JP3856351B2 - アリールカーボネートの連続的製造方法 - Google Patents

アリールカーボネートの連続的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、不均一系触媒の存在下に気相で、芳香族ヒドロキシ化合物をホスゲンと反応させることによる、芳香族エステル基を有するカーボネートの連続的製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
芳香族ヒドロキシ化合物の相界面ホスゲン化(ショッテン−バウマン反応(Shotten-Baumann reaction))によりアリールカーボネートを得ることができることは知られている。この反応では、溶媒と水酸化ナトリウム溶液を使用するが、この水性アルカリ溶液はホスゲン又はクロルギ酸エステルの部分的けん化を引き起こすことがあるので、不利な効果を有し、大量の食塩が副生物として生成されそして溶媒を回収しなければならない。
【0003】
例えば、米国特許第2837555号、第3234263号及び第2362865号には、溶媒を使用しない方法が提案されている。しかしながら、可溶性触媒を使用しており、生成物からのその分離が面倒である。
【0004】
従って、反応混合物の処理を実質的に容易にする不均一な不溶性触媒を使用するのが都合がよいように見える。これに関しても提案がなされた。かくして、ヨーロッパ特許出願公開公報第516355号(EP−A−516355)は、主として、随時アルミノケイ酸塩のような担体上に適用されていてもよい三フッ化アルミニウムを推奨している。しかしながら、フッ素又はフッ化水素酸の取り扱いはフッ化アルミニウムの合成を非常に複雑且つ高価なものとする。国際出願公開WO91/06526は、気相及び液相でフェノールを完全に連続的にホスゲン化するための触媒として多孔性支持体上の金属塩を記述している。ジフェニルカーボネートの部分的縮合は、支持体から活性な触媒成分を浸出する危険を伴い、従って不活性化の危険がある。
【0005】
更なる欠点としては、大過剰のフェノール又はホスゲンの存在下ですら不満足な転化率が挙げられ、しかも、過剰のホスゲンの場合には、相当な分率の望まないクロルギ酸フェニルエステルが得られ、そのため処理が複雑になる。
【0006】
均一な(uniform)、不均一系触媒(heterogenous catalysts)の存在下に気相で芳香族ヒドロキシ化合物をホスゲン化することによるジアリールカーボネートの連続的な工業的製造方法はこれまで提唱されたことはない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような方法が今回見出された。この方法は、
1)一方では、随時不活性ガス又は不活性溶媒の蒸気で希釈されていてもよい芳香族ヒドロキシ化合物と場合によりそのクロルギ酸エステルの180℃〜500℃に加熱されたガス状混合物と、他方では、20℃〜500℃に加熱されたホスゲンとを、不均一系触媒を充填され且つ180℃〜500℃に加熱された、可動部品を持たない円筒形反応室に導入し、そして該反応室内で反応させ、その際反応温度は反応混合物の入り口温度より多くて150℃上昇し、
2)反応器を去るガス混合物を一部凝縮させ、廃ガスを、随時いくらかのクロルギ酸エステルを含有している芳香族ヒドロキシ化合物のガス状流又は溶融流と共に、不均一系触媒を充填された追加の廃ガス反応器に導入し、そして該廃ガス反応器において、ホスゲン及び随時クロルギ酸エステルが出口ガス流から除去されるような方式で反応させ、
3)反応器を去る凝縮されそして脱ガスされた反応生成物を、直接処理のために送るか又は第2反応器に導入し、第2反応器において、残存しているクロルギ酸エステルを、不均一系触媒の上で、まだ存在しているか又は導入された芳香族ヒドロキシ化合物と更に反応させて、ジアリールカーボネートを生成させ、
4)第2反応器を去る生成物を再び脱ガスし、そしてこの廃ガスを、溶融した又はガス状の芳香族ヒドロキシ化合物と一緒に、2)で述べた廃ガス反応器に導入し、
5)第2反応器からの脱ガスされた生成物を蒸留塔に導入し、芳香族ヒドロキシ化合物及び随時まだ存在している痕跡量のクロルギ酸エステルを、頂部生成物(top product)として留去しそして廃ガス反応器又は第1反応器に再導入し、
