JP3858470B2 - 雷撃保護回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雷撃保護回路に関し、さらに詳しくは、商用電源等の外部電源と、音響機器や放送機器及びテレビジョンやテレビジョン関連機器などの電子機器間に設けられ、かつ該電子機器が有する外部アンテナに誘導される雷電圧または落雷から電子機器を保護する雷撃保護回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、音響機器や放送機器等の電子機器を外部アンテナに誘導される雷電圧または落雷から保護する雷撃保護回路としては、図2に示す構成の回路が知られている。
この図2において、商用電源等の外部電源に接続される電源端子(電源プラグ)1の両極間に、直列接続した一対の放電管等からなる放電素子2、3を並列に接続し、この両放電素子2と3の接続点にアンテナ接地線4が接続されている。また、電源端子(電源プラグ)1の両極には、ライン5、6及び図示省略したフィルタ回路を介して機器接続端子7、8が接続され、この機器接続端子7、8には図示省略した電子機器が接続される構成になっている。
このように構成された従来の雷撃保護回路において、図示省略した外部アンテナに雷電圧が誘導されたり、落雷があると、この雷電圧は放電素子2、3で放電され、その雷電流を電源端子1を通して外部電源である商用電源に放流することにより、機器接続端子7、8に接続された電子機器を雷撃から保護するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の雷撃保護回路では、2個の放電素子を使用しているため、製品コストが上昇するという問題がある。
また、従来の雷撃保護回路において放電素子に放電管を使用した場合、この雷撃保護回路の耐圧試験を考慮して、雷撃保護回路の放電開始電圧を電子機器の保護に要する電圧よりも高く設定しておく必要がある。例えば、音響機器や放送機器及びテレビジョンやテレビジョン関連機器などの電子機器に要求される放電開始電圧が7〜8kVであるのに対し、7〜10kVに設定しておく必要がある。この結果、雷撃に対する放電開始電圧のバラツキが大きくなり、製品の歩留まりも低下するほか、落雷に対する雷撃保護回路の設計が面倒になる問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、製品の低コスト化を可能にするとともに、雷撃に対する設計を容易にし、かつ放電開始電圧のバラツキを小さくして製品の歩留まりを向上し、かつ雷撃に対する放電動作を確実にできる雷撃保護回路を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、外部電源と電子機器間に設けられ、かつ前記電子機器が有する外部アンテナに誘導される雷電圧または落雷による雷撃電流を前記外部電源に放流して前記電子機器を雷撃から保護する雷撃保護回路であって、前記外部電源が接続される一対の外部電源端子と前記電子機器が接続される一対の機器電源端子間を接続する一対の電源線パターン、及び前記外部アンテナの接地パターンを有するプリント基板を備え、前記両電源線パターンの外部電源端子間に、直列接続した一対の雷撃放電用エアギャップを並列に接続し、前記両エアギャップの互いの接続点と前記接地パターン間に雷撃放電用の放電素子を直列に接続したことを特徴とする。
【0006】
本発明においては、電子機器の外部アンテナに進入した雷電圧は放電素子を通して各エアギャップで放電し、その放電電流は電源線パターンを通して外部電源に放出される。これにより、電子機器の外部アンテナに進入した雷電圧から電子機器を保護する。
したがって、本発明によれば、製品の低コスト化を可能にするとともに、雷撃に対する設計を容易にし、かつ放電開始電圧のバラツキを小さくして製品の歩留まりを向上でき、かつ雷撃に対する放電動作を確実にできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態における雷撃保護回路の構成図である。
この図1において、雷撃保護回路は、図示省略した外部電源と電子機器間に設けられ、かつ電子機器が有する外部アンテナ(図示省略)に誘導される雷電圧または落雷による雷撃電流を前記外部電源に放流して前記電子機器を雷撃から保護するものであり、プリント基板10を有している。
このプリント基板10上の長手方向の一端部には、商用電源等の外部電源が接続される一対の外部電源端子11A、11Bが形成され、他端部には、音響機器や放送機器及びテレビジョンやテレビジョン関連機器などの電子機器が接続される一対の機器電源端子12A、12Bが形成されている。さらに、プリント基板10には、外部電源端子11Aと機器電源端子12A間、及び外部電源端子11Bと機器電源端子12B間をそれぞれ接続する一対の電源線パターン13A、13Bが形成されている。
