JP3854735B2 - イエロートナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電印刷法などにおいて形成される静電荷像を現像するための、或いはトナージェット方式の画像形成法におけるトナー像を形成するためのイエロートナー及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
詳しくは、トランスペアレンシー透過画像において、優れた透明性を有するイエロートナー及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力・階調性はもとより、色ムラのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきた。
【0004】
デジタルフルカラー複写機においては、色画像原稿をB(ブルー)・G(グリーン)・R(レッド)の各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した20μm〜70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・B(ブラック)の各色現像剤を用い減色混合作用を利用して現像するが、白黒複写機と比べ多量の現像剤を感光体から転写材に転写させる必要があることや、将来の異なる高画像化に対応すべくより微小ドットに対応した現像剤の微小粒径化の要求が予想される。
【0005】
しかし高画質化の要求に伴いトナー粒径を小さくすると、フルカラー画像の解像力や鮮映度は確かに満足のゆく方向となるが、微粒子化に伴って様々な影響があることが分ってきた。
【0006】
加えて、トナー粒径を小さくすると、それだけ着色剤の偏在により帯電特性が影響を受けやすくなるという問題が生じてくる。
【0007】
したがって、従来以上にカラートナー各色の分散が良好でバランスのとれた色相及び分光反射特性と十分な彩度を有するトナーが要求される。
【0008】
また、トナー粒径を小さくすると、光が更に散乱されやすくなるために画像の色度・明度や濃度等が変化し、従来の技術とは異なる色構成が必要となってくるという問題も生じてくる。
【0009】
さらに近年のプリンターの普及に伴い、あらたなユーザー指向、すなわち写真製版印刷等の他の光沢のない印刷物と同様な画像を好むという傾向に合わせた画像を得たとき、上述の問題は顕著に現れることになる。
【0010】
すなわち従来の技術では、定着したトナーは光に対して乱反射して色再現を妨げることが無いよう、トナー粒子の形が判別できないようにほぼ完全溶融に近い状態になることが必要であり、数種のトナー層の重ね合せがなされているカラー画像では上部トナー層が下部トナー層を妨げない透明性を有する必要があった。
【0011】
そしてこの考えに基づき特開昭59−26757号公報、特開昭63−70271号公報、特開平1−230072号公報、特開平2−293860号公報、特開平6−11898号公報等で示されるように各イエロー/マゼンタ/シアン/ブラックその他の構成が各種提案されてきた。
【0012】
しかし写真製版印刷等の他の印刷物との間に光沢の差がない画像を得ようとすると、どうしても紙の光沢度に近い値に定着する必要が生じ、トナー粒子の完全溶融の無い状況(トナーの形状が残る)となるため微粒子トナー、特に粉砕法によるトナーの場合、定着した印字面表面の粗さによる散乱光の影響が顕著になり、上記発明の色空間構成では不充分になってきた。
【0013】
更にこのようなトナー粒子の完全溶融が生じない状態であるようにトナーの樹脂設計をおこなうと、トランスペアレンシーフィルム上においてもトナー粒子が完全溶融できなくなるために透過光が散乱し、色再現領域が小さくなってしまうことが分かってきた。
【0014】
さらに色相角も変化してしまうため、目的の色彩を得られなくなってくることも分かってきた。特にイエローについては色相角の変化に対する人間の感度が著しいため、透過光の色角変化は好まれない。
【0015】
また、高画質化の要求と共に画像品位の観点から耐熱性、耐光性に優れたトナーが望まれている。これを改善するために特開平2−136865号公報、特開平2−208662号公報等において、耐熱性及び耐光性に優れたイエロー顔料が開示されている。
【0016】
しかし、上述してきたように低光沢度画像では光散乱により濃度が上がらず、顔料の添加量を増やさなければならず、従来の方法でトナーを調製した場合には表面に吐出する量が増え、帯電性の低下や定着不良を生じやすくなる。
【0017】
また、顔料の添加量を増やすと従来の方法では分散が不十分であり、トランスペアレンシー画像の透過性が満足いくものではない。
【0018】
以上述べてきたように、光沢のない印刷物を得るために必要な様々な課題に対して全て満足し得るカラートナーが無いのが現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上述の如き欠点を解決し、光沢度の低い画像上で極めて鮮明な色彩が得られるイエロートナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0020】
すなわち本発明の目的は、少なくとも黄色着色剤を含有するイエロートナーにおいて、光沢度の高低に左右されないバランスの取れた色相及び優れたトランスペアレンシー透過性を有するトナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0021】
また、本発明の別の目的は、黒文字混在の画像においても画像に違和感のない均一な画質を有するフルカラー画像に用いるイエロートナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0022】
