JP3859975B2 - 不揮発性メモリ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性メモリ、特に、消去時間またはソフトライト時間を短縮することができる不揮発性メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の不揮発性メモリの構造を図5に示す。
【0003】
図5に示す不揮発性メモリ100は、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4と、第一及び第三のメモリセルMC1及びMC3のコントロールゲートに接続する第一のワード線W1と、第二及び第四のメモリセルMC2及びMC4のコントロールゲートに接続する第二のワード線W2と、電圧VPMを供給する電源と負電圧VNEGを供給する負電源と第一及び第二のワード線W1及びW2に接続するXデコーダ101と、第一及び第二のメモリセルMC1及びMC2のドレインに接続する第一のビット線B1と、第三及び第四のメモリセルMC3及びMC4のドレインに接続する第二のビット線B2と、第一及び第二の出力信号Y1及びY2を出力するYデコーダ102と、電圧VPWを供給するVPW供給回路103と、VPW供給回路103から電圧VPWを供給される書込回路104と、各メモリセルMC1乃至MC4に流れる電流を検出するセンスアンプ105と、第一のビット線B1と書込回路104とセンスアンプ105とに接続し、第一の出力信号Y1をゲート入力とする第一のNチャネルトランジスタN1と、第二のビット線B2と書込回路104とセンスアンプ105とに接続し、第二の出力信号Y2をゲート入力とする第二のNチャネルトランジスタN2と、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4のソースに接続するソース線S1と、ソース線S1に接続する消去回路106と、から構成されている。
【0004】
ここで、電圧VPMとしては、本不揮発性メモリの動作に応じて、1Vから10Vまでの間の電圧が供給されるものとし、負電圧VNEGとしては、−3Vが供給されるものとする。電圧VPWとしては、6Vの電圧が供給されるものとする。また、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4の各々は、第一または第二のワード線W1またはW2に接続するコントロールゲートと電荷を蓄積するためのフローティングゲートとの2層ゲートを有する不揮発性メモリであるものとする。
【0005】
図2は、不揮発性メモリにおけるメモリセルのデータ消去及び過消去救済のためのソフトライト動作における一般的な過程を示すフローチャートである。以下、図2を参照して、図5に示した不揮発性メモリ100におけるメモリセルのデータ消去及び過消去救済のためのソフトライト動作について説明する。
【0006】
まず、各メモリセルに記憶されているデータ消去の動作を行う(ステップ100)。
【0007】
消去動作時における第一及び第二のワード線W1及びW2の電位は0Vとする。Yデコーダ102から出力される第一及び第二の出力信号Y1及びY2の電位は0Vとし、第一及び第二のNチャネルトランジスタN1及びN2をオフさせ、第一及び第二のビット線B1及びB2はオープンとする。ソース線S1には、消去回路106から10Vの電圧が供給される。
【0008】
以上の条件の下で、各メモリセルのフローティングゲートに蓄積された電荷を引き抜くことにより、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4のデータ消去が行われる。
【0009】
次に、消去ベリファイを行う(ステップ110)。
【0010】
消去ベリファイ時には、先ず、第一のメモリセルMC1を選択するように、第一のワード線W1には電圧VPMとしての3Vが、第二のワード線W2には0Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0011】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のNチャネルトランジスタN1はオン、第二のNチャネルトランジスタN2はオフさせ、第一のビット線B1にセンスアンプ105から1Vの電圧を供給し、第二のビット線B2はオープンとする。
【0012】
また、ソース線S1の電位は0Vとする。
【0013】
ここで、第一のメモリセルMC1に流れる電流をセンスアンプ105で検出する。電流が検出されれば、第一のメモリセルMC1は消去されているものとして(ステップ110のOK)、次のメモリセルMC2乃至MC4の消去ベリファイを順次行う。
【0014】