【0008】
また、外部電源端子11A、11B寄りの両電源線パターン13A、13Bは所定の範囲に亘り切除することにより分離され、この分離した箇所13Aa及び13Baには、各電源線パターン13A、13Bの分離部間を導通状態に接続する過電流防止用のヒューズ14A、14Bが設けられている。
また、機器電源端子12A、12B寄りの両電源線パターン13A、13Bは所定の範囲に亘り切除することにより分離され、この分離した箇所13Ab及び13Bbには、各電源線パターン13A、13Bの分離部間を導通状態に接続する電源用チョークコイル15A、15Bが設けられている。
【0009】
上記プリント基板10上の電源線パターン13A、13Bの内側には、外部電源端子11A、11Bに近接する箇所から電源線パターン13A、13Bの長手方向に伸びる外部アンテナ用の接地パターン16が形成されている。
さらに、電源線パターン13A、13Bの分離箇所13Ab、13Bb寄りの箇所に位置するプリント基板10には、一対の雷撃放電用エアギャップ17A、17Bが、電源線パターン13A、13B間に直列接続された状態に設けられている。
この雷撃放電用エアギャップ17A、17Bは、電源線パターン13A、13B間を直結するようにして、プリント基板10に形成した銅箔パターン17にギャップg(3mm程度)を設けることで形成される。
【0010】
また、上記銅箔パターン17と上記接地パターン16の一端との間に位置するプリント基板10の箇所には、接続パターン18が形成されている。
この接続パターン18の一端と接地パターン16の一端間には、放電管などからなる雷撃放電用の放電素子19が直列に接続され、さらに、接続パターン18の他端と、これに対向する銅箔パターン17間には、火花防止用のバリスタ20(または放電管)が直列に接続されている。
【0011】
また、上記両外部電源端子11A、11B間には、放電用のエアギャップ21が形成されている。
この放電用エアギャップ21は、プリント基板10に銅箔で電源線パターン13A、13B等を形成する時に同時に形成されるものである。
さらに、上記接地パターン16の他端には、上記放電用エアギャップ21に相対向する放電用のエアギャップ22が形成されている。
上記放電用のエアギャップ21及び22は、上記雷撃放電用エアギャップ17A、17Bより高い放電開始電圧に設定されている。
また、上記機器電源端子12A、12B寄りの両電源線パターン13A、13B間には、コンデンサと抵抗等からなるノイズ吸収用のフィルタ23が接続されている。このフィルタ23は雷撃保護回路に供給される外部電源に含まれるノイズを除去するものである。
また、上記外部電源端子11A、11B寄りの両電源線パターン13A、13Bと接地パターン16間には、コンデンサ等からなるノイズ吸収用のフィルタ24が接続されている。このフィルタ24は雷撃保護回路に供給される外部電源に含まれるノイズを除去するものである。
【0012】
次に、上記のように構成された雷撃保護回路の動作について説明する。
図示省略した電子機器の外部アンテナに雷撃により雷電圧が誘導されたり、または外部アンテナに落雷すると、その雷電圧は、まず最初に接地パターン16から放電素子19を通して放電されるとともに、各エアギャップ17A、17Bで放電し、その放電電流は電源線パターン13A、13B及びヒューズ14A、14Bを通して外部電源端子11A、11Bから、外部電源、すなわち商用電源に放出される。
これにより、電子機器の外部アンテナに誘導される雷電圧または落雷から電子機器を保護することができる。
なお、この場合、放電用エアギャップ21及び22は、エアギャップ17A、17Bより高い放電開始電圧に設定されているため、音響機器や放送機器及びテレビジョンやテレビジョン関連機器などの電子機器の保護に要求される放電開始電圧、例えば6〜7kV程度の雷電圧では放電動作せず、6〜7kV以上の雷電圧に対して放電動作する構成になっている。
【0013】
このような本実施の形態の雷撃保護回路によれば、プリント基板10に形成される銅箔等によりエアギャップ17A、17Bを形成し、このエアギャップ17A、17Bを直列にして外部電源端子11A、11Bに並列に接続し、このエアギャップ17A、17Bの互いの接続点と外部アンテナの接地パターン16間に放電素子19を接続し、これにより、外部アンテナに進入する雷電圧を放電素子19を通してエアギャップ17A、17Bで放電し、その雷電流を商用電源等の外部電源に放出する構成にしたので、放電素子が1個で済み、これに伴い製品コストを大幅に低減することができる。
