JP2002359442A - 化合物半導体積層構造、化合物半導体積層構造体、半導体発光素子、光通信装置、および化合物半導体積層構造体の製造方法 - Google Patents

化合物半導体積層構造、化合物半導体積層構造体、半導体発光素子、光通信装置、および化合物半導体積層構造体の製造方法

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JP2002359442A
JP2002359442A JP2001164052A JP2001164052A JP2002359442A JP 2002359442 A JP2002359442 A JP 2002359442A JP 2001164052 A JP2001164052 A JP 2001164052A JP 2001164052 A JP2001164052 A JP 2001164052A JP 2002359442 A JP2002359442 A JP 2002359442A
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Yoshitaka Tomomura
好隆 友村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 InとIn以外のIII族元素、NとN以外のV族元素
を含むIII−V族化合物混晶半導体材料を用いた半導体装
置の特性を向上させる。 【解決手段】 化合物半導体装置において、III−V族化
合物半導体層が、Inを含みNを含まない第1の化合物半
導体層上にInを含まずNを含む第2の化合物半導体層が
積層された積層構造を含み、前記積層構造は、前記第1
の化合物半導体層と前記第2の化合物半導体層との間
に、InおよびNを含まない中間層が形成されてなること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaInNAsをはじめ
とする、InとIn以外のIII族元素を含み、かつNとN以外
のV族元素を含むIII−V族化合物半導体層を含む化合物
半導体積層構造、化合物半導体積層構造体、該化合物半
導体積層構造体を用いた半導体発光素子、該半導体発光
素子を用いた光通信装置、および該化合物半導体積層構
造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、NとN以外のV族元素を組成として
含むIII−V族化合物半導体がオプトエレクトロニクスデ
バイス用の新規半導体材料として注目されている。この
材料系の最も特徴的な物性は、Nの原子半径が他のIII族
およびV族元素と大きく異なることに起因して、バンド
ギャップ(Eg)のV族組成依存性が極めて大きなボウイ
ングを持つことである。そのため、N組成の小さな範囲
では、N組成とともに格子定数とEgとが同時に小さくな
るという通常の混晶半導体とは異なるふるまいを示す。
この特性を応用することで、GaAs、InP、GaP、Siなどの
安価で高品質の半導体基板上に格子整合し、従来のNを
含まないIII−V族化合物では得られなかった低いEgを持
った新規材料を得ることが可能となり、新たなデバイス
の創出が可能となっている。
【0003】その具体的な例として、特開平6-37355号
公報には、GaInAsに少量のNを添加したGaInNAs系化合物
半導体材料を用いることにより、従来のIII-V族化合物
では実現できなかったGaAs基板上への長波長帯(1.3〜
1.55μm)半導体レーザの作製が可能となることが示さ
れている(第1従来技術)。
【0004】しかしながら、このNとN以外のV族元素を
組成として含むIII−V族化合物半導体は、高い非混和性
を有することからN組成の増大とともに結晶品質が低下
し、化合物半導体装置に適用した場合に特性の低下をも
たらすという問題点があった。さらに、III族元素とし
てInを含む場合には、InとNの原子半径が互いに大きく
異なることから、非混和性がInを含まない場合よりも増
大し高品質結晶の成長がより困難となるという問題点が
あった。さらにまた、InをIII族元素として含む場合に
は、上記の様に非混和性が増大することに伴って、Nの
膜中への取り込み効率が低下し高いN組成を有する結晶
を得ることができないという問題点があった。
【0005】すなわち、InとIn以外のIII族元素およびN
とN以外のV族元素を含むIII−V族化合物半導体層を含む
化合物半導体装置は、N組成あるいはIn組成の増大に伴
い性能が劣化すると言う問題点、あるいは、高いN組成
あるいはIn組成を有する良質の結晶を得ることができ
ず、化合物半導体装置の設計自由度が低いという問題点
があった。これらの点に関する具体的な事例として、Ga
As基板上に構成された格子整合系のGaInNAs層を活性層
とする半導体レーザにおいて、発振波長の長波長化を図
るためにN組成あるいはIn組成を増大させると、発振閾
値電流密度が増大しレーザの特性が低下するという事実
が知られている。
【0006】上記の問題点に対して、従来、In及びNを
含むIII−V族化合物半導体層を非混和性のない2元化合
物、あるいはより非混和性の低い混晶の薄層を用いた超
格子擬似混晶により構成することで、N及びInを含むこ
とに起因する非混和性を低減し高品質結晶を得ようとす
る試みがなされている。その具体的な例として、以下の
ような従来技術が提案されている。
【0007】特開平7-263744号公報には、Nを含む多元
のIII−V族化合物半導体混晶をIII族とNからなる単原子
層の2元化合物と、III族とN以外のV族からなる単原子層
の2元化合物からなる超格子擬似混晶で構成する方法が
示されている(第2従来技術)。この方法により、非混
和性に起因した相分離を起すことなくNを含むIII−V族
化合物混晶を作製することが可能となるとしている。し
かし、この方法では、2元化合物からなる超格子を用い
るため、擬似的に混晶を得ることが可能な組成範囲は限
られており、例えば数%程度の低いN組成を有する擬似
混晶は実質的には作製できないという問題点を有する。
【0008】これに対して、特開平11-340578号公報に
は、NとN以外のV族元素および複数のIII族元素を含むII
I−V族化合物半導体混晶について、Nを含まない化合物
半導体混晶層と、Nを含む化合物半導体混晶層からなる
超格子構造とすることで、その混晶層の非混和性を低減
する方法が提案されている(第3従来技術)。この方法
では、超格子層に2元化合物ではなく混晶層を用いるこ
とによって、第2従来技術よりも幅広い組成を有する擬
似混晶を作製することが可能である。また、第3従来技
術では、Inを組成として含む場合にNの取り込み効率が
低下する点を解決する方法として、Nの添加はIn組成の
小さな(あるいはInを含まない)層に対してのみ行い、
Inを含みNを含まない層との超格子構造により擬似混晶
を作製する方法が示されている。例えば、GaInNAs層を
得る方法として、InAs層とGaAsN層とからなる超格子擬
似混晶を用いる方法が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、InとIn
以外のIII族元素およびNとN以外のV族元素を含むIII−V
族化合物半導体層を含む化合物半導体装置およびその製
造方法において、NあるいはIn組成の高い領域では、
(1)高い非混和性のため装置性能が劣化すると言う問
題点、(2)Nの取り込み効率が低下するため所望の組
成の化合物半導体結晶を得ることができず装置設計の自
由度が低いという問題点があった。また、この点を解決
する方法として、従来、上記のような超格子擬似混晶を
用いる方法が提案されている。
【0010】しかし、上記の従来技術において、第2従
来技術では、NとInを同時に含む場合に非混和性がさら
に増大するという問題点については何ら考慮されておら
ず、第3従来技術では、Nを含む層のIn組成を小さくする
(無くする)ことによりNの取り込み効率が減少する点
を解決する方法が提案されているものの、下記のような
超格子へテロ界面の影響については何ら考慮されていな
い。よって、従来技術により、NとN以外のV族元素を含
むことに起因する非混和性を緩和するという点では一定
の効果は期待できるが、III族元素としてInが含まれる
場合にさらに非混和性が増大するとう問題点、あるい
は、Nの取り込み効率が減少するという問題点に対して
は十分な効果を得ることはできない。
【0011】すなわち、上記の従来技術では、InとNと
を同時に含まない超格子層からなる擬似混晶を構成して
も、超格子のヘテロ界面にIn原子とN原子が同時に含ま
れるため界面近傍に高い非混和性が残る。また、ヘテロ
界面に存在するIn原子のため、Nを含む層を積層する場
合にはN取り込み効率が低下する。超格子構造により擬
似的に混晶を得るためには各層の層厚は少なくとも2ML
以下とする必要があり、ヘテロ界面の状態が超格子構造
全体に及ぼす影響は非常に大きい。従来技術の超格子擬
似混晶では、上記の点が考慮されておらず、NとInを同
時に含む場合に生じる高い非混和性を緩和すること、あ
るいは、N取り込み効率の低下を抑制することはできな
い。
【0012】また、超格子構造を形成する工程におい
て、強いInの表面偏析を伴う場合、従来技術では、Inを
含む(Nを含まない)層からNを含む(Inを含まない)層
へのInの混入が容易に生じ、InとNを同時に含まない層
を形成することすらできないという問題点があった。
【0013】本発明は、InとIn以外のIII族元素およびN
とN以外のV族元素を含むIII−V族化合物半導体のInとN
を同時に含むことに起因する上記の問題点を解決し、高
品質の高いIn組成あるいはN組成を有するIII−V族化合
物半導体積層構造、化合物半導体積層構造体およびその
製造方法を提供することを目的とし、それにより、改善
された特性を有する前記のIII−V族化合物半導体層を含
む化合物半導体発光素子、またその発光素子を用いた高
性能の光通信モジュールや応用システムを提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係る化合物半
導体積層構造は、Inを含みNを含まない第1のIII
−V族化合物半導体層と、In及びNを含まないIII
−V族化合物半導体中間層と、Inを含まずNを含む第
2のIII−V族化合物半導体層とが、この順で形成さ
れてなることによって、上記目的を達成する。
【0015】この発明に係る化合物半導体積層構造は、
前記中間層の層厚が、一分子層以上であることによっ
て、上記目的を達成する。
