JP3857501B2 - 金属体表面塗布用組成物および樹脂積層金属体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属体表面塗布用組成物および樹脂積層金属体に関する。さらに詳しくは、金属体の表面に熱可塑性樹脂の薄膜を接着・積層する際の接着強度を向上させ、作業環境を汚染することのない金属体表面塗布用組成物と、この組成物から形成される薄膜を介して熱可塑性樹脂の薄膜が金属体の表面に積層されてなる二次加工性に優れた樹脂積層金属体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属板に代表される各種金属体の表面に、種々の熱可塑性樹脂の薄膜を接着・積層して製造した樹脂積層金属体が提案されている。金属体に積層する薄膜の熱可塑性樹脂の種類を種々の用途に応じて選ぶことにより、この金属体に電気絶縁性、耐溶剤性、防錆性、意匠性などの種々の特性を付与することができるので、上記樹脂積層金属体は種々の分野で広く使用されている。
【0003】
金属体の表面に熱可塑性樹脂の薄膜を接着・積層する方法として、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンなどの熱硬化性樹脂を下地剤として使用して、熱可塑性樹脂の薄膜を接着・積層する方法が挙げられる。しかし、この熱硬化性樹脂を下地剤として使用して製造した樹脂積層金属体においては、熱可塑性樹脂の薄膜と金属体との間に形成される接着層の剛性が高いため、曲げ加工、絞り加工などの二次加工を施すのが困難であり、かつ、この二次加工を施す過程で下地となる薄膜が金属体から剥離し易いという欠点があった。
【0004】
このため、上記した熱硬化性樹脂を下地剤として使用する方法に代えて、特開平2−67386号公報に記載されているように、特定の有機化合物を有機溶媒中に溶解または分散させた有機系の接着剤組成物を金属体の表面に塗布し、その後特定の条件で熱処理して金属体の表面に下地となる薄膜を形成し、この薄膜上に熱可塑性樹脂薄膜を接着・積層する方法が提案されている。しかし、この方法によると、有機系の接着剤組成物に含まれる有機溶媒が熱処理する際に空気中に飛散するため、作業環境や工場近隣を汚染するという問題があった。
【0005】
そこで、上記有機系の接着剤組成物を使用する接着方法に代えて、エマルション系の接着剤組成物を使用して金属体の表面に下地となる薄膜を形成し、この薄膜の上に熱可塑性樹脂の薄膜を積層する手法が提案されている。このエマルション系の接着剤組成物は、分散媒体が水であるので有機系の接着剤組成物を使用する場合のように作業環境などを汚染することはないが、水は表面張力が大きいために金属体の表面におけるぬれ性に劣り、金属体の表面に均一な塗膜を形成することが困難であった。このため、熱可塑性樹脂の薄膜と金属体の表面とを均一に接着させることができず、接着強度が低下するという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記の状況に鑑み、熱硬化性樹脂を下地剤として使用して製造した樹脂積層金属体が二次加工性に劣り、他方、有機系の接着剤組成物を用いた場合にはこれに含まれる飛散する有機溶媒によって作業環境などが汚染されるという問題を解決するとともに、従来のエマルション系の接着剤組成物によっては金属体の表面に均一な下地となる塗膜を形成することが困難であるという欠点を解決した金属体表面塗布用組成物と、この組成物から形成される薄膜を介して熱可塑性樹脂の薄膜が金属体の表面に積層されてなる樹脂積層金属体とを提供すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
本発明の目的は、次のとおりである。
1.金属体の表面に下地となる塗膜を形成する際に、作業環境などが汚染されることのない、金属体表面塗布用組成物を提供すること。
2.金属体の表面におけるぬれ性に優れ、塗布された金属体の表面に均一な下地となる塗膜を形成することができる、金属体表面塗布用組成物を提供すること。3.上記金属体表面塗布用組成物から形成される薄膜を介して、熱可塑性樹脂の薄膜が金属体の表面に積層されてなる、二次加工性に優れた樹脂積層金属体を提供すること。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明では、金属体の表面に、金属体表面塗布用組成物製の薄膜を介して熱可塑性樹脂の薄膜が積層されてなる樹脂積層金属体において、上記金属体表面塗布用組成物は、水系媒体中にエポキシ樹脂粒子を乳化剤の添加によって分散させてエマルションとされ、金属体の表面との接触角が55°以下とされてなり、かつ、金属体の表面に塗布された後に350℃以上の温度での熱処理によって薄膜とされ、この薄膜上に熱可塑性樹脂の薄膜が積層されてなることを特徴とする、樹脂積層金属体を提供する。
【0010】
