JP4168493B2 - スタンプユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スカート部材と、スカート部材内で上下に摺動可能に保持されるとともに下端部にて印材を保持するホルダ部材と、ホルダ部材の上方に連結されてホルダ部材を下方に移動させるグリップ部材とを有するスタンプユニットに関し、特に、ホルダ部材に保持された印材の印刷用紙に対する印刷の耐久性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在提案されているスタンプユニットの1つとして、本出願人の提案による特願平10−52574号に係るものがある。このスタンプユニットは、グリップ(取っ手)部材、ホルダ部材およびスカート部材を備えている。そして、ホルダ部材がスカート部材内で上下に移動可能となるようにホルダ部材とグリップ部材とが連結され、また、ホルダ部材の下面に印材(印面形成部材)が熱接着により配設されている。かかるスタンプユニットでは、印材は、カーボンブラック等の光エネルギ吸収物質を分散させた軟質多孔性樹脂からなる下側層と、インクを貯溜するとともに下側層に均一に圧力が印加されるようにする硬質多孔性樹脂からなる上側層とからなる2層構造に形成されている。
【0003】
この印材を製版するには、まず、スタンプ製造装置内でロール状の透明フィルムを搬送しつつサーマルヘッドおよび転写リボンを介して透明フィルムに文字、画像を印刷してポジ原稿を作成し、そして、このポジ原稿と印材の下側層とが対向し且つ両者の間に透明アクリル板を介在させた状態で印材が加圧されるように、ホルダ部材をスタンプ製造装置にセットする。この状態で、キセノン管を発光させると、ポジ原稿を通して光が印材の下側層に照射される。これにより、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層の部分だけが光エネルギ吸収物質の発熱作用によって溶融後固化されるので、その部分がシールされてインクを透過しない状態となる。一方、光が照射されず溶融固化されなかった部分の下側層は、原稿の文字等に対応してシールされないでそのまま残存することとなる。これにより、所望パターンのシール部(非印刷部)と非シール部(印刷部)とが印材の下面に混在した印判が形成される。
【0004】
また、ホルダ部材には格子状の凹凸が形成された底面を有する収納部にインクパックを収納することができるようになっており、グリップ部材を押下してグリップ部材の下端に配置された板状部材と凹凸底面との間でインクパックを挟むことにより、インクパックが開封される。開封されたインクパックから流れ出たインクは、印材の上側層および下側層に貯溜され、下側層の下面の非シール部からのみ滲出し、シール部からは滲出ない。
【0005】
文字等をスタンプ印刷する場合には、スタンプユニットのスカート部材を印刷用紙上の所望位置に配置した状態で、グリップ部材を下方に押圧する。これにより、ホルダ部材がスカート部材の中を下方に移動して印材が印刷用紙に圧着され、インクが印材の下側層の非シール部から印刷用紙に付着させられて文字等の印刷が行われる。
【0006】
この印刷に際しては、印材の余分な部分からインクが漏れでないようにする必要がある。そこで、ホルダ部材に保持される印材の周囲をインクが出ないシール部にし、印材の周囲以外に所定パターンの印判が形成される。また、印材の印判部分を突出させ、印判部分の周囲を斜めにすることにより、印材の印刷用紙への押しつけ時に、印判部分の周囲が印刷用紙に接触しないようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特願平10−52574号のスタンプユニットにおいては、印材をホルダ部材に取り付けて保持させるに際して、印材の周縁を溶着治具を使用してホルダ部材に熱溶着して取り付けているのが一般的である。
【0008】
しかしながら、この種のスタンプユニットにおいては、万単位の印刷が繰り返し行われる場合があり、ホルダ部材と印材との取付けが不十分であると、ホルダ部材と印材との間からインクが漏れ出たり、極端な場合にはホルダ部材が印材から外れることがある。上述した熱溶着によるホルダ部材と印材との取付けは、互いの溶着によるものであって機械的なものではないため、シールの確実性という点に難があった。
【0009】
そこで、本発明の主な目的は、ホルダ部材への印材の取付けによる保持が確実であってシール性に優れ、繰り返し印刷に十分に耐えることができるスタンプユニットを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する、請求項1のスタンプユニットは、スカート部材と、スカート部材内で上下に摺動可能に保持されるとともに印材を保持する樹脂からなるホルダ部材と、ホルダ部材の上方に連結されてホルダ部材を下方に移動させるグリップ部材とを有するスタンプユニットにおいて、前記印材は、連続多孔体であり、前記ホルダ部材の下端縁及び前記印材の周縁が熱圧により変形され、前記印材の周縁が斜面に形成されるとともに、前記ホルダ部材の下端縁が前記印材の周縁を引っ掛ける楔に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1のスタンプユニットによると、ホルダ部材の下端縁及び印材の周縁が熱圧により変形する際に、ホルダ部材の下端縁及び印材の周縁を熱圧プレスに対して所定位置に配設し、印材の周縁が斜面に形成されるとともに、前記ホルダ部材の下端縁が前記印材の周縁を引っ掛ける楔に形成される。このようにして形成された楔は鉤状になって印材の周縁に食い込み、印材がホルダ部材に強固に取り付けられることを可能にするとともに、印材とホルダ部材の間のシール性が格段に向上する。
