JP3860429B2 - コード板及びこれを用いた回転型電気部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コード板とこれを用いた回転型電気部品に係わり、特に、スクリーン印刷法を用いて信号パターンを形成したコード板と、これを用いた回転型電気部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータリーコードスイッチ等の回転型電気部品に用いられるコード板は、従来、図6に示すように、コードパターン30が、絶縁基板31上にスクリーン印刷されており、コードパターン30は、円環状のコモンパターン30aと、これと同心円上に設けられた円弧状の複数の信号パターン30bとを有し、信号パターン30bとコモンパターン30aは、径方向に連結されて一体に形成されている。
【0003】
また、このコード板を用いたロータリーコードスイッチは、図6に示すように、コード板上を摺動する摺動子17が、コモン用接触子17aと、複数の信号用接触子17bとを備え、コモン用接触子17aがコモンパターン30aに接続して、信号接触子17bが信号パターン30bに接続されたとき、コモン用接触子17aと信号用接触子17b間の導通状態がON状態、信号用接触子17bが信号パターン30aに接続しないとき、コモン用接触子17aと信号用接触子17b間の導通状態はOFF状態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スクリーン印刷法により形成されたコードパターン30は、導電性粒子を分散した樹脂からなるので、導電性が低い。よって、コモンパターン30aから離れた位置に形成された信号パターン30bでは、信号パターン30bの端部30cに信号用接触子17bが接触したとき、端部30cからコモンパターン30aまでの導通抵抗が高くなり、コモン用接触子17aと信号用接触子17b間の導通状態は、ON状態とOFF状態との差が低下して、ノイズの影響を受けやすくなる問題があった。
本発明は、導電性が低い導電材料からなる信号パターンであっても、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が低いコード板と、このコード板を用いた回転型電気部品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のコード板は、絶縁基板と、この絶縁基板上に設けられ、摺動子と接触可能な円環状或いは円弧状のコモンパターンと、前記絶縁基板上で、前記コモンパターンと同心円上に形成され、前記摺動子と接触可能な円弧状の信号パターンとを備え、複数の前記信号パターンは、径の異なる円周上で、前記摺動子の摺動範囲に相当する所定角度の範囲に設けられ、前記信号パターン同士、及び前記信号パターンと前記コモンパターンは、径方向に連結されて電気的に接続されており、前記絶縁基板には、前記信号パターンが形成された前記所定角度の範囲以外で、前記摺動子が摺動しない範囲のほぼ全域に導電材料からなる接続部材が設けられると共に、前記信号パターンの少なくとも一つは、円周方向の一端部が、前記絶縁基板に形成された前記接続部材を介して前記コモンパターンに接続されることにより、前記接続部材が接続された前記信号パターンと前記コモンパターン間の導通経路短縮して導通抵抗を低くするようにしている。
このようなコード板では、導電性の低い導電材料からなる信号パターンであっても、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が低下するので、コモンパターンに接触した摺動子のコモン用接触子と、信号パターンに接触した摺動子の信号用接触子間の導通抵抗が低く、信号用接触子とコモン用接触子間の導通状態は、信号用接触子が信号パターンに接触したON状態と、信号用接触子が信号パターンに接触しないOFF状態との差が大きく、ノイズの影響を受けにくい。
また、このようなコード板では、接続部材の抵抗が低いので、好ましい。
【0006】
また、本発明のコード板は、少なくとも前記信号パターンが、樹脂中に導電性粒子を分散した導電材料からなる。
このようなコード板では、信号パターンをスクリーン印刷法により形成することができるので、信号パターンの変更が容易である。
【0007】
本発明のコード板は、前記コモンパターンと前記接続部材が、前記信号パターンと同一材料により形成されている。