6)この第1蒸留塔の底部生成物を第2蒸留塔に導入し、第2蒸留塔において随時まだ存在している痕跡量の低沸点成分を、頂部生成物としてジアリールカーボネートから除去して第1塔の上部に戻し、
7)純粋なジアリールカーボネートを、随時痕跡量の低沸点成分と共に、第2塔のガス空間から排出させ、
8)この生成物を第3塔に導入し、そして残存量の高沸点成分を底部生成物として分離することにより、純粋なジアリールカーボネートを塔頂生成物(overhead product)として得、
9)第2塔と第3塔からの一緒になった底部生成物を第4蒸留装置に送り、ジアリールカーボネートを頂部生成物として留去して第2塔に戻し、そして高沸点成分を第4蒸留装置の底部から取り出す、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明に従う方法のための芳香族ヒドロキシ化合物は、式
ArOH
式中、
Arは、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、テトラヒドロナフチル、又は、N、O及びSから成る群より選ばれた1個又は2個のヘテロ原子を有する5員又は6員の芳香族複素環の残基を意味し、ここで、これらの同素環残基及び複素環残基は線状又は分岐状C1ーC4アルキル、C1ーC4アルケニル、C1ーC4アルコキシ基、フェニル残基又はニトリル及びハロゲン基のような1個又はそれより多くの置換基により置換されていてもよく、そして複素環残基は更にベンゼン環と縮合していてもよい、
の芳香族ヒドロキシ化合物である。
【0009】
本発明に従う芳香族ヒドロキシ化合物の例は、フェノール、o−、m−及びp−クレゾール、o−、m−及びp−イソプロピルフェノール、対応するハロフェノール又はアルコキシフェノール、例えば、p−クロロフェノール又はp−メトキシフェノール、更に、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンのモノヒドロキシ化合物及びヒドロキシピリジン及びヒドロキシキノリンである。好ましくは置換されたフェノールが使用され、特に好ましくはフェノールそれ自体が使用される。
【0010】
芳香族ヒドロキシ化合物及びそのクロルギ酸エステルを、本発明に従う方法を行う前に蒸発させ、そして180〜500℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは、220〜350℃の範囲内の温度に連続的に加熱する。予め加熱された芳香族ヒドロキシ化合物は、本発明に従う方法においてそのままで又は不活性ガス又は不活性溶媒の蒸気で希釈して使用することができる。芳香族ヒドロキシ化合物の蒸気と不活性ガスとの完全な混合は、例えば、不活性ガス又は不活性溶媒の蒸気の流れの中で芳香族ヒドロキシ化合物を蒸発させることにより達成することができる。好ましい不活性ガスは窒素である。芳香族ヒドロキシ化合物を希釈するのにその蒸気を使用することもできる好適な不活性溶媒は、例えば、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、キシレン、クロロナフタレン、デカヒドロナフタレン又はその混合物である。
【0011】
希釈剤として随時使用される不活性ガス又は不活性溶媒蒸気の量は決定的に重要ではない。
【0012】
本発明に従う方法の好適な触媒は、例えば、ヨーロッパ特許出願公開公報第483632号(EP−A 483632)、同第635476号(EP−A 635476)、米国特許第5478961号、ヨーロッパ特許出願公開公報第635477号(EP−A 635477)、米国特許第5473094号、ヨーロッパ特許出願公開公報第645364号(EP−A 645364)、米国特許第5524942号、ヨーロッパ特許出願公開公報第691362号(EP−A 691362)、同722930号(EP−A 722930)、同516355号(EP−A 516355)、米国特許第5239105号及び同第5136077号から知られる。
【0013】
分離物(educt)ホスゲン及びヒドロキシ化合物は、1:0.5〜1:8、好ましくは1:1.5〜1:5、特に好ましくは1:2〜1:4のモル比で使用される。この場合に、化学量論的比は1:2である。
【0014】
触媒は、粒状材料、ペレット、押出物、ロッド、球状物、高表面積成形物、例えば、ラシヒリングの形態にある中空押出物、中空シリンダー、星状物(stars)、貨車車輪状物(wagon wheels)又は破断片(broken pieces)である。これらの粒子の直径及び長さは、0.5〜10mmの範囲にある。それらは、簡単な充填の形態で反応器内に配列される。
