて冷却風を供給する冷却ファンを装備した。
【0011】
〔作用〕
上記請求項2記載の発明によると、高圧で昇温し易いポートブロックに冷却風を作用させることから、油温の低減を効率良く行えるようになる。
【0012】
〔効果〕
従って、静油圧式無段変速装置の冷却効率の向上を図れるようになった。
【0013】
〔構成〕
本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、前記静油圧式無段変速装置が装備される前記側壁にポンプブロックを連結して、前記静油圧式無段変速装置に対するチャージ用の油圧ポンプを構成した。
【0014】
〔作用〕
上記請求項3記載の発明によると、ミッションケースの側壁をチャージ用の油圧ポンプに有効利用していることから、部品点数の削減を図れるとともに製造コストを削減できるようになり、更に、チャージ用の油圧ポンプを含む変速伝動装置全体としての小型化を図れるようになる。
【0015】
又、静油圧式無段変速装置と油圧ポンプとが同じ側壁に装備されることから、油圧ポンプと静油圧式無段変速装置とのチャージ油路を介した接続を簡単に行えるようになる。
【0016】
〔効果〕
従って、コンバインの小型化や低価格化をより効果的に図れるとともに、部品管理の面でより一層有利にすることができる上に、構成の容易化を図れるようになった。
【0017】
【発明の実施の形態】
49
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、走行装置の一例である左右一対のクローラ式走行装置1の作動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置3を昇降可能に連結し、走行機体2に、刈取搬送装置3からの刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施す脱穀装置4と、脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5とを搭載するとともに、穀粒タンク5の前方箇所に搭乗運転部6を形成することによって構成されている。
【0018】
図2〜8に示すように、このコンバインは、エンジン7からの動力を、その左前方に位置するミッションケース8の左前上部に装備された静油圧式無段変速装置9にベルトテンション式の主クラッチ10を介して伝達し、その静油圧式無段変速装置9による変速後の動力を、ミッションケース8の下半部に内装された走行用伝動系11を介して左右のクローラ式走行装置1に伝達するように構成されており、静油圧式無段変速装置9に連係された図外の主変速レバーの操作によって、前後進の切り換えと無段の変速とを行えるようになっている。
【0019】
走行用伝動系11は、静油圧式無段変速装置9からの動力が伝達されるギヤ式変速装置12や、左右のクローラ式走行装置1の作動状態を切り換えて走行機体2を操向する油圧式の操向装置13、などによって構成されており、ギヤ式変速装置12に連係された図外の副変速レバーの操作によって、静油圧式無段変速装置9による変速後の動力を2段に変速できるようになっている。
【0020】
図2〜9に示すように、操向装置13は、ギヤ式変速装置12から対応するクローラ式走行装置1への伝動を断続する左右の爪クラッチ14、対応するクローラ式走行装置1に制動する左右の多板ブレーキ15、バネ16の付勢に抗した対応する爪クラッチ14の切り操作と多板ブレーキ15の制動操作とを可能にする左右の油圧シリンダ17、及び、バネ18の付勢に抗した左右のクローラ式走行装置1における駆動軸19同士の接続を可能にする多板式の油圧クラッチ20、などによって構成されている。
【0021】