このようなコード板では、コモンパターンと信号パターンと接続部材とを一度に形成して、製造工程を簡略化することができる。
【0008】
本発明のコード板は、前記接続部材が、前記信号パターンが形成された前記絶縁基板の表面、または/及び、前記表面と反対側の裏面に形成した。
このようなコード板では、接続部材の面積をより広くして、接続部材の抵抗値をより低くすることにより、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が、さらに低下する。
【0010】
本発明の回転型電気部品は、前記いずれかのコード板と、金属からなる摺動子とを有し、前記摺動子は、前記コモンパターン上を摺接するコモン用接触子と、前記信号パターンに接離する信号用接触子を備えている。
このような回転型電気部品では、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が低いので、コモンパターンに接触した摺動子のコモン用接触子と、信号パターンに接触した摺動子の信号用接触子間の導通抵抗が低く、信号用接触子が信号パターンに接触したON状態と、信号用接触子が信号パターンに接触しないOFF状態との導通状態の差が大きく、ノイズの影響を受けにくい。
【0011】
本発明の回転型電気部品は、前記摺動子が、前記信号パターンが形成された前記所定角度の範囲を摺動して、前記摺動子は前記接続部材に接触しない。
このような回転型電気部品では、接続部材が摺動子により削られることがないので、接続部材の抵抗が高くなることがなく、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗を低く保持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のコード板、及びこれを用いた回転型電気部品の図面を説明すると、図1は、本発明のコード板の第1実施例に係わる平面図、図2は、本発明のコード板の第2実施例に係わる平面図、図3は、本発明のコード板の第3実施例に係わる平面図、図4は、本発明の回転型電気部品の分解斜視図、図5は、本発明の回転型電気部品の要部を示す説明図である。
【0013】
次に、本発明のコード板の第1の実施例の構成を図1に基づいて説明すると、円板状の絶縁基板4には、その中心に円形の貫通孔4cが設けられて、絶縁基板4の表面には、コードパターン10が形成されている。
【0014】
3ビットに対応する場合を例にして、コードパターン10を説明すると、このコードパターン10は、摺動子(図1には図示せず)のコモン用接触子に接触可能なコモンパターン10aと、摺動子の信号用接触子に接触可能な第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dと、コモンパターン10aと信号パターン10b、10c、10dとを接続する導電パターンからなる接続部材とで構成されている。
【0015】
そして、コモンパターン10aは、絶縁基板4の貫通孔4cを中心として、貫通孔4cの周囲に円環状に形成され、また、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dは、コモンパターン10aの周囲において、摺動子の摺動範囲に相当する所定角度θの範囲に、それぞれ径異なる円周上で円弧状に形成されている。第1の信号パターン10bは、円弧状の内周側がコモンパターン10aの外周側に接続されており、第1の信号パターン10bとコモンパターン10aとは、径方向に連結されて、電気的に接続されている。そして、この第1の信号パターン10bは、所定角度θの範囲内に形成されている。また、この第1の信号パターン10bの一端部は、所定角度θの範囲の一端Aに位置すると共に、他端部は、所定角度θの他端Bから外れた箇所に位置している。
【0016】
第2の信号パターン10cは、コモンパターン10aと同心円上に形成され、円弧状の内周側の一部が第1の信号パターン10bの外周側に接続されており、第2の信号パターン10cと第1の信号パターン10bとは、径方向に連結されて、電気的に接続されている。そして、第2の信号パターン10cの円周方向の一端部は、内周側が第1の信号パターン10bに接すると共に、所定角度θの一端Aから外れた箇所に位置して、また、円周方向の他端部は、内周側が第1の信号パターン10bに接さない状態で、所定角度θの他端Bに位置している。
【0017】