【0015】
本発明に従う方法を行う前に、ホスゲンの流れを20〜500℃、好ましくは100〜400℃、特に好ましくは220〜350℃の範囲内の温度に加熱する。
【0016】
本発明に従う反応を行うために、一方では、芳香族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物と不活性ガスもしくは不活性溶媒の蒸気との混合物の予熱された流れと、他方では、ホスゲンの予熱された流れとを、円筒形反応室に連続的に導入し、そしてその中で一緒に混合する。
【0017】
本発明に従う方法に好適な反応器は、当業者には知られている。例は、随意に冷却又は加熱ジャケットを有し、充填物として触媒を入れた、反応器内に可動部品のない管状反応器であるか、又は、触媒が2つ又はそれより多くの重ねられたトレー上に均一な層として分配されている棚型反応器(rack reactors)である。
【0018】
管状反応器は、一般に、鋼、ガラス、合金又はエナメル被覆鋼(enameled steel)から成り、そして操作条件下に芳香族ヒドロキシ化合物とホスゲンとの実質的に完全な反応を確実にするのに十分な長さを有する。ガス流は、一般に、管状反応器の一端に導入され、この導入は、例えば、管状反応器の一端に収容されたノズルを通して、又はノズルと、該ノズルと混合管との間の環状ギャップとの組み合わせを通して、又は分配板を通して行うことができる。
【0019】
ホスゲンと芳香族ヒドロキシ化合物との反応は、約180〜500℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは220〜350℃の温度で行われる。
【0020】
圧力は、0.1〜10バール、好ましくは0.2〜7バール、特に好ましくは0.3〜6バールの範囲にある。
【0021】
反応器を通る流れは、一方では反応室への製品供給配管と、他方では反応室からの出口との間の適当な圧力差を形成させることにより確実にすることができる。一般に、反応室への供給配管内の圧力は、200〜3000ミリバールであり、そして反応室からの出口では150〜2000ミリバールである。これに関して必須の点は、反応室を通る流れを確実にするために単に圧力差を維持することである。反応室を去るガス状混合物は、一般に冷却されそして処理のために送られるか又は部分的に凝縮されそして第2反応器に導入される。
【0022】
部分的凝縮は、随時不活性溶媒を使用して行うことができ、その温度は、ジアリールカーボネート及び希釈剤として随時使用される溶媒が凝縮するか又は不活性溶媒に溶解するように、一方、過剰のホスゲン、塩化水素及び随時希釈剤として使用される不活性ガスは、凝縮段階又は不活性溶媒をガス状で通過するように選ばれる。選択的凝縮の例は、ガス混合物を不活性溶媒に通すことであるか又はガス流中に溶媒を噴霧すること(微粉砕された溶媒)である。
【0023】
選択的凝縮のために使用することができる好適な溶媒は、例えば、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、キシレン、クロロナフタレン、デカヒドロナフタレン、又はその混合物、好ましくは、ジクロロベンゼン、特に好ましくは芳香族ヒドロキシ化合物それ自体である。
【0024】
しかしながら、冷却又は部分的凝縮は、一般に熱交換器で行うこともできる。部分的凝縮後に残っている廃ガスを、<50重量%、好ましくは<30重量%、特に好ましくは<10重量%の量でクロルギ酸エステルを含有していてもよいヒドロキシ化合物の溶融流又はガス状流と一緒に、不均一系触媒を充填された反応器を並流又は向流で通過させ、そして残りのホスゲン及び随時まだ同伴されている相対的に少量のクロルギ酸エステルを廃ガス流から除去する。廃ガス後反応器を去る溶融混合物を、随時更にヒドロキシ化合物を添加することにより所望のモル比に調節し、蒸発させ、所望の温度に加熱させそして反応器に導入させる。
【0025】
