JP3701554B2 - 回転型エンコーダ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転型エンコーダ装置に関し、特にエンコーダに通常用いられるプルアップ抵抗を内蔵した回転型エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の従来の技術を図6から図8に基づいて説明する。図6は従来の回転型エンコーダのコード板の正面図であって、図7は従来の回転型エンコーダの保持体の正面図である。図8は従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【0003】
従来技術の回転型エンコーダは、コード板31、保持体32、及び保持体32に含まれる摺動子33a,33b,33c、端子34a,34b,34c、導電部35b,35b,35cから概略構成されている。
【0004】
コード板31は、図6に示すように円形の薄型のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂のフィルム、または板材からなる絶縁基板31aで構成されると共に、プレス加工によって成形され、その中央に形成された上下に貫通する非円形の中心孔31bを有している。そして、コード板31の表面には銀ペーストにより印刷形成され、コモンパターン部31d、A相パターン部31e、B相パターン部31fより構成されたコードパターン31cが設けられている。コモンパターン部31dは周方向に連続しており、A相パターン部31eとB相パターン部31fは両方とも等しい角度で等間隔に、かつ互いに位相をずらして形成されている。このコード板31は、非円形の中心孔31bが図示せぬ回転部材の筒状部に挿入され、強嵌合などの適宜手段により回転部材の下面に装着されている。
【0005】
保持体32は、略円形の絶縁樹脂成形体からなり、図7に示すように、円板状の板体部32aと、板体部32aの上面における外周囲に隆起して形成されたリング状の壁部32bを有し、板体部32aには上下に貫通する四角形状の2個の孔36と、中央に形成された上下に貫通する中心孔37が設けられている。また保持体32は、熱可塑性の絶縁樹脂で端子34a,34b,34cから延びる導電部35a,35b,35cを覆い、これを絶縁樹脂中に埋設させる、インジェクションモールド成形工程により形成されたインサート成形体である。
保持体32は、摺動子33a,33b,33c、端子34a,34b,34c、導電部35a,35b,35cを含んでいる。
【0006】
3個の摺動子33a,33b,33cは、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体32の2個の孔36の中に突出し、インジェクションモールド工程後に板体部32aの上面と垂直な方向に曲げられることにより、摺動子33a,33b,33cの先端は板体部32aの上面より上方に位置している。各摺動子は接触の安定のため二股に分かれている。
【0007】
4個の端子34a,34a,34b,34cは、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体32に支持されて、リング状の壁部32bから外方へ突出し、下方へ折り曲げられ、再び、リング状の壁部32bから初め突出した方向と平行に外方に折り曲げられている。端子34a,34a,34b,34cは、回転型エンコーダをプリント配線板にはんだ付けなどで取り付けるために使用される。
【0008】
導電部35a,35b,35cは、端子34a,34a,34b,34cから延び、保持体32の絶縁樹脂に埋設された部分である。
【0009】
そして、従来の回転型エンコーダは、コード板31が保持体32と回転可能に装着され、保持体32の摺動子の先端は、板体部32aの上面より上方に位置しているので、コード板31に摺接する。このとき、摺動子33aはコードパターン31cのコモンパターン部31dと常時摺接し、摺動子33bはA相パターン部31eと、摺動子33cはB相パターン部31fとそれぞれ接離する。摺動子33aは導電部35aを経て端子34aに、摺動子33bは導電部35cを経て端子34cに、摺動子33cは導電部35bを経て端子34bに、それぞれ電気的に導通している。このようにして、従来の回転型エンコーダはコード板31を回転させ、その回転角度情報を端子33a,34b,34cから外部へ導出する。
【0010】
以上の構成により、従来の回転型エンコーダは、図示せぬ回転部材を回転させ、回転部材にピンにより固定されているコード板31を回転させる。コード板31は、保持体32にピンにより回転可能に摺接し、コード板31のコードパターン31cは、摺動子33a,33b,33cと摺接するようになる。端子34a,34b,34cは保持体32のリング状の壁部32bから外部へ突出している。
【0011】
上記した従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路を図8を用いて説明する。
図8において、従来の回転型エンコーダは、回路としては点線で囲まれた部分である。制御装置38は、電源端子39から5Vの定電圧(Vcc)が印加されていると共に、アースにつながり、駆動されている。従来の回転型エンコーダは、制御装置38の電源端子39と、別部品である抵抗40a,40bを介して接続されているので、5Vの定電圧(Vcc)が端子34a,34bに印加されている。端子34b,34cは、それぞれスイッチ35,36を介して端子につながって、端子34aからアースへ落ちている。スイッチ35と36は、従来技術の回転型エンコーダのコード板31の回転により、摺動子33a,33b,33cがコード板31のコードパターン31cに摺接することにより生じる。詳しく述べると、摺動子33aがコードパターン31cのコモンパターン部31dに常に摺接している。摺動子33bがコード板31の回転によりA相パターン部31eに接したとき端子34cと端子34aは短絡し、摺動子33bがA相パターン部31eから離れたとき、端子34cと端子34aは絶縁される。これはSW35のON,OFFに相当する。同様に、摺動子33cがコード板31の回転によりB相パターン部31fに接したとき端子34bと端子34aは短絡し、摺動子33cがB相パターン部31fから離れたとき、端子34bと端子34aは絶縁される。これはSW36のON,OFFに相当する。
【0012】
図8において、SW35がONすると、電源端子39には5Vの電圧がかかっているから、電流が抵抗体40aを通り端子34cを経てアースに流れる。このとき、抵抗40aには5Vの電圧降下が発生し、抵抗40aのアース側端部、端子34cはアースと同電位、すなわち0Vとなる。SW35がOFFのときは抵抗40aには電流が流れないので、抵抗40aはどの部分でも電源電圧5Vと同電位になり、端子34cの電位も5Vとなる。同様に、SW36がONすると、電流が電源端子39から抵抗40bを通り端子34bを経てアースに流れる。このとき、抵抗40bには5Vの電圧降下が発生し、抵抗40bのアース側端部、端子34bはアースと同電位、すなわち0Vとなる。SW36がOFFのときは、同様に抵抗40bには電流が流れないので、抵抗40bはどの部分でも電源電圧5Vと同電位になり、端子34bの電位も5Vとなる。このような抵抗をプルアップ抵抗と呼び、抵抗40a,40bはプルアップ抵抗である。回転型エンコーダは、通常このプルアップ抵抗と一緒に使用される。プルアップ抵抗は通常10kΩ程度がよく使われるが、スイッチ35,36のON抵抗(導通抵抗)に比較して100倍以上大きければよいので1kΩから100kΩ程度でも使用可能で、抵抗値許容差は大きい。したがって、プルアップ抵抗として許容差±10%や±5%の固定抵抗を準備するのは過剰品質である。
【0013】
従来の回転型エンコーダの端子34cと端子34bからの出力は、それぞれA相信号、B相信号として制御装置38の入力ポートA,Bに入力される。A相信号、B相信号は、それぞれ周期的な方形波で0Vと5Vの値をとりデューテイ比は通常50%であり、位相が1/4周期ずれている。これを制御部38へ入力すると、制御部38は、A相信号とB相信号の5V信号のどちらが先に来ているかによって、従来の回転型エンコーダの回転方向を、A相信号またはB相信号の1周期の波形がいくつ来ているかによって回転角度をそれぞれ判定する。従って、回転型エンコーダは、回転角検出装置といえる。制御部38は、検出した回転方向、回転角を記憶し、この値に基づく出力を出力ポートCから端子41を通して外部へ出力する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の回転型エンコーダは、実施回路として通常プルアップ抵抗が一緒に用いられる。したがって装置に組み込むため、プリント配線板上に回転型エンコーダを搭載する場合、2つのプルアップ抵抗40a,40bも別部品としてプリント配線板上に搭載しなければならなかった。このために、部品点数が多くなり、プルアップ抵抗の組立にもその分手間がかかっていた。
また、プルアップ抵抗を回転型エンコーダの外部に設けなければならないので、プリント配線板の面積も大きくなり、装置全体の小型化の要求にも答えられなかった。
【0015】