電流が検出されない場合には(ステップ110のNG)、消去動作を再度行う。
【0015】
全てのメモリセルMC1乃至MC4の消去が確認されると、次に、過消去ベリファイを行う(ステップ120)。
【0016】
過消去ベリファイ時には、先ず、第一のメモリセルMC1を選択するように、第一のワード線W1には電圧VPMとしての1Vが、第二のワード線W2には0Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0017】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のNチャネルトランジスタN1はオン、第二のNチャネルトランジスタN2はオフさせ、第一のビット線B1にはセンスアンプ105から1Vの電圧を供給し、第二のビット線B2はオープンとする。
【0018】
また、ソース線S1は0Vとする。
【0019】
ここで、第一のメモリセルMC1に流れる電流をセンスアンプ105で検出する。電流が検出されれば、第一のメモリセルMC1は過消去であるものとして(ステップ120のNG)、第一のメモリセルMC1に対してソフトライトを行う(ステップ130)。
【0020】
電流が検出されない場合には、次のメモリセルMC2乃至MC4の過消去ベリファイを順次行う。過消去セルを検出した場合には、そのメモリセルに対してソフトライトを行う(ステップ130)。
【0021】
例えば、第一のメモリセルMC1が過消去である場合(例えば、第一のメモリセルMC1のしきい値電圧VTMが−2Vである場合)には、第一のワード線W1には電圧VPMとしての4Vを印加し、第二のワード線W2には負電圧VNEGとしての−3Vを印加する。
【0022】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のビット線B1には書込回路104を介して電圧VPWとしての6Vを印加し、第二のビット線B2はオープンとする。また、ソース線S1の電位は0Vとする。
【0023】
これにより、第一のメモリセルMC1はソフトライトされ、過消去ベリファイ(ステップ140)において過消去状態でないと判定される(例えば、第一のメモリセルMC1のしきい値電圧VTMが1Vである場合)までソフトライトを繰り返す(ステップ140のNG)。
【0024】
過消去ベリファイが終了すると(ステップ140のOK)、再度、消去ベリファイが行われる(ステップ150)。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
過消去ベリファイ(ステップ140)において過消去状態でないと判定されるまでソフトライトを繰り返す場合、非選択状態である第二のメモリセルMC2のコントロールゲートには−3V、ドレインには6Vが印加されている。すなわち、第二のメモリセルMC2のコントロールゲートとドレイン間には高電界(9V)が印加されるため、ドレインディスターブ耐性が低い場合、コントロールゲートとドレイン間の電界により、フローティングゲートに蓄積された電荷量が変動し、第二のメモリセルMC2のしきい値電圧VTMが変動する。
【0026】
しきい値電圧VTMが高くなると追加消去が必要になり、しきい値電圧VTMが低くなると過消去となるため、ソフトライトが必要となる。
【0027】
更に、過消去ベリファイにおいて、一度、過消去ではないと判定されたメモリセルが、他のメモリセルのソフトライト時に電圧しきい値VTMが変動し、過消去になると、もはや過消去救済は不可能となる。これは、一旦、過消去ベリファイをパスすると、再度、同一のメモリセルに対しては過消去ベリファイを行わないためである。
【0028】
ドレインディスターブを弱めるためには、非選択ワード線に印加する電圧を極力高くする必要があるが、非選択ワード線に接続されているメモリセルのVTMがオンすると、配線抵抗等により電圧VPWおよびビット線の電圧降下が起きるため、選択されたメモリセルのドレイン電圧が低くなり、ソフトライト時間が長くなる。あるいは、場合によっては、ソフトライト自体が不可能になる。
【0029】
従って、非選択状態の全てのメモリセルがオフするように、非選択ワード線には予め十分低い電圧、すなわち、全てのメモリセルのしきい値電圧VTM以下の電圧を印加しなければならず、結果として、ソフトライト時には、非選択のメモリセルのコントロールゲートとドレイン間に常に高電界が印加される。
