JP3860421B2 - 凹凸模様形成用塗料、および該塗料を用いた塗装金属板の製造方法 - Google Patents

凹凸模様形成用塗料、および該塗料を用いた塗装金属板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸模様形成用塗料、および該塗料を用いた塗装金属板の製造方法に関するものである。本発明の凹凸模様形成用塗料を用いれば、所望の凹凸模様が形成された塗装金属板であって、しかも耐疵付き性や加工性にも優れた塗装金属板を生産性良く製造することができるので、建材用、自動車用、家電・器物用等の分野に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
一般に金属板は、素地金属板の耐久性向上及び美麗外観を得る目的で、塗装して使用されており、この様な塗装金属板は、建材用、自動車用、家電・器物等の外装部部材に汎用されている。
【0003】
上記塗装金属板は通常、金属板を成形加工した後、若しくは組立てた後に塗装する「ポストコート」により製造されている。具体的には、溶剤系塗料をスプレー塗装するか、粉体塗料を静電塗装する等の方法が実施されており、ポストコートにより得られる塗装金属板は、塗料のレベリング不足の為、穏やかな凹凸外観が得られ易い。
【0004】
一方、近年では、製造工程の合理化や職場環境改善の目的で、塗装設備を廃止し、予め塗装された金属板(プレコート金属板)を購入して成形加工する方法が行われている。プレコート金属板は、ロールコートやカーテンフローコートによって製造される為、レベリング性に優れており、ポストコート金属板に比べて平滑な塗膜表面が得られるというメリットがある。ところが、適用分野によっては、平滑外観ではなく穏やかな凹凸外観の方が、搬送時や成形時の疵等が目立ち難い等の理由により好まれる場合があることから、プレコート金属板においてもポストコート金属板と同様の凹凸外観が要求されている。
【0005】
そこで、プレコート金属板においても凹凸外観を付与する目的で、特開平9−207265及び特開平10−226015では、樹脂塗料中に、常温で固体の熱溶融性有機ビーズを添加することにより、ユズ肌外観を有する塗装金属板が開示されている。これは、上記熱溶融有機ビーズは、塗装焼付け時には溶融するが、樹脂とは架橋せず分離するという性質を狙ったものであり、有機ビーズが塗膜中に沈み込んで所望の凹凸外観が得られるという効果を発揮する。ところが上記有機ビーズは、塗料の焼付け後も塗膜中に残る為、塗装金属板の成形時に塗膜の加工性が劣化する他、塗膜表面に有機ビーズを均一に分布させることが困難なため、均一な凹凸外観が得られないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、均一な外観を有し、加工性にも優れた新規な凹凸模様形成用塗料、及び該塗料を用いて塗装金属板を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の凹凸模様形成用塗料は、樹脂塗装金属板に用いられる塗料であって、常温より高く、塗料樹脂の分解温度よりも低い沸点を示し、融点が44〜48℃である脂肪族飽和炭化水素(メタン列炭化水素)を含有するところに要旨を有するものである。尚、上記凹凸模様形成用塗料は、プレコート金属板のみならずポストコート金属板にも適用することができる。
【0008】
ここで、上記凹凸模様形成用塗料固形分に占める前記脂肪族飽和炭化水素の含有量が0.1〜8質量%であるもの;上記凹凸模様形成用塗料の流動性が、FDカップ#4で求められる塗料粘度にて10〜90秒であるもの;上記脂肪族飽和炭化水素以外の塗料成分の溶解度パラメーターと、脂肪族飽和炭化水素の溶解度パラメーターの差の絶対値が1.0以上であるものは、いずれも本発明の好ましい態様である。
【0009】
