JP3858474B2 - スタンプユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスタンプユニットに関し、特に光エネルギー吸収性物質を含有した第1の多孔性樹脂層と、第1の多孔性樹脂層よりも硬質である第2の多孔性樹脂層とが積層された印材がホルダ部によって保持されたスタンプユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在提案されているスタンプユニットの1つとして、本出願人の提案による特願平10−52574号に係るものがある。このスタンプユニットは、グリップ(取っ手)部材、ホルダ部材およびスカート部材を備えている。そして、ホルダ部材がスカート部材内で上下に移動可能となるようにホルダ部材とグリップ部材とが連結され、また、ホルダ部材の下面に印材(印面形成部材)が熱接着により配設されている。かかるスタンプユニットでは、印材は、カーボンブラック等の光エネルギ吸収物質を分散させた軟質多孔性樹脂からなる下側層と、インクを貯溜するとともに下側層に均一に圧力が印加されるようにする硬質多孔性樹脂からなる上側層とからなる2層構造に形成されている。
【0003】
この印材を製版するには、まず、スタンプ製造装置内でロール状の透明フィルムを搬送しつつサーマルヘッドおよび転写リボンを介して透明フィルムに文字、画像を印刷してポジ原稿を作成し、そして、このポジ原稿と印材の下側層とが対向し且つ両者の間に透明アクリル板を介在させた状態で印材が加圧されるように、ホルダ部材をスタンプ製造装置にセットする。この状態で、キセノン管を発光させると、ポジ原稿を通して光が印材の下側層に照射される。これにより、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層の部分だけが光エネルギ吸収物質の発熱作用によって溶融後固化されるので、その部分がシールされてインクを透過しない状態となる。一方、光が照射されず溶融固化されなかった部分の下側層は、原稿の文字等に対応してシールされないでそのまま残存することとなる。これにより、所望パターンのシール部(非印刷部)と非シール部(印刷部)とが印材の下面に混在した印判が形成される。
【0004】
また、ホルダ部材には格子状の凹凸が形成された底面を有する収納部にインクパックを収納することができるようになっており、グリップ部材を押下してグリップ部材の下端に配置された板状部材と凹凸底面との間でインクパックを挟むことにより、インクパックが開封される。開封されたインクパックから流れ出たインクは、印材の上側層および下側層に貯溜され、下側層の下面の非シール部からのみ滲出し、シール部からは滲出しない。文字等をスタンプ印刷する場合には、スタンプユニットを印刷用紙上の所望位置に配置した状態で、グリップ部を下方に押圧する。これにより、ホルダ部が下方に移動して印材が印刷用紙に接触し、インクが印材の下側層の非シール部から印刷用紙に付着させられて文字等の印刷が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特願平10−52574号のスタンプユニットにおいては、インクパックを用いた1回のインク供給によるスタンプ印刷可能回数を増やすことが望まれている。インクパックを用いた1回のインク供給により所定回数以上のスタンプ印刷を行うためには、インクパック内のインク量を増やすとともに印材におけるインク貯溜量をインクパック内のインク量に対応したものにする必要がある。なぜなら、インクパック内のインク量だけを増やすと印材上にインクが溜ることになり、インク圧力により印面からインクが漏れ出してしまうからである。そして、印材におけるインク貯溜量を増やすためには、硬質多孔性樹脂層である印材の上側層の厚みを大きくする必要がある。しかしながら、印材の上側層はインクの浸透速度が小さい硬質多孔性樹脂層であるため、印材の上側層の厚みを大きくするとインクパック開封時からインクが下側層の軟質多孔性樹脂層に達するまでに長時間を要することとなり、迅速なスタンプ印刷動作ができなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の主な目的は、所定スタンプ回数を達成するために印材の硬質多孔性樹脂層の厚みを大きくした場合であっても、インクパックからのインクを速やかに印材の軟質多孔性樹脂層に与えることができて、インクパックによるインク供給の際に迅速なスタンプ印刷動作が可能なスタンプユニットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のスタンプユニットは、光エネルギー吸収性物質を含有した第1の多孔性樹脂層と、前記第1の多孔性樹脂層よりも硬質である第2の多孔性樹脂層とが積層された印材がホルダ部によって保持されたスタンプユニットにおいて、前記ホルダ部の内部には、フィルム材から形成された袋状のパック内にインクが充填されてなるインクパックが配置されており、前記インクパックは、前記インクパックよりも下方で前記印材よりも上方にある前記ホルダ部の底部と前記インクパックよりも上方にある板状部材との間に挟み込まれることによって開封され、前記第2の多孔性樹脂層に、前記第1の多孔性樹脂層に到達していない凹部が設けられている。
【0008】
請求項1のスタンプユニットによると、第1の多孔性樹脂層に到達していない凹部が第2の多孔性樹脂層(硬質多孔性樹脂層)に設けられているので、ホルダ部から供給されたインクが凹部を通って速やかに第1の多孔性樹脂層(軟質多孔性樹脂層)に到達する。従って、インクパック開封からスタンプ印刷が可能となるまでに必要な時間を大幅に削減することができる。また、凹部が第1の多孔性樹脂層に到達していないので、第1の多孔性樹脂層と第2の多孔性樹脂層との接着を阻害することもない。
