JP3854736B2 - 染毛剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造時及び保存時の安定性に優れた染毛剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化染料を用いた染毛剤においては、これら酸化染料自身が毛髪中で酸化重合反応することにより染毛効果を得ている。しかしながら、酸化染料は毛髪外でも空気中の酸素の存在により重合反応を開始する。このことは、製造時や保存時などに空気酸化の影響を抑えるため各種酸化防止剤、還元剤の添加を必要としてきた。これらの添加剤は酸化染料の酸化を防ぐと同時に一部酸化染料自身を分解する可能性も指摘されており好ましくはない。
【0003】
そこで、より安定に酸化染料を配合するため、酸化染料をシクロデキストリンで包接して配合した粉末染毛剤組成物が提案されている(特開昭63−190815)。しかし、これは粉体状以外での使用を前提としておらず、利便性にも欠け、またシクロデキストリン酸化染料を包接した場合は、これを液体状染毛剤に使用すると、包接化合物の溶解度が低く、安定性に欠けると云う欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸化染料を配合した液状の染毛剤組成物において、酸化染料の酸化を防止し、染毛効果を高め、しかも利便性に優れた染毛剤組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のシクロデキストリン誘導体で酸化染料を包接することによってこの課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体で包接した化合物を含有することを特徴とする染毛剤組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の染毛剤組成物に含有する包接化合物は、酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンで包接した化合物である。
該ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンは、シクロデキストリンにヒドロキシプロピル基を導入したものである。
ここで原料シクロデキストリンは、6〜8個のグルコース分子がα−1,4−グルコシド結合で環状に連結した構造を有する非還元性マルトオリゴ糖であり、その連結するグルコース分子数によりα−体、β−体、γ−体の3種が存在するが、いずれのものをも使用できる。
シクロデキストリンのヒドロキシプロピル基導入は、上記原料シクロデキストリンに、プロピレンオキシドを付加することにより行なうことができる。
ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンのヒドロキシプロピル基の数は、シクロデキストリン1分子に対して、平均3〜8個が好ましく、平均3.5〜7.6個がさらに好ましい。
【0008】
本発明の染毛剤組成物において、ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンの配合量は、該組成物中、通常2.0〜75.0重量%であるが、酸化染料の安定性の点から5.0〜60.0重量%が好ましい。
【0009】
本発明の染毛剤組成物において、ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンで包接する酸化染料は、その種類は特に規定するものではなく、公知のものから選択できる。例えば、医薬部外品原料規格に記載されている5−アミノ−o−クレゾール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、5−(2−ヒドキシルエチルアミノ)−2−メチルフェノール、N,N−Bis(β−ヒドロキシル)−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、レゾルシン、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−2’,4’−ジアミノアゾベンゼン・硫酸ナトリウム、トルエン−2,5−ジアミン、5−アミノ−o−クレゾール・硫酸塩、p−アミノフェノール・硫酸塩、o−クロロ−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、4,4’−ジアミノジフェニルアミン・硫酸塩、p−メチルアミノフェノール・硫酸塩、P−フェニレンジアミン・硫酸塩、m−フェニレンジアミン・硫酸塩、トルエン−2,5−ジアミン・硫酸塩、2,4−ジアミノフェノキシエタノール・塩酸塩、トルエン−2,5−ジアミン・塩酸塩、m−フェニレンジアミン・塩酸塩、2,4−ジアミノフェノール・塩酸塩、3,3’−イミノジフェノール、p−フェニレンジアミン・塩酸塩、N−フェニル−p−フェニレンジアミン・塩酸塩、N−フェニルー−p−フェニレンジアミン・酢酸塩、1,5−ジヒドロキシナフタレン、トルエン−3,4−ジアミン、p−メチルアミノフェノール、N,N’−Bis(4−アミノフェニル)−2,5−ジアミノー1,4−キノンジイミン、o−アミノフェノール・硫酸塩、2,4−ジアミノフェノール・硫酸塩、m−アミノフェノール・硫酸塩、m−フェニレンジアミン・硫酸塩を用いることができる。
【0010】
また、通常酸化染料と共に用いられることの多い2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、ニトロ−p−フェニレンジアミン・塩酸塩、1,4−ジアミノアントラキノン、ニトロ−p−フェニレンジアミン、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、2−アミノ−5−ニトロフェノール・硫酸塩、レゾルシノール、ニトロ−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン・硫酸塩、p−ニトロ−m−フェニレンジアミン・硫酸塩などの直接染料も広義には酸化染料に包含され用いることが出来る。
【0011】
これらの中で、本発明の染毛剤組成物に用いる好ましい酸化染料は、p−フェニレンジアミンまたはその塩、トルエンー2,5−ジアミンまたはその塩、p−アミノフェノール、o−アミノクレゾール、p−メチルp−アミノフェノール・硫酸塩、m−アミノフェノール、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−フェニレンジアミンである。
これらの酸化染料は1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0012】
本発明の染毛剤組成物において、酸化染料の配合量は、組成物中、通常0.01〜5重量%であり、好ましくは0.5〜4重量%である。
【0013】
酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体で包接して包接化合物を製造する方法は、通常の方法、例えば少量の水と混練するまたは水溶液中で加熱混合する等の手段により製造することができる。
