JP2006120567A - 電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子 - Google Patents

電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子機器のサージ保護回路内に設けた、サージ吸収素子を抵抗とパターンギャップで構成しコノサージ吸収素子をプリント基板の他の回路の能動素子や受動素子と一緒に形成し、組み立て工数を減少させてコストダウンを計る。
【解決手段】 商用電源のライブ線7a又はニュートラル線7b上に配設したラインフィルタ1の入力−出力間を短絡するように抵抗2とパターンギャップ10の直列回路からなるサージ吸収素子を挿入し、雷等のサージ電圧のインパルス波によってラインフィルタの入出力間に発生した高電圧を放電し、電子機器内でサージ電圧による放電が生じないようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は商用電源ラインと電子機器の電源回路間に介在させたサージ吸収用のアレスタ(避雷器)に係わり、特に、抵抗と放電ギャップの直列回路を用いた電子機器の保護回路及びサージ吸収素子の改良に関する。
従来から、一般に半導体素子が多用されている電子機器は、インパルス性のノイズやサージ電圧により、誤動作や破損を招く場合がある。サージ電圧には、例えばスイッチの開閉時に発生する開閉サージや、雷によって発生する雷サージなどがあるが、特に雷サージは、数1000Vの過大なサージ電圧がACラインに重畳され機器内に侵入することがある。この雷サージは外部の電力線から電子機器内に入力されるコモンモード(同相)の外来サージであり、その過大なサージ電圧により整流回路などの電源回路が破損してしまう恐れがある。これらのサージ保護回路としてバリスタやアレスタなどのサージアブソーバを挿入することにより、そのサージ電圧の吸収、又は放電を行ない、電源回路の保護をするようにしている。
上述のサージアブソーバとしては、バリスタとアレスタの直列回路を商用交流の入力側ラインとグランド間、又は、ラインフィルタの後段に設けられた整流部の入力側に挿入させていた。
上述の様に雷等のサージ対策を施した場合にはサージインパルス波によるサージ電圧をグランド側に逃がして電子機器内に侵入するサージ電圧を防止できるが、この様な回路ブロック構成に必要とする回路素子数が多いために、製造コストが上昇するという問題がある。更に、プリント基板上の回路部品の占有面積が広くなり、電子機器内の回路の小型化が困難である。特に、各ラインに接続されるバリスタが商用電源に対して直列に挿入されるので、サージ電圧の除去効果は得られるが、バリスタを流れる漏洩電流を絶縁することができないため、絶縁耐圧を保つことが困難であり、ノイズ対策が不十分であった。
このような問題点を解決するために、雷などのインパルス波によりACラインに重畳される雷サージ電圧を除去する電子機器の雷サージ保護回路において、ACラインの一次ラインフィルタの入力−出力間にアレスタを挿入し、前記一次ラインフィルタに雷サージのインパルス波によって高いサージ電圧が誘起した場合には、そのサージ電圧を放電することにより抑圧する様に構成したものが特許文献1に開示されている。
上述の様に、商用電源側からコモンモードのサージノイズが入力された場合、その周波数によりラインフィルタとラインフィルタの後段の各ラインとグランド間に接続した2つのコンデンサが共振し、過大な電圧が電源に印加される場合がある。そのため、ラインフィルタの入出力間にスパークギャップや特許文献1の様にバリスダを挿入する場合もある。
然し、スパークギャップを挿入した場合、放電による機器の誤動作の恐れがある。また、バリスタを挿入した場合、その容量成分により、ラインフィルタの機能自体をかなり低下させてしまうことがある。この様な弊害を除くために特許文献2では図5に示す様に上記ラインフィルタの少なくとも1相の入出力間を抵抗で接続したフィルタ回路が開示されている。