【0030】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、過消去救済を目的としたソフトライトを行う場合のメモリセルのドレインディスターブによるしきい値の変動を抑え、再消去または再ソフトライト回数を削減し、ひいては、消去時間またはソフトライト時間を短縮することができる不揮発性メモリを提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る不揮発性メモリは、複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの各々に接続されているワード線及びビット線と、選択されたメモリセルに書込を行う書込回路と、前記ワード線に選択電圧または非選択電圧を供給する第1のデコーダと、第1の電圧値を有する第1の負電圧、または、前記第1の負電圧より低い第2の電圧値を有する第2の負電圧、を前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する負電圧制御回路と、前記書込回路に供給される電圧を検出して、検出した電圧に応じた検出信号を出力する電圧検出回路であって、前記書込回路への供給電圧が所定の値以下に降下した場合には、前記負電圧制御回路に前記第2の負電圧を選択させる前記検出信号を供給し、前記供給電圧が前記所定の値以下でない場合には、前記第1の負電圧を選択させる前記検出信号を供給する電圧検出回路と、を備えることを特徴としている。
【0032】
また、本発明に係る不揮発性メモリにおいては、前記負電圧制御回路は、前記第1の負電圧を前記第1のデコーダに供給した後に、前記前記第2の負電圧を選択させる前記検出信号を受けて、前記第1の負電圧に代えて、前記第2の負電圧を選択し、前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給することも好ましい
【0033】
また、本発明に係る不揮発性メモリは、複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの各々に接続されているワード線及びビット線と、選択されたメモリセルに書込を行う書込回路と、前記ワード線に選択電圧または非選択電圧を供給する第1のデコーダと、前記ビット線から一のビット線を選択する選択信号を出力する第2のデコーダと、第1の電圧値を有する第1の負電圧、または、前記第1の負電圧より低い第2の電圧値を有する第2の負電圧、を前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する負電圧制御回路と、前記選択信号により選択されたビット線の電圧を検出し、前記検出した電圧に応じたビット線電圧検出信号を出力するビット線電圧検出回路であって、前記選択されたビット線の電圧が所定の値以下に降下した場合には、前記負電圧制御回路に前記第2の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を供給し、前記選択されたビット線の電圧が前記所定の値以下でない場合には、前記第1の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を供給するビット線電圧検出回路と、を備えることを特徴としている。
【0034】
また、本発明に係る不揮発性メモリにおいては、更に第1のビット線と前記書込回路とに接続され、前記第2のデコーダからの第1の出力信号をゲート入力としてオン、オフする第1のトランジスタと、第2のビット線と前記書き込み回路とに接続され、前記第2のデコーダからの第2の出力信号をゲート入力としてオン、オフする第2のトランジスタとを備え、前記ビット線電圧検出回路は、前記第1又は前記第2のトランジスタのオンした方のビット線の電圧を選択することも好ましい。
【0035】
また、本発明に係る不揮発性メモリにおいては前記負電圧制御回路は、前記第1の負電圧を前記第1のデコーダに供給した後に、前記前記第2の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を受けて、前記第1の負電圧に代えて、前記第2の負電圧を選択し、前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給することも好ましい。
【0036】
また、本発明に係る不揮発性メモリにおいては、前記書込回路に供給される電圧は、メモリセルの過消去救済のためのソフトライトを行う際の電圧であることが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る不揮発性メモリにおいては、前記第1の負電圧、前記第2の負電圧は、所定の負電源の電位を複数の抵抗素子により分割して得るものであってもよい。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明に係る不揮発性メモリの第1の実施形態を図1に示す。
【0048】