また、上記凹凸模様形成用塗料を用いて塗装金属板を製造する方法は、風速を0.1m/s以上に制御しつつ、脂肪族飽和炭化水素の沸点以上、樹脂の分解温度未満に加熱して造膜するところに要旨を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、凹凸模様を形成し得る塗料であって、塗膜表面に均一に分布させることが可能で均一な凹凸模様を形成することができ、しかも、塗料焼付け後は塗膜中に残らない為、加工性にも優れた新規な凹凸模様形成用塗料を提供すべく鋭意検討してきた。その結果、沸点が常温より高く、樹脂の分解温度よりも低い示す脂肪族飽和炭化水素は上記要件をすべて満足することを見出し、本発明を完成した。この様に本発明の特徴は、所定の要件を満たす脂肪族飽和炭化水素が凹凸模様形成用塗料として有用であることを始めて見出したところにあり、脂肪族飽和炭化水素に着目した従来技術は知られていない。
【0011】
即ち、本発明の凹凸模様形成用塗料は、沸点が常温より高く、樹脂の分解温度よりも低い示す脂肪族飽和炭化水素を含有するものである。通常、凹凸模様は、塗料中に含まれる溶剤若しくは希釈剤(以下、溶剤で代表させる)が、ポリエステル系樹脂等の塗料樹脂の焼付け(造膜)過程で蒸発し、塗膜内に渦対流が発生することによって形成されると考えられているが、塗料中に脂肪族飽和炭化水素を添加すると、塗料の硬化過程(造膜過程)において渦対流の発生が促進される結果、脂肪族飽和炭化水素が塗料表面に分離し、所望の凹凸模様が形成されると共に、硬化過程の後期では、この脂肪族飽和炭化水素が蒸発するため、塗膜中には残存せず、加工性が高められると思料される。
【0012】
この点に関し、もう少し詳述すると、一般に塗料の乾燥過程で溶剤が蒸発する際、分離した脂肪族飽和炭化水素が塗料を覆うことにより蒸発が局所的に不均一となり、蒸発の速い部分では塗料の固形分濃度が上昇する。この様に塗料液内部に固形分差(濃度差)が生じると、それに応じて表面張力差が発生し、表面張力の高い部分が表面張力の低い部分を引張って、低表面張力部分が塗料表面に広がろうとする。この流れ(うず流動)に加え、脂肪族炭化水素が分離することで渦対流が促進される結果、流動核が相接して発生し、凹凸を形成する。凹凸を形成した状態で樹脂の硬化が発生すると、凹凸模様が形成されることになる。
【0013】
この様な作用を有効に発揮させる為には、上記脂肪族飽和炭化水素は、常温より高く、樹脂の分解温度よりも低い沸点を示すことが必要である。塗料の条件として、常温において流動性を示すことが挙げられるが、沸点が常温よりも低い場合には、塗料として使用することが困難だからである。一方、塗料中には、ポリエステル系樹脂等の樹脂が添加されるが、脂肪族飽和炭化水素の沸点が、樹脂の分解温度よりも高いと、塗料焼付け後に該脂肪族飽和炭化水素が塗膜中に残存してしまい、加工性が低下するからである。
【0014】
この様な要件を満足する脂肪族飽和炭化水素としては、炭素数が5〜70のものが挙げられる。具体的には、ドコサン(C2246)およびトリコサン(C2348)等の直鎖状脂肪族飽和炭化水素が挙げられる。これらの脂肪族飽和炭化水素は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
【0015】
上記脂肪族飽和炭化水素の含有量は、塗料全体の固形分に占める重量比率で0.1〜8質量%に制御することが推奨される。0.1質量%未満では、脂肪族飽和炭化水素の量が少な過ぎて塗膜表面を充分覆うことができず、所望の凹凸模様が得られない。より好ましくは0.5質量%以上である、但し、8質量%を超えて添加すると、塗膜表面が厚く覆われてしまい、形成される凹凸模様は微細になると同時に表面光沢が極端に低下し、ポストコート金属板の様な凹凸模様を得ることができない。より好ましくは3質量%以下である。
【0016】
尚、使用する脂肪族飽和炭化水素は、固形のまま使用しても良いが、例えばキシレン等の希釈剤・溶剤で溶解して使用すると、添加効果が一層促進され、良好な凹凸模様を効率よく得ることができる。
