JP3858414B2 - ブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法 - Google Patents
ブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等のブレーキの性能試験を行うブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキダイナモメータは、駆動用直流電動機でフライホィールを回転させ、この軸と共に回転する取付軸に取り付けた供試ブレーキにブレーキをかけそのトルクをトルクメータで測定する。
【0003】
この供試ブレーキを制御するトルク制御系は図4に示すように、掛算器3でトルク指令τにブレーキBKの特性を表すP/τ係数を掛け合わせ、圧力制御器8への圧力指令をフィードフォワード信号として与え、残りのトルク偏差をPI演算するトルク制御器5でPI制御で行っている。トルク指令τは所定の運転パターンで発生させる。なお、10はアンプ9を介して圧力制御器8により制御され供試ブレーキBKのマスタシリンダ11のピストンを駆動するブレーキマスタシリンダ駆動用モータを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記ブレーキの特性を表すP/τ係数は、温度変化の影響を非常に受け易い。そのため必ず一定の温度条件になってからブレーキを掛けるような運転パターンであれば差し支えないが、温度を無視して一定の時間間隔でブレーキを掛けるような運転パターンでは、実際のブレーキのP/τ特性は変化しているので、トルクのオーバシュートやアンダシュートが出やすくなる。
【0005】
この発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度変化があってもトルクのオーバシュートやアンダシュートを生ずることのないブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、トルク指令にブレーキの特性を表すP/τ係数を掛けたフィードフォワード信号とトルク偏差のPI制御信号とを加算しその信号を圧力指令としてブレーキを制御するトルク制御系に、所定の運転パターンでトルク指令を与えてブレーキ試験する、ブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法において、
ブレーキ試験の本運転に入る前にダミー運転を行い、そのブレーキをかける時の温度及びブレーキをかけた時のトルクと圧力の検出値からその時のブレーキのP/τ係数を演算し、本運転の1回目に、前記ダミー運転で求めたP/τ係数を使用し、そのブレーキをかけるときの温度及びブレーキをかけた時のトルクと圧力の検出値からその時のブレーキのP/τ係数を演算し、本運転の2回目以降は、前記ダミー運転の温度とP/τ係数及び前記1回目の温度とP/τ係数からブレーキの温度特性関数を作成し、2回目以降の各運転におけるブレーキをかける時の温度をこの温度特性関数に入力し、そこから出力される温度係数を前記ダミー運転で求めたP/τ係数に掛け合わせたものを2回目以降の各運転時のブレーキのP/τ係数として使用しトルク制御することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。
図1はブレーキダイナモメータシステムのブレーキを制御するトルク制御系を示すもので、1はブレーキの特性を表すP/τ係数をブレーキの温度に応じたものとするための温度係数k0を出力する温度特性関数器、2はブレーキのP/τ係数に温度係数K0を掛けて温度に応じたP/τ係数を得る掛算器、3はトルク指令値τと掛算器2からのその時の温度に応じたP/τ係数を掛けてフィードフォワード圧力指令を出力する掛算器。
【0008】
4はトルク指令値τとトルク検出値τdetとの偏差を検出する減算器、5はこのトルク偏差をPI演算するトルク制御器、6は掛算器3からのフィードフォワード圧力指令とトルク制御器5からのPI制御の圧力指令を加算する加算器、7はこの加算された圧力指令値Pと圧力検出値Pdetとの差を検出する減算器、8はこの圧力差をPI演算する圧力制御器、9はこの出力を増幅するアンプ、10は供試ブレーキBKのマスタシリンダ11のピストンを駆動するブレーキマスタシリンダ駆動用モータである。
【0009】
次に図2,図3について、上記温度特性関数器1〜乗算器3で行うブレーキの温度に応じたP/τ係数の演算方法について説明する。
【0010】
ブレーキ試験の本運転に入る前に、トルク指令τ0で1度ダミー運転をする。その際にブレーキをかける時の温度T0及びブレーキをかけた時のトルク検出値τ0,圧力検出値P0から温度T0におけるブレーキのP0/τ0係数を演算して記録する(S1)。
【0011】
本運転の1回目は、トルク指令τ1で上記ダミー運転で求めたP0/τ0係数を使用し、この時もブレーキをかける時の温度T1及びブレーキをかけた時のトルク検出値τ1,圧力検出値P1から温度T1におけるブレーキのP1/τ1係数を演算し記録する(S2,S3)。