【発明の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る樹脂積層金属体を製造する際に、使用される金属体表面塗布用組成物(以下、単に「塗布用組成物」ということがある)は、各種金属体の表面に塗布され、特定の温度で熱処理されて薄膜を形成するものであり、熱可塑性樹脂の薄膜を上記金属体の表面に接着・積層する際の下地剤としての機能を果たす。
【0011】
塗布用組成物は、水系媒体にエポキシ樹脂粒子が分散されてエマルションとされてなる。このエポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタンエポキシ樹脂、グリセリントリエーテル型エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミンなどを挙げることができる。これらエポキシ樹脂は、1種でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。このエポキシ樹脂においては、粒子の平均粒径を0.1μm〜10μmの範囲、エポキシ当量を150〜3200の範囲とするのが好ましい。また、塗布用組成物中のエポキシ樹脂の濃度は、1〜60重量%の範囲とするのが好ましい。
【0012】
上記エポキシ樹脂粒子は、各種乳化剤の添加によって水系媒体に分散される。この乳化剤の具体例としては、脂肪酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、脂肪酸ポリエチレンポリアミド塩、アルキルイミダゾリンなどのカチオン界面活性剤、2−アルキルイミダゾリンの誘導体、レシチンなどの両性界面活性剤、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビタンエステルなどの非イオン界面活性剤のほか、特殊界面活性剤などを挙げることができる。
【0013】
塗布用組成物は、金属体の表面との接触角が55°以下となるように調整されてなる。この接触角を測定する方法は、金属体の表面に付着させた塗布用組成物の液滴の接触角を各種測定機器で測定する、いわゆる液滴法によるものとする。この接触角の大きさは、金属−塗布用組成物間の表面張力によって定まり、この表面張力は、塗布用組成物に添加する界面活性剤の種類や添加量によって容易に調整することができる。接触角が、上記乳化剤の存在によって55°以下とされている場合には、別途界面活性剤を添加する必要はなく、55°以上である場合には、上記乳化剤として用いた界面活性剤と同一または同種の界面活性剤をさらに添加して、上記接触角を55°以下に調整する。
【0014】
上記接触角が55°よりも大きいと、金属−塗布用組成物間の表面張力が大きくなって金属体の表面に均一な塗膜が形成されにくくなり、金属体の表面と塗布用組成物とが均一に接着されず、接着強度が低下することとなるので好ましくない。塗布用組成物には、上記界面活性剤のほかに、増粘剤や防腐剤などを添加することもできる。
【0015】
本発明に係る樹脂積層金属体(以下、「樹脂積層体」ということがある)は、金属体の表面に塗布用組成物から形成される薄膜を介して熱可塑性樹脂の薄膜が積層されてなるものである。この樹脂積層体を構成する金属体としては、金属製の板状体(金属板)のほか、棒状、円柱状、角柱状、円錐状など種々の立体的な形状とされた金属製の成形体を挙げることができる。金属体は、板状体のものが最も多く利用される。この金属体の材料となる金属の種類は特に限定されるものではなく、例えば、鉄、各種ステンレス、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、錫合金などを挙げることができる。なお、これら金属体の表面には、リン酸−クロム酸処理などの化成処理や、電解エッチングなどのエッチング処理を施してもよい。
【0016】
樹脂積層体を構成する金属体の表面には、塗布用組成物が塗布される。この塗布用組成物を金属体に塗布する方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法などを挙げることができる。中でも、この金属体が、コイル状に巻回されている金属板である場合には、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法などを採用することができる。
【0017】
金属体の表面に塗布された塗布用組成物は、350℃以上の温度で熱処理されて薄膜とされる。この熱処理の際の温度が350℃未満であると、熱可塑性樹脂の薄膜と金属体の表面との接着強度を高めることができないので好ましくない。上記温度で熱処理することによって高い接着強度が得られる理由は明確に説明できないが、熱処理によって、金属体の表面に塗布された塗布用組成物に含まれるエポキシ樹脂の熱分解が起こり、化学的に変性された薄膜が形成され、この変性された薄膜と熱可塑性樹脂の薄膜との間に相互作用が生じることにより、高い接着強度が得られるものと推察される。
【0018】