図5は特許文献2に開示されている電子機器の電源回路を示すおもので、1はラインフィルタ、2は1kΩ以上の抵抗、3a,3bは商用電源ラインとアース間に設けられたコンデンサ、4a〜4bは整流ダイオードで整流回路4を構成する、5はコンデンサ、6はDC―DCコンバータの様な電圧レギレータである。この様にラインフィルタ1に並列に抵抗2を付加することにより、商用電源側からのコモンモードサージノイズが印加された場合のラインフィルタ1とコンデンサ3a,3bによって生じる共振現象による電圧の跳ね上がりを抵抗2で緩和することができる。また、ラインフィルタ1は電源起因による端子雑音の流出を押えるため100KHz以上の周波数帯域において1KΩ以上のインピーダンスを有しているので、抵抗2を1KΩ以上とすることにより端子雑音への影響を小さくすることができる旨の記載がある。
以上で説明した様に、従来の特許文献2に記載の単純にラインフィルタに抵抗を並列接続する場合では端子雑音への影響がでるため抵抗値を大きくする必要があり、大きくしても影響を完全に取り払う事はできない。本発明はパターンギャップを追加する事で通常動作において電気的にラインフィルタと抵抗を切り離す事で端子雑音への影響を完全に無くす事で解決している。
更に、上述の従来の放電型サージ吸収素子は、表面実装するための工程が煩雑で部品点数が増え、実装面積が大きくなるという欠点を克服するため、外部電極間の素子内部に、マイクロギャップにより形成された放電空間を設け、このマイクロギャップと直列に抵抗体を接続したサージ吸収素子が特許文献3に開示されている。このサージ吸収素子は放電型のサージ吸収素子と抵抗体を接続して使用する従来の制限抵抗型サージ吸収素子の欠点を解消するため実装面積が小さく、かつ表面実装が容易なサージ吸収素子を提供することを目的とするものである。
図6(A)及び図6(B)は、特許文献3に開示されているサージ吸収素子を示すもので図6(A)はサージ吸収素子のX軸面に沿う断面図を示し、図6(B)はサージ吸収素子のY軸面に沿う横断面図を示している。
図6(A)、図6(B)に於いて、グリーンシートから成る上下絶縁セラミックス層12A、12Bと、抵抗18及び下部電極17上に形成した上部電極16,16間にギャップ21を印刷した内部絶縁性セラミックス層14はステアタイト基板から成り、抵抗体18は、酸化ルテニウムを使用し、方形状にスクリーン印刷法でパターニングし、グリーンシート等の絶縁シート13には方形状の透孔15を穿って、内部絶縁性セラミック層14上に載置し、更に、絶縁シート13上に上絶縁セラミック層12Aが配設され、内部絶縁性セラミックス層14の下端に下絶縁セラミックス層12Bを配して熱圧着し、その後、酸素雰囲気中において一体焼成した焼結体の左右両端にAgから成る外部電極19を焼付けた、プリント基板などの表面に実装可能なサージ吸収素子11が開示されている。
然し、上記した特許文献3に記載のサージ吸収素子では電子機器を構成するプリント基板上にサージ吸収素子を取り付ける為の半田付けや組み込みの手間が省略できない課題を有していた。又、サージ吸収側と制限抵抗側を間違えてプリント基板に取り付けると所定のサージ吸収素子として機能しなくなる問題もあつた。
特開平6−233453号公報 特開11−113245号公報 特開2000−353583号公報
本発明は上述の課題を解決するために成されたもので、本発明が解決しようとする課題は商用電源ラインからのサージ電圧のエネルギーを熱変換して減衰させ残りのサージ電圧をパターンギャップで放電させ、且つ、プリント基板に抵抗とギャップを他の回路部品と一体にパターニングすることで実装も容易な電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子を提供することを目的とするものである。
第1の本発明は、商用電源ラインと電子機器の電源ライン間に介在させたラインフィルタの1相間又は他相間の入出力間に抵抗と放電ギャップの直列回路を接続したことを特徴とする電子機器のサージ保護回路としたものである。
第2の本発明は、第1の本発明に於いて、抵抗と放電ギャップの直列回路は、ラインフィルタのライブ線側の入出力間に接続される様にした電子機器のサージ保護回路としたものである。
第3の本発明は、第1の本発明に於いて、抵抗と放電ギャップの直列回路は、ラインフィルタのニュートラル線側の入出力間に接続される様にした電子機器のサージ保護回路としたものである。
第4の本発明は、第1の本発明に於いて、抵抗と放電ギャップの直列回路は、ラインフィルタのライブ線又はニュートラッ船側あるいはニュートラル線側又はライブ線の入出力間に接続される様にした電子機器のサージ保護回路としたものである。
第5の本発明は、商用電源ラインと電子機器の電源ライン間に介在させたラインフィルタの1相間又は他相間の入出力間のプリント基板に、抵抗と放電ギャップパターンの直列回路を接続したサージ吸収素子としたものである。