本発明の目的は、プルアップ抵抗を回転型エンコーダに内蔵することにより、部品点数を減らし、組立工程も簡単にでき、装置全体の小型化にも対応できる回転型エンコーダを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の回転型エンコーダでは、高シート抵抗の環状パターンと、この環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された低シート抵抗の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも3個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記耳片パターンと周期的に接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を出力端子と、前記第2と第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とそれぞれ接続するようにした
この構成によれば、回転型エンコーダにプルアップ抵抗を内蔵することができ、配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。
【0017】
また、本発明の回転型エンコーダでは、互いに同心円状に設けられた高シート抵抗の第1、第2の環状パターンと、これら環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された第1、第2の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも6個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記第1の環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記第2の環状パターンに2カ所で摺接する第4、第5の摺動子と、前記第1の耳片パターンと接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子と、前記第2の耳片パターンと接離し前記第4の摺動子と隣接した第6の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を第1の出力端子と、前記第4の摺動子を第2の出力端子と接続し、前記第2、第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続し、前記第5、第6の摺動子のいずれか一方を前記電源端子と、他方を前記アース端子とにそれぞれ接続するようにした
この構成によれば、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。更に回転エンコーダが回転方向と回転角度の両方を検知できる。
【0018】
更に、本発明の回転型エンコーダでは、前記コード板上で、前記第1の環状パタ−ンは内径側に、前記第2の環状パターンは外径側にあって、前記第1の耳片パタ−ンは前記第1の環状パターンからは径方向内側に延出し、前記第2の耳片パタ−ンは前記第2の環状パターンからは径方向外側に延出した。
この構成によれば、導電率の低い耳片パターン同士が離れることにより製造時のショート不良が少なくなる。
【0019】
また、本発明の回転型エンコーダでは、前記高シート抵抗の第1、第2の環状パターンは炭素系抵抗材料からなる抵抗ペーストにより印刷形成され、前記低シート抵抗の第1、第2の耳片パターンは銀系導電材料からなる導電ペーストにより印刷形成された。
この構成によれば、通常の印刷工程を使って容易に環状パターン、耳片パターンを作成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の回転型エンコーダの実施の形態を図1から図5を使って説明する。
図1は、本発明の回転型エンコーダの分解斜視図である。図2は、本発明の回転型エンコーダの要部断面図である。図3は本発明の回転型エンコーダに係るコード板の保持体に対向する面の図である。図4は、本発明の回転型エンコーダに係る保持体の正面図である。図5は、本発明の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【0021】
回転型エンコーダ1は、回転部材2、コード板3、ピン5、つまみ6、保持体4、及び保持体4に含まれる摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10c、端子7a,8a,9a,10a、導電部7b,8b,9b,10b、から構成されている。
【0022】
回転部材2は図1に示すように、略円形の薄型の絶縁樹脂成形体からなり、その中央に形成された上下に貫通する中心孔2aと、中心孔2aの外周面が非円形をなした筒状部2bを有している。回転部材2の周縁には、同材料で形成され係合部としての役目を有し、外方へに向かって放射状に形成された可撓性のある第1の舌片2bと第2の舌片2cを有している。そして、第1の舌片2bは互いに90度をなすように4個設けられ、第2の舌片2cは第1の舌片2bの中間に互いに90度をなすように4個設けられている。そして、図1に示すように第1の舌片2bは先端が下方に丸められて、第2の舌片2cの先端よりも下方に位置している状態となっている。
【0023】
コード板3は、図3に示すように円形の薄型のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂のフィルム、または板材からなる絶縁基板3aで構成され、印刷・焼成工程の後プレス加工によって成形され、その中央に形成された上下に貫通する非円形の中心孔3bを有している。そして、コード板3の表面には、炭素系抵抗材料から作られた抵抗ペーストにより印刷形成された高シート抵抗の第1、第2の環状パターン3c,3dと、銀系導電材料から作られた導電ペーストにより印刷形成された低シート抵抗の第1、第2の耳片パターン3e,3fが設けられている。第1の環状パターン3cは内径側に、第2の環状パターン3dは外径側に互いに同心円状に設けられている。第1の耳片パターン3eは内径側の第1の環状パターン3cと接し、径方向内側に延出し、第2の耳片パターン3fは外径側の第2の環状パターン3dと接し、径方向外側に延出している。第1、第2の耳片パターン3e,3fは両方とも等しい角度幅で、等しい角度間隔で周期的に設けられ、また、互いに位相を1/4周期ずらして形成されている。このコード板3は、非円形の中心孔3bが回転部材2の筒状部2bに挿入され、嵌合などの適宜手段により回転部材2の下面に装着されている。そして、コード板3は回転部材2と共に回転する。
【0024】
上記した抵抗ペーストは比較的導電性の低い炭素系粒子(黒鉛、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンビーズ)やチタンブラックを液状のバインダ樹脂に分散させ塗料化したものである。高シート抵抗の第1、第2の環状パターン3c,3dはプルアップ抵抗を作るために用いられるが、この場合、抵抗値の正確さ、安定性は問わないので、潜在性硬化剤を含む1液性エポキシ樹脂やフェノ−ル系樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、などが用いられる。導電ペーストは、抵抗ペーストと同じバインダ樹脂に銀粉を分散させ塗料化したものを用いる。
【0025】
軸部であるピン5は、アルミニウムなどの金属からなり、回転部材2の中心孔2aに嵌入され、ピン5の上面と回転部材2の上面とが面一の状態になっている。ピン5の下端は保持体4の裏面側に延出し、かしめなどの適宜手段により保持体4に回転可能に装着される。
【0026】
つまみ6は、リング状の絶縁樹脂成形体からなり、外周縁に凹凸を交互に有する操作部6aを有し、回転部材1との各4個の係合のための凹部6b,6cを90度おきに有している。
【0027】
保持体4は、略円形の絶縁樹脂成形体からなり、図4に示すように、円板状の板体部4aと、板体部4aの上面における外周囲に隆起して形成されたリング状の壁部4bを有し、板体部4aには上下に貫通する四角形状の2個の孔4c,4cと、中央に形成された上下に貫通する中心孔4dが設けられている。また、保持体4は、絶縁樹脂で端子7a,8a,9a,10aから延びる導電部7b,8b,9b,10bを覆い、これを絶縁樹脂中に埋設させる、インジェクションモールド成形工程により形成されたインサート成形体である。インジェクション・モールドの絶縁樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用し、熱可塑性樹脂としては、PBT(ポリブチレン・テレフタレート),PET(ポリエチレン・テレフタレート)などのポリエステル樹脂やPPS(ポリフェニレン・サルファイド),46PA(46ナイロン),6TPA(6Tナイロン)などが使用される。
保持体4は、端子7a,8a,9a,10a、導電部7b,8b,9b,10b、摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10cを含んでいる。
【0028】