さらに、本発明の別の目的は、帯電性に優れたイエロートナー及び該トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構造式
【0024】
【化3】
で示される黄色着色剤を少なくとも含有するトナーであって、
該トナーのフロー式粒子像分析装置による値として、
(a)平均円形度が0.950乃至0.995である、
(b)円形度標準偏差が0.015乃至0.050である、
(c)重量基準の平均径が3μm乃至9μmである、
(d)重量基準の粒径標準偏差が1.5乃至3.0である、
を満たし、トナー中における該黄色着色剤の個数平均径が0.01〜0.40μmであり、
少なくとも該着色剤を含有した重合性単量体系を重合し、直接トナー粒子として得たものであることを特徴とするイエロートナーに関する。
【0025】
さらに、本発明は、現像剤担持体上に担持された現像剤を現像域まで搬送し、現像域で潜像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー画像を潜像担持体上に形成し、
該トナー画像を記録材上に転写し、耐熱性ゴムの基層及び該基層の表面にフッ素系樹脂の表面層を有する定着ローラ及び該定着ローラに圧接する加圧ローラを有する加熱加圧定着手段により、該記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、
該現像剤として、上記イエロートナーを用い、
該加熱加圧定着手段の該定着ローラおよび該加圧ローラの製品硬度が、アスカーCで50度乃至80度であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴のひとつは、着色剤そのものの透明性・分散性・耐光性が優れている着色剤化合物(1)を用いることである。
【0027】
本発明の着色剤は一般的にC.l.Pig.Yellow151に分類される着色剤であり、トナー結着樹脂100重量部に対し2〜10重量部の添加で優れた着色力を発揮する。
【0028】
また本発明の着色剤は、色味改善のため他の従来公知の着色剤(顔料や染料)と組み合わせても良い。
【0029】
本発明において、トナーのフロー式粒子像分析装置による平均円形度が0.950乃至0.995である場合、低光沢度画像(すなわち、トナーを完全溶解させずに定着させる)においても、印字面表面が均一な碁石状になっており、乱反射を最小限にすることができる。また、トランスペアレンシー画像の透過光においても透過性の向上、色相角変化の最小化を可能とする。
【0030】
一方、平均円形度が0.950未満の場合、特に粉砕法によるトナーではトナー形状が残った表面の粗さゆえ、乱反射による透過率の低下や色相角の変化が生ずることになる。また、不定形トナーゆえに、定着ローラ通過前の未定着状態での充填性が低く、低光沢度を達成する様な定着構成では、内部に気泡が残りOHT透過性を落とすことになる。
【0031】
本発明において、円形度標準偏差が0.015乃至0.050である場合、定着ローラ通過前の未定着状態での充填性が比較的高く、低光沢度を達成する様な定着構成(例えば、低ローラ圧、低ローラ硬度や低ローラ温度条件)においても、内部に気泡が残ることはなく良好な透過性を示す。
【0032】
同様に、重量基準の粒径標準偏差が1.5乃至3.0である場合も、定着ローラ通過前の未定着状態での充填性が比較的高く、低光沢度を達成する様な定着構成においても、内部に気泡が残ることはなく良好な透過性を示す。
【0033】
加えて、本発明者らは、表面が完全には溶融していないトランスペアレンシー画像の透過光においてその色相角が最も変化しない条件を検討した結果、ある特定の一次粒径を有する着色剤を選択することによって、色相角の変化をある程度抑えることが可能なことを見いだした。
【0034】
従来このような観点で、例えば特開平4−342265号公報にはキナクリドン顔料の一次粒子径が、また階調性を出す等の目的のための例として特開平4−204547号公報にはカーボンブラックが記載されている。しかし、本発明のような表面が完全には溶融していないトランスペアレンシー画像に単純に応用した場合、従来に比べ抑えられるものの、特にイエロー透過光において色相角・色域が変化してしまう。
【0035】
即ち本発明においては、上記の観点より一次粒径の制御に加え、顔料そのものの透明性が必須であり、透明性を有している点と微細な粒径に分散状態を制御する容易さにおいても、本発明の着色剤は優れた特性を発揮する。
【0036】
本発明においてトナー中の化合物(1)の個数平均径は0.01〜0.70μm、好ましくは0.01〜0.40μmであることがよく、より好ましくは粒径個数分布の変動係数にして60%以下であることが好ましい。
【0037】
化合物(1)の個数平均径が0.01μm未満であると、その耐光性が極端に低下するだけではなく、製造時のハンドリング性や帯電性に悪影響を及ぼす。
【0038】
また、化合物(1)の個数平均径が0.70μm、粒径個数分布の変動係数にして60%をそれぞれ超えると着色剤の凝集が製造時に生じやすくなり、トランスペアレンシー画像の透過光の色相角・色域が紙上のものと変化してしまう。また、透過画像も暗くなってしまう。
【0039】
なお、本発明の平均円形度の算出には、東亜医用電子株式会社製のフロー式粒子像測定装置(FPIA−1000)を用いた。算出方法を詳細に以下に記す。
【0040】