【0016】前記中間層の層厚は、二分子層以下である
ことが好ましい。
【0017】この発明に係る化合物半導体積層構造は、
該化合物半導体積層構造のInの平均組成が、0.27
以上であることによって、上記目的を達成する。
【0018】前記化合物半導体積層構造のInの平均組
成は、0.38以上であることが好ましい。
【0019】この発明に係る化合物半導体積層構造は、
前記第2のIII−V族化合物半導体層中のNの平均組
成が、0.006以上であることによって、上記目的を
達成する。
【0020】この発明に係る化合物半導体積層構造体
は、基板上に、上述のいずれかに記載の化合物半導体積
層構造が、この順、または逆の順で、単数、又は複数層
含んで形成されてなることによって、上記目的を達成す
る。
【0021】この発明に係る化合物半導体積層構造体
は、前記基板の表面が、{001}結晶面とのなすオフ
角度が0.5度以下であることによって、上記目的を達
成する。
【0022】この発明に係る化合物半導体積層構造体
は、基板上に、InとIn以外のIII族元素を含み、
NとN以外のV族元素を含むIII−V族化合物半導体
積層構造を備えた化合物半導体積層構造体であって、前
記化合物半導体積層構造中の、InとNの結合密度のI
nと、全てのV族元素との結合密度に対する比が、前記
III−V族化合物半導体中のN組成比(N原子密度の
全V族原子密度に対する比)よりも低いことによって、
上記目的を達成する。
【0023】この発明に係る化合物半導体積層構造体
は、前記III−V族化合物半導体層中にInとNとの
結合を含まないことによって、上記目的を達成する。
【0024】この発明に係る半導体発光素子は、上述の
いずれかに記載の化合物半導体積層構造体における、化
合物半導体積層構造が、活性層をなすことによって、上
記目的を達成する。
【0025】この発明に係る光通信装置は、前記半導体
発光素子を光源として用いてなることによって、上記目
的を達成する。
【0026】光通信装置として、より具体的には、その
発光素子を用いた高性能の光通信モジュールや応用シス
テムが考えられる。
【0027】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、基板上に、InとIn以外のIII族元素
を含み、NとN以外のV族元素を含むIII−V族化合
物半導体層を積層する化合物半導体積層構造体の製造方
法において、前記III−V族化合物半導体層が、In
を含み、Nを含まない第1のIII−V族化合物半導体
層を積層する第1工程と、InおよびNを含まないII
I−V族化合物半導体中間層を積層する第2工程と、I
nを含まず、Nを含む第2のIII−V族化合物半導体
層を積層する第3工程と、を備えた一周期の工程を、少
なくとも1回以上繰り返すことにより形成されてなるこ
とによって、上記目的を達成する。
【0028】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記中間層の膜厚が、1分子層以上である
ことによって、上記目的を達成する。
【0029】該中間層は、2分子層以下であることが好
ましい。
【0030】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記中間層が、N以外のV族元素からなる
第1の単原子層を形成するA工程と、In以外のIII
族元素からなる第2の単原子層を形成するB工程と、を
備えた一周期の工程と、少なくとも1回以上繰り返すこ
とにより形成されてなることによって、上記の目的を達
成する。
【0031】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記III−V族化合物半導体層を形成す
る工程が、前記III−V族化合物半導体層の構成元素
よりも大きな原子半径を有する少なくとも1種の元素を
成長表面に供給する工程を含むことによって、上記の目
的を達成する。
【0032】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記元素が、Sb、Bi、Te、Tlのう
ちのいずれかから選択されてなることによって、上記の
目的を達成する。
【0033】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記元素を成長表面に供給する工程が、前
記第1の化合物半導体を積層する第1の工程において行
われてなることによって、上記の目的を達成する。
【0034】この発明に係る化合物半導体積層構造体の
製造方法は、前記第1の工程と、第2の工程と、第3の
工程を備えた一周期の工程は、連続して行われてなるこ
とによって、上記の目的を達成する。
【0035】以下本発明の作用について説明する。
【0036】本発明の化合物半導体装置では、InとIn以
外のIII族元素を含みNとN以外のV族元素を含むIII−V族
化合物半導体層を、Inを含みNを含まない第1の化合物半
導体層とInを含まずNを含む第2の化合物半導体層からな
る超格子擬似混晶により構成することで、In原子とN原
子とを空間的に分離し、InとNが混晶化することによる
非混和性の増大を抑制することが可能となる。さらに、
上記の第1と第2の化合物半導体層との間に、InおよびN
を含まない中間層を形成することにより、超格子へテロ
界面においてもIn原子とN原子が接することあるいは結
合を形成することを抑制し、In原子とN原子が同時に含
まれることによる非混和性の増大を格段に抑制される。
また、同時にInとNとが同時に含まれることに起因するN
取り込み効率の低下が抑制され、高いN取り込み効率を
得ることができる。以上によって、高品質のIII-V族化
合物半導体層を得ることが可能となる。
【0037】また、作製するIII−V族化合物半導体層の
In組成が高い場合、成長温度が高い場合、成長速度が低
い場合など、化合物半導体層を成長する際に強いInの偏
析を生じる場合には、Inを含む化合物半導体層上にInを
含まない化合物半導体層を積層した場合に、下層のIn原
子が偏析によりInを含まない上層に混入ししてしまうと
いう問題点が生じる。このような、Inの偏析が影響を及
ぼす場合においても、本発明では界面に挿入した中間層
によりInの偏析あるいは、Inの混入を抑制することが可
能であり、In原子とN原子を空間的に良好に分離するこ
とが可能となり、InとNが同時に含まれることによる非
混和性の増大を格段に抑制することができる。これによ
り、強いInの偏析が存在する構造あるいは作製条件にお
いても、Inの偏析の影響を受けることなく、高品質のII
I−V族化合物半導体層を得ることが可能となる。
【0038】なお、非混和性の増大は、N組成を含む場
合に大きく、膜の特性は、Nの取り込みの状況によって
大きく変化を受ける。従って、通常用いられるInとIn以
外のIII族元素を含み、NとN以外のV族を含むIII−V族化
合物半導体としては、In組成が高く、N組成の比較的小
さなものが用いられる。この場合、超格子擬似混晶の成
長において、Inを含みNを含まない層にInを含まずNを含
む層を積層する場合に、界面においてIn原子とN原子が
同時に含まれることの影響が大きい。これは、上記と逆
の場合はInを含みNを含まない層の非混和性は低いため
下地の影響(下地のN原子の影響)を受けにくいのに対
して、上記の場合は、Inを含まずNを含む層が高い非混
和性を有しするため、下地の影響(下地のIn原子の影
響)を顕著に受けるためである。
【0039】また、本発明の化合物半導体装置は、基板
上に形成された、InとIn以外のIII族元素を含み、NとN
以外のV族元素を含むIII−V族化合物半導体層を、InとN
との結合密度のInと全てのV族元素との結合密度に対す
る比が、前記III−V族化合物半導体中のN組成比(N原子
密度の全V族原子密度に対する比)よりも低いものとす
ることで、InとNを同時に含むことに起因する非混和性
の増大、N取り込み効率の低下を抑制することができ
る。これによって、高品質のIII-V族化合物半導体層を
得ることが可能となる。
【0040】また、本発明の化合物半導体装置の製造方
法は、InとIn以外のIII族元素を含み、NとN以外のV族元
素を含むIII−V族化合物半導体層を、Inを含みNを含ま
ない第1の化合物半導体層を積層する工程と、Inおよび
Nを含まない中間層を形成する工程と、Inを含まずNを含
む第2の化合物半導体層を積層する工程とを少なくとも
含む1周期の工程を、少なくとも1回以上繰り返す工程
により形成することで、ヘテロ界面を含め、In原子とN
原子とを空間的に分離し、InとNが混晶化することによ
る非混和性の増大を抑制することができる。また、同時
にInとNとが同時に含まれることに起因するN取り込み効
率の低下が抑制され、高いN取り込み効率を得ることが
できる。以上により、高い結晶性を有するIII-V族化合
物半導体層を得ることができる。
【0041】本発明の化合物半導体装置および化合物半
導体装置の製造方法では、上述の作用により、NとInを
同時に含むことによる高い非混和性に起因した相分離等
の結晶性の低下を招くことなく、高品質のIII−V族化合
物半導体層を得ることができる。これにより、高性能の
III−V族化合物半導体層を用いた装置を得ることが可能
となる。また、本発明により得られた高性能の化合物半
導体装置を用いることで、高性能の応用システムを構築
することが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1に、本発明の半
導体装置の一形態である半導体レーザ素子100を示す。
この半導体レーザ素子100はGaAs基板の上に構成され、
波長1.3μmでレーザ発振するように設計されている。図
1の構成において、活性層である井戸層106が超格子擬似
混晶から構成されている点に特徴がある。半導体レーザ
素子100の構成は次の通りである。
【0043】p型側電極金属101・・・AuZn 電流狭窄層102・・・ポリイミド コンタクト層103・・・p型GaAs,0.5μm 上クラッド層104・・・p型Al0.4Ga0.6As,1μm 上ガイド層105・・・i(真性)-GaAs,0.1μm 井戸層106・・・i-Ga0.67In0.33N0.01As0.99,6.0nm 下ガイド層107・・・i-GaAs,0.1μm 下クラッド層108・・・n型Al0.4Ga0.6As,1μm 基板109・・・n型GaAs n型電極金属110・・・AuGe 上記の半導体レーザ構造において、井戸層106は次の3
層からなる積層構造を7周期積層することで作製した。