6個の摺動子(第1の摺動子9c、第2の摺動子8c、第3の摺動子7c、第4の摺動子10c、第5の摺動子8d、第6の摺動子7d)は、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体4の2個の孔4cの中に突出し、インジェクションモールド工程後に板体部4aの上面と垂直な方向に曲げられることにより、各摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10cの先端は板体部4aの上面より上方に位置している。各摺動子の先端は、相手方のコード板3との摺接の安定のために凸状に成形されている。各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dの先端がコード板3に接する点は、それぞれ、A,B,C,D,E,Fであって、これらの点はコード板3の回転中心を通る線(X−X)の上にほぼ乗っている。
【0029】
4個の端子はそれぞれ、アース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aであり、アースにつながる端子と電源につながる端子と2個の出力端子からなっている。端子はリン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体4に支持されて、リング状の壁部4bから外方へ突出し、下方へ折り曲げられ、再び、リング状の壁部4bから初め突出した方向と平行に外方に折り曲げられている。各端子は、回転型エンコーダ1をプリント配線板にはんだ付けなどで取り付けるために使用される。
【0030】
導電部7b,8b,9b,10bは、それぞれアース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aから延び、保持体4の絶縁樹脂に埋設された部分である。
【0031】
以上の部品構成により、回転型エンコーダ1は、つまみ6と回転部材2を、つまみ6の係合部6b,6c及び回転部材2の第1の舌片2bと第2の舌片2cとをスナップ係合させ、嵌合によりコード板3を回転部材2に固定させ、回転部材2を保持体4にピン5により回転可能に装着させている。アース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aは保持体4のリング状の壁部4bから外部へ突出している。コード板3は、第1〜第6の摺動子9c,8c,7c,10c,8d,7dと摺接している。第3の摺動子7c、第6の摺動子7dは導電部7bを経てアース端子7aに、第2の摺動子8c、第5の摺動子8dは導電部8bを経て電源端子8aに、第1の摺動子9cは導電部9bを経て第1の出力端子9aに、第4の摺動子10cは導電部10bを経て第2の出力端子10aにそれぞれ電気的に導通している。図3に示すように、第1〜第6の各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dとコード板3は、接触点A,B,C,D,E,Fにて接触している。
【0032】
回転型エンコーダ1の動作は、つまみ6を回転することにより回転部材2を回転させ、回転部材2にピン5により固定されているコード板3を回転させることにより、コード板3の第1、第2の環状パターン及び第1、第2の耳片パターンが保持体4の第1〜第6の摺動子9c,8c,7c,10c,8d,7dと摺接、接離する。このようにして、回転型エンコーダ1はコード板3を回転させ、その回転角度情報を保持体4を経て、端子7a,8a,9a,10aから外部へ導出する。
【0033】
上記した回転型エンコーダ1を制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路をコード板3の回転に対応させて図3、図4、図5を用いて説明する。
図5において、回転型エンコーダ1は、回路としては点線で囲まれた部分である。制御装置21は、電源端子22から5Vの電源電圧(Vcc)が印加されていると共に、アースにつながり、駆動されている。回転型エンコーダ1は、端子8aが電源端子2と接続されているので、摺動子8c,8dに5Vの電源電圧(Vcc)が印加されている。また、第3、第6の摺動子7c,7dはアース端子7aに接続されているのでアースに落ちている。第1、第4の摺動子9c,10cはそれぞれ第1、第2の出力端子9a,10aに接続されている。
図3において、コード板3は第1〜第6の各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dとそれぞれ、各接触点A,B,C,D,E,Fにて接触している。第1、第2の摺動子9c、8cは常に第1の環状パターン3cに接触点C,Eで摺接し、第4、第5の摺動子10c,8dは常に第2の環状パターン3dに接触点B,Fで摺接する。図5において、抵抗25は、接触点C、E間の抵抗であり、抵抗26は、接触点B,F間の抵抗である。これら抵抗25,26はプルアップ抵抗に相当する。スイッチ23,24は、コード板3の回転動作中に接触点A,Dが第2、第1の耳片パターン3f,3eの上に来るときONとなる。スイッチ23については、接触点Dがコード板3の回転に応じて第1の耳片パターン3e上に来た場合、接触点C,D間は抵抗が0Ωに近くなるのでスイッチ23がONしたこととなる。接触点Dが第1の耳片パターン3eから外れると、接触点C,D間は電気的に絶縁され、スイッチ23はOFFしたこととなる。スイッチ24については、同様に、接触点Aがコード板3の回転に応じて第2の耳片パターン3f上に来た場合、接触点A,B間は抵抗が0Ωに近くなるのでスイッチ24がONしたこととなる。接触点Aが第2の耳片パターン3fから外れると、接触点A,B間は電気的に絶縁され、スイッチ24はOFFしたこととなる。
【0034】
コード板3の回転により第1、第2の端子9a、10aから出力される電位について説明する。図3においては、第6の摺動子7dの接触点Aは、外径側の第2の耳片パターン3fの上にある。第3の摺動子7cの接触点Dは、内径側の第1の耳片パターンの上にはなくこれから外れている。このとき、接触点A,B間の抵抗は0Ωに近く、接触点C,D間は絶縁されていることになる。これは、アース端子7a,第2の出力端子10a間は短絡、アース端子7a、第1の出力端子9a間は絶縁となることである。回路的には、スイッチ24はONでスイッチ23はOFFなので端子9aの電位は電源電圧の5Vのままで、端子10aは環状パターンの接触点B,F間(抵抗26)に電圧降下が発生するため、アース電位まで落ちる。
次に図3の接触点A〜F(X−X)は固定して、コード板3のみを図面上、回転させる。コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Dも第1の耳片パターン3eの上に乗り、即ち両接触点A,Dが第1、第2の耳片パターン3e,3fの上に乗る。このとき回路的にはスイッチ23,24が両方ONしたこととなり、端子9a,10aが端子7aにつながると共に環状パターン3c,3d(抵抗25,26)を介して端子8aに接続されているので、抵抗25,26に電圧降下が発生し、第1、第2の出力端子9a,10aの出力電位はアース電位、0Vに近くなる。
更に、コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Aが第2の耳片パターン3fの上から外れ、接触点Dは第2の耳片パターン3fの上に乗ったままという状態になる。このとき回路的にはスイッチ24がOFFで、スイッチ23がONという状態になる。第1の出力端子9aの出力電位はアース電位、0Vのままで、端子10aの出力電位は、抵抗26に電流が流れないので電源電圧5Vとなる。
更に、コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Dが第1の耳片パターン3eの上から外れ、接触点AもDも両方とも第1、第2の耳片パターン3e,3fから外れるという状態になる。このときスイッチ23,24は両方ともOFFとなるので、抵抗25,26には電流が流れず、第1,第2の出力端子9a、10aの出力電位は電源電圧5Vとなる。以上が1周期の第1、第2の出力端子9a,10aの出力電位の推移である。
【0035】
回転エンコーダ1の第1の出力端子9aと第2の出力端子10aからの出力は、それぞれA相信号、B相信号として制御装置21の入力ポートA,Bに入力される。A相信号、B相信号は、それぞれ周期的な方形波(パルス波)で交互に0Vと5Vの値をとると共にデューテイ比は通常50%であり、位相が互いに1/4周期ずれている。これを制御部21へ入力すると、制御部21は、A相信号とB相信号のどちらが先に来ているかによって、回転型エンコーダ1の回転方向を、A相信号またはB相信号の1周期の波形がいくつ来ているかによって回転角度をそれぞれ判定する。従って、回転型エンコーダ1は、回転角検出装置ともいえる。制御部21は、検出した回転方向、回転角を記憶し、この値に基づく出力を出力ポートCから端子27を通して外部へ出力する。
【0036】
上記した回転型エンコーダの製造方法及びプリント配線板への組み込み方法を説明する。
つまみ6と回転部材2は、インジェクション・モールド成形によって絶縁樹脂を成形して製造する。ピン5は長尺の金属棒を切削加工して製造する。コード板3は、大盤のPET(ポリエチレン・テレフタレート)のフィルムまたは薄板の上に、銀系導電材料をバインダ樹脂に分散させた導電ペーストを用いて第1、第2の耳片パターン3e,3fを、炭素系抵抗材料をバインダ樹脂に分散させた抵抗ペーストを用いて第1、第2の環状パターン3c,3dを、互いに一端部で接触するように、スクリーン印刷により多数個取りの印刷マスクで印刷する。乾燥・焼成後、大盤のフィルムまたは薄板から、ひとつひとつのコード板3をプレス加工で抜き落とす。
