JP5125348B2 - 印判 - Google Patents

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Description

本発明は、印材と印判ホルダーを全周にわたって融着接合し、両者を固定かつ密閉してなる印判に関するものである。
ゴムや樹脂などからなる印材を融着接合により保持する印判としては、実開昭59−32543号の如く印材を印判ホルダーに収容したのち熱可塑性樹脂製受金を融着接合して印材を保持する印判以外に、特開平4−363285号、特開平8−132720号、特開2000−94818号の如く印材と印判ホルダーを直接融着接合して保持する印判が知られている。
特開平4−363285号は、単に印材の周縁部と印判ホルダーの端面を熱により溶融し接着接合したものなので接合力が弱く、繰り返し印判を使用すると接合部分に亀裂が入り、亀裂からインキが漏れ出してしまう欠点があった。更に使用すると接合部分が破断し、印材が印判ホルダーから落ちてしまう欠点もあった。
特開平8−132720号は、印材の周縁部と印判ホルダーの側面を熱により融着接合したものであり、上記欠点は解消できるものの製造工程が難しい欠点があった。
特開平10−181173号は、印材の周縁部と印判ホルダーの下端部を熱により融着接合したものであるが、印判ホルダーの下端部の融着量が少ないので接着性に難がある欠点があった。
特開2000−94818号は、印判ホルダー部材の下端縁及び印材の周縁を熱圧により変形し、印材の周縁を斜面に形成するとともに、印判ホルダー部材の下端縁を印材の周縁を引っ掛ける楔に形成したものであって、印判ホルダー部材の下端縁を楔(フック)に形成したことにより印判ホルダー部材と印材との取付けは機械的なものとし、シール性に優れ、繰り返し使用に有効な印判を提供したものである。しかしながら、楔(フック)部分が、押印の応力を直接受ける印材側に設けてある為に、繰り返しの使用により次第に接合部分に亀裂が入り、亀裂からインキが漏れ出したり、亀裂が拡大して破断する欠点があった。
実開昭59−32543号公報 特開平4−363285号公報 特開平8−132720号公報 特開平10−181173公報 特開2000−94818号公報
そこで、本発明は、印判を繰り返し使用しても印材と印判ホルダーの融着部分に亀裂が入ることがなく、印材と印判ホルダーが確実に固定され、かつ、密閉性にも優れる印判を提供することを目的としている。
熱可塑性樹脂からなる印材と、前記印材を保持するフレームを有する印判ホルダーとを備え、前記フレームの下端面部に突起を設け、前記印材を前記フレームより突出させた状態で前記印判ホルダーに収容し、前記印材の周縁部と前記フレームの下端面部を全周にわたって融着接合してなる印判において、前記突起は前記フレームの下端面部であって両側面から少し距離を置いた中央部に設置され、前記印材の周縁部と前記突起が前記フレームの下端面部上で重なり合った形状で全周にわたって融着接合されることを特徴とする印判。前記印材が、連続気孔を有する熱可塑性樹脂からなる多孔質印材である印判。
本発明は、印判ホルダーのフレームの下端面部に突起を設けてあり、当該突起がフレームの下端面部上で印材の周縁部に重なるよう溶融した突起と溶融した印材が融着接合するため、接合部分はフレームの下端面部上に形成される。よって、押印時の応力は直接印材に影響を及ぼさず、押印を何度繰り返しても印材の周縁が印判ホルダーから外れたり隙間が開いたりすることがなく、印材と印判ホルダーが確実に固定できると共に、密閉性にも優れインキ漏れを防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の印判は、熱可塑性樹脂からなる印材と、印材を保持するためのフレームの下端面部に突起を設けた印判ホルダーとを備える。そして、印材をフレームより突出させた状態で印判ホルダーに収容し、印材の周縁部とフレームの下端面部を全周にわたって融着接合する。このようにすることよって、印材の周縁部と突起がフレームの下端面部上で全周にわたって融着接合される。
以下、詳述する。
印材の素材となる熱可塑性樹脂としては、50℃〜300℃で融解する熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂などを用いることができる。その中でも、特にポリエチレン、ポリポロピレン、エチレン− α オレフィン共重合体、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
