JP3857090B2 - 化粧用具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海綿状の繊維構造体よりなる化粧用パフ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然海綿は、蛋白質よりなる海綿繊維の自己接着によって形成された網目構造が独特の保水性と柔軟弾性を有しており、これが肌への化粧料ののりを良くしている。海綿は適度の柔軟性と復元力が肌になじみ化粧用パフとして最適であり、古くから重宝されてきた実績を有するが、海綿は天産物であり、多量の供給を求めても難しい、また製品に加工するには熟練した技能が必要であり、多量供給用としては不向きな素材である。
【0003】
かかる事情から、普及用として安定供給できる工業素材で海綿の代替素材を求められている。セルローススポンジ、PVAスポンジによる化粧用パフの開発がなされたけれども、海綿繊維が自己接着により多数のセル状気泡が形成しているのに対して代替素材の構造の相違から海綿の機能や感触を実現することができなかった。
最近、湿熱性接着繊維成分を用いて、水中で加熱して繊維の接触点を接着させて且つ多数のセル状空隙を有する繊維集積体が得られており(特開2001-123368 号) 、海綿に類似の構造として興味が持たれる。支持層と多数の細かいセル状空隙部を有する多孔性繊維層からなる繊維複合積層体についても特開2001-129911 号公報により開発されている。実施例によれば、湿熱接着性成分を含む複合繊維150Dtexのフィラメントを仮撚加工をした加工糸を用いて、2.7 mmのシンカーパイル編機によりシンカーパイル編地として、その両面を起毛機によりパイル糸をかき出した後、シャーリング加工してフリース編地として、該編地を沸騰水中に浸漬して多数の細かいセル状空隙部を有する多孔性繊維複合積層体としている。上記のセル状空隙部を有する多孔性繊維層からなる繊維複合積層体は、そのままでは化粧用具に用いることは出来ないが、本素材から有する課題を解決すれば、新規な化粧用具に構成することが可能と思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開2001-129911 号公報による支持層と多数の細かいセル状空隙部を有する多孔性繊維層をシンカーニット生地によれば、パイル長が 2.7mmで短くてパフにならない。海綿状のパフ体を得るには、少なくともパイル長は、15mm以上、好ましくは20mm以上が必要であり、さらにパイルを構成する繊維はマルチフィラメント使用ではパイル内部の繊維密度の部分的格差が大きくて柔軟なセル状空隙体が得られない。
本質的な課題としては、湿熱処理により接着加工をする際に、生地のグランド部が熱収縮と繊維間の接着を生じて生地が硬くなって、化粧用パフに適さないのである。
従来、パフには2枚を重合する方法と、天面に巻き込む方法とがあるが、2枚を重合する場合は、化粧用パフは縁の肌への感触が品質の生命であり、天面と全く同一の状態で感触も同一でなければならないので、縁の処理加工に技術上の課題と工数がかかる。天面に巻き込む場合は、生地が薄くないと実施できないので、本件素材のごとく15mmパイル生地には適さない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、スライバーニット機を用いてスライバーパイルニットとして、パイル長は、15mm以上、好ましくは20mm以上のパイル生地を用いる。パイル部が、エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルからなる湿熱接着性の複合繊維によるスライバーを用いてパイルとし、グランド部が該複合繊維よりなるマルチフイラメント50〜100 %とレギュラー合成繊維フイラメント50〜0%を用いる。
パイル部に用いる該複合繊維は、単糸繊度 0.1〜10Dtezの 400〜1000Dtexのスライバーが好ましい。繊維のカット長は、40mm〜60mmで、スライバーニット機のゲージは12〜16本/インチ、度目は12〜16本/インチ、パイル長20mm〜30mmのパイル生地として用いる。この生地をシャリングして15mm以上のパイル生地とする。
【0006】
グランド部に使用する繊維は、該複合繊維よりなる 100〜150Dtex 程度のマルチフイラメント50〜100%と 100〜150Dtex 程度のレギュラー合成繊維 (例えば、ナイロン、ポリエステル繊維) のフィラメント50〜0%を用いる。グランドに該複合繊維を用いる理由は、湿熱処理によりパフ状の形に素材を成形するために有効である。複合繊維が50%以下では成形不良で好ましくない。レギュラー合成繊維を50%以下で混用するのは、強度物性的な補強用として用いるもので、50%以上を使用する必要がない。
【0007】
前記スライバーパイルニットを円形、楕円、その他所定の形状に裁断して、次いで裁断布2枚をパイル面を外側に重合する。湿熱によりパイルニットが収縮して硬化するのを防止するために、高反発性の弾性体を2枚の裁断布の間の中央部に設けて収縮抵抗体とする。次いで、上下2枚のパイルニットの縁を仮縫いにより縫合してパフ状体とする。2枚のパイル生地は湿熱処理によりパイル部が接着して側面も天面と同一の状態になるので、本縫いをする必要はない。
【0008】
次いで、パフ状体を水に浸漬した状態で、2450MHz のマイクロ波を用いて加熱処理を行う。パイル内部の水の内部沸騰により多数の空隙がパイル内部に形成される。そのときに内設された高反発性の弾性体が、生地の収縮の抵抗体となって、柔軟なパフ状体に仕上げることができる。
エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルからなる複合繊維としては、鞘芯型のソフィスタ (株式会社クラレの製品、湿熱接着性繊維) を用いることができる。
【0009】
高反発性の弾性体は、生地の収縮抵抗体として用いるのであるから、ポリエステル繊維15Dtexのモノフイラメントよりなる厚さ10mm程度の不織布を用いることができる。従来、中芯として用いているポリウレタン等のスポンジは使用できない。該弾性体はスライスバーニットの裁断寸法より小さくして内設し、複数枚重ねて使用する。
本発明において、パフ状体を2450MHz のマイクロ波により加熱処理する方法は、ガラス、陶器、PP等の容器に水を入れて、パフ状体を浸漬した状態で、電子レンジを用いて3分〜5分程度マイクロ波により処理する。パフ状体の内部より沸騰してパイル繊維の接点が接着して同時に多数の空隙が得られる。使用する水に界面活性剤、キトサン・コラーゲンによる保湿剤、親水性ポリウレタン処理剤を添加することは有効である。染料を添加して同時に染色することもできる。
【0010】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明の要件は実施例の記載に限定されることはない。
【実施例1】
ソフィスタ(株式会社クラレの製品、湿熱接着性繊維)単糸繊度2Dtexよりなるカット長50mmのスライバー500Dtex をパイル用繊維とし、グランド用にはソフィスタ (株式会社クラレの製品、湿熱接着性繊維) 180Dtex/60fよりなるマルチフイラメントを用いて、スライバーニット機によりゲージ14本/インチ、度目14/インチ、パイル長20mmのスライバーパイルニットを作成した。該パイルニットを直径15cmの円形に裁断し該裁断布2枚の縁を合わせてパイル面を外側に重合し、2枚の間にポリエステル単糸15Dtexのモノフイラメントよりなる厚さ10mmの不織布を8枚を内設し、縁を仮縫いしてパフ状体とした。次いで、パフ状体をガラス容器に水を入れた中に浸漬して、電子レンジにて2450MHz のマイクロ波により5分間処理した。機器より取り出して乾燥することにより、化粧用に適した柔軟な化粧用具を得ることができた。
得られた化粧用具は、保水性、洗浄性、柔軟性、圧縮弾性、肌への感触が海綿と同等であった。リントフリーであるので電子機器や医療分野のワイパーとしても使用が可能なものであった。
【0011】
【実施例2】
ソフィスタ(株式会社クラレの製品、湿熱接着性繊維)単糸繊度1Dtex/60fよりなるマルチフイラメントを70%、100Dtex/60f のナイロンフィラメントを30%用いてスライバーニット機によりゲージ12本/インチ、度目13本/インチ、パイル長25mmのスライバーパイルニットを作成した。該パイルニットを長径15cm短径10cmの楕円形に裁断し該裁断布2枚の縁を合わせてパイル面を外側に重合し、2枚の間にポリエステル単糸15Dtexのモノフイラメントよりなる厚さ不織布を8枚を内設し、縁を仮縫いしてパフ状体とした。次いで、陶器容器に水、黄色の分散染料、ZPT(ジンクピリチオン) を内包した直径10μのアクリル樹脂微粒子を入れた中にパフ状体を浸漬して、電子レンジにて2450MHzのマイクロ波により5分間処理した。機器より取り出して乾燥することにより、化粧用に適した柔軟で黄色の染色されたパフを得ることができた。
得られた化粧用具は、JIS L1092に規定された大腸菌と黒黴によるハロー試験方法によりハローが認められ、抗菌性を有することがわかった。
【0012】
【発明の効果】
上記のとおり、エチレンビニルアルコール共重合体が繊維の一部又は全面を構成する湿熱接着性の複合繊維を用いて、スライバーパイルニットを所定の形状に裁断して2枚を重合し、内部に高反発性の弾性体を設けることにより、マイクロ波による加熱手段により、保水性、洗浄性、柔軟性、圧縮弾性が海綿に限りなく類似の柔軟な化粧用具を得ることができる。また容易に染色したり、抗菌処理、機能性付与を同時に得ることができる。
Claims (2)
- (1) A)スライバーニット機により、エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルからなる湿熱接着性の複合繊維によるスライバーを用いたパイル用繊維及びB)該複合繊維よりなるマルチフイラメント50〜100 %とレギュラー合成繊維フイラメント50〜0%からなるグランド用繊維を用いて、C)パイル長を 15 mm以上となるようにスライバーパイルニット生地を編成する工程と(2)該スライバーパイルニットを所定の形状に裁断する工程と、(3)裁断した2枚のパイル面を外側にして縁を合わせて重合し、2枚の間に高反発性の弾性体を抵抗体として内設し、上下2枚のスライバーパイルニットの縁を仮縫いしてパフ状体とする工程と、(4)パフ状体を水に浸漬した状態でマイクロ波を用いて内部より加熱処理を行う工程よりなる、本縫いを必要とすることなく海綿状のパフ状体とすることを特徴とする海綿状化粧用具の製造方法。
- 請求項1記載の製造方法で得られたものであって、エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルからなる湿熱接着性の複合繊維によるスライバーニットの2枚を重合した縁のパイル接触部及び天面のパイル内部に、繊維同士が互いに接触する部分が接着して一体化されており、多数のスポンジ状気泡が形成されていて、且つ柔軟なパフ状体であることを特徴とする海綿状化粧用具。
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