【0012】
また、請求項2のスタンプユニットは、前記印材は、印版が作成される軟質連続多孔体と硬質連続多孔体とを積層したものであり、前記熱圧前には、前記軟質連続多孔体の厚み方向の全部又は一部はホルダ部材の前記下端縁より飛び出しており、前記硬質連続多孔体の周縁のアール状傾斜面は前記軟質連続多孔体に対面する方向に形成され、前記アール状傾斜面と前記軟質連続多孔体の周縁との間には空間が形成されており、前記熱圧により、前記軟質連続多孔体の周縁が硬質連続多孔体の前記傾斜面に向かって変形するとともに、前記下端縁が変形していることを特徴とする請求項1記載のものである。
【0013】
請求項2のスタンプユニットによると、軟質連続多孔体の厚み方向の全部又は一部はホルダ部材の前記下端縁より飛び出しているため、熱圧プレスは先ず軟質連続多孔体の周縁を硬質連続多孔体の周縁は傾斜面に向かって押し込むため、印材の周縁の傾斜が形成される。つぎに、ホルダ部材の下端縁が熱圧プレスで変形する際に、前記軟質連続多孔体の周縁を巻き込むように変形し、鉤状の楔が形成される。
【0014】
また、請求項3のスタンプユニットは、前記印材は印版が作成される軟質連続多孔体を含み、前記熱圧変形の後に、前記斜面の孔を潰す焼付けが行われている請求項1又は2記載のものである。
【0015】
請求項3のスタンプユニットによると、前記熱圧変形の前後に印材の周縁の斜面の孔を潰す焼付けを行うと、斜面のシール部が確実に形成できる。予め印材の軟質連続多孔体の周縁に熱圧を作用させ、周縁の孔を潰しておくこともできる。ホルダ部材の下端縁の楔と軟質連続多孔体の周縁の傾斜を熱圧で形成した後、軟質連続多孔体の周縁の傾斜にある孔を熱圧などで潰すこともできる。
【0016】
また、請求項4のスタンプユニットは、前記印材は印版が作成される軟質連続多孔体を含み、前記熱圧変形後に、前記印材の印判面に対してマスクを施し、前記斜面に光を照射して前記軟質連続多孔体の表面を溶かすことにより、前記斜面の孔を潰す焼付けが行われている請求項3記載のものである。
【0017】
請求項4のスタンプユニットによると、印判面のマスクにより光の照射が遮られ、マスク以外の印判の周縁の傾斜に光が照射され、軟質連続多孔体に含まれた光吸収体が発熱して孔が潰される。熱圧による軟質連続多孔体の孔を潰すことに比較して、シールに必要な適切な潰しが行われる。
【0018】
また、請求項5のスタンプユニットは、前記ホルダ部材の下端縁には、印材の印面全体を被覆しつつ保護フィルムが前記熱圧と同時の熱溶着により接着されており、前記保護フィルムは透明樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のものである。
【0019】
請求項5のスタンプユニットによると、ホルダの部材の下端縁に、印材の印面全体を被覆する保護フィルムが熱溶着され、接着剤を使うことなく、スタンプユニットの輸送中、スタンプユニットがユーザーに渡った後印材の製版に至るまでの間、及び印材の製判中において印材の印面を保護することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態のスタンプユニットの概略的な全体分解斜視図であり、図2は、インクパック収納部に未開封のインクパックが収納された状態でのスタンプユニットの側断面図である。図3は、インクパック収納部のインクパックが開封された直後のスタンプユニットの側断面図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本実施の形態のスタンプユニット1は、スタンプ印刷時にスタンプユニット1全体を支持するスカート部材2と、スカート部材2内で上下方向に摺動可能に保持できるように配置されるとともにその下端部に熱圧により印材3が保持されたホルダ部材4と、ホルダ部材4に嵌合して連結され、スタンプ印刷時にホルダ部材4を下方に移動させて印材3を印刷用紙(図示せず)に押し付けるためのグリップ部材5と、ホルダ部材4の印材3をカバーおよび保護するためのキャップ部材60とを備えている。
【0022】
ホルダ部材4のインクパック収納部22には、フィルム材から形成された袋状のパック内にインクが充填されてなるインクパック6を収納可能である。インクパック6には印材3において貯溜可能なインク量とほぼ等しい量のインクが袋詰めされている。そして、インクパック6とグリップ部材5の底面との間には、厚板紙37が配置される。上記フィルム材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等が単独で若しくはこれらを2種類以上貼り合せたものが使用されている。
【0023】
次に、スタンプユニット1のスカート部材2について、図4〜図6をさらに参照して説明する。図4はスカート部材2の側面図、図5はスカート部材2の端面図、図6はスカート部材2の側断面図である。これらの図において、スカート部材2は、平面視で略長方形の挿通孔10を有しており、挿通孔10にはホルダ部材4を摺動可能に挿通する内壁11が設けられている。また、スカート部材2は、内壁11の外側で内壁11と一体に形成された外壁12を有する上部スカート部13と、外壁12に連続して若干裾広がりとなるように形成された外壁14を有する下部スカート部15とから一体に構成されている。
【0024】