【0037】
保持体4は、次のように製造される。
最初、帯状のリン青銅板がメッキ工程において、帯状の材料のままニッケルを下地として銀メッキを施され次のプレス金型加工工程に移される。プレス金型加工工程では、帯状の材料は、帯状の形状を残したまま、保持体の端子、導電部、摺動子、露出部の形状に加工され次のインジェクション・モールド工程に移される。インジェクション・モールド工程では、絶縁樹脂として熱可塑性樹脂が用いられ必要な部分に樹脂を固着させ次の2回目のプレス金型工程に移される。2回目のプレス金型工程では、帯状の材料は、摺動子の形状を整えたり不要な部分を抜き落とされ、その後端子先端部で帯状の材料から個別の部品として抜き落とされる。
【0038】
各部品を組み立てるのに、先ず、つまみ6と回転部材2をそれぞれの係合部6b,6c,2b,2cをスナップ係合させて一体にする。次に回転部材とコード板3を嵌合にて一体にする。このようにして一体になったつまみ6と回転部材2とコード板3をピン5を使って保持体4にかしめ留め、保持体4に対して回転可能に装着する。その後検査をして、回転型エンコーダの製造は完了する。
【0039】
次に、回転エンコーダのプリント配線板への組み込みを説明すると、図6の実施回路で説明したように、プリント配線板上で、制御部21と3本の銅箔部で結線された電極パッド部及びアースにつながる電極パッド部へクリームハンダを印刷し、各電極パッド部へ保持部材4の各端子、即ちアース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aを乗せて、プリント配線板をリフロー炉に通すと、各端子は各電極パッドへはんだ付けされプリント配線板に組み込まれる。
【0040】
上記実施の形態においては、プルアップ抵抗が2個の場合を説明したが、例えば、回転型エンコーダの軸が一方向にしか回転しない使用用途の場合はプルアップ抵抗は一つでもよい。即ち、環状パターンと耳片パターンは一対でもよい。
また、上記実施の形態においては、一方の第1の耳片パターン3eは内径側の第1の環状パターン3cと接し、径方向内側に延出し、第2の耳片パターン3fは外径側の第2の環状パターン3dと接し、径方向外側に延出しているが、本発明はこれに限定されることはなく、対応する摺動子の位置を変えれば、両方の耳片パターンが内径側環状パターン及び外径側環状パターンから径方向外側に延出してもよい。また、両方の耳片パターンが内径側環状パターン及び外径側環状パターンから径方向内側に延出してもよいし、更に一方の耳片パターンが内径側の環状パターンと接し、径方向外側に延出し、他方の耳片パターンが外径側の環状パターン3dと接し、径方向内側に延出していてもよい。
また、上記実施の形態においては、図5における回転型エンコーダの実施回路では、アース端子7aはアースに接続され、電源端子8aは制御部21の電源端子22に接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アース端子が制御部21の電源端子22に、電源端子がアースに接続されても成り立つものである。更に、図5の実施回路で抵抗25とスイッチ23を置き換えたり、または、抵抗26とスイッチ24を置き換えても成り立つものである。
更に、上記実施の形態においては、第1、第2の耳片パターンが周方向に互いに1/4周期パターンをずらしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1、第2の耳片パターンはパターンをずらさず、同位相に形成し、これらに接触する摺動子の方を周方向に1/4周期、パターンとの接触点をずらす様にしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の回転型エンコーダは、高シート抵抗の環状パターンと、この環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された低シート抵抗の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、コード板と摺接する少なくとも3個の摺動子を有する保持体とを備え、摺動子は環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、耳片パターンと周期的に接離し第1の摺動子と隣接した第3の摺動子とを含み、第1の摺動子を出力端子と、第2と第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とそれぞれ接続するようにしたので、プルアップ抵抗を内蔵することができ、回転型エンコーダを配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。
【0042】
また、本発明の回転型エンコーダは、互いに同心円状に設けられた高シート抵抗の第1、第2の環状パターンと、これら環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された第1、第2の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、コード板と摺接する少なくとも6個の摺動子を有する保持体とを備え、摺動子は第1の環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記第2の環状パターンに2カ所で摺接する第4、第5の摺動子と、第1の耳片パターンと接離し第1の摺動子と隣接した第3の摺動子と、第2の耳片パターンと接離し第4の摺動子と隣接した第6の摺動子とを含み、第1の摺動子を第1の出力端子と、第4の摺動子を第2の出力端子と接続し、前記第2、第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続し、第5、第6の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続するようにしたので、プルアップ抵抗を内蔵することができ、回転型エンコーダを配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。更に、回転方向と回転角度の両方を検知できる。
【0043】
また、本発明の回転型エンコーダは、コード板上で、第1の環状パタ−ンは内径側に、第2の環状パターンは外径側にあって、第1の耳片パタ−ンは第1の環状パターンからは径方向内側に延出し、第2の耳片パタ−ンは第2の環状パターンからは径方向外側に延出したので、導電率の低い耳片パターン同士が離れることにより製造工程でのショート不良が少なくなる。
【0044】
更に、本発明の回転型エンコーダは、高シート抵抗の環状パターンは炭素系抵抗材料からなる抵抗ペーストにより印刷形成され、低シート抵抗の耳片パターンは銀系導電材料からなる導電ペーストにより印刷形成されたので、通常の印刷工程を使って容易に環状パターン、耳片パターンを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転型エンコーダの分解斜視図である。
【図2】本発明の回転型エンコーダの要部断面図である。
【図3】本発明の回転型エンコーダのコード板の保持体に対向する面の平面図である。
【図4】本発明の回転型エンコーダに係る保持体の正面図である。
【図5】本発明の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【図6】従来の回転型エンコーダのコード板の保持体に対向する面の平面図である。
【図7】従来の回転型エンコーダの保持体の正面図である。
【図8】従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【符号の説明】
1 回転型エンコーダ
2 回転部材
3 コード板
3c 第1の環状パターン
3d 第2の環状パターン
3e 第1の耳片パターン
3f 第2の耳片パターン
4 保持体
5 ピン
6 つまみ
7a アース端子
8a 電源端子
9a 第1の出力端子
10a 第2の出力端子
9c 第1の摺動子
8c 第2の摺動子
7c 第3の摺動子
10c 第4の摺動子
8d 第5の摺動子
7d 第6の摺動子
7b,8b,9b,10b 導電部
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転型エンコーダ装置に関し、特にエンコーダに通常用いられるプルアップ抵抗を内蔵した回転型エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の従来の技術を図6から図8に基づいて説明する。図6は従来の回転型エンコーダのコード板の正面図であって、図7は従来の回転型エンコーダの保持体の正面図である。図8は従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【0003】
従来技術の回転型エンコーダは、コード板31、保持体32、及び保持体32に含まれる摺動子33a,33b,33c、端子34a,34b,34c、導電部35b,35b,35cから概略構成されている。
【0004】
