JP3857159B2 - Iii−v族化合物半導体の成長方法、半導体素子および半導体装置 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体の成長方法、半導体素子および半導体装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素と、窒素以外の一種類以上のV族元素とを共にV族組成として含むIII-V族化合物半導体結晶の結晶成長方法、及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、III-V族化合物半導体の利用分野を大きく広げる新しい材料系として、V族組成比数%以下の窒素と、窒素以外のV族元素(砒素,燐等)とを共にV族組成として含むIII-V族化合物混晶半導体材料が提案された。砒素、燐といったV族元素と窒素とは、原子半径(窒素:0.070nmに対し、砒素:0.118nm、燐:0.110nm)や、電気陰性度(窒素:3.5に対し、砒素:2.4、燐:2.5)が大きく異なることから、窒化物と砒化物、あるいは窒化物と燐化物、あるいは窒化物と砒化物と燐化物とを混晶化することにより特異な物性が生じる。例えばGaInNAsの場合、GaInAsに、それよりも禁制帯幅の大きなGaInNを数%程度混晶化したものと考えられるが、混晶化に伴う禁制帯幅の変化のボーイングが非常に大きく、禁制帯幅の大きな系を数%混晶化しているにもかかわらず混晶化に伴って禁制帯幅が急激に狭くなる現象が見られる。
【0003】
このようにして得られるGaInNAsは、安価で良質なGaAs基板に概ね格子整合させつつ(あるいは数%以下の歪量で)、光ファイバー通信に重要な波長1.3μm、1.55μmあるいはそれよりも長波長で発光する発光デバイスの発光層に利用することができ、工業的に重要である。
【0004】
Photonics Technology Letters, Vol.10, No.4, April 1998, 487頁(以下、「第一従来例」という)には、上記の発光デバイスの一例である半導体レーザ素子の構成がより具体的に示されている。すなわち、活性層をGa0.7In0.3N0.01As0.99から成る量子井戸層とGaAsから成るガイド層とで構成し、これをAl0.3Ga0.7Asから成る上下クラッド層で挟んだ半導体レーザ構造をGaAs基板上に作製し、GaAs基板との格子整合系で構築された半導体レーザとしては初めて波長1.31μmにおける室温連続発振が報告されている。
【0005】
窒素と、窒素以外の一種類以上のV族元素とを共にV族組成として含むIII-V族化合物半導体結晶を結晶成長する方法として、Journal of Crystal Growth, Vol.164,1996年, 175頁(以下、「第二従来例」という)には、窒素原料としてプラズマ励起されたN2ガスを用いた分子線エピタキシャル成長(MBE)法に関する技術が報告されている。一方、Japanese Journal of Applied Physics, Vol.36, No.5A, 1997年, 2671頁(以下、「第三従来例」という), Japanese Journal of Applied Physics, Vol.36, No.12A, 1997年, L1572頁(以下、「第四従来例」という)には、窒素原料として有機窒素化合物(第三従来例ではジメチルヒドラジン(DMeHy)、第四従来例ではモノメチルヒドラジン(MMeHy))が用いられた有機金属気相成長(MO-CVD)法(第三従来例)あるいは有機金属分子線エピタキシャル成長(MO-MBE)法(第四従来例)に関する技術が報告されている。また、Applied Physics Letters, Vol.78, No.10, 2001年, 1364頁(以下、「第五従来例」という)には、窒素原料としてアンモニア(NH3)を用い、かつアンモニアの反応性を高める為にアルミニウムを添加しながらMBE法にて結晶成長を行う技術に関して報告されている。何れの場合においても、結晶成長中には全ての原料を同時に供給して結晶成長が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば第一従来例に示されたGa0.7In0.3N0.01As0.99混晶の場合、GaAsに、V族比1%の窒素と、III族比30%のインジウムが混晶化されているわけであるが、この様に、窒素と窒素以外のV族元素とをV族組成に有するIII-V族化合物半導体混晶においては、高混晶比(30〜40%)のインジウムを窒素と同時に混晶化する場合が多い。
【0007】
本願発明者の検討によると、組成比が概ね30%を超えるインジウムをGaAsに混晶化する場合、(a)結晶成長温度を低く(概ね500℃以下)、(b)成長速度を速く、(c)As圧を高く設定しなければ、インジウムが凝縮することによる3次元成長が起こり、その為に欠陥密度が高くなり、発光特性が優れなくなることがわかった。
【0008】
一方で窒素を混晶化するに当たっては、第三従来例から第五従来例に示した窒素化合物を窒素原料として用いる場合、上記の(a)結晶成長温度が低い場合には窒素原料の熱分解が十分に起こらず、窒素の取り込み効率が極めて悪くなる問題が生じる。また、そのような熱分解が不十分な原料を用いた場合、窒素と化学結合を作っている原料化合物中の水素や炭素といった不純物原子も結晶膜中に多く取り込まれる問題が生じる。また、第二従来例から第五従来例の何れに示された窒素原料を用いた場合においても、特にMBE成長においては、上記の(b)高成長速度、(c)高As圧といった成長条件は、結晶中への窒素の取り込みを抑制する方向に作用し、そのような成長条件で作製された結晶は、発光特性が劣る問題があることがわかった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決することを目的としたものであり、III族原料の供給条件に影響を受けることなく窒素の混晶化を行うことができ、発光特性に優れた、窒素と窒素以外のV族元素とをV族組成に有するIII-V族化合物半導体を得る為の結晶成長方法を提供するものである。
【0010】
さらに本発明は上記結晶成長方法により得られるIII-V族化合物半導体からなる半導体素子、さらに該半導体素子を使用して構成される半導体装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、III-V族化合物半導体、特にIII-V(N(As,P,Sb)族化合物半導体(但し、V(N(As,P,Sb)は、V族元素としてN元素を必ず含み、As,PまたはSbの少なくとも一種含んでいることを意味している。以下、同様である)の成長方法に関するものでり、III族元素源を含まず、V族元素の窒素源を含む原料を供給する工程(以下、「工程B」という)を含んでいることを大きな特徴としている。
【0012】
本発明の工程Bを含ませることにより、低成長温度、あるいは高成長速度、あるいは高As圧などといった、結晶中への窒素の取り込み効率を抑制する条件下で窒素の高効率での混晶化を行うことが可能となる。特に、本発明によりインジウムの高混晶化と窒素の高効率での混晶化との両立を図る場合に有用である。
【0013】
工程Bで供給される窒素源となる原料は、好ましくは、分子式が
【化2】
Figure 0003857159
で表されるガスである。
【0014】
また、工程Bにおいて、窒素源となる原料とともに、他のV族元素As,PまたはSb源となる原料と同時に供給されてもよい。
【0015】
