JP3858400B2 - 製本類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絵本やカラオケ本など各種の出版本として製本される合紙本をはじめとした製本類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、絵本をはじめとする各種の合紙本が出版本として出版されているが、合紙本は、適宜枚数の二つ折りした厚紙紙葉を、互いにその折目を揃えて重ね合わせて貼着して合紙体を作製し、その合紙体の背部側より先頭の二つ折り紙葉と末尾の二つ折り紙葉とに亘って、別の厚紙を連続被覆して貼着することによって製本される。
【0003】
合紙本は、このように二つ折りした厚紙を互いにその外面同士で重ね合わせ貼着して頁紙葉を作製することによって、同時に1冊の綴じられた剛性のある本として製本されるものであるが、合紙された各頁紙葉を順に捲っていった際に、その捲った頁紙葉の背部側が捲る前の頁紙葉の背部と対向するように向き合うために次の頁紙葉が持ち上がって、捲った頁紙葉と次の頁紙葉による見開き2ページ分の開頁角度が180°の平坦な状態に開放できない欠点があった。
【0004】
そこで、見開きの2枚のページが全てのページに亘って180°の角度で平坦に開放できるような合紙本が開発されており、非常に捲りやすく見やすい合紙本として注目されている。
【0005】
例えば、図5の側面図に示すような合紙本Cはその従来例であり、表表紙2と背表紙3と裏表紙4とからなるくるみ表紙1を備え、その表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方内面には一体的に厚紙若しくは発泡スチロール等の厚い台材Dが取り付けられている。
【0006】
そして,その台材Dの上面には、適宜枚数の二つ折りした厚紙紙葉を互いにその折目を揃えて重ね合わせて貼着した合紙体の背部側より先頭の二つ折り紙葉と末尾の二つ折り紙葉とに亘って別の厚紙を連続被覆して貼着することによって製本された、例えば5枚の合紙頁紙葉による合紙冊子体21が一体的に取り付けられている。
【0007】
該合紙冊子体21には、図5に示すように背部23側より先頭の二つ折り紙葉と末尾の二つ折り紙葉とに亘って外折れヒンジ板としての1枚の厚紙紙葉25が先頭頁紙葉22-1の背部側から背部23に亘って非貼着領域eを形成した状態で被覆貼着されている。
【0008】
図5に示す合紙本は、図6(a)に示すように先ず表表紙2を開放した後に先頭頁紙葉22-1を捲ると、該先頭頁紙葉22-1の厚紙21-1に合紙されている他の1枚の厚紙紙葉25は非貼着領域eによって外方に折り曲げ分離し、また次の頁紙葉22-2は背部23にて1枚の厚紙21-1によって互いに連結しているだけであるために開き易くなっており、次の頁紙葉22-2は持ち上がることなく、先頭頁紙葉22-1は次の頁紙葉22-2に対してほぼ180°の角度で平坦に円滑に開放できるようになっている。
【0009】
また、先頭頁紙葉22-1を捲ることによって外方に折り曲げられ分離した厚紙紙葉25(外折れヒンジ板26)は、台材Dの厚さによって表表紙2から所定の間隔を以て分離しているためにスペースが確保されて表表紙2とは接触せず先頭頁紙葉22-1を水平状態に捲ることができる。
【0010】
次に頁紙葉22-2を捲ると、該頁紙葉22-2の厚紙21-1に合紙されている次の頁紙葉22-3の他の1枚の厚紙は背部23にて1枚の厚紙によって互いに連結しているだけであるために前記同様に開き易くなっており、次の頁紙葉22-3は持ち上がることなく、頁紙葉22-2は次の頁紙葉22-3に対してほぼ180°の角度で平坦に円滑に開放でき、また、厚紙紙葉25(外折れヒンジ板26)は一層鋭角に外方に折り曲げられて突出するものの、台材Dの厚さによって表表紙2から所定の間隔を以て分離しているためにスペースが確保されて表表紙2とは接触せず頁紙葉22-2、22-3を互いに180°の水平状態に捲ることができる。
【0011】