平均円形度を測定するトナーを約0.02g秤量し、界面活性剤を少量含むイオン交換水(約10ml,20℃)に均一に分散させる。分散させる手段としては、株式会社エスエムテー社製の超音波分散機UH−50(振動子は5φのチタン合金チップ)を用いる。分散時間は5分間以上とし、その際、分散媒の温度が40℃以上にならないように適宜冷却する。上記フロー式粒子像測定装置を用い、トナー粒子を1000個以上測定し、次式を用いて平均円形度及びその分布を算出する。
【0041】
【数1】
【0042】
上式において、「粒子投影像の周囲長」とは、二値化された粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さであり、「相当円の周囲長」とは、二値化された粒子像と同じ面積を有する円の外周の長さである。
【0043】
また、本発明における着色剤の粒径は以下の方法で具体的に測定される。
【0044】
まず常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定した。
【0045】
そして得られたトナー断面像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い、粒度分布として得た値を顔料粒径とした。
【0046】
本発明の特徴の一つは、特定の着色剤分散剤としてサリチル酸金属化合物を用いることである。
【0047】
本発明の着色剤はその粒径制御がし易いことが特徴であるが、トナー結着樹脂・離型剤等の相溶性や、トナー帯電性の観点より、再凝集や帯電性の不良を生じやすい傾向にあり、トナーとした場合に必ずしも充分とは言えないものになってしまう。
【0048】
これに対して従来分散性向上からの技術としては、例えば特開平2−175770号公報等に記載されるようないわゆるフラッシング法、特開平5−247370号公報に示される様に顔料の表面処理を行う方法等多くの手段が開示されているが、トナー帯電性を適正な範囲に制御する汎用性や工程の簡略化等を考えると未だ不十分なものであった。
【0049】
そこで、本発明者らは本発明の着色剤に適した分散向上添加剤の作用と共に帯電性の制御も可能な物質について検討を行い、本発明に至った。
【0050】
本発明のサリチル酸金属化合物としては、亜鉛、アルミニウム、クロム、鉄を中心金属とした錯体および/または錯塩が好ましい。
【0051】
なお、本発明の顔料に対してサリチル酸金属化合物を添加し改質する手段としては、あらかじめマスターバッチ化する等の公知の手段が使用できるが、改質性・分散性・再凝集防止性等の効果を得るため、両者の添加時には顔料100量部に対して10〜400重量部添加することが好ましく、10〜100重量部で添加することがより好ましい。
【0052】
また、本発明の顔料に対してサリチル酸金属化合物を添加することにより、顔料の耐光性も向上することになる。機構については定かではないが、サリチル酸金属化合物と顔料の相互作用が顔料の分解を防いでいると考えられる。
【0053】
本発明の更なる特徴としては、本発明の着色剤分散助剤の作用を有する離型剤として特定のエステルワックスを添加することである。
【0054】
これは、本発明の構造を有する顔料の官能基にワックス中のエステル基が親和性を有するため、顔料が疎水性を有するワックスに取り込れ、トナー中に埋没してしまうために生じると考えている。
【0055】
そのため本発明においては、エステル基を有するワックスを本発明の顔料に組み合わせることによって帯電性の向上が達成される。
【0056】
また、本発明の顔料に対してエステル基を有するワックスを添加することにより、顔料の耐光性も向上することになる。機構については定かではないがワックスと顔料の相互作用が顔料の分解を防いでいると考えられる。
【0057】
そしてその観点より検討を行った結果、本発明のワックスは炭素数が15以上の長鎖エステル部分を1個以上有することがより好ましく、15以上30以下であることがさらに好ましい。
【0058】
炭素数が15未満であると顔料の表面改質はするものの、定着器の熱量の為に定着ローラ面への着色剤の移行が生じやすくなるため、定着時に紙への裏写りが生じやすくなりローラ耐久性を低下させる。
【0059】
炭素数が30を超えると、ワックスの樹脂への可塑効果が大きくなりすぎて定着性が低下する。
【0060】
また、近年フルカラー両面画像の必要性も増してきており、両面画像を形成せしめる際においては、最初に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能性があり、よりトナーの耐高温オフセット性を十分に考慮する必要がある。その為にも本発明においては、多量のエステルワックスの添加が必須となる。
【0061】
そのため、本発明のエステルワックスとしては顔料の改質のほかに離型性/透明性も与える必要があり、エステルワックスをトナー中に5〜30重量%添加することが好ましい。
【0062】
仮に5重量%未満の添加では十分な改質性を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像がオフセット現象を示す傾向がある。
【0063】
また30重量%を超える場合は、トナーの製造時に、たとえば製造において装置融着やトナーの融着が発生しやすく、ドラムに対しての耐衝撃力が低下するためフィルミングが発生し易くなる。
【0064】
また本発明の顔料に対してエステルワックスを添加し、改質する手段としては、あらかじめマスターバッチ化する等の公知の手段が使用できるが、改質性・分散性・再凝集性等の効果を得るため、添加時には本発明のサリチル酸金属塩および顔料の100重量部に対してエステルワックス100〜3000重量部の比で添加することが好ましい。
【0065】
本発明において、用いられるエステルワックスとしてはASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一方極大ピークが90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混色性の点から好ましくない。
【0066】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0067】
本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表的化合物の構造式を以下に一般構造式(1)〜(5)として示す。
【0068】
【化3】
(a及びbは、0〜4の整数を示し、aとbの合計が4であり、
R1及びR2は、炭素数が1〜40の整数を有する有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が3以上であり、
m及びnは、0〜25の整数を示し、mとnが同時に0になることはない。)
【0069】
【化4】
(a及びbは、0〜3の整数を示し、aとbの合計は1乃至3であり、
R1及びR2は、炭素数が1〜40の整数を有する有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が3以上であり、
R3 は、水素原子又は炭素数が1以上の有機基を示し、但し、aとbの合計が2のとき、R3 の少なくとも一方は、炭素数が1以上の有機基を示し、
kは、1〜3の整数を示し、
m又はnは、0〜25の整数を示し、mとnが同時に0になることはない。)
【0070】
【化5】
(R1及びR3は、炭素数6〜32を有する有機基を示し、R1とR3は同じものであってもなくても良く、
R2は、炭素数1〜20を有する有機基を示す。)
【0071】
【化6】
(R1及びR3は、炭素数6〜32を有する有機基を示し、R1とR3は同じものであってもなくても良く、
R2は、−CH2CH2OC6H4OCH2CH2−,
−(CH(CH3)CH2O)m−C6H4C(CH3)2C6H4−(OCH2CHCH3)m−の変性ビスフェノール骨格を有するもの又は、(CH2)n−を示し、mは1〜10の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
【0072】
【化7】
(aは、0〜4の整数を示し、bは、1〜4の整数を示し、aとbの合計は4であり、
R1は、炭素数が1〜40の整数を有する有機基を示し、
m及びnは、0〜25の整数を示し、mとnが同時に0になることはない。)
【0073】
本発明で好ましく用いられるエステルワックスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。エステルワックスの硬度は、直径20mmφで、厚さが5mmの円筒形状のサンプルを作製した後、例えば島津製作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で10μm変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース硬度を求める。硬度が0.5未満のエステルワックスでは定着器の圧力依存製造方法及びプロセススピード依存性が大きくなり、耐高温オフセット効果の発現が不十分となりやすく、他方5.0を超える場合ではトナーの保存安定性に乏しく、エステルワックス自身の自己凝集力も小さいために耐高温オフセットが不十分となりやすい。具体的化合物としては、下記化合物が挙げられる。
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】
本発明の更なる特徴としては、重合性単量体を媒体中直接重合してトナーを得ることである。
【0079】
重合法とは、例えば特公昭36−10231号、特公昭43−10799号及び特公昭51−14895号公報等に提案されているように、重合性単量体・着色剤・重合開始剤更に必要に応じて架橋剤・荷電制御剤・その他添加剤を、均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、たとえば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得る方法である。
【0080】
この重合法により得られたトナーは球状となり、本発明におけるフロー式粒子像分析装置による平均円形度を0.950乃至0.995の範囲にすることが容易である。
【0081】
さらに、水系媒体中直接重合すると、着色剤や帯電制御剤等は単量体へ均一に溶解した後トナーとなるため、着色剤の表面への露出が抑えられ、トナー表面においては粉砕法より均一な帯電挙動を示すようになる。
【0082】
加えて本発明の着色剤とサリチル酸金属化合物を重合性単量体中で分散すると、他の黄色着色剤と比較して単量体中の分散が特に安定しているために、同一の着色力を得るために必要な着色剤の添加量が少なくても良く、結果として透明性により優れた、シャープな帯電を有するトナーが得られる。
【0083】
また粉砕法においては、コールターカウンターにより測定した粒度が9μm以下になるに従い、従来では問題にならなかった使用原材料の均一分散性や効率の高い粉砕性、更にはシャープな粒度分布に現像剤を分級することが極めて難しくなる傾向にある。これに対し、本発明の着色剤とサリチル酸金属化合物を重合法に用いた場合はその点でも優れた特性を有し、更に従来の粉砕法では使用することができなかった低軟化点物質を多量に使用することができる等の材料の選択幅が広がる等の特徴を有していることからも好ましい。
【0084】