本発明は、III族元素源を含む原料を供給する工程(以下、「工程A」という)と上記工程Bとを含む一連のシーケンス(これを「1サイクル」とする」)を繰り返すことによりIII-V(N(As,P,Sb))族化合物を成長させることができる。
【0016】
本願発明において、III族原料を供給する工程Aと窒素原料を供給する工程Bとを独立して含ませることができるため、例えば結晶成長温度が低い為に窒素原料の熱分解が不十分な場合においても、あるいはIII族原料の原料供給速度が速く結晶成長速度が速い場合においても、更にはIII族原料供給時のAs圧が高い場合においても、それらのIII族原料の供給条件に大きく左右されることなく十分な量の窒素原子を混晶化させることが可能となり、発光特性に優れた良質の混晶を得ることが出来る。
【0017】
本発明において、III族元素は、B,Al,Ga,In,Tlを意味しているが、Gaを主要元素とするB,Al,In,Tl、特にAl,Inの使用(混晶)を意図している。本発明はInを30〜40%(組成比)を含ませる場合に特に有用となる。
【0018】
V族元素は、N,P,As,Sb,Biを意味しているが、Asおよび/またはPを主要元素とし、N(必須),Sb、Biの使用(混晶)を意図している。本発明の方法は、化合物半導体組成中、Nを組成比として3%程度まで使用(混晶)させるのに有用な方法である。
【0019】
工程Aにおいて、III族元素源となる原料とともに、窒素源原料および/またはAs,PあるいはSbなるV族元素源となる原料を同時に供給してもよい。
【0020】
本発明のIII-V(N(As,P,Sb))族化合物半導体を成長させるに当たり、III族元素としてインジウムを含ませる場合、工程AでSbなるV族元素源の原料を同時に供給する場合、工程Aは、少なくともインジウム源を含む原料を供給する工程Aaと、インジウム源となる原料を含まず、SbなるV族元素源を含む原料を供給する工程Abとの2工程にすることが好ましい(実施形態8参照)。
【0021】
本発明のIII-V(N(As,P,Sb))族化合物半導体を成長させるに当たり、III族元素としてアルミニウムを含ませる場合、工程Aとは別に、アルミニウム源となる原料を含む原料を供給する工程Cを設けることが好ましい(実施態様6,7)。その場合、工程Aの後に工程Cを行い結晶成長を行うことが好ましい。また、工程Cと工程Bを合体させて、アルミニウム源となる原料と窒素源となる原料を同じ工程で供給してもよい。
【0022】
本発明においては、工程Aで形成される結晶の結晶成長速度は、1秒間に0.2分子層以上であることが好ましく(後記実施形態4,5および比較例5参照)、前記の一連のシーケンス(1サイクル)1回当たり、3分子層以下の結晶が成長するようにすることがよい(後記、実施形態2、3および比較例2、3を参照)。
【0023】
また、工程Aは、前記の工程Bよりも低い基板温度で実施されることがよい(実施形態7参照)。
【0024】
以下に、具体的に本発明の実施の形態を記述しながら本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書全体を通じて、「上」と示された方向は基板から離れる方向を示しており、「下」は基板へ近づく方向を示している。結晶成長は「下」から「上」の方向へ向かって進行する。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
ここでは、波長1.3μmで発光するGaAs/Ga0.7In0.3N0.01As0.99/GaAs単一量子井戸の作製方法について説明する。
【0026】
結晶成長は、ガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法により行った。III族原料,砒素原料にはそれぞれの固体金属ソース(金属ガリウム,金属インジウム,金属砒素(As4))を用い、窒素原料にはジメチルヒドラジン(DMeHy)を用いた。DMeHyは、ガス状の原料を、ガスセルを通して真空チャンバー内に導入し、基板に照射した。基板にはGaAs(100)を用い、結晶成長は基板温度400℃にて行った。
【0027】
Ga,As4原料を同時に供給することによって層厚1μmのGaAs下バリア層を結晶成長させた。その後、ウエル層であるGa0.7In0.3N0.01As0.99を、図1に示す原料供給シーケンスを有するサイクルを繰り返して成長させた。
【0028】
すなわち、まず工程1aにてGa,In,Asの原料分子線を1秒間供給した。ここでは、1秒間で、層厚1分子層相当のGa0.7In0.3Asが成長するように、Gaのビーム強度を3.5×10-7torr、Inのビーム強度を3.2×10-7torr、As4のビーム強度を1.5×10-5torrとした。
【0029】
続いて工程1bにてAs4分子線の供給量を5×10-6torrにまで低減するとともに、5秒間かけてバックグラウンドに存在する過剰なAsの追い出しを行った。続いて工程1cにて5×10-6torrのDMeHy分子線とAs4分子線を20秒間照射し、工程1dにて3秒間かけて再びAs4分子線の供給量を1.5×10-6torrに上昇させた。この工程1aから工程1dよりなる1サイクルを24回繰り返し、層厚約7nmのGaInNAs量子井戸を結晶成長した。
【0030】
この混晶結晶の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は1.3μm、発光の半値全幅は25meVであり、発光強度は非常に強いものであった。
【0031】
(比較例1)
比較のため、各原料の分子線強度を実施形態1に示した値と同じにしたまま、全ての原料ビームを同時に供給することにより混晶の結晶成長を行った。なお、砒素分子線は常に5×10-6torrとした。この場合、成長された混晶の窒素混晶比は約0.001であり、実施形態1の場合の約1/10程度であって、膜中への窒素の取り込みが著しく少なくなることがわかった。
【0032】
膜中への窒素の取り込み量を実施形態1と同等とする為にDMeHyの分子線強度を増加しての結晶成長も行ったが、窒素混晶比はDMeHyの分子線強度に比例して増えることはなかった。
【0033】
以下、実施形態1と比較例1とを参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
【0034】
本願発明者は、インジウム組成が30%を超える高インジウム組成の結晶を成長する場合、(a)結晶成長温度を低く、(b)成長速度を速く、(c)As圧を高く設定することが、インジウムの凝縮による3次元成長を抑制し、平坦で、発光特性に優れた結晶を得る為の条件であることを見い出した。特にインジウム組成を高く(35%以上)するにつれてこの傾向は強くなる。
【0035】
一方、窒素原料であるDMeHyについては、基板温度が低くなるにつれて熱分解されにくくなり、比較例1に示したように結晶中への窒素の取り込みが著しく低下するようになる。また、原料の熱分解が不十分な状態での結晶成長では、原料の熱分解と窒素の結晶中への取り込みは反応律速となっており、原料の供給量を増加させても窒素の取り込み量が飽和する傾向が見られる。
【0036】
実施形態1は、このような点を克服する為になされたものである。すなわち、図1の工程1aにてGa,In,As分子線を供給し、GaInAsからなる分子層を形成する。この時のGaInAsの成長速度は、1秒間に1分子層となるように設定されている。後述のように、この時のGaInAs分子層の成長速度は、GaInAs分子層の三次元成長を抑制する為に十分に速くする必要がある。
【0037】