そして次の頁紙葉22-3、22-4を捲る際にも同様に次の頁紙葉に対してほぼ180°の角度で平坦に円滑に開放でき、また、各頁紙葉を捲る毎に外方に向かって折り曲げられ分離する厚紙紙葉25は台材Dの厚さによって表表紙2から所定の間隔を以て分離しているために、図6(b)に示すように最終見開きページの2ページ22-3、22-4を開放した際にも180°の平坦な状態で開放することができるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のような従来の合紙本においては、合紙された各頁紙葉を捲った際に、その捲った頁紙葉の次の頁紙葉が持ち上がらず見開き2ページ分の開放角度が180°の平坦な状態に円滑に開放できるようにするためには、ページを捲っている間の外折れヒンジ板の退避スペースが必要であって上記のような台材Dが必要であり、そのために従来の合紙本は、実質の合紙冊子体21の厚さに対応する台材Dの厚さ分だけ余分の厚味を必要としていた。
【0013】
本発明の課題は、上記不都合を解消することにあり、その発明の目的は合紙本をはじめとする製本類において、捲った頁紙葉の次の頁紙葉が持ち上がることなく見開き2ページ分の開放角度を180°の平坦な状態に円滑に開放できるようにすることにより、頁紙葉の捲り難さや、読み難さなどを解消することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表表紙2と背表紙3と裏表紙4とからなるくるみ表紙1の前記表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方内面に前記背表紙3側に背部13を向けて冊子体11を一体的に取り付けた製本類において、冊子体11の背部13外面が小口側方向に徐々に傾斜するように前記冊子体11が取り付けられていることを特徴とする製本類である。
【0015】
また本発明は、上記発明の合紙本において、前記表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方若しくは両方の小口側又は天地側の端縁部が、前記冊子体11の端縁部より外側に延設されている製本類である。
【0016】
また本発明は、上記発明の合紙本において、前記冊子体11が、n枚の各々二つ折り紙葉11-1、11-2、11-3、・・・11-nを互いにその各々折目を平行に小口側に徐々にずれ重ねて貼着した合紙冊子体であって、小口側に徐々に傾斜する傾斜背部13を備える製本類である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の製本類を、図1(a)〜(b)の本発明の製本類の側断面図に示す実施の形態に従って以下に詳細に説明する。
【0018】
本発明の製本類は、図1(a)に示すように、表表紙2と背表紙3と裏表紙4とからなるくるみ表紙1と、前記表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方内面に、前記背表紙3側に背部13を向けて、接着糊などにて一体的に取り付けられた冊子体11を備え、前記冊子体11の背部13外面は、該冊子体の小口側方向に徐々に傾斜する傾斜面Eを備えている。
【0019】
くるみ表紙1は厚紙により形成され、表表紙2と背表紙3と裏表紙4のそれぞれ境界部分の折目は押し罫などによって開閉可能に形成されている。
【0020】
冊子体11は、図1(a)に示すように、例えばそれが合紙冊子体である場合は、複数枚の二つ折り紙葉11-1、11-2、11-3、・・・11-n、即ち、例えは5枚の厚紙による二つ折り紙葉11-1、11-2、11-3、11-4、11-5が、その二つ折りした折目を平行に揃えて、その外面同士を互いに重ね合わせるとともに、その重ね合わせた紙葉の上部の紙葉ほど折目の重ね合わせ位置を内側方向にずらして、重ね合わせられた折目部分の外面が傾斜面Eとなるように重ね合わせられ、その各々重ね合わせ内面が互いに貼着されている。
【0021】
そして、図1(a)に示すように、重ね合わせた前記二つ折りの先頭紙葉11-1の上面のみ、又は該上面と前記二つ折りの末尾紙葉11-5(11-n) の下面とに被覆紙葉15が必要に応じて貼着され、その折目部分の外面からその折目側の先頭紙葉11-1の上面及び末尾紙葉11-5(11-n) の下面にかけて、布製テープ、プラスチック製テープ(ステープラー)などによる背部シート14が必要に応じて被覆されて背部13が形成され、図1(b)に示すように合紙頁紙葉12-1、12-2、12-3、・・・12-n、即ち、6枚の合紙頁紙葉12-1、12-2、12-3、12-4、12-5、12-6により構成される合紙冊子体11として形成されている。