本発明の顔料を重合法によって添加する場合、本発明の化合物(1)の重合性単量体中での解砕を容易にするために、単量体中に予め分散しておく前の顔料の粒度としてトナー中での分散粒径に近い本発明の範囲に入っていることが好ましく、具体的には、化合物(1)のアルコール系有機溶媒中での粒度分布が個数平均径にして0.01〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.30μmであることが良い。
【0085】
なお、本発明におけるアルコール系有機溶媒中での粒度分布とは具体的に下記の方法で測定した。
【0086】
測定装置としてはコールターカウンターLS型(コールター社製)を用い、エタノール中へ約濃度20〜400ppmとなるように顔料を添加し、超音波で60秒分散後に測定して得た個数分布値とした。
【0087】
重合法による直接トナーを得る方法においては、公知の単量体が好ましく用いられる。具体的にはスチレン,o(m、p)−メチルスチレン,m(p)−エチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミド等のエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−Pl39〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜85℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、―方85℃を超える場合は結晶性部分の残存による粒塊が画像上に生じ、特にフルカラートナーの場合に於いてはOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0088】
粉砕法を用いた場合、結着樹脂としては上記の単量体成分を組み合わせたスチレン−アクリル系樹脂やマレイン酸共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等公知の材料が使用できるが、粉砕法の場合、本発明との分散性の維持や帯電性等のためにポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0089】
なお樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。得られた樹脂成分の数平均分子量(Mn)は、5000〜1000000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜100を示す樹脂が本発明には好ましい。
【0090】
本発明においては、樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるため単量体成分の他に更に極性樹脂を添加せしめてもよい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0091】
また、離型作用を付与するため樹脂中にエステルワックスに加えてさらに低軟化点物質を添加せしめてもよい。
【0092】
本発明に用いられる低軟化点物質としてはASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が50〜180℃を示す化合物が好ましい。極大ピーク値が50℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり、特にフルカラー現像剤には好ましくない。―方極大ピーク値が180℃を超えると、現状のところ軟化点物質の結晶性・分散性が劣化するため定着性・透明性の面から好ましくない。
【0093】
上記の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行う。
【0094】
具体的には、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、エステルワックス、高級脂肪酸及びこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0095】
本発明のサリチル酸金属化合物に加え、本発明に更に荷電制御剤を添加しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ―定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸,ナフトエ酸,ダイカルボン酸の金属化合物、スルホン酸,カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は、樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかしながら本発明において荷電制御剤の添加はすでに本発明のサリチル酸金属化合物が添加されているために必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することで、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0096】
本発明に直接重合方法を利用する場合には、重合開始剤として、例えば、2,2’―アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’―アゾビスイソブチロニトリル、1,1’―アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’―アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0097】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが―般的には単量体に対し0.5〜20重量%添加され用いられる。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するため公知の架橋剤・連鎖移動剤・重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0098】