続く工程1bにてバックグラウンドの過剰なAsを排気した後、DMeHy分子線とAs4分子線だけを供給している。この時、工程1aで作製されたGaInAsからなる分子層面に窒素が吸着するわけであるが、工程1cの時間を20秒と十分に長くすることによって1分子層あたりに供給される積算供給量を稼ぐことにより、DMeHyの熱分解効率が低い温度においても十分な分解・吸着反応が生じるようになり、熱分解反応が十分な高温成長時と同程度の窒素混晶比を容易に得ることができる。なお、工程1cにおいてDMeHy分子線と同時にAs4分子線を供給しているのは、工程1aにおいて作製されたGaInAs分子層表面からのAs原子の蒸発を抑える為である。As4分子線の供給を行わなければ、As原子が蒸発した上で窒素原料が供給され、最表面に相分離した窒化物が析出し、平坦な薄膜を得ることは出来なかった。
【0038】
実施形態1は、このように、工程1aにおける低温での十分に速い成長速度でのInを含む極薄層の形成と、それに引き続く工程1cでの十分に多くの積算供給量での窒素源の供給を行うことにより、高In組成と十分な窒素の取り込みとを両立し、結晶性に優れた混晶を得ることが出来るようになったものである。なお、膜中に取り込まれる窒素の混晶比は、窒素原料(DMeHy)のビーム強度(流量)と工程1cの時間とで決まるが、窒素原料の熱分解が不十分な温度での結晶成長においては窒素の取り込みが反応律速の状態にあり、必ずしも原料の供給量に比例して膜中の窒素混晶比が増加するわけではない。むしろ、窒素混晶比は工程1cの時間で制御する方が望ましい。
【0039】
なお、成長プロセスは図2に示すように、窒素原料を常に供給し続けても同様であった。また、As供給量を常に一定としても問題はなかった。
【0040】
(実施形態2,3)
ここでは、実施形態1に示した方法と同様の方法でGaAs/GaInNAs/GaAs単一量子井戸を作製した。実施形態1との違いは、III族原料の供給時間にあり、実施形態2では図1の工程1aの時間を2秒間(実施形態1の2倍)、実施形態3では3秒間(実施形態1の3倍)とした。III族原料の原料ビーム強度を変化させずにIII族原料の供給時間を2倍もしくは3倍としたことに伴って、図1の1サイクル当りに成長する層厚が、それぞれ2分子層及び3分子層となっている。それに伴い、図1の工程1cに相当する窒素原料を供給する時間を、実施形態2では実施形態1の2倍、実施形態3では実施形態1の3倍とし、実施形態1と同等の窒素が膜中に取り込まれるようにした。また、繰り返すサイクル数を、実施形態2では12回、実施形態3では8回とし、最終的に得られる結晶の層厚を約7nmに保った。
【0041】
(比較例2,3)
ここでは、実施形態1に示した方法と同様の方法でGaAs/GaInNAs/GaAs単一量子井戸を作製した。実施形態1との違いは、III族原料の供給時間にあり、比較例2では図1の工程1aの時間を4秒間(実施形態1の4倍)、比較例3では5秒間(実施形態1の5倍)とした。III族原料の原料ビーム強度を変化させずにIII族原料の供給時間を4倍もしくは5倍としたことに伴って、図1の1サイクル当りに成長する層厚が、それぞれ4分子層及び5分子層となっている。それに伴い、図1の工程1cに相当する窒素原料を供給する時間を、比較例2では実施形態1の4倍、比較例3では実施形態1の5倍とし、実施形態1と同等の窒素が膜中に取り込まれるようにした。また、繰り返すサイクル数を、比較例2では6回、比較例3では5回とし、最終的に得られる結晶の層厚を約7nmに保った。
【0042】
以下、実施形態1,2,3と比較例2,3とを参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
【0043】
図3に、作製した単一量子井戸の室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光強度の1サイクル当りの成長層厚依存性、つまりIII族ビームの供給時間依存性を示す。図3の横軸は1サイクル当りの成長層厚(分子層)であるが、実施形態1の成長条件に対するIII族ビーム供給時間の比でもあり、各プロットはそれぞれ実施形態1,2,3及び比較例2,3の場合に対応する。PL発光強度は1サイクル当りの成長層厚に依存し、1サイクル当りの成長層厚が薄い方が発光特性に優れ、1サイクル当りの成長層厚は3分子層以下であることが望ましいことがわかる。これは、図1における工程1aでのIII族ビーム供給時間を長くし、1サイクル当りの成長層厚を厚くした場合、窒素原料から供給される窒素原子が深さ方向に均一に浸透せず、窒素組成の分布が深さ方向に不均一となることによっている。特に、比較例3の様に5分子層以上の層厚を工程1aで形成してから窒素原料を供給した場合には、最表面に相分離した窒化物が析出し、発光強度が著しく低下する現象が見られた。このように、1サイクル毎に作製される結晶面は、3分子層以下とする薄い方が望ましい。
【0044】
(実施形態4,5)
ここでは、実施形態1に示した方法と同様の方法で波長1.3μmで発光するGaAs/Ga0.7In0.3N0.01As0.99/GaAs単一量子井戸を作製した。実施形態1との違いは、図1における工程1aでの原料のビーム量にあり、実施形態4では、Ga,In,As4の各原料のビーム強度を実施形態1の1/2倍とし、実施形態5では1/5倍とした。III族原料のビーム強度を1/2倍もしくは1/5倍としたことに伴って、図1における工程1aを、実施形態4では2秒(実施形態1の2倍)、実施形態5では5秒(実施形態1の5倍)とすることによって、1サイクル当りに成長する層厚を1分子層に保った。すなわち、実施形態1では工程1aでの成長速度が1分子層/秒であったのに対し、実施形態4,5ではそれぞれ0.5分子層/秒,0.2分子層/秒となる。実施形態4,5ともに、このサイクルを24回繰り返すことで層厚約7nmのウエル層を得た。
【0045】
(比較例4)
ここでは、実施形態1に示した方法と同様の方法で波長1.3μmで発光するGaAs/Ga0.7In0.3N0.01As0.99/GaAs単一量子井戸を作製した。実施形態1との違いは、図1における工程1aでの原料のビーム量にあり、比較例4では、Ga,In,As4の各原料のビーム強度を実施形態1の1/10倍とした。III族原料のビーム強度を1/10倍としたことからに伴って、図1における工程1aを、比較例4では10秒(実施形態1の10倍)とすることによって、1サイクル当りに成長する層厚を1分子層に保った。すなわち、実施形態1では工程1aでの成長速度が1分子層/秒であったのに対し、比較例4では0.1分子層/秒となる。このサイクルを24回繰り返すことで層厚約7nmのウエル層を得た。
【0046】
以下、実施形態1,4,5と比較例4とを参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
図4に、作製した単一量子井戸の室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光強度の、図1における工程1aでの成長速度(主にIII族原料供給量で決定される)依存性を示す。図4の横軸は、図1における工程1aでの成長速度であり、1秒間で形成される層厚(分子層)を示している。図4における各プロットは、実施形態1,4,5及び比較例4に示した方法で作製された量子井戸のPL発光強度を任意単位で示している。PL発光強度は工程1aにおける成長速度に依存し、III族ビーム強度を大きくし、成長速度を大きくする方が発光特性に優れる。また、成長速度を0.1分子層/秒とした比較例4では発光強度が著しく低下し、好ましくない。これは、III族ビーム強度を大きくし、III族面の成長速度を速めることにより、インジウムの表面マイグレーション過多によるインジウムの凝縮を抑制することが出来、欠陥密度の低い膜が得られるようになるものである。このように、III族組成にインジウムを含む場合には、インジウムを含むIII族原料のビーム強度を大きくし、図1の工程1aに相当するIII族供給ステップでの結晶の成長速度を大きくすること、特に0.2分子層/秒以上とすることが望ましいことがわかった。