【0009】
また、請求項2のスタンプユニットは、前記第2の多孔性樹脂層が複数層からなっているとともに、前記凹部が、前記複数層のうち少なくとも前記第1の多孔性樹脂層に最も近い層を除き、前記第1の多孔性樹脂層から最も離れた層からの少なくとも1層を貫通する孔として設けられている。
【0010】
請求項2のスタンプユニットによると、第2の多孔性樹脂層が複数層からなっており、少なくとも1層に貫通孔を設ければ凹部を形成することができるから、第2の多孔性樹脂層に対する凹部形成の作業を簡略化することができる。また、第2の多孔性樹脂層は、これを所定形状に切断加工する際に過大な”ばり”や”だれ”が生じないようにするために、その厚みをあまり大きくすることができず、そのために1層の第2の多孔性樹脂層に貯溜されるインク量には限界がある。請求項2によると、第2の多孔性樹脂層を複数層から構成することにより、過大な”ばり”や”だれ”が生じないようにしつつ第2の多孔性樹脂層に貯溜されるインク量を所望量にすることが可能となる。
【0011】
また、請求項3のスタンプユニットは、前記凹部が、前記ホルダ部に設けられた前記第2の多孔性樹脂層を支持するために互いに離隔して複数設けられた支持部材とは対応していない位置に設けられている。
【0012】
請求項3のスタンプユニットによると、凹部の位置と支持部材の位置とが対応しておらずこれらが互いにずれているので、凹部の入り口近傍が支持部材によって塞がれることがない。従って、支持部材による第2の多孔性樹脂層の支持を行いつつ迅速なインク供給を実現することができる。
【0013】
また、請求項4のスタンプユニットでは、前記ホルダ部には、その上端近傍から前記第2の多孔性樹脂層と対向する個所近傍まで貫通するインク補充孔が、前記ホルダ部の大きさに応じた数だけ設けられている。
【0014】
請求項4のスタンプユニットによると、ホルダ部の大きさに応じた数だけのインク補充孔がホルダ部に設けられているので、第1および第2の多孔性樹脂層に貯溜されていたインクがなくなった場合であっても、インクパックを用いることなくユーザによって容易且つ迅速にインクを補充することができるようになる。なお、インク補充孔は、ユーザによるインク補充を容易にするためにホルダ部の周縁部近傍に設けられていることが好ましい。
【0015】
また、請求項5のスタンプユニットは、前記凹部が前記インク補充孔に対応した位置に設けられている。請求項5のスタンプユニットによると、インク補充孔から補充されたインクが凹部を通って速やかに第1の多孔性樹脂層に到達するので、印材へのインク補充をより迅速に行うことができるようになる。
【0016】
また、請求項6のスタンプユニットは、前記第2の多孔性樹脂層の前記第1の多孔性樹脂層とは反対側の面の周縁部が、外側に行くにつれて前記第1の多孔性樹脂層側に傾斜している。
【0017】
請求項6のスタンプユニットによると、第2の多孔性樹脂層の第1の多孔性樹脂層とは反対側の面の周縁部が、外側に行くにつれて第1の多孔性樹脂層側に傾斜しているために、この面に供給されたインクが傾斜した周縁部に流れ込みやすい。そのため、中心部にかたまって存在する傾向にあるインクが中心部だけではなく周縁部にまで均一に行き渡ることになって、スタンプ印刷時に濃淡などの印刷むらが生じるのを抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態のスタンプユニットの概略的な全体分解斜視図であり、図2は、インクパック収納部に未開封のインクパックが収納された状態でのスタンプユニットの側断面図である。図3は、インクパック収納部のインクパックが開封された直後のスタンプユニットの側断面図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態のスタンプユニット1は、スタンプ印刷時にスタンプユニット1全体を支持するスカート部材2と、スカート部材2内で上下方向に摺動可能に配置されるとともにその下端部に熱接着により印材3が保持されたホルダ部材4と、ホルダ部材4に嵌合連結され、スタンプ印刷時にホルダ部材4を下方に移動させて印材3を印刷用紙(図示せず)に押し付けるためのグリップ部材5と、ホルダ部材4の印材3をカバーおよび保護するためのキャップ部材60とを備えている。
【0020】
ホルダ部材4のインクパック収納部22には、フィルム材から形成された袋状のパック内にインクが充填されてなるインクパック6を収納可能である。インクパック6には印材3において貯溜可能なインク量とほぼ等しい量のインクが袋詰めされている。そして、インクパック6とグリップ部材5の底面との間には、厚板紙37が配置され得る。上記フィルム材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等が単独で若しくはこれらを2種類以上貼り合せたものが使用されている。
【0021】
次に、スタンプユニット1のスカート部材2について、図4〜図6をさらに参照して説明する。図4はスカート部材2の側面図、図5はスカート部材2の端面図、図6はスカート部材2の側断面図である。これらの図において、スカート部材2は、平面視で略長方形の挿通孔10を有しており、挿通孔10にはホルダ部材4を摺動可能に挿通する内壁11が設けられている。また、スカート部材2は、内壁11の外側で内壁11と一体に形成された外壁12を有する上部スカート部13と、外壁12に連続して若干裾広がりとなるように形成された外壁14を有する下部スカート部15とから一体に構成されている。
【0022】