塗布用組成物の塗布量は、塗布される金属体の金属の種類、塗布用組成物の物性、樹脂積層体の用途などに応じて適宜決めるものとするが、熱処理後に形成される薄膜の厚さが0.01μm〜10μmの範囲になるようにするのが好ましい。薄膜の厚さが上記範囲外であると、金属体と熱可塑性樹脂の薄膜との接着強度が低下するため、得られた樹脂積層体に曲げ・絞りなどの二次加工を施す際に、金属体の表面から熱可塑性樹脂の薄膜が剥離し易くなるので好ましくない。この薄膜の厚さは、上記範囲の中でも0.02μm〜5μmの範囲とするのが特に好ましい。
【0019】
上記塗布用組成物が熱処理されて形成された薄膜の上には、熱可塑性樹脂の薄膜が積層される。この熱可塑性樹脂の薄膜用の材料としては、ポリアミド6に代表されるポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレンとアクリル酸誘導体との共重合体などの各種熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、この熱可塑性樹脂の薄膜の厚さは、樹脂積層体の用途に応じて適宜決めるものとし、例えば50μm〜500μmの範囲とすることができる。
【0020】
金属体に熱可塑性樹脂の薄膜を積層して樹脂積層体を製造する方法の代表的な例として、コートハンガーダイ、クロスヘッドダイ、Tダイ、Iダイなどの口金を装備した押出機により、熱可塑性樹脂の薄膜を押し出しながら金属体の表面に積層する、いわゆる押出ラミネート法を挙げることができる。金属体が板状体である場合には、あらかじめ製膜された熱可塑性樹脂の薄膜を用いて、この薄膜の軟化点以上に加熱された金属体の表面にニップロールで圧着する方法を採用することができる。これらの方法においては、熱可塑性樹脂の薄膜を金属体の表面に熱圧着した後に急冷することで目的とする樹脂積層体を得ることができるが、再度、熱可塑性樹脂の薄膜の軟化点以上の温度で熱処理することにより、接着強度を高めることができる。
【0021】
本発明に係る樹脂積層体は二次加工性に優れるため、特に平板状の樹脂積層体(樹脂積層板)を、曲げ加工、絞り加工などを経て製造される各種食品用の小型の金属缶、18リットル缶、ペール缶などの材料として好適に使用することができる。また、この樹脂積層体は、積層される熱可塑性樹脂の薄膜の材料となる熱可塑性樹脂の種類を適宜選ぶことにより、種々の分野で使用することができる。例えば、耐熱性、着色性、機械的強度に優れるポリプロピレン製の薄膜を金属板に積層して得られた樹脂積層板は、各種建築物の内装用の化粧板などに使用することもできる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0023】
[試験例1〜試験例4]
<金属体表面塗布用組成物の調製>
ポリオキシエチレンアルキルエーテルを有効成分とする非イオン系乳化剤(HLB:17〜18)を添加して、水95.0gにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190、分子量:400)5.0gを分散させたエポキシエマルションに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを有効成分とした非イオン界面活性剤A(曇点:39.8℃)0.1g、および、非イオン界面活性剤B(曇点:42.1℃)0.3gを添加して、試験例1ないし試験例3で用いる3種類の塗布用組成物を調製した。これらとは別に、試験例4で用いる蒸留水を用意した。
【0024】
<接触角の測定およびぬれ性の評価>
上記の3種類の塗布用組成物および蒸留水について、以下の方法で、接触角の測定とぬれ性の評価試験とを行った。その結果を、表−1に示す。
(a)接触角の測定:気温23℃、湿度50%の条件下で、厚さ0.3mmのステンレス薄板(430−2B)の上に、上記の3種類の塗布用組成物および蒸留水を任意の量滴下し、接触角計(協和界面科学社製、商品名:CA−A)を用いて、その接触角を測定する方法。
(b)ぬれ性の評価:任意のサイズに切断した上記ステンレス薄板上に、バーコーターを用いて、上記の3種類の塗布用組成物および蒸留水を塗布し、塗膜の状態を目視で観察し、はじきがなく均一な塗膜が形成されたものを○、はじいて塗膜が斑点状になったものを×と判定する方法。
【0025】
【表1】
【0026】
表−1から、次のことが明らかとなる。
(1)接触角が55°より大きい塗布用組成物を塗布したステンレス薄板上には均一な塗膜が形成されず、塗膜が斑点状になった(試験例1)。
(2)接触角が55°以下である塗布用組成物を塗布したステンレス薄板上には、均一な塗膜が形成された(試験例2および試験例3)。
(3)接触角が90°である蒸留水を塗布したステンレス薄板上には均一な塗膜が形成されず、塗膜が斑点状になった(試験例4)。
【0027】
[試験例5〜試験例9]
<樹脂積層金属体の調製>