上部スカート部13の両端面(左右端面)の内壁11の上方位置には、ホルダ部材4を挿通孔10内で常時上方に付勢すべく捻りバネ16の一方端を係止するバネ係止部17が形成されている。また、バネ係止部17の斜め下方位置には、捻りバネ16のコイル部が外挿されてコイル部の位置決めを行う半月状の位置決め突起18が形成されている。さらに、内壁11の略中央位置には、ホルダ部材4の両端面に形成された傾斜突起35(後述する)を上下に摺動可能に挿嵌する垂直溝19が形成されている。かかる垂直溝19は、スタンプ印刷時にホルダ部材4が下方に移動する際に、ホルダ部材4の傾斜突起35を上下方向に案内する作用を行う。また、垂直溝19と位置決め突起18との間には、捻りバネ16が端面から離れる方向に動くのを規制して、捻りバネ16と傾斜突起35の下端との係止が解除されないようにするために捻りバネ16が挿入される開口部(図示せず)を有するバネずれ抑制部材9が設けられている。
【0025】
下部スカート部材15は、スタンプ印刷時に印刷用紙上に載置されてスタンプユニット1全体を印刷用紙上で支持するものであり、下部スカート部材15を構成する外壁14の四隅の下端位置には、外壁14の下端縁を印刷用紙の紙面から離間した状態で支持する支持突起20が設けられている。なお、下部スカート部材15における外壁14の四面中央位置には、スタンプ印刷面の中心を示す下向き矢印部21が形成されている。
【0026】
次に、ホルダ部材4について、図7〜図11をさらに参照して説明する。図7はホルダ部材4の斜視図、図8はホルダ部材4の側面図、図9はホルダ部材4の側断面図、図10は平面図、図11は底面図である。これらの図において、ホルダ部材4は、スカート部材2の上部スカート部13と下部スカート部15のそれぞれの形状に合わせて、上部ホルダ部30および下部ホルダ部31とから一体に構成されている。上部ホルダ部30は、平面視で略長方形状の筒状体を構成する周壁32を有し、周壁32における前側壁および後側壁(図8中には、その一方のみを図示する)の上部には、3つの長穴状の凹溝33が水平方向に整列して形成されている。また、3つの凹溝33の間には、周壁32の壁面から外側下方に傾斜する楔状の規制突起34がそれぞれ設けられている。ここに、各凹溝33には、グリップ部材5のリブ係止溝54(後述する)が嵌合され、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが固定連結されるものである。また、規制突起34は、スタンプ印刷時にホルダ部材4を下方に移動する際に、スカート部材2における上部スカート部13の外壁12の上端縁に当接して、ホルダ部材4の下方移動量を規制する作用を行う。
【0027】
また、上ホルダ部30の周壁32の両端面(図8中、左右端面)には、周壁32の壁面から外側下方に向かって突出するように傾斜した楔状の傾斜突起35が設けられている。かかる傾斜突起35は、スカート部材2の下側からホルダ部材4を挿入する際に、上スカート部13の垂直溝19内にて上下に摺動可能に挿嵌され、また、傾斜突起35の下端には、捻りバネ16の他方端が係止される。これにより、ホルダ部材4は、傾斜突起35と垂直溝19との協働によりスカート部材2内で上下方向に摺動可能にされ、また、捻りバネ16の一端が上スカート部13のバネ係止部17の下端に係止され、且つ、他端が傾斜突起35の下端に係止されることに基づき、ホルダ部材4はスカート部材2内で常時上方に付勢されることとなる。
【0028】
ホルダ部材4の上部ホルダ部30の周壁32に囲まれたほぼ直方体領域であるインクパック収納部22は、その底面23が平坦面となっており、その中央には下部ホルダ部31に連通するインク供給孔24が設けられている。また、インク供給孔24には、インクパック6を切断開封するための切断リブ25が、底面23よりも若干突出して設けられている。
【0029】
インクパック収納部22の内壁面には、ホルダ部材4の上端から後述する支持柱27(図11参照)の底面にまで達する長穴状の4つのインク補充孔26が設けられている。かかるインク補充孔26は、インクパック6により供給されたインクの印材3における貯溜量が少なくなった時に、ユーザによりインクパック6を用いることなく予備的にインクを補給する際に使用される。このとき、インクは、グリップ部材5を取り外した状態でインク補充孔26から注入される。
【0030】
また、図11に示すように、ホルダ部材4の下部ホルダ部31には、長さ数mmの多数の円柱状の支持柱27が格子状に配置されている。支持柱27は下部ホルダ部31の下端から若干引っ込んだ位置であってホルダ部材4に保持された印材3と接触する位置にまで伸延しており、支持柱27の底面は実質的に一つの平面を形成している。また、下部ホルダ部31は、上部ホルダ部30から連続して一体に形成され、周壁32より外側で一回り大きい周壁38を有する。なお、ホルダ部材4は、ABS樹脂、ポリアセタールコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等のポリオレフィン系樹脂、PC樹脂等のいずれかによって形成されている。
【0031】
切断リブ25は、グリップ部材5を押下した際に、厚紙板37との間でインクパック6を挟圧し、インクパック6を破断して開封する作用を行う。かかるインクパック6の開封を確実に行うべく、切断リブ25の両縁部は、尖って形成されている。また、インク供給孔24は、切断リブ25によって開封されたインクパック6から流出したインクを下方に案内するものであり、これによりインクは印材3に含浸されていく。
【0032】