反応混合物が脱ガスされた後、廃ガス後反応器の頂部を去るガス流は、実質的に塩化水素から成る。場合によりまだ存在しているホスゲンは、活性炭塔で公知の方法を用いて少量の水で加水分解することができる。塩化水素流中にまだ存在しているヒドロキシ化合物の量(この量は脱ガス装置中に行きわたっている温度における化合物の蒸気圧により決定される)を、冷トラップで凝固させることにより除去しそして反応器に戻すことができる。ありうる残留量は、水中への塩化水素のその後の断熱吸収において水性混合物として共沸蒸留により追い出され(drived off)、そして回収の後反応器に導入するか又はフェノール樹脂の製造のような他の目的に使用することができる。
【0026】
塩化水素中にまだ存在するホスゲンの残留量は、水による断熱吸収(その際それらはヒドロキシ化合物と水の共沸混合物と共に追い出される)の後、分離物(educt)流由来の痕跡量の不活性ガスと共に活性炭塔に有利に導入しそしてそこで加水分解することもできる。
【0027】
反応混合物が部分的に凝縮された後、初期粗生成物が得られ、このものは一般に主としてジアリルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から成り、そしてまだ或る量のクロルギ酸エステルを含有しており、その量は<50重量%、好ましくは<30重量%、特に好ましくは<15重量%である。
【0028】
この混合物は、蒸留による処理に直接送ることができ、そしてクロルギ酸エステル及びヒドロキシ化合物、ジアリルカーボネート及び少量の高沸点成分から成る流れに分割することができる。しかしながら、簡単のため及び蒸留をより経済的に行うことを確実にするために、より好適な反応混合物は、クロルギ酸エステルを含まないか又は少量のクロルギ酸エステルしか含有しない。
【0029】
部分的凝縮の後得られた初期の溶融した粗生成物を、かくして、不均一系触媒の入っている第2反応器に有利に送り、そしてまだ存在しているクロルギ酸エステルを、第2反応器において、混合物中にまだ存在しているか又は混合物に添加されたヒドロキシ化合物と液相で反応させる。圧力は、ここでは0.1〜6バール、好ましくは0.2〜4バールの比較的狭い範囲に維持することができる。温度は、120〜250℃、好ましくは140〜250℃、特に好ましくは160〜230℃である。
【0030】
時間当たり触媒容量リットル当たりの分離物(educt)混合物kgで測定した反応器負荷(reactor loading)は、反応温度、触媒の活性及び所望の転化率に依存している。負荷は、0.01〜20、好ましくは0.02〜10、特に好ましくは0.03〜4、最も好ましくは0.04〜3kg/l/hである。
【0031】
第2反応器を去る混合物は脱ガスされ、そして廃ガス流は、やはり廃ガス第2反応器に送られる。少量の(<3、好ましくは<2、特に好ましくは<1重量%)のクロルギ酸エステルしか含有しない脱ガスされた混合物は、第1蒸留塔で、過剰のヒドロキシ化合物及びクロルギ酸エステル又は随時使用される溶媒を除去され、これらを頂部生成物として排出し、そして必要に応じて反応器、第2反応器又は廃ガス反応器に送りそして更に反応させる。
【0032】
この塔の底部から排出される混合物は、第2塔において、残留低沸点成分(これは第1塔の上部に戻される)、純粋なジアリルカーボネート(これはこの第2塔の蒸気流から横に排出される)及びジアリルカーボネートと高沸点成分の混合物(これは底部生成物として塔を去る)に分離される。
【0033】
第3塔に導入されることにより、ジアリルカーボネート(これはこの第3塔から頂部生成物として排出される)は、痕跡量の高沸点成分(底部生成物)から分離される。
【0034】
第2塔及び第3塔からの一緒になった底部生成物は、連続的又は非連続的に操作される4蒸留塔で、高沸点成分を含有する底部生成物とジアリルカーボネートに分離され、このジアリルカーボネートは第2塔の下部に送られ、そしてそこで更に精製される。
【0035】
反応生成物の<3%、好ましくは<2%、特に好ましくは<1%の比較的少量の底部生成物は焼却するか又はフェノール系樹脂の製造に使用するのが便利である。
【0036】
【実施例】
γ−酸化アルミニウムの存在下でのフェノールの気相ホスゲン化によるジフェニルカーボネートの連続的製造
本発明に従う方法を行うのに使用される装置及び生じる物質流は図1に線図で示される。
【0037】
蒸留塔Xの頂部から排出されたフェノール14及び冷トラップXVIから戻されたフェノール18と共に、54.0重量部/時間のフェノール12を、加熱式タンクIから標準圧力下に熱交換器III(170℃)を経由して、170℃に加熱されそして45容量部のγ−酸化アルミニウムを充填された廃ガス後反応器VIIの頂部に供給する。凝縮装置VI及び脱ガス装置IXに由来する廃ガス流15(フェノール/ホスゲン/塩化水素/二酸化炭素の重量比1.7/52.9/44.8/0.6)を、フェノールと並流で反応器VIIに導入する。