【0044】 第2半導体層106c・・・i-GaAs0.97N0.03、1ML 中間層106b・・・i-GaAs、1ML 第1半導体層106a・・・i-InAs、1ML なお、各層の組成、層厚を上記の値とすることで、井戸
層中のInおよびNの平均組成としてそれぞれIn組成=0.3
3、N組成=0.01を得ることができる。
【0045】GaAs基板109は、 (001)just(オフ角度0.5
°未満)の基板面方位を有するものを用い、このGaAs基
板109の上に、下クラッド層108からコンタクト層103に
至る各層を分子線エピタキシャル成長(MBE)法を用いて
結晶成長した。この時に用いられたMBE法では、Nを除く
各元素(Al,Ga,In,As)の原料には、全て固体ソース(金属
Al,金属Ga,金属In,金属As)を用いた。また、窒素の原料
にはRFプラズマで励起された窒素ガスを用いた。MBE法
による結晶成長の後、上クラッド層104の一部を幅2μm
のストライプ状にエッチング加工してリッジ型導波路構
造とし、リッジ側面にはポリイミドによる電流狭窄層10
2を施し、上下に電極101,110を形成した。続いてリッジ
に直交する方向に、劈開により端面ミラーを形成した。
【0046】図2に井戸層の成長時に採用した原料供給
シーケンス(1周期分)を示す。各層の組成は各層の界
面で供給する原料を切り替えることで行い、界面での成
長中断を行わず連続して成長を行った。図2に示すシー
ケンスを7回繰り返すことにより、層厚6.0nmの井戸層10
6を作製した。井戸層の成長において、成長温度、成長
速度はそれぞれ450℃、1ML/secとした。
【0047】半導体レーザ素子100は、波長1.3μmでレ
ーザ発振した。共振器長Lを300μmとした時のレーザ発
振開始時の閾値電流密度Jthは450A/cm2であり、低電流
でのレーザ発振が見られた。素子温度20℃から90℃にお
ける特性温度T0は175Kであり、温度特性に優れていた。
【0048】図3に、この半導体レーザ素子の閾値電流
密度Jthと共振器長Lの関係について示す。比較のため、
後述する比較例2の半導体レーザ素子の場合についても
示している。共振器長L→∞での閾値電流密度Jth(L→
∞)(図3において1/L→0に外挿した時のJthの値)は220A/
cm2であった。
【0049】(実施の形態2〜4)実施形態1で詳細を説明
した半導体レーザ構造において、井戸層106の平均N組成
を実施形態2〜4でそれぞれ0.002,0.004,0.014として半
導体レーザを作製した。作製方法等の詳細は実施形態1
と同じであるが、第2半導体層(GaAsN層)のN組成をそ
れぞれ0.006,0.012,0.042とすることで上記の平均N組成
を有する井戸層を作製した。なお、In組成は実施形態1
と同じに設定した。
【0050】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0051】各半導体レーザ素子は、その井戸層の平均
N組成に応じた波長でレーザ発振した。閾値電流密度Jth
(L→∞)は、実施形態2〜4においてそれぞれ、205A/c
m2、210A/cm2、350A/cm2、であり、低電流でのレーザ発
振が見られた。
【0052】(参考例1)参考例として、実施形態1で詳細
を説明した半導体レーザ構造において、井戸層106にNを
含まない構造の半導体レーザを作製した。作製方法等の
詳細は実施形態1と同じであるが、第2半導体層をGaAs
(1ML)とし、中間層と第2半導体層を合わせた2MLのG
aAs層と第1半導体層の1MLのInAs層とを積層すること
で、Nを含まない井戸層を作製した。なお、In組成は実
施形態1と同じに設定した。
【0053】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0054】この半導体レーザ素子の閾値電流密度J
th(L→∞)は200A/cm2であった。
【0055】(比較例1)実施形態1で詳細を説明した半導
体レーザ構造において、井戸層106を通常のMBE成長法に
より単一のGa0.67In0.33N0.01As0.99混晶層とした半導
体レーザを作製した。井戸層の組成、層厚および、井戸
層以外の部分についての作製方法等の詳細は実施形態1
と同じであるが、井戸層の作製方法が異なる。井戸層10
6は、その構成元素の原料を全て同時に供給すること
で、6.0nmの層厚を有する単一のGa0.6 7In0.33N0.01As
0.99混晶層とした。なお、その際の成長温度、成長速度
はそれぞれ450℃、1ML/secとした。
【0056】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0057】この半導体レーザ素子についても、波長1.
3μmでレーザ発振した。閾値電流密度Jth(L→∞)は、20
00A/cm2であり、発振には高密度の電流が必要であっ
た。
【0058】(比較例2)実施形態1で詳細を説明した半導
体レーザ構造において、井戸層106を中間層を含まない
次の2層からなる積層構造を7周期積層することで作製
した。
【0059】 第2半導体層106c・・・i-GaAs0.97N0.03、1ML 第1半導体層106a・・・i-In0.5Ga0.5As、2ML この場合の井戸層の平均組成および層厚は、実施形態1
と同じ(In組成=0.33、N組成=0.01、層厚=6.0nm)で
あるが、井戸層の構造および作製方法が異なる。作製方
法等の詳細は実施形態1と同じであるが、上記の積層構
造において、Inを含む第1半導体層と、Nを含む第2半導
体層との界面に、InおよびNを含まない中間層が挿入さ
れていないことを特徴とする。この構造では、第1半導
体層と、第2半導体層との界面においてIn原子とN原子と
が接する構造となる。
【0060】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0061】この半導体レーザ素子についても、波長1.
3μmでレーザ発振した。
【0062】図3に、この半導体レーザ素子の閾値電流
密度Jthと共振器長Lの関係について、実施形態1の結果
と合わせて示す。共振器長Lを1/L→0に外挿した時の閾
値電流密度Jth(L→∞)は700A/cm2であった。
【0063】(比較例3〜5)比較例2と同様に中間層を用
いない方法により、井戸層106の平均N組成を比較例3〜5
でそれぞれ、0.002,0.004,0.014として、図1に示す構造
の半導体レーザを作製した。作製方法等の詳細は比較例
2と同じであり、第2半導体層(GaAsN層)のN組成をそれ
ぞれ、0.006,0.012,0.042とすることで上記の平均N組成
を有する井戸層を作製した。なお、In組成は実施形態1
と同じに設定した。
【0064】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0065】各半導体レーザ素子の閾値電流密度Jth(L
→∞)は、比較例3〜5において、それぞれ、210A/cm2、3
50A/cm2、2000A/cm2、であり、N組成の増大とともに、
発振閾値電流密度の著しい増大が見られた。
【0066】(参考例2)参考例として、実施形態1で詳細
を説明した半導体レーザ構造において、井戸層106にNを
含まない構造の半導体レーザを比較例2と同様に中間層
を用いない方法により作製した。作製方法等の詳細は比
較例2と同じである。なお、In組成は実施形態1と同じに
設定した。参考例2は参考例1と同様に井戸層にNを含ま
ず、その平均組成は同じであるが、井戸層の作成方法が
異なる。
【0067】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0068】この半導体レーザ素子の閾値電流密度J
th(L→∞)は200A/cm2であり、参考例1の場合と同様
に、低電流での発振が見られた。
【0069】(実施の形態5〜7)実施形態1で詳細を説明
した半導体レーザ構造において、井戸層106の平均In組
成を実施形態5〜7でそれぞれ、0.20,0.27,0.38として、
図1に示す構造の半導体レーザを作製した。作製方法等
の詳細は実施形態1と同じであるが、実施形態5および6
については、第1半導体層を、それぞれ、In0.6Ga0.4As
層(1ML)、In0.81Ga0.19As層(1ML)とすることで上記
の平均In組成を有する井戸層を作製した。また、実施形
態7については、第1半導体層をInAs層(1.15ML)、第2
半導体層をGaAs0.965N0.035層(0.85ML)とし、第1半導
体層および、第2半導体層の層厚比を調整することで、
上記の平均In組成を有する井戸層を作製した。上記の積
層構造の設計にあたり、中間層(GaAs層)の層厚は実施
形態1と同じ1MLに固定した。また、N組成についても実
施形態1と同じに設定した。
【0070】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0071】各半導体レーザ素子は、その井戸層の平均
In組成に応じた波長でレーザ発振した。閾値電流密度J
th(L→∞)は、実施形態5〜7において、それぞれ、210A/
cm2、215A/cm2、310A/cm2であった。
【0072】(参考例3)参考例として、実施形態1で詳細
を説明した半導体レーザ構造において、井戸層106にIn
を含まない構造の半導体レーザを作製した。作製方法等
の詳細は実施形態1と同じであるが、第1半導体層をGaAs
(1ML)とし、第1半導体層と中間層を合わせて2MLのGaA
s層と、第2半導体層の1MLのGaAsN層とを積層すること
で、Inを含まない井戸層を作製した。なお、N組成は実
施形態1と同じに設定した。
【0073】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0074】この半導体レーザ素子の閾値電流密度J
th(L→∞)は210A/cm2であった。
【0075】(比較例6〜8)実施形態1で詳細を説明した
半導体レーザ構造において、井戸層106を比較例2と同様
の中間層を用いない方法により、その平均In組成を比較
例6〜8でそれぞれ、0.20,0.27,0.38として半導体レーザ
を作製した。作製方法等の詳細は比較例2と同じである
が、井戸層の平均In組成が異なる。また、実施形態1,5
〜7と比較例2、6〜8とでは、井戸層106のIn、Nの平均組
成はそれぞれ同じであるが、井戸層の作製方法が異な
る。
【0076】比較例6〜8では第1半導体層をそれぞれ2ML