【0017】
また、脂肪族飽和炭化水素以外の塗料成分の溶解度パラメーターと、脂肪族飽和炭化水素の溶解度パラメーターの差の絶対値は1.0以上であることが好ましい。上述した通り、造膜過程で脂肪族飽和炭化水素が分離する為には、脂肪族飽和炭化水素と、塗料成分との相溶性が悪いことが必要であるが、その為には、夫々の溶解度パラメーターの値(SP値)の絶対値が1.0以上離れていることが要求される。このSP値の差は大きければ大きい程好ましいが、大きくなり過ぎると、コーティングする前の塗料の状態で分離してしまい、均一に塗装することが困難となる。従って、塗装均一性等を考慮すると、その上限を3以下(より好ましくは2以下)に制御することが推奨される。
【0018】
ここでSP値とは、分子間力や溶解力、溶媒効果を表す熱力学的パラメータであり、具体的には、液体のモル蒸発エンタルピーをΔHA V、そのモル容をVA、熱力学定数をR、絶対温度をTとしたとき、(ΔHA V−RT)1/2A -1/2で表されるものである(学会出版センター編、大瀧仁志、田中元治、船橋重信著「溶液反応の化学」、117頁)。
【0019】
尚、SP値は、例えば、希釈剤や界面活性剤の種類等を適切に制御することによって所望範囲に調整することが可能である。
【0020】
更に、塗料として使用する為には、常温において流動性を示すことが必要であるが、本発明に用いられる凹凸模様形成用塗料は特に、FDカップ#4で粘度10秒以上、90秒以下の流動性を示すことが推奨される。FDカップ#4とは、JIS K 5400の塗料一般試験方法に記載の「4.塗料の性状に関する試験方法」のうち、「4.5 粘度、4.5.4 フォードカップNo.4法」を意味する。具体的には、一定容積のカップに一定量の試料を満たし、一定口径をもつ孔から流下させ、その流下時間(秒)を測定することにより試料の流動性を評価する方法であり、この粘度が小さいことは流動性に優れることを意味する。
【0021】
所望の流動性を得る為には、上記粘度を90秒以下に制御することが好ましい。90秒以下に制御すると塗料の流動性が高められる結果、焼付け時間が120秒以下と短時間であっても、塗料表面から脂肪族飽和炭化水素が分離する為、所望の凹凸模様を形成することが可能である。より好ましくは45秒以下である。但し、上記粘度が10秒を下回ると、流動性は優れるものの塗装性に劣り、実操業レベルに適さない。より好ましくは15秒以上である。
【0022】
以上が、本発明の凹凸模様形成用塗料のうち特徴部分をなす脂肪族飽和炭化水素に要求される特性である。これ以外の塗料成分については、樹脂塗装金属板に通常用いられる成分を適宜選択して使用することができる。
【0023】
このうち樹脂塗料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、およびそれらの混合または変性した樹脂等を適宜使用することができる。
【0024】
また、溶剤または希釈剤としては、塗料成分を完全に溶解させることができるものであれば特に限定されないが、例えばジエチルエーテル、ベンゼン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の使用が推奨される。
【0025】
また、本発明に用いられる金属板としては、表面被覆金属板に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、軟鋼やステレス鋼板を始めとする各種合金鋼板;Al・Al合金板、Cu・Cu合金板、Ti・Ti合金板等の金属板に、各種めっき(Zn・Zn合金めっき、Al・Al合金めっき、Cu系めっき、Ni系めっき、Cr系めっき等)が施されためっき金属板が挙げられる。具体的には、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Al5%−Zn合金めっき鋼板、Al55%−Zn合金めっき鋼板等が例示される。なかでも、めっき付着量の多い溶融亜鉛めっき鋼板、めっき層が硬い合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用が特に推奨される。これらのめっき金属板に、皮膜密着性や耐食性の向上を目的として、リン酸塩処理、クロメート処理等の化成処理を施した金属板も本発明の範囲内に包含される。