又、操向装置13の作動状態の切り換えは、左右の油圧シリンダ17及び油圧クラッチ20の作動油として油圧ポンプ21によって圧送されるミッションオイルの流量調節で行うことができ、その流量調節は、操向用の油路22に介装したリリーフ弁23、切換弁24、可変リリーフ弁25、及び減圧弁26の作動を制御することで行うことができ、それらの作動制御は、切換弁24及び可変リリーフ弁25に連係した操作レバー27の操作で行えるようになっている。切換弁24は、操作レバー27を中立位置Nに操作すると、左右の油圧シリンダ17への作動油の供給を阻止するとともに左右の油圧シリンダ17からの作動油の排出を許容する中立状態に切り換えられ、操作レバー27を左右いずれかの第1旋回位置L1,R1から第2旋回位置L2,R2にわたる旋回操作領域内に操作すると、その操作方向に対応する油圧シリンダ17への作動油の供給を許容するとともに、その操作方向に反する油圧シリンダ17からの作動油の排出を許容する左右いずれかの旋回状態に切り換えられるようになっている。可変リリーフ弁25は、操作レバー27を中立位置N又は左右いずれかの第1旋回位置L1,R1に操作するとリリーフ圧が零になり、左右いずれかの第1旋回位置L1,R1から第2旋回位置L2,R2側に大きく操作するほどリリーフ圧が大きくなるように設定されている。
【0022】
この構成から、操向装置13は、操作レバー27を中立位置Nに操作すると、切換弁24が中立状態に切り換えられることで、左右の油圧シリンダ17から作動油が排出されて左右の爪クラッチ14の入り状態と左右の多板ブレーキ15の非制動状態とが現出され、又、油圧クラッチ20に作動油が供給されて左右のクローラ式走行装置1の駆動軸19同士を接続する油圧クラッチ20の入り状態が現出されることから、左右のクローラ式走行装置1を等速駆動する直進状態を現出するようになっている。
【0023】
操作レバー27を中立位置Nから左側の第1旋回位置L1に操作すると、切換弁24が左旋回状態に切り換えられることで左側の油圧シリンダ17に作動油が供給されて左側の爪クラッチ14の切り状態が現出された後、可変リリーフ弁25のリリーフ圧が零のままであることで、左側の油圧シリンダ17に供給された作動油がそのまま排出油路部分から排出されて左側の多板ブレーキ15が非制動状態に維持されることから、右側のクローラ式走行装置1を駆動する一方で左側のクローラ式走行装置1を従動させる左緩旋回状態を現出し、逆に、操作レバー27を中立位置Nから右側の第1旋回位置R1に操作すると、切換弁24が右旋回状態に切り換えられることで右側の油圧シリンダ17に作動油が供給されて右側の爪クラッチ14の切り状態が現出された後、可変リリーフ弁25のリリーフ圧が零のままであることで、右側の油圧シリンダ17に供給された作動油がそのまま排出油路部分から排出されて右側の多板ブレーキ15が非制動状態に維持されることから、左側のクローラ式走行装置1を駆動する一方で右側のクローラ式走行装置1を従動させる右緩旋回状態を現出するようになっている。
【0024】
尚、左右の緩旋回状態では、その現出に伴って減圧弁26の入口側の内圧が低下することで、油圧クラッチ20内の作動油が排出されるようになっており、これによって、油圧クラッチ20が徐々に切り状態に切り換えられて、駆動されるクローラ式走行装置1から従動するクローラ式走行装置1への伝動が徐々に弱められることから、軟弱な圃場であっても直進状態から緩旋回状態への移行をスムーズに行えるようになっている。
【0025】
操作レバー27を左側の第1旋回位置L1から第2旋回位置L2に向けて操作していくと、その操作量が大きいほど可変リリーフ弁25のリリーフ圧が大きくなることで、左側の油圧シリンダ17に作動油が供給されて左側の多板ブレーキ15が徐々に制動状態に切り換えられることから、右側のクローラ式走行装置1を駆動する一方で左側のクローラ式走行装置1を制動する左急旋回状態をスムーズに現出することができ、逆に、操作レバー27を右側の第1旋回位置R1から第2旋回位置R2に向けて操作していくと、その操作量が大きいほど可変リリーフ弁25のリリーフ圧が大きくなることで、右側の油圧シリンダ17に作動油が供給されて右側の多板ブレーキ15が徐々に制動状態に切り換えられることから、左側のクローラ式走行装置1を駆動する一方で右側のクローラ式走行装置1を制動する右急旋回状態をスムーズに現出することができるようになっている。
【0026】
図示は省略するが、右側の多板ブレーキ15は、主クラッチ10とともにブレーキペダルに連係されており、そのブレーキペダルを踏み込み操作することによって、主クラッチ10がエンジン7から静油圧式無段変速装置9への伝動を遮断し、多板ブレーキ15が操向装置13を介して左右のクローラ式走行装置1を制動する走行停止状態を現出することができ、そのブレーキペダルを踏み込み操作位置にロック金具で保持することによって、多板ブレーキ15を駐車ブレーキとして機能させた駐車状態を現出できるようになっている。