の、In0.30Ga0.70As層、In0.41Ga0. 59As層、In0.57Ga
0.43As層とすることで上記の平均In組成を有する井戸層
を作製した。
【0077】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0078】各半導体レーザ素子は、その井戸層の平均
In組成に応じた波長でレーザ発振した。閾値電流密度J
th(L→∞)は、比較例6、7において、それぞれ、220A/cm
2、350A/cm2であり、比較例8の素子は通電により急速に
劣化し、室温でのレーザ発振は見られなかった。
【0079】以下に、実施形態1〜7、比較例1〜8、参考
例1〜3を参照しながら、本発明の作用と効果について述
べる。
【0080】まず、従来の製造方法(比較例1,2)およ
び本発明の製造方法(実施形態1)により、同じ(平
均)組成および層厚からなる井戸層を有する半導体レー
ザ素子の特性を形成した場合について、その特性を比較
すると、比較例2では比較例1に比較して閾値電流密度J
th(L→∞)が低下し、さらに実施形態1で比較例1,2に対
して、閾値電流密度Jth(L→∞)が1/3以上に減少してい
る。このことから、従来技術の中間層を用いない超格子
擬似混晶とすることでも、井戸層を単一の混晶層とした
場合よりレーザ素子の特性改善に関して一定の効果が得
られるが、本発明の中間層を用いた超格子擬似混晶とす
ることで、顕著な効果が得られることがわかる。
【0081】これは、中間層を挿入することにより、超
格子構造中のInとNが完全に分離し、InとNが同に含まれ
ることに起因する非混和性の増大が抑制されることで相
分離等の結晶性の低下が発生することなく、高品質の結
晶が得られるためである。このように、本発明により、
従来よりも特性の改善された半導体装置を構成すること
が可能となる。
【0082】つぎに、井戸層のN組成を変えて半導体レ
ーザ素子を作製した場合について、従来技術と本発明と
を比較した結果を図4に示す。図4には、本発明の中間層
を用いる方法により作製した半導体レーザ素子(実施形
態1〜4、および参考例1(平均N組成が0であるGaInAsを
井戸層とした場合)の閾値電流密度Jth(L→∞)の平均N
組成依存性と、従来の中間層を用いない方法により井戸
層を作製した場合(比較例2〜5、および参考例2(平均N
組成が0であるGaInAsを井戸層とした場合に相当))の
閾値電流密度Jth(L→∞)の平均N組成依存性とが示され
ている。
【0083】図4から明らかなように、N組成を変化させ
た場合でも、中間層を用いない場合に対して本発明の中
間層を採用した超格子擬似混晶により半導体レーザの特
性が向上していることがわかる。また、本発明による閾
値電流密度Jth(L→∞)低減の効果は井戸層中の平均N組
成が大きく、特に、0.006以上の場合に顕著であること
がわかる。これは、N組成の低い場合には非混和性は比
較的小さく、従来の方法でも比較的良好な結晶が得られ
るのに対し、N組成が高い場合には非混和性が急激に増
大し、従来の方法では結晶性の低下は抑制できず、本発
明の効果が顕著に得られたためである。以上のことか
ら、0.006以上のN組成を有するInとIn以外のIII族元素
を含み、NとN以外のV族元素を含むIII−V族化合物半導
体層を含む化合物半導体装置に対して本発明を適用する
ことにより、素子特性改善に対してより顕著な効果を得
ることができる。
【0084】さらに、井戸層のIn組成を変えて半導体レ
ーザ素子を作製した場合について、従来技術と本発明と
を比較した結果を図5に示す。図5には、本発明の中間層
を用いる方法により作製した半導体レーザ素子(実施形
態1、5〜7、および参考例3(平均In組成が0であるGaAsN
の場合)の閾値電流密度Jth(L→∞)の平均In組成依存性
と、従来の中間層を用いない方法により井戸層を作製し
た場合(比較例2、6〜7)の閾値電流密度Jth(L→∞)の
平均In組成依存性とが示されている。
【0085】図5から明らかなように、従来技術に基づ
く比較例の場合には、In組成の増大とともに閾値電流密
度Jth(L→∞)は急激に増大するのに対して、本発明に基
づく実施形態では、In組成の増大による閾値電流密度J
th(L→∞)の増大はわずかであり、In組成を変化させた
場合でも本発明の中間層を採用した超格子擬似混晶によ
り半導体レーザの特性が格段に向上していることがわか
る。また、図5から、本発明の効果はIn組成が0.27以上
と高い場合に顕著であり、In組成がさらに高く0.38以上
の場合には、比較例8で示したように従来の方法では発
振を確認できなかった組成範囲での低電流でのレーザ発
振が可能であり、より顕著な効果が得られることがわか
る。以上のことから、0.27以上の、特に、0.38以上のI
n組成を有するInとIn以外のIII族元素を含み、NとN以外
のV族元素を含むIII−V族化合物半導体層を含む化合物
半導体装置に対して本発明を適用することにより、素子
特性改善に対してより顕著な効果を得ることができる。
【0086】(実施の形態8〜11)実施形態1で詳細を説明
した半導体レーザにおいて、井戸層106のInおよびNの平
均組成を実施形態1と同じとし、中間層(GaAs層)の層
厚を、実施形態8〜11でそれぞれ0.4、0.7、1.3、1.6ML
とした構造の半導体レーザを作製した。作製方法等の詳
細は実施形態1と同じであるが、井戸層内の積層構造
を、実施形態8,9では、 実施形態8・・・In0.62Ga0.38As(1.6ML)/GaAs(0.4ML)
/GaAs0.97N0.03(1ML) 実施形態9・・・In0.77Ga0.23As(1.3ML)/GaAs(0.7ML)
/GaAs0.97N0.03(1ML) とし、実施形態10,11では、 実施形態10・・・InAs(1ML)/GaAs(1.3ML)/GaAs0.957N
0.043(0.7ML) 実施形態11・・・InAs(1ML)/GaAs(1.6ML)/GaAs0.925N
0.075(0.4ML) とすることで、異なる中間層の層厚を有し、同一のIn、N
の平均組成を有する井戸層を形成した。
【0087】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅、共振器長は、実施形態1と同じであ
る。
【0088】何れの半導体レーザ素子についても、波長
1.3μmでレーザ発振した。各半導体レーザ素子の閾値電
流密度Jth(L→∞)は、実施形態8〜11においてそれぞ
れ、650A/cm2、550A/cm2、200A/cm2、210A/cm2であっ
た。
【0089】以下、実施形態1、8〜11比較例2を参照し
ながら、本発明の作用を効果的に得るために適した中間
層の層厚について説明する。図6に実施形態1、8〜11お
よび比較例2(中間層の層厚が0の場合に相当)で得られ
た結果を、閾値電流密度Jth(L→∞)の中間層層厚依存性
として示す。
【0090】図6から明らかなように、中間層の層厚を
厚くすることにより閾値電流密度Jth(L→∞)は減少し、
中間層を用いない場合(比較例2)と比較して、半導体
レーザ素子の特性が改善されていることがわかる。
【0091】同図より、中間層の層厚を1ML以上とする
ことで閾値電流密度Jth(L→∞)は急激に減少し、顕著な
効果が得られることがわかる。また、中間層の層厚が1M
Lを超えた範囲では、得られる効果はほぼ一定となる。
超格子構造により擬似的に混晶を得るためには、積層構
造を構成する各層(超格子層)の層厚は2ML以下とする
ことが好ましく、上記の結果からは中間層の層厚として
は、一定以上の効果が得られる最も薄い1ML程度とする
ことがより好ましい。
【0092】中間層の層厚を1ML以上とすることにより
顕著な効果が得られる点に関しては、In(Ga)Asからなる
第1半導体層に1ML以上のGaAsからなる中間層を積層す
ることで表面のIn原子がほぼ完全に被覆され、次に積層
されるGaAsNからなる第2半導体層中のN原子は第1半導体
層中に含まれるIn原子とは空間的に分離されて成長が進
行するため、ヘテロ界面にInとNが同時に含まれること
により生じる非混和性の増大が抑制されためである。
【0093】(実施の形態12〜17)実施形態1で詳細を説
明した半導体レーザ構造を、基板面方位の異なるGaAs基
板上に作製した。実施形態12〜14でそれぞれ、基板表面
が、{001}結晶面から〈1−10〉方向に1.5°、
1.0°、0.5°傾斜したGaAs基板上に半導体レーザ構造を
作製し、実施形態15〜17でそれぞれ、基板表面が、{0
01}結晶面から〈110〉方向に0.5°、1.0°、1.5
°傾斜したGaAs基板上に半導体レーザ構造を作製した。
作製方法等の詳細は実施形態1と同じであるが、半導体
レーザ構造が積層されている基板の面方位が異なる。
【0094】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0095】各半導体レーザ素子は、いずれも波長1.3
μmでレーザ発振した。閾値電流密度Jth(L→∞)は、実
施形態12〜14において、それぞれ、350A/cm2、285A/c
m2、228A/cm2、230A/cm2、280A/cm2、370A/cm2であっ
た。
【0096】以下、実施形態1および実施形態12〜17を
参照しながら、本発明の作用を効果的に得るために適し
た基板結晶の面方位ついて説明する。図7に実施形態1お
よび実施形態12〜17で得られた結果を、閾値電流密度J
th(L→∞)の基板オフ角度依存性として示す。同図にお
いて、横軸はオフ角度の絶対値と方向を示し、負の値は
{001}結晶面から〈1−10〉方向に、正の値は
{001}結晶面から〈110〉方向にオフ角度を有す
ることを示す。
【0097】同図から明らかなように、オフ角度の方向
によらず{001}結晶面からのオフ角度が0.5°以内
である基板を用いることが好ましいことがわかる。オフ
角度の増大とともに閾値電流密度Jth(L→∞)が増大する
点については、以下のように考えられる。オフ角度が増
大することで成長表面のステップ密度が増大し、原料原
子がステップに取り込まれる割合が増大するため、成長
表面における原子密度が減少する。これにより、成長表
面に形成される2次元成長島の密度が減少し、最表面の
原子と第2表面の原子との置換反応が生じやすくなる。
すなわち偏析が生じやすくなる。従って、Inの偏析を抑
制し、本発明の効果を有効に得るためには、表面ステッ
プ密度の小さな、{001}面などの低指数の面方位を
有する基板を用いることが好ましい。また、上述した実