また、印材は、文字等が未形成の熱可塑性樹脂製印材、又は、文字等を凸状に形成した熱可塑性樹脂製印材を用いることができる。文字等が未形成の熱可塑性樹脂製印材を用いた場合は、本発明の印判が完成後に文字等を形成することになり、あらかじめ文字等を凸状に形成した熱可塑性樹脂製印材を用いた場合は、本発明の印判が完成後すぐに使用することができる。
また、印材は、多孔質体、又は、非多孔質体の印材を用いることができる。多孔質体の印材を用いた場合は、インキが内蔵できる浸透印を得ることができ、非多孔質体の印材を用いた場合は、スタンプ台からインキを転写する印判を得ることができる。
本発明の印判ホルダーは、手で握るためのグリップ部材や他部品と結合するためのジョイント部と、印材を収容する空間とを有してなるものである。印材を収容する空間は、印判ホルダーの下方に設置したフレームによって形成するものである。
また、フレームの下端面部の中央部には突起を設けている。突起はフレームの両側面から少し距離を置いた中央部に設置されるが、これは後述する融着接合部が確実にフレーム下端面部に形成されるようにするためである。
印判ホルダーの素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。特に、接着性能の面から上述の印判と同一又は同系の素材を用いることが好ましく、印材にポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いる場合は、印判ホルダーの素材も同じくポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
次に、印材をフレームより突出させた状態で前記印判ホルダーに収容する。印材の裏面側にはクッション材やインキ吸蔵体、かさ上げする為の底上げ部材等を収容しても良い。
次に、印材の周縁部とフレームの下端面部を全周にわたって融着接合する。具体的には、印材及びフレーム両者の全周を同時に溶融可能な十分な大きさを有する熱シール治具を用意し、これを印材及びフレームの溶融温度より高い温度に加熱した後、印材及びフレームに数秒間押圧する。
更に詳述すると、初めに熱シール治具が印材の周縁部に接触して当該周縁部が溶融し、一部の溶融物はフレームの下端面部に向かって流出する。更に押圧すると熱シール治具がフレームに設けた突起に接触して当該突起が溶融する。次に、両者の溶融物は重合し或いは混合した状態で接着し接合する。両者の溶融してできた接合部分は、溶融温度・溶融時間・溶融圧力等の相違によって、溶融物が重なり合い或いは混じり合った形状で接合するが、いずれにせよフレームの下端面部上に形成される。
したがって、押印時の応力は直接印材に影響を及ぼさず、押印を何度繰り返しても印材の周縁が印判ホルダーから外れたり隙間が開いたりすることがなく、印材と印判ホルダーが確実に固定できると共に、密閉性にも優れインキ漏れを防止できるものとなる。
融着接合の工程に際しては、印材の表面を保護し、熱シール治具の離型性を担保するために保護フィルムを載置することが好ましい。保護フィルムには高温に耐えられるプラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム,ポリアミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、フッ素フィルム、シリコーンフィルムなどを用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂印材の印面に文字等を形成する方法としては、キセノンフラッシュランプなどによって選択的に赤外線を照射することによって印面を形成する方法(特開昭50−31908号、特開平6−155698号、特開平10−114132号)や、加熱した金型に押圧することによって印面を形成する方法(特開昭50−155323号、特開昭60−193686号)や、炭酸ガスレーザやYAGレーザといった各種レーザ光を用いるレーザ加工機で直接彫刻する方法(特開平10−337943号)などを用いることできる。
実施例1を図面を用いて説明する。
融点70℃のポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、若干のカーボンブラックを加えて混練し、厚み2.0mmのシート状の原部材を作成する。