本実施形態に係る不揮発性メモリ10は、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4と、第一及び第三のメモリセルMC1及びMC3のコントロールゲートに接続する第一のワード線W1と、第二及び第四のメモリセルMC2及びMC4のコントロールゲートに接続する第二のワード線W2と、電圧VPMを供給する電源と負電圧VNEGを供給する負電源と第一及び第二のワード線W1及びW2に接続するXデコーダ11と、第一及び第二のメモリセルMC1及びMC2のドレインに接続する第一のビット線B1と、第三及び第四のメモリセルMC3及びMC4のドレインに接続する第二のビット線B2と、第一及び第二の出力信号Y1及びY2を出力するYデコーダ12と、電圧VPWを供給するVPW供給回路13と、VPW供給回路13から電圧VPWを供給される書込回路14と、各メモリセルMC1乃至MC4に流れる電流を検出するセンスアンプ15と、第一のビット線B1と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第一の出力信号Y1をゲート入力とする第一のNチャネルトランジスタN1と、第二のビット線B2と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第二の出力信号Y2をゲート入力とする第二のNチャネルトランジスタN2と、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4のソースに接続するソース線S1と、ソース線S1に接続する消去回路16と、電圧VPWを検出し、検出した電圧VPWに応じた電圧検出信号PWLVを出力するVPW電圧検出回路17と、第二及び第三の負電圧としてのVNEG1及びVNEG2が供給され、電圧検出信号PWLVに基づいて、負電圧VNEG1及びVNEG2の一方を選択し、選択した負電圧VNEG1またはVNEG2を負電圧VNEGとしてXデコーダ11に供給するVNEG制御回路18と、から構成されている。
【0049】
ここで、電圧VPMとしては、本不揮発性メモリ10の動作に応じて、1Vから10Vまでの電圧が供給されるものとし、負電圧VNEG1及びVNEG2としては各々−1V及び−3Vが供給されるものとする。
【0050】
また、電圧VPWとしては6Vの電圧が供給されるものとする。
【0051】
また、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4は、第一または第二のワード線W1、W2に接続するコントロールゲートおよび電荷を蓄積するためのフローティングゲートを有する2層ゲートの不揮発性メモリであるものとする。
【0052】
次に、本実施形態に係る不揮発性メモリセル10の消去および過消去救済のためのソフトライト動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
まず、各メモリセルにおいて記憶されているデータの消去動作(ステップ100)を行う。
【0054】
消去動作時においては、第一及び第二のワード線W1及びW2の電位は0Vとする。第一及び第二の出力信号Y1及びY2は0Vとし、第一及び第二のNチャネルトランジスタN1及びN2をオフさせ、第一及び第二のビット線B1及びB2はオープンとする。ソース線S1には、消去回路16から10Vの電圧を供給する。これにより、各メモリセルのフローティングゲートに蓄積された電荷が引き抜かれ、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4の消去が行われる。
【0055】
次に、消去ベリファイを行う(ステップ110)。
【0056】
消去ベリファイ時には、先ず、第一のメモリセルMC1を選択するように、第一のワード線W1には電圧VPMとしての3Vが、第二のワード線W2には0Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0057】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のNチャネルトランジスタN1はオン、第二のNチャネルトランジスタN2はオフさせ、第一のビット線B1にセンスアンプ15から1Vの電圧を供給し、第二のビット線B2はオープンとする。
【0058】
また、ソース線S1の電位は0Vとする。
【0059】
ここで、第一のメモリセルMC1に流れる電流をセンスアンプ15で検出する。電流が検出されれば、第一のメモリセルMC1のデータは消去されているものとして(ステップ110のOK)、次のメモリセルMC2乃至MC4の消去ベリファイを順次行う。
【0060】
電流が検出されない場合には(ステップ110のNG)、消去動作を再度行う。
【0061】