【0047】
(実施形態6)
ここでは、窒素源にアンモニア(NH3)を用いての、波長1.3μmで発光するGaAs/AlGaInNAs/GaAs単一量子井戸の作製方法について説明する。
結晶成長は、ガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法により行った。III族原料,砒素原料にはそれぞれの固体金属ソース(金属アルミニウム,金属ガリウム,金属インジウム,金属砒素(As4))を用い、窒素原料にはアンモニア(NH3)を用いた。NH3は、ガス状の原料を、クラッキングやプラズマ励起を行わずにガスセルを通して真空チャンバー内に導入し、基板に照射した。基板にはGaAs(100)を用い、結晶成長は基板温度460℃にて行った。
【0048】
Ga,As4原料を同時に供給することによって層厚1μmのGaAs下バリア層を結晶成長した後、ウエル層であるAlGaInNAsを、図5に示す原料供給シーケンスにて成長を行った。すなわち、まず工程5aにてGa,In,Asの原料分子線を1秒間供給した。ここでは、1秒間で、層厚1分子層相当のGaInAsが成長するように、Gaのビーム強度を3.3×10-7torr、Inのビーム強度を3.7×10-7torr、As4のビーム強度を1.5×10-5torrとした。
【0049】
続く工程5bにてAs4分子線の供給量を5×10-6torrにまで低減するととも、5秒間かけてバックグラウンドに存在する過剰なAsの追い出しを行った。
【0050】
続く工程5cにてAlの原料分子線(=3.7×10-8torr)と5×10-6torrのNH3分子線とAs4分子線を1秒間照射した。
【0051】
続く工程5dではNH3分子線とAs4分子線とを40秒間照射した。次に、工程5eにて3秒間かけて再びAs4分子線の供給量を1.5×10-5torrに上昇させた。
【0052】
この工程5aから工程5eよりなる1サイクルを17回繰り返し、層厚5nmのAlGaInNAs量子井戸を結晶成長した。
【0053】
作製されたAlGaInNAs混晶の各組成の混晶比はAl0.05Ga0.62In0.33N0.012As0.988であった。この混晶結晶の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は1.3μm、発光の半値全幅は27meVであり、発光強度は非常に強いものであった。
【0054】
以下、実施形態6を参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
実施形態6では、窒素原料としてNH3を用いている。NH3は工業的に高純度のガスを入手することが出来る上、分子そのものにアルキル基等の炭素源を含んでおらず、またプラズマ化等の助けを借りることなく原料が熱分解するものであり、高純度・低欠陥の結晶を成長するのに望ましい原料である。反面、原料の熱分解の温度依存性が大きく、基板温度が低くなるに連れて熱分解されにくくなり、比較例5に見られるように、結晶中への窒素の取り込みが著しく低下するようになる。実施形態6は、このような点を克服する為になされたものである。すなわち、工程5aにてGa,In,As分子線を供給し、GaInAsからなる分子層を形成する。
【0055】
続く工程5bにてバックグラウンドの過剰なAsを排気した後、Al分子線・NH3分子線・As4分子線を供給し、その後に十分に長い時間NH3分子線とAs4分子線を供給を供給している。NH3は、実施形態6の様な低い温度では熱分解・表面吸着が起こりにくく、膜中への窒素の取り込みが小さくなるが、実施形態6のようにAlと同時にNH3を供給することによってAlの高い反応性を利用してNH3の触媒的分解と表面吸着の促進を行わせることが出来る。更に、Alの供給を終了した後にもNH3の供給時間を十分に長くすることによって1分子層あたりに供給される積算供給量を大きくすることにより、NH3の熱分解効率が低い温度においても十分な量の窒素の表面吸着が生じ、熱分解反応が十分な高温成長時と同程度の窒素混晶比を容易に得ることができるものである。なお、工程5dにおいてNH3分子線と同時にAs4分子線を供給しているのは、工程5aにおいて作製されたGaInAs分子層表面からのAs原子の蒸発を抑える為であり、As4分子線の供給を行わなければ平坦な薄膜を得ることは出来ない。実施形態6は、このようにして、Inの混晶化に必要な低い基板温度においてもNH3からの十分な窒素の取り込みを行うことが出来、結晶性に優れた混晶を得ることが出来るようになったものである。なお、膜中に取り込まれる窒素の混晶比は、窒素原料(NH3)のビーム強度(流量)と工程5c及び5dの時間とで決まるが、窒素原料の熱分解が不十分な温度での結晶成長においては窒素の取り込みが反応律速の状態にあり、必ずしも原料の供給量に比例して膜中の窒素混晶比が増加するわけではない。むしろ、窒素混晶比は工程5c及び5dの時間で制御する方が望ましい。また、NH3以外の原料を窒素源に用いた場合でも、Alとの同時供給によって窒素の取り込みを増加させることが出来るようになり、特に低温成長時には有効な技術となる。
【0056】
なお、成長プロセスは図6に示すように、Al原料と窒素原料は必ずしも同時に供給を開始する必要はなく、窒素原料の供給はAl原料の供給に前後してもよい、常に供給し続けてもよい。また、As供給量は常に一定のままであっても問題はない。また、図2に示したサイクルの様にNH3を常に供給し続けても良いことは言うまでもない。
【0057】
(実施の形態7)
ここでは、窒素源にアンモニア(NH3)を用いての、波長1.55μmで発光するGaAs/AlGaInNAs/GaAs単一量子井戸の作製方法について説明する。
【0058】
結晶成長は、ガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法により行った。III族原料,砒素原料にはそれぞれの固体金属ソース(金属アルミニウム,金属ガリウム,金属インジウム,金属砒素(As4))を用い、窒素原料にはアンモニア(NH3)を用いた。NH3は、ガス状の原料を、クラッキングやプラズマ励起を行わずにガスセルを通して真空チャンバー内に導入し、基板に照射した。基板にはGaAs(100)を用いた。
【0059】
Ga,As4原料を同時に供給することによって層厚1μmのGaAs下バリア層を結晶成長した後、ウエル層であるAlGaInNAsを、図7に示すシーケンスにて成長を行った。すなわち、まず工程7aにて、基板温度450℃でGa,In,Asの原料分子線を2秒間供給した。ここでは、2秒間で、層厚1分子層相当のGaInAsが成長するように、Gaのビーム強度を1.6×10-7torr、Inのビーム強度を2.0×10-7torr、As4のビーム強度を1.0×10-5torrとした。
【0060】
工程7bにて、As4分子線の供給量を5×10-6torrにまで低減することによってバックグラウンドに存在する過剰なAsの追い出しを行い、基板温度(Tg)を500℃に上昇させた。
【0061】