次に、当該原部材を温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを完全に洗除した後、これを十分に乾燥させ、灰色味を帯びた厚さ2.0mmの多孔質シートを得る。
次に、多孔質シートをカッターで所要の大きさに切断し、熱可塑性樹脂からなる多孔質印材を得る。この際、超音波カッターを用いると切断と同時にその切断面が溶融固化された多孔質印材3を得ることができる。
次に、融点70℃のポリエチレン製であって、上方にジョイント部4aと下方に多孔質印材3を収容するフレーム4bとを形成した印判ホルダー4を用意し、多孔質印材3をフレーム4bより突出させた状態で収容する。多孔質印材3の裏面にはインキ吸蔵体とインキ通過孔を有する格子状の底上げ部材も収容しておく。また、フレーム4bの下端面部の中央部には突起4cが設けてある。突起4cはフレーム4bの内側面から少し距離を置いた中央部に設置されている。
次に、多孔質印材3の表面側にポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルム30として載置する。次に、多孔質印材3及びフレーム4bの両者の全周を同時に溶融可能な十分な大きさを有する熱シール治具40を用意し、約100℃に加熱した後、多孔質印材3及びフレーム4bに対して押圧する。
押圧を開始すると、初めに多孔質印材3の周縁部が溶融し、続けてフレーム4bに設けた突起4cが溶融する。押し付けたまま約3秒後に脱離すると、多孔質印材3の溶融部分の上に突起の溶融部分が重なり合った形状で全周にわたって融着接合する。また、両者が溶融してできた融着接合部はフレーム4bの下端面部上に形成される。
次に、保護フィルム30を取り除き、ユニット化された本実施例の印判を得た。当該印判は文字等が未形成なので、この後文字等を形成する。
次に、実施例1の印判に文字等を形成する方法を説明する。
本発明の原稿を作成するには、まずコンピュータ等で版下を作成し、次にカーボントナーを付着させて画像を形成する乾式複写機やレーザープリンター等を用いて前記版下を用紙に出力し原稿シートを作成する。
本発明において用いる用紙としてはポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの透明シート又は白色不透明シートや、トレーシングペーパー、PPC用紙など赤外線を透過するシートを用いることができる。
原稿としては、印面となる文字または図形が形成される部分と残りの部分とにより区画形成され赤外線透過度の大小差が得られるものが用いられ、具体的には、透明シート又は白色不透明シートの片面に赤外線の照射で発熱する発熱性インキで文字または図形を描いたものや、コピー機によるPPC用紙、OHP用紙など文字または図形がシート表面で赤外線吸収性被膜として形成されているものや、用紙の片面に赤外線を反射するインキや転写テープ(白色のタイプ文字修正テープなど)で文字または図形を描いたものなどや、赤外線を透過させることのないシートに文字または図形を打ち抜いたもの等があげることができる。
次に、赤外線を透過可能なラミネートフィルム等の離型用フィルムで前記原稿シートをラッピングした後、前記ユニット化された印判の外周とほぼ同一の大きさに切断して本発明の原稿2を得る。
次に、原稿2を所要の大きさに切断し、ガイド治具1に収める。更に、その上からユニット化された印判をガイド治具1に収める。
次に、ユニット化された印判に押え治具9を被せ、多孔質印材3と原稿2が完全に密着するように押圧板14と透明板17による挟着の圧力を加えつつ赤外線を照射して、多孔質印材3の表面のうち、赤外線の透過で加熱される部分の表層をこれに混在されているカーボンなどの発熱材微粉末の発熱下に溶融固化させ、インキが滲み出し不能な非多孔質保護被膜に形成し、前記原稿の赤外線透過度の小さい部分に対応する多孔質印材の残部表面をインキ滲み出し面に形成し、文字等を形成する。
印判ホルダー4のジョイント部に手でしっかり握るためのグリップ部材6を連結させてスタンプとすると使用勝手が良くなるので好ましい。
本実施例を用いて作成したスタンプは、印判ホルダーの突起がフレームの下端面部上で印材の周縁部に重なるよう溶融した突起と溶融した印材が融着接合するため、接合部分はフレームの下端面部上に形成されている。これにより、押印を何十万回繰り返しても印材の周縁が印判ホルダーから外れたり隙間が開いたりすることがなかった。また、印材と印判ホルダーが確実に固定できたので、密閉性に優れており、インキの蒸発やインキ漏れを防止できた。