下部ホルダ部31を構成する周壁38の長手壁の外側には、その略中央位置にて内方に向かって傾斜溝43が楔状に形成されており、また、傾斜溝43の両側には、1つまたは2つの検出溝44が形成されている。ここに、傾斜溝43は、本出願人による特願平9−249983号の明細書、図面に開示されたスタンプ製造装置を使用して、印材3から印判を形成する際に、ホルダ部材4をスタンプ製造装置における所定製版位置にセットするための溝である。このとき、傾斜溝43は、その両側が傾斜面に形成されているので、スタンプ製造装置における位置決め機構とホルダ部材4との位置関係が多少ずれた場合においても、位置決め機構の位置決め部材と傾斜面とのカム作用に基づき、ホルダ部材4は、位置決め部材が傾斜溝43の中央位置に当接するように移動されることとなる。これにより、ホルダ部材4は、スタンプ製造装置の所定製版位置にセットされる。また、検出溝44は、その個数および形成位置がホルダ部材4のサイズに従って変更されており、スタンプ製造装置の位置決め機構内に設けられた溝センサとの協働により、ホルダ部材4のサイズを特定するために使用される。なお、周壁38の一壁面における傾斜溝43および検出溝44の形成位置は、他壁面における傾斜溝43、検出溝44の形成位置と回転対称となるように設定されている。これは、ホルダ部材4をスタンプ製造装置の位置決め機構による所定製版位置にセットする際に、前壁と後壁を逆転してセットした場合においても、印材3の製版を可能とするためである。
【0033】
また、周壁38の長手壁における下部位置には、図8に示すように、一対の係止突起45が形成されている。かかる係止突起45は、後述するキャップ部材60の係止溝62に係止され、キャップ部材60を下部ホルダ部31の下端に取り付けるために使用される。これにより、周壁38の下端に保持された印材3の印面はキャップ部材60により保護される。
【0034】
次に、グリップ部材5について、図12〜図14をさらに参照して説明する。図12はグリップ部材5の側面図、図13はグリップ部材5の底面図、図12はグリップ部材5の幅方向における断面図である。
【0035】
これらの図において、グリップ部材5の上面には、前記のように印材3に形成したスタンプ内容を表示するラベル等を貼付するためのラベル貼付部50が形成されている。また、グリップ部材5の内部において、その上壁下面からは、図2、図13および図14に示すように、ホルダ部材4の上部ホルダ部30の周壁32内に挿嵌される挿嵌部51が形成されている。かかる挿嵌部51は、厚紙板37を介してホルダ部材4内に配置されたインクパック6を押圧する作用を行う。
【0036】
また、挿嵌部51は、底面視において図13に示すように、基本的に長方形状を有しており、その両側位置で相互に対向する位置には4つの凹部52が形成されている。かかる凹部52は、グリップ部材5の挿嵌部51をホルダ部材4の周壁32内に挿嵌する際に、周壁32に沿って形成されたインク補充孔26に対応した位置に設けられてい。なお、凹部52が二対形成されているのは、どのような状態でグリップ部材5の挿嵌部51を周壁32内に挿嵌した場合においても、インク補充孔26の壁部が挿嵌の支障とならないようにするためである。また、グリップ部材5の内壁面には、複数個(図13には、12個)のリブ53が垂直方向に形成されている。また、各リブ53のうち、長方形の長辺の内側にあるものは、その下端近傍にはリブ係止溝54が一体に形成されている。リブ係止溝54は、前記した周壁32の外面上部に形成された各凹溝33に嵌合されるものであり、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが一体に連結されるものである。また、各リブ53のうち、長方形の短辺の内側にあるものは、段部55が形成されている。段部55は、印材3による印刷が可能な程度にホルダ部材4をスカート部材2内で下方に摺動させたとき、スカート部材2の長方形の挿通孔10を形成する内壁11の短辺の上端に当たって、ホルダ部材4を印刷に十分な程度以上に摺動させないようになっている。
【0037】
次に、ホルダ部材4の下部ホルダ部31の下端部に取り付けられるキャップ部材60について図15および図16をさらに参照して説明する。図15はキャップ部材60の側面図、図16はキャップ部材60の側断面図である。各図において、キャップ部材60は上方を開放した箱状を有しており、その外壁両側面の略中央位置には、図15に示すように、キャップ部材60をホルダ部材4に取り付ける際、および、取り外す際に指により把持される把持部61が形成されている。また、キャップ部材60の両側内壁面には、前記周壁38に形成された一対の係止突起45が係止される一対の係止溝62が設けられている。キャップ部材60の各係止溝62が周壁38の各係止突起45に係止されることにより、キャップ部材60は周壁38に取り付けられ、これによりキャップ部材60を介して周壁38の下端に保持された印材3の印面が保護されるものである。
【0038】
図1乃至図3において、ホルダ部材4の下端部に保持される印材3は、例えば気孔率90%程度のポリビニルホルマールである厚さ3mmの硬質多孔性樹脂からなる上側層71と、上側層71と同じ材料からなる厚さ2mmの硬質多孔性樹脂である中間層72と、例えばカーボンブラック等の光エネルギ吸収物質を分散させた気孔率65%程度のウレタン系樹脂である軟質多孔性樹脂からなる下側層73との3層構造に形成されている。中間層72と下側層73は格子点状に塗付された接着剤によって互いに固定されているが、上側層71と中間層72は人為的に接着されていないフリー状態である。