【0027】
図2〜8に示すように、ミッションケース8は、左右に分離可能な2分割構造で、その左側の側壁28における前上部箇所には、ミッションケース8の内方に向けて凹入する凹部29が形成されている。静油圧式無段変速装置9は、ミッションケース8の凹部29にアキシャル形のピストンポンプ30とピストンモータ31とを収容し、ピストンポンプ30とピストンモータ31とを接続する前進油路32や後進油路33などが形成されたポートブロック34を左側の側壁28に連結して凹部29を閉塞することによって構成されている。
【0028】
つまり、ミッションケース8の側壁28を静油圧式無段変速装置9のケーシングに有効利用することによって、部品点数や製造コストの削減を図れるようになり、又、側壁28の凹部29を利用して静油圧式無段変速装置9を構成することによって、静油圧式無段変速装置9がミッションケース8の内方に大きく入り込むようになり、それらの配設に要する空間が小さくなることから、コンバイン全体としての小型化を図れるようになり、更に、高圧の油路32,33を有することで昇温し易いポートブロック34がミッションケース8の外方に位置することから、ポートブロック34からの放熱を促進させることができて油温の上昇を抑制できるようになっている。
【0029】
その上、ミッションケース8の側壁28を静油圧式無段変速装置9のケーシングに有効利用しながらも、ミッションケース8に対する外方からの組み付けで静油圧式無段変速装置9を構成できることから、ミッションケース8に対する静油圧式無段変速装置9の組み付けの容易化を図れるようになり、又、ミッションケース8を分解することなく静油圧式無段変速装置9のメンテナンスを行えるとともに、静油圧式無段変速装置9を分解することなくミッションケース8に内装された走行用伝動系11などのメンテナンスを行えることから、メンテナンス性の向上をも図れるようになっている。
【0030】
静油圧式無段変速装置9の入力軸35となるピストンポンプ30の入力軸35には、ポートブロック34に向けて冷却風を供給する冷却ファン36が装備されており、これによって、ポートブロック34の冷却を効果的に行うことができて、油温の低減を効率良く行えるようになっている。静油圧式無段変速装置9の出力軸となるピストンモータ31の出力軸63は、前記凹部29の内奥からミッションケース内に突出されて出力ギヤ63aを介して走行伝動系11にギヤ連動連結されている。つまり、出力ギヤ63aに噛合する伝動ギヤ64aを介して走行伝動系11の中間伝動軸64に前記静油圧式無段変速装置9の 動力が伝達されるように構成されている。
【0031】
ミッションケース8の後上部には、静油圧式無段変速装置9の入力軸35から出力ギヤ35aを介して伝動される刈取用伝動系37が内装されており、その出力軸38と、ミッションケース8の後部上方に配設された刈取搬送装置3の入力軸39とにわたって、ベルトテンション式の刈取クラッチ40が架設されている。刈取用伝動系37は、それに連係した図外の作業用レバーの操作によって、エンジン7からの動力を、中低速走行時に適した作業速度で刈取搬送装置3を駆動させる低速伝動状態と、高速走行時に適した作業速度で刈取搬送装置3を駆動させる高速伝動状態との2段に変速できるように構成されており、走行速度に適した刈取搬送装置3の駆動状態を現出することで、植立穀稈の好適な刈り取り搬送を行えるようになっている。
【0032】
静油圧式無段変速装置9のトラニオン軸41は、刈取用伝動系37の出力軸38よりも前方に位置するように、ミッションケース8の前上部から前方に向けて延出されており、これによって、例えば、刈取搬送装置3の構成などに起因して、図2〜4に示すように、ミッションケース8の右側に刈取搬送装置3の入力軸39が位置する場合と、図10に示すように、ミッションケース8の左側に刈取搬送装置3の入力軸39が位置する場合のいずれにおいても、図8に示すように、主変速レバーからトラニオン軸41にわたる連係機構42に支障なく、刈取クラッチ40を刈取用伝動系37の出力軸38と刈取搬送装置3の入力軸39とにわたって簡単に架設できるようになっている。
【0033】