工程7cにてAlの原料分子線(=1.8×10-8torr)と5×10-6torrのNH3分子線とAs4分子線を2秒間照射し、続く工程7dではNH3分子線とAs4分子線とを45秒間照射した。
【0062】
工程7eにて再びAs4分子線の供給量を1.0×10-5torrに上昇させるとともに、基板温度(Tg)を450℃に低減した。この工程7aから工程7eよりなる1サイクルを28回繰り返し、層厚約8nmのAlGaInNAs量子井戸を結晶成長した。
【0063】
作製されたAlGaInNAs混晶の各組成の混晶比はAl0.05Ga0.59In0.36N0.02As0.98であった。この混晶結晶の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は1.3μm、発光の半値全幅は27meVであり、発光強度は非常に強いものであった。
【0064】
以下、実施形態7を参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
実施形態7では、実施形態6と同じく窒素原料としてNH3を用いている。実施形態6は、低温でのNH3の分解効率の低下を補うため、Alを添加するとともに、添加したAlに十分な時間をかけてNH3を供給し、窒素原子の表面吸着量を稼いでいる。実施形態7においては、NH3からの窒素の効率を更に高める方法を示している。すなわち、工程7aにて、低い基板温度でGa,In,As分子線を供給し、GaInAsからなる分子層を形成する。これまでにも述べているように高混晶のInを混晶化させるには低温での成長が必須となる。続く工程7bにてバックグラウンドの過剰なAsを排気しながら基板温度を上昇させた後にAl分子線・NH3分子線・As4分子線を供給し、その後に十分に長い時間NH3分子線とAs4分子線を供給を供給している。低温で形成されたGa,In,Asを含む膜の上にAlとNH3とを供給することによって表面に窒素原子を吸着させる点は実施形態6と同じであるが、実施形態7ではNH3を供給する工程7cと工程7dの間だけ基板温度を上昇させ、NH3の熱的な分解・吸着反応を更に促進させている。つまり、In源と窒素源との供給を時間的に分離するとともに、基板温度についてもそれぞれに対して好ましい温度に設定することが出来るようになり、所望の混晶比を効率良く作製することが出来、結晶性に優れた混晶を得ることが出来るようになったものである。
【0065】
なお、膜中に取り込まれる窒素の混晶比は、窒素原料(NH3)のビーム強度(流量)と工程7c及び工程7dの時間とで決まるが、窒素原料の熱分解が不十分な温度での結晶成長においては窒素の取り込みが反応律速の状態にあり、必ずしも原料の供給量に比例して膜中の窒素混晶比が増加するわけではない。むしろ、窒素混晶比は工程7c及び工程7dの時間で制御する方が望ましい。また、NH3以外の原料を窒素源に用いた場合でも、同様のシーケンスで結晶成長を行うことが出来る。また、DMeHyなどのNH3よりも熱分解が比較的高い原料を用いた場合、実施形態5のシーケンスからAlの供給を省略することも出来る。
【0066】
なお、成長プロセスは図6でも述べたように、Al原料と窒素原料は必ずしも同時に供給を開始する必要はなく、窒素原料の供給はAl原料の供給に前後してもよいし、常に供給し続けてよい。また、As供給量は常に一定のままであっても問題はない。
【0067】
(実施形態8)
ここでは、波長1.3μmで発光するGaAs/GaInNAsSb/GaAs単一量子井戸の作製方法について説明する。
【0068】
結晶成長は、ガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法により行った。III族原料,砒素原料にはそれぞれの固体金属ソース(金属ガリウム,金属インジウム,金属砒素(As4),金属アンチモン)を用い、窒素原料にはモノメチルヒドラジン(MMeHy)を用いた。MMeHyは、ガス状の原料を、クラッキングやプラズマ励起を行わずにガスセルを通して真空チャンバー内に導入し、基板に照射した。基板にはGaAs(100)を用い、結晶成長は基板温度460℃にて行った。
【0069】
Ga,As4原料を同時に供給することによって層厚1μmのGaAs下バリア層を結晶成長した後、ウエル層であるGaInNAsSbを、図8に示す原料供給シーケンスにて成長を行った。
【0070】
まず工程8aにてGa,Sb,Asの原料分子線を1秒間供給した。ここでは、1秒間で、層厚1原子層相当のGaが供給されるように、Gaのビーム強度を5.1×10-7torrとした。As4,Sbのビーム強度は1.0×10-5torr,1×10-6torrである。
【0071】
次に工程8bにてIn,Asの原料分子線を1秒間供給した。ここでは、1秒間で、層厚0.15原子層相当のInが供給されるように、Inのビーム強度を1.6×10-7torrとした。As4のビーム強度は1.0×10-5torrである。
【0072】
続いて工程8cにてAs4分子線の供給量を5×10-6torrにまで低減するととも、5秒間かけてバックグラウンドに存在する過剰なAsの追い出しを行った。
【0073】
続く工程8dにて3×10-6torrのMMeHy分子線とAs4分子線を20秒間照射した。
【0074】
次に、工程8eにて3秒間かけて再びAs4分子線の供給量を1.0×10-5torrに上昇させた。この工程8aから工程8eよりなる1サイクルを35回繰り返し、層厚10nmのGaInNAsSb量子井戸を結晶成長させた。
【0075】
作製されたAlGaInNAs混晶の各組成の混晶比はGa0.87In0.13N0.01As0.89Sb0.1であった。この混晶結晶の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は1.3μm、発光の半値全幅は28meVであり、発光強度は非常に強いものであった。なお、図9に示すように、図8における工程8aと工程8bの順序を入れ替えて実施しても同様の結果となった。
【0076】
以下、実施形態8を参照しながら、本発明の作用・効果について説明する。
【0077】
本願発明者の検討によると、Sbの混晶化に関して、Inを含まない材料系(例えばGaAsやAlGaAs)にSbを混晶化することは容易であるのに対し、Inを含む材料系(例えばGaInAs)にSbを混晶化するすることは非常に困難であることがわかった。例えば、図10に示したようにInとSbとを同時に供給した場合には、Sbの膜中への取り込み効率は著しく低くなるとともに、結晶性が著しく悪化することがわかった。これは、Inを含む混晶系とSbを含む混晶系とを混合した場合の非混和領域が非常に大きくなる為であり、Inを含む系とSbを含む系とは安定した混晶相を作らないことによると思われる。これが、図10のようなInとSbを同時に供給するシーケンスを用いた場合にSbの膜中への取り込み効率が低くなる原因であると考えられる。
【0078】
一方実施形態8では、Sbを(In以外のIII族元素である)Gaと結合させる工程8aと、Inを混晶化させる工程8bとが時間的に分離され、その結果、InとSbとが結晶膜成長時に空間的にも分離されることにより、上記に示したようなInを含む混晶系とSbを含む混晶系との非混和の問題を回避しているものである。
【0079】