特に図示しないが、まず融点70℃のポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、若干のカーボンブラックを加えて混練し、厚み2.0mmのシート状の原部材を作成する。
次に、当該原部材を温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを完全に洗除した後、これを十分に乾燥させ、灰色味を帯びた厚さ2.0mmの多孔質シートを得る。
次に、文字等を凹状に彫刻した金型を約100℃に加熱し、多孔質シートを収容し軽い力を押圧すると、金型に触れた部分は溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質保護被膜を形成し、金型に触れなかった凹状の文字等の部分は残部としてインキ滲み出し面を形成する。
次に、この多孔質シートをカッターで所要の大きさに切断し、熱可塑性樹脂からなる多孔質印材を得る。この際、超音波カッターを用いると切断と同時にその切断面が溶融固化された多孔質印材を得ることができる。
次に、融点70℃のポリエチレン製であって、上方にジョイント部と下方に多孔質印材を収容するフレームとを形成した印判ホルダーを用意し、多孔質印材をフレームより突出させた状態で収容する。多孔質印材の裏面にはインキ吸蔵体も収容しておく。また、フレームの下端面部の中央部には突起を設ける。突起はフレームの側面から少し距離を置いた中央部に設置する。
次に、多孔質印材の表面側にポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとして載置する。
次に、多孔質印材及びフレーム両者の全周を同時に溶融可能な十分な大きさを有する熱シール治具を用意し、約100℃に加熱した後、多孔質印材及びフレームに対して押圧する。押圧を開始すると、初めに多孔質印材の周縁部が溶融し、続けてフレームに設けた突起が溶融する。押付けたまま約3秒後に離脱すると、多孔質印材の溶融部分の上に突起の溶融部分が重なり合った形状で全周にわたって融着接合する。また、両者の溶融してできた接合部分はフレームの下端面部上に形成される。
次に、保護フィルムを取り除くと、既に文字等が形成されている実施例2の印判を得ることができる。
実施例2の印判のジョイント部に手でしっかり握るためのグリップ部材6を連結させてスタンプとすると使用勝手が良くなるので好ましい。
本実施例を用いて作成したスタンプは、印判ホルダーの突起がフレームの下端面部上で印材の周縁部に重なるよう溶融した突起と溶融した印材が融着接合するため、接合部分はフレームの下端面部上に形成されている。これにより、押印を何十万回繰り返しても印材の周縁が印判ホルダーから外れたり隙間が開いたりすることがなかった。また、印材と印判ホルダーが確実に固定できたので、密閉性に優れており、インキの蒸発やインキ漏れを防止できた。
印判ホルダーに印材を収容した状態 保護フィルムを載置した状態 融着接合時の状態 融着接合部の説明 印判の分解状態 文字等の作成工程 組み立て状態図
符号の説明
1 ガイド治具
2 原稿
3 多孔質印材
4 印判ホルダー
4a ジョイント部
4b フレーム
4c 突起
6 グリップ部材
9 押え治具
14 押圧板
17 透明板
30 保護フィルム
40 熱シール治具

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂からなる印材と、前記印材を保持するフレームを有する印判ホルダーとを備え、前記フレームの下端面部に突起を設け、前記印材を前記フレームより突出させた状態で前記印判ホルダーに収容し、前記印材の周縁部と前記フレームの下端面部を全周にわたって融着接合してなる印判において、前記突起は前記フレームの下端面部であって両側面から少し距離を置いた中央部に設置され、前記印材の周縁部と前記突起が前記フレームの下端面部上で重なり合った形状で全周にわたって融着接合されることを特徴とする印判。
  2. 前記印材が、連続気孔を有する熱可塑性樹脂からなる多孔質印材である請求項1の印判。
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