全てのメモリセルMC1乃至MC4のデータ消去が確認されると、次に、過消去ベリファイを行う(ステップ120)。
【0062】
過消去ベリファイ時には、先ず、第一のメモリセルMC1を選択するように、第一のワード線W1には電圧VPMとしての1Vが、第二のワード線W2には0Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0063】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のNチャネルトランジスタN1はオン、第二のNチャネルトランジスタN2はオフさせ、第一のビット線B1にはセンスアンプ15から1Vの電圧を供給し、第二のビット線B2はオープンとする。
【0064】
また、ソース線S1は0Vとする。
【0065】
ここで、第一のメモリセルMC1に流れる電流をセンスアンプ15で検出する。電流が検出されれば、第一のメモリセルMC1は過消去であるものとして(ステップ120のNG)、第一のメモリセルMC1に対してソフトライトを行う(ステップ130)。
【0066】
電流が検出されない場合には、次のメモリセルMC2乃至MC4の過消去ベリファイを順次行う。過消去セルを検出した場合には、そのメモリセルに対してソフトライトを行う(ステップ130)。
【0067】
例えば、第一のメモリセルMC1が過消去である場合(例えば、第一のメモリセルMC1のしきい値電圧VTMが−2Vである場合)には、第一のワード線W1には電圧VPMとしての4Vを印加し、第二のワード線W2には、VNEG制御回路18を介して、負電圧VNEGとして負電圧VNEG1の−1Vを印加する。
【0068】
第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとし、第一のビット線B1には書込回路14を介して電圧VPWとしての6Vを印加し、第二のビット線B2はオープンとする。また、ソース線S1の電位は0Vとする。
【0069】
これにより、第一のメモリセルMC1のソフトライト(ステップ130)を行い、過消去ベリファイ(ステップ140)において過消去状態でないと判定される(例えば、第一のメモリセルMC1のしきい値電圧VTMが1Vである場合)までソフトライトを繰り返す(ステップ140のNG)。
【0070】
ここで、非選択状態である第二のメモリセルMC2におけるコントロールゲートの電圧は−1Vであるため、コントロールゲートとドレインとの間の電界は、従来のように−3Vの電圧を一律に印加する場合に比べ、低く設定される。
【0071】
また、非選択である第二のメモリセルMC2のしきい値VTMが−1Vより低いために、第二のワード線W2の電位が−1Vではオンしてしまい、電圧VPWが電圧降下する場合は、VNEG制御回路17を介して、負電圧VNEGとして負電圧VNEG2の−3Vを供給し、ソフトライトを継続する。
【0072】
このように、非選択のメモリセルのしきい値VTMが負電圧VNEG1より高い場合は、負電圧VNEG1の電圧である−1Vが、非選択のメモリセルのしきい値VTMが負電圧VNEG1より低い場合は、負電圧VNEG2の電圧である−3Vが選択的に非選択のワード線に印加される。これにより、一律に−3Vの電圧を印加する場合に比べ、コントロールゲートとドレインとの間に高電界が発生する期間を少なくすることができる。
【0073】
過消去ベリファイが終了すると(ステップ140のOK)、再度、消去ベリファイが行われる(ステップ150)。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る不揮発性メモリにおいては、過消去救済を目的としたソフトライトを行う場合の非選択ワード線に印加される負電圧を、非選択のメモリセルのしきい値電圧VTMに応じて切り換える。これにより、ドレインディスターブを最小限とし、ソフトライト時における非選択メモリセルのドレインディスターブによるしきい値電圧VTMの変動を抑え、再消去もしくは再ソフトライト回数を削減し、消去時間もしくはソフトライト時間を短縮することができる。
【0075】
本発明に係る不揮発性メモリの第2の実施形態を図3に示す。
【0076】