2個の第3の信号パターン10dは、それぞれ、第2の信号パターン10cの外側で、コモンパターン10aと同心円上に形成されると共に、内周側が第2の信号パターン10cの外周側に接続されており、径方向に連結されて、電気的に接続されている。一方の第3の信号パターン10dは、円周方向の一端部が、内周側で第2の信号パターン10cに接して、円周方向の他端部が、第2の信号パターン10cに接さない状態で、所定角度θの一端Aから外れた箇所に位置しており、他方の第3の信号パターン10dは、第2の信号パターン10cに接した状態で、円周方向の一端部が所定角度θの一端Bに位置している。
【0018】
このようにして、それぞれ異なる径の円周上に形成された第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dは、径方向に連結されて、第1の信号パターン10bがコモンパターン10aに接しているので、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dは、コモンパターン10aと電気的に接続されている。
【0019】
接続部材10gは、コモンパターン10aの周囲で、所定角度θの範囲以外の全域に設けられている。所定角度θの一端A側において、接続部材10gは、第1の信号パターン10bの円周方向の端部に連結された状態で、第1の信号パターン10bと同じ幅をもって円周上に延出される円弧状であり、内周側がコモンパターン10aに接している。また、所定角度θの他端B側において、接続部材10gは、第2、第3の信号パターン10c、10dの円周方向の端部に連結された状態で、第2、第3の信号パターン10c、10dの合計幅をもって円周上に延出された円弧状である。更に、所定角度θの一端A、及び他端Bから十分離れた位置において、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dの合計幅をもって円周上に延出された円弧状であり、内周側がコモンパターン10aに接続されている。
【0020】
このようにして、信号パターン10b、10c、10dのうち、コモンパターン10aから径方向に最も離れて形成された第3の信号パターン10dは、所定角度θの他端Bに位置する一端部が、接続部材10gによって、より短い導通経路でコモンパターン10aと電気的に接続されている。
【0021】
コードパターン10は、フェノール樹脂等のバインダ樹脂中に、銀粉や、銀メッキされたカーボンビーズ等の導電性粒子を分散した導電材料からなる。バインダ樹脂は、導電性粒子をバインドする役割を果たし、導電性粒子は、導電材料に導電性を付与する役割を果たすと共に、銀メッキされたカーボンビーズは、導電材料の耐摩耗性を向上させている。
【0022】
なお、バインダ樹脂はフェノール樹脂に限定されるものではなく、導電性粒子をバインドする役割を果たせば、有機溶剤に可溶な樹脂、或いは、硬化可能な液状硬化性樹脂であれば良い。また、導電性粒子は、銀粉に限定されるものではなく、また、銀メッキされたカーボンビーズを含まなくても良い。
【0023】
図1に示す第1の実施例では、コードパターン10の所定角度θが240度、コモンパターン10aの内径、幅が、それぞれ約2.6mm、約0.8mm、第3の信号パターン10dの内径、幅が、それぞれ約6.1mm、約0.7mmで形成されたものとなっている。そして、所定角度θの他端B側の回転終端位置において、後述する摺動子7は、コモンパターン10aには接触点X、また、第3の信号パターン10dには、接触点Yで接触する。このとき、接触点Yにおいては、接触点Xまでの経路が、矢印Z1方向よりも、接続部材10gが存在する矢印Z2方向が短く、接触点XY間の抵抗値は、0.166Ωであった。一方、接続部材10gを設けない場合、接触点XY間の抵抗値は、0.417Ωであった。このように、接続部材10gを設けることにより、接触点XY間の導通経路が短縮されて、接触点XY間の抵抗値を下げることができる。
【0024】
次に、コード板の製造方法を説明する。まず、フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に、銀粉と銀メッキされたカーボンビーズを分散させて導電インクを作製する。そして、所定のコードパターン10に応じたスクリーンマスクを用いたスクリーン印刷法により、導電インクを、コードパターン10形状に絶縁基板4上に形成した後、焼成する。導電インクは、焼成により有機溶剤が取り除かれて、硬化する。
【0025】