このようにInとSbの原料を時間的に分離して供給し、空間的に分離することによって、非混和性に起因する結晶性の悪化と膜中へのSbの取り込みの低下という問題を回避することが出来るようになったわけであるが、更にInとSbとの分離を強くする為に図13に示す成長シーケンスを用いることも効果的であった。すなわち、In源を含みSb源を含まない原料を供給する工程13aを実施した後、In源もSb源も含まない原料を供給する工程13bを実施し、引き続いてIn源を含まずSb源を含む原料を供給する工程13cを実施する。これにより、工程13aによって形成されるInを含む層と、工程13cによって形成されるSbを含む層の間に、InもSbも含まない中間層(ここではGaAs)が工程13bによって形成されることになり、Inを含む層とSbを含む層とは、その界面も含めて接することがなくなる。よって、Inを含む層とSbを含む層との界面での非混和性の問題が回避されるようになり、結果としてより結晶性に優れた結晶が得られるようになる。なお、工程13aと工程13cとは入れ替わっていてもよい。また、この時の中間層としてはGaAsであることが望ましい。この中間層は、下地を完全に覆い隠す必要があることから1分子層以上である必要があり、また全体の結晶組成に及ぼす影響が少なくなるよう2分子層以下程度であることが望ましい。また、図14に示すように工程14eからのIII族の供給をストップする工程の直前に工程14dに示すようなInもSbも含まないキャップ層を成長することも可能である。このキャップ層により、Inの表面偏析やSbの熱蒸発を抑制することが出来る。このキャップ層もGaAsであることが望ましく、層厚は1分子層以上2分子層以下程度とするのが望ましい。なお、III族元素やSbを供給する各工程は必ずしも連続している必要はなく、例えばAsだけを供給する成長中断時間を設けてもよい。このことは他の全ての実施形態に当てはまる。また各工程でAs供給量は一定とする必要もなく、変化してもよい。例えば図15におけるIn供給工程である工程15aにおけるAs供給量を高めた場合、Inのマイグレーションを抑えて表面の平坦化が促進される効果や、Inの表面偏析を抑制してSbとの空間的分離がより強くなる効果が期待される。
【0080】
また、膜中への窒素の取り込みについては、これまでに他の実施形態で述べてきたように、MMeHyの熱分解効率が低い基板温度においても十分な窒素の表面吸着反応が生じるように、工程8dでのMMeHyの積算供給量を十分に大きくしている。なお他の実施形態で述べたように窒素原料を供給する際に同時にAlを供給してもよいし、窒素原料は他の原料であってもよいことは言うまでもない。
【0081】
(実施形態9)
ここでは、窒素源にアンモニア(NH3)を用いて、AlGaInP/GaInPN/AlGaInP単一量子井戸の作製方法について説明する。
結晶成長は、有機金属気相成長(MO-CVD)法により行った。III族原料には有機金属ガス(トリメチルアルミニウム(TMAl),トリメチルガリウム(TMGa),トリメチルインジウム(TMIn))を用い、燐原料及び窒素原料にはフォスフィン(PH3)及びアンモニア(NH3)を用いた。いずれのガスも、水素ガスをキャリアとしてリアクター内に導入した。基板にはGaAs(100)面5度オフ基板を用い、結晶成長は基板温度550℃にて行った。また結晶成長時の圧力は76torrとした。
【0082】
まず、必要な原料を同時に供給することによって層厚1μmの(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P下バリア層を結晶成長した後、ウエル層であるGaInPNを、図11に示す原料供給シーケンスにて成長を行った。
【0083】
工程11aにてGa,In,Pの原料を2秒間供給した。ここでは、2秒間で、層厚1分子層相当のGaInPが成長するように、各原料の供給流量を調節した。続いて工程11bにてPH3だけを5秒間供給した。続いて工程11cにてNH3ガスを15秒間照射した。次に、工程11dにて3秒間だけPH3を供給した。
【0084】
上記工程11aから工程11dよりなる1サイクルを17回繰り返し、層厚5nmのGaInPN量子井戸を結晶成長させた。
【0085】
作製されたGaInPN混晶の各組成の混晶比はGa0.6In0.4P0.99N0.01であった。この量子井戸構造の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は約700nm、発光の半値全幅は30meVであり、発光強度は非常に強いものであった。
【0086】
(実施形態10)
図12に、本願発明の半導体装置の一形態である半導体レーザ素子1200を示す。この半導体レーザ素子1200はGaAs基板の上に構成され、波長1.3μmでレーザ発振するように設計されている。図12の構成において、活性層である井戸層1206を構成する化合物半導体層は、実施形態1に示された方法によって結晶成長された点に特徴がある。各部の詳細は次の通りである。
【0087】
p型側電極金属1201・・・AuZn
電流狭窄層1202・・・ポリイミド
コンタクト層1203・・・p型GaAs,0.5μm
上クラッド層1204・・・p型Al0.4Ga0.6As,1μm
上ガイド層1205・・・i(真性)-GaAs,0.1μm
井戸層1206・・・i-Ga0.7In0.3N0.01As0.99,7nm
下ガイド層1207・・・i(真性)-GaAs,0.1μm
下クラッド層1208・・・n型Al0.4Ga0.6As,1μm
基板1209・・・n型GaAs
n型電極金属1210・・・AuGe
【0088】
GaAs(100)基板1209の上に、下クラッド層1208から下ガイド層1207に至る各層をガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法を用いて、必要な原料を同時に供給する通常の方法により結晶成長を行った。この時に用いられたMBE法では、窒素を除く各元素(Al,Ga,In,As)の原料には、全て固体ソース(金属Al,金属Ga,金属In,金属As)を用いた。
【0089】
続いて実施形態1に示された方法によって井戸層1206を結晶成長し、再び必要な原料を同時に供給することによって上ガイド層1205からコンタクト層1203に至る各層の結晶成長を行った。GS-MBE法による結晶成長の後、上クラッド層1204の一部を幅2μmのストライプ状にエッチング加工してリッジ型導波路構造とし、リッジ側面にはポリイミドによる電流狭窄層1202を施し、上下に電極1201,1210を形成した。続いてリッジに直交する方向に、劈開により端面ミラーを形成した。
【0090】
半導体レーザ素子1200は、波長1.3μmでレーザ発振した。共振器長(L)を300μmとした時のレーザ発振開始時の閾値電流密度Jthは0.4kA/cm2であり、低電流でのレーザ発振が見られた。素子温度20℃から90℃における特性温度T0は187Kであり、温度特性に優れていた。
【0091】
また、井戸層の結晶成長方法については、実施形態1に示した方法のみならず、他の実施形態で示した方法によっても、優れた特性の半導体レーザ装置を得ることが出来た。
【0092】
(実施形態11)
ここでは、波長1.3μmで発光するGaAs/GaAs0.88Sb0.1N0.02/GaAs単一量子井戸の作製方法について説明する。
結晶成長は、ガスソース分子線エピタキシャル成長(GS-MBE)法により行った。III族原料,砒素原料,アンチモン原料にはそれぞれの固体金属ソース(金属ガリウム,金属砒素(As4),金属アンチモン(Sb4))を用い、窒素原料にはジメチルヒドラジン(DMeHy)を用いた。DMeHyは、ガス状の原料を、ガスセルを通して真空チャンバー内に導入し、基板に照射した。基板にはGaAs(100)を用い、結晶成長は基板温度450℃にて行った。
【0093】