図9に示すように、操向用の油路22における油圧ポンプ21より上手側の油路部分には、静油圧式無段変速装置9に対するチャージ用の油路43が接続されており、この油路43には、チャージ用の油圧ポンプ44、前進油路32に対する逆止弁45、後進油路33に対する逆止弁46、前進油路32に対する中立弁47、及び、リリーフ弁48が介装されており、リリーフ弁48からの戻り油を冷却用として静油圧式無段変速装置9に供給するようにしている。
【0034】
図2〜8にも示すように、操向用の油圧ポンプ21とチャージ用の油圧ポンプ44は、刈取用伝動系37の前記出力ギヤ35aと噛合する伝動ギヤ49aを備えた中間伝動軸49で駆動されるトロコイド2連ポンプであり、静油圧式無段変速装置9が装備されたミッションケース8の左側の側壁28における後上部箇所に、リリーフ弁48を内装したポンプブロック50を連結することで構成されている。つまり、ミッションケース8の側壁28を油圧ポンプ21,44に有効利用していることから、部品点数の削減を図れるとともに製造コストを削減できるようになり、又、その配設箇所は、静油圧式無段変速装置9を装備したことで凹入した状態となるミッションケース8の側壁28における後上部箇所であることから、その側壁28にポンプブロック50を連結して油圧ポンプ21,44を構成するものでありながら、その突出に起因した大型化を回避できるようになり、更に、静油圧式無段変速装置9と、それに対するチャージ用の油圧ポンプ44及び冷却用となるリリーフ弁48を同じ側壁28に装備することから、それらの油路22,43を介した接続を簡単に行えるようになっている。
【0035】
図9、図11及び図12に示すように、静油圧式無段変速装置9のトラニオン軸41は、前進油路32に対する中立弁47に牽制機構51を介して連係されている。牽制機構51は、トラニオン軸41に装備された操作アーム52に一体形成されたセクターギヤ53、セクターギヤ53に噛合するピニオンギヤ54、及び、ピニオンギヤ54と一体回転するカム55、などによって構成されている。カム55は、トラニオン軸41が中立位置から所定の低速位置に至るまでの間、パイロット圧に抗して中立弁47を遮断状態から連通状態に切り換えるように構成されている。ミッションケース8とカム55との間には、中立弁47に作用する作用位置と作用しない非作用位置とにわたるカム55の移動を可能にする摺動部材57が介装されており、この摺動部材57は、刈取クラッチ40の入り操作に連動してカム55を作用位置に位置させるとともに、刈取クラッチ40の切り操作に連動してカム55を非作用位置に位置させるように刈取クラッチ40に連係されている。
【0036】
この構成から、刈取クラッチ40の入り操作が行われた作業走行時には、牽制機構51の作動によって、図11、図12の(イ)及び図13の(イ)に示すように、トラニオン軸41が中立位置から所定の前進側低速位置に至るまでの間は、静油圧式無段変速装置9が作動停止してクローラ式走行装置1や刈取搬送装置3への伝動を阻止するようになることから、微速走行にかかわらず刈取搬送装置3が比較的速い所定速度で定速駆動される速度差に起因して、刈り取り不良や搬送不良などが発生することを回避でき、更に、刈取クラッチ40の切り操作が行われた非作業走行時には、図12の(ロ)に示すように、牽制機構51による静油圧式無段変速装置9の作動停止が、その解除機構として機能する摺動部材57によって解除されることから、又、後進走行時には、図9に示すように、中立弁47が機能しないことから、図13に示すように、零発進及び微速走行を行うことができて円滑に走行させることができるようになっている。
【0037】
図6に示すように、ミッションケース8内には、その下部に配設された操向装置13の伝動ギヤ58などによって跳ね上げられたミッションオイルをミッションケース8の底部近傍に貯留する貯留部59を区画形成する仕切壁60が設けられており、この貯留部59に貯留されたミッションオイルをオイルフィルタ61を介して静油圧式無段変速装置9や操向装置13などに供給するようにしている。又、静油圧式無段変速装置9や操向装置13などからの戻り油を貯留部59に戻すようにしている。
【0038】