図2は、本発明のコード板の第2の実施例を示し、このコード板のコードパターン10は、4ビットに対応しており、図1に示す3ビット対応のコードパターン10と同様に、コモンパターン10aと、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dと、接続部材10gとが設けられると共に、第1の実施例にはない第4の信号パターン10eが、コモンパターン10aの内周側に接した状態で円弧状に形成されて、第4の信号パターン10eの円周方向の一端部は、コモンパターン10aの内周側に接続され、第4の信号パターン10eと同じ幅に設けられた接続部材10gに連結されている。
【0026】
また、図2に示すコードパターン10は、第1、第4の信号パターン10b、10eが、各1個ずつ、第2の信号パターン10cが2個、第3の信号パターン10dが3個設けられている。このように、最も数の多い第3の信号パターンが、最も径の大きい円周上に設けられている。そして、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dが形成された角度θは、第1の実施例と異なるが、第1の実施例と同一部材に同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0027】
図2に示す第2の実施例では、コードパターン10の所定角度θが120度、コモンパターン10aの内径、幅が、それぞれ約3.57mm、約0.7mm、第3の信号パターン10dの内径、幅が、それぞれ約6.1mm、約0.7mmで形成されたものとなっている。そして、所定角度θの他端B側の回転終端位置において、後述する摺動子7は、コモンパターン10aには接触点X、また、第3の信号パターン10dには、接触点Yで接触する。このとき、接触点Yにおいては、接触点Xまでの経路が、矢印Z1方向よりも、接続部材10gが存在する矢印Z2方向が短く、接触点XY間の抵抗値は、0.295Ωであった。一方、接続部材10gを設けない場合、接触点XY間の抵抗値は、0.480Ωであった。このように、接続部材10gを設けることにより、接触点XY間の抵抗値を下げることができる。
【0028】
図3は、本発明のコード板の第3の実施例を示し、このコード板のコードパターン10は、図2に示すコードパターン10と同様に、4ビットに対応しており、コモンパターン10aと、第1、第2、第3、第4の信号パターン10b、10c、10d、10eと、接続部材10gとを有している。
【0029】
また、図3に示すコードパターン10は、第1、第4の信号パターン10b、10eが、各1個ずつ、第2の信号パターン10cが3個、第3の信号パターン10dが4個設けられており、図2に示すコードパターン10と比べて、第2、第3の信号パターン10c、10dの数が多いので、所定角度θが大きいものとなっている。そして、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dが形成された角度θは、第2の実施例と異なるが、第1、第2の実施例と同一部材に同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0030】
図3に示す第3の実施例では、コードパターン10の所定角度θが240度、コモンパターン10aの内径、幅が、それぞれ約3.57mm、約0.7mm、第3の信号パターン10dの内径、幅が、それぞれ約6.1mm、約0.7mmで形成されたものとなっている。そして、所定角度θの他端B側の回転終端位置において、後述する摺動子7は、コモンパターン10aには接触点X、また、第3の信号パターン10dには、接触点Yで接触する。このとき、接触点Yにおいては、接触点Xまでの経路が、矢印Z1方向よりも、接続部材10gが存在する矢印Z2方向が短く、接触点XY間の抵抗値は、0.220Ωであった。一方、接続部材10gを設けない場合、接触点XY間の抵抗値は、0.380Ωであった。このように、接続部材10gを設けることにより、接触点XY間の抵抗値を下げることができる。
【0031】
なお、図1〜図3には、本発明のコード板の一例を示したが、コードパターン10の形状は、ビット数等コード板の仕様により変更されて、図1〜図3に限定されるものではない。また、図1〜図3では、コモンパターン10aを円環状として示したが、コモンパターン10aは、円環状の一部が切り欠かれた円弧状であっても良い。何れの場合も、少なくともひとつの信号パターンは、円周方向の一端部が、接続部材に連結されている。