コード板31は、図6に示すように円形の薄型のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂のフィルム、または板材からなる絶縁基板31aで構成されると共に、プレス加工によって成形され、その中央に形成された上下に貫通する非円形の中心孔31bを有している。そして、コード板31の表面には銀ペーストにより印刷形成され、コモンパターン部31d、A相パターン部31e、B相パターン部31fより構成されたコードパターン31cが設けられている。コモンパターン部31dは周方向に連続しており、A相パターン部31eとB相パターン部31fは両方とも等しい角度で等間隔に、かつ互いに位相をずらして形成されている。このコード板31は、非円形の中心孔31bが図示せぬ回転部材の筒状部に挿入され、強嵌合などの適宜手段により回転部材の下面に装着されている。
【0005】
保持体32は、略円形の絶縁樹脂成形体からなり、図7に示すように、円板状の板体部32aと、板体部32aの上面における外周囲に隆起して形成されたリング状の壁部32bを有し、板体部32aには上下に貫通する四角形状の2個の孔36と、中央に形成された上下に貫通する中心孔37が設けられている。また保持体32は、熱可塑性の絶縁樹脂で端子34a,34b,34cから延びる導電部35a,35b,35cを覆い、これを絶縁樹脂中に埋設させる、インジェクションモールド成形工程により形成されたインサート成形体である。
保持体32は、摺動子33a,33b,33c、端子34a,34b,34c、導電部35a,35b,35cを含んでいる。
【0006】
3個の摺動子33a,33b,33cは、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体32の2個の孔36の中に突出し、インジェクションモールド工程後に板体部32aの上面と垂直な方向に曲げられることにより、摺動子33a,33b,33cの先端は板体部32aの上面より上方に位置している。各摺動子は接触の安定のため二股に分かれている。
【0007】
4個の端子34a,34a,34b,34cは、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体32に支持されて、リング状の壁部32bから外方へ突出し、下方へ折り曲げられ、再び、リング状の壁部32bから初め突出した方向と平行に外方に折り曲げられている。端子34a,34a,34b,34cは、回転型エンコーダをプリント配線板にはんだ付けなどで取り付けるために使用される。
【0008】
導電部35a,35b,35cは、端子34a,34a,34b,34cから延び、保持体32の絶縁樹脂に埋設された部分である。
【0009】
そして、従来の回転型エンコーダは、コード板31が保持体32と回転可能に装着され、保持体32の摺動子の先端は、板体部32aの上面より上方に位置しているので、コード板31に摺接する。このとき、摺動子33aはコードパターン31cのコモンパターン部31dと常時摺接し、摺動子33bはA相パターン部31eと、摺動子33cはB相パターン部31fとそれぞれ接離する。摺動子33aは導電部35aを経て端子34aに、摺動子33bは導電部35cを経て端子34cに、摺動子33cは導電部35bを経て端子34bに、それぞれ電気的に導通している。このようにして、従来の回転型エンコーダはコード板31を回転させ、その回転角度情報を端子33a,34b,34cから外部へ導出する。
【0010】
以上の構成により、従来の回転型エンコーダは、図示せぬ回転部材を回転させ、回転部材にピンにより固定されているコード板31を回転させる。コード板31は、保持体32にピンにより回転可能に摺接し、コード板31のコードパターン31cは、摺動子33a,33b,33cと摺接するようになる。端子34a,34b,34cは保持体32のリング状の壁部32bから外部へ突出している。
【0011】
上記した従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路を図8を用いて説明する。
図8において、従来の回転型エンコーダは、回路としては点線で囲まれた部分である。制御装置38は、電源端子39から5Vの定電圧(Vcc)が印加されていると共に、アースにつながり、駆動されている。従来の回転型エンコーダは、制御装置38の電源端子39と、別部品である抵抗40a,40bを介して接続されているので、5Vの定電圧(Vcc)が端子34a,34bに印加されている。端子34b,34cは、それぞれスイッチ35,36を介して端子につながって、端子34aからアースへ落ちている。スイッチ35と36は、従来技術の回転型エンコーダのコード板31の回転により、摺動子33a,33b,33cがコード板31のコードパターン31cに摺接することにより生じる。詳しく述べると、摺動子33aがコードパターン31cのコモンパターン部31dに常に摺接している。摺動子33bがコード板31の回転によりA相パターン部31eに接したとき端子34cと端子34aは短絡し、摺動子33bがA相パターン部31eから離れたとき、端子34cと端子34aは絶縁される。これはSW35のON,OFFに相当する。同様に、摺動子33cがコード板31の回転によりB相パターン部31fに接したとき端子34bと端子34aは短絡し、摺動子33cがB相パターン部31fから離れたとき、端子34bと端子34aは絶縁される。これはSW36のON,OFFに相当する。
【0012】
図8において、SW35がONすると、電源端子39には5Vの電圧がかかっているから、電流が抵抗体40aを通り端子34cを経てアースに流れる。このとき、抵抗40aには5Vの電圧降下が発生し、抵抗40aのアース側端部、端子34cはアースと同電位、すなわち0Vとなる。SW35がOFFのときは抵抗40aには電流が流れないので、抵抗40aはどの部分でも電源電圧5Vと同電位になり、端子34cの電位も5Vとなる。同様に、SW36がONすると、電流が電源端子39から抵抗40bを通り端子34bを経てアースに流れる。このとき、抵抗40bには5Vの電圧降下が発生し、抵抗40bのアース側端部、端子34bはアースと同電位、すなわち0Vとなる。SW36がOFFのときは、同様に抵抗40bには電流が流れないので、抵抗40bはどの部分でも電源電圧5Vと同電位になり、端子34bの電位も5Vとなる。このような抵抗をプルアップ抵抗と呼び、抵抗40a,40bはプルアップ抵抗である。回転型エンコーダは、通常このプルアップ抵抗と一緒に使用される。プルアップ抵抗は通常10kΩ程度がよく使われるが、スイッチ35,36のON抵抗(導通抵抗)に比較して100倍以上大きければよいので1kΩから100kΩ程度でも使用可能で、抵抗値許容差は大きい。したがって、プルアップ抵抗として許容差±10%や±5%の固定抵抗を準備するのは過剰品質である。
【0013】
従来の回転型エンコーダの端子34cと端子34bからの出力は、それぞれA相信号、B相信号として制御装置38の入力ポートA,Bに入力される。A相信号、B相信号は、それぞれ周期的な方形波で0Vと5Vの値をとりデューテイ比は通常50%であり、位相が1/4周期ずれている。これを制御部38へ入力すると、制御部38は、A相信号とB相信号の5V信号のどちらが先に来ているかによって、従来の回転型エンコーダの回転方向を、A相信号またはB相信号の1周期の波形がいくつ来ているかによって回転角度をそれぞれ判定する。従って、回転型エンコーダは、回転角検出装置といえる。制御部38は、検出した回転方向、回転角を記憶し、この値に基づく出力を出力ポートCから端子41を通して外部へ出力する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の回転型エンコーダは、実施回路として通常プルアップ抵抗が一緒に用いられる。したがって装置に組み込むため、プリント配線板上に回転型エンコーダを搭載する場合、2つのプルアップ抵抗40a,40bも別部品としてプリント配線板上に搭載しなければならなかった。このために、部品点数が多くなり、プルアップ抵抗の組立にもその分手間がかかっていた。
また、プルアップ抵抗を回転型エンコーダの外部に設けなければならないので、プリント配線板の面積も大きくなり、装置全体の小型化の要求にも答えられなかった。
【0015】
本発明の目的は、プルアップ抵抗を回転型エンコーダに内蔵することにより、部品点数を減らし、組立工程も簡単にでき、装置全体の小型化にも対応できる回転型エンコーダを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の回転型エンコーダでは、高シート抵抗の環状パターンと、この環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された低シート抵抗の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも3個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記耳片パターンと周期的に接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を出力端子と、前記第2と第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とそれぞれ接続するようにした
この構成によれば、回転型エンコーダにプルアップ抵抗を内蔵することができ、配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。