【0026】
更に、塗料中には、本発明の作用を損なわない範囲で公知の添加剤を使用することができ、例えばシリカ、潤滑剤、架橋剤、ワックス、防錆顔料、艶消し剤、着色顔料、界面活性剤等を添加しても良い。
【0027】
次に本発明の金属板を製造する方法について説明する。
【0028】
本発明の方法は、上記の凹凸模様形成用塗料を用いて塗装金属板を製造する方法であって、風速を0.1m/s以上に制御しつつ、脂肪族飽和炭化水素の沸点以上、樹脂の分解温度未満に加熱して造膜するところに特徴がある。
【0029】
前述した通り、本発明では、塗膜中に発生する渦対流を促進せしめ、所望の凹凸模様を形成させる目的で、造膜過程で塗料表面から分離し得る脂肪族飽和炭化水素を添加している。塗膜中の渦対流を促進する為には、塗装後の塗膜表面から溶剤が充分に蒸発することが必要であるが、そのためには、塗装後の塗膜表面の蒸気圧が飽和しない様、風速を制御して塗膜表面の蒸気を飛ばしてやれば良い。かかる観点から、本発明では、風速を0.1m/s以上に定めた。好ましくは1m/s以上である。尚、その上限は特に限定されないが、風速を上げ過ぎると、塗装後の塗装表面に塗料の流れ欠陥等が発生することから、20m/s以下、より好ましくは10m/s以下に制御することが推奨される。
【0030】
更に上記方法では、脂肪族飽和炭化水素の沸点以上、樹脂の分解温度未満に加熱し、乾燥することが必要である。この様な条件で造膜すると、造膜過程では塗膜表面から脂肪族飽和炭化水素が分離して所望の凹凸模様が形成されると共に、焼付け後の塗膜中からは脂肪族飽和炭化水素が除去される為、加工性の優れた塗装金属板が得られる。
【0031】
尚、本発明法は、造膜時の風速及び加熱条件を制御するところに特徴があり、その他の要件については特に限定されず、上記成分を含む塗料を、公知の塗装方法で原板の表面に塗布し、乾燥して製造することができる。例えば表面を清浄化して、必要に応じて化成処理(例えばリン酸塩処理、クロメート処理など)を施した長尺金属帯表面に、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法などを用いて塗料を塗工し、上記条件で熱風乾燥炉を通過させて乾燥させれば良い。被膜厚さの均一性や処理コスト、塗装効率などを総合的に勘案して実用上好ましいのは、ロールコーター法である。
【0032】
尚、樹脂塗装を施す金属板には、樹脂被膜との密着性または耐食性の向上目的で、塗装前処理としてリン酸塩処理またはクロメート処理を施しても構わない。但し、クロメート処理材については、樹脂塗装金属板使用中のクロム溶出性の観点から、クロメート処理時のCr付着量を35mg/m2以下に抑制することが好ましい。この範囲であれば、本発明の表面処理金属板は、下地クロメート処理層からのクロム溶出を抑えることが可能である。また、従来のクロメート処理材は必要に応じて設けられる上塗り塗装の耐水密着性が、6価クロムの溶出に伴って、湿潤環境下において低下する傾向にあるが、本発明の表面処理金属板では溶出が抑制されるため、上塗り被膜の耐水密着性が悪化することはない。
【0033】
また、本発明法では、金属板(必要に応じて化成処理した金属板)の上に、下塗り塗膜のプライマー層を設けることが推奨される。プライマー層の形成により、金属板と、当該プライマー層の上に形成される樹脂被覆層との密着性が高められるからである。この場合には、プライマー層の上に形成される樹脂被覆層の中に、上記脂肪族飽和炭化水素が添加されることになる。