【0032】
また、上記説明では、コードパターン10を、樹脂中に導電性粒子を分散した導電材料として説明したが、信号パターン10b、10c、10d、10eがこの導電材料であれば、コモンパターン10aと導電パターン10gは、金属板等、他の導電材料でも良い。
【0033】
また、ここでは図示しないが、信号パターン10b、10c、10d、10eが設けられた絶縁基板4の表面と反対側の裏面に、接続部材10gを設け、絶縁基板4に設けたスルーホールには、コモンパターン10aに接続する接続導体と、信号パターン10b、10c、10d、10eに接続する接続導体を設け、コモンパターン10aと、信号パターン10b、10c、10d、10eとが、接続導体を介して接続部材10gと電気的に接続しても良い。このように、接続部材10gを絶縁基板4の裏面に形成すると、絶縁基板4の表面での信号パターン10b、10c、10d、10eの形成範囲に制限されず、接続部材10gの面積を大きくすることができるので、コモンパターン10aと信号パターン10b、10c、10d、10e間の導通抵抗をより低くすることができる。さらに、接続部材10gは、絶縁基板4の表面と裏面の両方に設けても良い。
【0034】
次に、本発明の回転型電気部品について、図4と図5を用いて説明すると、回転型電気部品のひとつであるロータリーコードスイッチは、亜鉛ダイキャストからなる軸1と軸受け2とを有し、この軸受け2は、中心部に貫通孔を設けた円筒部2aと、円筒部2aの端部に設けられた円板部2bとが設けられて、円板2bには、円筒部2aとは反対側に、樹脂からなる突起5が取り付けられている。軸1は、一端側に操作部1aが設けられ、他端側が軸受け2の円筒部2aに挿通されて、軸1は、軸受け2に対して回転可能な状態に保持されている。
【0035】
絶縁性樹脂からなるクリック板3は、円板状に形成されて、中央に設けられた貫通孔3bと、片面側の全周にわたって設けられた波状の凹凸3aとを有する。
【0036】
このクリック板3は、凹凸3aが形成された面を軸受け2の円板2bに向けて、貫通孔3bに軸1の先端を貫通させて、軸1と共に回転するように取り付けられている。
【0037】
コード板Cは、上記で説明した本発明の第1の実施例のコード板であり、絶縁基板4の表面4bにコードパターン10が形成されており、絶縁基板4の中央には貫通孔4cが設けられている。このコード板Cは、コードパターン10が形成されていない裏面4aをクリック板3と対向させ、貫通孔4cに軸1の先端に貫通させて、軸1と共に回転するように取り付けられている。このようにして、コード板Cは、とクリック板3と共に、軸1と一体に回転可能な状態となっている。
【0038】
絶縁性樹脂の成型品からなるケース6は、円形の底部6aと、底部6aの外縁から略垂直に立ち上がる側部6bとを有し、側部6bには、軸受け1を取り付けるための切り欠きが設けられている。
【0039】
りん青銅からなる摺動子7は、コモン用接触子7aと、複数の信号用接触子7b、7c、7dとを有し、コモン用接触子7aと信号用接触子7b、7c、7dが並設されて、ケース6の底部6aに取り付けられている。また、金属からなる複数の端子8は、ケース6の側部6bから外方に突出すると共に、それぞれ、コモン用接触子7a、信号用接触子7b、7c、7dに接続されている。
【0040】
このケース6は、軸受け2と組み合わされると共に、軸1に取り付けられたクリック板3とコード板Cは、ケース6に収容される。このとき、摺動子7のコモン用接触子7aと、信号用接触子7b、7c、7dは、コード板Cの半径方向に並設された状態となっていると共に、コモン用接触子7aは、コモンパターン10aに常時接触し、また、信号用接触子7b、7c、7dは、それぞれ第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dに接続可能となっている。
【0041】
金属からなる取り付け板9は、底部9aと、底部9aの両側から略垂直に立ち上がる一対の側部9bと、側部9bから突出した突片9cとを有している。取り付け板9は、側部9b間にケース8を挟持して、軸受け2を押さえるように、側部9bの先端の突片9cを折り曲げて、ケース8と軸受け2を固定している。
【0042】