【0017】
また、本発明の回転型エンコーダでは、互いに同心円状に設けられた高シート抵抗の第1、第2の環状パターンと、これら環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された第1、第2の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも6個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記第1の環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記第2の環状パターンに2カ所で摺接する第4、第5の摺動子と、前記第1の耳片パターンと接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子と、前記第2の耳片パターンと接離し前記第4の摺動子と隣接した第6の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を第1の出力端子と、前記第4の摺動子を第2の出力端子と接続し、前記第2、第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続し、前記第5、第6の摺動子のいずれか一方を前記電源端子と、他方を前記アース端子とにそれぞれ接続するようにした
この構成によれば、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。更に回転エンコーダが回転方向と回転角度の両方を検知できる。
【0018】
更に、本発明の回転型エンコーダでは、前記コード板上で、前記第1の環状パタ−ンは内径側に、前記第2の環状パターンは外径側にあって、前記第1の耳片パタ−ンは前記第1の環状パターンからは径方向内側に延出し、前記第2の耳片パタ−ンは前記第2の環状パターンからは径方向外側に延出した。
この構成によれば、導電率の低い耳片パターン同士が離れることにより製造時のショート不良が少なくなる。
【0019】
また、本発明の回転型エンコーダでは、前記高シート抵抗の第1、第2の環状パターンは炭素系抵抗材料からなる抵抗ペーストにより印刷形成され、前記低シート抵抗の第1、第2の耳片パターンは銀系導電材料からなる導電ペーストにより印刷形成された。
この構成によれば、通常の印刷工程を使って容易に環状パターン、耳片パターンを作成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の回転型エンコーダの実施の形態を図1から図5を使って説明する。
図1は、本発明の回転型エンコーダの分解斜視図である。図2は、本発明の回転型エンコーダの要部断面図である。図3は本発明の回転型エンコーダに係るコード板の保持体に対向する面の図である。図4は、本発明の回転型エンコーダに係る保持体の正面図である。図5は、本発明の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【0021】
回転型エンコーダ1は、回転部材2、コード板3、ピン5、つまみ6、保持体4、及び保持体4に含まれる摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10c、端子7a,8a,9a,10a、導電部7b,8b,9b,10b、から構成されている。
【0022】
回転部材2は図1に示すように、略円形の薄型の絶縁樹脂成形体からなり、その中央に形成された上下に貫通する中心孔2aと、中心孔2aの外周面が非円形をなした筒状部2bを有している。回転部材2の周縁には、同材料で形成され係合部としての役目を有し、外方へに向かって放射状に形成された可撓性のある第1の舌片2bと第2の舌片2cを有している。そして、第1の舌片2bは互いに90度をなすように4個設けられ、第2の舌片2cは第1の舌片2bの中間に互いに90度をなすように4個設けられている。そして、図1に示すように第1の舌片2bは先端が下方に丸められて、第2の舌片2cの先端よりも下方に位置している状態となっている。
【0023】
コード板3は、図3に示すように円形の薄型のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂のフィルム、または板材からなる絶縁基板3aで構成され、印刷・焼成工程の後プレス加工によって成形され、その中央に形成された上下に貫通する非円形の中心孔3bを有している。そして、コード板3の表面には、炭素系抵抗材料から作られた抵抗ペーストにより印刷形成された高シート抵抗の第1、第2の環状パターン3c,3dと、銀系導電材料から作られた導電ペーストにより印刷形成された低シート抵抗の第1、第2の耳片パターン3e,3fが設けられている。第1の環状パターン3cは内径側に、第2の環状パターン3dは外径側に互いに同心円状に設けられている。第1の耳片パターン3eは内径側の第1の環状パターン3cと接し、径方向内側に延出し、第2の耳片パターン3fは外径側の第2の環状パターン3dと接し、径方向外側に延出している。第1、第2の耳片パターン3e,3fは両方とも等しい角度幅で、等しい角度間隔で周期的に設けられ、また、互いに位相を1/4周期ずらして形成されている。このコード板3は、非円形の中心孔3bが回転部材2の筒状部2bに挿入され、嵌合などの適宜手段により回転部材2の下面に装着されている。そして、コード板3は回転部材2と共に回転する。
【0024】
上記した抵抗ペーストは比較的導電性の低い炭素系粒子(黒鉛、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンビーズ)やチタンブラックを液状のバインダ樹脂に分散させ塗料化したものである。高シート抵抗の第1、第2の環状パターン3c,3dはプルアップ抵抗を作るために用いられるが、この場合、抵抗値の正確さ、安定性は問わないので、潜在性硬化剤を含む1液性エポキシ樹脂やフェノ−ル系樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、などが用いられる。導電ペーストは、抵抗ペーストと同じバインダ樹脂に銀粉を分散させ塗料化したものを用いる。
【0025】
軸部であるピン5は、アルミニウムなどの金属からなり、回転部材2の中心孔2aに嵌入され、ピン5の上面と回転部材2の上面とが面一の状態になっている。ピン5の下端は保持体4の裏面側に延出し、かしめなどの適宜手段により保持体4に回転可能に装着される。
【0026】
つまみ6は、リング状の絶縁樹脂成形体からなり、外周縁に凹凸を交互に有する操作部6aを有し、回転部材1との各4個の係合のための凹部6b,6cを90度おきに有している。
【0027】
保持体4は、略円形の絶縁樹脂成形体からなり、図4に示すように、円板状の板体部4aと、板体部4aの上面における外周囲に隆起して形成されたリング状の壁部4bを有し、板体部4aには上下に貫通する四角形状の2個の孔4c,4cと、中央に形成された上下に貫通する中心孔4dが設けられている。また、保持体4は、絶縁樹脂で端子7a,8a,9a,10aから延びる導電部7b,8b,9b,10bを覆い、これを絶縁樹脂中に埋設させる、インジェクションモールド成形工程により形成されたインサート成形体である。インジェクション・モールドの絶縁樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用し、熱可塑性樹脂としては、PBT(ポリブチレン・テレフタレート),PET(ポリエチレン・テレフタレート)などのポリエステル樹脂やPPS(ポリフェニレン・サルファイド),46PA(46ナイロン),6TPA(6Tナイロン)などが使用される。
保持体4は、端子7a,8a,9a,10a、導電部7b,8b,9b,10b、摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10cを含んでいる。
【0028】
6個の摺動子(第1の摺動子9c、第2の摺動子8c、第3の摺動子7c、第4の摺動子10c、第5の摺動子8d、第6の摺動子7d)は、リン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体4の2個の孔4cの中に突出し、インジェクションモールド工程後に板体部4aの上面と垂直な方向に曲げられることにより、各摺動子7c,7d,8c,8d,9c,10cの先端は板体部4aの上面より上方に位置している。各摺動子の先端は、相手方のコード板3との摺接の安定のために凸状に成形されている。各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dの先端がコード板3に接する点は、それぞれ、A,B,C,D,E,Fであって、これらの点はコード板3の回転中心を通る線(X−X)の上にほぼ乗っている。
【0029】
4個の端子はそれぞれ、アース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aであり、アースにつながる端子と電源につながる端子と2個の出力端子からなっている。端子はリン青銅などの弾性のある金属からなり、保持体4に支持されて、リング状の壁部4bから外方へ突出し、下方へ折り曲げられ、再び、リング状の壁部4bから初め突出した方向と平行に外方に折り曲げられている。各端子は、回転型エンコーダ1をプリント配線板にはんだ付けなどで取り付けるために使用される。
