JP5116762B2 - 本及び該本を製作する方法 - Google Patents

Description

本発明は、複数のシートを備えている本に関するものである。ここで、シートは、本の背部側で互いに結合されている。各シートの両ページの各々において、予め設定された周囲余白部の内側には、少なくとも文字群が実質的に形成されている。この文字群は、本の読者が読みとり方向に読むことができる文字行で構成されている。

この種の本は一般に知られている（特許文献１参照）。そして、このような本は、しばしば、例えばベッドに横たわった状態で読まれ、また晴天の日には、日照下の屋外で、マットレスの上あるいは浜辺の上に横たわった状態で読まれる。

オランダ王国特許第Ｃ１０２２８６６号明細書

しかし、横たわった状態で本を読む場合、以下のような問題が生じる。すなわち、本の読者は、あるページを読んでいるときに、該読者が横たわっている物、例えばマットレスなどの表面に本の背部を置くことになるが、この後で上記ページと対向しているページを読むためには、本の背部を持ち上げることが必要であるか、あるいは読者は反対側に向きを変えなければならない。横たわっているときに本を読むためのもう１つの方法は、頭の上方で、本を両手で保持することである。しかし、これは読者を非常に疲れさせ、いらいらさせる。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。

かくして、特許文献１は、２つの対向するページに同時に同一の文字群を印刷し、読者が同一内容である両ページのいずれかを選択して読めるようにした本を提案している。しかしながら、この場合、印刷すべき文字群の量が２倍になるといった問題がある。

本発明に係る本においては、少なくともほぼ全部のページ（at least almost all page）において、少なくともほぼ全部の文字行（at least almost all line）が、本の背部（spine）が伸びる方向と平行な方向に伸びている。隣り合う２つのシート（sheet）に属する４つのページのうちの隣り合う２つのページでは、文字行は、本が開かれた状態でその読みとり方向（reading direction）が同一となるように配列されている。この文字行の配列は、本の読者が、隣り合う２つのページの文字群（text）を、本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるように設定されている。したがって、本が開かれた状態では、文字群は、対向する２つのページを、連続する文字群として読むことができる。ここで、背部の継ぎ目（seam）は、両ページの中央部で文字行と平行な方向に伸びている。そして、両ページの文字群ないしは文字行のうちの半分は、この継ぎ目の上方に位置し、文字群の残りの半分は、この継ぎ目の下方に位置する。このため、読者は、例えばマットレスの上に載せている一方の手で、本を文字行の一方の側で保持しつつ、本を読むことができる。ここで、本は、文字行の左手側及び右手側のいずれでも保持することができる。かくして、読者は、どちら側を向いて横たわるかを、任意に選択することができるので、本を持ち上げる必要はない。

１つのシートの両ページでは、文字行は、本の読者が読むページを変えた後に、両ページの文字群を、本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるような形態でもって、読みとり方向が同一となるように好ましく配列されている。かくして、通常の読みとり方向において、読者に向かう側で、文字行の右側でシートを保持している場合は、シートが十分に薄ければ、読者から遠い側で、文字行を上から下に向かって同一の読みとり方向に読むことができる。

本発明に係る本は、開かれた状態では、１５ｃｍ×１０ｃｍの寸法より小寸法であるのが好ましく、１２ｃｍ×８ｃｍの寸法より小寸法であるのがより好ましい。このような寸法にすれば、開かれた状態で本を長時間にわたって片手で容易に保持することができる。本の少なくともほぼ全部の文字行（at least almost all lines）の両側の周囲余白部（margin）ないしはマージンは、少なくとも１．０ｃｍであるのが好ましく、少なくとも１．５ｃｍであるのがより好ましい。このようにすれば、読者は、本が開かれた状態で、該本を片手で一方の側で把持することができる。この場合、この手の親指は、背部の継ぎ目の上方及び下方の両方で周囲余白部を部分的に覆う（cover）ことができ、この手の他の指とでもって本のカバー側を把持する（clamp）ことができる。