Ga,As4原料を同時に供給することによって層厚1μmのGaAs下バリア層を結晶成長した後、ウエル層であるGaAsSbを、図16に示す原料供給シーケンスにて成長を行った。すなわち、まず工程16aにてGa,As,Sbの原料分子線を1秒間供給した。ここでは、1秒間で、層厚1分子層相当のGaAsSbが成長するように、Gaのビーム強度を7.0×10-7torr、As4のビーム強度を1.5×10-5torr、Sb4のビーム強度を1.2×10-6torrとした。続く工程16bでは3秒間As4分子線のみ供給し、工程16cにおいてその供給量を5×10-6torrにまで低減するとともに、5秒間かけてバックグラウンドに存在する過剰なAsの追い出しを行った。続いて工程16dにて5×10-6torrのDMeHy分子線とAs4分子線を30秒間照射し、工程16eにて3秒間かけて再びAs4分子線の供給量を1.5×10-6torrに上昇させた。この工程16aから工程16dよりなる1サイクルを24回繰り返し、層厚約7nmのGaAsSbN量子井戸を結晶成長した。
この混晶結晶の、室温におけるPL(フォトルミネッセンス)発光波長は1.3μm、発光の半値全幅は26meVであり、発光強度は非常に強いものであった。
【0094】
本願発明は、結晶組成としてインジウムを含む場合に大変効果的であるが、一方でこの実施形態のようにインジウムを含まない場合においても低温にて大きな窒素混晶比を得る方法として有用である。特にこの実施形態のように、蒸気圧が高く、高温での結晶成長では蒸発が激しいアンチモンを混晶化する場合、低温でも高い窒素混晶比が得られる点で有効となる。
なお、ここでも、窒素源としてアンモニアを用い、アルミニウムを添加することも可能である。
【0095】
(実施形態12)
これまでに示した実施形態による結晶成長方法を、応用システムの作製に適用した。ここではその一例として、光通信システムに用いられる光送受信モジュールの作製に応用した場合について説明する。
光ファイバーを通して光信号のやり取りを行う光ネットワークシステムにおける、光送受信モジュール1700を作製した。略図を図17に示す。光ファイバー1707を通して送られてきた波長1.3μmの光信号は、a点から光導波路1703に結合され、光導波路1703を導波する。Y分岐部1706では導波されてきた光信号が50:50に分岐され、一方がb点を通して受光用ディテクター部1705に達し、送られてきた光信号が電気信号に変換される。一方送信機能としては、半導体レーザ部1702によって電気信号が光信号に変換され、c点を通して導波路1703に結合され、a点から光ファイバー1707へ送信される。出力モニター部1704は、半導体レーザの光出力を後端からモニターするものである。
【0096】
この光送受信モジュールを構成する送信用半導体レーザ部1702、受光用ディテクター部1705、送信用半導体レーザの出力モニター部1704、光導波路部1703は一回の結晶成長により作製されており、それぞれの微小素子がモノリシック集積されている。送信用半導体レーザ部1702、受光用ディテクター部1705、送信用半導体レーザの出力モニター部1704の層構造は、実施形態10で示したものと同一であり、量子井戸活性層あるいはコア層の井戸層部に本願発明の結晶成長方法が適用されていることで当該層の結晶性が高められており、高性能化されている。光導波路部1703は、上面からZnを拡散することによってコア層の量子井戸構造を無秩序化し、波長1.3μmの光に対して透明となるようにしている。それぞれの微小素子は、ドライエッチングにより加工・分離されている。
【0097】
この光送受信モジュールでは、送信用半導体レーザ部1702、受光用ディテクター部1705、送信用半導体レーザの出力モニター部1704の井戸層において、本願発明の結晶成長方法が適用されていることにより、半導体レーザ部においては低消費電力化、ディテクター・モニター部においては光-電気変換効率が大幅に向上しており、システム全体の性能の向上をはかることができている。
【0098】
上記においては光ファイバー通信システムへの応用について示したが、光ファイバーを用いない空間光伝送システム、あるいは光によるセンサー機能を有する光計測システム、レーザを利用した医療用機器などの他の応用システムにおいて同様の構成が可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0099】
実施形態1〜8では(Al)GaInNAs(Sb)混晶の結晶成長方法について示したのに対し、実施形態9ではそれらと異なる結晶系であるGaInPN混晶について示している。本発明はこのような特定の結晶系、混晶組成、バンドギャップ波長、ヘテロ接合の組み合わせ、デバイス構造に限定されるものではないことは言うまでもない。例えば、波長1.3μm,1.55μm以外の波長で発光するGaInNAs混晶あるいはGaInNAsSb混晶あるいはInGaAsPN混晶、可視光で発光する(Al)GaInPN混晶、Siに概ね格子整合するGaPN混晶、その他にもGaAsPN混晶、InAsPN混晶等の作製に効果的である。
【0100】
また上記いずれの実施形態ではIII-V族化合物半導体に数%(0.5〜3%程度)の窒素を混晶化する場合を取り上げたが、実施形態として詳細を説明した以外のIII族元素(B,Tl等)やV族元素(Bi)が適宜混晶化されていてもよいし、不純物元素(Zn,Be,Mg,Te,S,Se,Si等)が適宜含まれていてもよい。また、基板についても実施形態に示したものに限定されるものではなく、別の基板を用いても同様の効果が得られる。例えばInGaAs,InP,GaSb基板などのその他のIII-V族化合物半導体基板、ZnSe基板などのII-VI族化合物半導体基板、Ge,SiC基板などのIV族半導体基板、ガラス・プラスチック・セラミックス等を用いることができる。
【0101】
また、結晶成長に用いる各構成元素の原料については、実施形態に記述した特定の原料、あるいはそれぞれの原料の特定の組み合わせに限定されるものではなく、任意の原料を任意の組み合わせで用いることができることは言うまでもない。
【0102】
また、結晶成長方法においても、MBE法やGS-MBE法のみならず、他の方法を適宜選択し得る。例えば、MO-CVD法、MO-MBE法、光CVD法、プラズマCVD法、真空蒸着法、真空スパッタ法などにも適用することが可能な技術であることは言うまでもない。
【0103】
何れも量子井戸構造における井戸層に本願の混晶を適用した場合について示してきたが、その際における井戸数、歪量、井戸層厚に関して制限はない。また、バリア層にも圧縮または引っ張りの歪を導入してもよい。また、量子井戸構造のみならず、バルク結晶の作製に用いてもよい。
【0104】
応用デバイスについては半導体レーザに限定されるものではなく、発光ダイオード、受光素子、光導波路素子、太陽電池などの任意の光デバイス、あるいはトランジスタ、FET、HEMTなどの電子デバイスの任意の層の作製へ適用することが可能であることは言うまでもない。本願発明の結晶成長方法によって優れた特性のデバイスを作製することが出来る。
【0105】
本願は本発明の成長方法で作製されたIII-V族化合物半導体を含む。
本願は、そのIII-V族化合物半導体を使用して構成された半導体素子をも含む。
さらに本願は、そのIII-V族化合物半導体を使用して構成された半導体装置を含む。
【0106】
【発明の効果】
本願発明のIII-V族化合物半導体の結晶成長方法によると、窒素と、窒素以外の一種類以上のV族元素とを共にV族組成として含むIII-V族化合物半導体を結晶成長させるに際して、窒素混晶比を所望の値にすることが出来、発光特性を始めとする結晶性に優れた混晶結晶を得ることが出来る。