本実施形態に係る不揮発性メモリ20は、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4と、第一及び第三のメモリセルMC1及びMC3のコントロールゲートに接続する第一のワード線W1と、第二及び第四のメモリセルMC2及びMC4のコントロールゲートに接続する第二のワード線W2と、電圧VPMを供給する電源と負電圧VNEGを供給する負電源と第一及び第二のワード線W1及びW2に接続するXデコーダ11と、第一及び第二のメモリセルMC1及びMC2のドレインに接続する第一のビット線B1と、第三及び第四のメモリセルMC3及びMC4のドレインに接続する第二のビット線B2と、第一及び第二の出力信号Y1及びY2を出力するYデコーダ12と、電圧VPWを供給するVPW供給回路13と、VPW供給回路13から電圧VPWを供給される書込回路14と、各メモリセルMC1乃至MC4に流れる電流を検出するセンスアンプ15と、第一のビット線B1と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第一の出力信号Y1をゲート入力とする第一のNチャネルトランジスタN1と、第二のビット線B2と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第二の出力信号Y2をゲート入力とする第二のNチャネルトランジスタN2と、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4のソースに接続するソース線S1と、ソース線S1に接続する消去回路16と、第一のビット線B1に接続され、Yデコーダ12からの第一の出力信号Y1をゲート入力とする第三のトランジスタN3と、第二のビット線B2に接続され、Yデコーダ12からの第二の出力信号Y2をゲート入力とする第四のトランジスタN4と、第三及び第四のトランジスタN3及びN4に接続されている信号線VBITと、信号線VBITにおける電圧を検出し、その電圧に応じた電圧検出信号PWLVを出力するビット電圧検出回路21と、第二及び第三の負電圧としてのVNEG1及びVNEG2が供給され、電圧検出信号PWLVに基づいて、負電圧VNEG1及びVNEG2の一方を選択し、選択した負電圧VNEG1またはVNEG2を負電圧VNEGとしてXデコーダ11に供給するVNEG制御回路18と、から構成されている。
【0077】
なお、図3において、図1に示した第1の実施形態と同一または均等の構成要素には図1と同一の符号が付されている。
【0078】
本実施形態に係る不揮発性メモリ20は、第1の実施形態に係る不揮発性メモリ10と比較して、第三のNチャネルトランジスタN3と第四のNチャネルトランジスタN4と信号線VBITとをさらに備えており、また、VPW電圧検出回路18に代えてビット電圧検出回路21を備えている。
【0079】
次に、本実施形態に係る不揮発性メモリ20の動作について説明する。
【0080】
本実施形態に係る不揮発性メモリセル20の消去および過消去救済のためのソフトライト動作は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る不揮発性メモリ10と同一である。
【0081】
本実施形態においては、ソフトライト時において、選択された第一のビット線B1に接続されている第三のNチャネルトランジスタN3または第二のビット線B2に接続されている第四のNチャネルトランジスタN4をオンさせ、第一または第二のビット線B1またはB2の電圧を信号線VBITに供給する。
【0082】
例えば、第一のメモリセルMC1をソフトライトする場合、Yデコーダ12からの第一の出力信号Y1はハイレベル、第二の出力信号Y2はロウレベルとなるため、第三のNチャネルトランジスタN3はオン、第四のNチャネルトランジスタN4はオフとなり、第一のビット線B1に供給される電圧が信号線VBITに供給される。
【0083】
ビット電圧検出回路21は、この信号線VBITの電位を検出し、Xデコーダ11に供給する負電圧VNEGを第一及び第二の負電圧VNEG1及びVNEG2の何れかに切り換えることにより、非選択ワード線に印加される負電圧値を最適化する。
【0084】
本実施形態に係る不揮発性メモリ20によっても第一の実施形態に係る不揮発性メモリ10と同一の効果を得ることができる。
【0085】
本発明に係る不揮発性メモリの第3の実施形態を図4に示す。
【0086】
本実施形態に係る不揮発性メモリ30は、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4と、第一及び第三のメモリセルMC1及びMC3のコントロールゲートに接続する第一のワード線W1と、第二及び第四のメモリセルMC2及びMC4のコントロールゲートに接続する第二のワード線W2と、電圧VPMを供給する電源と負電圧VNEGを供給する負電源と第一及び第二のワード線W1及びW2に接続するXデコーダ11と、第一及び第二のメモリセルMC1及びMC2のドレインに接続する第一のビット線B1と、第三及び第四のメモリセルMC3及びMC4のドレインに接続する第二のビット線B2と、第一及び第二の出力信号Y1及びY2を出力するYデコーダ12と、電圧VPWを供給するVPW供給回路13と、VPW供給回路13から電圧VPWを供給される書込回路14と、各メモリセルMC1