トナー製造方法として水性媒体中での重合法を利用する場合には、用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,磁性体,フェライト等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が水相に分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜2.0重量部を使用することが好ましい。
【0099】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均―な粒度を有す分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。また、これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき,例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0100】
トナー製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって、具体的にトナーを製造することが可能である。重合性単量体中に低軟化点物質(離型剤),着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー・超音波分散機等によって均―に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する分散媒中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。
【0101】
好ましくは単量体組成物の液滴が、所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、―般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0102】
次に、本発明の画像形成方法に用いる定着手段について説明する。
【0103】
図2は本発明の定着器の構成例を示す図である。23は定着ローラで、該定着ローラ23には加圧ローラ24が圧接して定着ローラ23との間にニップ部を形成しつつ従動回転を行うようになっている。該定着ローラ23は中空筒体の形態をなし、中空空間にはハロゲンヒータ25が内蔵され、定着に必要な熱供給がなされる。加圧ローラ24はハロゲンヒータ25により加熱される。ローラの温度制御は、定着ローラ23の非通紙領域に温度検知素子としてのサーミスタ28をもしくは加圧ローラ24にサーミスタ28を接触配置し、その検知温度に伴う抵抗値変化によりローラの表面温度を検知し、制御装置(図示せず)によりローラ表面温度を所定値となるようにハロゲンヒータ25の電流制御を行っている。
【0104】
以上のような装置において、未定着転写材はガイド32により案内されて右方よりニップ部に進入し、定着ローラ23の表面により加圧及び加熱を受け、定着された後排紙される。29は、定着された転写材と定着ローラ23または加圧ローラ24との分離爪である。
【0105】
定着ローラ23の構成は、カラー画像の単色〜4色の多重トナー31の厚み(数〜数十μm)に追従するために、アルミニウム等の芯軸に弾性層を数十μm以上設けることが必要である。弾性が小さいとトナー凹部の未定着やトナーのつぶれによる解像低下をもたらす。上記弾性層の材質はメチル系、メチルビニル系の液体シリコーンゴムRTV,LTVタイプのものが弾性を備えているので好適である。表層には上記のRTV,LTVを用いて、その下層に熱に強いHTVの層を設け、表層裏面の熱劣化や剥がれを防いだ多層構成としても良い。本実施例としては、アルミニウム芯金21上にゴム硬度(JIS−A)10度のジメチルシリコーンゴムのLTVタイプの弾性層22を2.5mm設け、その上にPFAチューブ層33を50μm設けたものをφ46mmに成形して用いた。この時、製品硬度はアスカーCで60度であった。なお、他にメチルフェニル系シリコーンゴムを用いることもできる。
【0106】
加圧ローラ24の構成は、定着ローラ23に比べ弾性が小さくても良いので単純化が可能でアルミニウム芯軸にHTV、フッ素ゴム等の層を設けるのみでも良い。勿論、定着ローラと略同一構成のものを用いても良い。本実施例では、加圧ローラとしてアルミニウム芯金21上にゴム硬度(JIS−A)10度のジメチルシリコーンゴムのLTVタイプの弾性層を22を1.5mm設け、その上にPFAチューブ層33を50μm設けたものをφ46mmに成形して用いた。この時、製品硬度はアスカーCで60度であった。なお、定着ローラ、加圧ローラのゴムとしては、他にメチルフェニル系シリコーンゴムを用いても良い。定着温度は180℃でリップル±3℃以内とし、加圧力は40〜60kgfとした。
【0107】
画像の評価方法について述べる。
【0108】
[低光沢画像の色彩評価方法]
トナー7重量部に対し、アクリル樹脂コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤とする。
【0109】
得られた現像剤を用いて、図2に示すような定着器に変更、具体的には定着温度を可変とし、上下ローラ材質をフッ素系とし、定着オイル塗布機構を省くよう改造したキヤノン製フルカラー複写機CLC500改造機にて、潜像を転写材上に転写し、画像を得た。