【0030】
導電部7b,8b,9b,10bは、それぞれアース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aから延び、保持体4の絶縁樹脂に埋設された部分である。
【0031】
以上の部品構成により、回転型エンコーダ1は、つまみ6と回転部材2を、つまみ6の係合部6b,6c及び回転部材2の第1の舌片2bと第2の舌片2cとをスナップ係合させ、嵌合によりコード板3を回転部材2に固定させ、回転部材2を保持体4にピン5により回転可能に装着させている。アース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aは保持体4のリング状の壁部4bから外部へ突出している。コード板3は、第1〜第6の摺動子9c,8c,7c,10c,8d,7dと摺接している。第3の摺動子7c、第6の摺動子7dは導電部7bを経てアース端子7aに、第2の摺動子8c、第5の摺動子8dは導電部8bを経て電源端子8aに、第1の摺動子9cは導電部9bを経て第1の出力端子9aに、第4の摺動子10cは導電部10bを経て第2の出力端子10aにそれぞれ電気的に導通している。図3に示すように、第1〜第6の各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dとコード板3は、接触点A,B,C,D,E,Fにて接触している。
【0032】
回転型エンコーダ1の動作は、つまみ6を回転することにより回転部材2を回転させ、回転部材2にピン5により固定されているコード板3を回転させることにより、コード板3の第1、第2の環状パターン及び第1、第2の耳片パターンが保持体4の第1〜第6の摺動子9c,8c,7c,10c,8d,7dと摺接、接離する。このようにして、回転型エンコーダ1はコード板3を回転させ、その回転角度情報を保持体4を経て、端子7a,8a,9a,10aから外部へ導出する。
【0033】
上記した回転型エンコーダ1を制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路をコード板3の回転に対応させて図3、図4、図5を用いて説明する。
図5において、回転型エンコーダ1は、回路としては点線で囲まれた部分である。制御装置21は、電源端子22から5Vの電源電圧(Vcc)が印加されていると共に、アースにつながり、駆動されている。回転型エンコーダ1は、端子8aが電源端子2と接続されているので、摺動子8c,8dに5Vの電源電圧(Vcc)が印加されている。また、第3、第6の摺動子7c,7dはアース端子7aに接続されているのでアースに落ちている。第1、第4の摺動子9c,10cはそれぞれ第1、第2の出力端子9a,10aに接続されている。
図3において、コード板3は第1〜第6の各摺動子7d,10c,9c,7c,8c,8dとそれぞれ、各接触点A,B,C,D,E,Fにて接触している。第1、第2の摺動子9c、8cは常に第1の環状パターン3cに接触点C,Eで摺接し、第4、第5の摺動子10c,8dは常に第2の環状パターン3dに接触点B,Fで摺接する。図5において、抵抗25は、接触点C、E間の抵抗であり、抵抗26は、接触点B,F間の抵抗である。これら抵抗25,26はプルアップ抵抗に相当する。スイッチ23,24は、コード板3の回転動作中に接触点A,Dが第2、第1の耳片パターン3f,3eの上に来るときONとなる。スイッチ23については、接触点Dがコード板3の回転に応じて第1の耳片パターン3e上に来た場合、接触点C,D間は抵抗が0Ωに近くなるのでスイッチ23がONしたこととなる。接触点Dが第1の耳片パターン3eから外れると、接触点C,D間は電気的に絶縁され、スイッチ23はOFFしたこととなる。スイッチ24については、同様に、接触点Aがコード板3の回転に応じて第2の耳片パターン3f上に来た場合、接触点A,B間は抵抗が0Ωに近くなるのでスイッチ24がONしたこととなる。接触点Aが第2の耳片パターン3fから外れると、接触点A,B間は電気的に絶縁され、スイッチ24はOFFしたこととなる。
【0034】
コード板3の回転により第1、第2の端子9a、10aから出力される電位について説明する。図3においては、第6の摺動子7dの接触点Aは、外径側の第2の耳片パターン3fの上にある。第3の摺動子7cの接触点Dは、内径側の第1の耳片パターンの上にはなくこれから外れている。このとき、接触点A,B間の抵抗は0Ωに近く、接触点C,D間は絶縁されていることになる。これは、アース端子7a,第2の出力端子10a間は短絡、アース端子7a、第1の出力端子9a間は絶縁となることである。回路的には、スイッチ24はONでスイッチ23はOFFなので端子9aの電位は電源電圧の5Vのままで、端子10aは環状パターンの接触点B,F間(抵抗26)に電圧降下が発生するため、アース電位まで落ちる。
次に図3の接触点A〜F(X−X)は固定して、コード板3のみを図面上、回転させる。コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Dも第1の耳片パターン3eの上に乗り、即ち両接触点A,Dが第1、第2の耳片パターン3e,3fの上に乗る。このとき回路的にはスイッチ23,24が両方ONしたこととなり、端子9a,10aが端子7aにつながると共に環状パターン3c,3d(抵抗25,26)を介して端子8aに接続されているので、抵抗25,26に電圧降下が発生し、第1、第2の出力端子9a,10aの出力電位はアース電位、0Vに近くなる。
更に、コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Aが第2の耳片パターン3fの上から外れ、接触点Dは第2の耳片パターン3fの上に乗ったままという状態になる。このとき回路的にはスイッチ24がOFFで、スイッチ23がONという状態になる。第1の出力端子9aの出力電位はアース電位、0Vのままで、端子10aの出力電位は、抵抗26に電流が流れないので電源電圧5Vとなる。
更に、コード板3を時計方向に少し回転させると、接触点Dが第1の耳片パターン3eの上から外れ、接触点AもDも両方とも第1、第2の耳片パターン3e,3fから外れるという状態になる。このときスイッチ23,24は両方ともOFFとなるので、抵抗25,26には電流が流れず、第1,第2の出力端子9a、10aの出力電位は電源電圧5Vとなる。以上が1周期の第1、第2の出力端子9a,10aの出力電位の推移である。
【0035】
回転エンコーダ1の第1の出力端子9aと第2の出力端子10aからの出力は、それぞれA相信号、B相信号として制御装置21の入力ポートA,Bに入力される。A相信号、B相信号は、それぞれ周期的な方形波(パルス波)で交互に0Vと5Vの値をとると共にデューテイ比は通常50%であり、位相が互いに1/4周期ずれている。これを制御部21へ入力すると、制御部21は、A相信号とB相信号のどちらが先に来ているかによって、回転型エンコーダ1の回転方向を、A相信号またはB相信号の1周期の波形がいくつ来ているかによって回転角度をそれぞれ判定する。従って、回転型エンコーダ1は、回転角検出装置ともいえる。制御部21は、検出した回転方向、回転角を記憶し、この値に基づく出力を出力ポートCから端子27を通して外部へ出力する。
【0036】
上記した回転型エンコーダの製造方法及びプリント配線板への組み込み方法を説明する。
つまみ6と回転部材2は、インジェクション・モールド成形によって絶縁樹脂を成形して製造する。ピン5は長尺の金属棒を切削加工して製造する。コード板3は、大盤のPET(ポリエチレン・テレフタレート)のフィルムまたは薄板の上に、銀系導電材料をバインダ樹脂に分散させた導電ペーストを用いて第1、第2の耳片パターン3e,3fを、炭素系抵抗材料をバインダ樹脂に分散させた抵抗ペーストを用いて第1、第2の環状パターン3c,3dを、互いに一端部で接触するように、スクリーン印刷により多数個取りの印刷マスクで印刷する。乾燥・焼成後、大盤のフィルムまたは薄板から、ひとつひとつのコード板3をプレス加工で抜き落とす。
【0037】
保持体4は、次のように製造される。
最初、帯状のリン青銅板がメッキ工程において、帯状の材料のままニッケルを下地として銀メッキを施され次のプレス金型加工工程に移される。プレス金型加工工程では、帯状の材料は、帯状の形状を残したまま、保持体の端子、導電部、摺動子、露出部の形状に加工され次のインジェクション・モールド工程に移される。インジェクション・モールド工程では、絶縁樹脂として熱可塑性樹脂が用いられ必要な部分に樹脂を固着させ次の2回目のプレス金型工程に移される。2回目のプレス金型工程では、帯状の材料は、摺動子の形状を整えたり不要な部分を抜き落とされ、その後端子先端部で帯状の材料から個別の部品として抜き落とされる。
【0038】
各部品を組み立てるのに、先ず、つまみ6と回転部材2をそれぞれの係合部6b,6c,2b,2cをスナップ係合させて一体にする。次に回転部材とコード板3を嵌合にて一体にする。このようにして一体になったつまみ6と回転部材2とコード板3をピン5を使って保持体4にかしめ留め、保持体4に対して回転可能に装着する。その後検査をして、回転型エンコーダの製造は完了する。
【0039】