【0022】
なお、本発明においては、冊子体11は、上記のような合紙頁紙葉により構成された合紙冊子体でなくてもよい。
【0023】
例えば、冊子体11はn枚の各単一紙葉を用いて、n頁の頁紙葉12-1、12-2、12-3、・・・12-nによって構成されていてもよく、その場合は、布製テープ、プラスチック製テープ(ステープラー)などによる前記背部シート14によって、又は中綴じ方式や平綴じ方式以外の糸かがり方式、無線綴じ方式、ホットメルト方式などの綴じ方式によって綴じることにより、背部13を形成することができる。
【0024】
本発明の製本類は、図2(a)〜(d)に示すように、くるみ表紙1の裏表紙4の内面に接着糊など適宜手段により一体的に冊子体11を取り付けたものであり、表表紙2を開放した後に冊子体11の各頁紙葉12-1・・・12-nを捲る毎に、捲られた頁紙葉の背部13と捲る前の頁紙葉の背部とは互いに対向して向き合い接触するものの、背部13の外面は全体に上向きの傾斜面Eを備えているので、捲られた頁紙葉の背部13が外方に鋭角方向に折れ曲がっても、捲る前の頁紙葉の背部13と対向接触して外方に平坦に捲られた頁紙葉の折目部分は、捲られていない頁紙葉の傾斜する背部13に沿って過不足なくスムーズに接触しながら捲る前の頁紙葉の傾斜面Eを下降する。
【0025】
このように、本発明の製本類の背部13に設けられた上向きの傾斜面Eは、捲られた頁紙葉の背部13と捲る前の頁紙葉の背部との対向接触により生じる窮屈な状態を回避させる作用がある。
【0026】
本発明の製本類は図2(b)に示すように、まず表表紙2を開放した後に、先頭頁紙葉12-1を捲ると、該先頭頁紙葉12-1の折目部分の背部13は外方に折り曲げられて、先頭頁紙葉12-1の折目部分の背部13は、捲る前の次の頁紙葉12-2の折目部分にある背部13の傾斜面E上部と向き合い対向する姿勢で接触するものの、過不足なく窮屈でない無理のない状態で対向接触するため、先頭頁紙葉12-1を捲った際には頁紙葉12-2が持ち上がることがなく円滑に開放されて、先頭頁紙葉12-1と次頁紙葉12-2とを、ほぼ180°の角度で平坦な水平状態に捲ることができる。
【0027】
また、図2(c)に示すように、順次、頁紙葉頁紙葉12-2、12-3を捲っていった際に、上記同様に頁紙葉12-2、12-3の折目部分の背部13は外方に折り曲げられて、頁紙葉12-2、12-3の折目部分の背部13は、捲る前の次の頁紙葉12-4、12-5、12-6の折目部分にある背部13の傾斜面Eと向き合い対向する姿勢で接触するものの、過不足なく窮屈でない無理のない状態で対向接触するため、先頭頁紙葉12-2、12-3を順次捲った際には次の頁紙葉12-3、12-4が持ち上がることがなく円滑に開放されて、頁紙葉12-2と次頁紙葉12-3及び頁紙葉12-3と次頁紙葉12-4とを、ほぼ180°の角度で平坦な水平状態に捲ることができる。
【0028】
そして、次の頁紙葉12-4、12-5を順次捲る際には、頁紙葉12-4、12-5の折目部分の背部13が外方に折り曲げられる。
【0029】
そして、その際には、既に捲られている頁紙葉12-1、12-2、12-3の折目部分の背部13は、図2(d)に示すように反転下向き姿勢の傾斜面Eとなって傾斜する背表紙3の内面と向き合い対向する姿勢で接触するものの、該背表紙3の内面に沿って過不足なく窮屈でない無理のない状態で対向接触しながらスムーズに滑るように降下するため、前記頁紙葉12-4、12-5を順次捲った際には、次の頁紙葉12-5、12-6(裏表紙4内面に接触している)が持ち上がることがなく円滑に開放されて、頁紙葉12-4と次頁紙葉12-5及び頁紙葉12-5と次頁紙葉12-6とを、ほぼ180°の角度で平坦な水平状態に捲ることができる。
【0030】
上記製本類のくるみ表紙1、平行四辺形筒体21、冊子体11に使用するフィルムやシート材料としては、厚紙、ダンボールシート、プラスチックシート(合成紙を含む)などが使用でき、また、厚さは特に限定されないが、例えば、紙葉11-1、11-2、11-3、・・・11-n、被覆紙葉15としては、100〜150μmのシート材料が使用でき、合紙頁紙葉12-1、12-2、12-3、・・・12-n、12-(n+1)は、例えば、その2倍の厚さ200〜300μmとなる。
【0031】