次に、本発明の回転型電気部品(ロータリーコードスイッチ)の動作について説明する。軸1は、コード板Cに信号パターン10b、10c、10dが形成された所定角度θの範囲で回転する。軸1が回転すると、クリック板3とコード板Cは、軸1と一体に回転して、クリック板3の凹凸3aが突起5に係脱して、クリック感が得られるようになっている。
【0043】
回転するコード板Cには、摺動子7が、信号パターン10b、10c、10dが形成された所定角度θの範囲で摺動する。この摺動子7は、コモン端子部7aが、コモンパターン部10aに接触すると共に、第1、第2、第3の信号端子7b、7c、7dが、それぞれ、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10dに接触するようになっており、接続部材10gには接触しない。
【0044】
第1の信号用接触子7bが、第1の信号パターン10bに接続しているとき、第1の信号用接触子7bとコモン用接触子7aは、第1の信号パターン10bとコモンパターン10aを介して、電気的に接続されて、第1の信号用接触子7bとコモン用接触子7a間の導通状態は、ON状態となる。一方、第1の信号用接触子7bが第1の信号パターン10bに接触しないとき、第1の信号用接触子7bとコモン用接触子7a間は絶縁状態であり、第1の信号用接触子7bとコモン用接触子7a間の導通状態は、OFF状態となる。
【0045】
同様に、第2の信号用接触子7cとコモン用接触子7a間の導通状態は、第2の信号用接続子7cが、第2の信号パターン10cに接触しないとき、OFF状態であり、第2の信号用接続子7cが、第2の信号パターン10cに接触しているとき、ON状態となる。
【0046】
同様に、第3の信号用接触子7dとコモン用接触子7a間の導通状態は、第2の信号用接続子7dが、第3の信号パターン10dに接触しないとき、OFF状態であり、第3の信号用接続子7dが、第3の信号パターン10dに接触しているとき、ON状態となる。
【0047】
第3の信号用接触子7dが、所定角度θの範囲の端Bにおいて、第3の信号パターン10dと接触するときであっても、第3の信号用接触子7dとコモン用接触子7a間は、第1、第2、第3の信号パターン10b、10c、10d及びコモンパターン10aを介して接続されるだけではなく、接続部材10gを介して短い導通経路で接続されており、導通抵抗が低い。よって、コモン用接触子7aと第3の信号用接触子7b間の導通状態は、第3の信号用接触子7bが第3の信号パターン10dに接触したON状態と、第3の信号用接触子7dが第3の信号パターン10dに接触しないOFF状態との差が大きく、ノイズの影響を受けにくい。
【0048】
このようにして、第1、第2、第3の信号接触子7b、7c、7dとコモン用接触子7a間の導通状態の、ON状態、OFF状態の組み合わせにより、軸1の回転角度を検出することができる。
【0049】
樹脂中に導電性粒子を分散した導電材料からなるコードパターン10では、摺動子7により削られ易く、コードパターン10の導電性が低下する可能性があるので、特に、接続部材10gによって、信号パターン10b、10c、10dとコモンパターン10a間の導通抵抗を低下させて、コモン用接触子7aと第1、第2、第3の信号用接触子7b、7c、7d間の導通状態のON状態とOFF状態との差を保持することが重要である。なお、接続部材10gは摺動子7に接触しないので、導電性が低下することがない。
【0050】
このとき、摺動子7の取り付け位置のズレ等により、摺動子7が、コード板Cの所定角度θの範囲から若干ズレた位置に摺接しても、接続部材10gは、所定角度θの端A、Bにおいて、信号パターン10b、10c、10dに連結されない部分は、所定角度θの端A、Bから十分離れているので、接続部材(導電パターン)10gと信号用接触子7b、7c、7dとの接触による誤信号は、発生しない。
【0051】
なお、上記回転型電気部品(ロータリーコードスイッチ)は、3ビットに対応したものとして説明したが、4ビットの場合は、摺動子7が、4個の信号用接触子を備えることは、勿論である。
【0052】
【発明の効果】
本発明のコード板は、絶縁基板と、この絶縁基板上に設けられ、摺動子と接触可能な円環状或いは円弧状のコモンパターンと、前記絶縁基板上で、前記コモンパターンと同心円上に形成され、前記摺動子と接触可能な円弧状の信号パターンとを備え、複数の前記信号パターンは、径の異なる円周上で、前記摺動子の摺動範囲に相当する所定角度の範囲に設けられ、前記信号パターン同士、及び前記信号パターンと前記コモンパターンは、径方向に連結されて電気的に接続されており、前記信号パターンの少なくとも一つは、円周方向の一端部が、前記絶縁基板に形成された接続部材を介して前記コモンパターンに接続されて、前記接続部材が接続された前記信号パターンと前記コモンパターン間の導通経路が短縮されている。