本発明の電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子は、同相ノイズを除去するために挿入されているラインフィルタの入力−出力間に、抵抗とパターンギャップの直列回路を挿入することにより、雷等によるサージ電圧の高電圧エネルギーを先ず、抵抗によって熱エネルギーに熱変換して高電圧の抑圧を行なった後の電圧によりパターンギャップ間で放電させることが出来るので抵抗によってサージ電圧のエネルギーが吸収され、更に、従来用いられていたバリスタよりも容量成分が少なく、かつ漏れ電流を絶縁することができるようになるので、ラインフィルタの後段側のデジタル回路に与えるノイズを抑えることができる利点がある。又、整流回路4、電圧レギレータ6等と一体にプリント基板上に抵抗及びパターンギャップを形成する様にしたので実装も容易な電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子を提供可能となる。
以下、本発明の1形態例を図1乃至図4によって説明する。図1は本発明の1形態例を示す電子機器のサージ保護回路の系統図、図2は本発明の他の形態例を示す電子機器のサージ保護回路の系統図、図3は本発明の更に他の形態例を示す電子機器のサージ保護回路の系統図、図4はプリント基板上にパターニングされた抵抗とギャップの平面図である。尚、以下、従来の図5との対応部分には同一符号を付して説明をする。
図1は本発明のサージ保護回路の1形態例を示すもので、図1に於いて、入力端子T1及びT2間には商用電源からの交流電圧が供給される。入力端子T1はライブ線7a−ヒューズ8−ラインフィルタ1の1次コイルーブリッジ回路構成の整流回路4の入力端に接続され、入力端子T2はニュートラル線7b−ラインフィルタ1の2次コイルーブリッジ回路構成の整流回路4の入力端に接続されている。ラインフィルタ1の1次コイル及び2次コイル間の前後側にライブ線7aとニュートラル線7bの間に接続したコンデンサ9a及び9bはノーマル・モード(逆相)の高周波ノイズを除去するためのコンデンサであり、ラインフィルタ1の後段の各ライブ線7a及びニュートラル線7bとグランド間にはコンデンサ3a、3bが接続されている。これらコンデンサ3a及び3bは整流回路4又はスイッチング用の電圧レギュレータ6から出力されるノーマル(逆相)或いは、コモン(同相)の両モードのノイズを除去するコンデンサである。図1の構成ではラインフィルタ1の2次側コイルの巻き始め及び巻き終わり点間に抵抗3とエアー構成のパターンギャップを直列に接続したサージ吸収素子11を並列に接続する。出力端子T3、T4からは電子機器に供給する直流電圧が出力される。
以下、図1に示した回路ブロックの動作を説明すると、雷による過大なサージ電圧が商用電源のライブ線7aとニュートラル線7bから電子機器内部に侵入すると、ラインフィルタ1の両端に極めて高い誘起電圧が生じ、この誘起電圧が電子機器内部の例えば、電圧レギレータ6のアース電位との間で放電し、そのスパークによって、特に電子機器内のデジタル回路の半導体素子を破壊し、或いはデジタルデータに悪影響を与えることになる。然し、本発明の場合はサージ吸収素子11の抵抗2によってサージ高電圧は熱変換されて吸収されたサージ電圧をパターニングされたエアーギャップで更に、放電させているので、サージ高電圧は吸収され、且つ、ラインフィルタ1の両端に発生する誘起電圧が抑制され、この誘起された高いサージ電圧が電子機器内部で放電(アース側)することを防止する
上記した抵抗2とパターンギャップ10の直列回路をプリント基板上にパターニングした構成を図4に示す。図4に於いて、22はセラミック等のプリント基板を示し整流回路4や電圧レギュレータ6の各回路の能動及び受動部品素子を構成するトランジスタや抵抗と共に本発明のサージ吸収素子11を構成する受動素子として220Ω程度の抵抗2及びパターンギャップ10をプリント基板22上に一体に形成する。従って、抵抗及びパターンギャップを各回路の能動素子と一体化して形成する場合はシリコン基板等のp型(或いはn型)の半導体領域に囲まれたn型(或いはp型)の薄い帯状の領域で抵抗2が構成される。勿論、抵抗2はシリコン基板上にカーボン等で厚膜形成しても良い。23は抵抗2に接続されラインフィイルタ1のコイルと並列接続するためのパターンワイヤであり、このパターンワイヤ23に1mm巾程度のパターンギャップ10を形成する。この巾は適宜の巾に選択可能である。又、パターンギャップ10としてLa−Sr−MnO等の導電性酸化物により抵抗2に接するように方形状の電極をパターニングし、この電極にパターンギャップ10を形成するようにしても良い。上述の抵抗2の抵抗値が220Ω、パターンギャップ巾=1mmに於いてのサージ放電開始電圧=1KVであった。