図3(a)〜(b)は、上記図1(a)〜(b)、図2(a)〜(d)に示す本発明の製本類の一実施例を示す全体斜視図であり、(a)はくるみ表紙1を閉じた状態、(b)はくるみ表紙1の表表紙2を開いた状態を示す。
【0032】
また、他の実施例としては、図3(a)〜(b)に示すように、くるみ表紙1の表表紙2と裏表紙4とを冊子体11のそれぞれ小口側端部より小口側に、幅5のように長く延設して表裏表紙2、4に延設部2a、4aを設けるようにしてもよい。
【0033】
そして、延設部2a、4aにより挟まれた空間内には、キーボード(鍵盤)、絵の具セット、小冊子類など、合紙本の内容に付帯する適宜な道具や用品類Bをその延設部2a、4aのいずれかに一体的に取り付けることができる。
【0034】
図4(a)〜(b)は、本発明の製本類のその他の実施例であり、図4(a)に示すように、くるみ表紙1の表表紙2と裏表紙4とを冊子体11のそれぞれ天側若しくは地側の端部より天側若しくは地側に、幅5のように長く延設して表裏表紙2、4に延設部2a、4aを設けたものであり、この延設部2a、4aにより挟まれた空間内には、キーボード(鍵盤)、絵の具セット、小冊子類など、合紙本の内容に付帯する適宜な道具や用品類Bをその延設部2a、4aのいずれかに一体的に取り付けることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の製本類は、各頁紙葉を捲った際に、その捲った頁紙葉の次の頁紙葉が持ち上がらず、見開き2ページ分の開放角度が180°の平坦な状態に円滑に開放でき、また、捲った頁紙葉の背部が、捲る前の頁紙葉の背部に対して向き合う姿勢で接触するものの、両背部はそれぞれ互いに下向きと上向きの同一角度の傾斜面にて接触し、また、捲った後の頁紙葉の背部は背表紙の内面に沿うように収まり、順次捲られる頁紙葉の背部は、過不足なく窮屈でない無理のない状態で、捲る前の頁紙葉の背部そして背表紙の内面に対して、順に対向接触しながらスムーズに滑るように降下するため、捲った頁紙葉の次の頁紙葉が持ち上がることがなく、ほぼ180°の見開きページ角度で平坦に各頁を捲ることができる効果がある。
【0036】
このように本発明の製本類は、合紙本をはじめとする製本類において、捲った頁紙葉の次の頁紙葉が持ち上がることなく、見開き2ページ分の開放角度を180°の平坦な状態に円滑に開放できるため、頁紙葉の捲り難さや読み難さなどを解消できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(b)は本発明の製本類の実施の形態を説明する側断面図。
【図2】(a)〜(d)は本発明の製本類の捲り状態を説明する側断面図。
【図3】(a)〜(b)は本発明の製本類における他の実施例を説明する全体斜視図。
【図4】(a)〜(b)は本発明の製本類におけるその他の実施例を説明する全体斜視図。
【図5】従来の製本類の形態を説明する側断面図。
【図6】(a)〜(b)は従来の合紙本の捲り状態を説明する側断面図。
【符号の説明】
A…本発明の合紙本 B…キーボード(鍵盤) C…従来の合紙本 D…台材
1…くるみ表紙 2…表表紙 2a…延設部 3…背表紙 4…裏表紙
4a…延設部 5…延設幅
11…冊子体 11-1、〜11-n…二つ折り紙葉 12-1〜12-n…頁紙葉
13…背部 14…背部シート 15…被覆紙葉
Claims (3)
- 表表紙2と背表紙3と裏表紙4とからなるくるみ表紙1の前記表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方内面に前記背表紙3側に背部13を向けて冊子体11を一体的に取り付けた製本類において、冊子体11の背部13外面が小口側方向に徐々に傾斜するように前記冊子体11が取り付けられていることを特徴とする製本類。
- 前記表表紙2又は裏表紙4のいずれか一方若しくは両方の小口側又は天地側の端縁部が、前記冊子体11の端縁部より外側に延設されている請求項1記載の製本類。
- 前記冊子体11が、n枚の各々二つ折り紙葉11-1、11-2、11-3、・・・11-nを互いにその各々折目を平行に小口側に徐々にずれ重ねて貼着した合紙冊子体であって、小口側に徐々に傾斜する傾斜背部13を備える請求項1又は請求項2記載の製本類。
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