施形態1、12〜17の結果より、{001}結晶面からの
オフ角度が0.5°以内である基板を用いることが好まし
い。
【0098】(実施の形態18〜21)実施形態1で詳細を説
明した半導体レーザ構造において、井戸層106の平均N組
成を実施形態1と同じとし、第1半導体層(InAs層あるい
はInGaAs層)、中間層(GaAs層)の成長中に、原料分子
線とともにSbの分子線を照射しながら井戸層を作製し、
半導体レーザを作製した。実施形態1および実施形態5
〜7と同様にして、実施形態18〜21においてそれぞれ、
井戸層の平均In組成が0.20,0.27,0.33,0.38の半導体レ
ーザを作製した。作製方法等は基本的に実施形態1およ
じ実施形態5〜7と同じであるが、第1半導体層および中
間層の成長時にSbを同時に供給した点で、井戸層の作製
方法が異なる。図8に井戸層を構成する1周期の積層構造
を成長する際の原料供給シーケンスを示す。第1半導体
層、中間層の成長時に照射するSbの分子線強度は、1×1
0-7 Torrとした。なお、Sb原子はGaInNAs井戸層の構成
元素であるIn、Ga、N、Asと比較して原子半径が大きく
強い偏析を生じるため、この程度のSb供給量では、Sbは
膜中にほとんど取り込まれない。よって、Sb分子線を成
長中に照射することによる、半導体レーザ素子の発振波
長などの特性への影響は特に生じない。
【0099】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅、共振器長は、実施形態1と同じであ
る。
【0100】何れの半導体レーザ素子についても、井戸
層の平均In組成に応じた波長でレーザ発振した。各半導
体レーザ素子の閾値電流密度Jth(L→∞)は、実施形態18
〜21においてそれぞれ、210A/cm2、212A/cm2、215A/c
m2、235A/cm2であり、いずれも低電流での発振が見られ
た。
【0101】(実施の形態22)実施形態21の第1の変形例
として、井戸層の平均組成および、井戸層の基本的な作
製方法等は実施形態21と同じであるが、Sbの供給を第1
半導体層のみに行った点で、実施形態21と異なる。
【0102】井戸層を構成する1周期の積層構造を成長
する際の原料供給シーケンスは、図8に示す実施形態18
〜21で用いたものを基本とし、Sbを照射する時期を第1
半導体層のみとした。また、Sbの分子線強度は、実施形
態21と同じ1×10-7 Torrとした。この場合も、Sb原子は
強い偏析により膜中にほとんど取り込まれない。
【0103】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅、共振器長は、実施形態1と同じであ
る。
【0104】この半導体レーザ素子の閾値電流密度J
th(L→∞)は、245A/cm2であり、平均In組成=0.38の高
いIn組成においても低電流での発振が見られた。
【0105】(実施の形態23)実施形態21の第2の変形例
として、井戸層106を作製する際に、第1半導体層(InAs
層)、中間層(GaAs層)の成長中にTeを照射して、図1
に示す構造の半導体レーザを作製した。井戸層の平均組
成および、井戸層の基本的な作製方法等は実施形態21と
同じであるが、井戸層の成長中にSbに変えてTeを供給す
る点で、実施形態21と異なる。
【0106】Teの分子線強度は、3×10-7 Torrとし、実
施形態21においてSbを照射した場合と同様の図8に示す
成長シーケンスにより井戸層を作製した。Teは、Sbと同
様にGaInNAs井戸層の構成元素であるIn、Ga、N、Asより
も原子半径が大きいため強い偏析を示し、膜中にほとん
ど取り込まれない。よって、Te分子線を成長中に照射す
ることによる、半導体レーザ素子の発振波長などの特性
への影響は特に生じない。
【0107】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅、共振器長は、実施形態1と同じであ
る。
【0108】この半導体レーザ素子の閾値電流密度J
th(L→∞)は、240A/cm2であり、実施形態22においても
実施形態21および実施形態22と同様に、平均In組成=0.
38の高いIn組成において低電流での発振が見られた。
【0109】以下、実施形態18〜21、実施形態22、23お
よび実施形態1、5〜7を参照しながら、本発明の作用を
より効果的に得るために、第1半導体層あるいは中間層
の成長時に、第1半導体層あるいは中間層の構成元素よ
りも原子半径の大きな元素を供給することが有効である
点について説明する。
【0110】図9にSbを第1半導体層および中間層に照射
した場合の効果について実施形態18〜21で得られた結果
を、閾値電流密度Jth(L→∞)のIn組成依存性として、Sb
を照射しない場合について得られた実施形態1、5〜7の
結果とともに示す。
【0111】まず、井戸層の成長中にSbを照射せずに成
長した場合(実施形態1、5〜7)についてみると、平均I
n組成が最も高い0.38の場合、他の低い平均In組成の場
合に比較して閾値電流密度Jth(L→∞)が約1.5倍に増大
していることがわかる。これは、In組成の高い場合には
Inの偏析の影響が大きく、一定以上の層厚を有する中間
層を超格子ヘテロ界面に挿入しても、中間層中に、第1
半導体層から偏析したInが混入し、第2半導体層との界
面において有意のIn組成を持つことで、結晶性の低下が
生じるためである。
【0112】これに対し、図9から明らかなように、井
戸層の成長中にSbを照射した場合には、平均In組成の増
大に伴う閾値電流密度Jth(L→∞)の増大が抑えられてい
る。これは、成長表面がSbにより被覆されることで表面
エネルギーが減少した結果Inの偏析が減少し、中間層へ
のInの混入が抑制されることに起因している。
【0113】以上により、Inを含む第1半導体層、ある
いはその上に積層する中間層を積層する際にSbを照射す
ることにより、Inの偏析が抑制され、平均In組成の高い
場合においても上記のような偏析したInの影響を受ける
ことなく、本発明の効果を有効に得ることができる。
【0114】次に、Sbの照射を第1半導体層のみに行っ
た実施形態22、およびSbに代えてTeを用いた実施形態23
についてみると、いずれの場合も作製したレーザ素子の
閾値電流密度Jth(L→∞)は実施形態21と同程度であり、
同様の効果が得られることがわかる。
【0115】以上の実施形態では、SbおよびTeを用いる
例について示したが、成長表面のエネルギーを下げ、In
の偏析を抑制するためには、Inよりも原子半径が大きく
偏析しやすい元素を用いればよい。そのような条件を満
たし、III−V族化合物半導体の成長に適用しても膜質及
ぼす影響の小さなものとしては、Bi、Tl等があり、Sb、
Teを含めたこれらの元素から、適したものを用いること
で、上記のようなInの偏析を抑制する効果を得ることが
できる。
【0116】(実施形態24)実施形態1で詳細を説明した
半導体レーザ構造のおいて、井戸層106を次の3層からな
る積層構造を7周期積層することで半導体レーザを作製
した。
【0117】 第2半導体層106c・・・i-GaAs0.82N0.03Sb0.15、1ML 中間層106b・・・i-GaAs、1ML 第1半導体層106a・・・i-In0.87Ga0.13As、1ML この場合の井戸層の平均組成は、Ga0.71In0.29N0.01As
0.94Sb0.05 となり、発振波長が1.4μmとなるように設
計されている。この井戸層の作製は、図10に示す成長シ
ーケンスを用い、第2半導体層に1×10-6 Torrの分子線
強度を有するSbを照射することでSbの混晶化を行った。
なお、図10に示すように、実施形態21と同様に第1半導
体層、中間層へのSb照射も行った。本実施形態における
井戸層の基本的な作製方法等は実施形態21と同様であ
り、さらに、井戸層の平均N組成、発光波長についても
実施形態21と同じであるが、実施形態24ではSbが混晶化
された分、In組成(第1半導体層のIn組成および井戸層
の平均組成)が小さくなっている点が異なる。
【0118】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0119】この半導体レーザ素子は、波長1.4μmでレ
ーザ発振し、閾値電流密度Jth(L→∞)は、220A/cm2であ
り、1.3μmを超える長波長域においても低い電流での発
振が見られた。
【0120】以下、実施形態21および実施形態24を参照
しながら、井戸層にSbを混晶化することにより、さらに
化合物半導体素子の特性が向上する点について説明す
る。
【0121】上記の二つの実施形態の井戸層は、発振波
長が1.4μmとなるようにその平均組成(N組成一定)が
設定されているが、実施形態21で作製した半導体レーザ
素子の閾値電流密度Jth(L→∞)は235A/cm2であったのに
対し、実施形態24では220A/cm2に低減されている。
【0122】実施形態21で作製した素子は、Sbを第1半
導体層および中間層の成長中に照射することでInの偏析
を抑制し、高い平均In組成(=0.38)においても低い閾
値電流密度Jth(L→∞)を得ているが、同様にして作製し
た平均In組成が小さな素子(実施形態18〜20)と比較す
ると、閾値電流密度Jth(L→∞)は若干高くなっている。
これは、In組成が高いため、Inの偏析が完全に抑制され
ていないためと考えられる。これに対して、実施形態24
ではSbを混晶化することにより、In組成が低減され、In
の偏析の影響が小さくなり、1.4μmという長波長の発振
波長においても低In組成の場合と同程度の閾値電流密度
を得ることができた。
【0123】以上のように、Sbを混晶化することで、In
組成を低減することが可能となる。その結果、Inの偏析
の影響を小さくすることが可能となり、本発明のもつ作
用をより効果的に発揮することができる。あるいは、本
発明による効果を発揮できる適用範囲を広げることが可
能となる。
【0124】(実施形態25〜28)実施形態1で詳細を説明
した半導体レーザ構造の井戸層106を、図11に示す成長
シーケンスにより作製した。実施形態25〜28ではそれぞ
れIn、Nの平均組成を実施形態1、5〜7と同じ0.20,0.2
7,0.33,0.38とした。各実施例における積層構造は次の
ようなIII族元素およびV族元素の単原子層からなる積層
構造となる。
【0125】実施形態25・・・In0.30Ga0.70/As/In
0.30Ga0.70/As/Ga/As0.97N0 .03 実施形態26・・・In0.41Ga0.59/As/In0.41Ga0.59/As