【0110】
このとき定着条件は、転写材として光沢度4の秤量99g/m2紙を用い、トナーのり量0.5〜0.7mg/cm2の単色ベタ画像を得て、該画像を光沢度10〜15になるよう定着温度を調整した。
【0111】
また各色の濃度条件は、コダック社製のグレースケールとカラーパッチを原稿とし、フルカラーコピー画像でグレースケールがなるべく忠実に再現できるよう調整し、イエロー(Y)単色コピーの最高濃度が1.1以上となるように濃度調節した。
【0112】
そして上記状態のキヤノン製フルカラー複写機CLC500改造機で、イエロー(Y)・シアン(C)の重ね合わせ画像であるグリーン(G)について光沢度15〜20の定着条件で出し、このとき各色の最高濃度で重なり合った部分をコダック社製のカラーパッチとの色調差で評価した。
【0113】
評価については5段階で行い、画像の明度L*,彩度C*,色相角h*についてCMC(1:1)の色度差式を導入し、後述の比較例1の値を100としたとき、
と評価した。
【0114】
CMCの式とは、Journal of the Society of Dyers and Colourists,100 128(1984)に提案されている色度式で、明度L*,彩度C*,色相角h*に視感の補正を加えて評価するものであり、下記式で示される。
ΔE=[(ΔL*/ISL)2+(ΔC*/cSc)2+(Δh*/SH)2]1/2(ISL:明度ΔL*に対する補正係数、cSc:彩度ΔC*に対する補正係数、SH:色相角Δj*に対する補正係数)
【0115】
また、着色力については光沢度10〜15のベタ画像部を反射濃度計RD−918(マクベス社製)で測定した。光沢度計はPG−3G(日本電色工業社製)で測定し、入射角は75度とした。(75度グロス)
【0116】
耐光性についてはフェードメーター(カーボンアーク灯)にて63度,60時間の照射後、退色度合いでランク付けを行った。
【0117】
[トランスペアレンシー透過画像評価方法]
トランスペアレンシーシート画像の透過率は以下の如く評価する。
【0118】
フルカラー複写機(CLC500;キヤノン社製)改造機を使用して、トランスペアレンシーシート(CG3700:3M製)上に温度23度/湿度65%RHの環境下で、現像コントラスト320Vにて現像転写し、階調を有する未定着トナー画像を得た。得られたものを定着ローラの表面がフッ素系樹脂である外部定着器(図2に記載:オイル塗布機能なし、ローラ径40φ)にて、定着温度180度,プロセススピード30mm/secで、定着画像を得た。
【0119】
得られた定着画像の画像濃度0.4〜0.6の箇所の透過率を測定した。
【0120】
透過率の測定は、島津自己分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し測定した。そして、トランスペアレンシーシート単独の透過率を100%とし、600nmでの最大吸収波長における透過率を測定した。
【0121】
なお、下記の基準で評価した。
○ :透過率が80%以上
○△:透過率が65%以上80%未満
△ :透過率が50%以上65%未満
× :透過率が50%未満
【0122】
また、透過光の色空間測定については、得られた画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP:3M社製 9550)にて透過画像とし、白色壁面に投影した画像を、分光放射輝度計(フォトリサーチ社製 PR650)にて測定した。
【0123】
そしてその白色壁面に投影した画像の色相角h*(OHP)と先の紙上におけるベタ部の色相角h*(紙)との角度差Δh*を、下記に示すように定義し5段階評価で示した。
【0124】
【0125】
[帯電量測定]
トナーの帯電量はトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混合し、これを常温常圧下24時間放置後、5分間振とうした後、下記の要領で測定を行う。
【0126】
図1はトナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。先ず、底に500メッシュのスクリーン13のある金属製の測定容器12に摩擦帯電量を測定しようとするトナーとキャリアの重量比1:19の混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、5〜10分間手で振盪し、該混合物(現像剤)約0.5〜1.5gを入れ金属製のフタ14をする。このときの測定容器12全体の重量を秤W1(g)とする。次に、吸引機11(測定容器12と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口17から吸引し風量調節弁16を調整して真空計15の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。このときの電位計19の電位をV(ボルト)とする。ここで18はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く計算される。
【0127】
【数2】
【0128】
【実施例】
以下実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。尚、以下の配合における部数は特に記載がない限り重量部である。
【0129】
<実施例1>