次に、回転エンコーダのプリント配線板への組み込みを説明すると、図6の実施回路で説明したように、プリント配線板上で、制御部21と3本の銅箔部で結線された電極パッド部及びアースにつながる電極パッド部へクリームハンダを印刷し、各電極パッド部へ保持部材4の各端子、即ちアース端子7a、電源端子8a、第1の出力端子9a、第2の出力端子10aを乗せて、プリント配線板をリフロー炉に通すと、各端子は各電極パッドへはんだ付けされプリント配線板に組み込まれる。
【0040】
上記実施の形態においては、プルアップ抵抗が2個の場合を説明したが、例えば、回転型エンコーダの軸が一方向にしか回転しない使用用途の場合はプルアップ抵抗は一つでもよい。即ち、環状パターンと耳片パターンは一対でもよい。
また、上記実施の形態においては、一方の第1の耳片パターン3eは内径側の第1の環状パターン3cと接し、径方向内側に延出し、第2の耳片パターン3fは外径側の第2の環状パターン3dと接し、径方向外側に延出しているが、本発明はこれに限定されることはなく、対応する摺動子の位置を変えれば、両方の耳片パターンが内径側環状パターン及び外径側環状パターンから径方向外側に延出してもよい。また、両方の耳片パターンが内径側環状パターン及び外径側環状パターンから径方向内側に延出してもよいし、更に一方の耳片パターンが内径側の環状パターンと接し、径方向外側に延出し、他方の耳片パターンが外径側の環状パターン3dと接し、径方向内側に延出していてもよい。
また、上記実施の形態においては、図5における回転型エンコーダの実施回路では、アース端子7aはアースに接続され、電源端子8aは制御部21の電源端子22に接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アース端子が制御部21の電源端子22に、電源端子がアースに接続されても成り立つものである。更に、図5の実施回路で抵抗25とスイッチ23を置き換えたり、または、抵抗26とスイッチ24を置き換えても成り立つものである。
更に、上記実施の形態においては、第1、第2の耳片パターンが周方向に互いに1/4周期パターンをずらしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1、第2の耳片パターンはパターンをずらさず、同位相に形成し、これらに接触する摺動子の方を周方向に1/4周期、パターンとの接触点をずらす様にしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の回転型エンコーダは、高シート抵抗の環状パターンと、この環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された低シート抵抗の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、コード板と摺接する少なくとも3個の摺動子を有する保持体とを備え、摺動子は環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、耳片パターンと周期的に接離し第1の摺動子と隣接した第3の摺動子とを含み、第1の摺動子を出力端子と、第2と第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とそれぞれ接続するようにしたので、プルアップ抵抗を内蔵することができ、回転型エンコーダを配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。
【0042】
また、本発明の回転型エンコーダは、互いに同心円状に設けられた高シート抵抗の第1、第2の環状パターンと、これら環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された第1、第2の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、コード板と摺接する少なくとも6個の摺動子を有する保持体とを備え、摺動子は第1の環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記第2の環状パターンに2カ所で摺接する第4、第5の摺動子と、第1の耳片パターンと接離し第1の摺動子と隣接した第3の摺動子と、第2の耳片パターンと接離し第4の摺動子と隣接した第6の摺動子とを含み、第1の摺動子を第1の出力端子と、第4の摺動子を第2の出力端子と接続し、前記第2、第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続し、第5、第6の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続するようにしたので、プルアップ抵抗を内蔵することができ、回転型エンコーダを配線板に組み込む場合、部品点数が減り、組立の手間も少なくなる上、装置全体の大きさも小さくできる。更に、回転方向と回転角度の両方を検知できる。
【0043】
また、本発明の回転型エンコーダは、コード板上で、第1の環状パタ−ンは内径側に、第2の環状パターンは外径側にあって、第1の耳片パタ−ンは第1の環状パターンからは径方向内側に延出し、第2の耳片パタ−ンは第2の環状パターンからは径方向外側に延出したので、導電率の低い耳片パターン同士が離れることにより製造工程でのショート不良が少なくなる。
【0044】
更に、本発明の回転型エンコーダは、高シート抵抗の環状パターンは炭素系抵抗材料からなる抵抗ペーストにより印刷形成され、低シート抵抗の耳片パターンは銀系導電材料からなる導電ペーストにより印刷形成されたので、通常の印刷工程を使って容易に環状パターン、耳片パターンを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転型エンコーダの分解斜視図である。
【図2】本発明の回転型エンコーダの要部断面図である。
【図3】本発明の回転型エンコーダのコード板の保持体に対向する面の平面図である。
【図4】本発明の回転型エンコーダに係る保持体の正面図である。
【図5】本発明の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【図6】従来の回転型エンコーダのコード板の保持体に対向する面の平面図である。
【図7】従来の回転型エンコーダの保持体の正面図である。
【図8】従来の回転型エンコーダを制御部と共に組み込み回転角を検出させる回路の説明図である。
【符号の説明】
1 回転型エンコーダ
2 回転部材
3 コード板
3c 第1の環状パターン
3d 第2の環状パターン
3e 第1の耳片パターン
3f 第2の耳片パターン
4 保持体
5 ピン
6 つまみ
7a アース端子
8a 電源端子
9a 第1の出力端子
10a 第2の出力端子
9c 第1の摺動子
8c 第2の摺動子
7c 第3の摺動子
10c 第4の摺動子
8d 第5の摺動子
7d 第6の摺動子
7b,8b,9b,10b 導電部
Claims (4)
- 高シート抵抗の環状パターンと、この環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された低シート抵抗の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも3個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記耳片パターンと周期的に接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を出力端子と、前記第2と第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とそれぞれ接続するようにしたことを特徴とする回転型エンコーダ。
- 互いに同心円状に設けられた高シート抵抗の第1、第2の環状パターンと、これら環状パターンと接し径方向に延出し周方向に形成された第1、第2の耳片パターンとを設けたコード板と、このコード板と相対的に回転可能に装着され、前記コード板と摺接する少なくとも6個の摺動子を有する保持体とを備え、前記摺動子は前記第1の環状パターンに2カ所で摺接する第1と第2の摺動子と、前記第2の環状パターンに2カ所で摺接する第4、第5の摺動子と、前記第1の耳片パターンと接離し前記第1の摺動子と隣接した第3の摺動子と、前記第2の耳片パターンと接離し前記第4の摺動子と隣接した第6の摺動子とを含み、前記第1の摺動子を第1の出力端子と、前記第4の摺動子を第2の出力端子と接続し、前記第2、第3の摺動子のいずれか一方を電源端子と、他方をアース端子とにそれぞれ接続し、前記第5、第6の摺動子のいずれか一方を前記電源端子と、他方を前記アース端子とにそれぞれ接続するようにしたことを特徴とする回転型エンコーダ。
- 前記コード板上で、前記第1の環状パタ−ンは内径側に、前記第2の環状パターンは外径側にあって、前記第1の耳片パタ−ンは前記第1の環状パターンからは径方向内側に延出し、前記第2の耳片パタ−ンは前記第2の環状パターンからは径方向外側に延出したことを特徴とする請求項2記載の回転型エンコーダ。
- 前記高シート抵抗の第1、第2の環状パターンは炭素系抵抗材料からなる抵抗ペーストにより印刷形成され、前記低シート抵抗の第1、第2の耳片パターンは銀系導電材料からなる導電ペーストにより印刷形成されたことを特徴とする請求項2または3記載の回転型エンコーダ。
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