【0034】
具体的には、まず、プライマー用下塗り塗料を金属板上に塗布し、硬化乾燥してプライマー層を形成する。上記プライマー用下塗り塗料樹脂としては、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂をロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレードコーター、ダイコーターなどで所定の膜厚になる様に塗装した後、常温放置するか、若しくは、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉等で硬化乾燥する。次いで、上記プライマー層の上に、上述した方法により、上塗りの樹脂被覆層を被覆すれば良い。
【0035】
この様にして得られる塗装金属板は、ユズ肌外観と呼ばれる独特の凹凸模様が形成されており、耐疵付き性や加工性に優れているので極めて有用である。ここで、ユズ肌外観とは、一般に、3次元粗さ測定器で測定した場合、凹凸の深さが概ね1〜5μm程度で、凹凸の間隔が1〜5mmを満足するものを総称していうが、本発明における凹凸模様は、上記ユズ肌外観に限定されず、他の凹凸模様も包含される。例えば凹凸の深さがより深い10μm前後で凹凸の間隔が10mm前後を有する凹凸模様等も本発明の範囲内に含まれる。本発明における好ましい凹凸模様とは、凹凸の深さが約3μmで、凹凸の間隔が約3〜5mmのものである。
【0036】
上記凹凸模様は、上記SP値の差を適切に制御する等の方法によって変化させることができる。例えば上記SP値の差を、概ね、1〜3の範囲に制御することによって、所望の凹凸模倣を得ることができる。一方、凹凸の深さが1〜5μm程度で、凹凸の間隔が1〜5mmを満足する模様を得る為には、SP値の差を概ね2〜3の範囲に制御することが推奨される。
【0037】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することはすべて本願発明に含まれる。
【0038】
【実施例】
以下の実施例では、ユズ肌外観を得る目的で、プライマー処理したクロメート処理鋼板を更に上塗り塗装して行っているが、これは本発明の代表的態様を示すものであり、本発明を限定する趣旨では決してない。
【0039】
クロメート処理(Cr付着量50mg/m2)した板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板に、まず、下塗り塗膜のプライマー層として、ポリエステル系の大日本インキ製ファインタフD AN−20Pを、焼付時の到達板温(PMT)215℃で焼付け、膜厚が10μmになる様に塗布した。
【0040】
次に、表1に示すNo.1〜24の条件で、種々の脂肪族飽和炭化水素を塗料中に分散させ、所定条件で焼き付けた。尚、表中、パラフィンとは、融点が40〜70℃の脂肪族飽和炭化水素を意味し、融点によって、例えば42〜44℃、44〜46℃の如く分けられる。また、比較の為に、脂肪族飽和炭化水素を添加しない比較例(No.25)、及び脂肪族飽和炭化水素の代わりに有機ビーズを添加した従来例(No.26〜29)も同時に実施した。尚、塗料樹脂としては、大日本インキ製SRF34を使用した。また、脂肪族飽和炭化水素のSP値、及び脂肪族飽和炭化水素以外の塗料成分のSP値は、希釈剤であるシンナーや界面活性剤の種類を適切に制御することによって調整した。
【0041】
この様にして得られたプレコート鋼板について、下記項目を評価した。
【0042】
[凹凸外観]
外観評価は目視にて観察し、極めて良好なユズ肌外観が得られている場合を◎、良好なユズ肌外観が得られている場合を○、ユズ肌外観に、やや劣る場合を△、平滑面しか得られない場合を×とした。
【0043】
[加工性]