/Ga/As0.97N0 .03 実施形態27・・・In0.50Ga0.50/As/In0.50Ga0.50/As
/Ga/As0.97N0 .03 実施形態28・・・In0.57Ga0.43/As/In0.57Ga0.43/As
/Ga/As0.97N0 .03 この場合の井戸層の平均組成はGa0.67In0.33N0.01As
0.99であり、実施形態1および5〜7同じに設計されてい
る。実施形態25〜28では、図11に示す成長シーケンスを
用いることにより、上記の多層構造におけるInを含むII
I族原子面と、Nを含む原子面とのあいだに、Asのみおよ
びGaのみからなるV族面およびIII族面がそれぞれ1層形
成されており、Inを含みNを含まない層とInを含まずNを
含む層との間に、実質的に1MLの層厚を有するGaAs層が
形成されている。このように、積極的にInおよびNを含
まない層を挿入しなくとも、成長シーケンスを工夫する
ことで、実質的に1MLの層厚を有する中間層を形成する
ことが可能である。
【0126】以上のようにして作製した半導体レーザの
閾値電流密度Jth(L→∞)は、実施形態25〜28においてそ
れぞれ、215A/cm2、220A/cm2、250A/cm2、400A/cm2であ
った。
【0127】以下、実施形態25〜28および実施形態1、
5〜7を参照しながら、本発明の作用および効果について
説明する。
【0128】図12に、上記の図11に示す原料供給シーケ
ンスにより中間層を形成して井戸層を作製した実施形態
25〜28の場合に得られた結果を、閾値電流密度Jth(L→
∞)のIn組成依存性として示す。図12には、図2に示す成
長シーケンスにより積極的に中間層を挿入して井戸層を
作製した実施形態1、5〜7の結果も合わせて示す。
【0129】図12に示されるように、図11に示す工夫さ
れた成長シーケンスを用いてヘテロ界面に中間層を形成
しても、積極的に中間層を挿入した場合と遜色のない結
晶性を有する井戸層が得られ、結果として同等レベルの
特性を有する装置を得ることができることがわかる。
【0130】なお、比較例2に示した中間層を挿入しな
い成長シーケンスにより超格子構造を積層した場合で
も、[0 0 1]面のような選ばれた結晶面で成長最表面のV
族被覆率が1に近い状態で結晶成長が進行する場合に
は、第1半導体層と第2半導体層との界面には、第1半導
体層を構成するN以外のV族原子層と、第2半導体層を構
成するIn以外のIII族原子層からなる1MLの中間層が形成
しうる。
【0131】しかしながら、実際には、第2半導体層を
積層する際にN原料が同時に供給されるため、第1半導体
層の表面を被覆するN以外のV族元素と供給されるNとの
置換が生じ、あるいは不完全に被覆された表面にN原子
が付着しうることから、実施形態25〜28に示したような
1MLの層厚を有する制御された中間層を形成することは
できない。よって、界面に有意な中間層を形成しIn原子
とN原子が接することを抑制するためには、実施形態1な
どに示したように十分な層厚を有する中間層を挿入する
こと、あるいは、図12に示すような制御されたヘテロ界
面を形成するための成長シーケンスを用いて中間層を形
成する必要がある。
【0132】(実施の形態29)図1に示す半導体レーザ構
造の井戸層106の平均組成をAl0.05Ga0.62In0.33As0 .986
N0.014とし、次の3層からなる積層構造を7周期積層す
ることで作製した。
【0133】第2半導体層106c・・・i-Al0.15Ga0.85As
0.958N0.042、1ML 中間層106b・・・i-GaAs、1ML 第1半導体層106a・・・i-InAs、1ML この場合の井戸層の平均組成は、上記のようにAl組成=
0.05、In組成=0.33、N組成=0.014であり、発振波長が
1.3μmになるように設計されている。
【0134】本実施形態において、半導体レーザを構成
する各半導体層は、NH3をN源とするガスソースMBEによ
り結晶成長した。なお、窒素を除く各元素(Al,Ga,In,A
s)の原料には、実施形態1と同様に、全て固体ソース(金
属Al,金属Ga,金属In,金属As)を用いた。上記の積層構造
の作製において、図8に示した成長シーケンスを用い、
実施形態18〜21と同様に第1半導体層、中間層の成長時
にSbの照射を行った。成長温度、成長速度は480℃、1.0
ML/secとした。ここで、GaAsN層に添加されたAlはNH3の
成長最表面における吸着、解離を促進するために添加さ
れたものである。また、NH3の分解効率を高め、Nの取り
込み効率を向上させるために、成長温度は実施形態1な
どのNラジカルN源として用いた場合より高く設定した。
なお、Sbを照射することは、成長温度の高温化により増
大したInの偏析を抑制するために採用した。
【0135】このようにして作製した半導体レーザは、
1.3μmにおいて発振し、閾値電流密度Jth(L→∞)は、3
40A/cm2であり、Nラジカルを用いて同等のN組成を有す
る半導体レーザを作製した実施形態4とほぼ同様の値が
得られた。
【0136】(比較例9)実施形態29と同様にNH3をN源と
するMBE法を用い、図1に示す半導体レーザ構造の井戸層
106を、中間層を含まない次の2層からなる積層構造を7
周期積層することで作製した。
【0137】第2半導体層106c・・・i- Al0.15Ga0.85A
s0.958N0.042、1ML 第1半導体層106a・・・i-In0.5Ga0.5As、2ML この場合の井戸層の平均組成は、実施形態29と同じ(Al
組成=0.05、In組成=0.33、N組成=0.014)であるが、上
記の積層構造において、Inを含む第1半導体層とNを含む
第2半導体層との界面に、InおよびNを含まない中間層が
挿入されていないことを特徴とする。なお、各層の成長
方法は、基本的に実施形態29と同じであるが、本比較例
において上記の平均組成を有する井戸層を作製するため
には、実施形態29に比較して約1.5倍のNH3を供給する必
要があった。
【0138】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0139】このようにして作製した半導体レーザは、
1.3μmにおいて発振したが、閾値電流密度Jth(L→∞)は
2300A/cm2であり、実施形態29と比較して非常に高いも
のであった。
【0140】(実施の形態30) …NH3−MBE Sb混晶化 図1に示す半導体レーザ構造の井戸層106の平均組成をA
l0.05Ga0.62In0.33As0 .942N0.008Sb0.05し、次の3層か
らなる積層構造を7周期積層することで作製した。
【0141】第2半導体層106c・・・i-Al0.15Ga0.85As
0.826N0.024Sb0.15、1ML 中間層106b・・・i-GaAs、1ML 第1半導体層106a・・・i-InAs、1ML この場合の井戸層の平均組成は、発振波長が1.3μmとな
るように設計されている。本実施形態において、素子の
発振波長は実施形態29と同様であるが、第2半導体層にS
bを混晶化することで第2半導体層のN組成を低減してい
る。井戸層の基本的な作製方法も実施形態29と同様と
し、第2半導体層へ1×10-6 Torrの分子線強度を有するS
bを照射することで上述の組成でのSbの混晶化を行っ
た。また、In組成は実施形態29と同じに設定した。よっ
て、本実施形態では、基本的な作製方法および素子の発
振波長は実施形態29と同じであるが、井戸層にSbを混晶
化することでN組成を低減している点で異なる。
【0142】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態1と同じである。
【0143】この半導体レーザ素子は、波長1.3μmでレ
ーザ発振し、閾値電流密度Jth(L→∞)は、280A/cm2であ
り、低電流での発振が見られた。
【0144】以下、実施形態29,30、比較例9を参照しな
がら、本発明の作用および効果について説明する。これ
らの実施形態および比較例では、これまでに示した実施
形態と異なり、N化合物であるNH3をN源とするMBE法によ
り井戸層を含む半導体レーザ構造を作製した場合につい
て示している。N化合物をN源とした場合には、N化合物
の成長表面における解離プロセスを介してNが取り込ま
れる。Nラジカルを用いた場合、成長表面に照射されたN
ラジカルが成長表面に吸着し、III族原子との結合を形
成することによりNが膜中に取り込まれるが、N化合物を
用いた場合、N化合物分子が成長表面に吸着するプロセ
ス、吸着したN化合物分子が解離するプロセスを介してN
が膜中に取り込まれる点で成長メカニズムが異なる。
【0145】まず、本発明による実施形態29で作製した
半導体レーザ素子を、中間層を用いない従来の方法によ
る比較例9と比較すると、閾値電流密度Jth(L→∞)が格
段に減少していることがわかる。この点から、NH3をN源
として用いたMBE法においても、Nラジカルを用いた場合
と同様に、発明の効果が得られることが明らかである。
【0146】また、NH3をN源とするMBE法によるこれら
の実施形態29および比較例9において特徴的な点とし
て、本発明による実施形態29では、従来技術による比較
例9に比較して、同じ平均N組成を有する井戸層を形成す
るために必要なN原料(NH3)の供給量が減少している点
が挙げられる。このことは、N化合物であるNH3をN源と
して用いた場合には、本発明の中間層をヘテロ界面に挿
入した超格子擬似混晶の採用により、Nの取り込み効率
が向上することを示している。
【0147】これは、NH3などのN化合物をN源とするMBE
法では、N源として供給されたN化合物(NH3)は成長表
面に吸着したのち、熱分解して膜中に取り込まれるた
め、Nの取り込み効率がN化合物原料の吸着、分解の状態
に依存することに起因している。具体的には、N化合物
であるNH3の吸着および分解は、成長表面にIII族元素と
して比較的活性なGaあるいはAlが存在する場合には強
く、比較的不活性な元素であるInが存在する場合には低
下する。従って、比較例9では、Nを含む第2半導体層がI
nを含む第1半導体層に直接積層されるため、成長初期界
面にIn原子が含まれることでNの取り込み効率が低下す
る。一方、実施形態29では、中間層を挿入することによ
り、第2半導体層を積層する際の成長初期界面にはInを
含まず、高いN取り込み効率を得ることができる。
【0148】上述の実施形態29では、第1半導体層(お