上部スカート部13の両端面(左右端面)の内壁11の上方位置には、ホルダ部材4を挿通孔10内で常時上方に付勢すべく捻りバネ16の一端を係止するバネ係止部17が形成されている。また、バネ係止部17の斜め下方位置には、捻りバネ16のコイル部が外挿されてコイル部の位置決めを行う半月状の位置決め突起18が形成されている。さらに、内壁11の略中央位置には、ホルダ部材4の両端面に形成された傾斜突起35(後述する)を上下に摺動可能に挿嵌する垂直溝19が形成されている。かかる垂直溝19は、スタンプ印刷時にホルダ部材4が下方に移動する際に、ホルダ部材4の傾斜突起35を上下方向に案内する作用を行う。また、垂直溝19と位置決め突起18との間には、捻りバネ16が端面から離れる方向に動くのを規制して、捻りバネ16と傾斜突起35の下端との係止が解除されないようにするために捻りバネ16が挿入される開口部(図示せず)を有するバネずれ抑制部材9が設けられている。
【0023】
下部スカート部材15は、スタンプ印刷時に印刷用紙上に載置されてスタンプユニット1全体を印刷用紙上で支持するものであり、下部スカート部材15を構成する外壁14の四隅の下端位置には、外壁14の下端縁を印刷用紙の紙面から離間した状態で支持する支持突起20が設けられている。なお、下部スカート部材15における外壁14の四面中央位置には、スタンプ印刷方向を示す下向き矢印部21が形成されている。
【0024】
次に、ホルダ部材4について、図7〜図11をさらに参照して説明する。図7はホルダ部材4の斜視図、図8はホルダ部材4の側面図、図9はホルダ部材4の側断面図、図10は平面図、図11は底面図である。これらの図において、ホルダ部材4は、スカート部材2の上部スカート部13と下部スカート部15のそれぞれの形状に合わせて、上部ホルダ部30および下部ホルダ部31とから一体に構成されている。上部ホルダ部30は、平面視で略長方形状の筒状体を構成する周壁32を有し、周壁32における前側壁および後側壁(図8中には、その一方のみを図示する)の上部には、3つの長穴状の凹溝33が水平方向に整列して形成されている。また、3つの凹溝33の間には、周壁32の壁面から外側下方に傾斜する楔状の規制突起34がそれぞれ設けられている。ここに、各凹溝33には、グリップ部材5のリブ係止溝54(後述する)が嵌合され、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが固定連結されるものである。また、規制突起34は、スタンプ印刷時にホルダ部材4を下方に移動する際に、スカート部材2における上部スカート部13の外壁12の上端縁に当接して、ホルダ部材4の下方移動量を規制する作用を行う。
【0025】
また、上ホルダ部30の周壁32の両端面(図8中、左右端面)には、周壁32の壁面から外側下方に向かって傾斜した楔状の傾斜突起35が設けられている。かかる傾斜突起35は、スカート部材2の下側からホルダ部材4を挿入する際に、上スカート部13の垂直溝19内にて上下に摺動可能に挿嵌され、また、傾斜突起35の下端には、捻りバネ16の他端が係止される。これにより、ホルダ部材4は、傾斜突起35と垂直溝19との協働によりスカート部材2内で上下方向に摺動可能にされ、また、捻りバネ16の一端が上スカート部13のバネ係止部17に係止され、且つ、他端が傾斜突起35の下端に係止されることに基づき、ホルダ部材4はスカート部材2内で常時上方に付勢されることとなる。
【0026】
ホルダ部材4の上部ホルダ部30の周壁32に囲まれたほぼ直方体領域であるインクパック収納部22は、その底面23が平坦面となっており、その中央には下部ホルダ部31に連通するインク供給孔24が設けられている。また、インク供給孔24には、インクパック6を切断開封するための切断リブ25が、底面23よりも若干突出して設けられている。
【0027】
インクパック収納部22の内壁面には、ホルダ部材4の上端から後述する支持柱27(図11参照)の底面にまで達する長穴状の4つのインク補充孔26が設けられている。かかるインク補充孔26は、インクパック6により供給されたインクの印材3における貯溜量が少なくなった時に、ユーザによりインクパック6を用いることなく予備的にインクを補給する際に使用される。このとき、インクは、グリップ部材5を取り外した状態でインク補充孔26から注入される。
【0028】
また、図11に示すように、ホルダ部材4の下部ホルダ部31には、長さ数mmの多数の円柱状の支持柱27が格子状に配置されている。支持柱27は下部ホルダ部31の下端から若干引っ込んだ位置であってホルダ部材4に保持された印材3と接触する位置にまで伸延しており、支持柱27の底面は実質的に一つの平面を形成している。また、下部ホルダ部31は、上部ホルダ部30から連続して一体に形成され、周壁32より外側で一回り大きい周壁38を有する。なお、ホルダ部材4は、ABS樹脂、ポリアセタールコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等のポリオレフィン系樹脂、PC樹脂等のいずれかによって形成されている。
【0029】
切断リブ25は、グリップ部材5を押下した際に、厚紙板37との間でインクパック6を挟圧し、インクパック6を破断して開封する作用を行う。かかるインクパック6の開封を確実に行うべく、切断リブ25の両縁部は、尖って形成されている。また、インク供給孔24は、切断リブ25によって開封されたインクパック6から流出したインクを下方に案内するものであり、これによりインクは印材3に含浸されていく。
【0030】