又、図2に示した系統図は、本発明の他の形態例を示すもので、抵抗2及びパターンギャップ10の直列回路からなるサージ吸収素子11をライブ線7a側のラインフィルタ1の入力−出力間に配した例である。ラインフィルタ1は1次および2次コイルの結合係数がほぼ1であり、高周波のサージ電圧に対しては、図1の形態例と同様な効果が得られる。
図3は本発明の更に他の形態例を示すもので、ラインフィルタ1の入力−出力間で、一端がライブ線7aに、他端がニュートラル線7bと接続する様に抵抗2とパターンギャップ10の直列回路からなるサージ吸収素子11を配した場合である。この場合もライブ線7a、ニュートラル線7bにサージ電圧が印加されると、その誘起電圧はサージ吸収素子の抵抗2及びパターンギャップ10で夫々が放熱及び放電されピーク値が抑制される。
このようにライブ線7a及びニュートラル線7bに印加され、ラインフィルタ1の前後に誘起する高いサージ電圧は、サージ吸収素子で放熱及び放電されるようになるので、サージ電圧を抑制することにより、整流回路4や電圧レギュレータ6等の各回路内の接地部で生ずる放電を防止し、電子機器を保護することが出来る。
上述の様に、本発明の電子機器のサージ保護回路及びサージ吸収素子によるとアレスタなどに比べて抵抗とパターンギャップとから成るサージ吸収素子に置き換えられ、電圧レギレータ6の能動素子や受動素子と共にプリント基板上に同時に形成されるので、廉価に構成できるだけでなく、部品装着の手間も無く、ラインフィルタ1の後段に形成されるデジタル回路のデジタルデータに悪影響を及ぼすことを緩和する効果を生ずる。
本発明の電子機器のサージ保護回路の1形態例を示す系統図である。 本発明の電子機器のサージ保護回路に他の形態例を示す系統図である。 本発明の電子機器のサージ保護回路の更に他の構成を示す系統図である。 本発明の電子機器のサージ保護回路に用いるサージ吸収素子の平面図である。 従来の電子機器のサージ保護回路の1形態例を示す系統図である。 従来の電子機器のサージ保護回路に用いるサージ吸収素子の側断面図である。
符号の説明
1・・・ラインフィルタ、2・・・抵抗、3a、3b、9a、9b・・・ノイズ除去用コンデンサ、4・・・整流回路、6・・・電圧レギュレータ、7a・・・ライブ線、7b・・・ニュートラル線、8・・・ヒューズ、10・・・パターンギャップ、11・・・サージ吸収素子、12A、12B・・・上下絶縁セラミック層、13・・・、16・・・下部電極、17・・・上部電極、21・・・ギャップ、22・・・プリント基板、23・・・ワイヤパターン

Claims (5)

  1. 商用電源ラインと電子機器の電源ライン間に介在させたラインフィルタの1相間又は他相間の入出力間に抵抗と放電ギャップの直列回路を接続したことを特徴とする電子機器のサージ保護回路。
  2. 前記抵抗と前記放電ギャップの直列回路は、前記ラインフィルタのライブ線側の入出力間に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器のサージ保護回路。
  3. 前記抵抗と前記放電ギャップの直列回路は、前記ラインフィルタのニュートラル線側の入出力間に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器のサージ保護回路。
  4. 前記抵抗と前記放電ギャップの直列回路は、前記ラインフィルタのライブ線又はニュートラル線側、或いはニュートラル線側又はライブ線の入出力間に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器のサージ保護回路。
  5. 商用電源ラインと電子機器の電源ライン間に介在させたラインフィルタの1相間又は他相間の入出力間のプリント基板に、抵抗と放電ギャップパターンの直列回路を接続したサージ吸収素子をパターニングしたことを特徴とするサージ吸収素子。
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