【0038】
フェノール、クロルギ酸エステル、ジフェニルカーボネート及び副生物を82.0/1.35/16.6/0.05の割合で含有する、反応器の底部を去る生成物11′は、脱ガス器XVによって、廃ガス16(フェノール、ホスゲン、塩化水素及び二酸化炭素の重量比4.0/66.3/29.5/0.2)と、底部生成物11(フェノール、クロルギ酸フェニルエステル、ジフェニルカーボネート及び副生物の重量比81.9/1.4/16.7/0.05)に分離される。
【0039】
熱交換器IV(280℃)により予熱された40.6重量部/時間のホスゲン3を、280℃に予熱された11と並流で、280℃に加熱されそして45容量部のγ−酸化アルミニウムを充填された反応器Vに導入する。
【0040】
フェノール、クロルギ酸フェニルエステル、ジフェニルカーボネート及び副生物を34.1/4.3/61.3/0.3の割合で含有する、反応器の底部を去る生成物5は、凝縮装置VIによって、廃ガス6(フェノール、ホスゲン、塩化水素及び二酸化炭素の重量比0.9/54.8/43.7/0.6)と、底部生成物7(フェノール、クロルギ酸フェニルエステル、ジフェニルカーボネート及び副生物の重量比33.9/4.3/61.5/0.3)に分離される。
【0041】
底部生成物7中に存在するクロルギ酸フェニルエステルは、γ−酸化アルミニウム(45容量部)を充填されている第2反応器VIIIにおいて、存在するフェノール(場合により追加のフェノール(1′又は14′)の添加の後)との後反応(subsequent reaction)により180℃でジフェニルカーボネートに転化される。
【0042】
反応器の底部で排出された生成物8(フェノール、ジフェニルカーボネート及び副生物の重量比31.7/68.0/0.3)は、脱ガス器IXによって、廃ガス9(フェノール/塩化水素)と、底部生成物10(フェノール、ジフェニルカーボネート及び副生物の重量比31.5/68.2/0.3)に分離される。廃ガス流6及び9は一緒になって15となり、そして既に上記したフェノール(12、14及び18)と並流で廃ガス反応器VIIに送られる。
【0043】
脱ガス器XVの頂部を去る廃ガス16は、冷トラップXVIに送られ、そこで存在するフェノール18(0.70重量部/時間)は除去されそして廃ガス反応器VIIに戻される。
【0044】
冷トラップXVIを去る廃ガス17は、塩化水素吸収装置XVIIに送られる。
【0045】
124.4重量部/時間の18%塩酸19を導入することにより、145.7重量部/時間の30%塩酸20が得られ、このものは電解に供給することができる。電解から得られる塩素は、ホスゲンの製造に再使用することができる。
【0046】
痕跡量の同伴されたフェノールは水との共沸混合物29として除去されうる。分解装置(水を有する活性炭塔)が接続されて、廃ガス30中にまだ存在しているホスゲンを分解する。
【0047】
底部生成物10は、第1蒸留塔Xに導入され、そして約80℃/12トルで28.1重量部/時間のフェノールと、底部生成物22(フェノール、ジフェニルカーボネート及び副生物の重量比0.3/99.3/0.4)に分離される。
【0048】
底部生成物22は、第2蒸留塔XIに送られ、該第2蒸留塔XIにおいて、まだ存在するフェノール(0.2重量部/時間)21は頂部生成物として除去されそして第1塔Xの上部に導入される。
【0049】
61.3重量部/時間の生成物23(ジフェニルカーボネート、副生物の重量比99.9/0.1)が、第2塔XIのガス空間からの横方向排出により得られ、生成物23は第3蒸留塔XIIにおいて頂部生成物28(61.3重量部/時間のジフェニルカーボネート)と、底部生成物27に分離され、底部生成物27は塔XIIIに流れる。
【0050】
蒸留塔XIの底部で排出された生成物25(ジフェニルカーボネート/副生物の重量比90.6/9.4)は、27と共に、第4蒸留塔XIIIにおいて170℃/12トルで、頂部生成物24(ジフェニルカーボネート1.8重量部/時間)と、底部生成物26(高沸点副生物)に分離され、頂部生成物24は第2塔XIの下部に戻される。
【0051】
実施例2