【0039】
上側層71には直径1〜2mmの断面円形の貫通孔74がそれぞれ複数設けられている。つまり、上側層71および中間層72を1つの硬質多孔性樹脂層として考えると、硬質多孔性樹脂層には下側層73に到達していない凹部が設けられていることになる。3層構造の印材3の上側層71に貫通孔74が設けられているので、インク供給孔24から供給されて上側層71上に拡がったインクが貫通孔74bを通って直ぐに中間層72に到達する。そして、中間層72に達したインクは中間層72内をゆっくりと浸透して下側層73に達する。そのため、本実施の形態のように印材3が3層構造であって硬質多孔性樹脂層の合計厚みが大きい場合であっても、インクが軟質多孔性樹脂層である下側層73に到達するまでの時間は、2層構造であって硬質多孔性樹脂層の合計厚みが比較的小さい場合とほとんど変わらない。従って、本実施の形態のスタンプユニット1によると、例えば5千〜1万回のスタンプ印刷が可能なほどに印材3でのインク貯溜量を増大させつつ、インクパック開封時から下側層73へのインク到達時(すなわち、スタンプ印刷可能時)までに必要な時間を大幅に削減することが可能となる。
【0040】
図2において、印材3の下側層73の周縁とホルダ部材4の下端縁とは熱圧により変形され、下側層73の周縁が斜面に形成されるとともに、ホルダ部材4の下端縁が下側層73の周縁の端を引っ掛けるように押しつぶされてシールされていいる。また、印材3の下側層73の傾斜した周縁は、気孔が熱又は樹脂で塞がれており、インクが漏れでないようになっている。従って、印材3の下側層73の周縁を除く部分に印判が形成される。
【0041】
図17乃至図19により、印材3の下側層73の周縁とホルダ部材4の下端縁との熱圧の詳細を説明する。図17は、ホルダ部材4と印材3との熱圧工程、及び印材3の斜面の焼付け工程を示す図である。図18は、ホルダ部材4と印材3との熱圧時における組み立て状態を示す斜視図である。図19は、熱圧後の印材3の斜面の焼付け状態を示す斜視図である。
【0042】
図17において、熱圧治具76は、平面視で長方形状を有する筒状に形成されており、図示しない加熱制御装置によりその加熱制御が行われる。ここに、熱圧治具76の加熱温度(変形温度)としては、200℃〜240℃の範囲に設定されている。また、熱圧治具76は、その形状に基づき、熱圧面積77を有する。
【0043】
保護フィルム78は透明樹脂フィルムから構成されており、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート),ポリアミド等の樹脂から形成されている。この保護フィルム78の全面又は熱圧治具76と相対する面の表面は、シリコン系またはフッ素系樹脂による表面処理により、シリコン系樹脂膜あるいはフッ素系樹脂膜が形成されている。保護フィルム78を構成する樹脂成分の溶融温度は、前記溶着治具76の熱圧温度よりも低く、且つ、前記ホルダ部材4や印材3に含有されている樹脂成分の溶融温度よりも高くされている。また、保護フィルム78上には、前記熱圧治具76の熱圧面積77に対応して、熱圧着代79が形成される。熱圧着代79は2つの部分からなり、内側の熱圧着代79aは、印材3の下側層73とホルダ部材4の下端縁4aの内側とが溶着される部分に対応し、また、外側の熱圧着代79bは、ホルダ部材4における下端縁4aの圧着後の幅に対応する。かかる保護フィルム78にて熱圧着代79の外側には、把持部80が形成されている。
【0044】
印材3は、スタンプ印刷時とは天地が逆になっているが、上から順に、下側層73と、中間層72と、上側層71とからなっている。先に説明したように、下側層73は、例えばカーボンブラック等の光エネルギ吸収物質を分散させた気孔率65%程度のウレタン系樹脂である軟質多孔性樹脂からなり、中間層72と上側層71は、例えば気孔率90%程度のポリビニルホルマールである厚さ3mmの硬質多孔性樹脂からなる。ホルダ部材4もスタンプ印刷時とは天地が逆になって、下部ホルダ部31を上方に向けて配置されており、従って、下端縁4aは上方に位置している。この下側縁4aの内側空間4bに、上側層71を支持柱27に当たるまで押し込む。上側層71の周縁のアール状傾斜面71aは支持柱27の側、即ちインクが補給される側に向いている。内側空間4bに、更に中間層72を上側層71に当たるまで押し込む。この中間層72の周縁のアール状傾斜面72aは下側層73に対面する方向に向いている。下側層73は周縁が平らな板状になっており、点在する接着剤により中間層72に接着されている。
【0045】
ホルダ部材4の下縁部4aは、下部ホルダ部31の周壁38の先端部38aより更に薄くなっている。ただし、内側空間4bの側は連続している。下縁部4aの薄さの程度は、熱圧したときに、変形して先端部38aの厚さに略等しくなる程度に選定されている。
【0046】
前記構成において、ホルダ部材4の下端縁4aと印材3の周縁を熱圧するには、先ず、図17(A)に示すように、ホルダ部材4の内側空間4b内に印材3を上側層71、中間層72、下側層73の順に配置する。このとき、下側層73は、ホルダ部材4の下端縁4aよりその全体が飛び出している。なお、下側層73が部分的にホルダ部材4の内側空間4b内に入り込んでいてもよい。この状態では、中間層72の傾斜面72aが下側層73に対面しており、両者の間に空間81が形成されている。この空間81は、下側層73の周縁が熱圧で変形したときに流れ込むためのスペースを提供する。
【0047】