下部ホルダ部31を構成する周壁38の長手壁の外側には、その略中央位置にて内方に向かって傾斜溝43が楔状に形成されており、また、傾斜溝43の両側には、1つまたは2つの検出溝44が形成されている。ここに、傾斜溝43は、本出願人による特願平9−249983号の明細書、図面に開示されたスタンプ製造装置を使用して、印材3から印判を形成する際に、ホルダ部材4をスタンプ製造装置における所定製版位置にセットするための溝である。このとき、傾斜溝43は、その両側が傾斜面に形成されているので、スタンプ製造装置における位置決め機構とホルダ部材4との位置関係が多少ずれた場合においても、位置決め機構の位置決め部材と傾斜面とのカム作用に基づき、ホルダ部材4は、位置決め部材が傾斜溝43の中央位置に当接するように移動されることとなる。これにより、ホルダ部材4は、スタンプ製造装置の所定製版位置にセットされる。また、検出溝44は、その個数および形成位置がホルダ部材4のサイズに従って変更されており、スタンプ製造装置の位置決め機構内に設けられた溝センサとの協働により、ホルダ部材4のサイズを特定するために使用される。なお、周壁38の一壁面における傾斜溝43および検出溝44の形成位置は、他壁面における傾斜溝43、検出溝44の形成位置と回転対称となるように設定されている。これは、ホルダ部材4をスタンプ製造装置の位置決め機構による所定製版位置にセットする際に、前壁と後壁を逆転してセットした場合においても、印材3の製版を可能とするためである。
【0031】
また、周壁38の長手壁における下部位置には、図8に示すように、一対の係止突起45が形成されている。かかる係止突起45は、後述するキャップ部材60の係止溝62に係止され、キャップ部材60を下部ホルダ部31の下端に取り付けるために使用される。これにより、周壁38の下端に保持された印材3の印面はキャップ部材60により保護される。
【0032】
次に、グリップ部材5について、図12〜図14をさらに参照して説明する。図12はグリップ部材5の側面図、図13はグリップ部材5の底面図、図12はグリップ部材5の幅方向における断面図である。
【0033】
これらの図において、グリップ部材5の上面には、前記のように印材3に形成したスタンプ内容を表示するラベル等を貼付するためのラベル貼付部50が形成されている。また、グリップ部材5の内部において、その上壁下面からは、図2、図13および図14に示すように、ホルダ部材4の上部ホルダ部30の周壁32内に挿嵌される挿嵌部51が形成されている。かかる挿嵌部51は、厚紙板37を介してホルダ部材4内に配置されたインクパック6を押圧する作用を行う。
【0034】
また、挿嵌部51は、底面視において図13に示すように、基本的に長方形状を有しており、その両側位置で相互に対向する位置には4つの凹部52が形成されている。かかる凹部52は、グリップ部材5の挿嵌部51をホルダ部材4の周壁32内に挿嵌する際に、周壁32に沿って形成されたインク補充孔26に対応した位置に設けられている。なお、凹部52が二対形成されているのは、どのような状態でグリップ部材5の挿嵌部51を周壁32内に挿嵌した場合においても、インク補充孔26の壁部が挿嵌の支障とならないようにするためである。また、グリップ部材5の内壁面には、複数個(図13には、12個)のリブ53が垂直方向に形成されており、また、各リブ53の下端近傍にはリブ係止溝54が一体に形成されている。リブ係止溝54は、前記した周壁32の外面上部に形成された各凹溝33に嵌合されるものであり、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが一体に連結されるものである。
【0035】
次に、ホルダ部材4の下部ホルダ部31の下端部に取り付けられるキャップ部材60について図15および図16をさらに参照して説明する。図15はキャップ部材60の側面図、図16はキャップ部材60の側断面図である。各図において、キャップ部材60は上方を開放した箱状を有しており、その外壁両側面の略中央位置には、図15に示すように、キャップ部材60をホルダ部材4に取り付ける際、および、取り外す際に指により把持される把持部61が形成されている。また、キャップ部材60の両側内壁面には、前記周壁38に形成された一対の係止突起45が係止される一対の係止溝62が設けられている。キャップ部材60の各係止溝62が周壁38の各係止突起45に係止されることにより、キャップ部材60は周壁38に取り付けられ、これによりキャップ部材60を介して周壁38の下端に保持された印材3の印面が保護されるものである。
【0036】
また、図17に示すように、厚板紙37は、ホルダ部材4のインクパック収納部22の平面形状と対応した4つの凹部28を有しており且つインクパック収納部22の内側寸法よりも若干大きいサイズに形成されている。図2に示すように、インクパック収納部22内にインクパック6を配置した状態でグリップ部材5によってホルダ部材4を下方に移動させると、厚板紙37の作用によりグリップ部材5からの押圧力がインクパック6に対して略均一に及ぼされる。これにより、平坦面であるインクパック収納部22の底面23と厚板紙37との間でインクパック6が挟み込まれ、切断リブ25によってインクパック6が切断開封される。そして、インクパック6は2つの平面の間でいわば押しつぶされることになるので、インクパック6内のインクは、インク供給孔24から残らず下方に流下して印材3に供給されるものである。このように、インクパック収納部22の底面23と厚板紙37という2つの平面でインクパック6を挟み込むことによって、インクパック6内のインクを残らず流出させて無駄を生じることなく印材3にインクを供給することが可能となる。
【0037】