また、雷電圧の放電回路にエアギャップ17A、17Bを組み込む構成にしたので、雷撃保護回路の耐圧試験に際し、従来のように放電素子の放電開始電圧を高く設定する必要がなく、その結果、耐圧試験を考慮せずに雷撃に対する設計が可能になり、その設計が容易になるほか、放電開始電圧のバラツキが小さくなって、製品の歩留まりも向上し、かつ雷撃に対する放電動作を確実にできる。さらに、落雷事故のアフタサービスが軽減できる。
【0014】
なお、本発明の雷撃保護回路は、上記の実施の形態に示す構成のものに限定されないことは勿論である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、プリント基板に形成される銅箔等により一対のエアギャップを形成し、このエアギャップを直列にして外部電源端子に並列に接続し、このエアギャップの互いの接続点とアンテナの接地パターン間に放電素子を接続し、外部アンテナに進入する雷電圧を放電素子を通してエアギャップで放電し、その雷電流を外部電源に放出する構成にしたので、放電素子が1個で済み、これに伴い製品コストを大幅に低減することができる。
また、本発明によれば、雷電圧の放電回路にエアギャップを組み込む構成にしたので、雷撃保護回路の耐圧試験に際し、従来のように放電素子の放電開始電圧を高く設定する必要がなく、これに伴い、耐圧試験を考慮せずに雷撃に対する設計が可能になり、その設計を容易にできるほか、放電開始電圧のバラツキが小さくなって、製品の歩留まりを向上でき、かつ雷撃に対する放電動作を確実にできるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における雷撃保護回路の構成図である。
【図2】従来における雷撃保護回路の概略構成図である。
【符号の説明】
10……プリント基板、11A、11B……外部電源端子、12A、12B……機器電源端子、13A、13B……電源線パターン、14A、14B……ヒューズ、15A、15B……電源用チョークコイル、17A、17B……雷撃放電用エアギャップ、17……銅箔パターン、19……放電素子、20……火花防止用バリスタ、21、22……放電用エアギャップ、23、24……ノイズ吸収用フィルタ。

Claims (9)

  1. 外部電源と電子機器間に設けられ、かつ前記電子機器が有する外部アンテナに誘導される雷電圧または落雷による雷撃電流を前記外部電源に放流して前記電子機器を雷撃から保護する雷撃保護回路であって、
    前記外部電源が接続される一対の外部電源端子と前記電子機器が接続される一対の機器電源端子間を接続する一対の電源線パターン、及び前記外部アンテナの接地パターンを有するプリント基板を備え、
    前記両電源線パターンの外部電源端子間に、直列接続した一対の雷撃放電用エアギャップを並列に接続し、
    前記両エアギャップの互いの接続点と前記接地パターン間に雷撃放電用の放電素子を直列に接続した、
    ことを特徴する雷撃保護回路。
  2. 前記エアギャップは、前記両電源線パターン間を直結するようにして前記プリント基板に形成した銅箔パターンにギャップを設けることで形成されることを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  3. 前記放電素子に放電管及びバリスタ等を直列に接続したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  4. 前記両外部電源端子間に放電用のエアギャップを形成したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  5. 前記接地パターンに前記両外部電源端子の放電用エアギャップに相対向する放電用のエアギャップを形成したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  6. 前記外部電源端子寄りの前記両電源線パターンを所定の範囲に亘り切除して分離し、この分離した電源線パターン間をヒューズにより接続したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  7. 前記機器電源端子寄りの前記両電源線パターンを所定の範囲に亘り切除して分離し、この分離した電源線パターン間を電源用チョークコイルにより接続したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  8. 前記機器電源端子寄りの前記両電源線パターン間にノイズ吸収用のフィルタを接続したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
  9. 前記外部電源端子寄りの前記両電源線パターンと前記接地パターン間にノイズ吸収用のフィルタを接続したことを特徴とする請求項1記載の雷撃保護回路。
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