この後、図17(B)に示されるように、印材3の下側層73の印面を被覆するように保護フィルム78を載置する。この状態を保持したまま、所定温度に加熱制御した熱圧治具76を下方に移動するとともに、熱圧治具76を下方に押圧し、この状態で所定時間(1〜5秒、望ましくは3秒)保持する。これにより、印材3の下側層73の周縁が空間81に流れ込み、ホルダ部材4の下端縁4aが図示のように変形する。ホルダ部材4の内側空間4bの壁はストレートであるため、下端縁4aは内側空間4bに向かって変形しやすく。図示のように、変形した下側層73の周縁に食い込んで引っ掛ける鉤状の楔82を形成する。この楔82は、シール可能な密着状態を保ったまま、印材3の下側層73の周縁を引っ掛ける状態になる。ホルダ部材4の下端縁4aの楔82と反対側は、ホルダ部材4の周壁の先端部38aに引っつくように変形している。
【0048】
また、ホルダ部材4の下端縁4aと特に印材3の下側層73の周縁の変形により、同時に印材の周縁の斜面83が同時に形成される。そのため、熱圧治具76は内側熱圧代79bを有する形状であり、熱圧治具76の内側はアール状の斜面になっている。また、保護フィルム78を介在させているため、印材の周縁の斜面83が段差のないスムースな傾斜になる。これと同時に、保護フィルム78とホルダ部材4の下端縁4aの変形後の平らな部分とが剥離可能な状態で溶着される。このように、印材3、ホルダ部材4及び保護フィルム78は、熱圧治具72を介して同時に熱圧される。
【0049】
このように、ホルダ部材4の下端縁4aと印材3の下側層73は鉤状の楔82によってシール可能な密着状態を保ったまま、互いに引っ掛けられた状態になっており、スタンプ印刷時におけるホルダ部材4への印材3の周縁のインクに対するシールが確実となる。この熱圧変形を効果的に行うために、ホルダ部材4の下端縁4aの薄くて、内周側がストレートな形状と、印材の中間層72の周縁のアール状傾斜面と、印材3の全体をその周囲でも保持する支持柱27が有効である。ホルダ部材4の下端縁4aが鉤状の楔になってと印材3の下側層73の周縁を引っ掛けているため、繰り返しのスタンプ印刷を経ても、ホルダ部材4の下端縁4aが印材3の下側層73の周縁をシール可能に保持した状態が保たれるので、シールの確実性が飛躍的に向上する。
【0050】
ここに、ホルダ部材4、印材3及び保護フィルム78はそれぞれ樹脂成分を含有しており、保護フィルム78に含有される樹脂成分の溶融温度はホルダ部材4及び印材3に含有される樹脂成分の溶融温度よりも高くされているので、保護フィルム78に含有される樹脂成分は、その高い溶融温度に基づき、ホルダ部材4の下端縁4aに対して強固に熱圧されることはなく、スタンプ印刷を行う際に保護フィルム78を簡単にホルダ部材4から剥がすことができる。また、保護フィルム78の熱圧治具72と相対する面には、シリコン系またはフッ素系の樹脂膜が形成されているので、熱圧時に保護フィルム78が熱圧治具76に貼り付くことはない。特に、保護フィルム78の溶融温度に近い温度にて熱圧を行う場合に有効である。
【0051】
次に、保護フィルム78を透明樹脂フィルムから構成することにより、発光管を発光させ、印材3の斜面83を選択的に溶融固化する工程を引き続き行う。図19に示されるように、保護フィルム78の上に、アルミ箔や銀箔等のマスク84を載せる。このマスク84は点線で示される印材の斜面83の部分を露出させ、印判形成面を被覆する。更に、透明ガラス板85をマスク84の上に載せ、図示されない押圧手段で透明ガラス板85を押しつけ、キセノン管等の発光管86を発光させる。すると、図17(C)に示されるように、印材3の下側層73の斜面83に相当する部分はマスク84が存在しないため、発光管86の光を浴びる。下側層73内のカーボンブラック等の光エネルギ吸収物質が光を吸収して発熱し、溶融固化によって連続孔を潰す。これにより、印材3の斜面83の焼付けが行われ、この斜面からインクが漏れ出ることがない。マスク84の厚みを薄くすると、ガラス85を押し当て印材3を変形させた状態で、発光管86を発光させ、印材3を元に膨張させたときに、焼付け部分とその他の部分との境界に段差が殆ど生じない。
【0052】
ところで、印判形成時にポジ原稿に印刷された画像も発熱するため、ポジ原稿が保護フィルム78に貼り付くおそれがあるが、保護フィルム78の表面にはシリコン系またはフッ素系の樹脂膜が形成されているので、貼り付くことはない。また、保護フィルム78における溶着代79の外側には、保護フィルム78をホルダ部材4の下端縁4aから剥がす際に把持される把持部80が形成されているので、スタンプ印刷の開始時に、保護フィルム78をホルダ部材4から容易且つ簡単に剥がすことができる。
【0053】
なお、印材3の周縁の焼付け工程は、ホルダ部材4の下端縁4aと印材3の周縁との熱圧工程の前に行うこともできる。印材3の下側層73の周縁にフラットな熱圧治具を当て、下側層73の周縁を予め溶融固化して連続孔を潰しておき、この下側層73を用いて図17(A)(B)に示される熱圧を行う。ただし、印材3の下側層73の周縁が熱硬化しているため、図17(A)(B)の熱圧時に周縁の熱変形が多少阻害されるため、図17(C)の如く、熱圧後に焼付けを行うことが好ましい。
【0054】
また、熱圧後の焼付けも、図17(C)のものに限らず、熱圧治具を用いて行うこともできる。印材3の周縁の斜面83に沿って形状を有する熱圧治具を押し当てることにより、下側層73の周縁を溶融固化して連続孔を潰すことができる。ただし、熱圧治具の押し当てにより、押し当て部分とその他の部分との間に段差が生じるため、図17(C)のマスクと発光管による焼付けが好ましい。
