JP3857768B2 - 二重管型排気マニホールド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジンのシリンダヘッドに取り付けられる排気マニホールドに係わり、特に、外管と内管との二重構造を備えた二重管型排気マニホールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の排気通路に触媒コンバータを配置し、この触媒コンバータにより、排ガス中に含まれる有害な一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)を浄化させることが行われている。
また、排ガスの低温時には、触媒コンバータの触媒活性が低下することが知られており、特に、排気通路が冷えているエンジン始動時には、排ガスが十分に浄化されない虞があった。
【0003】
このため、近時、排気マニホールドを二重構造として断熱用空間を形成し、排ガスの温度の低下を防止した二重管型排気マニホールドが開発されている。
図4は、このような二重管型排気マニホールドの一例を示しており、長尺状の外管1には、所定間隔を置いて突出部1aが4箇所形成されている。
これらの突出部1aの開口端には、それぞれシリンダヘッド取付用のフランジ3が溶接されている。
【0004】
また、外管1の長尺方向の開口端には、触媒コンバータ取付用のフランジ5が溶接されている。
さらに、外管1の内側には、断熱用空間7を介して外管1より一回り小さい内管9が配置されている。
また、外管1のフランジ5に近接する位置には、外管貫通穴1bが形成され、この外管貫通穴1bを覆って、酸素センサ取付穴11aを有するボス11が配置されている。
【0005】
さらに、図5に示すように、内管9の酸素センサ取付穴11aの軸長上には、内管貫通穴9aが形成されている。
また、内管貫通穴9aの内管開口縁部9bが、外管貫通穴1bに向けて突出し、突出した内管9の先端面9cが、外管1を押圧して外管1に密着され、断熱用空間7が密閉されている。
【0006】
そして、ボス11の外周が、外管1に溶接13されている。
また、外管1および内管9は、それぞれ横断面半円状の部品1c,1dおよび9d,9eを接合部1eおよび9fで突き合わせ、この接合部1e,9fを同時に溶接15することで形成されている。
上述した二重管型排気マニホールドでは、外管1と内管9との間に形成した断熱用空間7の断熱作用により、排ガスの温度の低下が防止される。
【0007】
そして、排気通路が冷えているエンジン始動時にも、触媒活性を低下させることなく、排ガスが浄化される。
また、エンジンの始動,停止により、内管9が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際には、内管9の先端面9cが、外管1を押圧した状態で外管1に沿って移動し、内管9の内管貫通穴9a付近での局部的な熱応力が緩和される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の二重管型排気マニホールドでは、内管貫通穴9aの内管開口縁部9bを、外管貫通穴1bに向けて突出させ、突出した内管9の先端面9cを外管1に押圧して密着しているため、ボス11を外管1に溶接13する際に、ビード13aが内管9の先端面9cまで形成され、内管9が外管1に溶接13されてしまうという問題があった。
【0009】
また、図6に示すように、ビード13aにより、内管9が外管1に溶接13されると、エンジンの始動,停止による内管9の円周方向への熱膨張あるいは熱収縮による熱応力が、ビード13a部に集中し、内管9に亀裂17が入るという問題があった。
さらに、内管9に亀裂17が入ると、断熱用空間7の断熱効果が低減し、エンジンの始動時に、排ガスが冷却され、触媒コンバータの触媒活性が低下し、有害物質が浄化されることなく大気中に放出されてしまう虞があった。
【0010】
また、図7に示すように、溶接13全体に亀裂17が入ると、外気が直接排気通路内に入り込むため、エンジン暖気後も排ガスが冷却され、有害物質が浄化されることなく大気中に放出されてしまう虞があった。
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構造で、熱応力による内管および外管の亀裂の発生を防止することのできる二重管型排気マニホールドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の二重管型排気マニホールドは、外管と、前記外管の内側に断熱用空間を介して配置される内管とを備え、前記外管と前記内管とに、それぞれ前記外管と前記内管とを連通する外管貫通穴と内管貫通穴とを形成し、前記外管貫通穴を覆って、前記外管上に機器取付穴を有するボスを溶接してなる二重管型排気マニホールドにおいて、前記外管貫通穴の外管開口縁部を、前記内管貫通穴に向けて突出し、前記内管に密着してなることを特徴とする。
【0012】
また、この二重管型排気マニホールドは、請求項1記載の二重管型排気マニホールドにおいて、前記ボスの下方に位置する前記外管貫通穴の周囲を、前記内管貫通穴側に向けて円錐台状に突出するとともに、この円錐台部の先端面を前記内管に密着してなることを特徴とする。
【0013】
(作用)
請求項1の二重管型排気マニホールドでは、ボスの下方に外管貫通穴が形成され、この外管貫通穴の外管開口縁部が、内管貫通穴に向けて突出され、内管を押圧して密着される。
【0014】
そして、外管と内管との間に形成される断熱用空間が、外管貫通穴の外管開口縁部と内管とにより密閉され、高い断熱性が保持される。