よび中間層)の積層時にSbを照射し、Inの偏析を抑制し
ているが、Sbを照射しない場合など、強いInの偏析が伴
う場合には、比較例9で見られたようなN取り込み効率の
低下はさらに大きくなることが予想され、本発明の適用
が不可欠である。
【0149】また、実施形態30では、実施形態29に示し
た構造をベースに、実施形態24と同様にしてSbを混晶化
した場合に示している。実施形態30では、Sbを混晶化す
ることにより、実施形態29によりも平均N組成を減少し
ている(In組成は同じ)。N組成の低減により、井戸層
を構成する化合物半導体層の非混和性が低減され、実施
形態29に比較して閾値電流密度が低減されている。
【0150】以上のように、成長方法が異なる場合おい
ても、Sbを混晶化することにより、同一発振波長を得る
ために必要なIn組成あるいはN組成を低減することが可
能となり、化合物半導体混晶の持つ非混和性の低減ある
いは、In偏析の影響の低減を図ることができ、本発明の
効果をより有効に得ることが可能となる。に設定するこ
とにより、適用することにより、Inの偏析が抑制される
とともに、必要となるN組成が減少するため、高品質結
晶の作製が容易となる。
【0151】(実施の形態31)本実施形態においては、本
発明により作製される半導体レーザを用いた応用例とし
て、光通信用モジュールについて示す。
【0152】図13は、本発明に係る化合物半導体の製造
方法を用いて作製した半導体レーザを光源とする光通信
用モジュールの構成図である。同図において光モジュー
ル200は、Si基板201上に、石英ガラス系の光導波路202
が形成されており、基地局に信号光を送信するための半
導体レーザ203、基地局からの信号光を受信するための
受光素子204ならびに、半導体レーザの出力もモニター
するための受光素子205が実装されている。光導波路202
にはWDMフィルタ206が形成されており、半導体レー
ザから発せられる波長1.3μmの信号光が光ファイバー2
07に結合され、基地局に送信される。また、基地局から
の波長1.55μmの信号光は、光ファイバーから受光素子
204に結合され、受信される。
【0153】この光通信用モジュールに用いられている
半導体レーザ203は、発振波長が1.3μmのビーム拡大器
付の半導体レーザであり、その活性層(発光層)とし
て、発光波長が1.3μmに相当する組成を有するGaInNAs
が用いられ、実施形態1で示した半導体レーザと基本的
な作製方法を同様にしてして作製されたものである。
【0154】従って、上記の半導体レーザは、その井戸
層が本発明による化合物半導体層により構成されるもの
であることから、発振閾値電流が低く、従って低消費電
力であり、さらに信頼性が高く、長寿命である。よっ
て、このような半導体レーザを用いて作製した光通信モ
ジュールも同様に、低消費電力であり、さらに信頼性の
高いものを得ることができる。
【0155】(実施の形態32)本実施形態においては、本
発明により作製した化合物半導体装置である半導体レー
ザを用いた応用例として、光通信システムの例を示す。
図14は実施形態31で示した光通信モジュール200を用い
た光通信システムの構成図を示す。基地局301と複数の
加入者302がスプリッタ303を介して光ファイバー304で
結ばれる。各加入者302の光ファイバー304端に実施形態
31で示した光通信モジュール200を用いた光ユニット305
が接続されている。本システムにおいて、1本の光ファ
イバーで1.3μm帯と1.55μm帯の2つの波長で送受信
を行う波長多重方式が用いられており、局側から加入者
側へ1.55μm光をにより映像信号が連続的に送信され、
加入者側から局側へ、局側から加入者側へ1.3μm光を
用いてデータ信号が送受信される。
【0156】このような光通信システムにおいて、本発
明の化合物半導体の製造方法により作製した半導体レー
ザを光源とする光通信モジュールを採用することによ
り、高い信頼性を有する光通信システムを作製すること
ができる。
【0157】(実施形態33)図15に、本発明の半導体装置
の一形態である半導体レーザ素子400を示す。この半導
体レーザ素子400はGaAs基板の上に構成され、波長650nm
でレーザ発振するように設計されている。図15の構成に
おいて、活性層である井戸層407が超格子擬似混晶によ
り構成されている点に特徴がある。半導体レーザ素子40
0の構成は次の通りである。
【0158】p型側電極金属401・・・AuZn 電流狭窄層402・・・ポリイミド コンタクト層403・・・p型GaAs,0.3μm キャップ層404・・・p型Ga0.5In0.5P,0.2μm 上クラッド層405・・・p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P,1μm 上ガイド層406・・・i(真性)- (Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P,
0.1μm 井戸層407・・・i-(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5N0.005P0.99,
6.0nm 下ガイド層408・・・i-(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P,0.1μm 下クラッド層409・・・n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P,1μm バッファー層410・・・n型GaAs,1μm 基板411・・・n型GaAs n型電極金属412・・・AuGe 上記の半導体レーザ構造において、井戸層407は次の3
層からなる積層構造を7周期積層することで作製した。
【0159】 第2半導体層407c・・・i-GaP0.97N0.03、0.5ML 中間層407b・・・i- Al0.15Ga0.85P、1ML 第1半導体層407a・・・i-InP、1.5ML なお、各層の組成、層厚を上記の値とすることで、上記
の平均組成を有する井戸層407を得ることができる。
【0160】GaAs基板411は、 (001)just(オフ角度0.5
°未満)の基板面方位を有するものを用い、このGaAs基
板411の上に、バッファー層410からコンタクト層403に
至る各層を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて結晶成
長した。この時、原料として、TMG(トリメチルガリウ
ム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルイ
ンジウム)、PH3(フォスフィン)、AsH3(アルシン)、DMHy
(ジメチルヒドラジン)を用いた。MOVPE法による結晶成
長の後、上クラッド層405の一部を幅2μmのストライプ
状にエッチング加工してリッジ型導波路構造とし、リッ
ジ側面にはポリイミドによる電流狭窄層402を施し、上
下に電極401,412を形成した。続いてリッジに直交する
方向に、劈開により端面ミラーを形成した。
【0161】半導体レーザ素子400は、波長650nmでレー
ザ発振した。共振器長Lを300μmとした時のレーザ発振
開始時の閾値電流密度Jthは400A/cm2であり、低電流で
のレーザ発振が見られた。
【0162】(比較例10)実施形態33で詳細を説明した半
導体レーザ構造において、井戸層407を次の2層からなる
中間層を含まない積層構造を7周期積層することで作製
した。
【0163】 第2半導体層407c・・・i-GaP0.97N0.03、0.5ML 第1半導体層407a・・・i-(Al0.15Ga0.85)0.4In0.6P、
2.5ML この場合の井戸層の平均組成および層厚は、実施形態33
と同じであるが、井戸層の構造および作製方法が異な
る。すなわち、作製方法等の詳細は実施形態33と同じで
あるが、上記の積層構造において、Inを含む第1半導体
層と、Nを含む第2半導体層との界面に、InおよびNを含
まない中間層が挿入されていないことを特徴とする。こ
の構造では、第1半導体層と、第2半導体層との界面にお
いてIn原子とN原子とが接する構造となる。
【0164】上記の半導体レーザ素子についても、作製
方法、リッジの幅は、実施形態33と同じである。
【0165】この半導体レーザ素子についても、波長65
0nmでレーザ発振したが、共振器長Lを300μmとした時の
レーザ発振開始時の閾値電流密度Jthは800A/cm2であ
り、実施形態33と比較すると高いものであった。
【0166】上記の実施形態33、比較例10について以下
に簡単に説明する。実施形態33はAlGaInNPを活性層とす
る可視光半導体レーザに本発明を適用したものであり、
比較例10は同様の構造を従来の技術により作製したもの
である。上記の様に、実施形態33において比較例10より
も低い閾値電流密度が得られ、InとNを含むIII−V族化
合物を、Inを含みNを含まない層とInを含まずNを含む層
とからなる超格子擬似混晶により作製する際に、超格子
へテロ界面にInおよびNを含まない中間層を形成するこ
とにより、III−V族化合物半導体層の結晶性が向上し、
素子特性が改善されていることがわかる。
【0167】以上の様に、AlGaInNP系材料を用いた化合
物半導体装置においても本発明が効果を奏しており、構
成元素によらず、InおよびNを含むIII−V族化合物半導
体を用いた化合物半導体装置の特性改善に本発明が幅広
く適用可能であることがわかる。
【0168】なお、ここまでに示した本発明は上記の実
施形態に示した特定の結晶系、混晶組成、バンドギャッ
プ波長、ヘテロ接合の組み合わせ、デバイス構造に限定
されるものではないことは言うまでもない。特にデバイ
スについては半導体レーザに限定されるものではなく、
発光ダイオード、受光素子、光導波路素子、太陽電池な
どの任意の光デバイス、あるいはトランジスタ、FET、H
EMTなどの電子デバイスの任意の層の作製へ適用するこ
とが可能である。
【0169】また、本発明の実施形態ではIII-V族化合
物半導体に数%の窒素を混晶化する場合を取り上げた
が、実施形態として詳細を説明した以外のIII族元素(B,
Tl等)やV族元素(Sb,Bi)が適宜混晶化されていてもよい
し、不純物元素(C,Zn,Be,Mg,Te,S,Se,Si等)が適宜含ま
れていてもよい。また、基板についても実施形態に示し
たものに限定されるものではなく、別の基板を用いても
同様の効果が得られる。例えばInGaAs基板などのその他
のIII-V族化合物半導体基板、ZnSe基板などのII-VI族化