シートの厚さは、０．１ｍｍ未満であるのが好ましく、０．０６ｍｍ未満であるのがより好ましく、０．０４ｍｍ未満であるのがさらに好ましい。本のシート数は少なくとも３０であるのが好ましい。本発明に係る本においては、少なくとも大半のページ（at least most pages）に、少なくとも５００の文字（character）が形成されているのが好ましく、少なくとも１０００の文字が形成されているのがより好ましく、少なくとも１５００の文字が形成されているのがさらに好ましい。このようにすれば、小寸法であるのが好ましい本に、十分な量の文字群、例えば１つの小説の全記載に相当する文字群を形成することができる。このような寸法の本は、旅行で携行するのにとくに適している。

従来の多くの本と同様に、すべてのシートは、２つずつ対をなし、各対の２つのシートが二つ折りに折られた１枚のリーフ（leaf）ないしは紙葉で形成されているのが好ましい。ここで、シートは、紙でつくられているのが好ましい。また、シートは、本の背部側で、縛り綴じ又は糊付け綴じにより結合されている（bound or glued）のが好ましい。本発明に係る本には、シートに比べて、より厚くかつより硬い（rigid）材料、例えば厚紙（cardboard）でつくられたカバーが設けられているのが好ましい。

本発明はまた、本を製作する方法に関するものでもある。この本においては、複数のシートが本の背部側で互いに結合され、各シートの両ページの各々において予め設定された周囲余白部の内側に少なくとも文字群が実質的に形成されている。ここで、文字群は、本の読者が読みとり方向に読むことができる文字行（line with words）で構成されている。この方法においては、本の少なくともほぼ全部のページを、少なくともほぼ全部の文字行が本の背部が伸びる方向と平行な方向に伸びるように形成する。そして、隣り合う２つのシートに属する４つのページのうちの隣り合う２つのページにおいて、文字行を、本が開かれた状態において読みとり方向が同一となるように配列する。この配列は、本の読者が、隣り合う上記２つのページの文字群を、本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるように行う。

本発明の実施の形態に係る本の斜視図である。

以下、添付の図面に示された典型的な実施の形態に基づいて、本発明をさらに詳しく説明する。

本１は厚紙製のカバー２（cover）を有し、このカバー２は、前側部３（front side）と後側部４（rear side）と背部５（spine）とを備えている。シート６（sheet）は、従来の普通の手法で、例えば未製本の状態で（in quires）縛り綴じにより互いに結合されて（bound）、カバー２に取り付けられている。図１に示す例では、本１の「８１ページ」と「８２ページ」とが開かれ、継ぎ目７（seam）は、背部５の伸びる方向と平行な方向に伸びている。

閉じられた状態における本１の寸法は、例えば、縦横１１ｃｍ×７．５ｃｍの長方形である。本１は、例えば、厚さが０．０５ｍｍの紙製のシートを２００枚有し、したがってページ数は４００である。本１に印刷された文字群は、例えば６０００００の文字（数字、記号を含む）で構成されている。

本１の文字群は、継ぎ目７と平行な方向に伸びるように印刷された文字行（数字、記号を含む）を有している。図１に示すように開かれた状態においては、「８１ページ」及び「８２ページ」の文字列は、読みとり方向が同一となるように印刷されている。このため、読者は、本１の向きを変え又は本１を回転させることなく、「８１ページ」及び「８２ページ」の両方の文字群を読むことができる。読者が８２ページの最後の行まで読んだときに、該読者は、この８２ページのシートをめくり、これにより８３ページ及び８４ページが開かれる。８３ページ及び８４ページの文字行の向きは、８１ページ及び８２ページの場合と同一である。かくして、読者は、本１の向きを変え又は本１を回転させることなく、本１を読むことができる。なお、本１のすべてのページが、前記と同様の向きに印刷されている。