乃至MC4に流れる電流を検出するセンスアンプ15と、第一のビット線B1と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第一の出力信号Y1をゲート入力とする第一のNチャネルトランジスタN1と、第二のビット線B2と書込回路14とセンスアンプ15とに接続し、第二の出力信号Y2をゲート入力とする第二のNチャネルトランジスタN2と、第一乃至第四のメモリセルMC1乃至MC4のソースに接続するソース線S1と、ソース線S1に接続する消去回路16と、電圧VPWを検出し、検出した電圧VPWに応じた第一及び第二の電圧検出信号PWLV1及びPWLV2を出力するVPW電圧検出回路31と、第二の負電圧VNEG0と接地電圧GNDとの間に直列に接続された第一、第二及び第三の抵抗素子R1、R2及びR3と、第二及び第三の抵抗素子R2及びR3の接続点VBとXデコーダ11とに接続され、第一の電圧検出信号PWLV1をゲート入力とする第三のトランジスタN5と、第一及び第二の抵抗素子R1及びR2の接続点VAとXデコーダ11とに接続され、第二の電圧検出信号PWLV2をゲート入力とする第四のトランジスタN6と、から構成されている。
【0087】
なお、図4において、図1に示した第1の実施形態と同一または均等の構成要素には図1と同一の符号が付されている。
【0088】
本実施形態に係る不揮発性メモリ30においては、第1の実施形態に係る不揮発性メモリ10と比較して、電圧検出信号PWLVを発信するVPW電圧検出回路17に代えて、第一及び第二の電圧検出信号PWLV1及びPWLV2を発信するVPW電圧検出回路31を備えており、また、VNEG制御回路18に代えて、第一乃至第三の抵抗素子R1乃至R3と第三のトランジスタN5と第四のトランジスタN6とを備えている。
【0089】
次に、本実施形態に係る不揮発性メモリ30の動作について説明する。
【0090】
本実施形態に係る不揮発性メモリセル30の消去および過消去救済のためのソフトライト動作は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る不揮発性メモリ10と同一である。
【0091】
第二の負電源VNEG0としては−5Vが供給されているものとし、第一乃至第三の抵抗素子R1乃至R3の抵抗値は、接続点VA及びVBの電位が各々−3V及び−1Vになるように、設定されているものとする。
【0092】
また、第一及び第二の電圧検出信号PWLV1及びPWLV2は、ソフトライト時の初期および電圧VPWが5.5V以上の場合にはそれぞれハイレベル及びロウレベルを出力し、電圧VPWが5.5V未満の場合にはそれぞれロウレベル及びハイレベルを出力するものとする。
【0093】
本実施形態に係る不揮発性メモリ30においては、ソフトライト時に、先ず、第一及び第二の電圧検出信号PWLV1及びPWLV2をそれぞれハイレベル及びロウレベルとし、第三及び第四のNチャネルトランジスタN5及びN6をそれぞれオン、オフさせる。
【0094】
これにより、Xデコーダ11には、負電圧VNEGとして、接点VBの電圧である−1Vが供給される。この負電圧VNEGとしての−1Vが非選択ワード線に印加されるが、この場合、電圧VPWが5.5V未満であれば、VPW電圧検出回路31は第一及び第二の電圧検出信号PWLV1及びPWLV2をそれぞれロウレベル、ハイレベルに切り換え、第三及び第四のNチャネルトランジスタN5、N6をそれぞれオフ、オンさせる。この結果、負電圧VNEGとして接点VAの電圧である−3VがXデコーダ11に供給される。
【0095】
本実施形態に係る不揮発性メモリ30によっても第一の実施形態に係る不揮発性メモリ10と同一の効果を得ることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る不揮発性メモリによれば、過消去救済を目的としたソフトライトを行う場合、非選択ワード線に印加される負電圧は非選択のメモリセルのしきい値電圧に応じて切り換えられる。これにより、ドレインディスターブを最小限とし、ソフトライト時における非選択メモリセルのドレインディスターブによるしきい値電圧の変動を抑え、再消去または再ソフトライト回数を削減し、消去時間またはソフトライト時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る不揮発性メモリのブロック図である。
【図2】不揮発性メモリの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る不揮発性メモリのブロック図である。
【図4】本発明の第三の実施形態に係る不揮発性メモリのブロック図である。
【図5】従来の不揮発性メモリのブロック図である。