0.1MのNa3PO4水溶液と1MのCaCl2水溶液を用意する。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1モル−Na3PO4水溶液550部を添加し回転数を10000回転に調整し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む分散媒系を調製した。
【0130】
一方分散質系は、
上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を添加した分散物を調製し、上記分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え50回転で撹拌しつつ内温を70℃で重合を計8時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。
【0131】
更に洗浄し乾燥を行うことでイエロートナーを得た。
【0132】
得られたトナーに疎水化処理酸化チタンを2%外添し流動性に優れたトナーを得、このトナー7部に対し、アクリル樹脂コーティングされたフェライトキャリア93部を混合し現像剤とし、キヤノン製フルカラー複写機CLC500改造機にて光沢15の画像及びトランスペアレンシー画像を得て、その評価を行った。
【0133】
すると紙上の画像とトランスペアレンシー透過画像との間に色相角の変化はほとんどなく、OHP透明性にも優れたものであった。
【0134】
また、顔料をC.I.ピグメントブルー15:3 12部に変更した他は同様の方法でシアントナーを製造し、二次色であるグリーンの再現性も確認したところ、鮮明なグリーン画像が得られた。
【0135】
<実施例2>
実施例1の処方の中で、離型剤の添加量を40部から10部に変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0136】
<実施例3>
実施例1の処方の中で、離型剤の添加量を40部から100部に変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0137】
<参考例1>
実施例1の処方の中で、離型剤をエステルワックスからポリプロピレンワックスに変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0138】
<参考例2>
実施例1の処方の中で、着色剤を粒径0.60μmに伸張させた化合物に変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0139】
<参考例3>
実施例1の処方の中で、サリチル酸亜鉛化合物を樹脂系の荷電制御剤に変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0140】
<実施例4>
実施例1と同処方で、造粒後重合4時間後に高速撹拌機を6000rpmに調整し、10分間異形化を図り、その後4時間重合を継続してイエロートナーを製造した。
【0141】
<比較例1>
実施例1の処方の中で、着色剤をC.I.ピグメントイエロー151からC.I.ピグメントイエロー3に変更した他は総て実施例1と同様にして、イエロートナーを製造した。
【0142】
<比較例2>
スチレンとn−ブチルアクリレートの共重合体樹脂(Mw=60000,Tg=65℃)100重量部に対して、
を加えて溶融・混練・粉砕・分級しイエロー粒子を得た。
【0143】
下記に各トナーの特性とその評価を示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、化合物(1)に示される黄色着色剤を含有し、トナーの粒度分布ならびに円形度を特定の範囲にすることにより、帯電能に優れかつ低光沢度の画像においても着色力が高く、オーバーヘッドプロジェクター用フィルムに対しても透過性の優れた画像を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの摩擦帯電量を測定するための測定装置の概略説明図である。
【図2】本発明のトナーが適用されうる画像加熱定着装置の概略説明図である。
【符号の説明】
21 芯金
22 弾性層
23 定着ローラ
24 加圧ローラ
25 ハロゲンヒータ
28 サーミスタ
30 転写紙(記録材)
31 未定着カラートナー
33 フッ素系樹脂層(表面層)
Claims (5)
- 該トナー中に低軟化点物質を5乃至30重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のイエロートナー。
- 該低軟化点物質が炭素数15以上の長鎖エステル部分を1個以上有することを特徴とする請求項1又は2に記載のイエロートナー。
- 該トナー中にサリチル酸金属化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のイエロートナー。
- 現像剤担持体上に担持された現像剤を現像域まで搬送し、現像域で潜像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー画像を潜像担持体上に形成し、
該トナー画像を記録材上に転写し、耐熱性ゴムの基層及び該基層の表面にフッ素系樹脂の表面層を有する定着ローラ及び該定着ローラに圧接する加圧ローラを有する加熱加圧定着手段により、該記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、
該現像剤として、請求項1乃至4のいずれかに記載のイエロートナーを使用し、
該加熱加圧定着手段の該定着ローラおよび該加圧ローラの製品硬度が、アスカーCで50度乃至80度であることを特徴とする画像形成方法。
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