また、前記のようなサイズを有する厚紙板37をインクパック6の上側に配置する際に、厚板紙37の側端縁が容易に変形可能であるから厚板紙37をホルダ部材4内部に簡単に配置可能であるとともに、厚板紙37をホルダ部材4の内部にて任意の位置で固定することが可能となる。これに基づき、ホルダ部材4内部にインクパック6を配置した状態で輸送等を行うことが可能となる。さらに、厚紙板37は、インク吸収能を有していることから、後述するように、グリップ部材5を下方に移動させてホルダ部材4内でインクパック6を開封する際に、インクパック6からその上側に流出したインクを吸収してインクがスタンプユニット1の外部に漏出することを防止することができる。
【0038】
次に、本実施の形態のスタンプユニット1に用いられる印材3について、図18および図19(a)をさらに参照して説明する。これらの図に示すように、印材3は、例えば気孔率90%程度のポリビニルホルマールである厚さ3mmの硬質多孔性樹脂からなる上側層71と、上側層71と同じ材料からなる厚さ2mmの硬質多孔性樹脂である中間層72と、例えばカーボンブラック等の光エネルギ吸収物質を分散させた気孔率65%程度のウレタン系樹脂である軟質多孔性樹脂からなる下側層73との3層構造に形成されている。中間層72と下側層73は格子点状に塗付された接着剤によって互いに固定されているが、上側層71と中間層72は人為的に接着されていないフリー状態である。
【0039】
このように印材3を3層構造とすることには、以下のような利点がある。すなわち、上述したように、インクパック6を用いた1回のインク供給によるスタンプ印刷可能回数を増やすことが望まれており、そのためには印材の硬質多孔性樹脂層の厚みを大きくする必要がある。しかし、硬質多孔性樹脂層はその厚みが大きくなると所定形状に切断加工する際に過大な”ばり”や”だれ”が生じてしまう。こういった”ばり”や”だれ”が過大であると、所望の形状の樹脂層が得られなくなったり切断後の後処理が必要になるなどの問題を生じることになる。そこで、本実施の形態では、硬質多孔性樹脂層を複数用いて1層当りの厚みを抑制しつつ硬質多孔性樹脂層の全体厚みを確保することにより、”ばり”や”だれ”の問題を回避するとともに硬質多孔性樹脂層に所望以上のインクが貯溜されるようにしたものである。
【0040】
また、上側層71には直径1〜2mmの断面円形の貫通孔74a、74bがそれぞれ複数(本実施の形態では合計14個)設けられている。つまり、上側層71および中間層72を1つの硬質多孔性樹脂層として考えると、硬質多孔性樹脂層には下側層73に到達していない凹部が設けられていることになる。これらの貫通孔74a、74bは、印材3がホルダ部材4に保持されたときに図11に示された支持柱27とは対応しないような位置に、隣接する貫通孔どうしの距離が大きすぎたりまたは小さすぎたりということがないようになるべく均等に設けられている。また、貫通孔74bは、図11に示されたインク補充孔26に対応した位置に設けられている。
【0041】
このように、本実施の形態のスタンプユニット1においては、3層構造の印材3の上側層71に貫通孔74a、74bが設けられているので、インク供給孔24から供給されて上側層71上に拡がったインクが貫通孔74a、74bを通って直ぐに中間層72に到達する。そして、中間層72に達したインクは中間層72内をゆっくりと浸透して下側層73に達する。そのため、本実施の形態のように印材3が3層構造であって硬質多孔性樹脂層の合計厚みが大きい場合であっても、インクが軟質多孔性樹脂層である下側層73に到達するまでの時間は、2層構造であって硬質多孔性樹脂層の合計厚みが比較的小さい場合とほとんど変わらない。従って、本実施の形態のスタンプユニット1によると、例えば5千〜1万回のスタンプ印刷が可能なほどに印材3でのインク貯溜量を増大させつつ、インクパック開封時から下側層73へのインク到達時(すなわち、スタンプ印刷可能時)までに必要な時間を大幅に削減することが可能となる。
【0042】
また、本実施の形態のように、硬質多孔性樹脂層を上側層71および中間層72の2層から構成し、上側層71だけに貫通孔74a、74bを設けることには、以下のような利点もある。すなわち、もし硬質多孔性樹脂層に設けられる凹部が下側層73に達する貫通孔であれば、貫通孔の部分で中間層72と下側層73との接着がされなくなり、これらの接着が阻害される。従って、硬質多孔性樹脂層に設けられる凹部は下側層73に達しないことが必要である。そのため、図19(b)に示すように、もし硬質多孔性樹脂層64が1層だけから構成されていれば、硬質多孔性樹脂層64の厚みの途中までの深さを有する凹部66を形成しなければならなくなり、製造が煩雑となる。本実施の形態のように硬質多孔性樹脂層が2層から構成されていることにより、上側層71に貫通孔74a、74bを設け且つ上側層71と中間層72とを重ねることで硬質多孔性樹脂層に凹部を簡単に形成することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態のスタンプユニット1では、貫通孔74a、74bとホルダ部材4の支持柱27とが対応しておらずこれらが互いにずれた位置に設けられているので、貫通孔74a、74bの入り口近傍が支持柱27によって塞がれることがない。従って、インク供給孔24からのインクは支持柱27に邪魔されることなく貫通孔74a、74b内に入り込むことができるので、支持柱27による上側層71の支持を行いつつインク供給を実現することができる。
【0044】