本発明は、窒素原料として未分解のガス原料を用い、基板表面での窒素原料の熱分解を利用して窒素を結晶中に取り込む場合に特に有用な技術である。
また、インジウムをIII族組成として含む混晶を作製する際に有用な技術を含む。更には、アンチモンをV族組成として含む混晶を作製する際に有用な技術を含む。
本発明の結晶成長方法で得られたIII-V族化合物半導体を使用して構成される半導体装置は、発光特性を始めとするデバイス特性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1における原料供給シーケンスを示す図である。
【図2】 実施形態1における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図3】 実施形態1,2,3及び比較例2,3において作製された単一量子井戸構造の室温におけるPL発光強度の、1サイクル当りの成長層厚依存性を示す図である。
【図4】 実施形態1,4,5及び比較例4において作製された単一量子井戸構造の室温におけるPL発光強度の、工程1aにおける成長速度依存性を示す図である。
【図5】 実施形態6における原料供給シーケンスを示す図である。
【図6】 実施形態6における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図7】 実施形態7における原料供給シーケンスを示す図である。
【図8】 実施形態8における原料供給シーケンスを示す図である。
【図9】 実施形態8における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図10】 比較例6における原料供給シーケンスを示す図である。
【図11】 実施形態9における原料供給シーケンスを示す図である。
【図12】 実施形態10における半導体レーザ素子を示す斜視図である。
【図13】 実施形態8における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図14】 実施形態8における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図15】 実施形態8における原料供給シーケンスの変形例を示す図である。
【図16】 実施形態11における原料供給シーケンスを示す図である。
【図17】 光送受信モジュールを示す斜視図である。
【符号の説明】
1200 半導体レーザ素子
1201 p型側電極金属
1202 電流狭窄層
1203 コンタクト層
1204 上クラッド層
1205 上ガイド層
1206 井戸層
1207 下ガイド層
1208 下クラッド層
1209 基板
1210 n型電極金属
1700 光送受信モジュール
1701 基板
1702 半導体レーザ部
1703 光導波路部
1704 出力モニター部
1705 受光部
1706 Y分岐部
1707 光ファイバー
1708 無反射コーティング膜
1709 電極パッド

Claims (18)

  1. III−V(N(As,P,Sb))族化合物(但し、V(N(As,P,Sb))は、V族元素としてN元素を必ず含み、As,PまたはSbの少なくとも一種を含んでいることを意味している)半導体の成長方法であって、III族元素源を含む原料および少なくとも窒素源以外のV族元素源を含む原料を同時に供給する工程A、およびIII族元素源を含まず、V族元素の窒素源を含む原料と窒素源以外のV族元素源を含む原料同時に供給する工程Bを含み、工程Aと工程Bを含む一連のシーケンスを繰り返すことを特徴とするIII−V族化合物半導体の成長方法。
  2. 工程Aと工程Bを含む一連のシーケンス1回あたり、3分子層以下の層を成長させることを特徴とする、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  3. 工程Aの原料に、In源が含まれる、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  4. 工程Aで形成される半導体層の成長速度が、1秒間に0.2分子層以上であることを特徴とする、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  5. 工程Bにおける窒素源が、
    Figure 0003857159
    であることを特徴とする、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  6. 工程Aは、工程Bよりも低い基板温度で実施されることを特徴とする、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  7. アルミニウム源を含む原料を供給する工程Cを有し、工程A、工程Cおよび工程Bを含む一連のシーケンスを繰り返すことを特徴とする、請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  8. 工程Cの原料に、窒素源が含まれることを特徴とする請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  9. 工程Bは、工程Cに引き続いて実施されることを特徴とする請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  10. 工程Aが、
    少なくともインジウム源を含む原料を供給する工程Aaと、
    インジウム源を含まず、アンチモン源を含む原料を供給する工程Abとから成ることを特徴とする請求項に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  11. 工程Aが、
    インジウム源およびアンチモン源を含まない原料を供給する工程Acを更に含み、
    工程Aaと工程Abの間に実施されることを特徴とする請求項10に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  12. 工程Aa、工程Ac、工程Abの順序で実施されることを特徴とする請求項11に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  13. 工程Aが、
    インジウム源およびアンチモン源を含まない原料を供給する工程Adを更に含み、
    工程Aa、工程Ac、工程Ab、工程Adの順序で実施されることを特徴とする請求項12に記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  14. 工程Acあるいは工程Adにおいて成長されるインジウムおよびアンチモンを含まない層は、GaAsであることを特徴とする請求項11〜13いずれかに記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  15. 工程Acあるいは工程Adにおいて成長されるインジウムおよびアンチモンを含まない層の層厚は、1分子層以上、2分子層以下であることを特徴とする請求項11〜14いずれかに記載のIII−V族化合物半導体の成長方法。
  16. 請求項1〜15に記載の何れかの成長方法で作製されたIII−V族化合物半導体。
  17. 請求項16に記載のIII−V族化合物半導体を使用して構成された半導体素子および半導体装置。
  18. 請求項17に記載のIII−V族化合物半導体を使用して構成されたシステム。
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