また、内管が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際には、内管貫通穴の周囲が外管を押圧した状態で外管開口縁部に沿って移動し、内管の内管貫通穴付近での局部的な熱応力が緩和される。
【0015】
さらに、この二重管型排気マニホールドでは、ボスの下方に位置する外管貫通穴の周囲が、内管貫通穴に向けて円錐台状に突出され、この円錐台部の先端面が、内管に密着される。
そして、外管と内管とが面で密着され、より気密性良く断熱用空間が密閉される。
【0016】
また、内管が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際には、内管貫通穴の周囲が外管を押圧した状態で外管の先端面に沿って移動し、内管の内管貫通穴付近での局部的な熱応力が緩和される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1および図2は、本発明の二重管型排気マニホールドの一実施形態を示しており、図1は、図2の要部の詳細を示している。
図2において、符号21は、例えば、肉厚1.5mmのステンレス鋼等からなる外管である。
外管21は、長尺状をしており、所定間隔を置いて円管状の突出部21aが4箇所形成されている。
【0019】
これらの突出部21aの開口端には、それぞれシリンダヘッド取付用のフランジ23が溶接されている。
また、外管21の長尺方向の開口端には、触媒コンバータ取付用のフランジ25が溶接されている。
さらに、外管21の内側には、断熱用空間27を介して外管21より一回り小さい、例えば、肉厚0.5〜0.8mmのステンレス鋼等からなる内管29が配置されている。
【0020】
また、外管21のフランジ25に近接する位置には、外管貫通穴21bが形成され、この外管貫通穴21bを覆って、例えば、鋳鉄等からなる円柱状のボス31が配置されている。
このボス31の中央には、雌ねじが形成される酸素センサ取付穴31aが形成されている。
【0021】
さらに、図1に示すように、内管29の酸素センサ取付穴31aの軸長上には、内管貫通穴29aが形成されている。
そして、ボス31の下方に位置する外管貫通穴21bの周囲が、内管貫通穴29aに向けて、外管開口縁部21cとともに突出され、円錐台部21dが形成されている。
【0022】
また、この円錐台部21dの先端面21eが、内管29を押圧して密着され、断熱用空間27が密閉されている。
さらに、ボス31の外周が、外管21に溶接33され、ビード33aが外管21に形成されている。
また、図3に示すように、外管21および内管29は、プレス加工等により形成される横断面半円状の部品21f,21gおよび29b,29cを、接合部21hおよび29dで突き合わせ、この接合部21hおよび29dを同時に溶接35することで形成されている。
【0023】
上述した二重管型排気マニホールドでは、外管21と内管29との間に形成した断熱用空間27の断熱作用により、排ガスの温度の低下が防止される。
そして、排気通路が冷えているエンジン始動時にも、触媒活性を低下させることなく、排ガスが浄化される。
また、エンジンの始動,停止により、内管29が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際には、内管29の内管貫通穴29a付近が、外管21を押圧した状態で外管21の先端面21eに沿って移動し、内管29の局部的な熱応力が緩和される。
【0024】
以上のように構成された二重管型排気マニホールドでは、ボス31の下方に位置する外管貫通穴21bの周囲を、内管貫通穴29aに向けて円錐台状に突出し、この円錐台部21dの先端面21eを、内管29に押圧して密着したので、外管21と内管29の密着位置を、ボス31と外管21との溶接33の位置から離すことができ、ビード33aにより、内管29が外管21に溶接されることがないので、内管29が外管21を押圧した状態で移動自在となる。
【0025】
したがって、エンジンの始動,停止により、内管29が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際にも、内管29の内管貫通穴29a付近が、外管21の先端面21eに沿って移動することができるので、内管29に発生したの局部的な熱応力を緩和することができ、熱応力による内管29の亀裂の発生を防止することができる。
【0026】
さらに、ボス31と外管21との溶接33の位置が、内管29と直接接しておらず、断熱用空間27を介しているので、排ガスの熱による局部的な熱応力が、溶接33部分に発生することがなく、溶接33部分に亀裂が発生することを防止することができる。
そして、外管21の先端面21eと内管29とにより、断熱用空間27を密閉することができるので、高い断熱性を保持することができる。
【0027】
なお、上述した実施形態では、外管21の肉厚および内管29の肉厚を、それぞれ1.5mmおよび0.5〜0.8mmにした例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、肉厚をそれぞれ1.2mmおよび0.4mmにしても良い。
また、上述した実施形態では、外管21および内管29をステンレス鋼で形成した例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものでなく、例えば、鋳鉄あるいはアルミニウム合金等で形成しても良い。
【0028】
さらに、上述した実施形態では、予め突出部21aが形成される横断面半円状の部品21f,21gを接合部21hで突き合わせて、外管21の突出部21aを形成した例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、油圧等を利用する一般にバルジ加工と称される方法により、突出部21aを形成しても良い。