また、本実施の形態のスタンプユニット1のホルダ部材4には、その上端近傍から上側層71と対向する個所近傍まで貫通するインク補充孔26が設けられている。このインク補充孔26の個数は本実施の形態では4つであるが、ホルダ部材4の大きさに応じてその数は変更することが好ましい。例えば、図20(a)に示すように、ホルダ部材76が小型のときにはインク補充孔77は1個でよい。また、図20(b)に示すように、ホルダ部材78が本実施の形態のホルダ部材4よりも小型のときにはインク補充孔79は2個でよい。さらに、図20(c)に示すように、ホルダ部材80が本実施の形態のホルダ部材4よりも大型のときにはインク補充孔79は6個あることが好ましい。このように、ホルダ部材の大きさに応じた数だけのインク補充孔が設けられていると、印材3に貯溜されていたインクがなくなった場合であっても、ユーザによって容易且つ迅速にインクを補充することができるようになる。なお、本実施の形態および図20(a)、(b)、(c)の例において、インク補充孔77、79は、ユーザによるインク補充を容易にするためにホルダ部76、78、80の周縁部近傍に設けられている。
【0045】
また、本実施の形態のスタンプユニット1は、貫通孔74bがインク補充孔26に対応した位置に設けられている。従って、インク補充孔26から補充されたインクが貫通孔74bを通って直ぐに中間層72に到達し、さらに中間層72内をゆっくりと浸透して下側層73に達する。そのため、硬質多孔性樹脂層が3層構造であってもインク補充をより迅速に行うことができるようになる。
【0046】
また、本実施の形態のスタンプユニット1では、図21に示すように、印材3の上側層71は、上述したような硬質多孔性樹脂層の切断により生じた”だれ”が上側になるように配置されている。つまり、印材3の上側層71の下側層73とは反対側の面の周縁部71aは、外側に行くにつれて下側層73側に傾斜している。このように構成されているために、インク供給孔24を介して上側層71の支持柱27に供給されたインクは、傾斜した周縁部71aに流れ込みやすい。そのため、中心部にかたまって存在する傾向にあるインクが上側層71の中心部だけではなく周縁部71aにまで均一に行き渡ることになって、スタンプ印刷時に濃淡などの印刷むらが生じることを抑制できる。
【0047】
なお、硬質多孔性樹脂層に設けられる凹部の形状は、上述の実施の形態のように断面円形でなくともよい。例えば、図22に示すようなスリット状の凹部85が硬質多孔性樹脂層84に設けられてもよい。なお、この硬質多孔性樹脂層84は上下2層からなっていてもよいし、1層だけからなっていてもよい。図22において、スリット状の凹部85は、ホルダ部材4の支持柱27とは対応していない位置に設けられており、さらに、インク補充孔26と対応した位置はインクが通過しやすくなるように大径部86となっている。
【0048】
本実施の形態のスタンプユニット1を製造するには、まず、ホルダ部材4をスタンプ製造装置(図示せず)の所定製版位置にセットする。このとき、下部ホルダ部31に形成された傾斜溝43の傾斜面と位置決め機構の位置決め部材とのカム作用に基づき、ホルダ部材4は、スタンプ製造装置の所定製版位置にセットされる。また、各検出溝44と位置決め機構内に設けられた溝センサとの協働により、ホルダ部材4のサイズが特定される。
【0049】
そして、スタンプ製造装置内でロール状の透明フィルムを搬送しつつサーマルヘッドおよび転写リボンを介して文字、画像を透明フィルムに印刷してポジ原稿を作成する。さらに、このポジ原稿と印材3の下側層とが対向するように、両者の間に透明アクリル板を介在させた状態でホルダ部材4をセットする。この状態で、キセノン管を発光させると、ポジ原稿を通して光が印材3の下側層73に照射される。これにより、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層73の一部分だけが光吸収材の発熱作用によって溶融された後固化されてシールされる。一方、溶融固化されなかった部分の印材3の下側層73は、原稿の文字等に対応してそのまま残存することとなる。これにより、印材3の下面にシール部と非シール部とが混在した印判が形成される。
【0050】
印材3の製版終了後、上部スカート部13の両端面において、捻りバネ16のコイル部が予め位置決め突起18に位置決めされるとともに、捻りバネ16の一端がバネ係止部17に係止された状態のスカート部材12の挿通孔10内に、ホルダ部材4が下方から挿通される。このとき、ホルダ部材4における上部ホルダ部30の周壁32の両端面に形成された傾斜突起35は、スカート部材2の垂直溝19内を上方に摺動され、また、傾斜突起35がその楔形状に従って捻りバネ16の他端を乗り越えた時点で捻りバネ16の他端が各傾斜突起35の下端に係止される。この状態で、ホルダ部材4は、スカート部材2内で捻りバネ16の付勢力により上方に付勢されるとともに、捻りバネ16の付勢力に抗してホルダ部材4を下方向に摺動可能となる。
【0051】
前記のようにホルダ部材4とスカート部材2とを組み立てた後、インクパック収納部22内部にインクパック6を収納し且つインクパック6上に厚板紙37を配置してから、グリップ部材5の挿嵌部51をホルダ部材4の周壁32内に挿嵌する(図2に示す状態)。このように、挿嵌部51を周壁32内に挿嵌した状態でさらにグリップ部材5を押下すると、ホルダ部材4内のインクパック6は、厚紙板37と切断リブ25との間で挟圧されていく。このとき、インクパック6に及ぼされる押圧力は、厚紙板37の作用に基づき、インクパック6に対して略均一に及ぼされることとなる。従って、インクパック6は切断リブ25と接触する部位で破断開封され、これよりインクパック6は切断リブ25の形成位置に対応して略中央位置で開封されることとなり、インクパック6から流出したインクを、切断リブ25の周囲にて略均一に分散することができる。また、厚紙板37は、インク吸収能を有していることから、前記のように、グリップ部材5を下方に移動させてホルダ部材4内でインクパック6を開封する際に、インクパック6からその上側に流出したインクを吸収してインクがスタンプユニット1の外部に漏出することを防止することができる。