合物半導体基板、Ge,SiC基板などのIV族半導体基板、ガ
ラス・プラスチック・セラミックス等を用いることがで
きる。
【0170】これまで示してきた全ての実施形態におい
て、結晶成長方法としては、それぞれの実施形態におい
て示された結晶方法に限定されるものではなく、他の方
法を適宜選択し得る。例えば、真空蒸着法、真空スパッ
タ法、常圧CVD法、MO-MBE法、光CVD法、プラズマCVD法
などにも適用することが可能な技術である。
【0171】また、結晶成長に用いる各構成元素の原料
については、実施形態に記述した特定の原料、あるいは
各原料の特定の組み合わせに限定されるものではなく、
任意の原料を任意の組み合わせで用いることができるこ
とは言うまでもない。また、結晶成長により形成された
混晶について、各組成の混晶比の組み合わせについても
実施形態に記述した特定の値の組み合わせに限定される
ものではなく、任意の混晶比の組み合わせとすることが
可能である。また、何れも量子井戸構造における井戸層
に本発明の混晶を適用した場合について示してきたが、
その際における井戸数、歪量、井戸層厚に関して制限は
ない。また、バリア層にも圧縮または引っ張りの歪を導
入してもよい。また、量子井戸構造のみならず、バルク
結晶であってもよい。
【0172】なお、これまでの記述の中で「上」と示さ
れた方向は基板から離れる方向を示しており、「下」は
基板へ近づく方向を示している。結晶成長は「下」から
「上」の方向へ向かって進行する。
【0173】
【発明の効果】本発明によれば、InとIn以外のIII族元
素を含み、NとN以外のV族元素を含むIII−V族化合物半
導体層を、InとNが同時に含まれることに起因する非混
和性の増大を生じることなく作製することができ、高い
結晶品質を有する前記のIII−V族化合物半導体積層構
造、積層構造体を得ることができる。
【0174】これにより、前記のIII−V族化合物半導体
積層構造体を用いた半導体装置において、より特性の優
れたものが得られるようになる。特に、発光装置におけ
る低い閾値電流密度を得るのに有効である。
【0175】さらに、それらの化合物半導体装置を用い
ることにより、同様に優れた性能を有する、光通信モジ
ュール、光通信システム等の応用システムが提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体レーザ装置の斜視図である。
【図2】GaInNAs井戸層を構成する積層構造の成長時の原
料供給シーケンスを示す図である。
【図3】閾値電流密度と共振器長との相関を示す図であ
る。
【図4】閾値電流密度と井戸層中の平均N組成との相関を
示す図である。
【図5】閾値電流密度と井戸層中の平均In組成との相関
を示す図である。
【図6】閾値電流密度と中間層の層厚との相関を示す図
である。
【図7】閾値電流密度と基板オフ角度との相関を示す図
である。
【図8】GaInNAs井戸層を構成する積層構造の成長時にSb
を供給する場合の原料供給シーケンスを示す図である。
【図9】閾値電流密度と井戸層中の平均In組成との相関
を示す図である。
【図10】GaInNAsSb井戸層を構成する積層構造の成長時
の原料供給シーケンスを示す図である。
【図11】閾値電流密度と井戸層中の平均In組成との相関
を示す図である。
【図12】閾値電流密度と井戸層中の平均In組成との相関
を示す図である。
【図13】光送受信モジュールの斜視図である。
【図14】光通信システムを示す模式図である。
【図15】半導体レーザ装置の斜視図である。
【符号の説明】
100 半導体レーザ素子 101 p型側電極金属 102 電流狭窄層 103 コンタクト層 104 上クラッド層 105 上ガイド層 106 井戸層 107 下ガイド層 108 下クラッド層 109 基板 110 n型電極金属 200 光モジュール 201 Si基板 202 光導波路 203 半導体レーザ 204,205 受光素子 206 WDMフィルタ 207、305 光ファイバー 301 光通信モジュール 306 光ユニット 400 半導体レーザ素子 401 p型側電極金属 402 電流狭窄層 403 コンタクト層 404 キャップ層 405 上クラッド層 406 上ガイド層 407 井戸層 408 下ガイド層 409 下クラッド層 410 バッファー層 411 基板 412 n型電極金属
フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA03 CA05 CA34 CA40 5F045 AB09 AB10 AB17 AB18 AB19 AD08 AF04 AF13 BB16 CA10 CA12 DA53 DA55 5F073 AA13 AA45 AA74 CA20 CB02 DA05 DA06 EA23

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Inを含みNを含まない第1のIII−
    V族化合物半導体層と、In及びNを含まないIII−
    V族化合物半導体中間層と、Inを含まずNを含む第2
    のIII−V族化合物半導体層とが、この順で形成され
    てなることを特徴とする化合物半導体積層構造。
  2. 【請求項2】 前記中間層の層厚が、一分子層以上であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体積層
    構造。
  3. 【請求項3】 前記化合物半導体積層構造のInの平均
    組成は、0.27以上であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の化合物半導体積層構造。
  4. 【請求項4】 前記第2のIII−V族化合物半導体層
    中のNの平均組成は、0.006以上であることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物半導体
    積層構造。
  5. 【請求項5】 基板上に、請求項1乃至4のいずれかに
    記載の化合物半導体積層構造が、この順、または逆の順
    で、単数、又は複数層含んで形成されてなることを特徴
    とする化合物半導体積層構造体。
  6. 【請求項6】 前記基板の表面は、{001}結晶面と
    のなすオフ角度が0.5度以下であることを特徴とする
    請求項5に記載の化合物半導体積層構造体。
  7. 【請求項7】 基板上に、InとIn以外のIII族元
    素を含み、NとN以外のV族元素を含むIII−V族化
    合物半導体積層構造を備えた化合物半導体積層構造体で
    あって、 前記化合物半導体積層構造中の、InとNの結合密度の
    Inと、全てのV族元素との結合密度に対する比が、前
    記III−V族化合物半導体中のN組成比(N原子密度
    の全V族原子密度に対する比)よりも低いことを特徴と
    する化合物半導体積層構造体。
  8. 【請求項8】 前記III−V族化合物半導体層中にI
    nとNとの結合を含まないことを特徴とする請求項7に
    記載の化合物半導体積層構造体。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至8のいずれかに記載の化合
    物半導体積層構造体における、化合物半導体積層構造
    が、活性層をなすことを特徴とする半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の半導体発光素子を光
    源として用いてなることを特徴とする光通信装置。
  11. 【請求項11】 基板上に、InとIn以外のIII族
    元素を含み、NとN以外のV族元素を含むIII−V族
    化合物半導体層を積層する化合物半導体積層構造体の製
    造方法において、 前記III−V族化合物半導体層は、Inを含み、Nを
    含まない第1のIII−V族化合物半導体層を積層する
    第1工程と、InおよびNを含まないIII−V族化合
    物半導体中間層を積層する第2工程と、Inを含まず、
    Nを含む第2のIII−V族化合物半導体層を積層する
    第3工程と、を備えた一周期の工程を、少なくとも1回
    以上繰り返すことにより形成されてなることを特徴とす
    る化合物半導体積層構造体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記中間層の膜厚は、1分子層以上で
    あることを特徴とする請求項11に記載の化合物半導体
    積層構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記中間層は、N以外のV族元素から
    なる第1の単原子層を形成するA工程と、In以外のI
    II族元素からなる第2の単原子層を形成するB工程
    と、を備えた一周期の工程と、少なくとも1回以上繰り
    返すことにより形成されてなることを特徴とする請求項
    11または12に記載の化合物半導体積層構造体の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記III−V族化合物半導体層を形
    成する工程は、前記III−V族化合物半導体層の構成
    元素よりも大きな原子半径を有する少なくとも1種の元
    素を成長表面に供給する工程を含むことを特徴とする請
    求項11乃至13のいずれかに記載の化合物半導体積層
    構造体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記元素は、Sb、Bi、Te、Tl
    のうちのいずれかから選択されてなることを特徴とする
    請求項14に記載の化合物半導体積層構造体の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記元素を成長表面に供給する工程
    は、前記第1の化合物半導体を積層する第1の工程にお
    いて行われてなることを特徴とする請求項14又は15
    に記載の化合物半導体積層構造体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1の工程と、第2の工程と、第
    3の工程を備えた一周期の工程は、連続して行われてな
    ることを特徴とする請求項11乃至請求項16のいずれ
    かに記載の化合物半導体積層構造体の製造方法。
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