このようなコード板では、導電性の低い導電材料からなる信号パターンであっても、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が低下するので、コモンパターンに接触した摺動子のコモン用接触子と、信号パターンに接触した摺動子の信号用接触子間の導通抵抗が低く、信号用接触子とコモン用接触子間の導通状態は、信号用接触子が信号パターンに接触したON状態と、信号用接触子が信号パターンに接触しないOFF状態との差が大きく、ノイズの影響を受けにくい。
【0053】
本発明の回転型電気部品は、前記いずれかのコード板と、金属からなる摺動子とを有し、前記摺動子は、前記コモンパターン上を摺接するコモン用接触子と、前記信号パターンに接離する信号用接触子を備えている。
このような回転型電気部品では、信号パターンとコモンパターン間の導通抵抗が低いので、コモンパターンに接触した摺動子のコモン用接触子と、信号パターンに接触した摺動子の信号用接触子間の導通抵抗が低く、信号用接触子が信号パターンに接触したON状態と、信号用接触子が信号パターンに接触しないOFF状態との導通状態の差が大きく、ノイズの影響を受けにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコード板の第1の実施例を示す平面図。
【図2】本発明のコード板の第2の実施例を示す平面図。
【図3】本発明のコード板の第3の実施例を示す平面図。
【図4】本発明の回転型電気部品の分解斜視図。
【図5】本発明の回転型電気部品の要部を示す説明図。
【図6】従来のコード板を示す平面図。
【符号の説明】
4 絶縁基板
7 摺動子
7a コモン用接触子
7b 信号用接触子
10 コードパターン
10a コモンパターン
10b 第1の信号パターン
10c 第2の信号パターン
10d 第3の信号パターン
10e 第4の信号パターン
10g 接続部材

Claims (6)

  1. 絶縁基板と、この絶縁基板上に設けられ、摺動子と接触可能な円環状或いは円弧状のコモンパターンと、前記絶縁基板上で、前記コモンパターンと同心円上に形成され、前記摺動子と接触可能な円弧状の信号パターンとを備え、複数の前記信号パターンは、径の異なる円周上で、前記摺動子の摺動範囲に相当する所定角度の範囲に設けられ、前記信号パターン同士、及び前記信号パターンと前記コモンパターンは、径方向に連結されて電気的に接続されており、前記絶縁基板には、前記信号パターンが形成された前記所定角度の範囲以外で、前記摺動子が摺動しない範囲のほぼ全域に導電材料からなる接続部材が設けられると共に、前記信号パターンの少なくとも一つは、円周方向の一端部が、前記絶縁基板に形成された前記接続部材を介して前記コモンパターンに接続されることにより、前記接続部材が接続された前記信号パターンと前記コモンパターン間の導通経路短縮して導通抵抗を低くするようにしたことを特徴とするコード板。
  2. 少なくとも前記信号パターンは、樹脂中に導電性粒子を分散した導電材料からなることを特徴とする請求項1記載のコード板。
  3. 前記コモンパターンと前記接続部材は、前記信号パターンと同一材料により形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコード板。
  4. 前記接続部材は、前記信号パターンが形成された前記絶縁基板の表面、または/及び、前記表面と反対側の裏面に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコード板。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれかのコード板と、金属からなる摺動子とを有し、前記摺動子は、前記コモンパターン上を摺接するコモン用接触子と、前記信号パターンに接離する信号用接触子を備えていることを特徴とする回転型電気部品。
  6. 前記摺動子は、前記信号パターンが形成された前記所定角度の範囲を摺動して、前記摺動子は前記接続部材に接触しないことを特徴とする請求項5に記載の回転型電気部品。
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