厚さ0.3mmのステンレス薄板(430−2B)を4枚用意し、これらステンレス薄板の片面に、試験例2で用いた塗布用組成物を塗布して乾燥させ、厚さ0.5μmの薄膜を形成した。次いで、この薄膜を形成した各ステンレス薄板を、表−2で示した温度で熱処理した後、融点以上に加熱した厚さ20μmのポリアミド6の薄膜を、上記各ステンレス薄板に形成された薄膜上に積層して、試験例5ないし試験例8で用いる4種類の樹脂積層板を調製した。これらとは別に、上記ステンレス薄板を400℃の温度で熱処理した後、融点以上に加熱した上記ポリアミド6の薄膜を、試験例2で用いた塗布用組成物から形成される薄膜を介さずに、このステンレス薄板上に直接積層して、試験例9で用いる樹脂積層板を調製した。
【0028】
<樹脂積層金属体の評価>
上記の各樹脂積層板について、以下に記載した方法によって剥離接着強度および吸湿後剥離接着強度の測定を行った。その結果を、表−2に示す。
【0029】
(c)剥離接着強度の測定:上記の方法で調製した5種類の樹脂積層板をブランキングして、長さ100mm、幅30mm、厚さ0.32mmの試験片を得た。各試験片の積層面側に、この試験片長さ方向に沿って20mm間隔でノッチを2本設け、これら2本のノッチと直角なノッチをこの試験片の非積層面側に設け、この試験片を、積層面側を内側にしてこの非積層面側に設けたノッチの位置で180°折り曲げて剥離部分を形成した。次いで、50mm/minの剥離速度で、JIS K 6854に準拠して180°剥離試験を行い、剥離したときの荷重を測定する方法。なお、この剥離接着強度試験で剥離不可能であった試験片については、表−2において「剥離不可」と記載した。
【0030】
(d)吸湿後剥離接着強度の測定:上記の方法で調製した5種類の樹脂積層板をブランキングして、長さ100mm、幅30mm、厚さ0.32mmの試験片を得た。各試験片を気温60℃、湿度95%の雰囲気下に500時間晒した後、これら試験片について、上記剥離接着強度の測定で採用した方法と同様の方法で、剥離したときの荷重を測定する方法。なお、上記雰囲気下に晒した後、ポリアミド6の薄膜が自然に剥離していた試験片については、表−2において「自然剥離」と記載した。
【0031】
【表2】
【0032】
表−2から、次のことが明らかとなる。
(1)ステンレス薄板に、試験例2で用いた塗布用組成物を介してポリアミド6の薄膜を積層し、350℃より低い温度で熱処理を施して調製した樹脂積層板は、剥離接着強度が低く、さらに吸湿によっても剥離接着強度が低下し、自然剥離した(試験例5)。
(2)ステンレス薄板に、試験例2で用いた塗布用組成物を介してポリアミド6の薄膜を積層し、350℃より高い温度で熱処理を施して調製した樹脂積層板は、吸湿後の剥離接着強度の低下はみられるものの、良好な剥離接着強度を示した(試験例6ないし試験例8)。
(3)ステンレス薄板に、試験例2で用いた塗布用組成物を介さずにポリアミド6の薄膜を積層し、350℃より高い温度で熱処理を施して調製した樹脂積層板は、試験例5の樹脂積層板と比較して剥離接着強度が高いが、吸湿による剥離接着強度の低下が著しく、自然剥離した(試験例9)。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上詳細に説明した通りであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の効果は極めて大である。
1.本発明に係る樹脂積層金属体を製造する際に、使用される金属体表面塗布用組成物は、水系媒体にエポキシ樹脂粒子を分散させたエマルションを下地剤とするため、熱可塑性樹脂の薄膜を金属体の表面に接着・積層する際に、作業環境を汚染することがない。
2.本発明に係る樹脂積層金属体を製造する際に、使用される金属体表面塗布用組成物は、塗布される金属体の表面と特定の接触角をなすため、この金属体の表面におけるぬれ性に優れ、塗布された金属体の表面に均一な塗膜を形成することができる。
3.本発明に係る樹脂積層金属体を製造する際に、使用される金属体表面塗布用組成物は、塗布された金属体の表面に均一な塗膜を形成することができるため、熱可塑性樹脂の薄膜と金属体の表面とを均一に接着させることができ、両者の接着強度を高めることができる。
4.本発明に係る樹脂積層金属体は、本発明に係る樹脂積層金属体を製造する際に、使用される金属体表面塗布用組成物を金属体の表面に塗布し、これを特定の温度で熱処理して形成した薄膜に熱可塑性樹脂の薄膜を積層して製造するため、熱可塑性樹脂の薄膜と金属体の表面との接着強度が高く、二次加工性に優れる。
Claims (1)
- 金属体の表面に、金属体表面塗布用組成物製の薄膜を介して熱可塑性樹脂の薄膜が積層されてなる樹脂積層金属体において、上記金属体表面塗布用組成物は、水系媒体中にエポキシ樹脂粒子を乳化剤の添加によって分散させてエマルションとされ、金属体の表面との接触角が55°以下とされてなり、かつ、金属体の表面に塗布された後に350℃以上の温度での熱処理によって薄膜とされ、この薄膜上に熱可塑性樹脂の薄膜が積層されてなることを特徴とする、樹脂積層金属体。
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