【0052】
また、切断リブ25を介してインクパック6が開封された際にインクが一度に流出することとなるが、周壁32と切断リブ25との間に形成される空間は、インクパック6から流出するインクの貯留部となるので、インクパック6が開封された際にインクが一度に流出した場合においても、インクがホルダ部材4から外部に漏出することを防止することができる。
【0053】
インクパック6から流出したインクは、切断リブ25の周囲に形成されたインク供給孔24から下方に案内されて印材3上に一時的に溜まるが(図3に示す状態)、上述の貫通孔74a、74bの作用により迅速に印材3に含浸される。このとき、インク供給孔24は切断リブ25の周囲に形成されており且つインク供給孔24の下方には互いに離隔した支持柱27が設けられているので、インクパック6からのインクを、印材3の全体に渡って均一に含浸させることができる。
【0054】
なお、前記のようにグリップ部材5を下方に移動させることによりインクパック6を開封した時点で、グリップ部材5の各リブ53に下端に形成されたリブ係止溝54は、ホルダ部材4の周壁32に形成された各凹部33に嵌合され、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが一体に連結される。従って、前記のように印材3にインクを含浸させた後、印材3に形成された印判に従って文字等のスタンプ印刷を行う場合には、グリップ部材5とホルダ部材4とは一体に移動し、これよりスタンプ印刷が可能となるものである。
【0055】
また、印材3に含浸されたインクが少なくなって適正な濃度でスタンプ印刷を行うことができなくなった場合には、グリップ部材5をホルダ部材4から取り外し、厚板紙37およびインクがなくなったインクパック6の袋状パックをホルダ部材4から取り出すとともに、インクが充填された新たなインクパック6をホルダ4内に配置して前記と同様の操作を行うことにより、スタンプ印刷を再開することができる。また、インクパック6および厚板紙37を取り外すことなく、ホルダ部材4の周壁32の一内壁面に形成されたインク補充孔26からインクを補給してスタンプ印刷を再開することも可能である。
【0056】
以上説明した通り本実施形態に係るスタンプユニット1では、印材3に対してインクを供給する場合、ホルダ部材4の内部にインクパック6を配置した状態で、グリップ部材5を下方に押圧することにより、ホルダ部材4内のインクパック6は厚板紙37と切断リブ25との間で挟圧され、開封される。これにより、インクパック6内のインクは、インク供給孔24から下方に流下して印材3に供給されるものである。このように、印材3に対してワンタッチで簡単にインクの供給を行うことができる。
【0057】
また、文字等のスタンプ印刷を繰り返すことにより印材3に含浸されているインクが少なくなって印刷文字等の濃度が低下することに起因して、印材3に対してインクの補給が必要な場合には、インクがなくなった袋状のパックを新たなインクパック6に取り替えるだけの簡単な作業によりインクの補給を行ってスタンプ印刷を再開することができる。
【0058】
さらに、インクパック6に接触する切断リブ25、および、インクを印材3に供給するためのインク供給孔24が形成されているので、切断リブ25によって簡単且つ迅速にインクパック6を開封することが可能であり、また、インク供給孔24を介して、インクパック6から流出したインクを迅速に印材3に含浸させることが可能となる。
【0059】
また、インクパック6から流出したインクは、切断リブ25の周囲に形成されたインク供給孔24から下方に案内されて印材3に含浸され、このとき、インク供給孔24は切断リブ25の周囲に形成されており且つインク供給孔24の下方には互いに離隔した支持柱27が設けられているので、インクパック6からのインクは、ホルダ部材4の底部全体に渡って均一に分散され、これによりインクを印材3の全体に渡って均一に含浸させることができる。
【0060】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、図19(b)で説明したような硬質多孔性樹脂層を1層だけまたは3層以上有する構造も本発明の一つの形態である。また、硬質多孔性樹脂層の凹部の形状や配置なども適宜変更することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1のスタンプユニットによると、第1の多孔性樹脂層に到達していない凹部が第2の多孔性樹脂層(硬質多孔性樹脂層)に設けられているので、ホルダ部から供給されたインクが凹部を通って速やかに第1の多孔性樹脂層(軟質多孔性樹脂層)に到達する。従って、インクパック開封からスタンプ印刷が可能となるまでに必要な時間を大幅に削減することができる。また、凹部が第1の多孔性樹脂層に到達していないので、第1の多孔性樹脂層と第2の多孔性樹脂層との接着を阻害することもない。
【0062】
また、請求項2のスタンプユニットによると、第2の多孔性樹脂層が複数層からなっており、少なくとも1層に貫通孔を設ければ凹部を形成することができるから、第2の多孔性樹脂層に対する凹部形成の作業を簡略化することができる。また、第2の多孔性樹脂層は、これを所定形状に切断加工する際に過大な”ばり”や”だれ”が生じないようにするために、その厚みをあまり大きくすることができず、そのために1層の第2の多孔性樹脂層に貯溜されるインク量には限界がある。請求項2によると、第2の多孔性樹脂層を複数層から構成することにより、過大な”ばり”や”だれ”が生じないようにしつつ第2の多孔性樹脂層に貯溜されるインク量を所望量にすることが可能となる。
【0063】