【符号の説明】
10 第一の実施形態に係る不揮発性メモリ
11 Xデコーダ
12 Yデコーダ
13 VPW供給回路
14 書込回路
15 センスアンプ
16 消去回路
17 VPW電圧検出回路
18 VNEG制御回路
21 ビット電圧検出回路
31 VPW電圧検出回路

Claims (7)

  1. 複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの各々に接続されているワード線及びビット線と、
    選択されたメモリセルに書込を行う書込回路と、
    前記ワード線に選択電圧または非選択電圧を供給する第1のデコーダと、
    第1の電圧値を有する第1の負電圧、または、前記第1の負電圧より低い第2の電圧値を有する第2の負電圧、を前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する負電圧制御回路と、
    前記書込回路に供給される電圧を検出して、検出した電圧に応じた検出信号を出力する電圧検出回路であって、前記書込回路への供給電圧が所定の値以下に降下した場合には、前記負電圧制御回路に前記第2の負電圧を選択させる前記検出信号を供給し、前記供給電圧が前記所定の値以下でない場合には、前記第1の負電圧を選択させる前記検出信号を供給する電圧検出回路と、
    を備えることを特徴とする不揮発性メモリ。
  2. 請求項 1 において、
    前記負電圧制御回路は、前記第1の負電圧を前記第1のデコーダに供給した後に、前記前記第2の負電圧を選択させる前記検出信号を受けて、前記第1の負電圧に代えて、前記第2の負電圧を選択し、前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する
    ことを特徴とする不揮発性メモリ。
  3. 複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの各々に接続されているワード線及びビット線と、
    選択されたメモリセルに書込を行う書込回路と、
    前記ワード線に選択電圧または非選択電圧を供給する第1のデコーダと、
    前記ビット線から一のビット線を選択する選択信号を出力する第2のデコーダと、
    第1の電圧値を有する第1の負電圧、または、前記第1の負電圧より低い第2の電圧値を有する第2の負電圧、を前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する負電圧制御回路と、
    前記選択信号により選択されたビット線の電圧を検出し、前記検出した電圧に応じたビット線電圧検出信号を出力するビット線電圧検出回路であって
    前記選択されたビット線の電圧が所定の値以下に降下した場合には、前記負電圧制御回路に前記第2の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を供給し、前記選択されたビット線の電圧が前記所定の値以下でない場合には、前記第1の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を供給するビット線電圧検出回路と、
    を備えることを特徴とする不揮発性メモリ。
  4. 請求項3において、更に第1のビット線と前記書込回路とに接続され、前記第2のデコーダからの第1の出力信号をゲート入力としてオン、オフする第1のトランジスタと、
    第2のビット線と前記書き込み回路とに接続され、前記第2のデコーダからの第2の出力信号をゲート入力としてオン、オフする第2のトランジスタとを備え、
    前記ビット線電圧検出回路は、前記第1又は前記第2のトランジスタのオンした方のビット線の電圧を選択する
    ことを特徴とする不揮発性メモリ。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記負電圧制御回路は、前記第1の負電圧を前記第1のデコーダに供給した後に、前記前記第2の負電圧を選択させる前記ビット線電圧検出信号を受けて、前記第1の負電圧に代えて、前記第2の負電圧を選択し、前記第1のデコーダの前記非選択電圧として供給する
    ことを特徴とする不揮発性メモリ。
  6. 請求項1乃至請求項5において前記書込回路に供給される電圧は、メモリセルの過 消去救済のためのソフトライトを行う際の電圧である
    ことを特徴とする不揮発性メモリ。
  7. 請求項1乃至請求項6において、前記第1の負電圧、前記第2の負電圧は、所定の負電源の電位を複数の抵抗素子により分割して得ることを特徴とする不揮発性メモリ。
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