つまり、ミッションオイルを作動油として利用することによって、作動油専用のオイルタンクを別途装備する必要がないことから、製造コストの削減並びに省スペース化を図れるようになり、又、操向装置13の伝動ギヤ58などで攪拌されたミッションオイルをそのまま静油圧式無段変速装置9などに供給するのではなく、一旦、伝動ギヤ58により跳ね上げられた後に仕切壁60などに沿って流下して貯留部59に貯留されることで気泡が取り除かれるようになる貯留部59内のミッションオイルを静油圧式無段変速装置9などに供給し、又、既に気泡の除去が行われている静油圧式無段変速装置9や操向装置13などからの戻り油を貯留部59に戻すことから、貯留部59内のミッションオイルに気泡が含まれる割合をより一層小さくすることができ、作動油に混入した気泡が静油圧式無段変速装置9などに悪影響を及ぼす虞をより効果的に抑制できるようになっている。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの全体側面図
【図2】 コンバインの伝動構成を示す概略図
【図3】 ミッションケースの縦断正面図
【図4】 ミッションケース上部の縦断正面図
【図5】 ミッションケース下部の縦断正面図
【図6】 ミッションケースの縦断側面図
【図7】 ミッションケースの側面図
【図8】 トラニオン軸と刈取クラッチの位置関係を示す要部の側面図
【図9】 油圧回路図
【図10】 ミッションケースの左側に刈取クラッチを配設した状態を示すミッションケース上部の縦断正面図
【図11】(イ)中立位置での牽制機構の作動状態を示す作用図
(ロ)所定の前進低速位置での牽制機構の作動状態を示す作用図
(ハ)前進高速位置での牽制機構の作動状態を示す作用図
【図12】(イ)作業クラッチ入り状態での解除機構の作動状態を示す作用図
(ロ)作業クラッチ切り状態での解除機構の作動状態を示す作用図
【図13】(イ)牽制機構作動状態での走行速度と刈取搬送速度との関係を示す図
(ロ)牽制機構非作動状態での走行速度と刈取搬送速度との関係を示す図
【符号の説明】
1 走行装置
7 エンジン
8 ミッションケース
9 静油圧式無段変速装置
11 走行用伝動系
28 側壁
29 凹部
30 ピストンポンプ
31 ピストンモータ
32 油路
33 油路
34 ポートブロック
35 入力軸
36 冷却ファン
50 ポンプブロック
44 油圧ポンプ
63 出力軸
Claims (3)
- エンジンからの動力を、静油圧式無段変速装置とミッションケースに内装した走行用伝動系とを介して走行装置に伝達するとともに、前記ミッションケースに内装されている刈取用伝動系を介して刈取搬送装置に伝達するように構成したコンバインの伝動構造であって、
前記ミッションケースを左右分割構造に構成し、このミッションケースの一方の側壁に内方に向けて凹入する凹部を形成し、前記凹部にピストンポンプとピストンモータとを収容し、前記ピストンポンプと前記ピストンモータとを接続する油路が形成されたポートブロックを前記側壁に連結して前記凹部を閉塞することで、前記静油圧式無段変速装置を、前記ミッションケースの内方に入り込ませた状態で、前記ポートブロックが前記ミッションケースの外方に位置するように構成し、
かつ、前記ミッションケースの一方の側壁に形成された前記凹部を、ケース内方への突出端がケース分割面よりも他側へ突出しない状態で設け、
前記ピストンポンプの入力軸を、前記ポートブロックとは反対側においてミッションケースの他方の側壁から外側方に突出させてエンジンに連動連結するとともに、前記ピストンポンプの入力軸の前記ミッションケース内における配設部分に刈取伝動系への出力ギヤを装備し、
前記ピストンポンプの入力軸が配置されている箇所での、ケース分割面から他方の側壁内面までのケース左右方向幅を、前記一方の側壁に形成された凹部のケース内方への突出端と前記他方の側壁内面との間に、刈取伝動系への前記出力ギヤのみを位置させ得る程度の幅寸法に設定してあるコンバインの伝動構造。 - 前記静油圧式無段変速装置の入力軸に、前記ポートブロックに向けて冷却風を供給する冷却ファンを装備してある請求項1記載のコンバインの伝動構造。
- 前記静油圧式無段変速装置が装備される前記側壁にポンプブロックを連結して、前記静油圧式無段変速装置に対するチャージ用の油圧ポンプを構成してある請求項1又は2記載のコンバインの伝動構造。
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