【0055】
つぎに、印材に印刷可能な印判を形成する工程の一例を以下に説明する。まず、ホルダ部材4をスタンプ製造装置(図示せず)の所定製版位置にセットする。このとき、下部ホルダ部31に形成された傾斜溝43の傾斜面と位置決め機構の位置決め部材とのカム作用に基づき、ホルダ部材4は、スタンプ製造装置の所定製版位置にセットされる。また、各検出溝44と位置決め機構内に設けられた溝センサとの協働により、ホルダ部材4のサイズが特定される。
【0056】
そして、スタンプ製造装置内でロール状の透明フィルムを搬送しつつサーマルヘッドおよび転写リボンを介して文字、画像を透明フィルムに印刷してポジ原稿を作成する。さらに、このポジ原稿と印材3の下側層とが対向するように、両者の間に透明アクリル板を介在させた状態でホルダ部材4をセットする。この状態で、キセノン管を発光させると、ポジ原稿を通して光が印材3の下側層73に照射される。これにより、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層73の一部分だけが光吸収材の発熱作用によって溶融された後固化されてシールされる。一方、溶融固化されなかった部分の印材3の下側層73は、原稿の文字等に対応してそのまま残存することとなる。これにより、印材3の下面にシール部と非シール部とが混在した印判が形成される。
【0057】
つぎに、印材3の製版終了後のスタンプユニットの組み立て手順を以下に説明する。上部スカート部13の両端面において、捻りバネ16のコイル部が予め位置決め突起18に位置決めされるとともに、捻りバネ16の一端がバネ係止部17に係止された状態のスカート部材2の挿通孔10内に、ホルダ部材4が下方から挿通される。このとき、ホルダ部材4における上部ホルダ部30の周壁32の両端面に形成された傾斜突起35は、スカート部材2の垂直溝19内を上方に摺動され、また、傾斜突起35がその楔形状に従って捻りバネ16の他端を乗り越えた時点で捻りバネ16の他端が各傾斜突起35の下端に係止される。この状態で、ホルダ部材4は、スカート部材2内で捻りバネ16の付勢力により上方に付勢されるとともに、捻りバネ16の付勢力に抗してホルダ部材4を下方向に摺動可能となる。
【0058】
前記のようにホルダ部材4とスカート部材2とを組み立てた後、インクパック収納部22内部にインクパック6を収納し且つインクパック6上に厚板紙37を配置してから、グリップ部材5の挿嵌部51をホルダ部材4の周壁32内に挿嵌する(図2に示す状態)。このように、挿嵌部51を周壁32内に挿嵌した状態でさらにグリップ部材5を押下すると、ホルダ部材4内のインクパック6は、厚紙板37と切断リブ25との間で挟圧されていく。このとき、インクパック6に及ぼされる押圧力は、厚紙板37の作用に基づき、インクパック6に対して略均一に及ぼされることとなる。従って、インクパック6は切断リブ25と接触する部位で破断開封され、これよりインクパック6は切断リブ25の形成位置に対応して略中央位置で開封されることとなり、インクパック6から流出したインクを、切断リブ25の周囲にて略均一に分散することができる。また、厚紙板37は、インク吸収能を有していることから、前記のように、グリップ部材5を下方に移動させてホルダ部材4内でインクパック6を開封する際に、インクパック6からその上側に流出したインクを吸収してインクがスタンプユニット1の外部に漏出することを防止することができる。
【0059】
また、切断リブ25を介してインクパック6が開封された際にインクが一度に流出することとなるが、周壁32と切断リブ25との間に形成される空間は、インクパック6から流出するインクの貯留部となるので、インクパック6が開封された際にインクが一度に流出した場合においても、インクがホルダ部材4から外部に漏出することを防止することができる。
【0060】
インクパック6から流出したインクは、切断リブ25の周囲に形成されたインク供給孔24から下方に案内されて印材3上に一時的に溜まるが(図3に示す状態)、上述の貫通孔74a、74bの作用により迅速に印材3に含浸される。このとき、インク供給孔24は切断リブ25の周囲に形成されており且つインク供給孔24の下方には互いに離隔した支持柱27が設けられているので、インクパック6からのインクを、印材3の全体に渡って均一に含浸させることができる。
【0061】
なお、前記のようにグリップ部材5を下方に移動させることによりインクパック6を開封した時点で、グリップ部材5の各リブ53に下端に形成されたリブ係止溝54は、ホルダ部材4の周壁32に形成された各凹部33に嵌合され、これによりホルダ部材4とグリップ部材5とが一体に連結される。従って、前記のように印材3にインクを含浸させた後、印材3に形成された印判に従って文字等のスタンプ印刷を行う場合には、グリップ部材5とホルダ部材4とは一体に移動し、これよりスタンプ印刷が可能となるものである。多数回のスタンプ印刷を繰り返しても、図17で説明したような、印材3の周縁のシール構造であるため、インクの漏れを防止するシール性が保たれたままである。
【0062】
また、印材3に含浸されたインクが少なくなって適正な濃度でスタンプ印刷を行うことができなくなった場合には、グリップ部材5をホルダ部材4から取り外し、厚板紙37およびインクがなくなったインクパック6の袋状パックをホルダ部材4から取り出すとともに、インクが充填された新たなインクパック6をホルダ4内に配置して前記と同様の操作を行うことにより、スタンプ印刷を再開することができる。また、インクパック6および厚板紙37を取り外すことなく、ホルダ部材4の周壁32の一内壁面に形成されたインク補充孔26からインクを補給してスタンプ印刷を再開することも可能である。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0064】