【0012】
本運転の2回目は、トルク指令値τ2で上記ダミー運転の温度T0とP0/τ0係数及び1回目運転の温度T1とP1/τ1係数からブレーキの温度特性関数を作成し、2回目のブレーキをかける時の温度T2を温度特性関数に入力し、そこから出力される温度係数K0(数1式)を上記ダミー運転で求めたP0/τ0係数に掛算器で掛け合わせたものを2回目運転のトルク制御で使うP2/τ2係数とする。
【0013】
【数1】
【0014】
3回目以降の運転は上記2回目運転と同様にその運転時の温度を温度特性関数に入力してその運転時のトルク制御で使うP/τ係数を求めてトルク制御する。
【0015】
上述のように、フィードフォワード制御に使用するブレーキのP/τ係数を、運転パターンの各回運転時の温度に応じたものとしながらトルク制御することができるので、、ブレーキを掛けるときのブレーキの温度の違いにより生ずるトルクのオーバシュートやアンダシュートを抑制することができる。
【0016】
【発明の効果】
この発明は、上述のとおり、ダミー運転と1回目の運転の温度とブレーキのP/τ係数から温度特性関数を作成し、2回目以降の運転の温度を温度関数に入力し、そこから出力される温度係数をダミー運転で求めたP/τ係数に掛け合わせたものを2回目以降のトルク制御で使うP/τ係数としているので、ブレーキをかける時の温度の違いで生ずるトルク制御のオーバシュートやアンダシュートを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態にかかるブレーキダイナモメータシステムのトルク制御系を示すブロック図。
【図2】ブレーキの温度特性収録フロー図。
【図3】運転パターン図。
【図4】従来トルク制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
1…温度特性関数器
5…トルク制御器
8…圧力制御器
10…供試ブレーキマスタシリンダ駆動用モータ
BK…供試ブレーキ。
Claims (1)
- トルク指令にブレーキの特性を表すP/τ係数を掛けたフィードフォワード信号とトルク偏差のPI制御信号とを加算し、その信号を圧力指令としてブレーキを制御するトルク制御系に、所定の運転パターンでトルク指令を与えてブレーキ試験する、ブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法において、
ブレーキ試験の本運転に入る前にダミー運転を行い、そのブレーキをかける時の温度及びブレーキをかけた時のトルクと圧力の検出値からその時のブレーキのP/τ係数を演算し、
本運転の1回目に、前記ダミー運転で求めたP/τ係数を使用し、そのブレーキをかける時の温度及びブレーキをかけた時のトルクと圧力の検出値からそのときのブレーキのP/τ係数を演算し、
本運転の2回目以降は、前記ダミー運転の温度とP/τ係数及び前記1回目の温度とP/τ係数からブレーキの温度特性関数を作成し、2回目以降の各運転におけるブレーキをかける時の温度をこの温度特性関数に入力し、そこから出力される温度係数を前記ダミー運転で求めたP/τ係数に掛け合わせたものを2回目以降各運転時のブレーキのP/τ係数として使用しトルク制御する、
ことを特徴とするブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法。
Priority Applications (1)
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JP01312598A JP3858414B2 (ja) | 1998-01-27 | 1998-01-27 | ブレーキダイナモメータシステムにおけるブレーキトルク制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11211591A JPH11211591A (ja) | 1999-08-06 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3858414B2 (ja) |
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JP5354572B2 (ja) * | 2008-10-08 | 2013-11-27 | 曙ブレーキ工業株式会社 | ブレーキ制御装置 |
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1998
- 1998-01-27 JP JP01312598A patent/JP3858414B2/ja not_active Expired - Fee Related
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