【0029】
そして、上述した実施形態では、ボス31に酸素センサ取付穴31aを形成した例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものでなく、例えば、温度センサ取付穴を形成しても良く、あるいは、バイパスパイプ取付穴を形成しても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の二重管型排気マニホールドでは、ボスの下方に形成した外管貫通穴の外管開口縁部を、内管貫通穴に向けて突出し、この外管開口縁部を内管に押圧して密着したので、外管と内管の密着位置を、ボスと外管との溶接の位置から離すことができ、ビードにより内管が外管に溶接されることがないので、内管が外管を押圧した状態で移動自在になる。
【0031】
したがって、簡易な構造で、エンジンの始動,停止により、内管が円周方向に熱膨張あるいは熱収縮した際にも、内管に発生した局部的な熱応力を緩和することができ、熱応力による内管および外管の亀裂の発生を防止することができる。また、外管と内管とで断熱用空間を密閉したので、高い断熱性を保持することができる。
【0032】
また、この二重管型排気マニホールドは、ボスの下方に位置する外管貫通穴の周囲を、内管貫通穴に向けて円錐台状に突出し、この円錐台部の先端面を、内管に押圧して密着したので、外管と内管とを面により密着することができ、断熱用空間の密閉性をより高めることができる。
また外管と内管との密着位置を、ボスと外管との溶接の位置から離すことができるので、ビードにより内管が外管に溶接されることがなく、簡易な構造で、熱応力による内管および外管の亀裂の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の要部の詳細を示す断面図である。
【図2】本発明の二重管型排気マニホールドの一実施形態を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】従来の二重管型排気マニホールドを示す側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】内管に亀裂が生じた状態を示す断面図である。
【図7】外管および内管に亀裂が生じた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
21 外管
21b 外管貫通穴
21c 外管開口縁部
21d 円錐台部
21e 先端面
27 断熱用空間
29 内管
29a 内管貫通穴
31 ボス
31a 酸素センサ取付穴(機器取付穴)
Claims (1)
- 外管(21)と、前記外管(21)の内側に断熱用空間(27)を介して配置される内管(29)とを備え、前記外管(21)と前記内管(29)とに、それぞれ前記外管(21)と前記内管(29)とを連通する外管貫通穴(21b)と内管貫通穴(29a)とを形成し、前記外管貫通穴(21b)を覆って、前記外管(21)上に機器取付穴(31a)を有するボス(31)を溶接してなる二重管型排気マニホールドにおいて、
前記外管貫通穴(21b)の外管開口縁部(21c)を、前記内管貫通穴(29a)に向けて突出し、
前記ボス(31)の下方に位置する前記外管貫通穴(21b)の周囲を、前記内管貫通穴(29a)側に向けて円錐台状に突出するとともに、この円錐台部(21d)の先端面(21e)を前記内管(29)に密着し、
前記ボス(31)を前記外管(21)における前記円錐台部(21d)の外側に溶接してなることを特徴とする二重管型排気マニホールド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07119897A JP3857768B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 二重管型排気マニホールド |
Applications Claiming Priority (1)
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JP07119897A JP3857768B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 二重管型排気マニホールド |
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JPH10266847A JPH10266847A (ja) | 1998-10-06 |
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JP07119897A Expired - Fee Related JP3857768B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 二重管型排気マニホールド |
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JP2003074339A (ja) | 2001-06-18 | 2003-03-12 | Calsonic Kansei Corp | 二重管エキゾーストマニホールド |
-
1997
- 1997-03-25 JP JP07119897A patent/JP3857768B2/ja not_active Expired - Fee Related
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