【発明の効果】
請求項1のスタンプユニットによると、ホルダ部材の下端縁の楔に印材の周縁が強固に引っ掛かっているため、印刷を多数回繰り返しても、印材の周縁がホルダ部材から外れたり隙間が開いたりして、インクが漏れ、印刷時に印判の周囲に不要な枠が印刷されることがなく、耐久性とシール性に優れる。
【0065】
請求項2のスタンプユニットによると、先に軟質連続多孔体の周縁が変形し、硬質連続多孔体の周縁の傾斜面に入り、その後ホルダ部材の下端縁が変形して前記硬質連続多孔体の周縁を巻き込みながら楔を形成するため、ホルダ部材の下端縁の楔に引っ掛かる印材の周縁を確実に形成することができる。
【0066】
請求項3のスタンプユニットによると、斜面からインクが漏れないため、捺印時に周囲の不要な枠が捺印されない。この焼付けは、前記熱圧変形の前後に連続して行われ、斜面に沿った焼付けを行うことができる。
【0067】
請求項4のスタンプユニットによると、特に光枠製版による斜面の焼付けによると、マスクに薄い箔を使うことにより、斜面と印判との間の段差が殆どない状態でシールされた斜面を形成することが可能になる。
【0068】
請求項5のスタンプユニットによると、熱圧変形と同時に保護フィルムが接着されているため、それ以降スタンプ印刷をする直前まで、印材を保護することができる。また、保護フィルムはホルダ部材と一体に熱溶着されていることから、低コストをもって簡単にホルダ部材の下端縁に引き剥がし可能に保護フィルムを張りつけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態のスタンプユニットの全体分解斜視図である。
【図2】 図1のスタンプユニットのインクパック未開封時の側断面図である。
【図3】 図1のスタンプユニットのインクパック開封直後の側断面図である。
【図4】 図1に示されたスカート部材の側面図である。
【図5】 図1に示されたスカート部材の端面図である。
【図6】 図1に示されたスカート部材の側断面図である。
【図7】 図1に示されたホルダ部材の斜視図である。
【図8】 図1に示されたホルダ部材の側面図である。
【図9】 図1に示されたホルダ部材の側断面図である。
【図10】 図1に示されたホルダ部材の平面図である。
【図11】 図1に示されたホルダ部材の底面図である。
【図12】 図1に示されたグリップ部材の側面図である。
【図13】 図1に示されたグリップ部材の底面図である。
【図14】 図1に示されたグリップ部材の断面図である。
【図15】 図1に示されたキャップ部材の側面図である。
【図16】 図1に示されたキャップ部材の側断面図である。
【図17】 ホルダ部材と印材との工程、及び印材の斜面の焼付け工程を示す図である。
【図18】 ホルダ部材と印材との熱圧時における組み立て状態を示す斜視図である。
【図19】 熱圧後の印材の斜面の焼付け状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 スタンプユニット
2 スカート部材
3 印材
4 ホルダ部材
4a 下端縁
5 グリップ部材
71 上側層(硬質連続多孔体)
72 中間層(硬質連続多孔体)
73 下側層(軟質連続多孔体)
72a 傾斜面
82 楔
84 マスク
Claims (5)
- スカート部材と、スカート部材内で上下に摺動可能に保持されるとともに印材を保持する樹脂からなるホルダ部材と、ホルダ部材の上方に連結されてホルダ部材を下方に移動させるグリップ部材とを有するスタンプユニットにおいて、前記印材は、連続多孔体であり、前記ホルダ部材の下端縁及び前記印材の周縁が熱圧により変形され、前記印材の周縁が斜面に形成されるとともに、前記ホルダ部材の下端縁が前記印材の周縁を引っ掛ける楔に形成されていることを特徴とするスタンプユニット。
- 前記印材は、印版が作成される軟質連続多孔体と硬質連続多孔体とを積層したものであり、前記熱圧前には、前記軟質連続多孔体の厚み方向の全部又は一部はホルダ部材の前記下端縁より飛び出しており、前記硬質連続多孔体の周縁のアール状傾斜面は前記軟質連続多孔体に対面する方向に形成され、前記アール状傾斜面と前記軟質連続多孔体の周縁との間には空間が形成されており、前記熱圧により、前記軟質連続多孔体の周縁が硬質連続多孔体の前記傾斜面に向かって変形するとともに、前記下端縁が変形していることを特徴とする請求項1記載のスタンプユニット。
- 前記印材は印版が作成される軟質連続多孔体を含み、前記熱圧変形の後に、前記斜面の孔を潰す焼付けが行われている請求項1又は2記載のスタンプユニット。
- 前記印材は印版が作成される軟質連続多孔体を含み、前記熱圧変形後に、前記印材の印判面に対してマスクを施し、前記斜面に光を照射して前記軟質連続多孔体の表面を溶かすことにより、前記斜面の孔を潰す焼付けが行われている請求項3記載のスタンプユニット。
- 前記ホルダ部材の下端縁には、印材の印面全体を被覆しつつ保護フィルムが前記熱圧と同時の熱溶着により接着されており、前記保護フィルムは透明樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のスタンプユニット。
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