反応器Vに、熱交換器IIIを経由して71.9重量部/時間のフェノール4を導入しそして熱交換器IVにより予熱された37.1重量部/時間のホスゲン3を導入して、廃ガス反応器なしで330℃で実施例1に記載の本発明に従う方法を実施すると、一定の選択性で26.1重量部/時間のジフェニルカーボネートが得られる。
【0052】
分離物(educt)及び生成物の組成、触媒負荷及び温度に依存して、上記方法に対する下記の更なる態様を列挙することができる。
【0053】
a)プロセスの最初に廃ガス反応器VIIを経由する代わりに反応器Vに直接フェノール4を供給する。
【0054】
b)比較的高い濃度のクロルギ酸フェニルエステルが存在する場合に、後反応のための追加の反応相手としてフェノール(1′又は14′)を添加する。
【0055】
c)反応器VIIIの後反応なしで操作し、その際まだ存在するクロルギ酸フェニルエステルを、第1蒸留塔Xにおいてフェノールと共に低沸点成分14として留去しそして廃ガス反応器VIIに導入するか、又は、このプロセスが廃ガス後反応器なしで操作される場合には、第1反応器Vに戻す(13)。
【0056】
D)廃ガス反応器VII及び脱ガス器XVの代わりにホスゲンスクラビングにより操作し、その際、廃ガス流15を向流装置の底部から溶融したフェノール(1、14又は18)に対して向流で送る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う方法を実施するのに使用される装置及び物質流を示す線図である。
【符号の説明】
I フェノール貯蔵タンク
II ホスゲン貯蔵タンク
III、 IV 熱交換器
V、VII、VIII 反応器
VI、IX、XV 凝縮装置/脱ガス器
X、XI、XII、XIII 蒸留塔
XIV 生成物タンク(DPC)
XVI 冷トラップ
XVII HCl 吸収塔

Claims (1)

  1. 不均一系触媒の存在下にホスゲンを芳香族ヒドロキシ化合物と反応させることによるジアリールカーボネートの連続的製造方法であって、
    1)一方では、随時不活性ガス又は不活性溶媒の蒸気で希釈されていてもよい芳香族ヒドロキシ化合物と場合によりそのクロルギ酸エステルの180℃〜500℃に加熱されたガス状混合物と、他方では、20℃〜500℃に加熱されたホスゲンとを、不均一系触媒を充填され且つ180℃〜500℃に加熱された、可動部品を持たない円筒形反応室に導入し、そして該反応室内で反応させ、その際反応温度は反応混合物の入り口温度より多くても150℃上昇し、
    2)反応器を去るガス混合物を一部凝縮させ、廃ガスを、随時いくらかのクロルギ酸エステルを含有している芳香族ヒドロキシ化合物のガス状流又は溶融流と共に、不均一系触媒を充填された追加の廃ガス反応器に導入し、そして該廃ガス反応器において、ホスゲン及び随時クロルギ酸エステルが廃ガス流から除去されるような方式で反応させ、
    3)反応器を去る脱ガスされた反応生成物を、処理のために直接送るか又は第2反応器に導入し、第2反応器において、残存しているクロルギ酸エステルを、不均一系触媒上で、まだ存在しているか又は導入された芳香族ヒドロキシ化合物と更に反応させてジアリールカーボネートを生成させ、
    4)第2反応器を去る生成物を再び脱ガスし、そしてこの廃ガスを、溶融した又はガス状芳香族ヒドロキシ化合物と一緒に、2)で述べた廃ガス反応器に導入し、
    5)第2反応器からの脱ガスされた生成物を蒸留塔に導入し、芳香族ヒドロキシ化合物及び随時まだ存在している痕跡量のクロルギ酸エステルを、頂部生成物として留去し、そして廃ガス反応器又は第1反応器に再導入し、
    6)この第1塔の底部生成物を第2蒸留塔に導入し、第2蒸留塔において、随時まだ存在している痕跡量の低沸点成分を、頂部生成物としてジアリールカーボネートから除去しそして第1塔の上部に戻し、
    7)ジアリールカーボネートを、随時痕跡量の低沸点成分と共に、第2塔のガス空間から排出させ、
    8)この生成物を第3塔に導入し、そして残存量の高沸点成分を底部生成物として分離することにより、純粋なジアリールカーボネートを塔頂生成物として得、
    9)第2塔と第3塔からの一緒になった底部生成物を第4蒸留装置に送り、ジアリールカーボネートを頂部生成物として留去して第2塔に戻し、そして高沸点成分を第4蒸留装置の底部から取り出す、
    ことを特徴とする方法。
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