また、請求項3のスタンプユニットによると、凹部の位置と支持部材の位置とが対応しておらずこれらが互いにずれているので、凹部の入り口近傍が支持部材によって塞がれることがない。従って、支持部材による第2の多孔性樹脂層の支持を行いつつ迅速なインク供給を実現することができる。
【0064】
また、請求項4のスタンプユニットによると、ホルダ部の大きさに応じた数だけのインク補充孔がホルダ部に設けられているので、第1および第2の多孔性樹脂層に貯溜されていたインクがなくなった場合であっても、インクパックを用いることなくユーザによって容易且つ迅速にインクを補充することができるようになる。
【0065】
また、請求項5のスタンプユニットによると、前記凹部が前記インク補充孔に対応した位置に設けられており、インク補充孔から補充されたインクが凹部を通って速やかに第1の多孔性樹脂層に到達するので、印材へのインク補充をより迅速に行うことができるようになる。
【0066】
また、請求項6のスタンプユニットによると、第2の多孔性樹脂層の第1の多孔性樹脂層とは反対側の面の周縁部が、外側に行くにつれて第1の多孔性樹脂層側に傾斜しているために、この面に供給されたインクが傾斜した周縁部に流れ込みやすい。そのため、中心部にかたまって存在する傾向にあるインクが中心部だけではなく周縁部にまで均一に行き渡ることになって、スタンプ印刷時に濃淡などの印刷むらが生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態のスタンプユニットの全体分解斜視図である。
【図2】 図1のスタンプユニットのインクパック未開封時の側断面図である。
【図3】 図1のスタンプユニットのインクパック開封直後の側断面図である。
【図4】 図1に示されたスカート部材の側面図である。
【図5】 図1に示されたスカート部材の端面図である。
【図6】 図1に示されたスカート部材の側断面図である。
【図7】 図1に示されたホルダ部材の斜視図である。
【図8】 図1に示されたホルダ部材の側面図である。
【図9】 図1に示されたホルダ部材の側断面図である。
【図10】 図1に示されたホルダ部材の平面図である。
【図11】 図1に示されたホルダ部材の底面図である。
【図12】 図1に示されたグリップ部材の側面図である。
【図13】 図1に示されたグリップ部材の底面図である。
【図14】 図1に示されたグリップ部材の断面図である。
【図15】 図1に示されたキャップ部材の側面図である。
【図16】 図1に示されたキャップ部材の側断面図である。
【図17】 図1に示された厚板紙の平面図である。
【図18】 図1に示された印材の分解斜視図である。
【図19】 図19(a)は図18の印材の断面図であり、図19(b)はその変形例である。
【図20】 図1に示されたホルダ部材の別の例を示す図である。
【図21】 印材がホルダ部材に保持されている様子を示す拡大断面図である。
【図22】 本発明の別の実施の形態による印材の硬質多孔性樹脂層を示す平面図である。
【符号の説明】
1 スタンプユニット
2 スカート部材
3 印材
4 ホルダ部材
5 グリップ部材
6 インクパック
22 インクパック収納部
24 インク供給孔
26 インク補充孔
27 支持柱
37 厚板紙
71 上側層
72 中間層
73 下側層
74a、74b 貫通孔

Claims (6)

  1. 光エネルギー吸収性物質を含有した第1の多孔性樹脂層と、前記第1の多孔性樹脂層よりも硬質である第2の多孔性樹脂層とが積層された印材がホルダ部によって保持されたスタンプユニットにおいて、
    前記ホルダ部の内部には、フィルム材から形成された袋状のパック内にインクが充填されてなるインクパックが配置されており、
    前記インクパックは、前記インクパックよりも下方で前記印材よりも上方にある前記ホルダ部の底部と前記インクパックよりも上方にある板状部材との間に挟み込まれることによって開封され、
    前記第2の多孔性樹脂層に、前記第1の多孔性樹脂層に到達していない凹部が設けられていることを特徴とするスタンプユニット。
  2. 前記第2の多孔性樹脂層が複数層からなっているとともに、前記凹部が、前記複数層のうち少なくとも前記第1の多孔性樹脂層に最も近い層を除き、前記第1の多孔性樹脂層から最も離れた層からの少なくとも1層を貫通する孔として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスタンプユニット。
  3. 前記凹部が、前記ホルダ部に設けられた前記第2の多孔性樹脂層を支持するために互いに離隔して複数設けられた支持部材とは対応していない位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスタンプユニット。
  4. 前記ホルダ部には、その上端近傍から前記第2の多孔性樹脂層と対向する個所近傍まで貫通するインク補充孔が、前記ホルダ部の大きさに応じた数だけ設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタンプユニット。
  5. 前記凹部が前記インク補充孔に対応した位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスタンプユニット。
  6. 前記第2の多孔性樹脂層の前記第1の多孔性樹脂層とは反対側の面の周縁部が、外側に行くにつれて前記第1の多孔性樹脂層側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスタンプユニット。
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