本１の各ページにおいては、文字群の右手側及び左手側に、それぞれ、幅が少なくとも１．０ｃｍのマージンないしは周囲余白部９、１０が設けられている。かくして、読者は、一方の手のまっすぐに伸ばした親指で本１の上記ページを把持し（grip）、残りの指で本１のカバー２の後側部４を把持する（grip）ことにより、開かれた状態の本１を片手で保持することができる。このため、読者は、例えばベッドに横たわった状態で、右手又は左手のうちの所望の手でもって本１を保持することができる。

１ 本
２ 厚紙製のカバー
３ 前側面
４ 後側面
５ 背部
６ シート
７ 継ぎ目（シーム）
８ 文字行
９ 周囲余白部（マージン）
１０ 周囲余白部（マージン）

Claims (12)

1. それぞれ厚さが０．１ｍｍ未満である複数のシートを備えている本であって、
   上記複数のシートは、その側部が互いに結合されることなく、該本の背部側で互いに結合され、
   各シートの両ページの各々において予め設定された周囲余白部の内側に、少なくとも文字群が実質的に形成され、
   上記文字群は、該本の読者が読みとり方向に読むことができる文字行で構成され、
   該本の少なくともほぼ全部のページにおいて、少なくともほぼ全部の文字行が該本の背部が伸びる方向と平行な方向に伸び、
   隣り合う２つのシートに属する４つのページのうちの隣り合う２つのページにおいて、文字行は、該本が開かれた状態で読みとり方向が同一となるように配列され、
   該本の読者が、隣り合う上記２つのページの文字群を、該本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるようになっていることを特徴とする本。
2. １つのシートの両ページの文字行が、読みとり方向が同一となるように配列され、
   該本の読者が読むページを変えた後に、上記両ページの文字群を、該本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるようになっていることを特徴とする、請求項１に記載の本。
3. 該本が開かれた状態では、１５ｃｍ×１０ｃｍの寸法より小寸法であり、好ましくは１２ｃｍ×８ｃｍの寸法より小寸法であることを特徴とする、請求項１又は２に記載の本。
4. 該本の少なくともほぼ全部の文字行の両側の周囲余白部が少なくとも１．０ｃｍであり、好ましくは少なくとも１．５ｃｍであることを特徴とする、請求項１、２又は３に記載の本。
5. 上記シートの厚さが０．０６ｍｍ未満であり、好ましくは０．０４ｍｍ未満であることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１つに記載の本。
6. 該本が備えている上記シートの数は少なくとも３０であることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１つに記載の本。
7. 少なくとも大半のページに、少なくとも５００の文字が形成され、好ましくは少なくとも１０００の文字が形成され、より好ましくは少なくとも１５００の文字が形成されていることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１つに記載の本。
8. すべてのシートが２つずつ対をなし、各対の２つのシートが二つ折りに折られた１枚のリーフで形成されていることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか１つに記載の本。
9. 上記シートが紙でつくられていることを特徴とする、請求項１〜８のいずれか１つに記載の本。
10. 上記シートが、該本の背部側で、縛り綴じ又は糊付け綴じにより結合されていることを特徴とする、請求項１〜９のいずれか１つに記載の本。
11. 上記シートに比べて、より厚くかつより硬い材料でつくられたカバーが設けられていることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか１つに記載の本。
12. それぞれ厚さが０．１ｍｍ未満である複数のシートが、その側部が互いに結合されることなく、本の背部側で互いに結合され、各シートの両ページの各々において予め設定された周囲余白部の内側に少なくとも文字群が形成され、上記文字群が本の読者が読みとり方向に読むことができる文字行で構成されている本を製作する方法であって、
    上記本の少なくともほぼ全部のページを、少なくともほぼ全部の文字行が上記本の背部が伸びる方向と平行な方向に伸びるように形成し、
    隣り合う２つのシートに属する４つのページのうちの隣り合う２つのページにおいて、文字行を、上記本が開かれた状態において読みとり方向が同一となるように配列し、
    上記本の読者が、隣り合う上記２つのページの文字群を、上記本を回転させることなく同一の読みとり方向に読むことができるように配列することを特徴とする本を製作する方法。

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