塗装鋼板の供試材を、塗装面を外側にし、間に基材と同じ厚みの板を、枚数を増やしながら挟み、180°曲げ加工した後、曲げ部を10倍ルーペで観察する。その結果、塗膜に亀裂を生じなかった最小板挟み枚数を表示する。表中、「1T」は一枚の板を挟んだ180°曲げを意味し;「0T」とは、何も挟まない180°曲げを意味し、密着曲げが可能なことを示す。
【0044】
これらの結果を表1に併記する。
【0045】
【表1】
Figure 0003860421
【0046】
表1中、No.1〜24は、塗料中に脂肪族飽和炭化水素を添加した例である。
【0047】
このうちNo.1〜5、8〜13、15〜16、18〜19、21〜24は、いずれも本発明の好ましい要件で実施している為、良好なユズ肌外観が得られており、且つ、加工性にも優れている。
【0048】
尚、焼付け時の風速を速くすると、より良好なユズ肌外観を得ることが確認された。例えば風速が0.1m/sの場合(No.8及び9)では、凹凸の深さが緩やかなユズ肌外観(凹凸の深さ:1μm前後、間隔:約5mm)しか得られなかったが、風速を6m/s(No.1等)にまで高めると、極めて良好なユズ肌外観が得られた。
【0049】
また、No.10及び11は、希釈剤(キシレン)で溶解せず固形の脂肪族飽和炭化水素をそのまま使用しているため、ユズ肌外観の程度は通常レベルであった。
【0050】
また、No.15及び16では、他の例に比べ、凹凸の間隔が細かいユズ肌外観(凹凸の深さ:3μm前後、間隔:約1mm)が得られたが、これは、表面を覆う脂肪族飽和炭化水素の量が多く、凹凸模様を発生する流動核の間隔が狭くなった為と考えられる。
【0051】
これに対し、脂肪族飽和炭化水素を添加しないNo.25は、平滑な外観しか得られなかった。
【0052】
また、No.6及び7は、焼付け時の風速が0m/sであり、塗膜中の渦対流を促進するという脂肪族飽和炭化水素の添加効果が有効に発揮されないため、所望の凹凸外観が得られない。
【0053】
No.14は、脂肪族飽和炭化水素の添加量が本発明の好ましい上限を超えるため、所望の凹凸外観が得られなかった。
【0054】
No.17は粘度が本発明の好ましい下限を下回る例であるが、塗装すること自体困難であった。また、No.20は粘度が本発明の好ましい上限を超える例であり、平滑な外観しか得られなかった。
【0055】
表1において、No.26〜29は、有機ビーズを添加した従来例である。
【0056】
このうちNo.26、28〜29は焼付後ビーズが残っているが、塗膜中で充分に溶融して沈み込むことができない為、所望の凹凸模様が得られなかった。
【0057】
また、No.27では、渦対流促進効果がない為、所望の凹凸模様が発生せず、焼付後も塗膜中にポリエチレンが残る結果、光沢が低下した。
【0058】
また、これらの従来例ではいずれも、加工性に劣っていた。
【0059】
【発明の効果】
本発明は上記の様に構成されているので、塗膜表面に均一に分布させることが可能で均一な凹凸模様を形成することができ、しかも、塗料焼付け後は塗膜中に残らない為、加工性にも優れた新規な凹凸模様形成用塗料を提供することができた。また、本発明の凹凸模様形成用塗料を用いれば、所望の凹凸外観を有する塗装金属板を効率よく製造することができる。

Claims (2)

  1. 樹脂塗装金属板に用いられる塗料であって、常温より高く、塗料樹脂の分解温度よりも低い沸点を示し、融点が44〜48℃である脂肪族飽和炭化水素を含有し、前記塗料固形分に占める前記脂肪族飽和炭化水素の含有量は、0.1〜8質量%であり、前記塗料の流動性は、FDカップ # 4で求められる塗料粘度が10〜90秒であることを特徴とする凹凸模様形成用塗料。
  2. 請求項に記載の凹凸模様形成用塗料を用いて塗装金属板を製造する方法であって、風速を0.1m/s以上に制御しつつ、脂肪族飽和炭化水素の沸点以上、樹脂の分解温度未満に加熱して造膜することを特徴とする塗装金属板の製造方法。
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