【0014】
本発明の染毛剤組成物に含有する包接化合物において、ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体と酸化染料とのモル比は、通常1:1である。
ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体の使用比率が、これより低いと、酸化染料を十分包接することができず、本発明の効果を十分に発揮することができない。またこれより高いと包接/遊離バランスがくずれるので好ましくない。
【0015】
本発明において、酸化染料のヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体包接化合物の配合量は、染毛剤組成物中、通常5〜85重量%、好ましくは30〜60重量%である。
【0016】
本発明の染毛剤組成物のpHは4.0〜10.0が好ましく、より好ましくは6.0〜8.0である。pHが10.0以上では刺激が問題となり好ましくない。
【0017】
また、本発明の染毛剤には、本発明の効果を損なわない範囲で一般に化粧品に配合される各極界面活性剤、カチオン性重合体、油性成分、ヒドロキシエチルセルロースやキサンタンガム等の増粘剤、シリコーン誘導体、各種溶剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤などを配合してもよい。
【0018】
更に本発明の染毛剤組成物は、そのまま毛髪に適用し、空気中の酸素により酸化させて染毛を行なってもよいが、酸化剤と組み合わせて染毛を行なってもよい。
このような酸化剤としては、酸化染料を含有する染毛剤組成物に通常用いられる各種酸化剤が用いられ、例えば過酸化水素等が用いられる。
【0019】
本発明の染毛剤組成物は、上記成分を混合して定法により液状、ぺ−スト状、ゲル、クリーム、エアゾールなどの剤型として製造でき、その使用方法は、毛髪に塗布して用いる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0021】
〈包接化合物の溶解性〉
酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体もしくはシクロデキストリンにより包接した化合物を水に溶解し、その溶解性を目視により判定した。
○:水によく溶解する。
×:水に溶解しない。
【0022】
〈染毛剤組成物の評価〉
(1)染毛性
乾燥したヤギ白髪の毛束約10gをシャンプーし、水を切り(水を切った後の毛束の重量は17g)、これに染毛剤組成物各3gをすばやく均−に塗布する。30℃にて一定時間放置し、すすいだ。乾燥した後シャンプー・風乾した。
この染色毛束を色差計(日本電色社製SE2000)でL、a、b値を測定し、未染色毛との色差(△E)を求め、染毛性を評価した。なお、△Eはその数値が大きければ大きいほど染毛性がよいことを表す。
【0023】
(2)耐移染性
人黒毛東約10gを所定の方法により染色した後、シャンプー処理したものを白いタオルでタオルドライした際にそのタオルに付着した色を目視で判定した。
◎:全く色が付いていない。
○:よく見ると色が付いている。
△:色が付いているのがよくわかる。
×:タオルが使えないほど色が付いている。
【0024】
(3)安定性(分離および凝集)
染毛剤組成物を均一に調整した後、50℃、25℃、5℃、−5℃の各温度条件にて1ヶ月放置し組成物中の層分離あるいは凝集の有無を目視にて判定した。
以下の基準よって判定した。
◎:全くない。
○:よく見るとわかる。
△:よくわかる。
×:使用に耐えられないほどある。
【0025】
(4)すすぎ時の使用感
専門パネルにより染毛剤組成物を用いて染毛剤洗髪し、すすぎを行った時の髪のきしみのなさ、ごわつきのなさを下記基準に基づいて3段階で評価した。
+1点:すすぎ時にきしみ、ごわつきがなく、すすぎやすい。
0点:すすぎ時にきしみ、ごわつきがあり、ややすすぎにくい。
−1点:すすぎ時にきしみ、ごわつきがあり、すすぎにくい。
【0026】
実施例1〜4、比較例1、2
表1に示す酸化染料及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンもしくはβ−シクロデキストリンを、少量の水に溶解し、N2ガス雰囲気下において、混練し、包接化合物を得た。
表1に示す残りの成分と上記各包接化合物を均一に混合し各々の染毛剤組成物を調整した。
各染毛剤組成物について、上記各評価を行ない、その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1より、本発明の染毛剤組成物は、染毛性、耐移染性、安定性(分離、凝集)及びすすぎ時の使用感等にすぐれた性能を有することがわかる。
また、ヒドロキシプロピル基−β−シクロデキストリンの配合量は75重量%までが好ましく、60重量%までが特に好ましいことがわがる。
更に、包接化合物としてシクロデキストリンを用いた場合は不溶性となり実使用に耐えないものとなるが、本発明の如く、ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンを用いた場合、安定にしかも良好な染毛効果を得ることができる。
【0029】
実施例5〜8
下記組成物を用いて実施例1〜4と同様にして各染毛剤組成物を調整した。
各染毛剤組成物は、頭髪に塗布してからすすぎ流す迄使用した際、一目でわかるすすぎ性能や毛髪に優れた触感を与えるなどの良好な結果を示した。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【発明の効果】
本発明の染毛剤組成物は、酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリン誘導体により包接した包接化合物を含有させたものであるから、製造時及び保存時等においても、酸化染料の酸化が防止され、染毛性能に優れ、また組成物の分離・凝集等が抑制されて安定性に優れ、しかもすすぎ時の使用感にも優れている。
そして、包接化合物として、通常用いられているシクロデキストリンを用いた場合は水に対して溶解度が低くなり、その保存安定性に劣るが、本発明のヒドロキシプロピル基を導入したシクロデキストリンシクロデキストリン誘導体を用いた場合は、水に対し安定に溶解するので、保存安定性の極めて良好な染毛剤組成物が得られる。
Claims (2)
- 酸化染料をヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンで包接した化合物を含有することを特徴とする、液状、ペースト状、ゲル、クリーム、エアゾール状染毛剤組成物。
- ヒドロキシプロピル基含有シクロデキストリンを、組成物の全量を基準として 30 〜 60 重量%の量で含有することを特徴とする請求項1記載の染毛剤組成物。
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